2016年12月31日

最恐の侵入者!

こんばんは。

サインディス不プレイ部 営業のKです。

今日は大晦日。

2016年も、残すところ、あと僅かですね。

本当なら、年越しそばを食べて、紅白でも観て、

心静かに新年への準備をするところなんですが・・・。

大晦日に、1人で怖くない話をせっせと書いている

私って、何なのだろうか?と自問自答しております(笑)

でも、やはり新しい年は、怖くない話と共に迎えたいですよね?

ちなみに、私は、怖くない話を朝方まで書き溜める予定ですが、何か?(涙)

というわけで、今夜も怖くない話、スタートです。

もしかしたら、長い文章になっているかもしれませんが、ご容赦を(笑)


これは、金沢市の野町という所で1人暮らしをしている俺の友人の話である。

彼は、もう40代だが、未だに独身であり、釣りとギャンブルを至上の

喜びとして人生を送っている。

だから、結婚にも興味がなく、それでいて、ちゃんと一戸建ての家に住み、

それなりに充実した毎日を送っていた。

そして、その日、彼はいつものようにパチンコから帰宅すると、そのまま

居間でビデオを見ながらビールとコンビニ弁当で、一日の疲れを癒した。

そして、いつものように、そのままの状態で知らぬ間に寝入ってしまう。

まあ、こんな事は日常茶飯事なのだが、その時は、全てがおかしかった。

いつも、ウトウトと寝てしまったとしても、1時間程で目が覚め、

慌てて寝室にいき、ベッドに入る。

ところが、その晩、彼が目を覚ますと、時刻はもう午前2時を回っていた。

しかも、消した記憶は無いのに、電気が消えていた。

いかん、いかん、と思い、彼は部屋の電気を点け、いつものように慌てて

寝室へ行こうとした。

だが、その時、彼は、何者かが2階への階段を上がっている音を聞いた。

じっと息を殺し耳を傾けて、もう一度、しっかりと、その音を

聞こうとした。

トントントンという軽快な音ではなく、ギシッギシッギシッと一歩ずつ

階段を踏みしめているような音だった。

彼が先ず考えたのは、泥棒なのか?ということ。

だから、彼はそっと近くに置いてある護身用?のバットを持って、そーっと

居間のドアを開け、深呼吸すると、大きな声で

誰だ!

と叫んだ。

こういう場合、やはり、そーっと後ろから泥棒の後をつけていき泥棒を捕まえる

という発想はドラマだけのものであり、やはり恐怖が先に立ってしまうらしく、

出来るなら、泥棒が自分の声に驚いて、何も盗らずに逃げていってくれるのが、

最善の安全策だと考えてしまうらしい。

記憶に間違いが無ければ、彼は柔道の有段者だと思うのだが、実際には、

ドラマのようにはいかないらしい。

ただ、その時、彼が発した大声に対して、何の反応も無かった。

驚いたような声はもとより、逃げようとバタバタしている音すら聞こえない。

しようがなく、彼は、大声を出しながら、階段をわざとドスドスと大きな音

を出しながら登った。

そして、わざと聞こえるように大声で

そこに居るのはわかってるんだからな。観念して出て来いよ!

と言いながら、バットを持っている事が判るように、わざとバットで階段を

叩いたりしながら、一歩一歩のぼる。

そして、2階までやって来たが、2階からは何一つ物音はしなかった。

だから、彼は、護身用のバットをしっかりと握り締めた。

今、彼の勇気を支えているのは、手に握ったバットだけだったから。

そして、2階の部屋を1つずつ調べる事にした。

2階には洋間が3部屋あった。

本当は結婚して子供も出来て、という予定で建てた家だったが、1人暮らし

を続けている彼にとっては、2階の部屋は、まさしく開かずの間だった。

右の部屋、そして左の部屋と見て回り、残すは一番奥の部屋だけになった。

そして、その部屋のドアを開け、部屋の明かりを点ける。

2階で一番広いその部屋は、左がクローゼットになっており、家具という

ほどの物は何も置いてなかった。

それに、他の2部屋には誰も居なかったということは、この部屋に泥棒が

隠れている可能性が高い。

部屋に入ると、ギシっと嫌な音がする。

勿論、彼自身の足音なのだが、そういう時は、思わずドキっとしてしまう。

そして、クローゼットの前まで来ると、彼は、一気にクローゼットを

開けた。

出て来い!

という強気の言葉と共に。

だが、そこにも誰もおらず、部屋の中は異常なくらいの静かさが支配している。

もう息が詰まりそうだった。

だから、彼は、急いで、1階にある居間へ戻ろうと、ドアの方を振り返った。

すると、開けっ放しのドアの向こうに誰かが立っている。

鬼女?

彼がそう思ってしまうのも無理が無いほど、それは異形の姿をしていた。

細く痩せた姿で、まるで般若の面を付けたような顔。

白いワンピースを着たまま、その女は直立して立ち、そして彼を睨みつけていた。

彼は、その時、人生で初めて、腰が抜けてしまうという体験をする。

体の力が抜けてしまい、立っている事は出来ず、そのまま後ろに尻餅をついた。

そして、そのまま、後ろにジリジリっと下がる。

彼は、殺されるのではないか?と思ったらしい。

だが、その女は、彼の姿を見て、一瞬、ニャッとした笑みを浮かべると、

そのドアは、静かにスーッと勝手に閉まったらしい。

彼は呆然としながら、どうやってこのピンチを乗り切るかを思案した。

腰が抜けて動けない自分には、窓を開けて助けを呼ぶことも逃げ出す事も

出来なかったから。

ただ、閉じられたドアの向こう側には、先程の女が、彼が部屋から出てくるのを

待っている、という妙な確信はあった。

そうこうしていると、腰に力が入るようになってきた。

そして、何より、彼の手にはバットが握り締められている。

彼はゆっくりと立ち上がると、その部屋の窓を全て開けた。

そうする事で、不思議だか、少しだけ勇気が持てた。

そして、彼は、ただ殺されるくらいなら、少しでも抵抗してやる!という

気持ちがどんどん大きくなっていった。

そこで彼は、手に持ったバットで素振りを何度かして、わざと大きな音を立てて

ドアの方まで歩いていき、深呼吸をすると、一気にドアを開け放った。

バットをいつでも振り下ろせるように構えながら・・・。

しかし、そこには、誰もいなかった。

大きく息をついた彼は、急いで階段を下り、居間のドアノブに手を掛けた。

その瞬間、玄関の方からカチャという音が聞こえた。

もう勢いづいていた彼は、そのまま玄関の方まで走っていくと、玄関のドア

は大きく開かれ、開けっ放しになっていた。

彼は思った。

玄関から逃げたのか。玄関から逃げるっていう事はさっきのアレは、幽霊

なんかではなくて、人間の泥棒に違いない、と。

そう考えると、急に強気になるものらしく、彼は玄関のドアを閉め、鍵を

掛けると、そのまま鼻歌を歌いながら居間へと向かった。

ただ、さすがに先程遭遇した出来事の直後ではなかなか眠る気にはなれず、

彼は再び、居間でテレビをつけて、朝方まで時間を潰す事にした。

しばらくテレビを見ていたが面白い番組はやっていなかったらしく、彼は

再びウトウトとなり、そのまま寝てしまった。

いや、眠りについたと同時に彼は目を覚ました。

またしても、部屋の電気が消えており、朝方までやっている筈の番組も

すっかり消え、テレビの画面にはザーっと砂嵐?が映っているだけだった。

彼はスマホで時刻を確認した。

が、時間は先程、彼が居間に戻ってきてから、30分と経過してはいなかった。

彼の脳裏に先程の嫌な記憶が蘇った。

と同時に彼は金縛りにあう。

動かせない体。彼は必死になって回りの状況を掴もうとした。

すると、何故、真っ先に気付かなかったのか、ソファーに座る彼の

前方に、何かが正座して彼を見ているのが判った。

間違いなく、先程、彼が2階の部屋で見た女だった。

そして、その女は、

おいで~、おいで~、と小さく囁いた。

すると、突然、居間のドアがドーンと開き、そこからバタバタという

足音が部屋の中へ入ってきた。

本当に心臓が止まりそうになったという。

そして、次の瞬間、彼は更なる恐怖を体験する。

たぶん、バタバタと入ってきた何かなのだろうが、それが彼の背後に

ピタッと体をくっ付ける様にして立ち、両手を彼の首に絡めてきた。

首を絞める、というのではなく、二つの手のひらが、彼の顔や首筋を

撫でるかのように。

とても、冷たい手であり、彼は思わず、ヒッという言葉を発した。

すると、今度は、両脇から2本ずつの手が伸びてきて、彼の体を

まさぐった。

そして、その手は、しばらく彼の体を這っていたのだが、最後には彼の

両手をしっかりと握った。

こちらも、とても冷たい手であり、人間のそれとは、到底思えなかった。

そのうち、彼は暗闇に目が慣れてきてしまう。

そして、彼が今、置かれている状況を把握してしまう。

前方には、先程の鬼女が正座したまま、彼を睨みつけ、背後からは、同じく

恐ろしい形相をした男が、更に、両脇からは、2人の女の子が彼の手を

押さえつけており、何故か、その女の子の首は、2人とも、まるで

ポッキリと折れているかのように、力なく垂れ下がっていた。

が、彼は金縛りで声も出ず、出てくるのは恐怖により、涙だけだった。

そして、彼はせめてもの抵抗として、目をつぶり、それらのモノを見ない

ようにするのだが、目を閉じることすら、ままならなかった。

部屋には、死臭のような線香のような匂いが充満していた。

そして、次の瞬間、首に掛けられた両手が、彼の首を締め出し、両脇の

女の子が、彼に顔を近づけてきた。

更に、前方に正座していた女が、身を乗り出すようにして彼の顔を覗きこんだ。

首を絞められたせいなのか、それとも、近づいて来る顔の恐怖からなのか、は

判らないが、彼は、スーッと意識が遠のくのが判った。

そして、完全に意識を失うまで、彼の周りでは、

ゲラゲラという気持ちの悪い笑い声が大きく聞こえていた。

その後、彼が目を覚ますと、すっかり朝になっており、彼の前には、

テレビの放送が映っていた。

夢だったのか?

一瞬、そう思った彼だったが、手についたアザ、そして、首についた手の形の

アザが、昨夜の出来事が夢ではない、と告げていた。

彼は、暫く、その家をあけ、ホテルに宿泊したが、それ以後、そのような

怪異は起こっていないという。

この侵入者は、今夜、あなたの所へ出現するかもしれない。




  


Posted by 細田塗料株式会社 at 18:25Comments(2)

2016年12月29日

海から上がってくるモノ!

サインディスプレイ部 営業のKです。

細田塗料株式会社は、

平成28年12月29日~平成29年1月4日迄

の間、年末年始休業になります。

今年も沢山の方々に、ネット販売にて、中古プリンタ及び資材など

多数のお買い上げを賜りまして、心よりお礼を申し上げます。

また、拙いブログも沢山の方々にお読み頂き、感謝の極みです。

来年もネット販売はもとより、怖くない話、も継続して頑張って

いきたいと思っておりますので何卒宜しくお願い致します。

そして、今日も忘年会です。

いってきます!(笑)

あっ、怖くない話も、どうぞ!(笑)



これは今から、かなり前の話である。

その頃、俺も独身であり、週末になるといつも一緒に遊んだり、

何処かへドライブしたりする友人が2人いた。

今はそれぞれが結婚し家庭を持ってしまった為に、疎遠になっているが、

本当に彼らと居ると、時間が経つのを忘れてしまうくらい楽しかった。

そんな彼らと出かけるのは、いつも危険な場所。

危険と言っても、心霊スポットとかには一切興味がなく、大きな木を見つけて

登ったり、断崖絶壁からロープを体にくくりつけて降りたり、など、

本当に命の危険がいっぱいの場所だった。

そんなある日、金沢港の近くにある海岸に行こうという事になった。

季節は秋であり、車から降りると風が強く、そして肌寒かったのを

よく覚えている。

舗装されていない場所に車を停め、道路を渡って海岸に降りると、

波が本当に近くまで寄せていた。

しかも、いつもは釣り人やカップルがそれなりに居る場所なのだが、

その時は、不思議と俺達以外には、誰も居なかった。

見渡す限りのひと気の無い風景で、余計に寒く感じた。

それなのに、1人が靴を脱いで水の中に入ると、追従するかのように

他の2人も、すぐに靴を脱ぎズボンを膝まで上げながら、海の中へと

入っていく馬鹿な俺達であった。

3人で騒いでいると、冷たい筈の海の水もさほど冷たく感じなかった。

それでも、たまに強い波が来ると、波が膝の上までかかってしまい、俺達は

全員がびしょ濡れになりながら、無邪気に遊んでいた。

その時である。

突然、背後から声がかかった。

何してるんですか?

