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2018年11月14日

内覧会のお知らせ

弊社で販売しているプリンタやカッティングプロッタのメーカー・ミマキエンジニアリング様の内覧会が開催されます。

中部地区12会場を順番に巡る秋冬ロードショー」。



10月22日から既に始まっていて、細田塗料が中心に営業活動している石川県は

金沢会場 ミマキエンジニアリング金沢営業所 
       石川県金沢市駅西新町2-12-6 TEL:076-222-5380
       11月19日(月)13:00~
       11月20日(火)10:00~

で開催となっています。

ぜひ、「細田塗料からの紹介で来ました」と伝えてUVプリンタ、レーザー加工機、溶剤プリンタ等を見学&体験していってください。

その他の今後のスケジュールは、

四日市会場 ツインメッセ静岡 11月27日(火)13:00~ 11月28日(水)10:00~
一宮会場  一宮地場産業ファッションセンター 11月29日(火)13:00~ 11月30.日(水)10:00~
岐阜会場  岐阜産業会館 12月3日(月)13:00~ 12月284日(火)10:00~
豊川会場  豊川文化会館 12月5日(水)13:00~ 12月6日(木)10:00~
多治見会場 セラミックパーク 12月11日(火)13:00~ 12月12日(水)10:00~

となっておりますので、よろしくお願いします。

以上、営業Tよりお知らせでした。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 07:45Comments(0)

2018年11月11日

2018最終・交流広場

営業のKです。

すみません。

怪奇現象で勝手にこちらにブログ記事が転載されてしまって(嘘です)

なので、こちらに、新しい交流用広場を作らせて頂きますので、

良かったらご活用くださいませ。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 13:06Comments(105)

2018年11月10日

フェリー

これは俺の知人が体験した話。



フェリーというのは便利なものだ。



橋も無いような場所まで車やバイク、トラックまで運んでくれる。



運転手は、その間、しばしの休憩をとれるし、何よりトラックで車を運ぶのに



比べてかなり割安で利用できる。



俺も北海道に行く際などには、何度も利用させてもらっていた。



やはり、船だけあって客室によってかなり金額に開きがある。



だから、俺はいつも大部屋のような所で皆が自分の荷物を枕に雑魚寝している



客室?で利用していた。



そして、今でこそ、車が駐車・保管されている場所には乗船中は一切



立ち入れない事になっている。



安全と防犯がその理由のようだが・・・。



ただし、昔はそんなに厳しく管理されてはいなかった。



確かに、車のオーナーは車の駐車場所には行かないように促されるが、中には



狭い客室よりも、駐車している車の中で寝るという人もそれなりに



居たのも事実だ。



そして、その時、彼が行っていたのは明らかに違法行為。



フェリー代金を浮かせるために、彼は無銭乗船をしたらしい。



乗船待ちの場所で意気投合した人に無理を承知で頼み込んたらしい。



そして、車のトランクの中という事なら、もしも何かあって見つかっても



勝手にトランクに忍び込まれたと言い訳ができるから、ということで、そのまま



彼はその方の車のトランクに乗り込んでじっと息を潜めていたという。



そのフェリーの目的地まで丸一日かかる予定だった。



そして、彼はそのフェリー代金を支払える程の余裕は持ち合わせてはいなかった。



彼は事前に買い込んだパンとジュース、そして、小さな荷物を持ってトランクに乗り込み



自らそのトランクを閉めた。



その時、彼はヒッチハイクでとある場所を目指していた。



だから、宿泊にかかる費用は勿論、移動に係るお金というのも緊急用のごく僅かな



金額しか持ち合わせていなかったというのだから、なかなか困ったものだ。



彼の乗った車はかなり大きなセダンだった。



だから、トランクが狭くてツライという事は無かったようだがそれでも、その車が



何処を走って、そしてフェリーのどの辺りに駐車するのかすら分からないというのは



やはり不安だったそうだ。



彼を乗せた車は、スムーズに進み、途中、何度かフェリーの係員らしき人と話を



しているのが聞こえたらしく、いつトランクを開けられるか、とハラハラしていた



様だが、結局、トランクは一度も開けられず、しばらくすると車は停車し、



係員が車を固定する作業をしていたという。



そして、その作業が終わると、運転手の男性が、挨拶の様にトランクをコンコンと



叩いてから車から離れていくのが分かった。



それからしばらくは沢山の車がどんどんと停車していくのが分かり、とても



賑やかだったが、それも1時間ほど経つと、大きく重い扉が閉められる音



と同時に完全に静寂に包まれた。



彼はポケットに入れてあった小型ライトを取り出して出来るだけ音を出さない様に



荷物の中からパンとジュースを取り出して、晩御飯を食べた。



途中、トイレに行きたくなると困るのでジュースは極力飲まないようにした。



そのうち、フェリーが港を出港したのが分かった。



天気予報をチェックしていた彼はその日の夜がかなり高い波になる事は知っていた。



しかし、それから1時間ほど過ぎた頃から、外は大荒れになった。



フェリーは高い波に翻弄され、彼が乗っていた車のトランクも酷い揺れに



襲われ、彼は思わず気分が悪くなったという。



それでも、必死に船酔いに耐えているうちに、彼は寝てしまったようだった。



それからしばらくして、彼は暗闇の中で目覚めた。



最初、自分がトランクの中に隠れて寝ているのだという事を思い出すまで



少し時間を要した。



それにしても、酷い揺れだった。



しかし、睡眠をとったせいか、船酔いの症状は無かった。



ギギッ・・・・・ギシギシ・・・・ガタンガタン・・・・。



そんな音を立てながら、車の格納場所に置かれている車達が大きく傾き、そして



揺れているのが分かった。



真っ暗な中、無機質な車達が、まるで生き物の様に揺れ動いている様子を



思うと、少し気味悪く感じたという。



すると、その時、それまでとは異質な音が聞こえてきた。



ペタッ・・・ズルズル・・・・ペタッ・・・ズルズル・・・・。



それは、濡れた裸足のまま、何かを引きずり歩いている様な音。



しかも、揺れ動く車の音で溢れているその場所で、何故かその音だけは、



はっきりと聞こえてくる。



誰か来たのか?



船の係員だったら、まずいな・・・。



彼はそう思い、しばらく息を殺して動かない様にした。



しかし、その足音は、いっこうに居なくなる事はなかった。



それどころか、車1台1台を調べているかのように、動き回っているのが



分かった。



やっぱり船の係員なのかもしれない・・・。



だとしたら、隠れているのがバレない様に、気をつけないと・・・・。



彼はそう思ったという。



しかし、次の瞬間、彼は聞いた事の無い声を聞いた。



いや、それは声というよりも、叫びといった方が近いのかもしれない。



ウオーン・・・・ギャギャギャギャ・・・・・。



それはとても人間の声には聞こえなかったが、最後に不気味な笑い声が



聞こえたように思えた。



これは人間じゃないのかもしれない・・・・。



だとしたら、いったい・・・・。



そう思ってしまうと、どんどん恐怖が増していく。



彼はトランクの中で固まったままじっと息を殺してその声と音に集中した。



すると、突然、



ドン!・・・・ドンドン!・・・・。



という音が彼の耳を襲った。



一瞬、彼は真っ暗なトランクの中を見渡してしまう。



それ程、大きな音だったという。



そして、また、



ドン!・・・・ドンドン!・・・・。



という音が間近から聞こえた。



もうま違う余地は無かった。



そり音は紛れもなく、彼が隠れている車のトランクを外から力任せに



叩く音だった。



なんでだ?



どうして、此処に隠れてるのが分かったんだ?



彼は生きた心地がしなかった。



得体の知れないモノが、彼の隠れているトランクをすぐ外から叩いている。



まるで、その中に自分がいる事を知っているかのように・・・・。



それでも、彼には、何も出来る筈は無かった。



必死に耳を塞ぎ、そして口をつぐんだ。



すると、突然、彼が隠れている車が大きく揺れ出した。



その揺れ方は、海の荒天に依るものではない事はすぐに理解できた。



外にいる何かが車を揺さぶっている。



まるで早く出て来い、とでも言わんばかりに・・・・。



車はどんどんと揺れが大きくなり、次第にトランクの中で体を支える事すら



難しくなっていく。



普通の人間にそれほどの力があるとは思えなかった。



彼は思わず、



ひっ!



と声を出してしまった。



すると、トランクの外からは



ギェギェギェ・・・・・ゲラゲラゲラ・・・。



そんな不気味な笑い声が聞こえたという。



そして、彼が隠れているトランクが突然、ゴーンと叩かれるのが分かった。



その音と同時にトランクは大きく凹み、彼の顔前に迫って来た。



それから、何度もトランクが凄まじい力で叩かれ、その度にトランクが大きく



ひしゃげてくるのが分かった。



彼は必死に体をトランクの端に寄せて、クランクの凹みによって潰されないように



体勢を変えた。



すると、みるみるうちに、トランクはひしゃげ、最後には完全にその部分には



スペースが無くなった。



そして、突然、外が静かになった。



彼はそれでも息を殺し続けた。



生きているのがバレだら大変な事になる・・・。



そう思ったからだった。



じっと動かないまま、彼は全神経を耳に集中させた。



相変わらず、車の外からは何の音も聞こえてこない。



もう行ったのか?



そう思い、彼が体を動かそうとした時、彼の目が何かを捉えた。



それは潰れたトランクの隙間から中を覗き込む大きな白い眼だった。



彼はなんとか悲鳴を上げるのを堪えた。



そうしなければ殺されてしまうと思ったという。



そして、彼はそのまま目をつぶり、身動きしないようにグッと体に力を入れた。



そうしているうちに、彼はそのまま意識を失った。



そして、彼が次に目覚めたのは、彼をトランクの中に匿ってくれた男性に



揺り起こされた時だった。



大丈夫か?



その男性は心配そうに彼に声を掛けてくれた。



そして、その男性から聞いた話によると、翌朝、男性が彼の様子を見に来た時、



車のトランクは大きく潰れ、そしてトランクは開いたままになっていたという。



そして、どうやら、その男性の車だけではなく、周りの車も含めて、



かなりの台数の車のトランクが大きく潰されていたという。



結局、彼はそのままバレずに目的地の港で下船する事が出来たらしいが、



その時、彼を襲ったモノが何なのかは今でも分からないという。



そして、勿論、その事があってから、彼はフェリーに乗る際には絶対に



車に残る事はしなくなったという事だ。

  


Posted by 細田塗料株式会社 at 09:57Comments(0)

2018年11月10日

あるフランス料理店の話

これは俺が体験した話である。



某県に、とあるフランス料理店が在る。



店構えも高級フランス料理店らしく、豪華でありその味も素晴らしい。



昼夜問わず客が溢れ、週末ともなれば予約を取ることすら困難な



人気店である。



その店で奇妙な噂が流れた。



霊が出るというのだ。



しかも、毎年決まった時期になると・・・。



そんな店に俺が招待された。



店からではなく友人からである。



彼は、その店のオーナーシェフの遠縁にあたるらしく、霊の目撃情報



が増えるにつれて心配になった。



お客が寄り付かなくなるのではないか・・・と。



そこで、俺に何らかの解決策を探って欲しいという旨の依頼だった。



常日頃から、高級フランス料理などとは関わりのない生活を送っている



俺は、二つ返事でOKした。



何しろ、無料でフランス料理が食べられるというのだから、断る理由は



見つからなかった。



そして、もう一人、同じ理由で同行してくれた人がいる。



勿論、Aさんである。



いつもは面倒臭がっていやな顔しかしないのだが、さすがに貧乏生活



を送っているAさんも、俺と同じ理由で快諾したのだった。



勿論、俺としても、俺だけで何かが解決できる筈もないのは重々承知



していたから、Aさんが同行を快諾してくれた事にほっとした気持ちだった。



招待してくれた友人と落ち合ってから一緒にその店に入った。



お店に入るとオーナーシェフ自ら出迎えてくれた。



しかし、どうも様子がおかしい。



霊の出現で困っている様子は微塵も感じないのだ。



それどころか、小声でほかの客に聞こえないように、慎重に霊の事を



聞く友人とは対照的に、大きな声で明るく話してくる。



そして、



そうかぁ・・お前の所にまで霊の話がいってるのかぁ・・・。



こりゃ、更に有名になってしまうかもなぁ(笑)



と妙に明るい。



そして、



まあ、久しぶりなんだから、今日はゆっくりと食事を楽しんでいってくれ!



と言うと、豪快に笑いながら、厨房の方へと消えていった。



俺達は、テーブルを囲んで、不思議な顔になってしまう。



いや、Aさんを除いては・・・。



Aさんは、まるでいつもと変わらない服装で、これまたいつもと変わらない



様子で楽しそうにメニューを見ている。



そして、



今日は食べ放題で良いんでしたっけ?



と聞いたが、友人に、



あの・・・コース料理で既に注文してありますから・・・。



と言われ、少しがっかりした顔になる。



そもそも、フランス料理の食べ放題などというものは聞いた事が無い



のだが・・・・・。



そして、料理が運ばれてくる。



料理の名前も、そして材料も分からなかったが、とにかく久しぶりに食べる



フランス料理はとても美味しいものだった。



そして、驚いたのが、さすがに元々は良家の出身であるAさんは、



ナイフやフォークの使い方はもとより、食事マナーが完璧



だったという事。



実に美味しそうに、そしてスマートに食事を進めていた。



しかし、その日俺達が招待された本題はあくまで霊の確認と対策だった。



だから、俺と友人は、コソコソと話をしていた。



すると、Aさんんが、



食事中にコソコソ話、止めて貰えます?



と冷たい目で睨んでくる。



そして、



霊なら、ちゃんと居ますよ・・・。



ちょうど私達の右隣のテーブルが空いてるでしょ?



そこに居ますね!



そう言うと、再び食事に没頭する。



確かに、ずっと気になっていた。



どうして、満席状態のその店で、そのテーブルだけが空いたままなのか、と。



だから、俺はAさんに聞いた。



そこに居るって・・・・今も座ってるって事?と。



するとAさんは、



それ以外にどういう意味に取れますか?



でも、何か違和感が無いんですよね・・・。



だから、きっとお店の方達は、何か知ってるはず・・・ですけどね。



そう言われてしまう。



だから、俺達は食事が終った後も、オーナーシェフに話を聞く為に、



その場に残っていた。



そして、結局、閉店になるまで、そのテーブルに客が座ることはなかった。



俺達が待っていると、オーナーシェフがやって来て



すまなかったな・・・待たせてしまって・・・。



で、何を聞きたいんだって?



そう言って、俺達の座るテーブルに腰かけた。



友人は、



勿論、霊が出るって事に決まってるじゃない!



実際、どうなの?



困ってるんじゃないの?



と聞くと、そのオーナーシェフは少し笑いながらこんな話をしてくれた。



実は、オーナーシェフがまだ若く有名フランス料理店で修行の後、



独立して、こじんまりとしたフランス料理店を出したそうだ。



シェフはずっと以前から、もっと気軽に誰でもが食べに来られる様な



家庭料理的なフランス料理店を出すのが夢だったという。



そして、念願かなってお店を出したものの、簡素で安っぽい造りの



店に客が訪れるのはごく稀だったという。



そんな時、若いカップルが食べに来てくれたのだという。



二人は、その店の料理をとても気に入ってくれて、毎週の様に



食べに来てくれた。



とても美味しそうに、そして楽しそうに食事をするそのカップルを見ていると



シェフ自身もとても幸せな気持ちになれた。



それから、そのカップルとの長い付き合いが始まった。



カップルはかなり貧しい様で、その店の安いフランス料理を食べに来る事も



かなりの出費だったらしいが、それでも、なんとかお金を工面して



毎週のように食べに来てくれる。



そのカップルにとっても、その店で食べるフランス料理は、つかの間の



贅沢と、そして幸せを感じられる時間だったのだろう。



そのうちに、お店も軌道に乗り始め、徐々にお客さんが増えていった。



そして、数年後には、現在の店へと場所を移し、新しいシェフやスタッフも



増えていった。



しかし、それからも、そのカップルは、毎週の様に顔を出してくれた。



お店の料理のグレードが上がり、値段も上がってしまったが、それでも



店に通ってくれ、値段があがった料理に対して、注文する品数を



抑えることで何とか顔を出してくれていた。



そして、その数年後にそのカップルは結婚した。



とてもお似合いのカップルであり、そのお店でもいつも仲むつまじく過ごす



二人を、お店のスタッフ全員が温かく見守っていた。



そして、それから数ヶ月後、お店のスタッフとシェフは、その夫婦に



とびきりのサプライズを用意した。



それは、二人の結婚記念日に二人を招待し、そして最上級のフルコース料理を



御馳走しようというものだった。



勿論、二人には、その事は内緒にして・・・・。



そして、その当日、二人を待っていたスタッフだったが、結局、二人が



お店に現れる事はなかった。



そして、その後しばらくしてオーナーシェフは驚愕の事実を知った。



それは、二人がその日、お店に向かっている途中、突然の事故に遭い、



そのまま帰らぬ人になってしまっていたという事だった。



スタッフ全員が、その事実を知った時、目の前が真っ暗になった。



もう、幸せそうなあの二人の姿は見られないのか、と。



しかし、それから良い意味で異変が起こった。



お店が暇な時、そして閉店した後などに、テーブルに座り楽しそうに



料理を待っている二人の姿が、何度も目撃された。



それは、店のスタッフだけでなく、お客さんの中にも、その姿を



目撃した者もいた。



しかし、オーナーシェフをはじめ、お店のスタッフは、その事を怖がるどころか、



心から喜んだという。



亡くなられてからも、あの二人はこの店に来てくれていたのだと・・・・。



それからは、二人がいつも座っていたテーブルは、どんな時でも



他の客を座らせることは無くなった。



その席は紛れもなく、その二人だけの席だったから。



そして、今でも年に一度、ちょうど、二人の結婚記念日には、お店を



臨時休業にして、二人の為に、目一杯の豪華なフランス料理を作り、



ワインと一緒にテーブルに並べておくのだそうだ。



そして、そのまま、そのお店は二人だけの貸し切りにする。



無駄なことだと思うかもしれないが、実際、翌日お店に来て、テーブルに



並んだ料理を見ると、確実に食べた形跡があるのだという。



そして、その事は今では常連客も周知の事実であり、誰も怖がる者は



居ないのだという。



それに、二人がいつもお店に居てくれるだけで、お店の中に



幸せな空気が満たされるから・・・・。



だって、二人はいつもこのお店がお客さんでいっぱいになる事を



願ってくれていたんだから・・・・。



だから、ほんのお礼の気持ちだよ!



