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2019年05月15日

呪われた結婚式

これは知人女性から聞いた話である。

彼女にはとても仲の良い友達がいた。

会社に同期として入社して以来、その女性とはいつも休みの日になると

一緒に何処かへ出かけていたそうだ。

だが、何年か経つうちに、彼女の方から誘ってもなかなか会ってくれなくなる。

そんな感じで疎遠になった頃、その友達から結婚の招待状が届いた。

慌ててその女性へ電話をかけお祝いの言葉をかけると、照れ臭そうに

ありがとう!と言ってくれた。

彼女にとってもこれ以上無いほどに嬉しい知らせであり驚きだったという。

それから、結婚相手である彼氏を紹介もされたし、これからもずっと

親友で居てね!とも言われた。

二人はまさにお似合いのカップルであり、彼女にはまだ彼氏もいなかったが

そんな事はどうでも良かった。

後は、二人の幸せな結婚式を待つばかり・・・・。

彼女はそう思っていた。

しかし、ある日、彼女の元に訃報が届いた。

それは妻となるその女性が運転中の事故でそのまま即死したというものだった。

信じられなかった。

結婚式まで、あと2週間あまりだった。

彼女は酷く落ち込んでしまったが、夫になる男性の悲しみを思えと

胸が苦しくなった。

彼女の葬儀は、しめやかに執り行われ、彼女も当然、参列した。

結局、棺のふたが開けられる事はなく、最後の対面も叶わなかったが、

葬儀に参列した者達は、その事故が相当無残な死に方だったのでは?と

噂していた。

そして、そんな中、気丈に振る舞う彼氏の姿が可哀想で見るに堪えなかったという。

そして、葬儀から1週間あまり経った頃、彼女の元に意外な物が届いた。

それは、二人の結婚式を予定通り行うとの知らせであり、当然ご祝儀は必要ないが、

是非、亡くなった新婦の為にも出席して欲しい、との旨が書かれていたという。

彼女自身、とても驚いたが、それでも新婦になる筈だった娘の無念さを少しでも

慰めてあげたいという親の気持ちと、彼氏の気持ちを考えると、どうしても

欠席するわけにはいかなくなったのだという。

そして、執り行うのは披露宴だけであり、結婚式自体は行わないのだと聞いて

彼女は亡き友達の為にも出席を決めたのだという。

当日は、朝から生暖かい雨が降り続いていた。

予定通り、元々着ていくはずだったスーツに身を包んだ彼女は急いでタクシーに乗り

式場であるホテルへと急いだ。

ホテルに到着すると、本当に華やかに彩られた装飾に彼女は目を見張った。

そこには、まさに本物の結婚式と同じような豪華さがあった。

受付をする際に渡された挨拶文には、

今日は精一杯楽しんでいってください・・・・・。

そして、涙はお控えください・・・・。

そう書かれており、彼女はその文面を見て少しホッとした気分になったという。

彼女は指定された座席表野テーブルに着席した。

丸テーブルが幾つも並び、一段高い所に新郎・新婦の席が設けられていた。

空いている席は無く、きっとその誰もが、自分と同じ気持ちでその披露宴に

出席しているのだと少し感傷的になったという。

そして、いよいよ披露宴がスタートすると、その進行といい、運ばれてくる

料理といい、まさに本物の披露宴そのものの豪華さだった。

挨拶文の通り、涙する者は一人もおらず、披露宴は終始和やかな雰囲気で

進行していった。

しかし、突然、1人の出席者から悲鳴があがる。

新婦の姿を見た!

そう言って恐れおののく姿は、とても演技には見えなかった。

そして、1人また一人と気分を悪くして披露宴会場から退席していく。

更に、途中から照明が明滅したり、マイクの音が聞こえなくなったりしてしまい、

その度に会場は大きな悲鳴に包まれていった。

そして、いよいよ新郎の挨拶の段になり、決定的な瞬間が訪れてしまう。

スポットライトの中、マイクを持った新郎が出席者達への挨拶を話しだそうとした瞬間、

突然、ライトが消えた。

そして、数秒後に再びライトが点いた時、新郎の横には無残な姿をしたまま

純白のウエディングドレスを着た新婦が立っているのがはっきりと見えた。

とても、余興として行われているジョークだとは誰も思わなかった。

その姿は、血にまみれ崩れた顔でにっこりと笑う新婦の顔が不気味という言葉

以外には表現出来ない程、おぞましい姿として、其処に存在した。

固まって動けなくなる者・・・・。

その場て悲鳴を上げる者・・・・・。

泣き崩れる者・・・・・。

反応はそれぞれだったが、次の瞬間、けたたましいばかりのマイクのハウリング音

が会場に響き、その瞬間、新婦の姿はその場から煙の様に消えてしまった。

友達である新婦の変わり果てた姿に彼女はその場て嗚咽したという。

そんな事があって、披露宴はすぐに中止され、お開きとなった。

彼女もすぐに自宅へと戻ったが、しばらくは新婦の姿が目に焼き付いてしまい

夜も寝られなかったという。

そして、その披露宴以来、ずっと何か不吉な物を感じていたのだという。

そして、それから数日後、彼女の耳に知りたくない事実が届いた。

披露宴の後、新郎の姿が忽然と消えてしまったのだという。

披露宴の後、ガタガタと震えていたという新郎は、披露宴会場から帰宅する際、

そのまま何処かへ消えてしまった。

何処をどう捜索しても新郎の姿を発見する事は出来なかった。

だから、披露宴に出席した者は、

きっと、新婦が新郎を連れて新婚旅行に行ってしまったのだはないか?

と噂していたという。

そして、新郎が消えてからちょうど7日後、新郎が山の中で発見された。

無残な遺体となって・・・・。

その遺体は披露宴で来ていたタキシード姿のままであり、全身はまるで

車に乗ったまま大事故に巻き込まれたかのようにグチャグチャに潰されていた。

まさに、あの披露宴で見た新婦と釣り合いが取れるかのように・・・・・。
  


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2019年05月06日

最恐の悪霊と最強の除霊師

これは、以前、Aさんの旅行友達から聞いた話。

Aさんは、かなり旅行が好きらしい。

しかも、思い立ったらすぐに行動する性格のせいで、その女友達もかなり

振り回されているのだという。

しかも、基本的に全てが突然だから宿も決めずに出発する。

だから、旅行をする際には、お金に余裕を持ち、現地に着くと先ずその日の

宿泊先を探す事から始めなくてはならないそうだ。

そして、その時も彼女の元に突然Aさんから電話が入ったという。

あのさ・・・・今、テレビ視てたら、なんか凄く美味しそうな物が映ってた

んだけど・・・・。

明日って、暇?

そういう電話だったらしい。

独身であり、自営業の彼女は、特に翌日の予定も無かったので、即答で、

うん…大丈夫だと思うけど・・・・・。

そう返事をしたらしい。

すると、Aさんから、

それじゃ、明日の朝8時頃に迎えに行くから、ちゃんと旅行の用意しておいてね!

そう言って電話は切れたという。

彼女としても、Aさんの行動パターンには困らせられる事もあったが、

それ以上に、Aさんと一緒居ると、何か自分まで幸せな気分になれるらしく、

言われたとおりに旅行の用意をして、翌朝に備えて寝たそうだ。

翌朝は、ピッタリ朝8時にAさんの車が迎えにきた。

車の運転が好きなAさんがいつも運転手役らしく、道中、相変わらず

食べ物の話で盛り上がっていたそうだ。

その時、向かったのは関西方面のとある温泉地。

そして、旅館案内所でその日の宿を抑えようとしたらしいが週末ということもあり、

どこの宿も満室だと告げられた。

仕方なく彼女達は大きめの宿を一軒一軒しらみつぶしに当たってみる事にした。

しかし、案内所で言われた通り、どこの宿も一杯だったという。

彼女がAさんに、

どうする?

どこの宿も空いていないんじゃ日帰りにする?

と言うとAさんはしばらく考え込んだ後、

まあ、仕方ないか・・・こんな状況だし・・・・。

それじゃ私に着いてきてね!

そう言って、車に乗り込むと温泉街の中をゆっくりと車を進める。

彼女はてっきり日帰りに変更して帰るのか、と思っていたそうだが、

どうも様子がおかしい。

それで、Aさんにこう聞いたという。

日帰りにするんじゃないの?

無理だって見つかりっこないと思うよ?

すると、Aさんは、

こういう温泉宿っていう所には絶対に開かずの部屋になってしまつている部屋

が在る筈だから・・・・。

今、その霊気みたいなものを探ってるから、少しだけ静かにしててね!

そう言われたそうだ。

確かに彼女もAさんの霊力というものを知っていたし、その時は奇跡が起きるのを

待つ気分でAさんの言うとおり、喋らない様にしていた。

その間、Aさんは、

あっ、ここは弱いから大した部屋じゃないな・・・・・とか、

此処は大して迷惑になっていないな・・・・とか言いながら運転を続けていた。

そして、一際大きな旅館の前に車を停めたAさんは、

うん!・・・此処なら、きっと宿の人達も困りきってるはず!

そう言いながら勝手に車を駐車場へと停めて荷物を持って玄関へと向かう。

ちょっと!

まだ泊めて貰えるって決まってもいないのに・・・・。

と彼女が言うとAさんは、

たぶん、大丈夫だと思うから!

と意気揚々と玄関のドアを入っていく。

いらっしゃいませ!

ご予約のお客様ですか?

そう言われてAさんは、いいえ、と首を横に振る。

すると、従業員さんは、

あの…申し訳ありませんが、当館は本日は満室でございまして・・・・。

と告げたが、Aさんはニコニコと笑いながら、

あの…女将さんを呼んでい頂けませんか?

とても重要なお話があるものですから!

と元気に返したという。

しばらくするとその宿の女将さんらしい50代位の女性がやって来た。

女将さんはAさんの前にやって来るとすぐに頭を下げて、

本日は大変申し訳ございません。

あいにく全てのお部屋が埋まっておりまして。

と丁寧に謝罪してくれたが、Aさんが、

あの・・・・この旅館って曰くつきの部屋がありますよね?

そのせいで、ずっとお客さんを泊める事も掃除する事も出来ない部屋が!

そう言うと女将さんの顔は、一気に曇り、Aさんの方を怪訝そうな

眼で睨むようにして見たという。

そして、女将さんはこう言った。

誰も知らない筈なんですが・・・・。

誰からそんな話を聞かれたんですか?と。

すると、Aさんは、

別に誰から聞いたという訳じゃないんですけど・・・・。

お困りなのかな?って思いまして・・・・。

すると、女将さんは、

貴女は除霊とかそういう事に長けている方なんですか?

そんな華奢な体格なのに・・・・。

すると、Aさんは、

華奢に見えますか?

ちゃんと出るところは出てますし、引っこんでるべき所も引っこんでますけど!

それに、霊を祓うのに体格は関係ありませんから(笑)

そう言うと、女将さんは、

それじゃ、貴女が化け物を退治してくれるというのですね?

でも、まさか、ボランティアではないでしょうし・・・・。

お幾らぐらいご希望ですか?

そう返してきた。

すると、Aさんは、

あっ、私はお金は貰わない主義なので!

その代わりと言ってはなんですけど、除霊に成功してもしなくても、今晩、

その部屋に泊まらせて欲しいんです!

それと、除霊するとお腹が空くので料理は3人分でお願いします!

と元気に答えた。

女将さんはしばらく考え込んだ後、

わかりました!

でも、死んでも知りませんよ?

何十年間も続いている開かずの間ですから。

除霊しようとした方達は全てもうこの世にはおりません!

1年に1度だけ何とか掃除だけはしていますが、もう何人もの霊能者やお坊様が

除霊の為にその部屋へ入られましたが、誰ひとり生きて帰る事はなかった。

見たところ、とても霊能者には見えませんけど?

そう言われるとAさんは、大きな声で、

ええ、私、霊能者じゃないんで・・・・(笑)

と明るく笑って返した。

女将さんは、建物の奥へ奥へと進んでいく。

そして、鎖で閉じられた鉄製の扉を開けると、長い廊下の手前で立ち止まり、

この廊下を進んだ処にある、あの離れの部屋が、開かずの間です。

中には着物を着た化け物の様な不気味な女がいる、と伝え聞いております。

どうしますか?

本当に除霊する勇気はありますか?

本物ですからね?

と、どうやら、Aさんに思い留まらせようとしているように感じたという。

すると、長い廊下の手前で立ち止まっている女将さんと彼女の目の前で

Aさんは、すたすたと軽快に廊下を進んでいったという。

女将さんは、目を点にして信じられないといった顔をしている。

空気が異様に冷たくなり、それが廊下の手前まで伝わってくる。

そして、地響きの様な音がして辺りが暗くなる。

酷い耳鳴りがして、彼女は知らぬ間に体中に鳥肌が立っている事に気付く。

彼女自身、いつもAさんと旅行している事ですっかり霊感が強くなって

いたから、その離れの中に居るという霊の恐ろしさだけは分かったという。

何かあったら、どんな事をしてもAさんだけは助け出さなければ・・・・。

そう思っていた。

すると、女将さんがこう尋ねてきた。

あの・・・・あの方っていうのは、そんなに凄い霊能者なんですか?

今まで何事もなく離れに近づいていった者は1人もおりません・・・。

なのに・・・あの方は・・・・・。

そう聞くと、彼女もAさんの凄さを思い出して、

相手がどんなに凄い最強の悪霊でも、彼女だけは別格ですから!

最強の除霊者・・・・いいえ、ある意味、彼女を怒らせる事が一番危険

かもしれませんね!