30歳前後の男性だった。

ついさっき、周りを見渡した時には、間違いなく誰も居なかったのに・・・。

そう思ったが、俺達は、丁寧に受け答えをした。

いえ、ちょっと海に入ってみたくなって・・・。

でも、すぐに上がりますから・・・る

もしかすると、警察や役所関係の人が見回りにきたのか?と思ったから。

だが、どうやら、違うらしく、その男性は、ニコニコしながら、優しく

話しかけてくる。

向こうの浜に行くと、魚が沢山泳いでいますから、もしかしたら手掴みで

魚を捕まえられるかもしれませんよ?

そう言われて、俺達は、つい反応してしまう。

本当ですか?良かったら、その場所を教えて貰えますか?

そう言うと、その男性は、にっこり笑って大きく頷いた。

そして、歩き出した男性の後を慌てて付いていく俺達。

しかし、その男性は、なかなか止まらず、どんどん歩いていく。

そして、濡れたまま歩いていて、そろそろ寒さが身に染みてきた頃、

突然、その男性は足を止め、そして海のほうを見て、ある方角を指差した。

そして、それにつられて、俺達も指差された先の海に視線を送る。

すると、その時、突然、ゴボッという音と共に、何かが海中から浮かび上がってくる。

最初、それが何か判らなかった。

ただ、そこそこ大きかったので、もしかしたら、サメとかイルカなのか?と

お馬鹿な考えが頭をよぎった。

だが、しばらくすると、それが何かわかった。

人間だった。

それも、まだ腐乱も膨張もしていない人間。

だから、最初はもしかしたら、まだ生きているのかも?と思ったのだが、

それが、どんどん砂浜に近づいてくるにしたがって、それが水死体だと確信した。

何故ならば、それは、先程俺達をここまで連れてきた男性の衣服と全く同じ

だったから。

俺達は、急いで警察を呼び、その到着を待った。

そして、しばらくして警察が到着すると、かなり大掛かりな実況見分が

始まり、俺達は、かなりの時間、その場に拘束されることになった。

人ごみが出来るほど見物人が集まり、挙句の果てにはテレビ局もやってきた。

俺は、きっとあの男性は、水死した後、なかなか見つけてくれないのが悲しくて、

俺達を呼んだのかも・・・と思い、少しかわいそうな気持ちになった。

だが、俺以外の2人は、水死体のそばで、菓子パンと缶コーヒーを飲み、

そして、テレビ局にも取材され、満面の笑みで受け答えしていた。

彼らの思考回路だけは、いまだに理解に苦しむ。

これは、紛れもない体験談である。


  


Posted by 細田塗料株式会社 at 15:59Comments(2)

2016年12月28日

真夜中の電話に出てはいけない!

サインディスプレイ部 営業のKです。

今日が仕事納めでした。

で、今夜も午後8時からお客さんの忘年会です。

ちなみに、明日は午後6時から忘年会

そして明後日は、午後8時から忘年会

昨晩の忘年会は、帰宅すると、午前3時でした(泣)

頑張るしかないですよね?

うん。頑張ります。

といいつつ、日毎に冷たくなる妻の視線に耐えながら、

今夜も怖くない話、いきましょう!


これは、ちょうど娘が生まれる少し前の話である。

妻は出産を控えて病院に入院しており、俺は自宅でひとり寂しく

暮らしていた。

といっても、やはり独身時代に戻ったような気分で自由な時間も満喫

していたのだが、やはり仕事から、暗く明かりの点いていない家に

帰るのは寂しいものだった。

勿論、出産の為の入院とはいえ、別の病気も併発していたので、

仕事の帰りには必ず病院へ行き、その日有った事をお互いに話す

事が日課になっていた。

その日も、仕事の帰りに病院へ立ち寄り、面会時間ギリギリまで

妻のそばに居た。

そして、翌日は休日ということもあり、そのまま1人で外食をし、

映画を見てから帰宅した。

それから、居間でテレビを見ていて、そのまま眠ってしまった。

そして、突然の電話で目が覚めることになった。

時刻は午前1時を回っていたと思う。

突然、電話が鳴り、ビクっとして起きた。

そして、こんな時刻の電話なのだから、きっと緊急事態に違いない、と

思い、急いで受話器をとった。

もしもし?

すると、

◎◎病院ですが、Kさんのお宅でしょうか?

はい。そうですが。何かありましたか?

そう俺が答えると

奥様の容態が急変しまして・・・。

とにかく、急いで来て頂けますか?

わかりました。すぐに伺います!

そう言って、俺は受話器を置いた。

そして、急いで着替えている時、ふと、ある違和感を感じた。

先程の電話の相手なのだが、言葉に感情しか抑揚が全く無かったのである。

まるで、コンピュータで擬似的に作られたような声だった。

ただ、違和感が有ったからといって、妻の容態が急変したというのなら、

急いで病院へ向かうしかなかった。

俺は、急いで車のキーを捜すが、何故か見つからない。

脱ぎ捨てていたズボンのポケットに入れていた筈だった。

しかし、何故か、鍵は見つからず、結局、スペアキーを持って車へと向かう。

が、今度は、玄関の鍵がなかなか掛かってくれない。

これも、何度も何度も繰り返すうちに、ようやく鍵がかかった。

そして、車に乗り込むのだが、今度は車のエンジンがかからない。

セルは回るのだが、なかなかエンジンがかかってくれなかった。

それでも、何度も何度もキーをまわして、ようやくエンジンがかかる。

時間をロスしたと思い、急いで車を発進させる俺。

その時、先程まで俺が鍵をかけようと、苦労していた玄関に誰かが

立っているのがミラーで確認できた。

女だった。

俺は、すぐに車を停車し、ドアを開けたのだが、すぐにまた、ドアを閉めた。

間違いなく、知らない女であり、白い服を着たその女は、大事そうに

赤ん坊みたいなものを胸に抱いていた。

間違いなく、この世の者ではなかった。

ドアを開けた俺に近づいて来るような動きをした為、俺は再び急いで

車を発進させた。

そして、大通りまで出ると、急いで右折し、病院へと向かう。

午前1時を回っているとはいえ、休日の前夜にも関わらず、見渡す限り、

車が1台も走っていない。

が、その時は、不思議だな、とは思ったものの、逆に道が空いていて助かる、と

いった程度にしか考えていなかった。

そこから病院までは、車で15分くらい。

しかも、こんなに空いているのだから、もっと時間を短縮できるかも、と。

だが、そこから病院までの道のりが大変だった。

信号という信号、全てにひっかかってしまう。

急いでいる俺は、ついイライラしてしまう。

と、不思議な事に気付く。

俺が赤信号で停まっている時、必ず右前方に、先程、家の玄関に立っていた

女が、相変わらず赤ん坊を抱いて立っている。

そして、俺が気付くと、その女は、車に向かってスーッと近づいて来る。

それが、どの信号、どの交差点でも繰り返された。

だから、俺は、出来るだけ、その女に気付かないフリをした。

そうしていると、不思議とその女は近づいては来なかった。

で、結局、全然時間も短縮できず、病院へと到着した。

そして、その間、一台の車ともすれ違わなかった。

過去に何度もそういう経験があったから、俺は、今日は霊的なものに

引き込まれているという予感が頭をよぎる。

が、そんな事を考えていてもしょうがないので、急いで車を降りて

病院の夜間受付へと向かう。

ブザーを押すと宿直の係りと話すことが出来て、鍵も開けてもらえる。

しかし、その時はどれだけブザーを押しても何の反応もなかった。

だから俺は、とりあえず入り口のドアのノブを回してみた。

すると、無用心な事に、鍵は開いていた。

俺は、

誰か居ませんか~。入りますよ~。

と言いながら病院内へと入った。

そして、急いで妻が入院している部屋へと向かう。

しかし、何度来ても、深夜の病院というのは、不気味だった。

すると、前方に自動販売機があり、そこに1人の女性が立っているのが

見えた。

が、近づくにつれ、それが、先程から俺に付きまとっている赤ん坊を抱いた

女だということが判った。

しかし、早く妻の待つ病室へと急がなければ、と思い、ひたすら無視して

その女の横を通り過ぎる。

すると、その瞬間、チラッとその女が笑ったように見えた。

そして、次の瞬間、急いで早足で歩く俺の耳元で

ねぇ、ねぇ。

と聞こえた。

俺の足音しか聞こえないのに、その女は、しっかりと俺に付いてきている。

まるで、滑るように移動しなから・・・。

背筋が凍りつきそうになりながら、それでも歩くのを止める訳にはいかず、

更に早足で歩く。

すると、前方にエレベータが見えた。

すでに先程のねぇねぇ、という声は消えており、俺は急いでエレベータの

ボタンを押し、すぐに到着したエレベータへと乗り込む。

エレベータに乗り込み、俺が今まで早足で歩いてきた暗い廊下を見るが、

あの女の姿は見えなかった。

安堵する俺。

その直後、突然、俺の背後から

ねぇ!

という大きな声が聞こえた。

俺は反射的にエレベータを降りると、中には、あの女がヘラヘラと笑っていた。

ボサボサの長い髪の間から、笑っている口元と、それに反するように

強い恨みを持ったような憎しみに満ちた目が覗いていた。

そして、エレベータのドアが閉まると、その女はそのまま見えなくなった。

暫く放心状態で立っていると、誰かが背後から声をかけてきた。

あの・・・・。どうしました?急患ですか?

振り返ると、1人の看護師が立っていた。

そして、事情を話すと、妻のいる病室へと連れて行ってくれた。

突然の訪問に驚く妻だったが、特に容態の急変も無い事を聞き、ホッとした。

だが、このまま帰ると、再びあの女に逢いそうな気がしたので、そのまま

病室に泊まらせてもらった。

翌朝、目が覚めると、気温は低かったが、空は快晴であり、本当に

気持ちの良い朝だった。

そして、昨夜の事は、夢でも見たのかな、と思いながら車までいくと、

車のフロントガラスの曇りに、指で大きく

ねぇ

と書いてあった。

霊の目的が何なのか、いまだに判らない経験である。




  


Posted by 細田塗料株式会社 at 19:30Comments(1)

2016年12月27日

タヌキの復讐というもの!

サインディスプレイ部 営業のKです。

今日は、いつもプログをお読み頂いているお客様から、

再開前の怖い話に比べると、再開後の怖くない話の方が怖いよ!

というご評価を頂きました。

自分では、よく分かりませんが・・・・。

そうなんですかね?やっぱり?

ということで、今夜も忘年会の為、早めにブログをアップさせて

頂きます。

これは、本当に怖くない話・・・だと思います。

では、どうぞ!


これは、和歌山県に住む友人から聞いた話である。

大学時代の友人が和歌山県に住んでいるのだが、彼の祖父というのが、

昔、猟師をして生計を立てていたらしい。

昔といっても、もう誰もが自家用車を持っていた頃の話であるから、

さほど、遠い昔の話ではない。

その日、祖父は家の蔵に忍び込んで、貯蓄していた穀物を食べている

タヌキを発見した。

しかし、さすがに家の蔵の中で鉄砲を使うわけにもいかず、祖父は

蔵の中にワナをしかけて、再び、そのタヌキが穀物を食べに来るのを

待った。

そして、数日後、祖父が猟から帰ると、蔵の中から、何やら暴れる

様な音が聞こえてきた。

おっ、やっとワナにかかったか!

と思い、祖父が蔵の中へ入ると、一匹のタヌキがワナに掛かり、暴れていた。

いつもなら、即座に殺し、血抜きをするのだそうだが、その時は何故か、

そのタヌキを殺してはいけない様な気がしたらしい。

だが、このまま解き放ったら、また、きっとこの蔵へ穀物を食べに来る。

そこで、人間の住処へ近づいたら痛い目を見る、ということを教えこむ

事にした。

で、何をしたのかというと、熱く熱した鉄の棒をタヌキの体に当てたらしい。

熱さと激痛にもがき苦しむタヌキ。

祖父はそうやって暫くの間、タヌキをこらしめると、

二度と戻ってくるな!