そう言って、オーナーシェフは笑った。



そして、その話を聞いていたAさんは、



うん・・素晴らしい事をしていますよね!



二人もすごく喜んでますよ!



そして、私も何か幸せな気分になれました!



そう言って、珍しく笑っていた。
  


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2018年11月10日

奇葬の地

これは大学時代の友人から聞いた話。



彼の母親の実家というのは、兵庫県のとある村。



兵庫県というと、神戸市など海沿いの市が代表的で、お洒落な都会という



イメージが強いのだが、兵庫県といってもかなり広い。



兵庫県は、下は瀬戸内海、上は日本海まで繋がっているのだから、



かなり広範囲な県なのである。



そして、彼の母親の実家があるのは、兵庫県の上の部分。



そこは、もう神戸市などとは完全に別次元ののどかな田舎が広がっている。



そして、そこでは、誰かが亡くなると、かなり変わった方法で



葬儀を執り行うのだという。



それは、亡くなった人を、縄で縛り、動けなくしてから頑丈な



鉄の箱に収める。



そして、丸3日、そのままの状態で、通夜と葬儀を行うのだそうだ。



なんて、罰当たりな!と思ってしまうが、それには、それなりの



理由があるのだという。



その地域では人が死ぬと、その肉体を使って悪霊が悪さをするという



言い伝えがある。



それは、ずっと昔から守り続けられてきた決まり事であり、確かに



以前は、そういう事も起こっていたのだろう。



そして、彼自身も、以前、それに似た現象を目の当たりにした事があるという。



太い縄で縛られた亡骸を納めた鉄の箱。



それが、お坊さんがお経をあげている最中、ガタガタと震えだし、



箱の中からはおぞましい声が聞こえてきたのだという。



だから、彼は今でも、その風習の意味を理解し、信じている。



しかし、やはり、現代において全ての人が、それを信じるという事は



無理な話なのかもしれない。



そして、その村にもある時、そこに住む祖父母を頼って若い夫婦が移住



してきた。



村自体は、過疎化が進んでいた事もあり、若い夫婦の移住を歓迎してくれた。



そして、それからの数年間は何事もなく過ぎていき、その夫婦も次第に



村の生活にも馴染んでいき、知り合いも沢山増えていった。



しかし、彼ら夫婦は、住んでいるのはその村だったが、仕事では



近くの市に在る会社まで働きに行っており、事実上、その村で過ごすのは



夜寝る時と、休日だけだったのも、少しは影響していたのかもしれない。



そう、彼らは、古い村の葬儀のやり方に、全く理解を示さなかった。



勿論、そうだとしても、彼らが通夜や葬式に参列する事は少なかったから



それ自体は対して問題にはならなかったのかもしれないが・・・。



そんなある日、その夫婦の祖母が亡くなってしまう。



祖母は自分の死期を感じていたのだろう。



その夫婦に、昔から伝わるこの村の葬儀についてしっかりと言い聞かせた。



そして、自分がもしも死んだら、ちゃんとそのルールに則って葬儀を



進めて欲しいと言い残した。



さすがに、直に説き聞かせる様に説得された夫婦は、その場では



首を縦に振ったが、もうその頃になると、ある意味、意固地になつて



しまっていたから、心の中では決して納得などしてはいなかった様だ。



そして、通夜の段になり、やはり、その夫婦は祖母を縛り、金属製の箱



の中に入れる事を断固として拒んだ。



祖父が、泣いて懇願したらしいが、それでも、その夫婦は、



亡くなった祖母に対してそんな無礼な事など出来る筈が無い!



と言い張って、頑として首を縦には振らなかったという。



そして、その結果として、村人はおろか、親戚すらも通夜には参列



する事は無かった。



皆、そこで起こるであろう凶事を恐れのだという。



通夜が始まり、参列したのは、祖父とその夫婦だけ。



それは、みすぼらしい通夜だった。



そして、祖父自身も、亡くなった妻である祖父の蘇りを恐れていた。



しかし、僧侶も来ない通夜で、他にお経を読みあげる者もいなかったから、



自ら、必死に祖母の棺桶の一番近くに座り、お経を読み上げ続けていた。



それは、もしも何かあれば、自分が犠牲になって、若い夫婦を守らなければ、



という祖父の強い気持ちの表れだったのかもしれない。



そして、その時、若夫婦も、さすがに少し後悔していたという。



それと同時に、そんな馬鹿げた迷信を信じるあまり、誰も祖母の通夜に



参列しないという薄情さに呆れ果てていたという。



それから、何事もなく、通夜の時間は過ぎていった。



さすがに、3人だけの通夜ということで、誰もその場から離れて



仮眠を取る事も出来ない。



祖父は、まるで何かにとり憑かれたかのように、必死でお経を唱え続けていた。



そして、彼ら夫婦は、その場でこくりこくりと浅い眠りについてしまう。



そして、異変が起こったのは、午前1時を回った頃だった。



突然、祖母が収められた棺桶の蓋が、はじけ飛んだ。



その音に、彼ら若夫婦も一気に目が覚めたという。



ハッとして視線をあげた彼らの目には棺桶からむくりと起き上がる



祖母の姿が目に入った。



祖父は、必死にお経を唱え続けながら、



いかん!・・・・堪えてくれ!



と叫んだ。



しかし、それでも、祖母の遺体は、そのまま棺桶を出て、祖父の横に



立ったという。



そして、祖父から視線を外すと、今度は若夫婦を睨みつけていた。



彼らは、完全にパニックになっていた。



それでも、祖母の直接の孫である夫が、



ばあちゃん・・・やめてくれ!



いつもの優しいばあちゃんに戻ってくれよ!



そう言った。



しかし、その時、既に祖母の顔は、明らかに祖母とは別人の顔になっていた。



亡くなってから死後硬直であんなに小さくなっていた体も、大きく細く



なつており、その顔はまさに般若と呼ぶに相応しかった。



それでも、祖父はお経だけが、その現状を解決してくれると思っていた



から、更に一心不乱にお経を読み上げ続けていた。



しかし、次の瞬間、バタバタという足音とともに、祖母が彼ら夫婦に



駆け寄り、そして、そのまま外へと引きずっていったという。



うわぁー・・・助けてくれ!



彼らの悲鳴は村中に響き渡った。



しかし、村の禁忌に触れる事の恐ろしさを知っていた村人たちは誰ひとりとして



外へは助けに出てこなかった。



そして、ずっと長い間、聞こえ続けていた悲鳴も、しばらくすると、



全く聞こえなくなったという。



そして、朝になり、ようやく外に出てきた村人たちは、祖父から事情を聴き、



有志を募って彼ら夫婦を探しに出たという。



そして、結局、その夫婦は、村はずれのの溜池のほとりで、無残に



引きちぎられた姿で発見されたという。



手も足も頭も、何かに齧られたかのように、欠損していたという。



それから、彼ら夫婦の遺体は、村のしきたりに従い、厳重に縛られたうえ、



金属製の箱に入れられて、通夜と葬儀が行われた。



そして、どうやら、その時にも、まるで彼らが生き返ったかのように、



箱の中からは、どんどんとはこを叩く音が聞こえ、とても人間とは思えない



様なおぞましい声で唸り声をあげていたという。



その事があってから、更にその村では厳しくしきたりを厳守する様に



なったという。



そして、彼は言っていた。



いつの頃からか分からないが、その村でそんな形の通夜や葬儀が



行われるのは、きっと何かの呪いなのではないか、と。



だから、死んだ者は、3日間の間、何かに憑依されて、実害を



伴って現世に蘇る。



そして、3日経つと、まるで何も無かったかのように、普通の状態に戻る。



だから、その3日間だけは、絶対に、その遺体を自由にしてはいけないんだ。



そう言っていた。



ちなみに、その村では今でも厳粛に、そのしきたりが守られている



のだそうだ。
  


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2018年11月10日

名前を告げてはいけない

名前というのは、それだけで縛りになるのだという。



呪いの儀式で、相手の名前も書くのも、そういう事であるし、



悪魔祓いの際にも、先ず、エクソシストがやらなくてはいけない事は



とり憑いている悪魔の名前を言わせること。



人間界でもそうであるように、霊界や、キリスト教の世界でも、固有の



名前というものが、とても重要であり、必要とされるらしい。



そして、これから書くのは看護師をしている、俺の知人が体験した話である。



彼女はその時、自分の車で用事のためとある場所に向かっていた。



朝早い時間だったので、車の通行も少なく快適に車を



走らせていたのだという。



そして、突然、後方から凄い速度で1台の車が近づいたかと思うと、



そのまま彼女の車を一気に追い越して行った。



危ないな~・・・いったい何キロ出してるの?



彼女はそ思っていると、そのまま追い越した車はあっさりと見えなくなった。



彼女は気を取り直して、そのまま車を走らせた。



そして、それから5分ほど走ったところで、彼女は異様な風景を目にした。



車が橋の欄干にめり込んで煙をあげていた。



車の原型は既にとどめてはいなかったが、その車は間違いなく先ほど



彼女の車を猛スピードで追い抜いていった車だった。



かなり早朝ということもあり、後方からも対向車線からも車は



1台も走っては来ない。



彼女は急いで車を路肩に停止させると、慌てて車から降りた。



普通なら、その場で救急車を呼ぶだけなのだろう。



しかし、看護師の彼女は、車を降りると、そのまま事故車両に近づいていく。



車の中には当然、運転者らしき男性が1人乗っていた。



エアバックが作動して運転席を埋め尽くしていたが、それでも、その時、



彼女は、



ああ・・・これじゃ、もう助からないな・・・。



そう思ったという。



そして、急いで、携帯で救急車を呼んだ。



そして、その間、彼女は、何度もその男性に呼びかけたという。



大丈夫ですか?



もうすぐ救急車が来ますから!



そうやって、一応声掛けはしていたが、看護師の彼女には、その酷い



状態から、もう二度と意識は戻らないだろうな、と思っていた。



と、その時、突然、男性の目が開いた。



そして、彼女に向って、



あの…名前は?・・・・。



と聞いてきたという。



突然のことに驚いた彼女は、思わず、



鈴木ですけど?



と自分の名字を答えてしまう。



すると、その男は、



いえ・・・下のお名前は?



と聞いてくる。



その時、彼女はまるで催眠術にでもかかったかのように自分の名前を



○○です。



と答えてしまった。



すると、その男性はそのまま安心したように再び目を閉じたという。



そして、それからはぴくりとも動かなくなった。



程なくして救急車が到着した。



そして、警察も到着。



救急隊員の話を聞いていると、どうやら、その男性はぶつかった



瞬間に、既に即死だったと聞かされた。



目を開けて喋ったんだから、即死じゃないでしょ?



と心の中で思ったらしいが、そのあと、彼女は更に驚く事実を



警察から聞かされることになった。



それは、ブレーキ痕が無い事、そして車の中に遺書があったことから、



その事故は、死亡した男性による自殺と断定されたというものだった。



彼女は茫然としてしまう。



あの男の人は事故ではなく自殺だったの?



だとしたら、何故私の名前なんか聞いてきたの?



それに私はうっかりと自分の名前を告げてしまった・・・。



何も起こらなければ良いんだけど・・・・。



そんな思いで頭の中がいっぱいになった。



しかし、彼女の不安は、それからしばらくして現実のものとなる。



最初は夢を見たという。



あの事故現場の男が、崩れた顔のまま夢の中に出てきて、



次は○○の番だよ・・・・。



ちゃんと迎えに行くから・・・・。



と少し笑みを浮かべながら、言った。



そこで、いつも彼女は夢から醒めるのだが、起きた時にはいつも背中に



びっしょりと冷たい汗をかいていた。



しかし、彼女は気にしないように努めた。



きっと自分はあの事故の事がいまだに忘れられないんだ・・・。



だから、早く忘れなきゃ・・・・。



そう思って、毎日の病院勤めに励んだ。



そして、病院で働いていると、その忙しさから、その悪夢の事はすっかり



忘れる事が出来た。



そんなある日、彼女が家に帰ると母親から、こう言われた。



今日、昼間に電話があってね・・・。



あんたの知り合いだって名乗るんだけど名前は言わないのよ・・・。



そして、伝言だって言われたんだけど何か気持ち悪くてね・・・。



そう言われた。



電話の相手は何処か遠くから掛けてきているのか、声は途切れたり、



とても小さく聞こえたという。



そして、その男からの伝言だと言われて母親から渡されたメモを見て



彼女は固まってしまう。



そこには、



次は○○の番だよ・・・・。



ちゃんと迎えに行くから・・・・。



と書かれていた。



彼女は恐怖のあまり自分の部屋に駆け込んだ。



そして、



夢じゃなかったの?



私が何したって言うのよ・・・。



と途方に暮れてしまう。



そして、その日から、更なる怪異が起こり始める。



常に誰かに見られている気がするのだ。



最初は、気のせいかとも思ったが、そのうち、彼女はある事に気付く。



それは、常に誰かが自分の後ろに立っているという事。



そして、それは決して思い過ごし等ではなかった。



街中を歩いていても、たまに彼女の背後をやたらジロジロと見ながら



通り過ぎる人が多くなった。



勤務先の病院でも、患者さん達の中には、



後ろの人、どうしたの?



と彼女に耳打ちをしてくる人が何人もいた。



更に、彼女の家族も、家の中で見知らぬ男の姿を何度も目撃する様に



なり、やがて、家族の中には、階段から滑り落ちたり、ガラスが割れて



顔を切ったりと怪我をする者まで出てきた。



その怪我はどれも命にかかわるものではなかったが、彼女を追い詰める



には十分だったのかもしれない。



そのうちに、彼女の心は、



私のせいで家族が怪我をしてしまう・・・。



このままでは、命も危険になるかもしれない・・・。



でも、もしかしたら、私があの男の望み通り、自殺すれば誰も傷つかなくて



済むのかもしれない・・・。



そんな考えで固まっていった。



そんな風に思い始めると、彼女には、その男の声が聞こえ始める。



それは、駅のホームで電車を待っている時・・・。



車を運転している時・・・。



病院の窓から外を眺めている時・・・。



きまって、その男の声が聞こえてきた。



まだかい?



まだ死ねないのかい?と。



その度に、彼女はその場から走って逃げるしかなかった。



やはり、彼女にとって自殺は怖いものでしかなかったのだから。



そして、ちょうどその頃、友人を通して、彼女の事が俺の耳に入った。



俺はすかさず、Aさんに相談した。



Aさんは、彼女が置かれている現状を話すと、いつもの様に、



まあ、そうですね。



内容はわかりましたけど、それと私がどういう関係があるんですかね?



と面倒くさそうに言っていたが、俺が、



それが、その原因になった事っていうのが、彼女が自殺した者に、



自分の名前を教えちゃったから・・・らしいんだ。



と言うと、



名前を教えちゃったんですか?



やっぱりKさんの知り合いにも馬鹿が多いんですね。



類は友を呼ぶって、やつですか・・・。



と憎まれ口を叩いていたが、それでも、



そういうことなら、猶予はあまり無いかも知れません。



そう言って、今から行く、と言ってくれた。



俺達は彼女の勤務先である病院で落ち合った。



そして、彼女に連絡を取り、今から出てこれないか?と打診した。



すると、彼女は、看護師の制服のまま、走ってやって来た。



そして、俺が、



えーっと、こちらがAさん。



霊能者じゃないけど、かなりの力を持ってるから・・・。



そして、Aさんに向かって、



えーっと、こちらが・・・・。



と紹介しようとしたところ、Aさんが、こう言った。



貴女が、自殺者に名前を教えちゃったお馬鹿さんですか?



本当に馬鹿と関わるのは、Kさんだけにしときたいんですけどねぇ。



とからかう様に言っていたが、その後、すぐに真顔になって、



とにかく、時間がもう残されていないかもしれない。



その男は、もう貴女の背中で、かなり大きくなってしまってるから。



という事で、私も時間が無いし、少し荒療治で行くけど、我慢



してくださいね!



そう前置きして、彼女の背中に近づいていく。



そして、何を思ったのか、Aさんは、彼女の背中を思いっきり蹴った。



彼女は苦痛の表情を浮かべながら、



いきなり、何するんですか!



と声を荒げたが、Aさんは、すかさず、



荒療治するって、言ったでしょ!



それに、このまま死ぬのと、痛いのとどっちがいいの?



そう言って、今度は背中をバンバンと両手で叩きだす。



そして、



こうしないと、もう離せない位に大きくなってるんだから仕方ないでしょ!



だいたい、自殺者とか死んでいく者に、自分の名前を教えるなんて論外!



それって、呪ってくれって言ってるのと同じだからね。



名前というのは、この世の中で唯一の貴女自身を特定するもの。



名前を知られるっていうのは、相手に縛られるのと同じなの。



だから、もう二度と、死んでいく者に名前なんか教えないでよ!



そう言うと、既にかりな体力を使ったのか、Aさんは肩で息をしていた。



それでも、



よし!



これで何とかなるかな・・・。



そう言ったAさんは、彼女の背中に向けて両手をかざした。



すると、断末魔の叫びの様な声が一瞬聞こえ、それはすぐに消えてしまった。



そして、Aさんは、



よし・・・これで、もう大丈夫!



貴女が痛いのと同じように私の手も痛いんだからね。



叩かれる者よりも叩く者の方が辛い時だってあるんだから・・・。



そう言って、俺とAさんは、その場を離れた。



そして、その帰り道、俺は心に思っていた事を尋ねた。



叩かれる者よりも、叩く者の方が辛い時もあるんだ?



でも、さっきのは、半分はAさんのストレス解消が目的



だったんじゃないの?