そう返したという。

そうしていると、風も強くなって来て辺りに苔むした様な匂いが充満していく。

離れの部屋の引き戸や窓がガタガタと音を鳴らす。

部屋の中からは唸るような苦しそうな声がどんどん大きくなっていく。

彼女と女将さんは、目を閉じてその場にうずくまる様に動けなかった。

その時、Aさんののんびりした声が聞こえてきたという。

すみませ~ん・・・・・。

ごめんくださ~い・・・・。

ちよっといいですかね~?

その声に、え?と思って顔を上げると、Aさんは片手をポケットに突っこんだまま

もう片方の手で離れの引き戸を開け、吸い込まれる様にして部屋の中へと

入っていった。

しばらくの沈黙の後、

いや、そう言わずに・・・・。

私にも女将さんにああ言った手前、立場というものが・・・・。

ほんと、強情な人ですね・・・・いや、人じゃないか・・・・・。

ほんと、嫌われますよ・・・・・あっ、もう嫌われてましたね・・・・。

と1人でボケとツッコミを繰り返した後、離れの部屋の中から眩しい光が

彼女達がいる廊下まで届いて来て、思わず目を閉じたという。

そして、その後、再び、離れの引き戸が開いて、そこからAさんが出て来ると、

すみませ~ん・・・・除霊は終わったので、お掃除をお願いします!

それと2人分の寝具と3人分のお料理も!

私は疲れたので、このままお風呂に行ってきますから!

女将さん、約束は守ってくださいね!

そう言って嬉しそうに本館の方へと歩いていった。

結局、その夜は豪勢な料理が食べきれない程出され、夜寝た時も何も怪異は

起こらなかったそうだ。

そして、翌日の朝、帰り際には女将さんからそれなりの金額のお礼を渡されたが

Aさんはすぐにそれを返したらしいが、結局、宿の宿泊費は全てタダにして

貰えたそうだ。

そして、その帰り道、彼女はAさんに尋ねたそうだ。

その凄い悪霊っていうのはしっかりと退治出来たの?と。

すると、Aさんは、

うん…でも、話してみると人間の方にも問題があるし、何よりそんなに危険な

奴ではなかったから・・・・。

だから、浄化はしてないげと、もうあの宿には入っては来られないし、人に悪さも

出来なくしたから・・・・・。

そう言っていたそうだ。


  


Posted by 細田塗料株式会社 at 21:08Comments(44)

2019年05月01日

生きるという事

これは知人女性から聞いた話。

彼女は元々の生まれは四国のとある県なのだという。

大学進学で石川県にやって来て、そのまま金沢市の会社に就職した。

俺とは直接のつながりは無かったが飲み友達の紹介で知り合ったという関係。

何事にも流されてしまう彼女の生き方はよく言えば今風なのかもしれないし、

悪く言えば、自分に自信が無いのかもしれない。

そんな彼女がある時、四国の実家から呼び出された。

かなり疎遠になっていたから彼女としても久しぶりに両親や親戚の顔でも

見よう、という軽い気持ちで帰省したそうだ。

ところが、実家に戻ってみると、そのまま本家の在る隣の町まですぐに連れて

行かれたという。

どうやら、彼女の家系はかなりの資産家として地元でも有名らしく何をするにも

仕来たりだとか本家の意向というものが最優先された。

そして、彼女自身もそんな古い風潮が嫌で、わざわざ大学進学の際、遠く離れた

石川県を選んだ様なのだが・・・・。

本家に連れて行かれた彼女は突然驚くべき事実を告げられた。

それは、どうやら彼女の寿命に関する話だったらしく、唐突に残された寿命が

残り1年しかないと聞かされた。

確かに、彼女の家系では数十年に一度くらいの割合で若くして亡くなってしまう

者がおり、それがその家系の根源に関わる罰のようなものなのだと聞いた

事はあった。

しかし、まさか、その生贄が自分に回って来るとは思ってもいなかった。

両親たちの顔を見ると、申し訳なさそうにしているだけで特に何も言ってくれない。

結局、彼女はその事実だけを告げられると、そのまま半ば強制的に本家から

追い出された。

そして、自分の家族や親戚を巻き込みたくなければ、このまま静かに誰とも

会わずに帰りなさい・・・・。

そう言われたそうだ。

まさに青天の霹靂といった彼女としては、当然そのまま帰るわけにも行かず

何とか親戚や従兄弟に会って相談させて貰おうとしたらしいが、どの家でも

まるで門前払いの様に追い返された。

そして結局彼女はそのまま地元を離れて石川県に帰るしかなかった。

ただ、彼女が自分のアパートに戻り悶々とした日々を送っていると、突然

母親から電話があったそうだ。

電話の向こうからは母親の泣き声ばかり聞こえ、ごめんね・・・・ごめんね・・・

と呟く声だけが記憶に残ったという。

ただ、その電話の際、彼女はある事実を聞かされたのだという。

詳しくは分からなかったが、どうやらその呪いの様なものは犬神様に関係が

在るらしく、本家の当主が生まれてから死ぬまでの間に生贄となる者を1人選び

差し出さなければ、その家系の本家が呪いに満たされ廃れてしまうという事

だった。

だから、本家の人間が一族の中から生贄になるべき人間を選び、分家筋の者は

その決定に従わなければいけない。

本家の決定は絶対であり、逆らう事は許されないことであり、何より本家の衰退は

一族全員の根絶を意味しているそうであり、だから誰もその決定に反対できる

者はいない。

そういう話だった。

彼女は母親の電話の後、しばらくは茫然として部屋から出なかったが、本当に

この現代において、そのような呪術的な呪いが実在するのか?と疑問を感じると

急いで色んな占いや霊能者の元を訪ね回った。

しかし、どの占い師も、そして霊能者も彼女の顔を見るなり、

口籠って何も言えなくなるか、もしくは、はっきりと

貴女には死相が出ています。間違いなく1年以内に命を落とします!

と告げられるだけだった。

彼女が初めて感じる絶望は彼女の生活をどんどん暗く生気の無いものにしていく。

そして、偶然、街中で彼女と出会った俺は、彼女の容姿の変わり様に唖然とし

これはただ事ではないと感じたのは言うまでもない。

そして、彼女と喫茶店に入り彼女から話を聞いた俺は、いつものようにAさんに

助けを求めた。

どうやら寝起きだったAさんはとにかく機嫌が悪かった。

それでも何とか頼み込んで待ち合わせのファミレスに来てもらった。

彼女を見ても、Aさんは、

あっ、ども・・・・・。

と言うばかりで気乗りしないのが伝わってくる。

俺は何とかメニューから好きなものを頼んで良いから・・・という条件をつけて

ようやく彼女の話を聞いてもらう事が出来た。

彼女の話を聞き終えたAさんは、

う~ん。これはかなり厄介な話ですね・・・・・。

確かに死相もはっきりと出てますし・・・・。

もう手遅れというか・・・・・。

それに他の占い師や霊能者からも、その呪いみたいなもので貴女の寿命は

あと残り1年くらいだって言われてるんですよね?

だとしたら、そういう事なんじゃないですか?

それが現時点での貴女の運命という事です。

そう言われて、彼女は明らかにがっくりと肩を落としている。

俺はAさんに、

あのさ・・・・もしも、そうだと下も、もう少しソフトな言い方って出来ないの?

と声をかけるとAさんはこう続けた。

だって、これが現時点でのこの人の運命なんですから遠まわしに言ったって結論は

同じじゃないですか!

それと、貴女に質問したいんですけどいいですか?

そう言われた彼女はハッとして顔を上げた。

すると、Aさんはかなり強い口調でこう言った。

それにしても、どうして貴女はそんなに暗くどんよりとしてるんですか?

まるで生きた屍の様にしか見えませんけど?

そんな顔してると1年生きれるのが1か月になってしまうかもしれませんよ?

残りの人生が1年と言われて長く感じる人もいるかもしれないし、短いと感じる

人も勿論いるんでしょうね?

でも、今の貴女の状態でたとえ1年の寿命が10年に伸びたとしてもしょうがない

のかもしれませんよね?

生きたくても病気で長くは生きられない人もいて、逆に自殺という形で

自分の人生を短く終わらせようとする人もいる。

勿論、自殺は論外ですが、結局、人生なんて大切なのは長さじゃなくて中身だと

私は思ってます。

生まれてから十数年しか生きられない人の中にも充実した幸せな生き方をした方も

いる筈ですし・・・・。

だから、もしも私が貴女の立場ならこう考えますけどね・・・・。

呪いか何か知らないけど絶対にそんなものに振り回されないぞ、って。

自分の為でも良いし他人の為でも良いからとにかく何かをこの世に残す為に

精一杯生きますね・・・・。

1分1秒も無駄にしない様に・・・・。

そうしたら、もっと違うものが視えてくるかもしれませんからね・・・・。

とにかく呪いなんかに振り回されないで残された人生に悔いが残らない様に

生きてみたらどうですか?と。

そこまで聞き終えた彼女はしばらく黙っていたが、突然立ち上がると、

そうですね・・・・そうなのかもしれません・・・・。

そう言ってお辞儀をして急いでファミレスを出ていった。

そして、その場に残されたのは頭を抱えてぐったりする俺と、大量の料理に

目移りしながら凄い勢いで食べる事に没頭するAさんだけだった。

気まずい空気が流れつつその場はそのままお開きになった。

そして、俺は翌日、彼女にお詫びの電話をかけた。

電話に出た彼女は、

あっ、Kさん、昨日はありがとうございました。

それと、今忙しいので、後から電話して貰っても良いですか?

と元気な声で言われ、急いで電話を切った。

そして、元気な声を聞けた俺はその後彼女に電話をかける事はしなかった。

ただ、周りからは彼女に関して色々な噂が耳に入って来た。

ボランティア活動に精を出している・・・・。

仕事をとても頑張っている・・・・。

幾つかのサークルに参加して余暇を楽しんでいる・・・・。

婚活に邁進している・・・・。

犬を飼い始めた・・・・。

それらはとても以前の彼女からは想像も出来ないことであり、そうしている事で

彼女は以前とは違い、とても輝いて視える、と聞かされた。

そんな話を聞いてから、もう既に1年半以上が経過している。

そして、彼女が死んだかといえばNOである。

今でも一層充実した日々を過ごしているようだ。

そして、Aさんに会う機会があった俺はこう聞いてみた。

あのさ・・・あんな冷たい態度とってたけど、本当はその呪いみたいなものを

断ち切ってあげたんでしょ?と。

すると、Aさんは一瞬、ポカンとした顔をしたから大笑いしてこう言った。

Kさんって、本当におめでたいというか幸せな人ですよね?(笑)

そんな簡単に呪いなんか断ち切れるわけないじゃないですか・・・と。

そう言われた俺は、

それじゃ、やっぱり寿命が1年しかないっていう呪いは単なるデマだったの?

と返した。

すると、Aさんは、

いえ、きっとその地方に昔から伝わっているものですから、きっと本物の

呪いだと思いますよ・・・。

だから、あのままだったら、彼女もきっと1年と持たなかったのかもしれませんね。

でもね…私はこう言ったんですよ。

「現時点での運命」だと・・・・。

運命なんてその人次第でいくらでも変えられるんです・・・・。

人が純粋に人生を楽しもうとする力は、呪いにも勝るということです・・・。

呪いか何か知りませんけど、そんなものに人生を決められたたまるかって

事ですよ!

だから彼女がまだ生きているのだとしたら彼女は呪いに勝ったんですよ!

知らないうちに自分の力で・・・・。

人間にはそれだけの力がしっかり宿ってますから・・・。

皆が気付かないだけで・・・・・。

だから、もう大丈夫ですよ!

彼女は間違いなく長生き出来ますから!

そう言われ、俺は思わず納得してしまった。

しかし、その後すぐに疑問が浮かんだ。

これだけ立派な事を言ってのけるAさんなのだが、Aさんこそ、もっと真剣に

一生懸命に生きるべきではないのか?と。

まあ、Aさんには、どんな聖人のありがたい言葉もきっと届かないとは

思うのだが・・・・・。
  


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2019年04月30日

令和 5月場所(交流広場)

5月1日~ご自由にお使いください。  


Posted by 細田塗料株式会社 at 23:33Comments(72)

2019年04月30日

勘当・・・・。

これは知人女性から聞いた話。

彼女は現在、シングルマザーとして忙しい日々を送っている。

何事にも手を抜かず、そして他人の意見よりも自分の信じた道をしっかりと

進む彼女だから、周りからの信頼も厚いものがある。

しかし、そんな彼女の性格のせいか、父親との仲は昔から良くなかったという。

大学生になった頃からしっかりと自分の眼で物事を捉え把握し、自分の判断

だけを信じる様になった彼女にとって、父親からの意見やアドバイスは

彼女の耳には届かなかった。

父親としても勿論、彼女の身を案じて色々とアドバイスや叱責を行っていたの

だろうが、その頃の彼女にとって、それは自分の生活スタイルを妨げる

雑音としか聞こえていなかったようだ。

そして、彼女が転職を決意した時に大きな決裂が生じ、更に彼女が結婚を

決めた時、彼女と父親との間には大きな溝が生まれてしまう。

結局、彼女が自分の意思を貫き通す事になったのだが、それは事実上、父と娘

という関係を完全に途絶えさせる勘当という結果を招いてしまった。

父親が欠席した結婚式、勿論、大々的には出来なかったが、それでも何とか

こじんまりとした結婚式を挙げる事は出来た。

その結婚が正解だったのかは分からないが、その後、男の子を授かってすぐに

彼女はその男性と離婚した。

そして、彼女は女手一つで小さな赤ちゃんと二人暮らしを始める。

しかし、働きながらの子育てはあまりにも大変であり、彼女自身、何度か

実家に助けて貰いたいと思ったそうだが、やはり自分が勘当状態である事を

思い出し、何とか1人で乗り切ったそうだ。

そうして、子育てが大変な時期を何とか乗り切り、仕事にも活気が出て来ると

元々の彼女の性格なのか、実家という存在を半ば忘れた様な生活を送る様になる。

もっとも、彼女自身、実家の事を考える度に辛くなってしまいそんな感情から

逃避する様に敢えて実家の事は思い出さないようにしていたそうなのだが。

実家に顔を出さない様になると母親や兄弟たちとも疎遠になった。

それでも、彼女は息子を育てる事で精一杯だったから、寂しさというものは

それ程感じなかったという。

そうして月日は流れていった。

そして、息子が大学に入り1人暮らしを始めた頃にそれは起こった。

その頃の彼女は仕事を終えると、そのまま誰もいない家に帰り、1人で

食事をしながら缶ビールを1本だけ飲むのが唯一の楽しみだった。

実際、その頃の彼女の収入からすれば、仕事帰りに外で食事したり飲んで

帰るくらいの余裕はあったが、やはり出来るだけ多くの仕送りを息子にして

やりたかったから、彼女自身は極力、節約した生活を送っていた。

そして、缶ビールを飲みながらテレビを消してラジオを聞いていた時に

突然、玄関のチャイムが鳴った。

時刻は午後10時を回っていた。

こんな遅い時刻に誰?