といい、そのタヌキを開放した。

そして、それから数ヶ月後、彼の祖父が、猟に出掛けた時に、それは起こった。

祖父は、バイクで猟に出掛けていたのだが、ある日、猟に出て、ついつい

山の奥深くまで入ってしまう。

そして、帰宅しようと、バイクの所まで辿りついた時には、もう完全に夜に

なってしまっていた。

急いで、バイクのエンジンをかけ、家路を急いだ。

だが、暫く走ると、おかしなことに気付く。

いつもより、重いのか、バイクのスピードが出ないのだ。

それに、まるで後ろに誰かを乗せているかのように、ハンドルが不安定で

ぎこちなかった。

だから、祖父が後ろを振り返り、後部を確認使用とした、その時。

突然、後部座席から、女のか細い声が聞こえてきた。

うらめしや、うらめしや~

後ろを見たら取り憑いて、殺してしまうぞ~。

そんな声が聞こえた。

猟に出ていて、狐やタヌキや鹿、そして熊でも怖いと思った事のなかった

祖父であったが、やはり幽霊だけは、苦手なようだった。

だから、必死になって、こう言った。

お願いします。殺さないでください。

すると、後部座席から聞こえてくる女の声が

駄目だ。お前はもう助からない。だから、後ろは見るなよ~。

と返してくる。

そのうち、後ろから手が伸びてきて、祖父の体にしっかりと抱きついてきた。

祖父はもうパニックになったらしいが、どれだけもがいても、後ろから

抱きついている手を振りほどく事は出来なかった。

そのうち、またしても背後から、

もうすぐだ。もうすぐお前は死ぬんだよ~

と囁いてくる。

その時、祖父の中で、幽霊に対する恐怖心と、死ぬという恐怖心が

逆転してしまう。

そして、どうせ死ぬのならば・・・と思い、バイクを急停止させ、背後

にいる幽霊を確認した。

幽霊と刺し違える位の気持ちだったのだという。

だが、そこには、幽霊はいなかった。

後部座席にチョコンと座ったタヌキが一匹。

祖父とタヌキは、暫く呆然とお互いの顔を見ていたのだが、何より祖父には

そのタヌキが、蔵の穀物を食べに来ていたタヌキだと、すぐに判り、大声で

こら~!と怒鳴った。

すると、タヌキは、どことなく気恥ずかしそうな表情のまま、バイクの

後部座席から飛び降り、そして森の中へ消えていった。

祖父にしてみれば、悪さをするタヌキを助けてやったつもりだったのだが、

タヌキからすれば、火傷させられた事に、よほどの恨みがあったのかもしれない。

タヌキや狐は、人を化かすというが、この話は、本当にあった話らしい。




  


Posted by 細田塗料株式会社 at 16:02Comments(3)

2016年12月26日

怪異!それは息子ではない!

サインディスプレイ部 営業のKです。

いや~、先週がクリスマスライブで身動きがとれなかった為、

今週は明日から、怒涛の忘年会ラッシュです。

医者に、酒は止められてるんですけどね。

まあ、しょうがないです。

うん。

まあ、ドンペリのゴールドとかP3でも飲んで・・・・・・・嘘です(涙)

安い焼酎でも飲んできます。

それでは、怖くない話、いきましょう!


これは俺の親戚の話である。

俺には東京に親戚が何組か居り、そのうちの俺の従兄弟にあたる家族が

体験した話である。

彼ら夫婦には1人息子がいるのだが、息子は、同じ東京で1人暮らしをしている。

そして、ある日、その息子から夜遅い時間に電話がかかったきた。

こんな遅い時間に何事か?と思い、電話に出ると

今まで、ありがとう。

そんな遺書めいた言葉だけを言って、電話は一方的に切られた。

彼ら夫婦は当然、心配で堪らず、すぐに息子の携帯に電話をかけた。

しかし、電話は、

お客様の都合により、お繋ぎ出来ません、という事務的な返答が

帰ってくるだけ。

そこで、翌日、息子が住んでいるアパートに朝早くから出掛けた。

しかし、その場所に息子はおらず、既に別の人間が住んでいた。

息子がどこかの会社に勤めているのなら、その会社で色々と聞けた

のかもしれないが、あいにく息子はフリーターであり、彼の現状を

探す道は、そこで閉ざされてしまう。

彼らは途方に暮れてしまい、その日から、常にニュースや新聞の事件

に気を配ったり、掛かってくる電話に神経をすり減らす様な生活が始まった。

そして、音信が全く途切れてから、数週間が過ぎると、彼らは、もう息子は

この世にはいない様な気持ちに徐々に、なっていった。

そして、ある日、夜中に目を覚ますと、寝ている彼らの枕元に、息子が座っていた。

不思議な事だが、彼らは夫婦ふたりが同時に目を覚まし、そして、夫婦ふたりが

そろって、枕元に座る息子を見た。

しかし、何故か体を起こしたり、息子に触れる事は出来なかったという。

そして、息子は、虚ろな目で、じーっと彼らを見つめて、こう言った。

◎◎に居る。早く助けて・・・・・と。

◎◎というのは、奥多摩にある、とある場所だった。

そして、暫くすると、そのまま息子はスーッと薄くなっていき、そして消えた。

すると、夫婦2人とも、体が動くようになった。

そして、2人は考えた。

何故、息子はそんな所に居るんだろうか?

事故?いや、もしかすると、何かの事件に巻き込まれたのだろうか?

そんな事を考えていると、二人で奥多摩に行っても埒が明かない、と

思い、その朝、警察に相談した。

事情を話し、夜中に見た息子の話をすると、警察は訝し気な目で見たのだが、

彼らは必死の懇願によって、それなりの人数での捜索が行われた。

しかし、指定された場所を探しても、結局、息子は見つからなかった。

現地で共に捜索し、疲れ果てて家に帰ってきた彼らは、今度は2人で

同じ夢を見た。

その夢とは、こんな感じだったという。

2人だけで奥多摩の山の中を、声を枯らせて息子の名前を呼びながら

一心不乱に捜索する二人。

すると、前方から、その声に応えるように息子の声が聞こえる。

急いで声のする方へ行くと、息子は、車で崖から落ちたらしく、崖の下にある

大きな木に体を串刺しにされたようになりながら、必死にもがいていた。

そして、オロオロとその様子を見つめているしかない彼らに、こう言った。

何で2人で助けに来てくれないの?二人じゃなきゃ助けられないのに?

こんなに痛いのに!死にそうなのに!

そう言って、恨めしそうに彼らを見つめている。

そんな夢だったらしい。

そして、翌朝、2人は、目を覚ますと、すぐに2人だけで奥多摩に

向かって車を走らせた。

痛みに苦しむ息子の顔を思い出すと、ついついアクセルほ踏む足にも

力が入った。

そして、いよいよ、奥多摩に入り、山道を走る。

そして、ちょうど夢に出てきた様なカーブが前方に現れた。

彼らは急いで原則しようとした。

だが、車のブレーキが全く利かなかった。

彼らは、何とか山側に乗り上げるようにして、車を減速させる。

だが、車は走行不能なほどのダメージを受けてしまう。

しかし、そんな事に構ってなどいられず、彼らは急いで崖の上から

2人で身を乗り出すようにして、下の様子を窺う。

と、その時、2人は何者かに後ろから押され、バランスを崩して崖下へと

転落してしまう。

そして、気が付くと、病院のベッドに寝ていたという。

彼らは、夫婦そろって、かなりの重傷を負っていた。

警察も来て、色々と聞かれ、誰かに後ろから押された時の状況について

聞かれたらしいが、彼らには、息子を助けてやれなかったという無念の

気持ちしかなく、毎日、泣き明かした。

そんな時、慌てて病室に駆け込んできた者がいた。

彼らの息子だった。

彼らは、驚きと共に息子の無事を喜んだ。

そして、その後、分った事なのだが、連絡が取れなくなってしまってから、

息子は、ふと、思い立ったかのように、友人達と青木ヶ原樹海へと向かい、

そこで、反文明的な生活を一ヶ月ほどしていたのだという。

そして、その間、彼らが住む実家には何度も電話をかけたらしいが、何度かけても

何故か、留守だったのだという。

すると、彼らの枕元に出てきたのは誰なのか?

夢の中に出てきたのは誰なのか?

そして、崖の上から彼らを突き落としたのは誰なのか?

息子の姿を借りて、自分達を殺そうとしたのは、一体誰であり、何が

目的だったのか。

もしかすると、樹海の住人達が・・・・。

そう考えると、背筋が冷たくなった。




  


Posted by 細田塗料株式会社 at 19:54Comments(1)

2016年12月26日

JV400LX年末限定値引き!

SOLDOUT!

お買い上げ、ありがとうございました!



サインディスプレイ部  営業のKです。

もうクリスマスも終わり、年越しの準備で

大忙しかもしれませんね。

ということで、以前からご紹介させて頂いております、

ミマキJV400LX-130の中古機を年末だけの

特別値引きを実施いたします。



今年中に、御成約頂けた方には、

50万円(税別)にて、販売させて頂きます。

勿論、年が明けたら、元の60万(税別)に戻ります。

勿論、引き取りは、年が明けてからで結構です。

このチャンスをお見逃しなく!!!

  


Posted by 細田塗料株式会社 at 08:10Comments(0)

2016年12月25日

ライブ会場に現れる子供!

サインディスプレイ部 営業のKです。

昨日で、クリスマス・ライブが終わりました。

最終日は、例年通り、後半は、もうお祭り騒ぎでした。

ボーカルのミニスカ・サンタさんは、例年通り?下着だけで

歌ってましたし、お客さんも、盛り上がり過ぎて、下着だけに

なったり・・・。

まあ、楽しかったですね~(笑)

でも、さすがに疲れが溜まってたのか、今日、目が覚めると

すっかり午後になってました(笑)

で、今回は、そのクリスマス・ライブにまつわる、怖くない話

を書いてみようと思います。

それでは、どうぞ!


毎年、クリスマス時期にはお店に頼まれてクリスマス・ライブなるものを

行っている。

最初の頃は、お客さんもまばらであり、どちらかというと、自分達が

楽しむ為のライブという感じだったのだが、年々、お客さんが増えていき、

最近では、ありがたいことに、チケットがすぐに売り切れるらしい。

だから、当初は24日だけのライブだったのだが、今では、約1週間

ぶっ続けのライブになっている。

そんな状態だから、お金大好き?な店のマスターにすれば、本当は

もっとライブの日数を増やしたいというのが本音であり、実際、

以前は、25日までライブが行われていた時期もあった。

だが、最近は、どんなにチケットの需要が有ったとしても、絶対に

ライブは24日迄で終わりにしている。

今日は、それに関する話である。

そのライブをスタートした時は、今みたいに、俺はトナカイの着ぐるみを

着せられる事もなく、普通の姿で演奏していた。

実際、ギターを弾いた事のある方なら分ると思うのだが、着ぐるみなど

過度の衣装を身に付けての演奏というのは、演奏し難いうえに、疲れる。

なのに、何故、わざわざトナカイの着ぐるみを着て演奏しているのかと言えば、

知り合いが来ても、バレない、という事もあるし、何より笑いが取り易く、

ライブが盛り上がるという理由もあるのだが、実は、それ以上に大事な理由

が存在する。

それは、憑かれるのを防ぐ為・・・・である。

なんで?と思われる方もいると思うが、これから、その理由を書こうと思う。

最初にその店に頼まれて、ライブを開いた時、演奏をしていて、ある事に

気が付いた。

いつも子供が居るのである。

たぶん、小学校の低学年くらいだと思うのだが、大人に混じって、1人だけ子供

が居るのである。

最初は、マスターやお客さんの子供さんか?と思い、スルーしてきたのだが、

その頃の客層というのは、どちらかというと、ガラの悪そうな大人たちだけであり、

さすがに不思議に思った俺は、マスターに聞いてみた。

毎年聞きに来る男の子って、誰かのお子さんなのかな?