特に、背中を蹴ったのは?と。



すると、Aさんは、



まあ、その辺はご想像にお任せしますけど。



でも、やっぱり人を叩くと自分の手も痛いもんですね・・・。



そう言って笑った。



ちなみに、その後、彼女には怪異は一切発生していない。
  


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2018年11月10日

廃ホテルの住人

これは以前、飲み屋で知り合った方から聞いた話。



その方は、建設関係の仕事をしており、色んな現場に赴くのだそうだ。



新築のビルから、ビル改装、と、どちらかといえば、大きな建物を



扱う場合が多いのだそうだ。



そして、以前、巨大な廃ホテルとして有名だった建物の改装の案件が



あり、色んな業者さん達と一緒に、その現場を見に行ったのだという。



俺などは、廃ホテルというだけで、恐ろしく感じるが、実際には



何処からか浮浪者さん達が建物に入り込んで住まいにしているケースも



少なくないのだという。



だから、無人になった廃ホテルは、埃がたまっているだけではなく、



ある意味、ゴミ屋敷と化している場合が多い。



そこで、廃墟を住まいとしている人達には、当然、強制的に退去



してもらうのだが、そこは、彼の性格なのか、なんとなく



浮浪者さんたちとも仲良くなってしまう事も多いのだという。



無理やり力ずくで、叩きだすのではなく、色々と話を聞いてやって



納得して、その建物から退去してもらう。



それは、とても無駄な事に感じてしまうが、後々、工事を進めて



いく上で、問題も発生し難くなるし、何より、貴重な情報も



提供してくれる場合もあるのだという。



そして、その貴重な情報というのは、その建物が廃墟と化してから



数年、あるいは、十数年の間に、その建物の中で何がどう変わり、



そして、現在、何が起こっているのか、という事。



つまり、怪異は発生していないか、という事である。



そして、もしも、怪異が発生しているとすれば、工事が始まる前に



その問題を解決しておかなければならない。



そうしなければ、工事はスムーズに進まないし、何より、改装が終わり



新装オープンとなった時に、そこで、変な噂や怪異が発生してしまっては、



営業の妨げにもなってしまう。



だから、そんな場合は、然るべき神社や霊能者に頼んで、完全にその場所を



清めるのだそうだ。



勿論、それだけで怪異が治まる様な相手なら問題無いのだろうが・・・。



そして、彼が巨大な廃ホテルを担当した際にそこの住人である浮浪者さん達



に聞いたのが、こんな話だという。



その廃ホテルは温泉街の中にあるという立地の為なのか、食べ残しの食料が



すぐに手に入るのだという。



そして、無人化した豪華な巨大ホテルがあるということになれば、別の場所



からも、たくさんの浮浪者達が押し寄せてきたのだという。



最初は、まるで、天国のように居心地が良かった。



何しろ、豪華な部屋とベッドが使い放題で、食料としても



食べ残しとはいえ、豪華な料理が手に入るのだから、それは



想像に難くない。



部屋数も、途方もなく多かったから、最初はどの浮浪者も、1人で



いくつかの部屋を自由に占有して使っていた。



それが、ある時を契機に様相が変わってしまう。



最初は沢山の浮浪者が居たから分からなかった部分もあるのたろうが、



明らかに、浮浪者仲間が居なくなっていく。



最初は、この場所に飽きて、何処か他の場所に移動したのか、とも思ったが



それも、どうやら違うようだった。



そのうち、仲間内では変な噂が流れ始める。



それは、夜になると、廊下を移動するモノが居る、という事。



それは、まるで中世の貴族の女性の様な服を着ており、ゆらゆらと



した動きで、廊下をゆっくりと移動していくのだという。



そんな馬鹿な!と笑い飛ばす者も大勢いたが、それを確認しに行った



仲間は、次の日には姿が消えてしまっていた。



そして、それは、人目でもその姿を見た者は、瞬時に、そのモノ達の



移動する列に加えられるのだそうだ。



そうして、一人また一人と、恐怖に耐えきれず、その廃ホテルを離れて



いったのだという。



そして、残った仲間たちは、昼間は自由に廃ホテルの内部を行き来



しているが、夜になると何人かで固まって一つの部屋で息を殺して



その行列が通り過ぎるのを待つという生活になっているのだという。



そして、最初の頃には、廊下を見たり、出て行ったりしなければ



安全だったのだが、そのうちに、その行列は、廊下を通り過ぎる時に、



まるで、誰かを探すかのように、ドアをノックしていく様になった。



だから、もしも、作業をするなら、絶対に昼間だけにしないといけない!



そうしないと、大変事になるから!



そう教えられたという。



ちなみに、彼はそれを聞いてからは、決して夜に誰もホテル内に



立ち入らないようにルール歩決めた。



そして、それを確認する為に、暗視カメラをセットしてみたらしいのだが、



そこには、廊下を通り過ぎる白い靄のようなものが映っているだけだった。



しかし、どうも、その靄の様なものが人の形を成している様であり、



心霊関係の専門家に見せたところ、



これは、容易に祓えるモノではない!



と言われたという。



そして、現在でも、それを祓う為に、高名な霊能者やお寺に何度も



除霊をお願いしているが、いまだに解決できておらず、



夜には誰も入れないという状態が続いているという事だ。



それを聞いて、俺は、



Aさんや、姫ならどうなるのかな?



と一瞬、考えたが、彼女達がそんな事に首を突っ込むはずはないのは



分かっていたから、あえて、その場で二人の事は話さなかった。



でも、あの二人なら、きっとあっさりと解決してしまうのだろう。、



間違いなく・・・・。
  


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2018年11月10日

リサイクルショップ・・・・。

最近は衣服専門のリサイクルショップが増えた。



俺にしてみると、見ず知らずの誰かが一度着た服を着るというのは、



それなりに抵抗がある。



しかし、まあ、中古のギターを買ったり中古の車を買ったりという



経験はあるから、取り立てて否定も出来ないが。



確かに、これからのエコな世界を生きていく為には、古着のという選択も



必要なのかもしれない。



そして、これは俺の友人の話。



彼女は、若い頃はかなりファッションにお金を使っていたようだ。



周りの友人たちもそうだったし、それが人生の楽しみになっていた



部分もあるのだという。



しかし、結婚し、子供が出来ると、さすがに衣服に大金をつぎ込めなくなる。



そこで、目をつけたのが古着・・・なのだそうだ。



新品を買おうとしたら、とても手が出ないし、何より、周りから不評で



後悔してしまうという事もあるが、古着なら、少し派手かな?という



服にでも気軽に手を出せるらしい。



中には一着、数百円という服もあるらしいから、驚きである。



そんな彼女はある日、行きつけの古着屋で、かなり派手で珍しい



デザインのドレスを見つけた。



ドレスなど着ていく機会は無いのは分かっていたが、その値段の安さから



思わず衝動買いをしてしまったという。



血の様な赤と、黒色のコントラストがとても美しく、背中の大きく開いたドレスは



彼女にとっては初めての経験であり、少し恥ずかしさもあったが、どうせ



外に着ていく機会は無いだろうと自覚していたので、あくまでコレクション



として、その服を買ったのだという。



そして、家に帰り、さっそく、そのドレスに着替え、子供たちに見せると



子供たちは、



ママ、綺麗!



と大好評だったという。



しかし、夫が帰宅して、同じようにそのドレスを着て見せたところ、



お前、頭大丈夫か?



と冷たい目で見られたという。



彼女はそれが悔しくて、しばらくはその服を箪笥の一番奥にしまい込んだ。



もう、二度とあのドレスは着ない!



そう心に誓ったという。



しかし、しばらくすると、無性にそのドレスが着たくなってしまう。



誰も居ない時なら大丈夫かな、と思い、彼女はタンスからそのドレスを



取り出した。



何故か、買った時に見たよりも、どす黒い赤になっていた様に感じたという。



それでも、気にせず、彼女はそのドレスを着て鏡台の前に座った。



自分ではとても似合ってる様に見えた。



こんなに似合ってるのにな・・・・・・。



そんな事を考えながら鏡の前に座っていると、次第に頭がぼんやりとしてきた。



そして、軽い睡魔に襲われた。



そして、そのうちに、まるで鏡の前に座っているのが自分ではないような



感覚に襲われたという。



それでも気分自体は悪くは無かった。



綺麗・・・・・。



そんな事をぼんやりと考えている自分がいた。



それから、彼女はずっとその鏡台の前に座り続けていたのだろう。



突然、



キャー!



という悲鳴で我に返った。



そこには、青ざめた顔の子供たちが茫然と立ち尽くしていたという。



ハッと我に返った彼女は、



どうしたの?



何かあった?



と子供たちに聞いた。



すると、子供たちは、



今、ママじゃない女の人が鏡台に座ってた!



と震えた声で言った。



だから、彼女は、



鏡台の前に座ってたのはママだったでしょ?



だから、何も怖くないからね!



と返したのだが、子供たちは、



でも、さっき座ってたのは絶対にママじゃなかったよ!



と彼女に距離を取る様にして話した。



そんな事があってから、彼女自身も気持ち悪くなり、そのドレスを二度と



着ない、と心に誓った。



しかし、しばらくすると、ずくに又、そのドレスを着たくなってしまう。



だから、夫や子供たちが家に居ない時間帯を使って、1人でそのドレスを着て



鏡台の前に座るのが日課になっていく。



そんなある日、彼女は夫から、



なんか、最近、病的に痩せてきてるんじゃないか?



一度、病院に行って診て貰った方がいいぞ!



と言われてしまう。



しかし、痩せたと言われて彼女は逆に嬉しくなってしまう。



勿論、彼女はダイエットなどしてはいなかったし、ドレスを着るだけで



痩せられるのだとしたらこんなに嬉しい事はなかったから。



だから、彼女は夫や子供たちが家に居ない時には、ずっとそのトレスを着て



過ごすようになっていった。



そのドレスを着ていると、彼女が苦手だと思っていた事も、何故か簡単に



こなす事が出来たし、それを着ている間は、何故か悩みも全て



忘れる事が出来た。



まさに、最高のドレスだった。



しかし、ある日、彼女は、夫と子供たちに真剣な顔で心配されてしまう。



それは、その痩せ方が異常と言えるものだったから・・・。



元々は少しふっくらとしていた彼女だったが、既に見る影もなく



骨と皮だけという感じになっており、まさに、別人のようだった。



それでも、彼女自身、痩せていくという事が、嬉しかったし、



自分では、その痩せ方が異常だとは感じなかったらしい。



そんなある日、彼女が夜、トイレに行く為に1階へと降りて来ると



何か小さく鼻歌の様な声が聞こえてきた。



だから、彼女はその声が聞こえてくる鏡台の置いてある部屋をそっと



覗いてみた。



すると、そこには、見た事も無い女が、彼女のドレスを着て髪をとかしていた。



その顔はやせ細り、骨と皮だけになった手で、抜け落ちてまばらになつた



髪をとかしている。



その異様な姿に彼女は悲鳴を上げようとした。



しかし、声は出なかった。



ただ、恐怖で彼女の歯はカチカチと音を立てて鳴った。



すると、その女はゆっくりと彼女の方を向いて、こう言った。



こんばんは。



もうすぐ、迎えに来れるわね・・・・・と。



その声を聞いて彼女は意識を失った。



そして、彼女が倒れた音で起きてきた夫に助け起こされ、彼女は病院に



連れて行かれた。



体に異常は無かったが、精神が病んでいるという診断をくだされた。



彼女は結局、そのまま病院に入院する事になったが、その時、何かに



気が付いた彼女は自分の今の姿の異常さが、あの時の女の姿と



そっくりなことを自覚し、夫に、あのドレスを処分して欲しい、と



頼んだという。



しかし、彼女がそのドレスを買った店に持ち込んだが、何故かそのドレスを



引き取ってくれる事は無かった。



だから、夫と子供たちは、家の庭で、そのドレスを燃やすことは決めた。



しかし、ドレスを燃やそうとすると、突然、雨が降ってきたり、



マッチの火が消えてしまったりと、どうしてもそのドレスを燃やせなかった。



そこで、仕方なく、彼女は俺にそのドレスの処分を依頼してきた。



そして、処分と言う言葉が、大好きなAさんに、俺は協力を頼んだ。



いつもなら、面倒くさいといってなかなか協力してれないAさんも、



予想通り、すぐにやってきた。



そして、そのドレスを見るなり、



ああ…なるほど…これは危ない奴ですね。



こんなの着てたら命が幾つあっても足りませんよ!



それじゃ・・・・。



そう言って、嬉しそうにそのドレスに火をつける。



まるで、そのドレスにとり憑いているものをいたぶるように゛ジワジワ



と燃やしていくAさんを見ていると、どちらが被害者なのか、



分からなくなってくる。



そして、一気に火を点けると、そのドレスは在り得ないような燃え方をして、



ギャアー!



という叫び声が聞こえた後、跡形もなく燃えていった。



その後、彼女はすぐに体調も治り、しばらくして病院を退院した。



そして、それからは何も怪異は起こっていないという。

  


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2018年11月10日

ラジオ

これは友人が体験した話。



彼は今でこそ弁護士という仕事をしているが、以前はバイトで



生計を立てながら、夜はずっと司法試験の勉強という生活を



送っていた。



元々、能登の田舎の出身だった彼は、その頃は完全に



一人暮らし。



金沢市内の安アパートで、自炊生活。



朝、自分で弁当を作り、それを持ってバイトに行く。



そして、夜はバイトの帰りに買ってきた安い材料で適当なものを



造って食べる。



今のそれなりにリッチな生活からはとても想像出来ない。



勿論、彼は東京の大学の法学部を出たが、すぐには司法試験に合格



する事は出来ず、一時は一般の会社にも就職した。



しかし、やはり弁護士になるという幼いころからの夢を捨てきれず、



働きながら司法試験の勉強を続けていたが、やはり正社員として



働きながらの勉強に限界を感じ、結局、会社を辞めてバイト生活



を送るようになった。



勉強の邪魔にならないように部屋にはテレビも無く、唯一の娯楽といえば



ラジオを聴く事だった。



そして、ラジオを聴きながら、彼は夜の8時ころから翌朝の3時頃まで



司法試験の勉強をするのか日課になっていた。



司法試験の勉強と聞けば、暗記や法律の理解が主になるのだからラジオの



音というのは邪魔になるのではないか、と思ってしまうが、さすがに



深夜から夜明け近くまで、独りぼっちで勉強していると、まるで自分が



一人だけ取り残されたような気持ちになってしまい、そういう気持ちを



和らげる為にも、ラジオは欠かせないものになっていたという。



彼がいつも聞くのはある民放の深夜放送だった。



午前1時に始まり、午前5時まで続けられる放送。



パーソナリティの軽快な語り口もあって、彼は勉強の途中に笑わされる



事もしばしばであり、彼には欠かせない放送になっていた。



そして、その夜も彼はその放送を聴きながら、勉強に励んでいた。



外は生憎の雨模様であり、彼は窓を閉め切って机に向かっていた。



相変わらず、楽しく進められる放送内容に、彼はその日も順調に



勉強を進めていたという。



そして、ふと、異変に気付く。



いつもより、パーソナリティの男性の声が低く感じた。



いや、正確にいえば、まるでテープの再生速度を少し落とした様な



不思議な声だった。



電池切れ?



そう思ったが、今聞いているのはカセットテープではなくラジオである。



電池が少なくなってきたからと言って、再生が遅くなるという事も



在り得なかった。



あれ?おかしいな・・・・。



そうは思ったが、あくまでラジオはBGM代わりに流しているものであり、



彼は気にせず勉強に集中した。



そして、次に彼がラジオに耳を傾けた時、ラジオからは、とても人間とは



思えないような声が流れていた。



音声にエフェクトをかけ、それを更に大幅に遅く再生した感じ。



何を話しているのかも聞き取れなかった。



その時点で、彼は勉強そっとのけで、ラジオに集中してしまう。



きっと、ラジオ番組の企画で、何か面白い事でもしているのだろう。



そう思ったという。



しかし、どうも様子が違った。



音楽も流れず、ただ聞き取れない言葉を繰り返しているだけ・・・。



しかも、声の音量も大きくなったり小さくなったりと不安定で不快だった。



彼はしばらく、そのラジオから流れてくる声に聞き入っていたが、さすがに



これ以上は無理だと判断し、ラジオを別の放送に切り替えようと



チューニングのつまみを回した。



しかし、どこの放送局に合わせても、聞こえてくるのは先ほどと同じ



良く分からない声だった。



ラジオが壊れたのか?



そう思った彼は諦めてラジオの電源を切ろうとした。



しかし、ラジオの音は消えなかった。



ラジオの電源は切る事は出来たが、何故か声は聞こえ続けている。



どうして、電源の切れたラジオのスピーカーから、まだ声が聞こえてくるのか?



彼には全く理解出来なかった。



だから、彼は急いで、ラジオの電池を抜こうとした。



すると、その時、突然ラジオから聞こえてくる声が大きくなった。



彼は思わず、



うわぁ!



という声を出してしまう。



それでも、ラジオから電池を抜き取ると、ラジオからの声は消え、彼の



部屋には静寂が訪れた。



やっぱり壊れてるのか・・・・。



新しいラジオを買わなきゃ・・・・。



そう思った時、突然、彼の背後から、声が聞こえてきた。



それは、先ほど、ラジオから流れていた声と同じものだった。



そして、それと同時に彼は何かの気配を感じた。



それが何なのかは、分からなかったが、間違いなく彼の背後にそれは



立っている。



そんな確信があったという。



彼は完全に固まっていた。



今まで、そんな体験をした事など一度も無かった。



だから、彼は霊というものの存在を全く信じてはいなかった。



それが、彼の命を救ったのかもしれない。



彼は、いきなり、大声を出して、



おい・・・勉強の邪魔するな!



早く出て行け!



さもないと、痛い目に遭わせてやるからな!



そんな言葉を、語気を強めて言った。



そして、



今、後ろ振り返るからな・・・。



もしも、その時にまだ居る様なら、容赦しないぞ!