そう思い、玄関まで行くと鍵を掛けたままの状態で、声を掛けた。

はい・・・どちら様でしょうか?

すると、聞き慣れているがとても懐かしい声が聞こえ、思わず彼女は茫然とした。

久しぶりだな・・・・・ちょっと近くまで来たものだから・・・・。

そう答える声は紛れもなく彼女の父親の声だった。

彼女は慌てて聞き返した。

え?お父さん?・・・・どうして?

そう言うと彼女は慌てて玄関のカギを開けてドアを開いた。

いくら疎遠になっているとはいえ、父親が病気で入院しているのは当然

彼女の耳にも入っていた。

しかし、そこには間違いなく父親が立っていた。

久しぶりに見る父親はかなり痩せて年老いて見えた。

彼女は驚きの表情を隠せないまま、こう言った。

本当にどうしたの?突然やって来るなんて・・・・・。

すると、父親は小さな声で、

いや、久しぶりに顔が見たくなってな・・・・・。

そう呟いたという。

少し落ち着いた彼女は父親に向かって

あの・・・せっかくだからお茶でも飲んでいく?

と聞くと父親は静かに首を振ったという。

しばらくの間、何も会話の無い時間が流れた。

お互いに何も話さず、お互いの顔を見ているだけの時間。

ただ、そうしていると彼女自身はとても不思議な気持ちになったという。

どうして、私はこの父親をずっと敬遠してきたのだろうか?

こんなに歳をとって・・・・。

そして、私を見つめる目は明らかに私を心配し、そして愛してくれている者の

眼だったから。

彼女の眼からは知らないうちに大粒の涙がこぼれていた。

あの・・・お父さん・・・わたし・・・・。

彼女がそう言おうとした時、その言葉を遮るように、そして優しい声で父親は

こう言った。

元気でやっているのか?

何か悩みは無いのか?

その言葉は過去にも父親の口から聞いた言葉ではあったが、何故かその時は

素直な気持ちで聞けたのだという。

ああ…お父さんは本当に私の事を心配してくれているんだ・・・・・と。

そして、最後に、

お前は昔から強い子だったからなぁ・・・。

だから、自分の信じた道をいきなさい・・・・。

結局はそれが一番幸せな人生なのかもしれないもんなぁ・・・・。

そう言ったという。

そして、急に父親は深く彼女にお辞儀をすると、

突然、すまなかったな・・・・・。

私はもう行かなくちゃいけない・・・・・。

でも、もしも叶うものなら、たまにはワシの事も思い出してくれよ・・・。

そう言って少しだけ笑うと、安心したような顔をして、そのまま玄関から

出ていった。

ほんの数秒、彼女は茫然としていたがすぐにハッとして我に返り急いで

外へ出て父親を探した。

しかし、父親の姿はどこにも見つけられなかったという。

いったい、何処に消えちゃったんだろう・・・・・。

そう思いながら再び家の中に入ると、まるでそれを待っていたかのように

家の電話が鳴ったという。

慌てて電話に出ると受話器の向こうからは母親の鳴き声で父親の死を伝えられたという。

え?なんで?今まで確かにうちに居たのに・・・・・。

そう考えたが、すぐに彼女は確信したという。

きっと父親が最後の別れを伝える為にわざわざ此処へ来てくれたのだ・・・と。

その後、彼女は父親の葬儀にもしっかりと参列し、母親や兄弟達との関係も

修復されたという。

そして、母親や兄弟達から、父親がいつも彼女の心配ばかりをしていたのだ、

という話を聞かされて彼女はまた大泣きしてしまった。

その時になって初めて、父親の気持ちが彼女には痛いほどよく分かったという。

もっと親孝行すれば良かった・・・・。

彼女は心からそう思った。

しかし、彼女の後悔は決して無駄ではなかったようだ。

どうやら生前の疎遠状態を打ち消すかのように、彼女の周りではいつも父親の

気配を感じるのだという。

それは気のせいとか言うものではなく確信として、すぐ傍で父親が彼女の事を

見守ってくれているのが身に染みて分かるのだそうだ。

だから、彼女は毎日、1人暮らしのはずなのに、まるで父親に話しかける様に

しながら楽しく生活しているそうだ。
  


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2019年04月28日

最恐の心霊写真・転

過去、2回に渡り禁忌の心霊写真に着いて書いてきた。

正直なところ、その話にはもう関わりたくなかった。

思い出すたびに憂鬱な気分になってしまうから。

ただ、最近、俺の身辺で起こっている事。

そして、最も危惧していた結果を知った今、俺にはどうしてもその写真のその後、

というものに着いて書かなくてはいけないのだと思った。

以前にも書いたのだが、その心霊写真を見て、何も起こらず無事でいたのは、

写真を撮影した彼の弟(俺の従兄弟)と俺だけだった。

そして、彼の弟とはいつも、こんな話をしていた。

俺とお前が無事でいる限り、呪いとかそういう非科学的なものは完全な事実を

伴わない偶然として説明する事が出来るんだから、頑張ろうな、と。

そして、結論から書くと、その彼の弟が亡くなった。

勿論、不慮の事故でも突然死でもない。

悪性の腫瘍が出来てその進行をどんな治療も止められなかった。

それは医学的には、良くあることなのかもしれない。

しかし、会社の健康診断で腫瘍が見つかってからが早過ぎた。

確か、腫瘍が発見された時にはステージ2だと伝え聞いた。

ステージ2ならば、きっと回復してくれる・・・・・。

そう思って胸を撫で下ろしたのも束の間。

それから半年も経たずに彼の母親から訃報が入った。

勿論、俺は彼の葬儀には出席するつもりだった。

彼の兄の葬儀には出席できなかった無念もあったので、どうしても東京へ行き

彼とそして彼の兄の二人に手を合わせたかった。

しかし、やはり今回も俺は呼ばれなかった。

親戚達は葬儀に参加出来たのだが、今回は俺一人だけが除外された。

叔母にその理由を尋ねると、

危険すぎるから・・・・。

もう誰も死んでほしくない・・・・。

そう言われた。

それでも納得出来なかった俺は、しつこく叔母に頼み込んだ。

どうしても東京に行って葬儀に参列させてほしい・・・・と。

すると、叔母は重い口を開いた。

どうやら、彼が亡くなる前から、やはり怪異が続いたらしい。

毎晩、病室の窓をコツコツと突かれるような音が聞こえ、朝に確認すると

しっかりと細すぎる4本の指の跡がベッタリと付着していた。

深夜、病室へと続く廊下をみすぼらしいほどボロボロの着物を着た巨大な頭の女が

前後に首を振りながら足音もなく歩いていくのを患者や看護師を含め

沢山の者が目撃していた。

叔母が病室に泊まり込んだ時には、病室の窓に映り込む大きな頭の女

が朝になるまでずっと貼り付いていた。

そして、具合が悪くなりナースコールを押すと、訳の分からない下品な笑い声が

聞こえてきた。

そして、彼が死ぬ直前には、彼は半狂乱になり、

この部屋にあいつが来ている!

誰か助けて!

殺される!

と叫び続け、彼は看護師や医師たちに押さえつけられる様にして息を

引き取ったのだと。

そして、こう続けた。

今度、こっちにあんたが来たら、間違いなくあんたが狙われる様な気がするのよ!

おばさんはもうこんな年齢だから死んでも構わないけど、あんたは奥さんや

娘さんの為にももっともっと長生きしなきゃ!

そう言われて返す言葉が見つからなかった。

そして、最後に叔母はこう言った。

私が死ぬ時にはきっちりとあの女が写り込んだ写真を一緒に燃やして貰うから。

私はもう家族全員を亡くしちゃってるから、もう怖いものは無いのよ!

だから、せめて私が死んであの写真を一緒にあっちへ連れていくまでは此処には

絶対に近寄ってはダメ!と。

そうまで言われてしまうと俺としても叔母の意向を聞き入れるしかなかった。

そして結局、俺が参列できないまま彼の葬儀はつつがなく執り行われた。

そう書きたいところだったが、実は彼の葬儀は簡単なものではなかったと聞いた。

通夜では雷鳴が轟き、通夜会場の照明が全て消え、再び明かりが点くまでの間、

通夜会場は得体の知れない囁き声に覆われた。

そして、その声を聞いて泣きだす者、狂ったように会場を走りだす者などかなりの

パニックとなった。

そして、翌日の葬儀の際も、突然窓ガラスが割れたり、献花台のロウソクが大きく

燃え上がった。

そして、最後のお別れとして棺桶の蓋を開けて故人である彼の顔を見た者は

その場で悲鳴をあげた。

安らかだったはずの死に顔は、恐怖で歪み、そして強張り、言い表せない程の

苦しそうな顔になっていたという。

その後、霊柩車のエンジンが掛からなかったりタイヤが突然パンクするなどの

怪異は起こったが何とか彼の遺体を荼毘に伏す事は出来たらしい。

そして、葬儀に参列した俺の両親から聞いた話では、通夜の夜が明けるまで

ずっと葬祭会館の中で、うめき声の様なものが聞こえ続けていたらしく、

親戚の誰一人として控室から出る事が出来なかったという。

彼の葬儀は何とか終わり、いわくつきの写真は叔母が道連れにしてあちらの世界へ

連れていくのだという。

後は俺が東京に近寄りさえしなければ・・・・・。

しかし、この呪いともいえる呪縛はそれほど簡単なものではなかった。

実は彼が無くなったという訃報を受け取る少し前から俺の周りでも説明が

つかない怪異が発生しているのだ。

夢の中にあの巨大な顔の女が出てきて俺を見て笑っていた。

しかも、毎晩同じ夢にうなされて起きてしまう。

更に外出から帰ると裸足らしき足跡が家の中へと続いていた。

そして、その足跡を追っていくと、どうやらそれは俺の部屋の前で消えていた。

更に、仕事で電話している時も、かなりの頻度で俺の声の他に女らしき呻き声が

聞こえているようだ。

お清めの塩を家の周りに置いても、すぐに蹴散らされた様に塩の山は

崩れていた。

そして、決定的だったのは街中で俺の見かけた知人が俺に声を掛けようとした

らしいのだが、すぐに止めたそうだ。

どうやら、その時、俺の真横にはニタニタと笑った口元とギラギラした眼を持った

巨大な顔の女が体を寄せる様にして歩いていたそうだ。

勿論、その友人には霊感など皆無なのは知っていたから、もしかしたら見間違い

なのではないか、と思っていた。

しかし、時が経つにつれ、俺の横を一緒に歩いている女の姿を目撃する者が

続出した。

俺の顔を、その大きな顔で覗きこむ様にして歩く女の姿を・・・・。

そして、それはあのAさんも同じだったようだ。

ある時、Aさんから電話がかかって来た。

あの・・・・Kさん、今日、街中で変なのと一緒に歩いてましたよね?

もしかして、それに気付いてます?

そう言われて俺は、

もしかして、Aさんも視たの?

だったら何とかしてよ・・・。

冗談抜きにしてヤバい奴みたいだから・・・。

そう返した。

すると、Aさんは、

あのですね・・・・何でもかんでもそう簡単に片付けられると思わない方が

良いですよ・・・。

ずっと昔から恨みの念だけで現世に彷徨っていた怨霊です。

もう恨みを晴らすとか、そういう事ではなくて、とにかく他人を呪い殺す

事にしか興味がありません。

そうすれば、自分の霊力がいくらでも強くなるのを知っているから・・・。

まあ、事情は聞かなくても大体分かります。

今回ばかりは運が無かったとしか言えませんね。

本当なら私もそんな奴なんかすぐにでも滅したいところなんですけど、

今回の相手はそんな簡単なものじゃありません・・・。

その女に何があったのかまでは、はっきりとは分かりませんがかなりの理不尽な

殺され方をしたみたいですね。

だから、憎悪と怒りと恨みの念の塊があの女です・・・・。

しかも、愉快犯的な部分もあります。

私と姫ちゃんが、Kさんからあの女の恨みの念を引き剥がす事は勿論出来ますし、

Kさんに近づけなくさせる事も可能です。

でも、そうすると、あの女は誰か他の人の所へ行って、すぐに同じ事を繰り返します。

きっと、もっと沢山の方が呪い殺されてしまうと思います。

だから、私も真剣に考えました。

そして、出した結論は、

Kさんなら命を取られるまではいかないだろう・・・。

というものでした。

勿論、Kさんの力ではなくKさんの守護霊の加護のおかげて・・・・。

それに、私も何もしない訳ではありませんから・・・。

あの女がこちらに来られない様にとびきり強い結界を張らせて貰いました。

勿論、私と姫ちゃんの力を合わせて・・・・。

だから、Kさんからこの結界の外に出ていかなければ大丈夫です!

