2013年07月21日

(改)恐怖。内川ダムの奥にある廃村

以前、福井県の東尋坊が北陸の最恐スポットと書いた。

だが、自分にとって最も怖かった場所は、別の場所である。

そこは金沢市の郊外、内川ダムの更に奥へ入った場所にある。

今でこそ、道路が細工され、走りにくくなっているが、その当時は、

いわゆる走り屋さん達が集まるコースもダムの手前にあり、

夜とはいえ、それなりに賑やかな場所だった。

しかし、自分が体験した場所は、内川ダムを超えて、

砂利道をひたすら進んだ所にある。

実はは、その場所は、ダムの建設により強引に廃村とされ、

当時は自殺者も出るほど荒れた土地であった。

そんな場所だから、霊的な噂は推挙に暇がない程である。

当時、中古のラリーカーで友人とダムの奥にある砂利道を使い、

殆ど、毎晩練習に励んでいた。

いつもは、手前の分岐点で折り返すのだが、その時は、何故か、

その奥にある村を探索してみよう、という事になった。

実は以前、別の友人と昼間にそこを探検した事があり、

昼とはいえ、その異様な雰囲気に俺は心惹かれて

いたのである。

ただ、1人で其処を訪れる勇気も無く、その有人に頼んで

一緒に行って貰う事になった。

その分岐点から5分程走ると、両側に民家が現れる。

道も段々と広くなり、雑草で荒れてはいるものの舗装された

道路も現れた。

そして、一番道が広く、色んな建物が密集している場所に

車を停めた。

何故其処に停車したかと言えば、その場所に”出る”と言われて

いる古い学校らしき建物が在ったからだ。

しかし、やはり怖かったのも事実だった。

だから、車のエンジンはかけたままで、ラリー用のフォグランプも

点灯させて、学校全体を照らす様にして車を停めた。

車から降りると、何か生臭いような臭いがした。

以前、別の友人と昼間に此処へ来た時には、そんな臭い

は、感じなかった。

その辺りは、熊がよく目撃されている場所でもあったので、

俺達は、もしかしたら、熊が近くに隠れているかも?という

別の意味での恐怖も感じてしまう。

ただ、その時は、もう1つ、違和感があった。

まるで、誰かに息を殺して、見られている様な嫌な感覚

があったのだ。

だから、本来の予定では、他の民家も一軒一軒見て回る

つもりだったが

そんな勇気は完全に消えてしまった。

だから、最大の目的である、

古い木造の小さな学校。

其処だけに集中する事にした。

非常用の懐中電灯の明かりだけを頼りに、校舎の中に入る。

よく、昭和初期の映画に出てくるような造りで、全てが木造

であり、木の窓枠のガラスは所々、割れていた。

少し進むと、一番大きな部屋に出た。

そこには、なんと小さいながらもれっきとしたグランドピアノが

置いてあった。

これか!

と俺は声を上げた。

そう、このピアノを弾く音が聞こえてくると言うのが、

この場所の最も怖い噂だった。

だから、ピアノの回りを色々と調べてみる。

鍵盤も押してみたが、鳴るものと鳴らないものが

混在していた。

あれ、何か落ちてるぞ!