それは、恐怖で固まっている自分を勇気づける言葉でもあった。



そして、彼は思い切って後ろを振り返った。



すると、そこには、今にも消えていきそうに薄くなっていく大きな女



の姿があったという。



言葉では表現しずらいが、とても不気味で恐ろしい顔の女だったという。



それを見た時、彼は思わず叫びだしそうになったが、彼はそれを



必死に堪えた。



そして、その女の姿が完全に消えると、そのまま部屋を出て外に出た。



辺りには明かりのついた家がまだ数軒あった。



それが、彼にはとても心強く感じたという。



それから、彼は朝が来るまで、部屋の中には入らなかった。



まだ、部屋の中に、その女が居る様な気がしたからだという。



そして、朝になってから部屋の中に入ると、彼の部屋の中は壁も襖もズタズタに



引き裂かれていた。



そして、ラジオをつけると、既に



普通の放送に戻っていたという。



彼が、それ以後、その部屋で怪異には遭遇しなかったらしいが、それから



彼は夜の勉強の際には、ラジオを聴く事はしなくなったという事だ。
  


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2018年11月10日

守護霊がいなくなる

人間には守護霊というものが付いており、その人を護っている。



ずっと以前から、そう思っていた。



守護霊というのは、その人の先祖に当たる者だったり、何か縁のある者だったり、



という場合が多いが、それ以外にもその人に何処かに魅かれ、そして守護している



というパターンもあるのだと聞いた。



1人の人間に何体もの守護霊が付いている場合もあるし、最近では守護霊という



ものを持たない人間も増えているのだという。



ただ、守護霊というのはその人が安全に、そして楽しく幸せに暮らせる様に



守護している訳ではないらしく、その人が現世に生きている間に体験し積まなければ



いけない苦労や困難をきちんと乗り越えられる様に見守りながら寿命を全うさせる



という役目も担っているのだと聞いた。



だから、何でもかんでも、その人の為に助け船を出してくれたり危険から



回避してくれるというものではないらしい。



ただ、やりは現世を生き抜いていく為に、守護霊の力というものは大きいらしく、



守護霊無しでの人生は、その全てをその人が持つ予感や感性だけを頼りに



生きなければいけない事になるらしくなかなか大変なのだと聞いた。



そして、これから書く話はその守護霊に関する話。



俗にいう霊能者という人には必ずと言ってよいほど強い守護霊がついている。



逆にいえば、その守護霊の力によってその人自身も強い霊能力を身につけ



られていると言えるのかもしれない。



だから、守護霊というものを持たないAさんの存在は奇跡といえるのかも



しれない。



もっとも、Aさんは、自分の事を霊能者だとは思っていないが・・・。



そして、ある時、霊能者達の間で不可解な事が起こり始めた。



それは守護霊がいなくなってしまうという事だった。



そして、守護霊というものを失くしてしまった霊能者は例外なくその霊能力



を失っていった。



守護霊と言っても絶対的なものだはない。



悪霊に憑依された人は、元々その人についていた守護霊も悪霊の影響で



そのまま悪霊のしもべの様な存在になってしまい、除霊が困難になる、



というのは良くある話らしい。



そして、悪霊の中には、その人自身への攻撃よりも、守護霊に対する



攻撃に長けているモノも存在するのだという。



実際、その時起こっていた事はこんな感じだ。



悪霊に悩まされた依頼主が、霊能者に相談する。



勿論、それを生業としている霊能者はそれが、どんな相手かも分からないまま



その悪霊と対峙する。



それが罠だとも気付かないで・・・・。



霊能者達は、必死になつて、その依頼主に憑いている悪霊を祓おうとする。



しかし、その悪霊の目的は、その霊能者の守護霊を操れるようにする事。



だから、いくらお経を唱えようが、真言を唱えようが、効力など



在る筈はない。



そして気が付いた時には、その霊能者の守護霊はすっかりその悪霊に



操られるようになってしまい、そのまま、その霊能者から出て、



悪霊の軍門に下る。



そんなだったから、いつしか、その依頼に応える霊能者という者が誰も



居なくなってしまった。



そして、誰も受ける事の無くなったその依頼は、人づてに流され、そして



俺の所にやって来た。



その噂を知っていた俺は当然、断ろうとした。



しかし、予想外にも、Aさんと姫はその依頼を受けると言った。



危険だから止めた方がいいよ!



そういう俺に、Aさんは、不敵な笑みを浮かべて楽しそうだったし、姫はといえば、



いつもどおりにニコニコと笑っているだけ。



そして、当日、現地に一緒に行こうとすると、Aさんも姫も俺を制止した。



止めた方が良い・・・・と。



せっかく、身分不相応な強い守護霊を持っているのに、その唯一の長所が



無くなったら、存在価値が無くなるから、と。



しかし、やはり2人が心配だった俺は、頑として首を縦に振らなかった。



すると、Aさんから、



まあ、Kさんの守護霊なら大丈夫かもしれませんね・・・・・。



ご本人と違って、異常に強力だから・・・・。



と言われ、現地への同行を許された。



現地は郊外の古い旧家だった。



そして、そこの大きな蔵の中にその悪霊がいるということだった。



Aさん、姫、俺の順番で、その蔵の中に入っていく。



蔵は2階建てになっており、俺達が入ると、すぐに2階から何かが降りてくる



足音が聞こえてくる。



ほら・・・きたよ・・・・Aさんも姫も気をつけて!



そう言う俺に対して、Aさんも姫もいつもにも増してのんびりムードだった。



階段を降りていたモノの姿がはっきりと見えた。



年老いた老人の様な姿だったが、その不気味さは言葉では言い表せないほどで



しかも、その顔はニンマリと笑っている。



俺はすぐにAさんと姫の様子を確認するが、全く変わった様子は無かった。



いや、いつも以上にやる気がなさそうな2人。



白いモヤの様なものが蔵の中に充満してきて俺達を包んでいく。



早く何かしないと!



俺がそう叫ぶが、Aさんは、何もしようとはしなかった。



それどころか、まるで他人事の様に呑気にあくびまでしている始末。



俺は訳が分からないまま、1人で焦っていたが、そのうち、焦っているのは



相手の悪霊の方だと感じ始めた。



何か勝手が違うというか、とにかく、その悪霊の顔がどんどん引きつっていくのが



俺にも分かった。



そして、その悪霊が、再び階段を上っていこうとした時にAさんが初めて



動いた。



強い相手には逃げの一手ですか?



まあ、ここまで来たんだから逃がさないけど・・・・。



そう言うと、



まるで、ピストルでも撃つような恰好をしながら、引き金を引く真似まで



している。



俺には何をしているのか、分からなかったが、Aさんが、その動作をした瞬間、



その悪霊はまるで実弾にでも当たったかのように苦しみだし、そしてしばらくすると



そのまま消えてしまった。



呆気に取られて固まっている俺をよそに、



さっ、帰りましょ!



Aさんが、そう言うと、姫も俺もその後に続いた。



そして、Aさんが嬉しそうに、



どうでした?



いつか、これをやってみようと思ってたんですけど格好良かったですか?



霊ガンみたいだったでしょ?



と嬉しそうにはじゃいでいる。



格好良かったです~



凄かったです~



と同調し褒めちぎっている姫の言葉を遮るように、俺はこう尋ねた。



Aさんも姫も守護霊・・・・大丈夫だったの?



何か秘策でもあったの?と。



すると、Aさんは呆れたように、



あの・・・ですね。



私には守護霊ってもんが付いていないんですよ。



知ってるでしょ?



そして、姫ちゃんは守護霊がちゃんと付いていますけど、レベルが違います。



あんな守護霊にちょっかいを出そうなんて考える奴は居ないでしょ?



それこそ、自殺行為というやつです。



蟻が象と喧嘩するみたいなもんですからね。



そして、何故かKさんにも身分不相応な強い守護霊がついている。



まあ、これは蟻とだんご虫程度の差でしょうけど・・・。



だから、あいつも面食らったと思いますよ。



どれ一つとして勝てそうな守護霊が見つけられない・・・。



それが分かった時のあいつの顔は結構楽しめましたけどね・・・・。



勝ち目が全く無いと分かったから、その場から逃げようとしたんです。



まあ、そうするしかないでしょうけど・・・。



でもね、守護霊がついているのも考えものです。



姫ちゃんみたいに規格外の守護霊なら安心なんでしょうけど、普通の守護霊は



それほど強いものではないから。



それにばかり頼ってたら、それを失った時、何も出来なくなる。



だから、場合によっては守護霊なんか居ない方が良い場合もあるんですよ。



私みたいに・・・・。



そう言っていた。



確かにそうだった。



守護霊がいないAさんに対して、あの悪霊が出来る事は何も無かっただろうし、



姫ちゃんについている守護霊なら、その姿を見ただけで、どんな奴でも



逃げていくだろうし・・・・・。



俺は改めて、凄い2人とチームを組んでいるのだと実感させられた事件だった。



ただ、思わず悩んでしまった事がある。



Aさんが例えにした、蟻とだんご虫・・・・。



どちらがどっちなのだろう、と。



姫の時には、対比として象を出してきたんだから、俺がだんご虫・・・なのか?



いや、そういう事になると、もしかして蟻の方がだんご虫よりも強いのでは



ないのか?



そして、後日、それを確認しようとAさんに聞いてみたのだが、



Kさんって、相変わらず暇・・・・なんですね?



と冷たく言われてしまった。
  


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2018年11月10日

トイレ

これは俺の友人から聞いた話。



彼は仕事でよく関西や名古屋に出張している。



以前は、一泊してから翌日のんびりと帰るという事が許されていたそうだが、



いつの頃からか、景気の悪化に伴い、関東、中京、関西までは基本的には



日帰り出張しか認められなくなった。



勿論、東京などの関東には車ではなく新幹線を利用するのだから、一日での



往復も苦にならないかもしれないが、やはり大阪・神戸・名古屋などへの



出張は基本的に営業者での出張になる訳で、一日で700キロ~800キロ以上



走っての往復は、本当に過酷なものであるらしい。



そんな彼が、ある時体験した話を聞かせてくれたので、此処に書き記したい。



その日、彼は早朝から車を走らせ神戸のメーカーへと向かっていた。



北陸自動車道は車も少なく走り易いのだが、名神高速に入ってからは、一気に



車の通行量が増え、運転していても疲れる。



結局、渋滞にも巻き込まれ、彼が神戸のメーカーに到着したのは午前10時を



回っていた。



それから、メーカーとの打ち合わせに入り、一緒に食事をしてから、今度は



別の顧客の所を回ったそうだ。



そこで、幾つかの問題が発生してしまい、結局、彼がその日のスケジュールを



全て完了出来たのは、午後8時を回っていた。



以前なら、その日は神戸に一泊、となるところだが、もうそんな事は



許されるはずもなく、彼はコンビニでパンとおにぎりを買って、再び



高速道路で帰路に就いた。



渋滞になる時刻とかなりずれていたので、行きよりも、帰りの高速は走り易かった。



気分よく走っていた彼だが、運悪く工事渋滞に掴まってしまう。



そこで、彼は仕方なく最寄りのICで高速を降りて国道を通る事にした。



確か、京都東iCだったという。



そこからしばらくは交通量も多かったが、滋賀県に入った辺りから車の量も減って



走りやすくなった。



渋滞のお蔭で時刻は既に午後10時近くになっていた。



彼は遅れを取り戻すべく、快調に車を走らせた。



国道とはいえ、此処から石川県に向かう道は、これからの時間帯はどんどん



車が減っていくのが彼には分かっていたという。



ところが、福井県に入る手前で、事故によって渋滞が発生していた。



本当に今日はついていない日だ・・・・。



そう思いながら彼は渋滞の列の中で事故処理が終わるのを待っていた。



そんな時、激しい腹痛が彼を襲った。



何を食べてそうなったのか、は分からなかったが、とにかくトイレを探す



ということが彼にとっての最優先事項となった。



渋滞の列を抜けて、細い脇道に入った。



しかし、この場所は民家など存在しない場所であり、コンビニのトイレを



借りるという事が無理なのを彼は知っていた。



だから、とりあえず、渋滞の車の列から離れて,どこかの道端で用を足そうと



彼は考えていた。



ところが、細い道に入ってみると案外、街灯のようなものが存在しているもので、



彼はとりあえず、明かりが無く真っ暗な場所を求めて知らない山道を登っていった。



すると、急に視界が開け、そこに公園があるのが分かった。



公演ならばトイレがあるかもしれない・・・・。



そう考えた彼は、車を公園の脇に停めて公園へと入っていった。



案の定、公園の中にはトイレがあった。



しかも、かなり大きく綺麗なトイレが暗闇の中で眩しい位に浮かびあがっている。



助かった・・・・。



彼は、急いでトイレに駆け込むと、個室に入り鍵を掛けた。



トイレの中はとても綺麗で明るかった。



まるで、出来たばかり、といった様子で、彼は無事に用を足す事が出来た。



無事に用を足すと気持にも余裕が出来たのか、彼は、



それにしても、こんな辺鄙な場所に公園とか、こんな綺麗なトイレまで作って・・・。



なんか、税金の無駄遣いなんじゃないの?



等と好き勝手な事を考えていた。



その時、突然、トイレの中に誰かが入って来る足音が聞こえた。



彼は一瞬、ビクッとなって固まったが、個室にいるのがバレない様に、息を



殺して聞き耳を立てた。



トイレの中に入って来た足音は、すぐに聞こえなくなった。



確かに誰かがトイレの中に入って来た筈なのに、どうして音が何も聞こえて



来ないんだろうか?



彼は沈黙に耐えられなくなり、個室の中に自分がいるのを知らせるように一度



ゴホン、と咳払いをしたという。



しかし、相変わらずトイレの中からは何も音は聞こえてこない。



完全に用を足し終えた彼は、トイレの水を流した。



静かすぎるトイレの中に水音だけが響いた。



そして、水が流れ終わると、また無音状態になった。



もしかして俺の勘違いか・・・・。



そう思ったが、確かに先ほど誰かがトイレの中に入って来る音を彼は聞いていた。



その時、彼は考えたという。



もしかして、変質者か何かがトイレの中で俺が個室から出てくるのを



待っていたとしたら・・・・・。



勿論、抵抗するだけの体力は持っているつもりだったが、それでも相手の姿が



確認できないというのはやはり不安だった。



だから、彼はトイレのドアの隙間から外の様子を窺った。



ひっ・・・・・・。



思わず声が出そうになった。



トイレのドアの向こうには、明らかに女が立ってこちらを向いていた。



ドアから50センチと離れていない場所に、直立不動で・・・。



帽子をかぶり、長い髪が、そこから垂れていた。



なんなんだ?・・・・・・この女。



彼はそう思い、もう一度聞き耳を立てた。



しかし、何の音も聞こえてこない。



聞こえるのは、自分の呼吸音だけであり、彼は嫌な予感を感じていた。



幽霊・・・・・・なのか?



でも、どうして・・・・・。



そんな事を考えていると、突然、トイレのドアが、ノックされた。



彼は恐怖で、完全に沈黙を守る事しか出来なかった。



すると、今度は、



ドンドンドン!



と大きくドアが叩かれた。



彼は再びドアの隙間から外の様子を窺った。



ドアの隙間からは、知らない女が顔をくっ付けるようにして隙間からこちらを



覗き込んでいた。



彼は思わず、



うわぁ!



と大きな声をあげて後ろへ後ずさる。



その時、彼は心臓が止まるかと思った。



彼がトイレの狭い個室の中で、後ずさりした時、彼の背中が、間違いなく何かに



触れた。



それは、人間の様に柔らかく、そして服の上からでも分かる程冷たい感触だった。



彼は、顔を後ろに向けて、それが誰なのかを確認しようとした。



ゆっくりと顔を後ろに向けていくと、視界の端に、女のワンピースが映った。



しかも、どう考えてもその方の高さは彼よりも遥かに高いものだった。



彼は後ろを振り返るのを止めて、ゆっくりと個室のドアのロックを解こうとする。



すると、突然、彼の頭上から女の声で、



ねぇ・・・・・・・・。



という声が聞こえた。



彼は、ドアを開けると一気に走ってトイレを抜けて停めていた車の所まで



戻って来た。



後ろを振り向いたが、追いかけてくる女の姿は無かった。



彼は慌てて車のドアを開けて、車内に逃げ込み、エンジンを掛けた。



そして、走り出そうとした瞬間、バックミラーを見た彼の眼にあり得ない



モノが映った。



それは、ワンピースを着て、大きな帽子を被った女の姿だった。



後部座席に姿勢よく座り、角膜の無い白色だけの眼でこちらを睨んでいた。



彼は、そのまま車から転げ落ちるようにして車外に出ると、そのまま



公園の一番明るい場所まで走り逃げた。



そして、いつその女が車から降りてくるかと恐怖しながら、その場に



立ち尽くしていた。



結局、その女が車から出てくる事は無いまま、朝になった。



朝になり、車に近づいた彼は、車内に女の姿が無い事を確認すると、そのまま



急いで国道まで降りて、帰路に就いたという。



その際、恐怖の為、車の窓は全て全開にし、大きな音でラジオを鳴らしながら



帰ったのは言うまでも無い。



ちなみに、それ以後、彼の周りで怪異は一切発生していない。







  


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2018年11月10日

業務用エレベータ

これは知人から聞いた話。



彼は大手デパートに勤めている。



大学を卒業してすぐにそのデパートに就職した。



当時は、出世や高給が見込める職種だったらしいが、現在は決してそうではなく



どちらかといえば、かなりブラック寄りの労働環境なのだという。



特に彼が以前勤務していたのは、催事場を管理してイベントをうまくまとめる



仕事。



毎週、週末前になると、それこそ徹夜でイベント業者が会場を設営し、出品



業者が品物を搬入する。



いつもは、夜になると真っ暗な催事場が、その時ばかりは、一晩中、照明が点き



活気に満ちている。



そして、デパートなどには必ず品物を搬入する為の専用のエレベータが設置



されている。



それは人間が乗るエレベータとは違い、奥行きがあり天井も高く、ドアの



開閉口も、比較にならない程大きく作られている。



そんな業務用エレベータだが、ある頃から不思議な噂が流れ始める。



それは、そのエレベータが夜中、勝手に動いているという噂だった。



当然、誰も乗っている筈もなかった。



昼間にはそんな事は起こらなかった。



だから、彼もそんな噂など信じていなかったようだ。



そんなある日、そのデパートで、ある展示会が開催されることになった。



それはかなり古い時代の中国の遺跡から出土した品々を展示するものだった。



昼間のうちに、出展物は全て搬入された。



しかし、何かの手違いで設営業者の手配が出来ていなかった。



急きょ、連絡すると、どうやら明日なら何とか現場に入れるとの事だった。



かといって、出展物をまた、搬出して保管する訳にも行かず、結局、その夜は



がらんとした会場に、そのまま出展物が置かれる事になった。



通常なら、それほどの出展物になれば、警備員が付随するそうだが、その時は



あくまで緊急的措置の為、警備員無しで一夜を明かす事になる。



ただ、誰も居ない催事場に、そのまま出展物を放置するわけにもいかず、彼は



責任者として、部下1人と、その催事場で、出展物が盗まれないように



警備し、夜を明かす事になった。



午後8時を回るとデパートの中にも他の従業員の姿は完全に無くなってしまい、



広い催事場はしんと静まり返り、不気味ですらあった。



そして、ちょうど午前0時を過ぎた頃、異変が起こる。



業務用エレベータの扉が開く音が聞こえてくる。



催事場から10メートル程しか離れていない暗闇が開いたエレベータのドア



から漏れる明かりで一瞬、明るくなる。



そして、しばらくすると、扉は閉まり、また、暗闇に支配される。



誰か来たのかな?