すると、マスターは???という顔をする。

そして、そんな子供が来ているのを見た事はない!と言い張る。

だが、バンドのメンバーに聞くと、全員がその男の子が来ているのを

記憶していた。

まあ、その時は、打ち上げか何かの席だったので、そのまま、その話は

お終いになった。

だが、その次の年も、また、さその次の年も、必ずその男の子は毎晩、必ず

ライブを見に来ていた。

だから、ある年、ライブの途中に、店のマスターをステージに上げ、一曲

歌わせる事にした。

その子供が見えるのはステージにいる俺達だけなんだとしたら、一度

ステージからマスターにも見て貰おうという理由だった。

そして、ステージに上がり、歌い始めたマスターの顔がどんどん蒼ざめて

いくのが判った。

そして、ライブが終わってから、またまた打ち上げの際、マスターとその

子供について話した。

すると、ステージに上ったマスターにも、しっかりその子供が見えたらしい。

そして、その子供は、誰の子供でもない・・・という。

更に、その店で行われるほかのライブの時には、現れた事はなく、その

クリスマス・ライブの時だけ現れるのだという。

俺達にもマスターにも、嫌な空気が漂った。

だが、毎年、お客さんの数が増えてきているクリスマス・ライブを中止に

する訳にはいかないから、気にしないで来年も頑張ってくれ!

そう言われた。

まあ、俺達も何か危害が被った訳ではなかったので、とりあえず、気にしない

事にした。

そして、翌年も、その翌年も、クリスマス・ライブは行われ、マスターの

願い通り、どんどん客数も増えていき、開催日数も増えていく。

そのうち、最初はガラの悪い客層だったのが、年を重ねるごとに、カップルとか

お洒落なお兄さん、お姉さんが集まるライブへと変わっていき、そのうち、

ライブも趣向を凝らし、お笑いの要素もふんだんに取り入れ、飛び入りで

誰でも歌えるというライブへと変わっていく。

しかし、ライブの内容が変わっても、お店の中がすし詰め状態でも、必ず

その男の子は、必ずそのライブに毎日来ていた。

しかも、表情ひとつかえず、楽しんでいるのか、つまらないのか、すら

わからない様子だった。

そんなある年、店のマスターがライブの開催日数を増やし、12月25日まで

開催する事に決める。

色々と反論はあったが、結局マスターに押し切られる格好で、25日までの

ライブが決まった。

ちょうど、8日間連続という長丁場だった。

だが、その年は何かが違った。

ライブの内容とか客数ではない。

その男の子が、いつもと違っていたのである。

いつもは、知らないうちに現れ、そして知らないうちに消えていなくなっていた。

だが、その年は、何故か、練習の際にも、その男の子は現れた。

そして、ライブが終わっても、その男の子はずっと、そこにいた。

ただ、相変わらず危害を加えるものではないので、そのまま、気付かぬフリをした。

ただ、2日目以降は、少し異様だった。

2日目、3日目、とその男の子の顔がどんどん大きくなっていった。

そして、最終日の25日になると、その男の子の顔は、直径1メートル以上に

なっており、その顔は、まるで水死体のように、膨れ上がり腐りかけていた。

そして、その顔を左右に揺らしながら、演奏する俺達やボーカルの女の子の

顔を順番にマジマジと覗きこんだ。

観客からは見えていないので、避ける事も出来ず、俺達は何とか我慢した。

が、ボーカルの女の子は、さすがに耐えられなくなり歌の途中で突然

泣き出してしまう。

感極まって泣いちゃった~という適当な誤魔化しと笑いで何とかライブは

無事に終わったのだが、その年のライブが終わってから、その時のメンバーが

次々と不慮な事故や不幸に巻き込まれた。

交通事故や、原因不明の怪我、そして、精神的にやられてしまう者。

とりあえず、死人も出なかったのが不幸中の幸いだったのだが、さすがに

その年を最後にクリスマス・ライブは終わりにしようと全員が思った。

しかし、翌年、マスターがある提案を持ってくる。

ライブは何が有ろうと、24日までしか、やらない。

そして、バンドのメンバーは全員、着ぐるみとかサンタの衣装に身を包み、

そして、それは毎年、ライブ終了後に御祓いし、処分するという事。

そして、ボーカルの女の子は、毎年、オーディションで選ぶ、という事。

そして、最後に、クリスマス・ライブの前には、きちんとお店で御祓いを

してもらう、という事だった。

俺達も小遣い欲しさに、情けないがそれを承諾した。

それ以来、バンドメンバーに不幸は起きていない。

ただ、今年も、その男の子は、当たり前のように、そのライブに毎晩

訪れていた。

今年のボーカルのミニスカ・サンタさんも、この話を聞いたら、きっとボーカル

を辞めてしまうのだろうが、今のところ、楽しそうに歌っていた。

これは、マスターとバンドメンバーだけの秘密・・・です。

ライブに来てたお客さんが、このブログを読みませんように・・・。(涙)

しかし、あの子供は、何者で、そして何故、このライブにだけ

現れるのかは、いまだに判っていない。


  


Posted by 細田塗料株式会社 at 16:24Comments(3)

2016年12月23日

小松市にある公園での怪異

サインディスプレイ部 営業のKです。

クリスマスライブも残すところ、今日を含めて2日間になりました。

正直、かなり疲れが貯まってます。

というか、睡眠時間が少な過ぎですね(涙)

でも、今年のミニスカ・サンタさんも大好評です!

スカートの丈も年々短くなっております(笑)

いっそのこと、来年は水着サンタということで・・・。

と、誰かが提案しましたが、ボーカルの女の子に

却下されてしまいました(泣)

それでは、久しぶりに怖くない話です。

どうぞ~!


これは、今からちょうど2年前位の話。

当時、ある方から、小松方面のとある公園で、幽霊の目撃が

多発していると聞き、それでは、ということでお馬鹿な友人と

二人で、その公園に行ったときの話である。

勿論、大きな声では言えないが、閉園後である深夜にお邪魔したのは

言うまでも無い。

その公園は、昼間は親子連れで賑わうような綺麗な芝生と池、そして

そこに架かる橋もなかなか趣があり、いたって普通の公園なのだろう。

だが、夜になると、それは一変していた。

空気が澱んでいるのである。

たぶん、霊感など無い方でも分る位の重たい、そして息苦しささえ

感じるような空気感。

そして、夏だというのに異様に寒かったのを憶えている。

聞こえてくるのは、大量のカエルの鳴き声のみ。

実は昼間の間に下見をしていたので、大体の公園内の位置関係は

頭に入っていた。

ただし、古民家、池、そして遊歩道も昼間見た感じとは全く異なり、

いまにも何かが出てきそうな雰囲気であり、俺達もずっと緊張する

時間が続いた。

すると、友人がある事に気付いた。

俺達が歩いている足音に合わせる様にして、背後からジャリッジャリッと

砂利道を踏みしめる音が聞こえてくるのだ。

小声でそう囁かれた俺は、イチニのサンで止まってみるか、と返した。

そして、俺達は、突然、歩くのを止めてその場に停まり耳を澄ませた。

すると、足音がはっきりと聞こえる。

しかも、俺達が停まったのもお構いなしといった感じで、ザッザッと

更に大きな音が背後から聞こえた。

だが、何故か、その足音は一向に俺達に近づいて来なかった。

???となった俺達だったが、やはり気味が悪くなり再び歩き出す。

そのまま少し歩くと、前方に池に架かるアーチ状の木の橋が見えた。

俺達は少しだけ早足になりながら、その橋のたもとまでやって来た。

すると、先程まで聞こえていた足音は消え、更にあれだけうるさかった

カエルの鳴き声も、全く聞こえなくなる。

今のうちに早く此処から離れようぜ!

という友人に従い、急いでその橋を登り始めた。

すると、前方から、背の高い女性と低い女性の2人組みが歩いてくる。

こんな時間に・・・・女2人ですか?

これって、間違いなく、あの類だよな?

そう聞かれ、

そりゃ、こんな時間に真っ暗闇の中を女性二人で歩いて来るんだから、

たぶん、そうなんだろうな!

だから、話かけられても絶対に返事なんかするなよ!

と一応、念を押した。

そして、前方から歩いてくる女2人がどんどん近くなってくる。

そして、ちょうど橋の上辺りで、その女達とすれ違う事になった。

服は普通に夏服だし、これといって怪しい雰囲気は無い。

ただ、その女達は紛れもなく裸足だった。

そして、裸足の足でペチャペチャと歩いてくる。

これは、間違いないだろう。

俺はそう思った。

と、その時、突然、その女達が

こんばんは!

と言ってきた。

俺は一瞬ドキッとしたが、なんとか、平静を装った。

だが、友人は違った。

あっこんばんは。散歩ですか?

と返事をしてしまっていた。

俺は、急いで友人の耳元で

お前、馬鹿か?さっきあれほど言ったのに・・・。

返事なんかしたら、どうなるか、わかったもんもんじゃないぞ!

と叱責した。

が、友人は、だって凄い綺麗な女だったじゃん?

あれだけ綺麗なら幽霊でも付き合いたいくらいだろ?

俺は呆れてものも言えなかった。

その会話の直後、回りの空気が変わった。

生臭い臭いと、生暖かい空気、そして、歩くのが鈍くなる位の空気の重さ。

何か来る!

俺はそう直感した。

すると、背後からペチャペチャという音が聞こえてくる。

俺は見なかったが、友人は、その音の出所を振り返り確認した。

そして、何も言わずに走り出した。

突然、置いていかれ、俺も急いで走り出す。

どうした?何か見えたのか?

そういう俺に、

さっきの女、やっぱり人間じゃない。

っていうかあんなのとは付き合えないって。絶対。

と言って走り続ける友人。

これは後で聞いた話だが、その時、友人が振り返ると、首を180度ほど

回転させ、首だけがこちらを向いた女2人が、その首を約90度横に折り、

肩にベッタリと顔をつけるようにして笑っていたらしい。

そして、俺達が走り出した事によって、それらも、一緒になつて追いかけて来ている

という事らしい。

そして、今、そのペチャペチャという足音は、俺達のすぐ後ろまで迫っているのが

後ろを振り向かなくても判った。

だから俺達は、がむしゃらに走った。

入り口までは、まだ遠く、このままでは追いつかれるのは必至だった。

すると、前方に新しく綺麗なトイレが見えた。

俺達は急いでそのトイレの真ん中にある身体障害者用のトイレに飛び込み、

鍵をかけた。

すると、外からクスクスと笑う声が聞こえてくるがとても人間の笑い声には

聞こえなかった。

そして、次の瞬間、ドアに向かってドーンと衝撃が走る。

俺達は必至になって、ドアを押さえる。

その時、ドアの外はなかなか騒がしくなっていた。

池のほうからは、ドボーンとかバチャーンという音が聞こえ、そして、

トイレの周りをグルグルと回る音が聞こえ、その音は段々と大きくなっていく。

だが、俺達が出来る事は、そのドアを開けられないようにしっかりと押さえ続ける

だけであった。

そのうち、俺達知らぬ間に寝てしまったのか、気が付くと、ドアの小さな窓から

朝の光が差し込んでいる。

慌てて、ドアを開けようとする友人を必至で止めた。

だが、友人は、一瞬、ドアの鍵を開け、ほんの少しだけドアを開けてしまう。

すると、そこは、まだ夜の闇の色であり、そこから、にゅっと緑色の手が

差し込まれ、ドアを掴む。

そして、一気にドアを開けようとする。

開けられたら、もう終わりだと思い、俺たちは必至になり、その手が

ドアを掴んだままの状態で、思いっきりドアを閉めた。

火事場の馬鹿力というものなのか。

すると、締め切ったドアの内側に、緑色の手が落ち、ピチャピチャと

撥ねている。

そして、俺達は、再び、懇親の力でドアを押さえ続けた。

そして、また知らぬ間に寝てしまったのか、次に気が付いたのは、公園の

管理人さんが、朝の見回りに来た時の事であり、トイレで気を失っている

俺達を見て、最初は心配してくれたのだか、事情が判ると、こっぴどく

怒られた。

その公園は、今も当然、実在している。


  


Posted by 細田塗料株式会社 at 17:24Comments(2)

2016年12月18日

続・タクシーの運転手さんから聞いた話

サインディスプレイ部 営業のKです。

本日夜から、クリスマスライブがスタートします!

毎年やってますが、やはり初日は緊張しますね。

たぶん、ミニスカ・サンタのお姉さんも今頃は

緊張のピークでしょうね(笑)

とにかく頑張ってきます!

それでは、怖くない話、行ってみましょう!