簡単に言えば、Kさんは東京には行ってはいけない、という事です!

これからも、あの女の姿を見たり聞いたりする事はあると思いますが、それはあくまで

実体や霊力を伴わない蜃気楼の様なものだと思ってください。

そう言われた。

そして、俺はすぐにこう返す。

いったい、いつまで俺は東京へ行けないの?と。

すると、Aさんは、

そんなに長くはかかりませんよ!

あの女は私に姿を見られていますから・・・。

そうですね・・・・。

既に、それなりの苦痛は感じている筈ですから、数年もすれば・・・・。

それを聞いて、俺は、

数年?数年も東京へ行けないって事?

あの…仕事の出張もあるんだけど?と呟く。

それを聞いたAさんは、

あのですね・・・・行けば本当に死にますよ?

きっと東京には、いまだにKさんの親戚の方が居られるんでしょうね?

でも、それはKさんを東京へ引き寄せる為の罠ですから・・・。

逆に言えば、Kさんが東京に近づいてとり憑かれない間は、その方も無事なんだと

思いますよ。

だって、その方はKさんを引き寄せる為の餌なんですから・・・。

ね?分かりましたか?

仕事と命とどっちが大切なんですか?

と冷たく言い放つ。

そして、俺は最後にこんな質問をした。

あのさ・・・あの女にその結界を破るだけの力は絶対に無いの?

もしも、結界を破ってこっちに来たらどうすれば良いの?と。

すると、Aさんはにっこりと笑って、

そこまで、あの女も馬鹿じゃないと思いますよ!

現に今までこちらには近寄って来た形跡すらないし・・・・。

きっと、私や姫ちゃん、そしてKさんの守護霊の力を十分認識してるんでしょうね!

それに・・・・。

万が一、結界を破ってこちらに来たとしても安心してください。

此処には、私と姫ちゃんがいますから・・・・。

私達の力・・・信じてます?

そう言われ大きく頷くしかなかった。

現時点で、あの女の姿を見る事は無くなったが、それでもあの写真はいまだに

叔母の家にしっかりと保管されている。

その事を考えると、手放しで安心できる日は当分訪れそうにもない・・・・。

最後に、この話は起・承・転・結という四部構成とさせてもらった。

現時点では、四部構成の結に当たる話はまだ起きてはいない。

このまま、書かずに終わってくれるのか・・。

それとも、何かが起きて、結末としての”結”の部分を書かなくては

いけなくなるのか・・・・。

そして、俺がこのまま無事に生き続けられるのか・・・・。

それは誰にも分からない事だが、亡くなられた方達の魂が安らかに居られる事を

願わずにはいられない。


  


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2019年04月28日

最恐の心霊写真・承

今回は、以前、書かせて頂いた"最恐に危険な心霊写真の話・・・の続編を

書いて行こうと思う。

何故、書こうかと思ったといえば、あのブログで書いた従兄弟が1月に

亡くなったから・・・。

自分よりも4歳年上で、性格も明るく、京大出身なのに偉ぶる事も無く、

いつも笑っていた記憶しか無いくらい、素敵な従兄弟だった。

勿論、1月に開かれたお別れの会へ出席する為、東京へ行って来た。

東京といっても23区ではなく、比較的のどかな土地。

そして、そこで、彼の母親(自分の叔母)から色々な奇怪な話を聞かされたのだ。

そもそも、彼の末期ガンは、不思議な場所から発生したそうだ。

食道の裏側にあたる場所、つまり首の後ろ側。

そこから全身にガンが転移して死亡したのだと聞かされていた。

そして、彼の死に顔の写真を見せられた時、本当に驚いてしまった。

こんなに浮腫み、肥大することがあるのか、と思えるほど大きく腫れあがった

その顔は、正直、ある物を自分に思い出させた。

そのあるモノとは、彼が誤って写してしまった心霊写真に、はっきりと写り込んだ

不自然なほど大きな顔の女だ。

その不気味で巨大な顔は今でも忘れてはいない。

実は、彼が亡くなった時、通夜や本葬には、親戚が誰一人呼ばれなかった。

そして、しばらくしてからお別れの会が開かれ親戚一同が会した。

その時、どうか見てやって欲しい、と言われ親戚が見せられたのが彼の

死に顔が写った写真だ。

通常、死に顔を写真に収める事は禁忌とされ、行わないのが常識だ。

それ禁忌を破ってまで、親戚の全てを通夜や葬儀には呼ばず、あえて

不吉といわれる死に顔を写真を見せたのか?

正直、俺には全く理解出来なかった・・・・・。

だが、お別れの会で、叔母に会い、直接その理由を聞いてすぐにその真意が

理解できた。

そして、それと同時に背筋に強烈な寒気が走った。

全ては親戚、特にあの写真を見て、いまだに大怪我も負っていない俺を

危険から守る為であった。

彼は、亡くなる数日前から、病院のベッドで常に悪夢にうなされていた。

病院では、何かを恐れるように、1人部屋は絶対に避け、4人部屋か、ICUに居る事

が多かったらしい。

そして、寝てはうなされて、潰れた声で、叫ぶ声を同じ病室の患者さんや看護師達

が聞いていた。。

まるで誰かに必死で誤っているかのような叫び声を・・・・・。

それだけなら、ただの悪夢なのだが、相部屋の他の患者さんがカーテンに映る異様

に大きな頭の人間の影をみたり、ICUでも、それに似たモノを何人もの

看護師達が見たそうだ。

そして、さすがに気味悪くなった病院側は彼を強制的に、離れた個室

へと移動させた。

その頃になると、彼が寝ているベッドの上の天井部分に、巨大な顔に

見えるものがはっきりと浮き出ていたそうだ。

彼は絶望の中で恐怖と闘いながら、それでもしっかりと自分が死んでからの

事を考えていたのかもしれない。

彼は亡くなる前日に自分の母親に、こう頼んだという。、

あいつは、俺がちゃんとあっちの世界に連れて行くから・・・・。

だから、あの写真、俺の棺おけに入れて一緒に燃やしてくれ・・・・。

最後の頼みだから・・・・絶対に聞いてほしい・・・・と。

母親は彼にそう頼まれたものの、どうしても頷く事が出来なかったという。

そして、彼にはっきりと返事を出来ないまま、翌日には彼は死んだ。

苦しみながら、そして何かに脅えるような凄まじい死に顔で・・・・。

医学的には彼の死に不審な部分は無く、彼はその日のうちに実家へと戻る。

やせ細ったご遺体として・・・・。

彼の両親、そして彼の弟が葬式の段取りで、自宅に集まり色々と

話し合いをしていた。

あの不吉な写真の事もあったので、その時既に家族の間では葬儀には

親戚を一切呼ばない事に決めていた。

ひっそりと葬儀を執り行う事に決めたらしいが、人望のあった彼だから、
彼の友人達も、何か出来る事は無いか、と手伝いに集まって来てくれた。

勿論、彼が撮影した曰くつきの心霊写真の事は知っていたがそれでも

何とか彼の残された家族に力を貸してあげたかったのかもしれない。

そして、家の中が葬儀の準備で騒がしくなった時、それは始まった。

まず、周りの雑踏が消え、嘘のような静寂な空気に包まれた。

そして、その場に居た者全員が強い耳鳴りを感じる。

その時、突然、玄関のチャイムが鳴り響いた。

その場に居た全員が凍りついたように固まった。

それでも母親はインターホンで、
"
どちら様ですか?"

と問いかけた。

しかし、返事は無く、再びチャイムが鳴らされる。

今度は、彼の弟がインターホンで声を掛けたが、やはり返事は無かった。

そこで、叔母が玄関ドアの覗き窓から覗き込むと、そこから見えたのは、

大きな眼。

とても人間の眼とは思えない程の巨大な黒い眼だった。

相手も、覗き窓から中を見ようとしていたのか、とにかく驚いた母親は

大きな悲鳴をあげてしまう。

それと、同時に叔母も、その瞬間、以前彼から見せられたあの写真の

不気味で巨大な顔を思い出した。

あの写真を見た直後、原因不明の交通事故にあった叔母だからこそ、アレを

忘れる事はなかったのだろう。

今にして思えば、叔母の事故も信号機付きの横断歩道で突然、後ろから

突き飛ばされたものだった。

そして、叔母を轢いたドライバーも、気付いて停止しようとしたが、ハンドルも

ブレーキも利かなかったそうだ。

そして、助けを求めて歩道を見た時、其処には、まさにあの写真に写り込んだ

大きな顔の女が立っていたのだから・・・・。

叔母は、すぐにこう思った。

アレが、死んだ息子を取り返しに来た、と。

死んでまでも息子はあいつに苦しめられ続けるのか?と。

静まり返る家の中で、固まっていた者達も、彼の母親の尋常ではない様子に

自分を奮い立たせ家中の色んな窓から玄関付近を確認しようとした。

そして、彼らの全てはそこで絶句し震えが止まらなくなった。

そこで彼らは見てしまった。

異常に大きな頭の女が玄関の前に立っている姿を。

顔が丸く膨れ伸び、その大きさは体の半分以上あったそうだ。

勿論、彼らは彼が撮影してしまった心霊写真など見てはいなかった。

しかし、玄関に立っているソレを見た時、それがすぐに人間ではないのだと

確信した。

そして、それと同時に彼らも同じように感じたのだという。

アレは、彼の遺体を捜しているのだ、と。

その後は、皆、声を殺して、彼の姿が、アレに見つからないように

遺体を持って家の中を移動し続けたそうだ。

その間も、アレは、別の部屋の窓を叩いたり、窓から覗き込んだりと

彼の遺体を捜すのに動き回っているようだった。

そして、その状態はそれから一晩中ずっと続き、朝が来て明るくなると消えた。

もう、形式に拘っている場合ではないと悟った彼らは、その日の明るいうちに

家族と僧侶だけで通夜と本葬を済ませてしまった。

前夜の事も有り、通夜と本葬は、かなりの数の僧侶が力添えしてくれたそうだ。

しかし、その間も、鳴る筈のない電話が鳴ったり、変な声が聞こえたり、

また急に天候が崩れ雷鳴が鳴り響くなど怪異が続いた。

そして、何とか、無事、葬儀を終え、沢山の僧侶に守られながら斎場へと
向かった。
いよいよ、斎場で彼を火葬する際、叔母は、悩んだ挙句、彼の

生前の頼みを守らなかった。

自分と一緒にあの写真も燃やして欲しいという彼の頼みを・・・・。

確かに、息子が犠牲になって、そして死んでからもアレにつきまとわれると

思うと、母親としては当然の判断なのだろうし、誰にもそれを責める事は出来ない。

ただ、彼のお別れの会の後、俺にお守りを渡しながら彼の母親に言われた

言葉がずっと耳に残って離れない。

あの写真を見てしまって、いまだに、何も大怪我も何も起こっていないのは

お前だけなんだから・・・・。

とにかく、このお守りを常に携帯して気をつけて頂戴ね!

そしてあの子の分まで幸せに暮らしてね、と。

自分でも当然分かっていた事なのだが、さすがに面と向かってはっきりと

言われてしまうと強い寒気がした。

これで、本当に終わったのか、それとも、まだ不幸が続くのかは誰にも分からないが

今もあの写真は、叔母の家で、誰の目にも触れない場所に保管されている。

どうやら叔母は自分が死んだ時にあの写真を一緒に連れていくつもりらしい。

だから、きっと大丈夫だ、と自分に言い聞かせている。

ただ、最近、ふとアレが夢に出てくることがあるのだ。

写真を、たった一度しか見たことのない自分が、彼の写した写真の風景の中で

アレと対峙しているのだ。

二人っきりで・・・・。

しかも、その女の巨大な顔はまっすぐに俺を見ていた。

夢はあくまで夢だろう・・・・・。

そう思いたいのだが、どうして俺だけがいまだに厄災に見舞われていないのか、

思い当たる節は無い。

今となっては、あの写真の話を、これで終わりに出来る事を祈るのみだ。


  


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2019年04月28日

最恐の心霊写真・起

これは、本当に危険な写真の話である。

自分のの従兄弟は、東京のテレビ局で映像の仕事をしている。

東京の従兄弟というのは二人兄弟で共に国立の京都大学を卒業し

親戚の中でも一目置かれている存在であり、弟は某メーカーの研究室に

勤務し、そして兄はといえば、何故かテレビ局で働いているという

変わり者だ。

先日、その兄(従兄弟)がガンで余命が数ヶ月という連絡を受けた。

突然の連絡にとても驚かされたし、同年代ということもあり、良く一緒に

遊んでいたからその悲しみは言葉では言い表せない。

そして、その時、ふと、この話を思い出した。

彼は、昔からカメラマンに憧れ、ずっとその目標に向かって頑張っていた。

そんな彼であるから、どんな時、どんな場所でも、常にカメラを持ち歩きシャッター

チャンスを窺う癖がついていたのだろうが、それが災いを招いてしまった。

ある時、いつものように自然散策をしながら被写体を探していると、とても

大きな古い木を見つけた。

そして、アングルを色々と試しながら数枚の写真を撮影した。

勿論、被写体はあくまで大きな古い大木だったのだが、その時偶然にも、

かなり古いと思われる無縁墓地を撮影してしまう。

そして、これはその後調べて分かった事らしいのだが、その無縁墓地は

鑑定してもらった結果、おそらく江戸時代以前の物ではないかということ

だった。

ただ、撮影した時には大木の傍に無縁墓地があった事など全く気付かなかった。

それくらいに目立たない小さな墓が朽ちかけた墓標とともに其処に存在していた。

そして、それに、気付いたのは、現像し、プリントをした時だったという。

目視で気付かなかった無縁墓地にどうして気付いたのか?