友人の言葉にピアノの下に目をやった。

古い日記帳だった。

そして、そこには、”死ね”と真っ赤な字で書かれていた。

確かに肝試しスポットではよくある落書きの類かもしれないが、

そういうものを冷静に受け取れる様な精神状態ではなかった。

だから、一気に恐怖が加速した。

冗談じゃねえぞ、と思い顔を上げかけた自分の目に在り得ない

ものが映った。

ピアノの前の椅子に女性が座っており、その足がはっきりと見えた。

うわっ、と声をあげる俺。

その声に、友人もこちらを向く。

そして友人も、その女を見てしまったのだろう。

完全に固まっている。

そして、懐中電灯で照らして確かめようとする友人を

俺は、大きな声で止めた。

そして、少しづつ後ずさりするようにその部屋から出た。

しかし、そこには、更なる恐怖が待っていた。

窓という窓にくっ付いた様に、びっしりと並んだ

人間と思われる顔・顔・顔。

懐中電灯で照らして刺激するのが怖かったので、

明りは足元だけを照らすようにした。

そして学校から出ると、急いで車に乗り込む。

エンジンをかけておいて正解だった。

そう思い、アクセルを吹かし気味にクラッチをつなぐ。

ところが前に進まない。

ラリーカーであるから馬力もたぶん250馬力以上はある。

そして舗装された道。

普通に考えれば、止める事は不可能だ。しかし、前に出ない。

それも、ガチッと固定されて動かないという感じではなく、

まるで大勢の人間が後ろから引っ張っているかのような感じ。

うまく言えないが、それならいちかばちかという発想で、

一度バックしてから前進してみよう。

という事になった。

よく雪道でスタックした時に使う手段である。

そして、それは、うまくいった。

何かを踏むような感覚があったが、

取り敢えず車は前に走り出した。

俺たちは、思わず歓声をあげた。

こうなれば、一刻も早く、この場所からおさらばだ!

車は快調に走った。

そして、丁度、例の分岐点を過ぎた頃、友人が叫んだ。

追いかけてきてる!

どうやって?

と俺。

信じないかもしれないけど、浮いてるぞ。あいつら!

と友人。

自分もミラーで確認したが、自分には頼りないほど

暗い明かりの束が迫っているように見えた。

いいから、お前はもっと早く走れ!近づいてきてる。

友人はパニック状態で言い放つ。

しかし、自分でも限界ギリギリで走ってるつもりだった。

すると、友人が、突然、車の全ての窓を閉め、ドアをロックした。

そして、

囲まれたぞ!

お前は横を見るな!

と叫ぶ友人。

そんな事を言われても、この状態では、嫌でも視界に入ってくる。

それらは、車の後ろから車を止めようとする者、そして窓に顔を

押し付けて怒りの表情を表す者という2つに大別出来た。

そして、アクセルを踏んでいる割には速度が徐々に落ちてきていた。

車にぶら下がるように、沢山の霊達が車を引き止めようとする。

どうやら、本気で車を止める気らしい。

それでも、ラリー用のエンジンは、心強くなる位、

外部からの力に抗うだけの力強さがあった。

うめき声らしき音も入ってきたが、カーステのボリュームを

上げてかき消した。

何とか、走り屋連中が大勢いる場所まで辿り着かなくては・・・。

それしか考えていなかった。

ミラーこそ見なかったが、あれから速度も更に落とされている。

車を止めようとする霊の数もきっと増えているのだろう。

そのうち、それらのうちの何人かが、前方に浮かび、

視界を遮るような動きをし出した。

しかし、連日、走りこんだお陰で、この道はもう殆ど見なくても

走れる位に頭に叩き込まれていた。

そして、ダムの駐車場までの上り坂に差し掛かる。

あと少しだった。

しかし、車は更に速度が落ちていく。

俺達はお互いが同じ事を思った筈だ。

本当にヤバイかも、と。

それでも、アクセルベタ踏みの車は確実に前に進んでくれる。

ただ、この時には、車はもう時速30キロ位しか出ていなかったと思う。

エンジンが焦げるような臭いが車内にも入ってくる。

もう、だめかな?

止まったらきっと死ぬんだろうな?

そんな事を考えていると、

車が急に軽くなるのを感じた。

ダムの駐車場に出ていた。

助かった!

そう思うと、どっと疲れが出てきた。

奴らは、何らかの理由でダムの駐車場には

入って来れないのか?

それとも、、死を意識した事で、彼らに許してもらえたのか?

それはわからなかった。

この件と関係が有るのかは分からないが、この後、友人と俺

は二日間、高熱に苦しむことになった。

この世には、遊び半分の気持ちで絶対に近づいてはいけない場所が

間違いなく存在するのだ、という事を改めて思い知らされた。

このダムの奥の集落は、今も実在している。

  


Posted by 細田塗料株式会社 at 14:34Comments(2)