彼がそう言って待っていたが誰もこちらに来る者はいなかった。



ちょっと見た来てくれるか?



彼は部下にそう指示すると、その部下は、嫌そうな顔をしながら、渋々と



いった感じでエレベータがある暗闇の方へと歩いていく。



そして、しばらくして戻って来た部下は、



やはり誰もいませんでした・・・・。



それよりも、エレベータは上に行ったり下に行ったりと動いてるんです。



そう言われた彼は、



それじゃ、やっぱり誰かいるんじゃないのか?



と返すと、



先ほど、守衛さんが来たと思うんですけど・・・・。



もう、建物の中には誰も残っていないから火の元には気をつけてくださいって。



確かにそれは彼も知っていた。



ただ、エレベータが動いている以上、誰かが乗っているとしか考えられなかった。



そして、部下はボソッと小さな声で彼に聞いてきた。



○○さん、あのエレベータの話、ご存じですか?



ほら、幽霊が乗って一晩中、動いているって・・・・・。



真顔で怖がっている部下を見て彼は、不思議に思ったらしいが、



それじゃ、俺がもう一度見てきてやるから。



と言って、暗闇の中をエレベータに向かって歩いていった。



そして、エレベータの前に着き、階数表示を見てみると確かにエレベータは



上に行ったり、下に行ったりして動き続けていた。



誰かがいたずらしているに違いない・・・・。



そう思っていると、エレベータがスルスルと催事場の在る8階まで上がって来た。



これは好都合だ!



そう思った彼は、扉が開くのを待って、いたずらしているのが誰なのか、を



付き留めようとした。



そして、彼のいる階に停止したエレベータはゆっくりと扉を開く。



彼は、鬼の様な形相でドアの前に仁王立ちしていたが、扉が開いた途端に



拍子抜けしてしまった。



其処には、誰も乗ってはいなかった。



そして、そのままエレベータのドアが閉まり、今度は無人のままレストラン街が



在る最上階へとのぼっていった。



いったい、どうなってるんだ?



俺も、そして部下もエレベータなんか呼んでいないのに・・・・。



すると、今度は催事場からアラームの音が聞こえてきた。



彼は慌てて催事場に戻ると、部下がその場て立ち尽くし顔面蒼白になっている。



どうした?



彼が聞くと、部下はうわずった声で、



分かりません。



何故かセンサーが作動してしまって・・・。



そう言われ、彼は思い出した。



時価総額がとんでもなく高価な展示品に対して警備員をふたり用意しただけではなく、



展示品の四隅には人がある一定以上近づくとアラームで警告するセンサーが



設置されていたことを・・・・。



それにしても、どうして・・・・・。



彼が原因を考えていると、今度は立て続けにセンサーが作動し全てのアラームが



鳴りだした。



部下は既にパニックになり、



エレベータだけじゃなく、この催事場にも何かがいるんですよ・・・。



しかも、一人や二人じゃなくて、もつと沢山の何かが・・・・。



そう言うので、さすがにい彼も気味悪くなってしまい、1階にいる警備員を



呼びに行こうという事になった。



そして、1階に降りるには真っ暗な階段を手探りで降りていくか、それとも



いわくつきの業務用エレベータに乗るしか手段は無かったが、彼は迷わず、



業務用エレベータを選択した。



怖がる部下を諭すようにして一緒にエレベータへと歩く。



そして、エレベータを呼ぶ為に、ボタンを押そうとした瞬間、エレベータのドアは



暗闇の中で静かに開いた。



さすがに、彼も背筋か寒くなったが、そうなると少しでも早く1階へと



降り警備員に助けを求めたくなってしまった。



彼と部下は無言のままエレベータに乗り込んだ。



そして、1階の階数ボタンを押す。



エレベータのドアが閉まりゆっくりとエレベータは動きだした。



しかも、上へ上昇していく。



1階の階数ボタンを間違いなく押した筈なのに・・・・。



彼もそして部下も既に限界に来ていた。



得体の知れない恐怖に押しつぶされそうになっていた。



エレベータの上昇する音さえ不気味に感じた。



そして、エレベータは9階で停まり、誰もいない真っ暗なレストラン街



が目の前に現れた。



彼も部下も固まってしまい全く動けなかった。



すると、暗闇の中から、誰かが近づいてくる音が聞こえた。



カツン、カツン、カツン、カツン・・・・・。



それはゆっくりとした速度だが、間違いなくエレベータに向かって歩いて



来ていた。



彼は慌ててとあの開閉ボタンを押してドアを閉めようとした。



しかし、エレベータはまるで壊れてしまったかのように、何の反応もしなかった。



このボロエレベータが!



早くドアを閉めろよ!



恐怖から、言葉も荒くなった。



すると、その言葉が通じたのか、ドアはまた静かに閉じてくれた。



エレベータの中では、彼と部下の二人がぐったりとして入口のドア付近で



うなだれていた。



なんなんだ?・・・・・あの足音は?



彼がそう言うと、部下は震えた声で



ハイヒールの音に聞こえませんでしたか?



と返してきた。



彼も部下も恐怖で泣きそうになっていたが、それでもエレベータが動き出した



いじょう、1階へ降りるのをただ待っていれば良かった。



だから、彼も部下も少しだけホッとしていたのかもしれない。



何階ですか?



その声は突然、背後から聞こえた。



彼は固まったまま動けないでいると、また



何階ですか?



と聞いてきた。



そして、



ヒッヒッヒッヒッ・・・・・。



という微かな笑い声が聞こえてきた。



彼は生きた心地がしなかったという。



1階まで降りるほんの数秒がとてつもなく長い時間に感じたという。



そして、エレベータが1階へ着き、ドアが開くと同時に彼らは我先にと



ドアから転がるようにして飛び出した。



その様子を見て、警備員も何事かと駆け寄って来たという。



そして、エレベータのドアは再び閉まると、また、不規則な動きでずっと



動き続けていたという。



ちなみに、そのまま警備員室で朝を迎えた彼と部下が、朝になってから



催事場に戻ると、展示品を含め、全ての物に何も異常は無かったという事だ。



そのエレベータは今も実在し、そして誰かを乗せたまま朝が来るまで



動き続けているのだろう。



・・・・・・・・・・・・・。



と、ここまでが、今回の話なのたが、実は以前、これと同じような経験が



在るので、その時の事を話そうと思う。



それは、知人から頼まれて、今回の話と同じように真夜中に無人のまま



動き続けるといういわくつきのエレベータをAさんと調べに行った時の話



である。



それはとあるマンションのエレベータであり、勿論、業務用ではないのだが。



その時も、やはりエレベータは無人のまま動き続けていた。



時刻にして午前0時を回った頃から、そのエレベータは異常な動きを始めた。



その為、住民の中で、それ以後の時間帯に帰宅した者は、いつしか



非常階段で、自室のある階までのぼらなければいけなかった。



俺とAさんは、そのエレベータが何の目的でそんな動きをするのか、



見極める為に、そのエレベータに乗り続けた。



そして、何度か、扉が開くうちに、ドアの外は、明かり一つ灯っていない



漆黒の闇になっていった。



そして、ちょうど最上階でエレベータが停まり、通常よりも長い間、扉が



開いたままになった。



すると、Aさんが、



いよいよ、犯人が乗って来ますよ・・・・。



Kさん、覚悟してくださいね・・・・。



そう言ってきた。



そして、エレベータの中が急に寒くなった。



俺はAさんに言われて、エレベータの出来るだけ前の方に立っていた。



そうする方が、霊が現れやすいから、とAさんに言われたから・・・・。



そして、。ドアが閉まる。



得体の知れない緊張感がエレベータ内に広がっていく。



Aさんも、一言も喋らない・・・。



やはり、緊張しているのだろうか?



そう思っていた時、突然、背後から、



何階ですか?



という声が聞こえた。



Aさんは反応しない。



心配になった俺が、横を見ると、Aさんが肩を小刻みに震わせている。



ちょっ・・・ちょっと、Aさん・・・大丈夫なの?



俺は、その時、かなり不安感を抱いていた。



すると、また、



何階ですか?



という声が聞こえてくる。



しかも、先ほどよりかなりビブラートがかかった低い声で・・・・・。



と、その時、



あはは・・・あっ、もう駄目・・・・・・限界・・・・あははははははは、



というAさんの高らかな声が聞こえてきた。



あんた、もうちょっとまともな事言いなさいよ・・・・。



しかも、ちゃんとビブラートまで使って(笑)



何階ですか?って、私達が前に立ってるのにどうやってボタン押すの?(笑)



普通に考えれば無理でしょ?(笑)



もっと、ちゃんと、TPOに応じた話術を身に付けないとね(笑)



こんばんは・・・とか、はじめまして、とか、色々あるでしょ?(笑)



それとね・・・・エレベータの中、急に寒くするの、止めてね!



心臓にも悪いし血圧だってあがっちゃうし・・・・。



だいいち、それで私が風邪でも引いて、仕事休んだら責任取れるの?



と、大笑いの後、言いたい放題。



後ろを振り向くと、コートを着た女の霊が立っており、どうしたらいいのか、



分からない、といった表情をしている。



そして、再び、Aさんが、



それで、このエレベータで何がしたいの?



退屈でエレベータで遊びたいんなら、誰にも気付かれないようにやらなきゃ!



生きていると、エレベータを使わずに高層階まで上るのって辛いのよ。



だから、そのうちに、私みたいに優しい人じゃなくて、問答無用な強い霊能者



でも呼ばれたら大変だよ?



だから、出来るだけ目立たないようにやらなきゃ!



わかった?



ちゃんと忠告はしたからね!



そう言って、エレベータを1階まで降りさせると、さっさとエレベータから



出ていった。



勿論、俺も・・・・。



そして、それからの帰り道、Aさんに聞いてみた。



いつも、あんな風に幽霊をからかってるんでしょ?と。



すると、Aさんは、



別に、どんな相手にもあんな対応するわけないじゃないですか?



エレベータにあの女性が入って来た時、あっ、この娘は良い子だ!って



思ったからですよ!



あの娘は、エレベータに乗ってるのが楽しいんです!



そして、出来れば、生きている人とも交流したがってる・・・・。



でも、それってなかなか難しいから・・・・。



だから、常に一定の距離を置いて、共存するしかないんですよ・・・。・



あの娘も分かってくれてると良いけど・・・・。



そう言っていた。



確かに、その女性は、ある意味ずっと無表情であり、茫然としている、



という感じだった。



しかし、それは取り越し苦労に過ぎなかった。



それから、そのエレベータでは、勝手に無人のエレベータが動き続けるという



事は無くなったらしい。



しかし、今でも、その女性はそのエレベータ、そしてマンションに存在



しているらしい。



Aさんが言うのだから間違いないのだろう。



だとすれば、きちんとAさんからの忠告を守っているということなのかもしれない。
  


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2018年11月10日

化け猫

化け猫と聞くと、どんなものを想像されるだろうか?



江戸時代に起きた化け猫騒動なる事件もそうなのだろうし、日本の古い



怪談映画などにも頻繁に登場しているモノも、まさに化け猫という



イメージなのだろう。



ただ、Aさんから聞いた話では、化け猫というのは案外身近に



いるものなのかもしれない。、



今回はそういう話である。



これは俺のバンド関係の友人であり、同時にAさんとも親しいという女性の



話である。



彼女は、昼間は事務員として働き、夜はスナックで働いていた。



目的はやはりお金という事になる。



昼間の仕事だけでは、良いマンションに住み、それなりの生活を維持出来ない。



それで、昼間の仕事と夜の仕事を両立しているという事だった。



ただ、良いマンションに住み、それなりの生活を維持したいというのは、



決して自分に対してではなかった。



彼女は独身であり、同居している家族はいなかった。



ただ、ずっと前から1匹の猫を飼っており、その猫こそが彼女の精神的な



支え、心の拠り所になっていた。



いつもは好き勝手に行動しているその猫も、彼女が落ち込んでいたり



悩んでいる時には、気が付けばいつも傍に居てくれる。



辛くて死んでしまいたいと思った時には、ベッドの中に入って来て一緒に



寝てくれる。



いつもは、決してそんな可愛い事はしないのに・・・・・。



そんな猫だったから、彼女にとって、その猫は、いつしか飼い主とペットという



関係を超越し、なくてはならない大切な家族、いや、それ以上のものに



なっていった。



そんな彼女に、ある日、彼氏というものが出来た。



どちらかというと派手なタイプで、同じバンド関係ではあったが、俺やAさんに



とっては、どちらかと言えば苦手なタイプ。



そして、どうやら、その猫もその彼氏の事が気に入らなかったらしい。



彼女がその彼氏を自宅マンションに連れて来ると、あからさまに嫌がらせの様な



事をした。



彼女が、その彼氏とのデートに出掛ける時には、何かと邪魔をして家から出ていかない



様にした。



彼女は、きっと、その猫が彼氏にやきもちを焼いているのだろう、と思っていたらしいが、



どうやら、そうではなかったようだ。



それから、しばらくして彼女はその男性と別れた。



暴力を振るわれた末の、破局だった。



俺もAさんも、あんな彼氏とは別れて良かったんじゃないの?



という程度に思っていた。



しかし、それから彼女の周りで怪異が発生する様になる。



彼女の自宅マンションに、一人の女が現れるようになった。



勿論、彼女にはその女に見覚えなど無かった。



そして、その見知らぬ女は、彼女が部屋でテレビを見ている時、食事を



している時、掃除をしている時、突然現れては、彼女を睨みつけ、そして



消えていった。



いつ、現れるかも分からないその女に彼女は恐怖した。



しかし、自宅マンションでの怪異はまだ軽い方だった。



彼女が会社で働いている時、突然、階段から突き落とされた。



振り返ると、まさに、その女が階段の上に立っていた。



駅の階段でも突き落とされ、バスの乗降口からも突き落とされた。



そして、極めつけは、彼女が路上を歩いている時、突然、彼女のすぐ前に



重たい鉄の棒が落下してきた。



そのどれもが奇跡的に軽症で済んだのだが、駅の時もバスの時も、そして



ビルの屋上にも、その女の姿があった。



さすがに、命の危険を感じた彼女は、俺とAさんに相談してきた。



その女はいったい何者なのか?と。



女性には優しいAさんは、すぐに彼女の自宅マンションへと向かった。



勿論、俺も雑用係として同行した。



そして、部屋の中を見回ったAさんは、



ああ・・・なるほどね。



確かに、そういう感じのする奴だからね・・・・。



と言ってきた。



そして、説明を聞くと、どうやら原因は、以前付き合っていた彼氏なのだという。



その彼氏がずっと以前、付き合っていた1人の女性が、暴力を振るわれた挙句、



自殺した。



その彼氏への想いを持ったままで・・・・。



そして、その自殺した彼女が、彼氏に近づく女性を恨み、そして呪い、自分と



同じ目に遭わせようとしているのだという。



それを聞いて、彼女は顔面蒼白になった。



そして、泣きながら、



何か手だてはありませんか?



私はまだ死にたくありません・・・・。



と訴えてきた。



すると、Aさんは、こう言った。



普通、こういうのにつきまとわれた場合には、除霊というのが一番てっとり早い



んだけど、でも、今回はちょっと、それは無理かもしれない。



はっきりいえば、その彼氏が生きている間は、何回除霊してもすぐに復活



してしまうから・・・。



かといって、その彼氏を殺すわけにもいかないし・・・・。



と言ってくるので、俺は、



それじゃ、打つ手無し?



と聞くと、Aさんは、少しだけクスッと笑ってこう言った。



あのね・・・・これは質問なんだけど、自宅マンションでその女の姿を見た時、



その女に何かされた?と。



すると、彼女は、



いえ、不思議なんですけど、自宅で、その女を見た時は、その女は絶対に



近寄って来ないんです・・・・。



すると、Aさんは、



やっぱりね・・・。



あのね…・打つ手はあるよ。



ほら、さっきからずっと貴女の傍を離れようとしない、その猫ちゃん。



きっとその女が現れた時も、ずっと貴女の傍を離れなかったでしょ?



それって、貴女を護っているって事!



その猫って、既に霊力的には化け猫になってるから・・・・。



だから、霊的なものはしっかりと見えてる。



そして、その女よりも遥かにつよい霊力を持ってるみたい。



それは貴女を護りたいという思いがそうさせてるの・・・。



だから、その猫が怖くて、その女は貴女に近づけない・・・・。



この私がこの部屋に来たから、貴女を護る為に、ずっと傍を離れないって



相当な強い想いだと思うよ。



元々、猫っていうのは霊とかそういうのが、はっきりと見えてるから。



その猫は、既にかなりの霊力を持った化け猫っていわれるものになってるから。



犬も猫も、そういう力が強いから・・・。



特に猫は護りに長けてる。



狐は妖狐になるまでに、かなりの年月が必要だけど、猫は案外早くて、飼い主の



愛情をしっかりと受けていると、10年かそこらで、化け猫になってしまう。



化け猫っていうと、妖怪ってイメージがあるんだけど、その殆どは普通の猫と



変わらないの・・・・。



でも、飼い主の危機の時には、しっかりとその霊力を使って、飼い主を護る。



そして、たとえ化け猫になっていなくても、その猫が死んだら、強い霊力を



持つようになって、それからも飼い主を守り続ける。



確かに飼っていた猫が死んでから、ずっとその猫の事ばかり考えて暮らしていると



それはその猫にとって負担にしかならないの・・・。



だから、



今までありがとう・・・・。



そして、これからも見守っていてね・・・・。



という感じで見送るのが一番良いのかな・・・。



そうしないと、猫はずっとあちらの世界に行けなくて辛い思いをしてしまうから。



肉体が亡くなって、あちらの世界に行かなくてはいけないのに、飼い主がずっと



悲しんでばかりいたら、その猫も、苦しまなければいけないから。



だって、それは、こちらの世界にもあちらの世界にも属せないという事に



なってしまうんだから・・・・。



勿論、我が子の様に大切に接してきた猫が死んでしまうと、その悲しみは



大き過ぎてなかなか立ち直れないのかもしれないけど、でも、それって



肉体が無くなったというだけで、その猫の魂とか思いというのは、必ず



この世に残されるから・・・・。



そして、飼い主に何かあった時には、その魂はすぐにこちらにやって来られる。



それだけの霊力を猫は持っているんだから・・・。



そう言うとAさんは、部屋の何か所かに、護符を貼って、



だから、私が何もしなくても大丈夫!