それは、あまりにも、はっきりと、そして恐ろしい顔でこちらを睨む女の霊が

写真に写りこんでいたからなのだという。

その霊はほぼ全身が写り、顔だけがアンバランスに大きかった。

そして、着ている着物の模様まで分るくらいに、はっきりと写っていた。

はっきりと写っていたと書いたが、その写真に写る女の姿は細部まで鮮明に視える

反面、体が透き通ったようにうっすらと背景が透けて見えていた。

そして、巨大な顔からはおぞましいほどの恨みの念が見る者を圧倒した。

その写真を大きく引き伸ばした彼は、自分が撮った写真に唖然とし恐怖した。

しかし、その後、彼はスクープ写真を撮ったかのように、嬉々として回りの人間に

その写真を見せた。

彼にとって、それは軽い遊び心だったのかもしれない・・・・・。

だが、その結果、現時点で合計3人が死んでいる。

更に、他の者も、撮影した彼を含め、死んでこそいないが、何らかの

大怪我をした。

ある者は、遺書も無く、ビルから飛び降り、ある者は、列車に飛び込み、また、ある者

は街中を歩いている時に突然暴走した車にはねられて即死した。

そして、撮影した彼自身も不慮の事故で、一時、生命も危ぶまれるほどの大怪我

を負った。

不慮の事故と書いたのは、いつもの様に自分の車で会社に向かっていた

彼の車が突然ブレーキが効かなくなり踏んでもいないアクセルが反応し

加速したままガードレールに激突したから・・・・。

更に、写真を見せられた他の者も皆、入院するほどの大怪我をした。

全てが明らかに不慮の事故だった。

そして、彼を含め事故に遭い大怪我をした者達は皆、あるモノを見たという。

それは一度見たら決して忘れる事の出来ないあの大きく不気味な女の顔。

そして、彼自身も写真に写っていた顔と同じ顔が、見えた途端、車のコントロール

が全く効かなくなったり気が付いた時には病院のICUのベッドで寝ていた。

そして、階段から落ちて怪我をした者もアパートの部屋が全焼し大火傷を

負った者も、間違いなくその直前にあの女の顔をはっきりと目撃していた。

こうなると、もう、疑う余地は無かった。

このまま、この写真を持っていたら、必ず殺されてしまうと悟った彼は、

知人の紹介で、ある寺に、写真とネガを持ち込んだ。

それを見た、僧は驚きと恐怖が入り混じった表情になり、しばらく考え込んだ後、

弟子達と共に、寺自体に大きな結界を張り、その中で、7日間かけて、その写真

とネガを一時的に処理する事が出来たという。

そして、彼に、事の重大さ、そして、完全には、成仏させられなかった事を告げ、

二度と写真を撮影しない様に強く忠告した。

そして、彼は、カメラマンの道を断念し、今の仕事に就いている。

何年かに一度位しか、会えないが、いまだに写真は決して撮影していないそうである。

そして、こんな事も言っていた。

テレビの世界なんて、お前達が考えている以上に、嘘と虚飾の世界なんだけどな。

テレビでやっている事の殆どは、ヤラセ同然のものばかりだ。

でも、そんな世界だから、尚更、本当に危険なものが映像や写真に写りこむ

事があるんだ。

でも、たぶん、これはこの世界の慣習なんだろうけど、そういう本物っていうのは

決して表に出さないから一般の人が目にする事はない。

だって、そんなものを放送したら、世の中全体がパニックになってしまうから。

でもな、俺が知っているだけでも、沢山あるんだよ。

それこそ数え切れないほどの本物の映像や写真が・・・・。

そして、あの心霊写真もそういうものの一つなんだ。

ただし、半端じゃなく強い怨念が宿っているらしいから、別格かもな。

だから、視聴者は、テレビの嘘の世界だけを見せられて、本当に写りこんだ

真実とか恐怖っていうものを見ることは絶対にないんだよ。

何なら、一つ位なら、コピーして送ってやろうか?と冗談交じりに言われたが、

勿論、二つ返事で断ったのは言うまでもない。

そして、その彼も余命数ヶ月だという。

事故ではなく病気・・・・・。

ただ、自分には、あの写真との因果関係を疑わざるを得ない。

何故なら、彼から送られてきた近況の画像に、巨大な顔の女がはっきりと

写りこんでいたのだから。

そして、実はその写真を見てしまったのはその他にもいた。

それは、俺の母親とそして俺自身。

ちなみに俺の母親は偶然なのか、道路脇の側溝に自転車ごと突っ込んで

大怪我をしている。

そして、現時点で大きな怪我も病気もしていないのは彼の弟と

俺だけということになる。

ちなみに、彼の父親はその写真を撮影してすぐに突然の病気で他界している。

残された3人に何かが起こるのか、それとも起こらないのか・・・・・。

それは今のところ、誰にも分からない。

  


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2019年04月20日

3人の列

これは知人から聞いた話。

彼は良く仕事を自宅に持ち帰って夜遅くまで資料を作る事が多かったそうだ。

会社で残業するよりもかなり効率が良かったらしい。

そんな彼の楽しみは夜中に外の景色を見ながら熱いコーヒーを飲む事。

そうしていると色んな疲れがすぐに吹き飛んだ。

窓の外から見えるマンションの明かり、そして道路を走る車。

そんな当たり前の風景が、真夜中のコーヒーと共に観ると、とても 新鮮に映った。

しかし、今では彼は家に仕事を持ち帰らないし、何より夜には窓やカーテンを

決して開けないのだという。

そして、これから書くのがその理由だそうだ。

その夜も早めの時刻に退社した彼はそのまま自宅に帰りシャワーを浴びると

軽く食事を済ませ、いつものように持ち帰った資料を持ってパソコンの前に 座った。

そして、カーテンと窓を開け、外から聞こえてくる音をBGMに資料作りに 取りかかった。

その夜は妙に仕事が捗った。

気が付けば時刻は既に午前1時を回っていた。

彼は、一息入れようといつものように熱いコーヒーを入れるとマグカップを

持ったまま窓へと近づく。

その日はやけに車が少なかった。

いや、確かに仕事をしていた時から気が付いていたが、その夜に限って

全くと言ってよいほど車が通らない。

彼の窓から見える道路は国道であり昼間にはかなりの渋滞が発生する場所だった。

それなのに、彼が仕事を始めてから車が通る音は一切聞こえてこなかった。

まあ、こんな夜もあるか・・・・・。

そう思い、彼は遠くにそびえるマンションの明かりに目を移そうとした時、

突然、意外なものが目に止まった。

それは不思議と目を惹きつけられる人の列だった。

白い服を着た3人の人が整然と列をなして歩道を歩いていた。

若い女性が一人、そして年老いた老婆が一人、そして小さな男の子が一人。

一見するとどんな関係の3人なのか想像できない組み合わせの3人が

真夜中の 歩道をゆっくりと歩いていく。

ウォーキングをする時刻ではなかった。

それに3人が着ているのはまるで死に装束の様な白い着物。

その3人がぐったりとした様子で少し前屈みになりながらトボトボと 歩いている。

彼はその奇妙さに魅かれ、時間が経つのも忘れてその3人の動きを 目で追っていた。

そうしているうちに、その3人は彼の視界からゆっくりと消えていった。

得体のしれないその何かに彼の好奇心は釘づけになった。

そして、それからは毎晩、それくらいの時刻になるとカーテンと窓を開けて

歩道を歩いていくその3人を見る事に決めた。

そして、ある事に気づく。

確かに毎晩、彼の窓の下の歩道を3人の人の列が通っていった。

しかし、その構成は明らかに違うものだった。

男だけの時もあれば女だけの時もあった。

お年寄りだけの時もあれば若者だけの時もあった。

しかし、構成されるメンバーこそ違えど、必ず3人が列になって

ゆっくりと 歩道を歩いていた。

その意味不明な行動パターンに彼は更に惹きつけられた。

今夜、歩道を歩いていく3人はどんな人達なのだろうか?

と予想するのも 楽しかったし何よりその異様なシルエットは

彼の好奇心を満たすに十分な ものであった。

特に危険は感じなかった。

だから、毎晩、安心して窓の外を眺めていた。

そんな夜が何日も続いたある日の夜、時刻はいつものように

午前1時を 少しだけ回っていた。

彼はいつものようにカーテンと窓を開けコーヒー片手に外へと視線を移す。

心臓が激しく脈打つ・・・・。

彼はとっさにカーテンを閉めて日の場で固まった。

いつもの歩道には、白い着物を着た人が確かに居た。

しかし、3人ではなく2人だったという。

そして、その2人は体を前方へと向けたまま首だけをこちらに向けて

冷たい目で睨んでいた。

首を向けた角度は在りえない角度だったし、何よりもこちらに向けた

2人 の眼は暗闇に白く浮かび上がっていた。

そして、2人は片手をこちらに伸ばし、おいでおいでをするように


小さく手招きをしていた。


心臓の音が耳の中で大きく聞こえる。


彼はカーテンを閉めたまま、気付かれないようにゆっくりと窓を閉めて


鍵をかけた。


すると、それと同時に窓をコンコン、とノックする音が聞こえた。


彼の住むマンションの部屋は3階にあり、そんな事はあり得ないことだった。


しかし、聞こえてくるのは明らかに人間の手で窓をノックする音。


彼はパソコンも部屋の明かりも点けたまま、ベッドに潜りこんで震えていた。


そして、そのうちに意識を失ったらしく気が付くと朝になっていた。


彼はそれ以来、仕事を家に持ち帰る事も、カーテンを開ける事もしなくなった。


しかし、結局、それから7日間、窓をノックする音が真夜中になると


聞こえたという。


きっと、あの2人は俺の事を連れていこうとしてたんだと思う・・・。


彼は震えながらそう言っていた。


  


Posted by 細田塗料株式会社 at 20:49Comments(37)

2019年04月19日

平成最後の交流場所

営業のKです。

皆様、こんばんは。

本当にすぐにコメント場所が一杯になってしまうんですね(笑)

まあ、私がブログを一時閉鎖しているせいもあるのかもしれないですね。

ということで、かなり重たくなってきたと思いますので、

こちらに新しい交流場所を!

中西リーダー、いつも気付くのが遅れてすみません。

それでは、ご自由にお使いくださいませ!
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 20:51Comments(107)

2019年04月14日

2019年4月場所?

語り・・・・いえ、営業のKです。

懐かしい顔も拝見出来るようで、私も凄く嬉しいです!

福岡方面から、新規交流広場をすぐに作るようにご指示

頂きましたので、こちらに新設させて頂きます。

私もたまに参加させて頂くかもしれませんが(笑)

それにしても、コメントがすぐに一杯になってしまって、

本当に凄いですね~

楽しそうで何よりです!(笑)

それでは、ご自由にお使いくださいませ!
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 17:31Comments(200)

2019年03月28日

2019年3月末からの交流広場

営業のKです。

皆様、コメント欄で楽しく交流してくださって本当に

ありがとうございます。

そして、本当にごめんなさい。

うっかりと新しい交流広場を作るのを忘れてました。

これからは、良かったらこちらをお使いくださいませ!
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 12:21Comments(312)

2019年01月06日

2019年交流用広場①

皆様、あけましておめでとうございます。

遅くなりましたが、今年も宜しくお願い致します。

ということで、年の為に、

今年用の新しい交流場所を作っておきますね。

皆様が楽しく語り合える場所にして

頂けると嬉しいです!

