2013年06月16日

(改)火葬場といえば・・・。

10年位前に聞いた話。

俺の母親は能登の、とある港町出身だある。

そして、丁度、3年ほど前に母の兄、つまり俺の叔父が亡くなった。

当然、人口も少ないから、幾つかの村や町が共同で使う火葬場があった。

そんな田舎でも今は最新式の斎場になっており、短時間で火葬が終わる。

それでも、やはり暇を持て余していた俺は、近くに居た係員さんに

色々な話を聞かせてもらった。

そして、これから話すのは、その時に聞いた話の1つである。

昔は、薪で火をおこし死体を焼いていたという事だった。

要するに、ただの火なので、完全に骨になるまでにはかなりの時間が

かかり、夜を徹して見張り番がついた状態で焼いていたのだそうだ。

そういう作業だから、火葬担当の係りの人といえども、本当は作業は昼間の

明るい時にしたいのだが、葬式が重なるとそうもいかず、結局、一年に

何回かは夜を徹しての作業になってしまう。

焼いている時は、何時間おきに、ちゃんと燃えているか、確認するという

作業があり、その間はずっと窯の傍で待機しなくてはいけない。

そして、その係りの方も、その仕事に就いて間もない頃、初めて先輩と

一緒に夜を徹しての火の番をすることになった。

昼間の火葬は、経験済みだったそうで、大して不安も無かったのだが、

先輩からは、真剣な顔でこう言われたのだそうだ。

こういう仕事を夜を徹してやっていると、ふと自分の後ろに誰かが

立っているのを感じる事がある。

そう感じた時には、本当に後ろに、誰かが立っているんだ。

決して気のせいなんかじゃない。

お前が試しに後ろを振り返ったりしたら、俺まで危険な目に遭うから

言ってるんだ。

いいか?

生きている俺達は、決して振り向いたり声を出してはいけないんだ。

気付かない振りに徹しなくちゃいけない。

そうしないと、怖い思いをする事になる。

とてつもない怖い思いを・・・・。

実際、夜の火葬の番をしていて、そのまま居なくなった者も過去には

1人や2人じゃないんだ!

だから、自分の身は自分で護らなきゃな。

だからな。

向かい合わせではなく、焼却炉の方を向いて二人で並んで座るんだ。

そして、死者に対する尊厳の気持ちをしっかりと持ちながら、

朝が来るのをじっと待つんだ。

それが死者に対する礼儀でもあるんだから、よく覚えておけ。

そして厳守しろ。

昔はそういうことを守らなかった者が何人も、あちらの世界に

連れて行かれてる。

だから、自分の命が大切なら、しっかりと決まりごとを守るんだ!

そう言われたそうである。

そして、夜も更けてくると先輩に言われた通り、そういう感覚に

襲われたそうだ。

本当にリアルに誰かが自分の背後に立っていると確信できたそうである。

それは、気配というものだけでなく、明かりに照らされた人影が見えたり、

すぐ背後から声が聞こえたり、と存在を裏付けるものがあったそうだ。

でも、その方は、きちんと、先輩の言われたとおり、何も気付かない様に、

先輩とゆっくり酒を酌み交わしつつ、世間話を続けたそうであり、だからこそ、

今も生きていられるんだよ、と締めくくった。

今もそんな古い火葬場が残っているかどうかは分らないが、怖くてそして

身の引き締まる思いがした。

この古い火葬場は、ほんの数十年前の日本の各地に実在した。

  


Posted by 細田塗料株式会社 at 14:05Comments(4)