そのうち、その女も諦めると思うよ。



その猫に対して勝ち目が無いと分かったら・・・。



それまで、きっと、この猫ちゃんが貴女を護ってくれるから・・・。



これからも、ずっと・・・・。



そう貴女が死ぬまで・・・ずっと・・・・。



そう言って、さっさとその場を後にしてしまった。



その後、彼女に起こる怪異は少しずつ収まっていきやがて何も起こらなくなった



ということだ。
  


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2018年11月10日

増築を続ける家

ウインチェスター・ハウスというものをご存じだろうか?



まあ、こちらのブログを読みに来られる方なら、説明の必要も



無いと思うのだが・・・。



ウインチェスターといえば、有名な銃のメーカー。



西部開拓時代や南北戦争で、その名を馳せた、名銃と言って良いのかもしれない。



名を馳せたというからには、その銃で撃たれて命を落とした者も、凄まじい



数にのぼるのだろう。



だからといって、その銃を製造した者を恨んで死んでいった者が



本当に居たのかは分からないが、結局、会社の創業者をはじめ、



かなりの一族が、命を落としていった。



そして、残された未亡人は、霊媒師の助言に従って、死ぬまで38年間、



ずっと屋敷を増築し続けたという。



その助言というのは、銃で殺された者達の呪いによって、この家には



数多の悪霊が集まって来ている。



その悪霊から逃れるために、ずっと家を増築し続けなければいけない。



そういうものだった。



そのせいか、屋敷は、ただ増設を続けるのではなく、まるで忍者屋敷



もしくは、からくりの家の様に、その家を訪れた者が、わざと迷って



しまう様に、増築されていく。



行き止まりの階段、ドアを開けると、すぐに外になっている2階のドア、



そして、入り組んだ通路など、普通の感性ではとても作れないような



奇妙な家であり、現在は、アメリカの観光地の一つとして人気を



博しているという。



しかし、こんな奇妙な考えを持つ者は、アメリカだけではなく、



この日本にも実在するのだ。



その家は、北陸地方の片田舎にある。



勿論、アメリカのウインチェスター・ハウスなどと比べると、その規模は



比較にならない程小さなものだが、やっている事は同じ・・・。



悪霊や呪いからの防御に他ならない。



勿論、現在その家に住まわれている家族には関係のない事なのかもしれない。



しかし、ずっと昔の彼らの先祖が、大地主として、その地に君臨し、



農民たちを苦しめ、時には命さえも奪った事が、その呪いの始まり



なのだと教えられた。



その家では、現在、家主も普通の会社員であり、誰にも迷惑をかける



様な生活は一切していない。



しかし、現実として、その家は、今も毎日の様に増改築を繰り返している。



それは、廊下の突き当たりに隠し扉を作ったり、ダミーの窓やドアを



増設したり、玄関に見える場所が実は、家の中に入れない構造だったりと



本場アメリカに比べれば、簡素な増改築なのだが・・・。



中でも、家の中に地下へ続く階段を造り、その先が井戸の底へと続いて



いるという造りには驚かされた。



実は、その家の次男が、俺の知人の友人ということもあり、俺はこの事実



を知った訳だが、それなりに近所では有名な家らしく、その異様な



造りも相まってその家に近づく者はいない。



実際、その一族でも、全員がその呪いというものを信じている訳では



無いらしく、中には、そんな馬鹿げた事は止めてしまおう、と進言



する者もいるそうだ。



そして、実際に、その言葉に促されるように、一度、その家族はその家から



別の家に移り住んだ事があるそうだ。



だが、そうしたところ、やはり怪異が続き、原因不明の死を遂げる



者が出たそうだ。



それからというもの、その家族は、その家に戻り、増改築を続けている。



決して、裕福な生計ではないが、命を護るためには仕方のない事だと



諦めている。



そこで、俺は、いつものAさんにお出まし願った。



最初は、面倒くさそうに応じていたが、どうやらAさんもウインチェスター・



ハウスには興味があるらしく、詳細を話すと二つ返事でOKしてくれた。



そして、現地である、その家に伺ったのだが、知人の友人である次男は、



快く出迎えてくれたが、その他の家族の眼は冷たかった。



今更、何をするつもりだ・・・・。



余計な事は止めてくれ・・・。



そんな顔だった。



特に、その家の祖父母は、まるで敵でも見るような眼で俺達を



睨んできた。



俺は、何か、違和感を感じてしまったが、当のAさんはといえば、まるで



気にする様子も無く、まるで観光地にでも来たかのように、目をキラキラ



させて楽しんでいる。



そして、一通り、見終わった所で、俺と、その次男は、Aさんに聞いた。



本当に、こんな事で悪霊や呪いから逃れられるのか、と。



すると、Aさんは、笑ってこう言った。



そんな事少し考えてみればすぐに分かると思いますけどね。



この家には、呪いなんか存在していません。



それに、確かに悪霊は何体か存在しているみたいですけど、正直



外に出たがっている。



この家の構造自体が、悪霊を家の中から出られなくしてしまってるんです。



それに、地下に続く階段が井戸の底に繋がってるなんて、わざわざ



霊を呼び寄せているとしか考えられませんからね。



元々、誰に進言されて、こんな事を始めたのか、は知りませんけど、



もしも、呪縛というものが、この家に存在しているとしたら、それは



その誰かの進言を信じ込み、勝手に作りだした呪いというものに



縛られている事ですね。



だから、この家の霊を浄化する事はそんなに難しい事じゃありませんけど、



この家の住人達が、その呪縛から抜け出せない限り、何も変わらないし



空想の呪いは続いていくしかないんですよね。



人間って、気持ち次第でどうとでもなれるんです。



つまり、霊に常に狙われている。



だから、それから逃げなきゃ、と思っていたら、実際にそんな状態に



なってしまう。



でも、霊なんか、呪いなんか、受け止めて闘ってやる。



そんな気持ちを持てば、霊も呪いも、その殆どは近寄りません。



だって、悪霊だって、わざわざそんな厄介な相手を選びません。



そんな心の強い相手よりも、もっと簡単な相手を選びますから。



人間と同じですよ。悪霊だって・・・。



常に自分の目で見て、それだけを信じて、揺るぎない考えをしっかりと



持つ。



これは全ての事に言えるのかもしれませんけど、そうする事が出来れば、



迷いも恐れも無くなって、正しい道を進める。



誰かの言葉に動かされているようじゃ駄目でしょ?