         営業のK
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 14:46Comments(636)

2018年11月14日

内覧会のお知らせ

弊社で販売しているプリンタやカッティングプロッタのメーカー・ミマキエンジニアリング様の内覧会が開催されます。

中部地区12会場を順番に巡る秋冬ロードショー」。



10月22日から既に始まっていて、細田塗料が中心に営業活動している石川県は

金沢会場 ミマキエンジニアリング金沢営業所 
       石川県金沢市駅西新町2-12-6 TEL:076-222-5380
       11月19日(月)13:00~
       11月20日(火)10:00~

で開催となっています。

ぜひ、「細田塗料からの紹介で来ました」と伝えてUVプリンタ、レーザー加工機、溶剤プリンタ等を見学&体験していってください。

その他の今後のスケジュールは、

四日市会場 ツインメッセ静岡 11月27日(火)13:00~ 11月28日(水)10:00~
一宮会場  一宮地場産業ファッションセンター 11月29日(火)13:00~ 11月30.日(水)10:00~
岐阜会場  岐阜産業会館 12月3日(月)13:00~ 12月284日(火)10:00~
豊川会場  豊川文化会館 12月5日(水)13:00~ 12月6日(木)10:00~
多治見会場 セラミックパーク 12月11日(火)13:00~ 12月12日(水)10:00~

となっておりますので、よろしくお願いします。

以上、営業Tよりお知らせでした。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 07:45Comments(0)

2018年11月11日

2018最終・交流広場

営業のKです。

すみません。

怪奇現象で勝手にこちらにブログ記事が転載されてしまって(嘘です)

なので、こちらに、新しい交流用広場を作らせて頂きますので、

良かったらご活用くださいませ。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 13:06Comments(287)

2018年11月10日

フェリー

これは俺の知人が体験した話。



フェリーというのは便利なものだ。



橋も無いような場所まで車やバイク、トラックまで運んでくれる。



運転手は、その間、しばしの休憩をとれるし、何よりトラックで車を運ぶのに



比べてかなり割安で利用できる。



俺も北海道に行く際などには、何度も利用させてもらっていた。



やはり、船だけあって客室によってかなり金額に開きがある。



だから、俺はいつも大部屋のような所で皆が自分の荷物を枕に雑魚寝している



客室?で利用していた。



そして、今でこそ、車が駐車・保管されている場所には乗船中は一切



立ち入れない事になっている。



安全と防犯がその理由のようだが・・・。



ただし、昔はそんなに厳しく管理されてはいなかった。



確かに、車のオーナーは車の駐車場所には行かないように促されるが、中には



狭い客室よりも、駐車している車の中で寝るという人もそれなりに



居たのも事実だ。



そして、その時、彼が行っていたのは明らかに違法行為。



フェリー代金を浮かせるために、彼は無銭乗船をしたらしい。



乗船待ちの場所で意気投合した人に無理を承知で頼み込んたらしい。



そして、車のトランクの中という事なら、もしも何かあって見つかっても



勝手にトランクに忍び込まれたと言い訳ができるから、ということで、そのまま



彼はその方の車のトランクに乗り込んでじっと息を潜めていたという。



そのフェリーの目的地まで丸一日かかる予定だった。



そして、彼はそのフェリー代金を支払える程の余裕は持ち合わせてはいなかった。



彼は事前に買い込んだパンとジュース、そして、小さな荷物を持ってトランクに乗り込み



自らそのトランクを閉めた。



その時、彼はヒッチハイクでとある場所を目指していた。



だから、宿泊にかかる費用は勿論、移動に係るお金というのも緊急用のごく僅かな



金額しか持ち合わせていなかったというのだから、なかなか困ったものだ。



彼の乗った車はかなり大きなセダンだった。



だから、トランクが狭くてツライという事は無かったようだがそれでも、その車が



何処を走って、そしてフェリーのどの辺りに駐車するのかすら分からないというのは



やはり不安だったそうだ。



彼を乗せた車は、スムーズに進み、途中、何度かフェリーの係員らしき人と話を



しているのが聞こえたらしく、いつトランクを開けられるか、とハラハラしていた



様だが、結局、トランクは一度も開けられず、しばらくすると車は停車し、



係員が車を固定する作業をしていたという。



そして、その作業が終わると、運転手の男性が、挨拶の様にトランクをコンコンと



叩いてから車から離れていくのが分かった。



それからしばらくは沢山の車がどんどんと停車していくのが分かり、とても



賑やかだったが、それも1時間ほど経つと、大きく重い扉が閉められる音



と同時に完全に静寂に包まれた。



彼はポケットに入れてあった小型ライトを取り出して出来るだけ音を出さない様に



荷物の中からパンとジュースを取り出して、晩御飯を食べた。



途中、トイレに行きたくなると困るのでジュースは極力飲まないようにした。



そのうち、フェリーが港を出港したのが分かった。



天気予報をチェックしていた彼はその日の夜がかなり高い波になる事は知っていた。



しかし、それから1時間ほど過ぎた頃から、外は大荒れになった。



フェリーは高い波に翻弄され、彼が乗っていた車のトランクも酷い揺れに



襲われ、彼は思わず気分が悪くなったという。



それでも、必死に船酔いに耐えているうちに、彼は寝てしまったようだった。



それからしばらくして、彼は暗闇の中で目覚めた。



最初、自分がトランクの中に隠れて寝ているのだという事を思い出すまで



少し時間を要した。



それにしても、酷い揺れだった。



しかし、睡眠をとったせいか、船酔いの症状は無かった。



ギギッ・・・・・ギシギシ・・・・ガタンガタン・・・・。



そんな音を立てながら、車の格納場所に置かれている車達が大きく傾き、そして



揺れているのが分かった。



真っ暗な中、無機質な車達が、まるで生き物の様に揺れ動いている様子を



思うと、少し気味悪く感じたという。



すると、その時、それまでとは異質な音が聞こえてきた。



ペタッ・・・ズルズル・・・・ペタッ・・・ズルズル・・・・。



それは、濡れた裸足のまま、何かを引きずり歩いている様な音。



しかも、揺れ動く車の音で溢れているその場所で、何故かその音だけは、



はっきりと聞こえてくる。



誰か来たのか?



船の係員だったら、まずいな・・・。



彼はそう思い、しばらく息を殺して動かない様にした。



しかし、その足音は、いっこうに居なくなる事はなかった。



それどころか、車1台1台を調べているかのように、動き回っているのが



分かった。



やっぱり船の係員なのかもしれない・・・。



だとしたら、隠れているのがバレない様に、気をつけないと・・・・。



彼はそう思ったという。



しかし、次の瞬間、彼は聞いた事の無い声を聞いた。



いや、それは声というよりも、叫びといった方が近いのかもしれない。



ウオーン・・・・ギャギャギャギャ・・・・・。



それはとても人間の声には聞こえなかったが、最後に不気味な笑い声が



聞こえたように思えた。



これは人間じゃないのかもしれない・・・・。



だとしたら、いったい・・・・。



そう思ってしまうと、どんどん恐怖が増していく。



彼はトランクの中で固まったままじっと息を殺してその声と音に集中した。



すると、突然、



ドン!・・・・ドンドン!・・・・。



という音が彼の耳を襲った。



一瞬、彼は真っ暗なトランクの中を見渡してしまう。



それ程、大きな音だったという。



そして、また、



ドン!・・・・ドンドン!・・・・。



という音が間近から聞こえた。



もうま違う余地は無かった。



そり音は紛れもなく、彼が隠れている車のトランクを外から力任せに



叩く音だった。



なんでだ?



どうして、此処に隠れてるのが分かったんだ?



彼は生きた心地がしなかった。



得体の知れないモノが、彼の隠れているトランクをすぐ外から叩いている。



まるで、その中に自分がいる事を知っているかのように・・・・。



それでも、彼には、何も出来る筈は無かった。



必死に耳を塞ぎ、そして口をつぐんだ。



すると、突然、彼が隠れている車が大きく揺れ出した。



その揺れ方は、海の荒天に依るものではない事はすぐに理解できた。



外にいる何かが車を揺さぶっている。



まるで早く出て来い、とでも言わんばかりに・・・・。



車はどんどんと揺れが大きくなり、次第にトランクの中で体を支える事すら



難しくなっていく。



普通の人間にそれほどの力があるとは思えなかった。



彼は思わず、



ひっ!



と声を出してしまった。



すると、トランクの外からは



ギェギェギェ・・・・・ゲラゲラゲラ・・・。



そんな不気味な笑い声が聞こえたという。



そして、彼が隠れているトランクが突然、ゴーンと叩かれるのが分かった。



その音と同時にトランクは大きく凹み、彼の顔前に迫って来た。



それから、何度もトランクが凄まじい力で叩かれ、その度にトランクが大きく



ひしゃげてくるのが分かった。



彼は必死に体をトランクの端に寄せて、クランクの凹みによって潰されないように



体勢を変えた。



すると、みるみるうちに、トランクはひしゃげ、最後には完全にその部分には



スペースが無くなった。



そして、突然、外が静かになった。



彼はそれでも息を殺し続けた。



生きているのがバレだら大変な事になる・・・。



そう思ったからだった。



じっと動かないまま、彼は全神経を耳に集中させた。



相変わらず、車の外からは何の音も聞こえてこない。



もう行ったのか?



そう思い、彼が体を動かそうとした時、彼の目が何かを捉えた。



それは潰れたトランクの隙間から中を覗き込む大きな白い眼だった。



彼はなんとか悲鳴を上げるのを堪えた。



そうしなければ殺されてしまうと思ったという。



そして、彼はそのまま目をつぶり、身動きしないようにグッと体に力を入れた。



そうしているうちに、彼はそのまま意識を失った。



そして、彼が次に目覚めたのは、彼をトランクの中に匿ってくれた男性に



揺り起こされた時だった。



大丈夫か?



その男性は心配そうに彼に声を掛けてくれた。



そして、その男性から聞いた話によると、翌朝、男性が彼の様子を見に来た時、



車のトランクは大きく潰れ、そしてトランクは開いたままになっていたという。



そして、どうやら、その男性の車だけではなく、周りの車も含めて、



かなりの台数の車のトランクが大きく潰されていたという。



結局、彼はそのままバレずに目的地の港で下船する事が出来たらしいが、



その時、彼を襲ったモノが何なのかは今でも分からないという。



そして、勿論、その事があってから、彼はフェリーに乗る際には絶対に



車に残る事はしなくなったという事だ。

  


Posted by 細田塗料株式会社 at 09:57Comments(2)

2018年11月10日

あるフランス料理店の話

これは俺が体験した話である。



某県に、とあるフランス料理店が在る。



店構えも高級フランス料理店らしく、豪華でありその味も素晴らしい。



昼夜問わず客が溢れ、週末ともなれば予約を取ることすら困難な



人気店である。



その店で奇妙な噂が流れた。



霊が出るというのだ。



しかも、毎年決まった時期になると・・・。



そんな店に俺が招待された。



店からではなく友人からである。



彼は、その店のオーナーシェフの遠縁にあたるらしく、霊の目撃情報



が増えるにつれて心配になった。



お客が寄り付かなくなるのではないか・・・と。



そこで、俺に何らかの解決策を探って欲しいという旨の依頼だった。



常日頃から、高級フランス料理などとは関わりのない生活を送っている



俺は、二つ返事でOKした。



何しろ、無料でフランス料理が食べられるというのだから、断る理由は



見つからなかった。



そして、もう一人、同じ理由で同行してくれた人がいる。



勿論、Aさんである。



いつもは面倒臭がっていやな顔しかしないのだが、さすがに貧乏生活



を送っているAさんも、俺と同じ理由で快諾したのだった。



勿論、俺としても、俺だけで何かが解決できる筈もないのは重々承知



していたから、Aさんが同行を快諾してくれた事にほっとした気持ちだった。



招待してくれた友人と落ち合ってから一緒にその店に入った。



お店に入るとオーナーシェフ自ら出迎えてくれた。



しかし、どうも様子がおかしい。



霊の出現で困っている様子は微塵も感じないのだ。



それどころか、小声でほかの客に聞こえないように、慎重に霊の事を



聞く友人とは対照的に、大きな声で明るく話してくる。



そして、



そうかぁ・・お前の所にまで霊の話がいってるのかぁ・・・。



こりゃ、更に有名になってしまうかもなぁ(笑)



と妙に明るい。



そして、



まあ、久しぶりなんだから、今日はゆっくりと食事を楽しんでいってくれ!



と言うと、豪快に笑いながら、厨房の方へと消えていった。



俺達は、テーブルを囲んで、不思議な顔になってしまう。



いや、Aさんを除いては・・・。



Aさんは、まるでいつもと変わらない服装で、これまたいつもと変わらない



様子で楽しそうにメニューを見ている。



そして、



今日は食べ放題で良いんでしたっけ?



と聞いたが、友人に、



あの・・・コース料理で既に注文してありますから・・・。



と言われ、少しがっかりした顔になる。



そもそも、フランス料理の食べ放題などというものは聞いた事が無い



のだが・・・・・。



そして、料理が運ばれてくる。



料理の名前も、そして材料も分からなかったが、とにかく久しぶりに食べる



フランス料理はとても美味しいものだった。



そして、驚いたのが、さすがに元々は良家の出身であるAさんは、



ナイフやフォークの使い方はもとより、食事マナーが完璧



だったという事。



実に美味しそうに、そしてスマートに食事を進めていた。



しかし、その日俺達が招待された本題はあくまで霊の確認と対策だった。



だから、俺と友人は、コソコソと話をしていた。



すると、Aさんんが、



食事中にコソコソ話、止めて貰えます?



と冷たい目で睨んでくる。



そして、



霊なら、ちゃんと居ますよ・・・。



ちょうど私達の右隣のテーブルが空いてるでしょ?



そこに居ますね!



そう言うと、再び食事に没頭する。



確かに、ずっと気になっていた。



どうして、満席状態のその店で、そのテーブルだけが空いたままなのか、と。



だから、俺はAさんに聞いた。



そこに居るって・・・・今も座ってるって事?と。



するとAさんは、



それ以外にどういう意味に取れますか?



でも、何か違和感が無いんですよね・・・。



だから、きっとお店の方達は、何か知ってるはず・・・ですけどね。



そう言われてしまう。



だから、俺達は食事が終った後も、オーナーシェフに話を聞く為に、



その場に残っていた。



そして、結局、閉店になるまで、そのテーブルに客が座ることはなかった。



俺達が待っていると、オーナーシェフがやって来て



すまなかったな・・・待たせてしまって・・・。



で、何を聞きたいんだって?



そう言って、俺達の座るテーブルに腰かけた。



友人は、



勿論、霊が出るって事に決まってるじゃない!



実際、どうなの?



困ってるんじゃないの?