前回のタクシーの運転手さんの話が何故か?好評でしたので、過去に

いくつか聞いた話の中から1つ話そうと思う。

その日、俺はまたしても片町の飲み会からの帰り道、タクシーを

利用した。

シトシトと雨が降る深夜だった。

その時乗ったタクシーの運転手さんが、疲れた感じで、何度も

はぁ~っとため息をつきながら運転していたので、俺は聞いてみた。

大丈夫ですか?運転手さんの仕事がハードなのはわかりますけど、

あまり無理しすぎて事故でも起こしたら大変ですよ?と。

すると、その運転手さん(Aさん)は、俺にこう返した。

いや、疲れてるのは確かなんですけど、仕事がハードとかそういうのでは

なくて、精神的にやられちゃったみたいで・・・。

ちょうど、こんな雨の日だったんですよ。前はよく見てたんです。

でもね。事故を起こしてしまって・・・。

それから・・・なんです。

俺は、もしかしたら、やばいタクシーに乗ってしまったかもしれない、と

思い、更に聞いてみた。

それからって、何がそれから・・・なんですか?

しかも、精神的にやられちゃってるってどういう意味ですか?

それに、タクシーに乗った時から思ってたんですけど、この車内の寒さといい、

少し頭痛がすることといい、そして、さっきからずっと窓の外に何か張り付いてる

みたいなんですけど、これって、もしかして・・・。

そこまで言うと、Aさんは、突然車を路肩に停止させて、こう言った。

もしかして、お客さん、見える人なんですか?そういうものを?

だとしたら、本当に申し訳ないんですけど、少しだけ話を聞いて頂けませんか?

勿論、タクシーの料金は要りませんし、ご自宅まできちんと送らせて頂きます

ので、ご安心ください。

そう言われて、正直、面倒に巻き込まれるのは勘弁して欲しいと思ったのだが、

そのAさんの真面目そうな顔や言葉遣い、そして、やつれきった姿を

見ていると、放ってはおけなくなり、

少しだけなら良いですよ。それに、きちんとタクシー代は払いますから。

そう言うと、Aさんは、とてもホッとした顔を見せ、そのままコンビニの

駐車場に入り車を停止させた。

その時に聞いた話が、こんな話である。

Aさんは、その日、夕方からタクシーに乗り、仕事に従事した。

観光客や酔っ払いなど様々な人を乗せ、それなりに和やかな会話で

問題なく仕事をこなしていた。

天気は生憎の雨だったが、客足は悪くなく、順調だった。

Aさんは、病気がちで働けない奥さんと、まだ小さな子供が1人

という家族構成であり、真面目な性格もあって、彼は常に真剣に

そして積極的に仕事に向かっていた。

そして、その日の午前0時を廻った頃、雨が急に強く振り出す。

彼は視界も悪く、そして何より自分が疲労している事に気付き、もう

少ししたら休憩しよう!

そう考えていた。

その時、決してスピードを出していた訳でも、わき見をしていた訳でも

ないのだが、とある小さな交差点で女性と接触事故を起こす。

Aさん曰く、交差点の右折の時は、特に注意して運転しているそうだが、

その時は、本当に突然、気が付いたら目の前に女性が立っており、

急ブレーキをかけたが間に合わず、そのまま鈍い音を立てて、その女性

と接触してしまったという。

急いで車から出て、その女性のもとへ駆け寄った。

すると、その女性は、ゆっくりと起き上がりながら、Aさんにこう言った。

大丈夫ですから・・・・。

本当に無表情な顔だった。

それでも、一応病院へ連れて行かせてください!と頼むAさんに、その女性は

本当に大丈夫なんです。それに私は待ち合わせをしていので、早くその待ち合わせ

場所へ行かないと・・・・。

そう返した。

女性は、この雨の中、何故か傘もさしておらず、全身がびしょ濡れであり、無表情

な顔と相まって、少し気味悪く感じたという。

ただ、その時、やはり自分が事故を起こして会社をクビになったら・・・。

そう考えると、もしもこのまま病院へも行かずに済ませられれば・・・・。

そんな考えが頭をよぎった。

更に雨の深夜とはいえ、繁華街から近いその場所にも関わらず、車や人が

全く見えなかった。

だが、さすがに、その女性を放置して行く訳にもいかず、Aさんは、

それなら、私がその待ち合わせ場所まで送りますよ。いや是非送らせて

ください。

そう言った。

すると、その女性は、一瞬ニヤリとした笑みを浮かべて

それなら、お言葉に甘えて。

そう言って、自らタクシーのドアの方へと歩き出した。

正直、びしょ濡れである女性を後部座席に乗せることは避けたかったが、

その女性が、そそくさと後部座席のドアの前に立っており、Aさんは、

それに従うしかなかった。

女性を後部座席に乗せると、Aさんは

そんなに濡れていたら風邪ひいちゃいますから、すぐに暖房を強くしますね?

と言うが、その女性は、熱いのは苦手だから、冷房で!

と返した。

変な事を言う女性だな、とは思ったが、Aさんは、空調を冷房に切り替え、

風量を強にした。

そして、待ち合わせ場所は何処ですか?

と聞くと、とりあえず、医王山の方へ、とだけ言われ、Aさんは車を

発進させた。

こんな時間に医王山で待ち合わせ?と思ったが、既にAさんの頭の中には

早く後部座席の女性を待ち合わせ場所まで送り、開放されたい、という

思いしかなかった。

そして、道すがら、Aさんは時折、後ろの女性に

大丈夫ですか?

やっぱり痛くなったりしたら、すぐに言って下さいね。

と声を掛けたが、何の反応も無かった。

なのでAさんは、ルームミラーで後部座席の様子を伺うが、後ろの女性は

携帯を触るわけでなく、ただまっすぐに前方を見ているだけ。

そして、いよいよ医王山に入り、山道を登り始める。

そしてAさんは尋ねた。

もう医王山に入りましたけど、待ち合わせ場所って、どの辺りですか?

それでも返答が無いので、

それじゃ、医王山の一本道を登りますから、待ち合わせ場所の近くまで来たら

言ってくださいね。

そう大声で言った。

そして、山道をどんどん登っていくと、もう完全に民家は消え、完全な暗闇

だけの世界になる。

そこでAさんは冷静に考えてみた。

こんな時間に、こんな山奥で待ち合わせ?

もしも本当だとしても、その待ち合わせの相手というのは、明らかに

ヤバイ奴なのではないか?

いや、それ以前に、待ち合わせ相手など元々存在せず、後ろの女性が

ヤバイ奴なのではないか?

いや、それよりも、後ろに乗っているのは本当に生きている人間なのか?

そう考えると、居ても立っても居られないほどに恐怖が襲ってくる。

車はすでにスキー場の辺りまで登ってきている。

そこで、Aさんは語気を強めて言った。

すみません!待ち合わせ場所って、この辺で良いんでしょうか?

それでも返答が無かったので、更に語気を強める。

あのね。この先には、もう上の池に出る道か、温泉街へ降りる道しか

無いんですけど?

そう言うと、後部座席からボソっと声が聞こえた。

上に行って・・・。

もうこの時の声は、先程聞いた女性の声ではなく、しわがれた老婆の

様な低い声だったという。

Aさんは、その時、絶対に上への道に行くべきではない、と直感した。

上の道に行けば、それでジ・エンドになる。

何故か、そういう確信が有った。

それに、もうAさんの神経は、その恐怖に耐えられなくなっていた。

そこで、Aさんは、自動販売機が置かれて、とりあえず明かりがある

場所まで来ると、急にタクシーを止め、そのままドアを開けて転がるようにして

車外へと出た。

エンジンは切っておらず、車から漏れ聞こえるラジオと音とともに、静寂の

闇の中で、唯一の心の拠り所になった。

Aさんは、自動販売機の近くでしばらく、そのまま待機した。

その女がこのまま車を降りてくれれば、急いで自分が車に乗り込み、

急いでこの場を離れるつもりだった。

それから、どれくらいの時間が経過しただろうか?

全く車から降りる気配がない女性に痺れを切らせたAさんは、恐る恐る車に

近づき、後部座席を覗き込んだ。

だが、そこには、もう既に、その女性の姿は無かった。

タクシーから降りたのは間違いなく自分だけ。

なのに、あの女の姿が見えない。

やっぱりあの女は・・・・。

そう思い、冷や汗が出た。

その時、Aさんの背後から声が聞こえた。

もう逃げられないんだよ・・・・。

低く地の底から響くような声だった。

とっさにAさんは後ろを振り向く。

すると、そこには、先程の女性らしき女が、

ガリガリに痩せ細った姿で立ち、ニターっと笑っていた。

Aさんは、完全に腰を抜かしてしまった。

しかし、人間の生への執着は強いのか、Aさんは、這うように後ずさり

して、車まで辿りつき、運転席に這い上がって車を発進させた。

そして、無事にその場から離れることが出来たらしい。

だが、Aさんは、その後も頻繁にその女を目撃するようになってしまう。

1人でタクシーに乗っている時、お客さんを乗せているとき、また、ある時には

信号待ちで停まっているAさんの車の前を、その女が渡っていく事もある。

そのどれもが、まるで自分の存在を誇示するかのように、わざと目立つ

ように、その女は出現するという。

最後に、そのAさんは、俺に聞いてきた。

何とかなりませんか?

御祓いとか、そういうのも、知りませんか?と。

しかし、俺は首を横に振るしかなかった。

実はその時、話を聞いている途中から、その話の女が、俺の隣に座り、

その話をニヤニヤしながら聞いていた。

そして、時折、Aさんに顔を近づけては、満足そうにしていた。

俺は常に、強い護符を身に付けている。

その俺の隣に簡単に座り、そして自由に動き回る女。

とてもじゃないが、俺の手に追える相手ではないのは明らかだった。

そして、再びタクシーを発進させ、俺の家の近くまで送ってくれたAさん。

俺が降りる時、

話を聞いて貰えただけでも嬉しかったです!

と元気に言ってくれたが、車が立ち去る時、後部座席から勝ち誇ったようにして

Aさんの背中にまとわり付く、その女を見て、

これは、Aさんが死ぬまで絶対に離れる気はないらしい。

いや、憑りついて早く殺そうしているだけか。

そんな事を考えると、何も出来ない無力さと、世の中にはまだまだ恐ろしい

モノが存在している、と改めて思い知らされた。

このタクシーは実在する。




  


Posted by 細田塗料株式会社 at 15:19Comments(5)

2016年12月17日

犀川沿いのビルの窓から・・・。

サインディスプレイ部 営業のKです。

明後日の日曜日~土曜日までは毎年恒例のクリスマス・ライブで

夜は深夜まで、トナカイの着ぐるみを着て頑張らなくては

いけませんので、怖くない話の更新が出来なくなります。多分。

お陰様でチケットも完売です。

でも、もしかしたら、やっぱり我慢出来なくて、怖い話を

アップするかもしれませんが・・・・(笑)

それでは、今夜も怖くない話、いってみますか。



これは、俺が社会人に成り立ての頃の話である。

その日、先輩に連れられて片町へと繰り出した。

2軒ほど飲み屋を廻ったところで、お開きになり解散。

何となく飲み足りない気分だった新入社員4人で、その中の一人が

住んでいるという犀川沿いのマンションへ徒歩で移動していた。

時刻は午前1時を過ぎていたと思う。

季節は夏であり、翌日は仕事も休みだったから、ついつい解放的になり、

朝方まで、その部屋で飲み明かして、仮眠を取ってから帰る算段だった。

片町でつまみや酒を買い込み、ワイワイガヤガヤと深夜にも関わらず

何故か盛り上がっていた。

皆、何か面白い事に飢えていたのかもしれない。

と、1人が突然、おい、静かにしろ!と俺たちを制した。

他の3人は???という状態だったが、彼が指差した方を見て、

全員が固まってしまう。

もう午前1時を過ぎているから、部屋の明かりは殆ど消えているのだが、

その中に、とあるビルの2階から眩いばかりの明かりが漏れている。

そこは、全面ガラス貼りになっており、回りの暗さと対照的に

闇に浮かび上がっていた。

そして、俺達が固まったのは、ある光景を見たから・・・。

その光景とは・・・。

ガラス窓を背にして、何人もの女性が立っていた。

しかも、全員が裸だった。

人数的には、たぶん、10人位は居たのではないか、と思う。

その女性達は、そのどれもが素晴らしいスタイルをしているのが、窓越しに

見える背中からでもよく分かった。

俺達は、身を屈めた。

全員がもうドキドキであった。

で、俺達が出した結論なのだが、

そのビルの2階は、や◎ざ、もしくは闇の組織のアジトであり、全国から

集めてきた女性を人身売買の為に品定めしているのではないか?