だから、今の私には、この家に対して出来る事はありませんね。



そう言ってその場からさっさと立ち去っていった。



物事から逃げ続けると、更にややこしくなる。



誰かの言葉を鵜呑みにしない。



それは誰にとっても確かに大切なことなのかもしれない。



勿論、この世の中で生きていくうえでも・・・・。



俺はその時、そう感じていた。
  


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2018年11月10日

見守るもの

これは知人が体験した話。



彼女は小学生の時、両親が離婚した。



彼女の親権は母親が持つ事になり、母親との二人だけの生活が始まった。



どうやら、離婚した父親というのは、仕事はしっかりとするが、家に帰ると



彼女や母親に対してすぐに暴力をふるい、その暴力も酒が入ると更に



エスカレートしてしまい、命の危険を感じる事もあったらしい。



だから、母親との二人暮らしは貧乏ではあったが、彼女にとっては、



生まれて初めての平和で幸せな時間だった。



何もかもが手に入る様な生活ではなかったが、それでも彼女が一番欲していた



愛情というものを肌で感じる事が出来た。



しかし、それも彼女が中学生の時、終わりを告げる。



母親が突然、職場で倒れ、そのまま病院に搬送された。



そして、ICUに入れられてから、たった一日。



運命は彼女から母親まで奪ってしまう。



彼女は、東京に住む母親の両親が引き取る事になった。



しかし、彼女は完全に抜け殻のようになってしまい、更に祖父母も



郊外の小さく汚いアパートで生活していたらしく、彼女の生活は



更に厳しいものになった。



当然、中学校も東京の学校に転校する事になったのだが、それまでは決して



都会とはいえない地域にのんびりと過ごしていた彼女にとって、東京での



生活はまるで異次元のものだったという。



だから、学校にも馴染める筈も無く、彼女は学校で、出来るだけ目立たない



様に過ごそうとした。



しかし、祖父がかなりの貧乏だったこと、そして彼女のおどおどした態度は



格好の標的になってしまう。



そう、彼女に対するいじめが始まってしまった。



靴やカバンを隠される・・・・。



黒板に彼女に対する誹謗中傷が書き込まれる。



最初はそんな感じのいじめだった。



しかし、それでも、怒る事も泣く事もしなかった彼女に対していじめは更に



エスカレートした。



階段から突き落とされる・・・・・。



髪をハサミで切られる・・・・。



そして、体育の時間には偶然を装って彼女に対する暴力まで行われる様になった。



しかし、彼女は、やはり怒る事も泣く事も、そして先生に頼る事もしなかった。



先生に頼ったとしても、いじめをしている優等生達の言い分を信じるのは



目に見えていた。



それに、母親が死んだ時点で彼女は自分の人生に対して完全に自暴自棄に



なっていた。



自分の存在自体が周りに迷惑をかけているのだと自分に言い聞かせていた。



だから、彼女にはもう怒る気力も泣く気力も残ってはいなかったのかも



しれない。



そして、いじめに耐えて過ごした中学生活が終わり、彼女は高校に進学した。



彼女自身、成績はそれなりに良かったのだが、出来るだけ他の生徒と違う



高校に行けば、もしかしたら、いじめが回避出来るのかもしれない、と思った



彼女は、かなりランクの低い公立高校に進学した。



しかし、彼女のあては完全に外れてしまう。



やはり、ランクが低い高校の方がガラが悪い生徒が多かった。



それに、彼女と同じ中学からも数名がその高校に進学し、彼女の中学時代の



話を面白おかしく周りに話した。



すると、また彼女に対するいじめが、更に陰湿に、そして危険なものとして



始められてしまう。



制服のまま川に突き落とされた事もあった。



何人かの生徒に押さえつけられ、彼女を標的にしてドライバーをダーツ



よろしく、投げつけられた事もあった。



教室の2階の窓から無理やり飛び降りさせられた事もあった。



しかし、その頃から彼女の周りでは不思議な事が起こり場閉めた。



川に突き落とされた時、深い筈の川が、何故か彼女には足が着いてしまった。



まるで、水溜まりにでも落とされた様に・・・・。



バライバーを投げつけられた時も、彼女には1本のドライバーも当たる事は



なかった。



それは、どれだけ近い距離から投げ直しても結果は同じであり、彼女の体に



傷が着く事は無かった。



また、2階の窓から飛び降りさせられた時も、彼女は自分がそのまま死ぬのだと



確信していた。



しかし、足が少し痛かった程度でねん挫すらしなかった。



だから、いじめていた側も、意地になって、もっと高い所から無理やり



飛び降りさせたらしいが、それでも彼女が怪我をする事は無かった。



そのうち、



彼女は、呪われている・・・・。



悪魔に護られている・・・・。



だから、悪魔の子だ・・・・。



そんな噂が一気に広がったらしいが確かにそれだけの事をされて怪我ひとつ



しないのだから、そう思われても仕方無いのかもしれない。



そして、彼女は友達は相変わらず出来なかったが、それでも虐められる事は



無くなった。



それは、勿論、その噂のせいでもあったのだが、実はその他にも理由があった



のだという。



それは、彼女を虐めていた者達が、次々に悪夢を見たのだという。



その夢というのは、女性が夢の中に出てきて、じっとその者を睨んでいるという



夢であり、そして、それらの者は、自分が彼女に対して行ったいじめを夢の中で



体験させられた。



それも、いじめの被害者として・・・・。



川に落とされてそのまま沈みながら流されていき大きな滝に落ちていく場面



で目が覚めた者もいた。



ドライバーが自分の体にどんどんと突き刺さり、そして、最後に自分の目に



突きささる瞬間に目が覚めた者もいた。



学校の屋上から、突き飛ばされて地面へと落下していき、自分の骨と肉が



ひしゃげる音で目が覚めた者もいた。



そして、そのどれもが、その夢の体験者達に、凄まじい恐怖を植え付ける事になり、



それ以来、彼女には一切関わらなくなったのだという。



それからは、彼女は、孤独だが平和な高校生活を送る事が出来た。



そして、高校を卒業すると家計を助ける為に彼女はそのまま小さな会社に



就職した。



本当は事務職として働きたかったが、残業代で稼げる工場での勤務を希望して



それから毎日、彼女は工場で休むことなく真面目に働いた。



しかし、其処でも真面目に、そして寡黙に働く彼女を快く思わない者達がいた。



色々な蔭口を言い合い、在りもしない噂を流して彼女を孤立させようとした。



しかし、彼女は、それを知ってもやはり全く動じる事はしなかった。



これが自分に与えられた運命なんだから・・・・。



そう自分に言い聞かせて・・・。



ただ、彼女はそれまでの辛いとしか思えない人生で一度も自殺という事を



考えた事は無かった。



それは、母親がいつも言っていた事だったし、何より、もっと生きたい、と



言いながら死んでいった母親の姿を見ていた彼女にとって、自殺というのは



もっとも下劣な行為だと思えていたからだった。



実はその頃には彼女の祖父母は二人とも亡くなっていた。



つまり彼女は天涯孤独になっていた。



だから、彼女はその頃になると、いや、実はもっとずって以前から



なのかもしれないが、人間というものは、基本的に性悪なものであり、



友達も、そして結婚も、全てお互いを騙し騙されながら維持している



だけなのだと思っていたという。



だから、彼女は決めていたのかもしれない。



誰とも慣れ合わず、孤独に、そして目立たずに、この人生を生きていこう、と。



しかし、ある日、彼女は自分でも信じられない行動に出てしまう。



同じ工場内で働いていた先輩女性に怪我をさせてしまったのだ。



勿論、怪我自体はそれほど酷いものではなかったが、彼女の暴行事件は会社内で



問題になり、そして警察沙汰にまでなってしまう。



実は、彼女が暴力を振るったのには理由があった。



それは、休み時間、彼女が少し外に出掛けている間に、彼女の事を快く思って



いなかったその先輩女性が彼女の持ち物をロッカーから持ち出した。



そして、彼女が戻って来た時、それは、会社内の排水溝の中に投げ入れられていた。



そして、その持ち物の中には彼女にとっては最愛の亡くなった母親との写真が



入れられていた。



それを見た瞬間、彼女は自分でも訳が分からない程激昂し、気が付いたら



その先輩女性に怪我を負わせていた。



大袈裟に痛がり、泣き叫ぶ先輩女性の横で、彼女は放心状態で立ち尽くしていた。



それは、怒りから来るものもあったが、彼女自身にとって、自分がそれほど



感情を抑えられない人間なのだと、怒りに任せて他人を傷つけられる人間



なのだと知った事で完全に頭がパニックになっていたのだという。



警察から事情聴取をされ、そして家に帰る途中、彼女は決心したという。



自分の様な人間は生きている資格など無い、と。



だから、翌日、会社に行き、しっかりと謝罪し、そして辞職してから、1人で



誰にも迷惑の掛からない場所でひつそりと死のう、と。



しかし、翌日、会社に行くと、事情は大きく変わっていた。



同じ会社内で働いていた男性の1人が彼女を擁護する発言をしたらしく、それが



どんどんと広がっていき、その波は会社を飲み込んでいく。



そして、その流れの中で、実は彼女が真面目に働いていた事、そしてそれを



いじめていた者達がいた事、を見ていた者達がどんどんと声を上げた。



彼女はそれを見て唖然としてしまった。



どうして、この人達は私なんかを庇ったりするのだろうか?と。



結局、彼女は謝罪も、そして責任をとっての辞職もする必要が無くなり、そして



いじめていた者達は、別の職場へと移動させられた。



そして、その時、一番最初に彼女を擁護する発言をした男性からしばらくして



告白された彼女は、その男性と付き合いだした。



そして、交際は順調に進み、いつしか結婚の約束も交わす程になった。



その頃の彼女は、その男性の温かさに触れて少しずつ、他人を信じる気持ちを



持てるようになっていた。



そして、結婚式の前日、その男性は夢を見たという。



夢の中には、彼女にそっくりな女性が出てきて、深々と頭を下げて、



ようやく私の役目は終えられそうです・・・・。



娘を末永く宜しくお願いします・・・・。



と言ってから、スーッと消えていったのだという。



その話を男性から聞いた時、彼女は男性に母親の写真を見せた。



すると、夢の中に出てきたのは間違いなく母親だったという事が分かったという。



母親がずっと自分を守ってくれていた・・・・。



そう考えれば、それまでの不思議な体験は全て説明がついた。



それと同時に彼女は母親の死んでからも変わらない愛情に涙が止まらなかった。



それは、彼女のそれまで自分自身で作って来た殻を破るには十分過ぎる



ほどの涙だった。



それから、彼女は無事に結婚し、2人の子供も授かり、暖かく穏やかな



家庭を築いている。



それまでの辛い人生を取り返すように、これからも、彼女の人生が



幸せなものである事を願わずにはいられない。
  


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2018年11月10日

髪が伸びる人形

これは知人夫婦が体験した話である。



知人夫婦は俺の趣味関係の知り合いである。



趣味というのは写真撮影。



元々、彼らが出会ったのも偶然、撮影に出かけた土地だったというのだから、



まさにカメラが取り持つ縁というやつだ。



結婚してからも彼らのカメラ熱は冷める事は無く、いつも休みになると夫婦そろって



撮影旅行に出掛ける。



そして、持っているカメラや機材もプロ顔負けの高級な物ばかりだったから、



俺はいつもそんな彼らを羨ましく見ていた。



そんな彼らの撮影する写真にも、ごく稀に霊が写り込んでしまう事もあったが、



彼らは元々霊などというものは全く信じてはおらず、また、俺もそんな彼らの考えを



否定するつもりもなかったから、あくまで写真仲間という付き合いがずっと



続いていた。



そんな彼らにある日、子供が出来た。



元気な男の子だった。



それからというもの、彼らの撮影対象は風景や動物から、完全にわが子に



移っていった。



撮影旅行に出掛ける事もなくなり、家の中でわが子の愛らしい姿を撮影しては、



大きく引き伸ばし、家の中の至る所に貼っては、それを眺めるのが



何よりも幸せな時間になった。



そして、ある時、父親である彼が元気に育つようにと、大きな日本人形を



買ってきた。



それは、かなり高価な日本人形ではあったが、とても大きなものであり、早く



その人形を追い越す位に大きくなって欲しいという彼の願いが込められていた。



そして、そんな気持ちを知ってか、息子さんもその人形が気に入ったらしく、



それからは、スナップ写真はいつもその人形と一緒に写るようになつていく。



そして、そんな写真は、男の子が大きくなるに従って家の中を埋め尽くすほどに



なった。



彼ら家族は本当に幸せな時間の中にいたと思う。



そして、それはあまりにも突然だった。



小学校の2年生になっていた息子さんは、学校から帰り道、暴走した若者の



車に轢かれて亡くなってしまう。



それまで、全ての愛情を傾けていたものが、突然、消えてしまう。



その悲しみはとても計り知れないものだった。



彼らは仕事も手につかず、家の中でもお互いに会話すら交わさない生活に



変わっていった。



そして、母親は息子が大好きだったその日本人形をまるで我が子のように



可愛がるようになった。



食事の時も寝る時も、いつも一緒に過ごした。



そして、息子に語りかけるかのように、その人形にもいつも語りかけていた。



ただ、俺には一抹の不安はあった。



もしかして、その人形に邪悪な霊が入り込んでしまっていたら・・・。



そう考えた俺は、一度、その人形を見せて貰った事がある。



とても穏やかな顔をしていた。



まるで、彼らを温かく見守っているかのようだった。



それに、その人形が、ぎりぎりの所で彼ら夫婦の関係も維持出来ている力



になっていると感じた。



だから、俺は安心して、彼らの家を後にした。



しかし、ある時、一つの噂が耳に入る。



それは、その彼らの家にある人形が不気味すぎるというものだった。



髪が伸び、そして顔が以前とは違っているのだと・・・。



しかし、既に、その人形をこの目で見ていた俺は、何も心配などしなかった。



何故なら、その人形からは邪悪な気や、陰の気というものは一切感じなかった



のだから。



しかし、世の中にはお節介な人間もいる。



彼らの仕事上の知り合いの紹介という事で、とある霊能者という者が、



彼らの家に出向き、そしてその人形を霊視したのだという。



そして、その結果として、その人形は呪われており、悪霊が住み付いていると。



更に、そのままその人形を所有していると、彼らは命を落とす事になるのだ、と。



その人形を亡くなった我が子の代わりのようにして接していた彼らにとって、



それは寝耳に水といった感じだった。



全く信じられる話ではなかった。



そして、ちょうどその頃、時同じくして、彼らの息子さんを事故で死なせた



若者が、車を運転中に事故で亡くなってしまう。



そして、それは瞬く間に、その人形の呪いだと広まっていく。



さすがに、恐ろしくなった彼らは俺に誰か他の霊能者を紹介して欲しい、と



頼んできた。



そして、俺が紹介できる霊能者といえば、Aさんしか存在していない。



事情を話すと、Aさんは快く応じてくれた。



そして、彼らの家に行き、その人形を見た時、Aさんは、こう言った。



ふうん・・・・わかりました。



で、その霊能者という奴を此処に呼んで貰えますか?



と言ってきた。



2時間ほど待っていると、その霊能者という人物も彼らの家にやってきた。



そして、Aさんを見るなり、



ああ・・・あなたも霊能者ですか?



どうです・・・私の霊視に間違いは無かったでしょう?



と切り出した。



すると、Aさんは、笑いながら、



別に私は霊能者じゃありませんけどね。



でも、それでも分かりますよ。



この人形は呪われてもいないし、悪霊なんかが入り込んでもいませんから。



確かに、この人形の中には霊体がひとつだけ入り込んでいますけどね。



でも、それって、悪霊なんかじゃなくて亡くなった息子さんの霊ですから。



両親と離れたくなくて人形の中に入って一緒にいる。



そして、僕は此処にいるよ、と知って欲しくて髪を伸ばしたりする。



それって、何か悪い事なんですか?



亡くなっても子供が一緒に居たいと思うのは普通だし、そして現にこの人形の



中にいる息子さんが、こちらのご夫婦の中を取り持ってる。



それって、素晴らしい事じゃないんですかね?



人形の髪が伸びるから邪悪だ。



処分しないといけないって、どれだけ素人さんなんですか?



それに、本当にこの人形に悪霊がとり憑いているのだとしたら、貴方程度の



霊能者には絶対に祓えませんよ・・・。



人形っていうのは、それ程恐ろしいものなんですから・・・。



どうしても、悪霊がとり憑いた人形を祓ってみたいと仰るんでしたら、



今すぐに、そんな危険な人形を持参しますけど?



まあ、命の保証は出来ませんけどね・・・。



そう言うと、その霊能者はすごすごと退散していった。



そして、帰り道、俺はAさんに聞いた。



Aさんには、人形にとり憑いている息子さんが見えたの?と。



すると、Aさんは、呆れたようにこう返してきた。



あのですね。



あの男の子はとり憑いてなんかいませんからね。



ただ、両親の傍に居たいだけです。



だから、嬉しそうに笑ってましたよ。



きっと幸せなんだと思います。



そう言っていた。
  


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2018年11月10日

降霊術というもの

以前、俺の周りではこんなチャレンジが流行った事がある。



それは、、簡単な降霊術。



時刻は深夜1時~3時までの間ならいつでも良い。



ある物を机の上に置いて、部屋の明かりを消し、更に目をつぶってから、



独り言を喋るというだけ。



とても簡単であり、誰にでもすぐにトライする事が出来るというのが



ポイントだった。



ただし、必ず1人で行わなければいけないものであり、途中で止める事は



許されず、最後にはある物を、降りてきた霊の元に差し出し、お礼を言って



お帰り頂くという終わり方まで決められていた。



ある意味、こっくりさんに近いのかもしれない。



ただし、こっくりさんの様に間接的にコインなどを使って文字盤の上を



動かすというものではなく、霊と本当にコンタクトが取れるとかなり



噂になった。



しかし、その降霊術は、しばらくすると、すぐに誰もやらなくなって



しまった。



その理由は、はっきり言えば、その降霊術が本物であり、そして



危険極まりないものであったからである。



そもそも、その降霊術の話の元を辿ろうとしても、最初に言い出した者は



誰もいなかった。



その誰もが、



噂で聞いた。



という返答に終始した。



そして、結論として、それは、やってはいけない危険な行為として周知される



ようになったのだ。



そして、その降霊術が流行り出した頃、誰よりも早くそれを実践した者が



俺の友人の中にいた。



彼は、生粋の心霊マニアといえるほどの存在だった。



それまでに流行った、こっくりさん、を始め、深夜の合わせ鏡、ひとりかくれんぼ、



なども実際に実行したらしいが、結局、不思議な事が起きた程度で、実際の



例の姿を見る事は叶わなかった。



だから、自宅で深夜に暗闇で眼をつぶるだけ、という降霊術自体を、否定的な眼で



見ていたのだろう。



いわくつきの心霊スポットにいっても、なかなかお目にかかれない霊体と、そんなに



簡単に会える筈がないだろう・・・・と。



実はその降霊術で必要不可欠なものとされているのが、此処では品名は出さないが、



それなりに高価な物。



実際、安い物も存在しているが、使用する際には出来るだけ純度の高い



本物を使用しなければいけなかったのだが、彼はその点を疎かにした様だ。



彼は自室のアパートで、その日の深夜の決行に備えて昼寝をたっぶりとして、



夕方の6時に目覚めた。



そして、いつも心霊スポットに行く際に使用しているカメラやマイクを



部屋の中にセットした。



本来なら、映像や音声として記録する事は禁忌とされていたのに・・・・。



風呂に入り、夕飯を食べ、テレビを見ていたが、ふと思いついたように



Bという友人に電話をした。



それは、あくまで、自分がその日の深夜に件の降霊術を実行するぞ、と



いう宣言だったらしいのだが、どうやらBは本気で心配し止めたらしい。



それが、彼には滑稽だったらしく、つい悪戯心で、



もしも、明日の朝に俺から連絡が無かったら助けに来てくれないか?



その時にはもう手遅れかもしれないが・・・・。



と思わせぶりな事を言ったらしい。



かくして、時刻は午前1時を少しだけ回り、彼はいよいよ件の降霊術を



開始した。



カメラの録画をスタートさせ、彼は2人掛けのテーブルに座り、用意した



ある物をテーブルの上の自分の近くに置いた。



彼が用意したある物というのは、決して高価な物ではなかったが、それでも



この降霊術自体を全く信用していない彼にすれば、それなりに勿体ない



代物だったのかもしれない。



もしも、本当に何か現れたとしても絶対にこれだけは渡さないからな!



そんな事を思いながら、彼は部屋の明かりを消した。



一気に真っ暗になった室内は、それだけでも何かが現れそうな雰囲気だったが、



彼にしてみれば、



部屋を暗くして、あまけに眼までつぶって、そして眼を開ければ恐怖心から、



在りもしないものが見えるんじゃないのか?



と言いながら、自分も両目を閉じた。



ただでさえ暗い部屋の中で目を閉じた彼に見えているのは完全なる闇だけ。



そして、おもむろに彼は1人で喋り始める。



普通なら、ここでは日常の出来事などを話す事になっていた。



しかし、彼が話し始めたのは、霊というものに対して彼が常日頃から思っている



不満だった。



霊が頻繁に現れないのは人間を恐れているから・・・・。



霊の中で、人の前に現れるのは、レベルの低い低級霊だけ・・・・。



と好きな事を喋り続けた挙句、



そもそも、こんな降霊術で、霊など召喚出来るはずがない・・・。



という事まで1人で喋っていたという。



その時、彼の耳が酷い耳鳴りに襲われ、周りの音が全く聞こえなくなった。



そして、彼の経験上、そういう耳鳴りが発生するのは、リアルな心霊スポット



だけだと知っていた。



まさか・・・・・・。



そう思いながら彼はゆっくりと目を開けた。



そこで、彼の目に飛び込んできたのは、二人掛けのテーブルの向い側に座る



細い女の姿だった。



髪の毛は長く垂れ、そこから痩せこけた頬が覗いていた。



背筋を伸ばした座高は彼よりもかなり高く、その眼はギラギラとした嫌な



輝きを放っていた。



彼は、目の錯覚だと思い何度も目をぱちぱちとしたが、やはり、その女性は



間違いなく彼の向かい側に座り、彼の顔をじっと見ていた。



彼はさすがに恐怖を感じだが実は彼が霊というものを見たのは、その時が



初めてではなかった。



だから、彼は、こう思ったという。



これはチャンスかもしれない、と。



彼は、その女性に対して、



貴女は幽霊というものですか?



それとも、人間ですか?



どうやって、この部屋に入りましたか?



等と質問を続けたが、その女性は何も反応せず、ただ、彼の顔をじっと



見つめているだけだった。



勿論、彼にはその女性が生きている人間ではない事など既に理解していた。



何しろ、呼吸音どころか、呼吸している様な微かな動きも無く、ただ、蝋人形の



様にじっと動かなかったのだから。



そして、彼は次にこんな質問をしてしまった。



まだ死ぬには若い年齢に見えますが、どうやってお亡くなりになったんですか?と。



すると、その女性は初めて反応し、自分の手首を切る様な動きをしたという。



自殺か・・・・・・。



彼はヤバいと思ったという。



そして、その女性が自分の手首からもう一方の手を離したとき、ざっくりと割れた



様に切れた手首が彼の視界に入って来た。



ザクロの様に割れた手首からは血こそ流れてはいなかったが、そこにははっきりと



手首の骨が白く露出していた。



やはり、こいつ、手首を切ったんだ・・・・。



しかも、こんなに深く・・・・。



それはとても正視出来る傷口ではなかった。



こいつは、本当に自殺霊だ・・・。



そう思った彼は、すぐに、用意していたある物をテーブルの上で動かし、その女が



座るテーブルの向こう側に押しやった。



そして、



今夜はどうもありがとうございました・・・。



それでは、お帰りください!



とうつむき加減に言った。



そして、しばらく時間を置いてから再びテーブルの向こうへと視線を向けた。



これで、消えているはずだった・・・・。



ある物を差し出して、お礼も言った。



そして、帰ってくれるように頼んだ・・・・。



しかし、その女は間違いなく、まだそのテーブルに座っていた。



しかも、先ほどとは違い、顔が溶けたように腐乱していた。



彼は悲鳴を上げようとした。



しかし、その瞬間、その女の手は彼の手を掴んだという。



細く、ゴツゴツとした冷たい手。



その手が彼の手首を掴んで離さなかった。



逃げなければ・・・・・。



彼はそう思ったが、立ち上がろうとした瞬間、意識が遠のき、その後の記憶が



無いのだという。



結局、彼は、その翌朝、心配して彼のアパートまで見に来てくれた友人Bによって



発見され、救急車で病院に搬送された。



そして、Bが彼を発見した時、彼は風呂場の浴槽に手をダラリと垂らし、深くまで



切られた手首からは血が流れ続けていた。



手首には温かいシャワーがかかり続けていたという。



そして、病院で奇跡的に一命を取り留めた彼だったが、その後、警察からは自殺として



処理されたという。



ただ、彼の手首に付けられていた包丁による傷口は、骨まで達しており、医師からは



ここまで深い傷は見た事が無いと言われたそうだ。



結局、彼に関する話はここまでなのだが、その後もその降霊術を試した者達が



次々に自殺未遂として発見されることになり、そのうち、さすがに誰一人として



その降霊術に手を出す者はいなくなった。



文中に書いた『ある物』がなければ、この降霊術は絶対に実行不可能な為、


ここに書いてみた。



安易に降霊術をするべきではないという警鐘を鳴らす意味で。



だから、絶対にある物を調べたりして、実行する事が無いように願いたい。


その女に会いたくなければ・・・・・。
  


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2018年11月10日

天窓

これは知人女性から聞いた話である。



その女性は以前の勤務先の同僚であり、結婚して会社を辞めたのだが、



その後も仲の良かった数人での付き合いが続いている。



彼女が結婚したのは、小さいながらも住宅販売会社の社長さんだった。



そして、結婚すると、夫の方から二人の新居を建てようか、と提案があった。



勿論、彼女は大賛成し、土地探しと同時に家の設計に入った。



そして、その中で彼女がどうしても譲れなかったのが、寝室に天窓が



在る家に住みたいという事だった。



それは、彼女の幼い頃からの夢であり、天窓から星空を見ながら眠れたら



どんなに幸せだろう、という想いからだった。



土地探しも家の設計も全てが順調に進んだ。



そして、数ヵ月後には彼ら夫婦の新居が完成した。



そして、寝室の天井には、しっかりと天窓が備えられていた。



そして、実際に天窓から星空を見ながら眠ると、とても寝つきが良く



朝も幸せな気分で目覚める事が出来た。



そして、彼ら夫婦の新婚生活はとても楽しく幸せなものになった。



しかし、結婚生活にも慣れてきて仕事と火事の忙しさも重なってしまうと



なかなか天窓から夜空を見上げる余裕も無くなってしまう。



そのうち、彼女は寝ている時、いつも怖い夢ばかりを見るようになった。



いつも何か恐ろしいものに追いかけられる夢。



逃げて逃げても追いかけてくる。



そして、いよいよ追いつかれそうになった時、いつも夢から醒めた。



夫も心配してくれて、仕事を少し休んだらどうだ?と言ってくれた。



しかし、彼女はもしかしたら自分でも気付かないうちに生活の中で



ストレスを感じていたのかもしれないと思った。



そして、思い出したのが、例の天窓だった。



彼女は、その日、いつもより早めに1人で寝室に向かった。



1人きりで天窓から星を眺めていれば、きっとリラックスして眠れる。



そう思っていた。



ベッドに入り明かりを消す。



天窓からは綺麗な星空が見えるはずだった。



しかし、天窓は真っ暗で何も見えない・・・。



あれ?



そう思いながら、ぼんやりと天窓を見つめ続けた。



天気は晴れのはず・・・。



それならば、当然、綺麗な星空が見えるはず・・・・。



そう思って、彼女は半ば意地になって天窓を睨み続ける。



そうしているうちに、彼女の目が暗闇に慣れてきた。



すると、天窓の方で何かが動くのが見えた。



彼女は最初、猫でも屋根にいるのかな、と思ったらしい。



しかし、暗闇に目が慣れた彼女が見たものは決して猫などではなかった。



その天窓には、無数の顔が折り重なるようにしながら、窓の外から



ジッとこちらを見ていた。



彼女は思わず悲鳴をあげてしまった。



そして、その悲鳴を聞いて夫がバタバタとやって来た。



夫は明かりをつけて、妻の身を案じた。



しかし、彼女は夫の問いかけに対して、



窓!・・・・窓に何かいる・・・・。



そう返すのが精一杯だった。



そして、夫は彼女に言われたとおりに天窓を点検した。



しかし、何処にも何もいない・・・・。



きっと疲れてるんだよ・・・。



夫はそう言うと、そそくさとリビングに戻り、戸締りを確認して



2階の寝室に戻ってきた。



一緒に居てあげるから・・・・。



安心して眠るといいよ・・・・。



明かりはしばらく点けたままにしておくから・・・。



そう言われ、彼女はゆっくりと目を閉じた。



確かに疲れていたのかもしれない。



先ほどの恐怖も忘れてしまったかのように、彼女はすぐに深い眠りに就いた。



体はまるでベッドの中に深く沈んでいくかのように深い眠りだった。



しかし、彼女は夜中に目を覚ました。



部屋の電気は既に消されており、真っ暗になっていた。



時計を見ると、午前2時半を指していた。



頭がぼんやりとしていた。



どうしてこんな時刻に目を覚ましちゃったんだろう・・・・。



そう思いながら、彼女は再び、天窓のほうを見た。



天窓からは綺麗な星空が見えていた。



これこれ・・・これが見たかったのよ・・・。



そう思いながら、彼女はジッと目を凝らして綺麗な星空を見つめ続けた。



やっぱり私は疲れていたんだ・・・・。



だから、幻覚を見てしまっただけ・・・・。



そう考えていると、先ほどあれ程恐怖で固まっていた自分が滑稽に



感じられてしまう。



やっぱり天窓のある家にして正解だったな・・・・。



そんな事を思っていると、何処からか声が聞こえてきた。



こんな時間に誰だろ?