と聞くと、そのオーナーシェフは少し笑いながらこんな話をしてくれた。



実は、オーナーシェフがまだ若く有名フランス料理店で修行の後、



独立して、こじんまりとしたフランス料理店を出したそうだ。



シェフはずっと以前から、もっと気軽に誰でもが食べに来られる様な



家庭料理的なフランス料理店を出すのが夢だったという。



そして、念願かなってお店を出したものの、簡素で安っぽい造りの



店に客が訪れるのはごく稀だったという。



そんな時、若いカップルが食べに来てくれたのだという。



二人は、その店の料理をとても気に入ってくれて、毎週の様に



食べに来てくれた。



とても美味しそうに、そして楽しそうに食事をするそのカップルを見ていると



シェフ自身もとても幸せな気持ちになれた。



それから、そのカップルとの長い付き合いが始まった。



カップルはかなり貧しい様で、その店の安いフランス料理を食べに来る事も



かなりの出費だったらしいが、それでも、なんとかお金を工面して



毎週のように食べに来てくれる。



そのカップルにとっても、その店で食べるフランス料理は、つかの間の



贅沢と、そして幸せを感じられる時間だったのだろう。



そのうちに、お店も軌道に乗り始め、徐々にお客さんが増えていった。



そして、数年後には、現在の店へと場所を移し、新しいシェフやスタッフも



増えていった。



しかし、それからも、そのカップルは、毎週の様に顔を出してくれた。



お店の料理のグレードが上がり、値段も上がってしまったが、それでも



店に通ってくれ、値段があがった料理に対して、注文する品数を



抑えることで何とか顔を出してくれていた。



そして、その数年後にそのカップルは結婚した。



とてもお似合いのカップルであり、そのお店でもいつも仲むつまじく過ごす



二人を、お店のスタッフ全員が温かく見守っていた。



そして、それから数ヶ月後、お店のスタッフとシェフは、その夫婦に



とびきりのサプライズを用意した。



それは、二人の結婚記念日に二人を招待し、そして最上級のフルコース料理を



御馳走しようというものだった。



勿論、二人には、その事は内緒にして・・・・。



そして、その当日、二人を待っていたスタッフだったが、結局、二人が



お店に現れる事はなかった。



そして、その後しばらくしてオーナーシェフは驚愕の事実を知った。



それは、二人がその日、お店に向かっている途中、突然の事故に遭い、



そのまま帰らぬ人になってしまっていたという事だった。



スタッフ全員が、その事実を知った時、目の前が真っ暗になった。



もう、幸せそうなあの二人の姿は見られないのか、と。



しかし、それから良い意味で異変が起こった。



お店が暇な時、そして閉店した後などに、テーブルに座り楽しそうに



料理を待っている二人の姿が、何度も目撃された。



それは、店のスタッフだけでなく、お客さんの中にも、その姿を



目撃した者もいた。



しかし、オーナーシェフをはじめ、お店のスタッフは、その事を怖がるどころか、



心から喜んだという。



亡くなられてからも、あの二人はこの店に来てくれていたのだと・・・・。



それからは、二人がいつも座っていたテーブルは、どんな時でも



他の客を座らせることは無くなった。



その席は紛れもなく、その二人だけの席だったから。



そして、今でも年に一度、ちょうど、二人の結婚記念日には、お店を



臨時休業にして、二人の為に、目一杯の豪華なフランス料理を作り、



ワインと一緒にテーブルに並べておくのだそうだ。



そして、そのまま、そのお店は二人だけの貸し切りにする。



無駄なことだと思うかもしれないが、実際、翌日お店に来て、テーブルに



並んだ料理を見ると、確実に食べた形跡があるのだという。



そして、その事は今では常連客も周知の事実であり、誰も怖がる者は



居ないのだという。



それに、二人がいつもお店に居てくれるだけで、お店の中に



幸せな空気が満たされるから・・・・。



だって、二人はいつもこのお店がお客さんでいっぱいになる事を



願ってくれていたんだから・・・・。



だから、ほんのお礼の気持ちだよ!



そう言って、オーナーシェフは笑った。



そして、その話を聞いていたAさんは、



うん・・素晴らしい事をしていますよね!



二人もすごく喜んでますよ!



そして、私も何か幸せな気分になれました!



そう言って、珍しく笑っていた。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 09:55Comments(2)

2018年11月10日

奇葬の地

これは大学時代の友人から聞いた話。



彼の母親の実家というのは、兵庫県のとある村。



兵庫県というと、神戸市など海沿いの市が代表的で、お洒落な都会という



イメージが強いのだが、兵庫県といってもかなり広い。



兵庫県は、下は瀬戸内海、上は日本海まで繋がっているのだから、



かなり広範囲な県なのである。



そして、彼の母親の実家があるのは、兵庫県の上の部分。



そこは、もう神戸市などとは完全に別次元ののどかな田舎が広がっている。



そして、そこでは、誰かが亡くなると、かなり変わった方法で



葬儀を執り行うのだという。



それは、亡くなった人を、縄で縛り、動けなくしてから頑丈な



鉄の箱に収める。



そして、丸3日、そのままの状態で、通夜と葬儀を行うのだそうだ。



なんて、罰当たりな!と思ってしまうが、それには、それなりの



理由があるのだという。



その地域では人が死ぬと、その肉体を使って悪霊が悪さをするという



言い伝えがある。



それは、ずっと昔から守り続けられてきた決まり事であり、確かに



以前は、そういう事も起こっていたのだろう。



そして、彼自身も、以前、それに似た現象を目の当たりにした事があるという。



太い縄で縛られた亡骸を納めた鉄の箱。



それが、お坊さんがお経をあげている最中、ガタガタと震えだし、



箱の中からはおぞましい声が聞こえてきたのだという。



だから、彼は今でも、その風習の意味を理解し、信じている。



しかし、やはり、現代において全ての人が、それを信じるという事は



無理な話なのかもしれない。



そして、その村にもある時、そこに住む祖父母を頼って若い夫婦が移住



してきた。



村自体は、過疎化が進んでいた事もあり、若い夫婦の移住を歓迎してくれた。



そして、それからの数年間は何事もなく過ぎていき、その夫婦も次第に



村の生活にも馴染んでいき、知り合いも沢山増えていった。



しかし、彼ら夫婦は、住んでいるのはその村だったが、仕事では



近くの市に在る会社まで働きに行っており、事実上、その村で過ごすのは



夜寝る時と、休日だけだったのも、少しは影響していたのかもしれない。



そう、彼らは、古い村の葬儀のやり方に、全く理解を示さなかった。



勿論、そうだとしても、彼らが通夜や葬式に参列する事は少なかったから



それ自体は対して問題にはならなかったのかもしれないが・・・。



そんなある日、その夫婦の祖母が亡くなってしまう。



祖母は自分の死期を感じていたのだろう。



その夫婦に、昔から伝わるこの村の葬儀についてしっかりと言い聞かせた。



そして、自分がもしも死んだら、ちゃんとそのルールに則って葬儀を



進めて欲しいと言い残した。



さすがに、直に説き聞かせる様に説得された夫婦は、その場では



首を縦に振ったが、もうその頃になると、ある意味、意固地になつて



しまっていたから、心の中では決して納得などしてはいなかった様だ。



そして、通夜の段になり、やはり、その夫婦は祖母を縛り、金属製の箱



の中に入れる事を断固として拒んだ。



祖父が、泣いて懇願したらしいが、それでも、その夫婦は、



亡くなった祖母に対してそんな無礼な事など出来る筈が無い!



と言い張って、頑として首を縦には振らなかったという。



そして、その結果として、村人はおろか、親戚すらも通夜には参列



する事は無かった。



皆、そこで起こるであろう凶事を恐れのだという。



通夜が始まり、参列したのは、祖父とその夫婦だけ。



それは、みすぼらしい通夜だった。



そして、祖父自身も、亡くなった妻である祖父の蘇りを恐れていた。



しかし、僧侶も来ない通夜で、他にお経を読みあげる者もいなかったから、



自ら、必死に祖母の棺桶の一番近くに座り、お経を読み上げ続けていた。



それは、もしも何かあれば、自分が犠牲になって、若い夫婦を守らなければ、



という祖父の強い気持ちの表れだったのかもしれない。



そして、その時、若夫婦も、さすがに少し後悔していたという。



それと同時に、そんな馬鹿げた迷信を信じるあまり、誰も祖母の通夜に



参列しないという薄情さに呆れ果てていたという。



それから、何事もなく、通夜の時間は過ぎていった。



さすがに、3人だけの通夜ということで、誰もその場から離れて



仮眠を取る事も出来ない。



祖父は、まるで何かにとり憑かれたかのように、必死でお経を唱え続けていた。



そして、彼ら夫婦は、その場でこくりこくりと浅い眠りについてしまう。



そして、異変が起こったのは、午前1時を回った頃だった。



突然、祖母が収められた棺桶の蓋が、はじけ飛んだ。



その音に、彼ら若夫婦も一気に目が覚めたという。



ハッとして視線をあげた彼らの目には棺桶からむくりと起き上がる



祖母の姿が目に入った。



祖父は、必死にお経を唱え続けながら、



いかん!・・・・堪えてくれ!



と叫んだ。



しかし、それでも、祖母の遺体は、そのまま棺桶を出て、祖父の横に



立ったという。



そして、祖父から視線を外すと、今度は若夫婦を睨みつけていた。



彼らは、完全にパニックになっていた。



それでも、祖母の直接の孫である夫が、



ばあちゃん・・・やめてくれ!



いつもの優しいばあちゃんに戻ってくれよ!



そう言った。



しかし、その時、既に祖母の顔は、明らかに祖母とは別人の顔になっていた。



亡くなってから死後硬直であんなに小さくなっていた体も、大きく細く



なつており、その顔はまさに般若と呼ぶに相応しかった。



それでも、祖父はお経だけが、その現状を解決してくれると思っていた



から、更に一心不乱にお経を読み上げ続けていた。



しかし、次の瞬間、バタバタという足音とともに、祖母が彼ら夫婦に



駆け寄り、そして、そのまま外へと引きずっていったという。



うわぁー・・・助けてくれ!



彼らの悲鳴は村中に響き渡った。



しかし、村の禁忌に触れる事の恐ろしさを知っていた村人たちは誰ひとりとして



外へは助けに出てこなかった。



そして、ずっと長い間、聞こえ続けていた悲鳴も、しばらくすると、



全く聞こえなくなったという。



そして、朝になり、ようやく外に出てきた村人たちは、祖父から事情を聴き、



有志を募って彼ら夫婦を探しに出たという。



そして、結局、その夫婦は、村はずれのの溜池のほとりで、無残に



引きちぎられた姿で発見されたという。



手も足も頭も、何かに齧られたかのように、欠損していたという。



それから、彼ら夫婦の遺体は、村のしきたりに従い、厳重に縛られたうえ、



金属製の箱に入れられて、通夜と葬儀が行われた。



そして、どうやら、その時にも、まるで彼らが生き返ったかのように、



箱の中からは、どんどんとはこを叩く音が聞こえ、とても人間とは思えない



様なおぞましい声で唸り声をあげていたという。



その事があってから、更にその村では厳しくしきたりを厳守する様に



なったという。



そして、彼は言っていた。



いつの頃からか分からないが、その村でそんな形の通夜や葬儀が



行われるのは、きっと何かの呪いなのではないか、と。



だから、死んだ者は、3日間の間、何かに憑依されて、実害を



伴って現世に蘇る。



そして、3日経つと、まるで何も無かったかのように、普通の状態に戻る。



だから、その3日間だけは、絶対に、その遺体を自由にしてはいけないんだ。



そう言っていた。



ちなみに、その村では今でも厳粛に、そのしきたりが守られている



のだそうだ。
  


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2018年11月10日

名前を告げてはいけない

名前というのは、それだけで縛りになるのだという。



呪いの儀式で、相手の名前も書くのも、そういう事であるし、



悪魔祓いの際にも、先ず、エクソシストがやらなくてはいけない事は



とり憑いている悪魔の名前を言わせること。



人間界でもそうであるように、霊界や、キリスト教の世界でも、固有の



名前というものが、とても重要であり、必要とされるらしい。



そして、これから書くのは看護師をしている、俺の知人が体験した話である。



彼女はその時、自分の車で用事のためとある場所に向かっていた。



朝早い時間だったので、車の通行も少なく快適に車を



走らせていたのだという。



そして、突然、後方から凄い速度で1台の車が近づいたかと思うと、



そのまま彼女の車を一気に追い越して行った。



危ないな~・・・いったい何キロ出してるの?



彼女はそ思っていると、そのまま追い越した車はあっさりと見えなくなった。



彼女は気を取り直して、そのまま車を走らせた。



そして、それから5分ほど走ったところで、彼女は異様な風景を目にした。



車が橋の欄干にめり込んで煙をあげていた。



車の原型は既にとどめてはいなかったが、その車は間違いなく先ほど



彼女の車を猛スピードで追い抜いていった車だった。



かなり早朝ということもあり、後方からも対向車線からも車は



1台も走っては来ない。



彼女は急いで車を路肩に停止させると、慌てて車から降りた。



普通なら、その場で救急車を呼ぶだけなのだろう。



しかし、看護師の彼女は、車を降りると、そのまま事故車両に近づいていく。



車の中には当然、運転者らしき男性が1人乗っていた。



エアバックが作動して運転席を埋め尽くしていたが、それでも、その時、



彼女は、



ああ・・・これじゃ、もう助からないな・・・。



そう思ったという。



そして、急いで、携帯で救急車を呼んだ。



そして、その間、彼女は、何度もその男性に呼びかけたという。



大丈夫ですか?