そういうどこかのドラマに出てくるような展開を想像した。

今思うと、馬鹿馬鹿しい発想だが、その時の雰囲気というのは、そういう

発想がピッタリくるような、陰湿な感じがしたのも事実である。

ただ、そこで行われているのが何であれ、俺達にとっては、背中とはいえ

女性の裸は見られるうえに、探偵気分にも浸れるという最高のシチュエーション

であった。

そして、俺達は、通りと犀川の川原を隔てるように立つ、コンクリートのフェンス

に身を隠すようにして、その場に居座り続けた。

もう俺達の誰もがドラマに出てくる探偵役の主人公になりきっていたのかもしれない。

ただ、次の瞬間、窓越しに見えるその光景は、明らかに様子が変わった。

先程まで、裸の女性を窓際に並ばせて、品定めするかのようにしていたが、

今度は、その女性達が、酷い暴力を受けだしたのである。

髪を掴まれ、引っ張られたり振り回されたり・・・。

俺達の居る位置からは詳細は見えなかったが、それでもそこで行われている

であろう、暴力の雰囲気ははっきりと伝わってきた。

俺達はお互いの顔を見合わせ、どうしょうか?と思案した。

彼女達を助ける為に警察に連絡するか、それとも、このまま此処であくまで

傍観者を決め込んでひたすら待ってみるか。

俺達の答えは決まっていた。

そう、傍観者に徹することにした。

そして、そのまま、その窓を監視していると、突然、窓際に立つ女性達が

消えてしまう。

そして、次にその女性達が窓越しに現れたとき、一人ひとり、順番に

大きな刀の様なもので、首を落とされていくのが見えた。

刀を一振りすると、女の首から上が、ゴロンと落ちていき、その首からは

血しぶきがあがった。

それを一人ひとり順番に、特に抵抗する様子も無いまま、女たちは首をおとされていく。

その光景は、リアルであり、とても気持ちの悪い儀式のように感じ、俺達は、

嘔吐する者、嗚咽を漏らす者など様々だったが、皆同様に体は硬直し、

恐怖に体がガタガタと震えた。

そして、こんな殺人を目撃している俺達の方こそ、万が一、見つかれば同じ

様に殺されるに違いない、そんな考えが頭の中を支配していた。

誰もが、早くこの場から離れようと思った。

だが、恐怖の為か、俺達は、その場から腰が抜けたかのように動けなくなる。

そして、俺達の視線は、いまだに、その窓に釘付けになっていた。

すると、今度は、黒服の男の姿が見えて、斬首した女の首を窓際に並べ始める。

その女達の顔は、無表情のまま、窓下にいる俺達を見つめていた。

と、次の瞬間、その無表情な女達の顔が一斉にニターっと笑った。

気がおかしくなりそうだった。

俺達は、どこをどう通ったのかも記憶していないが、気がつくと、友人の

マンションの部屋に居た。

そして、一睡も出来ず、朝を迎えた。

それ以後、その時のメンバーが行方不明になったという話も聞かないのだが、

あの日、俺達は、一体何を見てしまったのか?

全員が同じ記憶を共有していた。

では、あれは集団催眠のようなものだったのか?

今となっては、全てが謎のままである。

そのビルは、今も犀川沿いにひっそりと立っている。


  


Posted by 細田塗料株式会社 at 17:56Comments(1)

2016年12月15日

怖い絵の女!

サインディスプレイ部 営業のKです。

以前から思っていることですが、何故か私の怖い話は、

深夜になってからアクセス数が増えるんですよね(笑)

私は怖い話を聞いたりすると、夜は眠れなくなってしまいますが、

なかなか強者が多いようです(笑)

まあ、さほど怖い話でもないんでしょうけどね(笑)

それでは、怖くない話、今夜もいきま~す!



世の中には、所有した者が次々に変死を遂げる絵画や、持ち主が変わる

たびに、火災を起こし全焼するのだが、その絵だけは必ず燃えずに

残るという絵画、また、見ただけで、不幸になったり死にたくなる

絵画というものも存在するようであるが、俺の回りでも、

仕事関係の社長さんで、色々と美術品を集めている方がいる。

休みの日などに、骨董品店などを見て廻っては、収集しているらしく、

特に有名な作家の作品などはあまり持ってはいない。

その代わりと言ってはなんだが、無名の作家が書いた絵や陶芸品などが

仕事場の至る所に飾ってある。

その中には、何が書かれているのかすら判らない絵や、そのものズバリの

幽霊画なども有り、仕事中とはいえ、なかなか落ち着かない客先である。

確かに、そんな絵も気味が悪いのだが、それ以上に、俺を不安にさせる

一枚の絵が存在する。

その絵自体は、椅子に座った普通の女性を書いたものであり、なんら

不自然な所は無い。

だが、その絵の女性は見るたびに表情が違うのである。

それに、その場所でお客さんと打ち合わせをしていて、つい視線を感じて

顔を上げると、必ずその絵の女性が俺を見つめている。

大きな絵であり、タッチが荒い油絵なので、気のせい、と言われると

そうなのかもしれない。

先日までは、俺もそう思っていた。

その日、俺は、その会社の社長さんに誘われて、その会社の近くにある居酒屋

で、酒を飲んでいた。

翌日も仕事だった俺は

あの~、出来るだけ早めに帰らせてくださいね。明日も仕事なので・・。

すると、その社長さんは

そんな事言ってると、もう取引停止にするからね!

と言ってニヤニヤ笑っている。

そんなこんなで、結局、居酒屋からラウンジ、ラウンジからバー、と

飲み歩いていると、時計の針はもう午前0時を廻っていた。

あの・・・・社長、もう限界ですから(汗)明日の朝も早めの出勤なので(汗)

そう言うと、それじゃ、一度会社に戻って、ちょっと用事済ませてくるから

もう一軒だけ付き合いなさい!

と言われ、泣く泣く従った。

社長の会社に着くと、当然真っ暗であり、俺はいつもの苦手な絵が飾ってある

部屋へと連れて行かれる。

なんでも、隣にある自宅で用事を済ませてくるから、それまで此処で

待っててくれ!との事だった。

正直、勘弁してくれ!

と思ったが、取引停止はもっと怖い。

なので、じっと、その部屋で待つことに。

暇なので、椅子に座りスマホで、ニュース記事でも読みながら待つ事にする。

かなりの時間、スマホを見ていたと思う。

そして、

社長、遅過ぎ!すぐ来るって、どれだけ待たせりゃ気が済むんだろ?

そんな事をブツブツ呟いていた時、耳元で

ねぇ?

と囁くような声が聞こえた。

え?と思ったが、その部屋が、苦手な絵が置いてある部屋だったこともあり、

無視してみる。

そのまま、スマホから目を離さないようにする俺。

だが、突然、スマホの画面が固まってしまう。

そして、再び、先程より大きな声で

ねぇ?と聞こえた。

決して、顔を上げてその絵を視界に入れないようにしながら、俺は固まった

スマホをなんとか復旧しようとする。

すると、部屋の電気がチカチカと点いたり消えたりを繰り返す。

もうこんな部屋無理(泣)と立ち上がってその部屋から出ようとした。

だが、次のスマホの電源が落ち、真っ暗な画面になる。

そして、その真っ暗な画面の中に、見覚えのある女が映りこんでいた。

例の絵画に描かれた女に違いなかった。

全身鳥肌が立ち、寒気がした。

部屋の電気は、相変わらず点いたり消えたりを繰り返している。

俺は、視線を上げ、その絵画の方を見るしかなかった。

そのまま、俯いているのが、怖くて耐えられなかったから。

ゆっくりと、そーっと俺は顔を上げた。

そこに、俺の目の前に、絵の中の女が立っている事は判っていた。

スマホの画面から、少し視線を逸らすだけで、その女のものであろう

足が既に見えていたから。

その足は、人間のものというよりも、死んで数日、数週間放置された

ような足で、青く血の気は無く、皮膚は割れ、固くなった状態。

正直なところ、そんな足の持ち主の顔など絶対に拝みたくは無かったが、

その得体の知れないものに、上から見つめられ睨まれ続ける事の方が、

俺には恐怖だった。

だから、俺は少しずつゆっくりと顔を上げていった。

足から腰の辺り、そして胸、そして首。

だが、やはり、顔を見る勇気が沸いてこない。

すると、再び、

怒鳴るような声で

ねぇ!と聞こえた。

そして、次の瞬間、その女がしゃがみこむようにして、俺の顔を

覗き込んだ。

もの凄い恐怖だったのを覚えているし、心臓が止まるほど驚いた

のも、しっかり覚えている。

だが、その瞬間、俺は意識を失ったようだった。

そして、許容値を超えた恐怖の瞬間を脳が覚えるのを拒絶したかのように、

俺はその女の顔だけは、覚えないで済んだ。

そして、俺は意識が飛ぶ瞬間に、壁に掛けられた絵画の額縁の中から、

その女の姿が消えているのだけは確認した。

その後、俺は、遅れてきた社長さんに起こされ、そのまま飲みに

連れていかれたが、飲んだ気がしないというか、頭がぼんやりとして、

ひどい頭痛に襲われてしまった。

その晩は、結局3時頃まで飲みに付き合わされたが、翌日、しっかりと

仕事に行ったのは言うまでもない。

ちなみに、その絵画の女は、その後も仕事で訪問した俺に、不規則な表情の

変化と、鋭い視線を投げかけ続けた。

そして、その後にも、額縁から女の姿が消えているのを2回ほど目撃した。

今は、その絵は、手放され、別の持ち主の物になっているそうだ。

皆さんの近くに、その絵画の女が現れない事を願ってこの話は終わります。


  


Posted by 細田塗料株式会社 at 21:26Comments(1)

2016年12月14日

◎松市から鳥越に抜ける道には。

サインディスプレイ部 営業のKです。

いつも、読んで頂き、ありがとうございます。

のんびり続けていきますので、のんびりとした気持ちで

お読みくださいませ。

というか、今日も仕事中に、怪奇な出来事に遭遇しました。

また、近いうちにアップさせて頂きます。

それでは、怖くない話、どうぞ!



仕事でこ◎松方面から鶴来方面に抜けたい時などに、よく利用する

道がある。

実際には、鳥越方面に出る道なので、もしかすると遠回りに

なってしまうかもしれないのだが、ついつい利用してしまう。

道幅も広く、見通しが利く道路と、クネクネと曲がりくねった道。

どちらも、警察の取り締まりにだけ気を付けていれば、なかなか

楽しいドライブコースになる。

ただし、明るいうちは・・・・。

夜間、しかも深夜という事になると、様子はガラリと一変する。

昼間は、それなりに対向車ともすれ違うその道も、深夜になると

完全な1人ぼっちの道になる。

外灯も無い暗い道を、自分の車のヘッドライトだけを頼りに走る。

そんな不安な気持ちで走っていると、見たく無いモノも、ついつい

見えてしまう。

その日、俺はお客さんの所にある大型プリンタの調子が悪いという

事で、現地へと向かい、復旧させたのが深夜12時を廻っていた。

それから、コーヒーを飲みながら世間話などをしてしまい、お客さん

の会社を出たのが、既に午前1時を廻っていた。

それから、その時は、なんとなく、その道を使いたくなってしまった。

何故かというと、いつもは警察のネズミ捕りが気になってしまい、なかなか

気持ちよく走る事が出来ないから・・・・。

そんな軽い気持ちで、その経路を選んでしまったのだが、走り始めて、すぐに

後悔してしまう。

外灯がないのである。

まっすぐな道には、自分の車のヘッドライトの光だけがうっすらと前方を

照らしている。

確か、左手には、介護施設のような建物、右手には民家がそれなりに

まとまって建っている筈なのだが、この時間になると、全てが

闇に塗りつぶされている。

戻って産業道路経由で帰宅しようとも考えたが、疲れていてそんな気力も

無かった。

昼間には、速度取締り強化区間、という看板が気になってついついアクセル

を緩めてしまうが、さすがにその時は、早く山を越えて鳥越の方へ出たい

という気持ちも有り、それなりの速度で走った。

そうして、走っていると、住宅地帯を抜け、右に左にくねくねと曲がった

道が続く。

もう少しで、一本目のトンネルである。

実は、このトンネルと1本目のトンネルは昼間に通るのも苦手だった。

それは、勿論、そういう霊的な気を感じるからに他ならない。

昼間は暗いという印象しかなかったそのトンネルは、これだけ暗闇の

中を走ってきた俺にとっては、とても明るく感じるものだった。

だが、やはり岩肌が露出したトンネル内部は不気味であり、早くトンネルから

脱出したい俺はアクセルペダルを踏む足に力を入れる。

しかし、このトンネルは、さほど長いトンネルではない事が唯一の救い

だった。

俺は前方だけをしっかりと見て走った。

だが、いつもはとっくに出口が見えるはずなのに、そのときに限って

なかなか出口が見えない。

すると、前方から乳母車のようなものを押した老婆が歩いている。

ハイビームにしているライトの光にはっきりと浮かび上がる。

やっぱり出たか!