最初はそう思っていたが、どうやらその声はまるで自分の耳元で



囁いているように聞こえてくる。



あけて~・・・・・あけて・・・・あけて・・・・。



それは1人の声ではなかった。



男も女も、そして大人の声も子供の声も混じっていた。



ハッとして彼女が天窓を見ると、また先ほどの沢山の顔が天窓に



張り付いてガラスを指でコツコツと叩いている。



彼女は、急いで夫を起こそうとしたらしい。



そして、横を見ると、そこには寝たままの状態で顔を彼女の方に向け、



じっと顔を見つめている夫がいた。



彼女は、その顔が、いつもの優しい夫の顔ではない、と一瞬で感じ取った。



そして、そのまま固まっていると、夫はブツブツと言いながら



ベッドから起き上がった。



そして、



今開ける・・・・早く開けなきゃ・・・・。



そう言いながら、電動で天窓を開ける為のスイッチの方へと歩いていく。



ちょっと・・・ちょっと止めてよ!



そう叫ぶ彼女の顔を夫は一瞬振り返ってみたらしいが、何かとても



嬉しそうな顔をしており、それが逆に恐ろしく感じた彼女はそのまま



口を閉ざした。



すると、次の瞬間、夫が天窓のスイッチを押したのだろう・・・。



ウイーンという音とともに、天窓かゆっくりと開いていく。



その瞬間、幾つもの白い靄のようなものが部屋の中に入ってきて、



それはやがて人の形になった。



首から下はぼんやりと靄のようにかすれていたが、顔だけはどれも



はっきりとしており、それが、とても異様だった。



そして、それらの顔は、突然、スッと彼女が上半身を起こしている



ベッドのすぐ脇まで近寄り、彼女を取り囲んだ。



そして、何故か、その中に彼女の夫の顔もあり、彼女は恐怖のあまり



そのまま失神した。



次に彼女が目を覚ましたのは、明るい朝日が差し込んでいる部屋だった。



いつもの様に、彼女はベッドで寝ており、横には夫もスヤスヤと寝ている。



その後、彼女は夫を揺り起こし、昨晩の事を聞いてみたが、どうやら



全く何も憶えていないという事だった。



しかも、自分がいつ、ベッドに入ったかも憶えていなかった。



彼女は、夢であって欲しいと願った。



しかし、昨夜開いた天窓は、まだしっかりと開いたままになっていた。



結局、彼女は、夫に頼み込んで、その家を売りに出した。



そして、その家はすぐに売れてしまい、それから彼女たち夫婦は



アパートの一室で生活する事になった。



彼女はこう言っていた。



あいつらが、何物なのか、全く分からない・・・・。



でも、まだ、家の中に居る様な気がして・・・。



だから、家は売るしかなかった・・・。



次の購入者には、悪いけど・・・。



そう言って、申し訳なさそうな顔をしていた。
  


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2018年11月10日

キツネというもの

Aさんからこんな話を聞いた事がある。



それは今からかなり前になるらしいが、Aさんが修行をし、自分の能力に



覚醒する前の話だと言われた。



ただ、その当時も、人並み外れた霊力を持っていたらしく、実際、Aさん自身も



その能力に自信があったらしく、その筋では有名だったらしく、色々な



依頼が来ると、経験値を積む為なのか、そそくさと除霊に赴いていた。



そして、実際、その頃のAさんでも向かうところ敵無しの状態だったらしく



どんな悪霊が相手でも簡単に除霊出来る自信もあったらしい。



そんなAさんが、ある日、禁忌の場所に手を出してしまう。



其処は山の中にある古い祠であり、人が恐れ決して近付かない場所だった。



特にその祠が何か人に悪さをしたという訳ではなく、ただ、その近くを



人が通れず不便という理由だった。



しかし、その頃のAさんは、自ら進んで、その祠の浄化へと向かった。



知り合いに頼まれたというのもあったかもしれないが、もしかしたら、



自分の力に過信があったのかもしれない。



そして、浄化は簡単に終わる筈だった。



だが、ふたを開けてみれば、その祠にはとてつもない悪霊が数体棲み付いていた。



そして、Aさんは、その中の1体すら浄化出来ないまま、その祠から



逃げるしかなかった。



しかし、祠を荒らされた悪霊たちは、そんなAさんを許す筈も無く、不気味な



叫び声と笑い声を上げながら追いかけてきたという。



その時、既にAさんは、かなりの怪我をしていた状態であり、背後から迫りくる



悪霊たちの群れに、死を覚悟したという。



しかし、そんな山の中にお寺も無ければ安全な場所など存在しない。



いや、きっとどんなお寺があったとしても、きっさとそれは安全な場所と



なり得なかった。



それ程に、強力な悪霊たちだった。



そんな時、Aさんの耳に、



こっち・・・こっちにおいで・・・・。



という声が聞こえたという。



Aさんは藁にもすがる思いで、その声のする方へ走ると、そこには小さな神社



があったという。



Aさんの体力は既に限界に達していた。



だから、Aさんは、一か八かで、その神社に飛び込んだ。



そして、どんどんとAさんに近づいてくる悪霊たち。



しかし、次の瞬間、悪霊たちの動きが完全に止まった。



何かを恐れている・・・・。



そう感じたという。



確かに、悪霊たちは神社の敷地には近づいて来れないのがよく分かった。



そして、それらが恐れているものが何なのか?



Aさんは、じっと様子を窺っていたという。



すると、どうやら、その悪霊たちは明らかに2体の狐を恐れているように見えた。



もしかして、助かった?



と思った矢先、悪霊たちの中から、1体が凄まじい顔で突進してきた。



Aさんは、さすがに、マズイ!と思ったらしいが、その悪霊は狐に近付く事も出来ず



一瞬で消されてしまったという。



それを見た悪霊たちは、



あな・・・・悔しや・・・・。



と言いながら、何処かへ消えてしまったという。



そうやって難を逃れたAさんは、さずかにお礼を言わなければ、と思い、再び



その神社を探したらしいが、何処にもそんな神社を見つける事は出来なかったという。



そして、その話を聞いた時、俺は少し疑問を持ってAさんに尋ねてみた。



狐って悪いのばかりじゃないの?



それに、そんなに霊力が強いの?



もしかして、その神社だけが特別なんじゃないの?と。



すると、Aさんは、



いえ、私もそれから色々と調べてみたんですよ。



自分なりに・・・。



そして、今では色んな体験からそれが真実だと確信していますけどね。



狐って人間に悪さをするイメージが強いと思うんですけど、実はそうではないんです。



確かに、そんな悪さをしたり憑依したりする狐もいるのは事実ですけど、それって



全体から見れば、ごく僅かなんです。



ほら、いつも姫ちゃんにくっ付いてる狐がいると思うんですけど、まあ、あれは



規格外というか、ケタが違うんですけどね。



あれはもう神の領域にいるモノなので・・・・。



そして、まあ、その九尾の狐にしても、



良いモノもいれば悪いモノもいます。



その辺は人間も同じですよね。



それじゃ、稲荷神社にある2体の狐は、どうか、というと、狐の中でも結構な



地位にあって霊力も高いんです。



確か、白狐といわれる透明の狐だったと思います。



まあ、神社で祀られている神様の眷属として仕えている訳ですから、位が



低く弱い訳がないんですけどね。



そんなんじゃ神様をしっかりと護れませんから・・・・。



小さな神社でも良いんです。



ちゃんと神様が敬われ祀られている神社なら、そこにちゃんと眷属である



白狐もいますから。



だから、もしも、怪異で何かから逃げる時には、稲荷神社に逃げ込むのが



てっとり早いかもしれません。



殆どの悪霊は、神社にいる狐にはどうやったって近づけませんから。



実際、怖いですよ。



狐って・・・・。



狡猾でずる賢くて桁外れに霊力も高い。



出来る事なら対峙したくはない相手ですかね。



まあ敵に回すと・・・・ですけどね。



ただ、それが味方の場合はとても頼もしい存在に変わりますから。



そう説明された。



そして、俺は更にこんな質問をした。



Aさんがピンチだった時に現れた神社って、やはり神様が助け船を出して



くれたっていうことなの?と。



すると、Aさんは、



神様かどうかは分かりませんけど、でも、間違いなく何かが私を助けてくれた



のは間違いないと思いますよ。



まあ、今の私には必要ありませんけど・・・。



と返してきた。



だから、俺はこう聞き返した。



助けられた時に、神社が見つからなかったって言ったけど、その後、ちゃんと



お礼はしたの?と。



すると、Aさんは、少し不機嫌な顔になって、



いいえ、お礼は言えませんでしたね。結局・・・・。



だから、私は今でも狐とは相性が悪いのかもしれませんね?



まあ別に良いんです。



私はKさんや姫ちゃんみたいに強い仲間や守護霊がいなくたって何とかなりますから。



だいたい、霊力も無いKさんが、姫ちゃんに付いてるあんな凄い面々と会っても



無事でいられる事自体、奇跡なんですけどね。



それを、いつもヘラヘラしてぼーっとして、平気ですぐ傍にいる。



Kさんこそ、ちゃんと守護霊に毎日土下座手もしてお礼を言わないといけない



んじゃないですか?(笑)



と言われてしまった。



俺は改めてそんなに強力な守護霊に守られているのだと実感した。



そして、その時初めて理解できた。



どうして、姫に付いている狐が、Aさんに全く近寄ろうとしないのか、と



言う事を。
  


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2018年11月10日

生まれ来る命というもの

以前、こんな事があった。



俺の知人夫婦が、結婚してずっと出来なかった子供を授かった。



2人は毎日、その生まれてくる子供の事だけを考えて過ごしていた。



カレンダーにも出産予定日を大きく囲み、指折り数えてその子供が生まれて



来る日を待った。



性別が女の子だと分かった時には、二人で必死に勉強して良い名前を



用意した。



そして、予定日より少し早く帝王切開で取り出す事が決まった。



誰もが、その子供の誕生を疑わなかった。



しかし、運命というのは過酷なもので、その子供は出産中に亡くなってしまい、



生まれてきた時には、その子供は既に息をしていなかった。



何度も蘇生を試みる医師だったが、再び、その子供の心臓が動き出す事は



無かった。



夫も妻も、病院を責め、そしてお互いを責めた。



そうするしか、自分の気持ちを保ち続ける術が思いつかなかった。



夫は生活の為に、仕事には出掛けていたが、妻はとても働く気持ちになど



なれなかった。



それどころか、生活の為に、何とか自分を律して働いている夫を、冷たい



人間だと罵り軽蔑したという。



妻は毎日、家の中に籠り、生まれてくる筈だった子供の事ばかりを考えて



一日を過ごしていた。



そして、その頃からその家では不気味な現象が起こり始める。



家の中でラップ音が聞こえるようになった。



夜、寝ていると赤ん坊の泣き声が聞こえるようになった。



妻はまるで夢遊病者の様にその声が聞こえる方を探しまわったが、当然、何も



見つかる事は無かった。



そして、家の中をまるで赤ちゃんが這っている様な音が聞こえる事もあった。



その度に、家中を見て回ったが、そこには誰の姿も見つかる事は無かった。



そして、それからも家の中では、無言電話が鳴りだし、家の玄関のチャイムが



押された。



そして、その度に、



もしかしたら、私の赤ちゃんが戻って来てくれたのかもしれない・・・。



そう思い、電話にもすぐに出て、玄関のドアのすぐに開けるのだが、そのどれもが



悲しみを増加させるだけだった。



そして、ある日、家の中で、家事をしていた妻が階段から何者かに突き落とされた。



階段を落ちていく瞬間、妻ははっきりと赤ちゃんの姿を見た、と言い、かなりの



怪我を負いながらも、その出来事を喜んでみせた。



私の赤ちゃんが戻って来てくれた、と。



しかし、度重なる怪異に夫は、知り合いに紹介してもらった霊能者といわれる



人に、今、家の中で起きている事が一体何なのか、を診てもらったという。



すると、その霊能者が言うには、



この家を呪っている者がいます。



それは、この世に生れて来られなかった赤ん坊です。



このままでは大変な事になります。



大掛かりな除霊が必要ですが私が何とかしてみせます!



との事だった。



夫も妻も、その言葉を聞いた時、酷い衝撃を受けたという。



やはり、あの子は私達を恨んでいるのか、と。



しかし、その霊能者から提示された除霊費用が、数百万というものだった為、



即答は避けて、俺に相談してきたという事だった。



勿論、俺に何かできる筈も無く、いつものAさんに相談してみた。



すると、Aさんは、いつものように面倒くさそうに拒否を続けていたが、



俺の説明が進むにつれて、真顔で耳を傾け始める。



そして、全て聞き終えると、



本当に馬鹿な霊能者様がいるもんですね。



なんか、話を聞いてるだけでこっちが頭に来てしまいますね。



わかりました。



今すぐ行きましょうか。



そう言って、すぐに知人夫婦の家に同行してくれた。



そして、家に着くと、家の中を一通り見て回り、そして、彼らにこう言った。



本当に変な霊能者・・・いや、偽霊能者が多くて困りますよね。



でも、そいつの詐欺に引っ掛かる前に相談してきたのは正解でしたね。



いいですか?



この家は呪われてなんかいませんよ。



確かに、何かが怪異を起こしてるのは事実ですけど、それは死産した赤ちゃん



では断じてありませんから・・・。



きっと、失望のあまり生きる気力を失っていた奥さんに、悪い霊がつけこんだのだと



思います。



そういう負の空気をあいつらは好みますから・・・・。



そして、その悪霊から、この家を護っていたのが、亡くなられた赤ちゃんです。



大した力もないのに、お父さんとお母さんを守りたいという気持ちで・・・。



だから、私は、その赤ちゃんの手助けをしに来たんですよ。



その子の想いだけでは、護りきれそうにありませんからね。



そう言うと、バッグから水晶を取り出して、両手で上にかざした。



そして、



こういうのを私は絶対に許さないから!



と言うと、家の中が白い光に覆われていき、しばらくすると、その光は



静かに消えていった。



頭に来たので、浄化ではなく、消滅させました。



とAさんは、二人に告げると、その場に腰を降ろした。



そして、二人に説くように、ゆっくりと話し始めた。



この世に生れて来れなかった赤ちゃんが、自分達の事を恨んでるなんて間違っても



思わないでくださいね。



生まれてきてから誰かに殺された場合を除いて、そんな事はあり得ません。



だって、赤ちゃんだって分かってますから。



それが運命だって事を・・・・。



この俗世に生まれてくる前だからこそ、よりはっきりと運命を自覚しています。



それよりも、お母さんのお腹の中で幸せに過ごせた時間が、赤ちゃんにとっては



何より大切で貴重な宝なんです。



水子供養とか、そういうのも否定はしません。



ただ、生まれて来れなかった赤ちゃんに対して罪悪感を感じてずって悩み



苦しみ続けること。



それって、実は赤ちゃんも苦しめてしまうものなんです。



赤ちゃんも、早く転生の準備をしなくてはいけないのに、親がそんな感じだと



心配で上にのぼれません。



授かる筈だった我が子をずっと忘れずにいてあげる事はとても大切な事



なんですけど、必要以上に、その子の事ばかり考えていると、その子も



次のステップに進めません。



そして、そんな負の空気に満たされれば、今回の様に、悪いものに目を



付けられてしまう事にもなりますからね。



だから、冷たい言い方かもしれませんが、



今回は悲しい結果だったけど、次はちゃんと会おうね!



ごめんなさい。



それじゃ、また!



って、感じの方が良いのかもしれませんね。



そして、毎日一度は心の中で手を合わせて。その子の安らぎを祈ってあげる。



それで十分ですよ。



赤ちゃんも、お腹の中にいる時に、ご夫婦の愛情をたっぷり感じていますから、



普通なら次に生まれてくる子として、そのまま転生する場合も多いんです。



だから、お二人は次に授かった赤ちゃんにまた愛情を精一杯注いで



あげれば良いんですよ。



でも、普通は7日間で上にのぼらなければいけないんですけど、赤ちゃん、



特に生まれてくる前の赤ちゃんの場合には、もう少し長く母親の近くに



居る事が出来ます。



だから、その間に、元気な姿を見せてあげないと、赤ちゃんも上にのぼれず



困ってしまいますよ。



大丈夫です。



生まれて来れなかった赤ちゃんにも、ちゃんと次が用意されていますから。



そして、その子の魂が、そのまままた、同じ夫婦の元に来て欲しいと願うのなら、



少しでも、元気に明るく前を向いて進まないと・・・・。



そういう居心地の良い両親、特に母親の所になら、また、赤ちゃんも同じ



場所に生まれてきたいと思うでしょうからね。



それだけ言うと、Aさんは、その家を後にした。



そして、その帰り道、俺は聞いてみた。



本当に同じ両親の元に、その魂が生まれてくる事があるの?と。



すると、Aさんは、



勿論、ありまよよ。



それに見えませんでしたか?



あの母親に、ピッタリと赤ちゃんがくっ付いていたのを・・・・。


ちっちゃな手で必死にお母さんを護ろうとしていました。



だから、きっと、あの子はまたあのご夫婦の元に生まれてくることになるんだと



思いますよ。



そう言って少しだけ嬉しそうに笑った。
  


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