もうすぐ救急車が来ますから!



そうやって、一応声掛けはしていたが、看護師の彼女には、その酷い



状態から、もう二度と意識は戻らないだろうな、と思っていた。



と、その時、突然、男性の目が開いた。



そして、彼女に向って、



あの…名前は?・・・・。



と聞いてきたという。



突然のことに驚いた彼女は、思わず、



鈴木ですけど?



と自分の名字を答えてしまう。



すると、その男は、



いえ・・・下のお名前は?



と聞いてくる。



その時、彼女はまるで催眠術にでもかかったかのように自分の名前を



○○です。



と答えてしまった。



すると、その男性はそのまま安心したように再び目を閉じたという。



そして、それからはぴくりとも動かなくなった。



程なくして救急車が到着した。



そして、警察も到着。



救急隊員の話を聞いていると、どうやら、その男性はぶつかった



瞬間に、既に即死だったと聞かされた。



目を開けて喋ったんだから、即死じゃないでしょ?



と心の中で思ったらしいが、そのあと、彼女は更に驚く事実を



警察から聞かされることになった。



それは、ブレーキ痕が無い事、そして車の中に遺書があったことから、



その事故は、死亡した男性による自殺と断定されたというものだった。



彼女は茫然としてしまう。



あの男の人は事故ではなく自殺だったの?



だとしたら、何故私の名前なんか聞いてきたの?



それに私はうっかりと自分の名前を告げてしまった・・・。



何も起こらなければ良いんだけど・・・・。



そんな思いで頭の中がいっぱいになった。



しかし、彼女の不安は、それからしばらくして現実のものとなる。



最初は夢を見たという。



あの事故現場の男が、崩れた顔のまま夢の中に出てきて、



次は○○の番だよ・・・・。



ちゃんと迎えに行くから・・・・。



と少し笑みを浮かべながら、言った。



そこで、いつも彼女は夢から醒めるのだが、起きた時にはいつも背中に



びっしょりと冷たい汗をかいていた。



しかし、彼女は気にしないように努めた。



きっと自分はあの事故の事がいまだに忘れられないんだ・・・。



だから、早く忘れなきゃ・・・・。



そう思って、毎日の病院勤めに励んだ。



そして、病院で働いていると、その忙しさから、その悪夢の事はすっかり



忘れる事が出来た。



そんなある日、彼女が家に帰ると母親から、こう言われた。



今日、昼間に電話があってね・・・。



あんたの知り合いだって名乗るんだけど名前は言わないのよ・・・。



そして、伝言だって言われたんだけど何か気持ち悪くてね・・・。



そう言われた。



電話の相手は何処か遠くから掛けてきているのか、声は途切れたり、



とても小さく聞こえたという。



そして、その男からの伝言だと言われて母親から渡されたメモを見て



彼女は固まってしまう。



そこには、



次は○○の番だよ・・・・。



ちゃんと迎えに行くから・・・・。



と書かれていた。



彼女は恐怖のあまり自分の部屋に駆け込んだ。



そして、



夢じゃなかったの?



私が何したって言うのよ・・・。



と途方に暮れてしまう。



そして、その日から、更なる怪異が起こり始める。



常に誰かに見られている気がするのだ。



最初は、気のせいかとも思ったが、そのうち、彼女はある事に気付く。



それは、常に誰かが自分の後ろに立っているという事。



そして、それは決して思い過ごし等ではなかった。



街中を歩いていても、たまに彼女の背後をやたらジロジロと見ながら



通り過ぎる人が多くなった。



勤務先の病院でも、患者さん達の中には、



後ろの人、どうしたの?



と彼女に耳打ちをしてくる人が何人もいた。



更に、彼女の家族も、家の中で見知らぬ男の姿を何度も目撃する様に



なり、やがて、家族の中には、階段から滑り落ちたり、ガラスが割れて



顔を切ったりと怪我をする者まで出てきた。



その怪我はどれも命にかかわるものではなかったが、彼女を追い詰める



には十分だったのかもしれない。



そのうちに、彼女の心は、



私のせいで家族が怪我をしてしまう・・・。



このままでは、命も危険になるかもしれない・・・。



でも、もしかしたら、私があの男の望み通り、自殺すれば誰も傷つかなくて



済むのかもしれない・・・。



そんな考えで固まっていった。



そんな風に思い始めると、彼女には、その男の声が聞こえ始める。



それは、駅のホームで電車を待っている時・・・。



車を運転している時・・・。



病院の窓から外を眺めている時・・・。



きまって、その男の声が聞こえてきた。



まだかい?



まだ死ねないのかい?と。



その度に、彼女はその場から走って逃げるしかなかった。



やはり、彼女にとって自殺は怖いものでしかなかったのだから。



そして、ちょうどその頃、友人を通して、彼女の事が俺の耳に入った。



俺はすかさず、Aさんに相談した。



Aさんは、彼女が置かれている現状を話すと、いつもの様に、



まあ、そうですね。



内容はわかりましたけど、それと私がどういう関係があるんですかね?



と面倒くさそうに言っていたが、俺が、



それが、その原因になった事っていうのが、彼女が自殺した者に、



自分の名前を教えちゃったから・・・らしいんだ。



と言うと、



名前を教えちゃったんですか?



やっぱりKさんの知り合いにも馬鹿が多いんですね。



類は友を呼ぶって、やつですか・・・。



と憎まれ口を叩いていたが、それでも、



そういうことなら、猶予はあまり無いかも知れません。



そう言って、今から行く、と言ってくれた。



俺達は彼女の勤務先である病院で落ち合った。



そして、彼女に連絡を取り、今から出てこれないか?と打診した。



すると、彼女は、看護師の制服のまま、走ってやって来た。



そして、俺が、



えーっと、こちらがAさん。



霊能者じゃないけど、かなりの力を持ってるから・・・。



そして、Aさんに向かって、



えーっと、こちらが・・・・。



と紹介しようとしたところ、Aさんが、こう言った。



貴女が、自殺者に名前を教えちゃったお馬鹿さんですか?



本当に馬鹿と関わるのは、Kさんだけにしときたいんですけどねぇ。



とからかう様に言っていたが、その後、すぐに真顔になって、



とにかく、時間がもう残されていないかもしれない。



その男は、もう貴女の背中で、かなり大きくなってしまってるから。



という事で、私も時間が無いし、少し荒療治で行くけど、我慢



してくださいね!



そう前置きして、彼女の背中に近づいていく。



そして、何を思ったのか、Aさんは、彼女の背中を思いっきり蹴った。



彼女は苦痛の表情を浮かべながら、



いきなり、何するんですか!



と声を荒げたが、Aさんは、すかさず、



荒療治するって、言ったでしょ!



それに、このまま死ぬのと、痛いのとどっちがいいの?



そう言って、今度は背中をバンバンと両手で叩きだす。



そして、



こうしないと、もう離せない位に大きくなってるんだから仕方ないでしょ!



だいたい、自殺者とか死んでいく者に、自分の名前を教えるなんて論外!



それって、呪ってくれって言ってるのと同じだからね。



名前というのは、この世の中で唯一の貴女自身を特定するもの。



名前を知られるっていうのは、相手に縛られるのと同じなの。



だから、もう二度と、死んでいく者に名前なんか教えないでよ!



そう言うと、既にかりな体力を使ったのか、Aさんは肩で息をしていた。



それでも、



よし!



これで何とかなるかな・・・。



そう言ったAさんは、彼女の背中に向けて両手をかざした。



すると、断末魔の叫びの様な声が一瞬聞こえ、それはすぐに消えてしまった。



そして、Aさんは、



よし・・・これで、もう大丈夫!



貴女が痛いのと同じように私の手も痛いんだからね。



叩かれる者よりも叩く者の方が辛い時だってあるんだから・・・。



そう言って、俺とAさんは、その場を離れた。



そして、その帰り道、俺は心に思っていた事を尋ねた。



叩かれる者よりも、叩く者の方が辛い時もあるんだ?



でも、さっきのは、半分はAさんのストレス解消が目的



だったんじゃないの?



特に、背中を蹴ったのは?と。



すると、Aさんは、



まあ、その辺はご想像にお任せしますけど。



でも、やっぱり人を叩くと自分の手も痛いもんですね・・・。



そう言って笑った。



ちなみに、その後、彼女には怪異は一切発生していない。
  


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2018年11月10日

廃ホテルの住人

これは以前、飲み屋で知り合った方から聞いた話。



その方は、建設関係の仕事をしており、色んな現場に赴くのだそうだ。



新築のビルから、ビル改装、と、どちらかといえば、大きな建物を



扱う場合が多いのだそうだ。



そして、以前、巨大な廃ホテルとして有名だった建物の改装の案件が



あり、色んな業者さん達と一緒に、その現場を見に行ったのだという。



俺などは、廃ホテルというだけで、恐ろしく感じるが、実際には



何処からか浮浪者さん達が建物に入り込んで住まいにしているケースも



少なくないのだという。



だから、無人になった廃ホテルは、埃がたまっているだけではなく、



ある意味、ゴミ屋敷と化している場合が多い。



そこで、廃墟を住まいとしている人達には、当然、強制的に退去



してもらうのだが、そこは、彼の性格なのか、なんとなく



浮浪者さんたちとも仲良くなってしまう事も多いのだという。



無理やり力ずくで、叩きだすのではなく、色々と話を聞いてやって



納得して、その建物から退去してもらう。



それは、とても無駄な事に感じてしまうが、後々、工事を進めて



いく上で、問題も発生し難くなるし、何より、貴重な情報も



提供してくれる場合もあるのだという。



そして、その貴重な情報というのは、その建物が廃墟と化してから



数年、あるいは、十数年の間に、その建物の中で何がどう変わり、



そして、現在、何が起こっているのか、という事。



つまり、怪異は発生していないか、という事である。



そして、もしも、怪異が発生しているとすれば、工事が始まる前に



その問題を解決しておかなければならない。



そうしなければ、工事はスムーズに進まないし、何より、改装が終わり



新装オープンとなった時に、そこで、変な噂や怪異が発生してしまっては、



営業の妨げにもなってしまう。



だから、そんな場合は、然るべき神社や霊能者に頼んで、完全にその場所を



清めるのだそうだ。



勿論、それだけで怪異が治まる様な相手なら問題無いのだろうが・・・。



そして、彼が巨大な廃ホテルを担当した際にそこの住人である浮浪者さん達



に聞いたのが、こんな話だという。



その廃ホテルは温泉街の中にあるという立地の為なのか、食べ残しの食料が



すぐに手に入るのだという。



そして、無人化した豪華な巨大ホテルがあるということになれば、別の場所



からも、たくさんの浮浪者達が押し寄せてきたのだという。



最初は、まるで、天国のように居心地が良かった。



何しろ、豪華な部屋とベッドが使い放題で、食料としても



食べ残しとはいえ、豪華な料理が手に入るのだから、それは



想像に難くない。



部屋数も、途方もなく多かったから、最初はどの浮浪者も、1人で



いくつかの部屋を自由に占有して使っていた。



それが、ある時を契機に様相が変わってしまう。



最初は沢山の浮浪者が居たから分からなかった部分もあるのたろうが、



明らかに、浮浪者仲間が居なくなっていく。



最初は、この場所に飽きて、何処か他の場所に移動したのか、とも思ったが



それも、どうやら違うようだった。



そのうち、仲間内では変な噂が流れ始める。



それは、夜になると、廊下を移動するモノが居る、という事。



それは、まるで中世の貴族の女性の様な服を着ており、ゆらゆらと



した動きで、廊下をゆっくりと移動していくのだという。



そんな馬鹿な!と笑い飛ばす者も大勢いたが、それを確認しに行った



仲間は、次の日には姿が消えてしまっていた。



そして、それは、人目でもその姿を見た者は、瞬時に、そのモノ達の



移動する列に加えられるのだそうだ。



そうして、一人また一人と、恐怖に耐えきれず、その廃ホテルを離れて



いったのだという。



そして、残った仲間たちは、昼間は自由に廃ホテルの内部を行き来



しているが、夜になると何人かで固まって一つの部屋で息を殺して



その行列が通り過ぎるのを待つという生活になっているのだという。



そして、最初の頃には、廊下を見たり、出て行ったりしなければ



安全だったのだが、そのうちに、その行列は、廊下を通り過ぎる時に、



まるで、誰かを探すかのように、ドアをノックしていく様になった。



だから、もしも、作業をするなら、絶対に昼間だけにしないといけない!



そうしないと、大変事になるから!



そう教えられたという。



ちなみに、彼はそれを聞いてからは、決して夜に誰もホテル内に



立ち入らないようにルール歩決めた。



そして、それを確認する為に、暗視カメラをセットしてみたらしいのだが、



そこには、廊下を通り過ぎる白い靄のようなものが映っているだけだった。



しかし、どうも、その靄の様なものが人の形を成している様であり、



心霊関係の専門家に見せたところ、



これは、容易に祓えるモノではない!



と言われたという。



そして、現在でも、それを祓う為に、高名な霊能者やお寺に何度も



除霊をお願いしているが、いまだに解決できておらず、



夜には誰も入れないという状態が続いているという事だ。



それを聞いて、俺は、



Aさんや、姫ならどうなるのかな?



と一瞬、考えたが、彼女達がそんな事に首を突っ込むはずはないのは



分かっていたから、あえて、その場で二人の事は話さなかった。



でも、あの二人なら、きっとあっさりと解決してしまうのだろう。、



間違いなく・・・・。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 09:52Comments(2)
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