それが第一印象だった。

ただ、それは特に危険とか攻撃性を感じるものではなく、ひたむきに

乳母車を押しながらこちらへと歩道をゆっくり歩いてくる。

とても古く汚れた着物を着ている。

江戸時代?いや、もっと前かな。

そんな事を考えながらも、出来るだけその老婆の方を見ないようにして

車を走らせる。

で、いよいよ老婆とすれ違うというタイミングだったのだが、俺は当然、

その老婆には気付かないように、刺激しないようにゆっくりとすれ違う

ように努めた。

その時、突然、トンネルの天井部分から何かが落ちてきた。

その落ちてきたものと、一瞬目が合った気がした。

そして、その後には、車にぶつかり引き摺るような音がする。

俺はとっさにブレーキを踏んだ。

いや、それが何かは大体察しは付いていたのだが、やはり反射的に

急ブレーキを踏んでしまう。

暫くの静寂が車内を包む。

俺はサイドミラーで先程すれ違った老婆を確認したのだが、その老婆は、

相変わらず乳母車をせっせと押していた。

それでは、何なのか?

しかし、車外に出て確認すれば、間違いなく車内に乗り込まれてしまうのは

過去に経験済みである。

俺は、車のオーディオの音量を上げ、そのままゆっくりと車を発進させた。

ミラーを確認する。

俺が今まで停止していた場所に人影らしきものは無かった。

やっぱり、そうか。

俺は車のドアを全てロックし、窓も完全に閉めきり、車を走らせる。

と、突然、車のオーディオがザザザという雑音と共に無音状態になる。

どうしたんだ?さっきは車から降りなかったのに・・・・。

まだ、何かがこの車に付いて来ているのか?

そう思い、再度、車のルームミラー越しに後ろを確認しようとした。

だが、俺はすぐに何もなかったように、視線を前方へと移す。

心臓がバクバクしていた。

後ろを見ようとした時、その視界に映りこんではいけないものが、

間違いなく、そこに居た。

その後部座席には、ボサボサの長い髪をした、細すぎる女が姿勢を

まっすぐにして座り、そしてその目は俺を睨みつけていた。

白い洋服は汚れ、ボロボロであった。

一度見れば二度と忘れられない姿。

そして、その表情からは、とてつもない憎悪の念が伝わってくる。

俺が気付いていると分ったら危ない・・・。

そう直感した。

だから、俺は何事もなかったかのように振る舞い、車を走らせる。

ただ、ついついアクセルを踏む足には必要以上の力が入っていた。

しかし、短い筈のトンネルの出口はまだ見えない。

昼間なら、トンネルに入ってから出るまでに1分も掛からない筈なのに?

俺の頭の中はパニック状態だった。

どうすれば出られるんだ?

いっその事、Uターンしてみると出られるかも。

しかし、俺には、その女に気付かれないようにトンネルの中でUターン

する度胸など無かった。

どうする?どうする?どうする?どうする?

俺の頭のなかには、それしかなかった。

もしかすると、必要以上に速い速度で走っているから、逆に悟られて

しまって、出口に向かわせてくれないのかも・・・・。

何の根拠もないが、何故か俺はそう感じた。

そこで、車の速度を時速40キロピッタリにして走った。

ただ、オーディオも無い、この狭い車内空間で、後ろの女と2人、ゆっくりと

車を走らせるのにはとてつもない勇気が要った。

だが、その根拠の無い行為が功を奏し、前方にトンネルの出口で見えた。

やった!

俺は、心の中で歓喜した。

すると、突然、後ろに座っている女が、俺の座っているシートを掴み、

前後に揺さぶりだす。

もの凄い力であり、シートがひしゃげてしまうのではないかと思った。

だが、トンネルの出口は、もう目の前。

俺は、ついミラーで後ろの席を確認してしまった。

すると、そこには、アップで映し出された女の顔が!

そして、その女は、薄気味悪い笑いを浮かべると、スーッと消えていった。

助かった。

本気でそう思った。

だが、もうすぐそこには、更に危険な2本目のトンネルが迫っている。

そのトンネルは、カーブの内側が閉ざされていない半トンネル?になっている。

当然、その下は崖である。

複合コーナーになっているから、事故も多い。

俺は、はやる気持ちを押さえ、丁寧な運転に努める。

緩い登りの右コーナー。

その左側の壁は、昼間でも人影のようなものが染み付いており、何故か一年中

濡れていた。

そして、案の定、昼間に見えていたしみのような影は、はっきりと人間の

形をしたモノへと変化し、そして、それが道路の左側に何人もが立っている。

そして、ゆっくりゆっくりと手招きをする。

この壁の方へ来い。ぶつかって死んでしまえ、とでも言うように。

そして、車の速度がどんどん落ちていく。

緩いのぼり坂でもあるし、アクセルもしっかりと踏んでいる。

だが、車は、どんどん速度を落とし、もう人間が歩いている位の速度まで

落ちてしまう。

もう冷や汗でひっしょりになっていた。

そして、横を見ると、右側の崖があるほうから、大昔の農民のような姿

をした物たちが、どんどんと這い上がってくる。

そして、這いずるようにして俺の車に近づき、車は完全に停止状態になってしまう。

車のエンジンは掛かったままであり、ウイーンと苦しそうに唸っている。

すると、外にいるモノ達は、一斉に手で窓をバンバンと叩き出す。

車の窓を割ろうとしているのか。

その顔は、完全に人間のものではなく、ただ、口元からは憎悪の念を感じる。

俺は焦りまくっていた。

ただ、不思議と頭は冷静であり、こう考えた。

よくスタックした時には、一度バックしてから前進すれば良い訳だから。

そして、車のギアをバックに入れると思いっきりアクセルを踏む。

今まで停止していた車は勢い良く後ろに下がる。

そして、間髪いれずに、ギアをDレンジに戻し、一気に加速する。

もうスピードは落ちなかった。

だが、後ろから、ウオーン、という声と共に、幾つもの影がグングンと

追いかけてくる。

そのトンネルを抜けると、すぐに3本目のトンネル。

ただ、そのトンネルは、今までのトンネルと違い、明らかに新しく、

そして明るかった。

俺は勢い良く、そのトンネルに飛び込み、更に加速した。

かなり長いトンネルであり、抜けるのにも、そこそこ時間がかかる。

だが、このトンネルを抜けると、そこはもう、民家が軒を連ねる

鳥越の町である。

その間、背後から迫るもの達は、車の後ろに体当たりしたり、窓を

バンバンと叩いてきたりした。

しかし、俺には全速力でトンネルの出口を目指すしかなかった。

ただ、この明るいトンネルではあるが、その途中、両サイドにある歩道

には、行列を作るようにして、人の長い列が続いていた。

それは、一見すると、葬式の列のようにも見えたし、亡者の行進のようにも

見えた。

そして、俺は何とか無事にそのトンネルを抜ける事が出来た。

もう付いて来ているモノはなかった。

最怖の心霊スポットとして名高い鳥越城などの近くは出来るだけ通らない

ようにして、国道に出て帰宅したのは、言うまでもない。

この深夜に出現する異次元の世界は実在する。


  


Posted by 細田塗料株式会社 at 21:38Comments(4)

2016年12月12日

タクシーの運転手さんから聞いた話。

サインディスプレイ部  営業のKです。

最近、怖い話を再開してから、ついつい力が入ってしまい、どんどん

長文になってしまっております。

簡潔に、分りやすく書ける才能があれば良いんですけどね。

まっ、無理ですね(笑)

でも、今日の話は短く、そして全く怖くない話です。

暇つぶしになれば幸いです。

それでは、どうぞ!



先週末、片町で忘年会だった。

あまりお酒を飲み過ぎないように気をつけながら楽しんだのだが、

気が付けば、時計の針は午前2時を廻っていた。

翌日は色々と予定があったので、早く帰らなければ、と思い、一緒に

飲んでいた某得意先の社長さんと急いでタクシーをひろい、家路についた。

いつものパターンで、その社長さんの自宅前を経由して、我が家へと

向かった。

すると、先程までは一言も喋らなかったタクシーの運転手さんが突然

話しかけてきた。

お客さんって、幽霊とか見たことありますか?

唐突な質問で驚いたが、確かに昔からタクシーと幽霊は切っても切れない

関係というか、その類の話は多い。

ただ、この時は、

いや、見たことないですね。

と返してみた。

すると、その運転手さんは

いや、私もこういう仕事していると、今までに何度も幽霊とか不思議な体験とか

してるんですけどね。

でも、ついさっき見た幽霊にはびっくりしました。

ところで、お客さんは幽霊じゃないですよね?

今まで色んなタクシーに乗って色んな話を聞いたが、俺に幽霊じゃないのか?

と真顔で聞かれたのは初めてだったので、思わず笑ってしまった。

そして、とても興味が沸いてきたので、その話というのを聞いてみた。

すると、ある場所で女性一人と男性1人のカップルを乗せたらしい。

で、そのカップルだが、男性がペラペラとよく喋るのに、女性の方は

行き先を告げただけで、その後は、一言も喋らない。

もしかして、この女は幽霊なのではないか?

そう思ったらしい。

で、告げられた目的地に着くと、そのカップルはタクシーから降りた。

女性が無言で料金を払い、降りたそうだが、男性は一向にタクシーから

降りる様子が無い。

なので、不思議に思って、後ろの男性客の方を振り返ってみると、もう

そこに姿はなかった。

間違いなく女性客しか降りてない自信があったので、ドアを閉めて、

今降りた女性の方を見ると、その女性の後ろから、男性が、その顔を

覗き込む様にしながら、女性の背中に張り付いていた。

そういう話だった。

そして、その男性の幽霊がついさっきまで座っていたのが、俺が今座っている

場所ということらしい。

そう言われると、さすがに良い気分はしなかったので、笑って誤魔化した。

が、突然、タクシーの運転手さんが、ブレーキを踏んだ。

あ、あれです。あの男です。さっき乗せたのは・・・。

今度は、こんな場所で、一緒に帰る相手を探してるんですかね?

すると、一見、どこにでもいる普通のサラリーマンがヨレヨレのスーツ

を着て、一人で立っていた。

そして、晴れているというのに、手にはしっかりと傘が握られていた。

お客さんにも見えますか?

そう言われて、つい、あっ見えますね!

と言ってしまった。

すると、もっと近くで見たいんでしたら、車停めますけど?

そう言われて、丁寧にお断りした。

その時、タクシーの運転手さんから聞いたのだが、やはりそういう仕事柄、

幽霊を目撃したりするのは、日常茶飯事らしい。

大変な職業だな、と思った。



  


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:11Comments(2)

2016年12月11日

連れて行かれた友人!

サインディスプレイ部 営業のKです。

娘が富山県の友達の処へ泊まりに行ってしまい、夫婦2人きりに

なってしまった今週の週末。

まあ、別に仲が悪いわけでもないんですが・・・。

それでも、ある意味、心霊現象よりも、ストレスを感じ、

ある意味、恐怖の時間でした。

妻には言えませんが(笑)

それでは、怖くない話、いきます。



友人に、病気で奥さんを亡くされた方がいる。

亡くなられた時の奥さんはまだ30代だったと記憶している。

子供を授からなかった事もあり、本当に仲の良いご夫婦だった。

が、人生とは酷なもので、彼の奥さんは、ある難病でそれこそ

闘病という事も出来ぬまま、病気が見つかってから、1ヶ月も

もたず、永遠の別れになってしまった。

更に彼は奥さんが入院してから、ずっと仕事を休んで

奥さんの看病にあたっていたのだが、ある日、病状が一気に好転し、

それこそ、いつもの状態のように元気になった。

もう大丈夫だから、貴方は仕事に戻ってね。と奥さんに言われ

彼は喜んで、仕事に復帰した。

だが、彼が仕事に復帰した、その日に突然、奥さんは亡くなってしまう。

病院から連絡をもらい、急いで病院へと駆けつけた彼だったが、

死に目にも会うことは叶わなかった。

それからは、彼は抜け殻のようになり、仕事も休みがちで、休みの日にも

家から一歩も出る事は無くなった。

そんな彼を心配して、仲間で励まそうと集まったこともあったのだが、

彼の悲しみは、それほど簡単なものではなく、俺達友人は、

きっと時間が解決してくれるだろうから、もう少しそっとしておこうか。

という事になり、暫く彼との連絡をしなくなった。

それから、1ヶ月ほど経った頃である。

俺達の所に、彼から突然連絡が入る。

色々と心配かけてしまったけど、もう大丈夫だから。

今度、うちで一緒に飲もうよ。

それに、見せたいものも有るんだ・・・。

そういう内容だった。

その電話をもらって俺達友人は喜んだ。

しかし、あれだけ仲が良かった奥さんを亡くして、こんなに短期間で

立ち直れるものなのか?

という疑問はあったのだが、指定された日に彼の家に行き、宴会をしようと

いうことで、決定した。

宴会当日、俺達は各々の車で、おつまみやらお酒を買いこみ、彼の家に

集まった。

彼を含めると、合計6人の宴会である。

彼の家に到着すると、家の前で彼はニコニコしながら待っていた。

彼は、かなり頬もコケ痩せてはいたが、元気そうだった。

そして、俺達が、おつまみや酒を買い込んできたのを見て、

お酒も料理もこちらで用意したから、買い込んできてくれた物は、それぞれ

持ち帰ってくれれば良いよ。

そう言われた。

彼の家に入ると、予想とは違い、家の中は整然と整理され掃除も行き届いて

いるのを見て驚いた。

彼はもともと大雑把な性格であり、とてもこんなに綺麗に掃除出来る

人間ではないのは、友人皆が知っていた。

だから、もしかして、新しい奥さん候補でも見つけたのかな?

とヒソヒソと話したのを覚えている。

酒宴が始まると、最初は少しぎこちないところも有ったのだが、酒の

量が進むと、皆、昔のままの友人の会話を楽しめた。

何より、彼が奥さんを亡くした悲しみから、これほどまでに回復して

くれていたのが嬉しかった。

出てくる料理も、精進料理のようなものばかりではあったが、その味は

素晴らしく、どれも皆、必要以上に冷え切っている事を差し引いても

十分満足できるものであった。

俺達は、やっぱり新しい奥さん候補が出来たに違いないと話しあった。

酒宴も、盛り上がってきた時、彼が満を持したかのように、正座して

俺達に語りだした。

奥さんの話だった。

正直、俺達は、まずい・・・と思ったのだが、彼は何故か嬉しそうに

話を続ける。

正直、この飲み会に誘われたとき、俺達の中では、

彼の亡くなった奥さんの話はタブーであり、一切触れてはならない、

というものだったから、皆、呆気に取られた。

大丈夫なのか?

もしかして、精神的にやられてしまったのでは?

それが率直な感想だった。

だが、彼は亡くなった奥さんとの馴れ初めから始まり、デートの話、結婚生活、

そして、亡くなった日の事ですら、優しい表情でかみ締めるように話した。

そして、奥さんが亡くなった日の事を話し終えると、彼は更に姿勢を正し、

俺達全員の顔をしっかりと見ながら、こう言った。

実は、妻が死んでから、ずっと生き返ってきてくれ!

どんな姿でも良いから・・・

そして、もしもそれが叶わないのであれば、俺をお前が行った場所へと

連れて行ってくれ!

毎日、そう思って過ごした。

そして、もしもお前が連れて行ってくれないのなら、いっそ、自ら命を

絶とうとすら考えていた。

それこそ、毎日毎晩。

そしたらさ。戻ってきてくれたんだ。

妻が! 以前と変わらぬ姿で・・・。

そう言うと、嬉しそうに泣き出してしまう。

そして、

今日の料理だって、全部妻の手作りなんだよ。

ちゃんと美味しいだろ?

そう言われた。

そして、今は理由があって、まだお前達の前には出られないけど、

いずれ、しっかりとお前達にも、生き返った妻の姿を見せられると

思うからさ。

そう言いながら、美味しそうに酒を飲み干す。

そして、料理が無くなった皿を持って、台所の方へと消えていく。

そして、誰かと話している彼の声が聞こえたが、相手の声は聞こえない。

だが、そのあと、彼はお皿一杯に盛られた料理を両手で持ち、戻ってくる。

そして、妻が喜んでるよ。

お前達が、料理を一杯食べてくれるから・・・。

そう言って、また一気に酒を煽る。

そうして、その日の晩は、全員が彼の家で泊まらせて貰ったのだが、指定された

部屋に行くと、整然とふとんが敷かれており、俺達は酔いが冷める気分だった。

そして、何事も無く、朝が来て、またしても精進料理のような朝食が

用意されていた。

美味しかったので文句は無いのだが、ご飯ともとより、味噌汁すら、冷たかった

のは、少し驚いた。

それから、いよいよ帰るという事で全員が家から出たのだが、その時、ある事に

気付いた。

外が異様に暑いのだ。

いや、正確に言うと、今まで居た家の中が異常に冷え切っていた事に気付いたのだ。

その後、笑顔の彼に見送られ、彼の家を後にした俺達は、そのまま喫茶店で

話し込んだ。

当然、生き返ったという奥さんの話であった。

否定的な意見もあったが、実際、俺の友人で、亡くなった奥さんと幸せに暮らしている

友人もいる、という話をすると、

http://sign.hosodapaint.com/e69402.html  参照

そういうのも、あるのかもな・・・。

と全員が、そっと彼を見守り事になった。

そして、それから彼はまたしても俺達と疎遠になってしまう。

いや、性格には、メールも帰ってくると、電話にも出てくれた。

ただ、一緒に出掛けないか?とか、今日、家に行っても良いか?

との問いかけには、いつも

俺は会いたいけど、妻が駄目だって言うから・・・。ごめん。

そういう返事ばかりだった。

そして、ここからは、彼に聞いた話である。

俺達との飲み会の後くらいから、奥さんの機嫌が悪い日が続いたらしい。

そして、彼が外出しようとすると、奥さんは泣くのだという。

買い物は勿論、仕事にも行けなくなった。

そして、家に居て、視線を感じ、顔を上げるとそこには必ず奥さんの

顔があった。

それは、異常に思えるくらいで、風呂に入っている時、トイレに入っている

時も、ドアを開けると、そこに奥さんが立っていた。

まるで、監視され逃げないように軟禁されているようだった。

さすがに、彼も困り果ててしまい、奥さんに言った。

仕事にも行けないんじゃ生活出来ないよ?

それに、食料品とかも一切買ったのを見た事が無いけど、どうやって

やり繰りしてるの?

そう言うと、奥さんは、急に怖い顔になり、彼に言ったのだという。

あなたが早くあの場所に一緒に行ってくれないから私はこんな中途半端な

状態でいなくちゃいけないの!わかる?

だから、早くあの場所に行こうよ!

と冷たく言い放った。

あの場所・・・というのは、以前から奥さんから聞いていた場所であり、

あの世とこの世を繋いでいる境界線にある場所であり、その場所に彼が奥さんと

一緒に行き、再び一緒に帰ってくる事で奥さんは

完全なる“よみがえり”を果たす事が出来るというものだった。

確かに一刻も早く愛する奥さんを完全に蘇らせたいという気持ちは強かったのだが、

彼の頭の中には、日本神話に出てくるイザナギとイザナミの話が強く残っていたから。

要すると、神の夫婦であったイザナギが亡くなった妻のイザナミに逢いたくて

黄泉の国へと向かったが、そこで醜く腐り果てた、妻イザナミの姿を見て

逃げ帰ってくる、という話である。

だから、なにより、彼は醜く腐り果てた、愛する妻の姿を見たくはなかった

から、ずっと言葉を濁し、曖昧な返事しかしなかったらしい。

それでも、奥さんに冷たく言い放たれると、もう行くしかないのか、と

諦め、奥さんにそれを伝えた。

すると、奥さんは、生き返ってから初めて笑ったという。

しかし、その笑いは、冷たく不気味な笑いであり、あの顔は死ぬまで

忘れられない、と彼は言っていた。

それでも、もう後には引けず、彼は、どうすれば良い?と奥さんに聞いた。

すると、今夜は、私と一緒に寝て下さい。

そうすれば、あの場所へ連れて行ってあげます。

そう言われた。

そして、彼は奥さんが用意した白い着物を着せられ、同じ布団で寝る

事にした。

横で眠る奥さんの体はとても冷たく、あの場所へ行く事で、また、

暖かい妻の体が戻るなら・・・と自分に言い聞かせながら床についた。

そして、いつしか深い眠りに落ちたらしい。

彼は夜中に目を覚ますと、既に横に寝ていたはずの妻はいなかった。

何処に行ったのだろう?と妻を探して家の中を彷徨うように歩いた。

すると、玄関の処に妻が居て、彼に手招きをしている。

覚悟を決めていた彼は、その手招きに応じた。

そして、玄関までくると、その後は、妻が少し歩き、また手招きされ、そして

それに応じて、妻の処まで行く。

ソレの繰り返し。

そして、どこをどう通ったかは忘れたが、気が付くと、目の前に大きな横穴が

口を開けていた。

そして、手招きしながら、その横穴に入っていく妻に続いて彼も付いて行った。

横穴の中は、そこそこ広く、明かりがついていないのに、視界が確保できた。

そんな道を延々と歩いた。

少しずつ、下方へと向かって歩いているのがわかった。

どれだけ歩いただろうか、ふと彼はある事に気付いた。

生き返ってからの妻は、性格も変わり、会話もほとんど無くなった。

生前は、あんなに俺だけのことを考えて尽くしてくれた妻が、自分の

よみがえりの為とはいえ、俺をこんなに危険な場所に連れて行こうと

するのだろうか?

もしかすると、俺は、何か大きな間違いを犯しているのではないのか?

それに、俺は妻が生き返ってから、どんどん痩せ細っている。

ちゃんと食事は摂っているはずなのに・・・・。

妻の作った食事を・・・。

そう考えると、

生き返ってからの妻の行動全てが全て嘘のように感じられ、突然、

強い恐怖感に襲われた。

そして、彼は歩くのを止めた。

すると、前方を歩いている妻も、それに気付き歩くのを止めた。

そして、前を向いたまま、

どうしたの?早く行かないとあの場所には辿りつけないよ!

そう大声で叱責された。

そして、彼は、

もう少し、もう少しだけ考えさせてくれないか?

と妻に返した。

すると、突然、妻がこちらを振り向き、こちらに向かってきて彼の

腕を掴んだ。

とてつもなく強い力だった。

そして、何より、彼を呆然とさせたのは、振り返った妻の顔が全くの

別人であった事。

吊りあがった目と大きな口は、まさしく鬼女というのがピッタリだった。

そして、その女は、彼の腕を掴み、そのまま強引に道の奥へ奥へと

引っ張っていく。

とても、抵抗できるような力ではなく、何故かどんどん彼は力が抜けていき

その女の為すがままに、引き摺られるようにして道を進まされた。

そして、どれだけ引き摺られたであろうか、

突然、前方に小さな橋が見えた。

あれを渡ったらもう二度と戻っては来れない!

彼は何故かそう確信した。

だから、最後の力を振り絞るようにして抵抗した。

だが、やはり、その女の力は強く、少しずつ少しずつ、橋を渡っていった。

そして、ちょうど橋の真ん中くらいに来た時、彼は

もう駄目だ!

と死を覚悟した。

と、その時、前方から、小さな光が見え、それがどんどん大きくなりながら

ぐんぐん近づいて来る。

そして、彼の耳元で、

諦めてはダメ!

こっちへ来てはダメ!

逃げて!

そう聞こえた。

亡くなった妻の声だった。

彼は、その暖かい声を再び聞くことが出来て、涙が止まらなかった。

そして、その声で彼には、また力が溢れてくるのを感じた。

そして、その光が彼とその女を包み込むと、その眩しさから

その女の手が、彼の腕から離れた。

彼は、一気に身を翻し、もと来た道を全力で走った。

その間、何度も、その女の声が近づいてきて

待て~。逃がすか~。

という声が聞こえたが、その度に光が、その女を包み、その声は離れて行った。

そう何度も繰り返し、とうとう彼は横穴の入り口の近くまで辿りつく。

ただし、その時には、再び、その女の声が彼のすぐ背後まで近づいていた。

彼をずっと助けてくれた光は、もう感じられなかった。

妻がどうなってしまったのか、彼は気掛かりだったが、今は、背後に迫る

女から逃げるしかなかった。

もうその女のが彼の着物を引っ掻く位の距離まで近づいていた。

前方の穴の入り口までは、もう少し。

彼は、思い切って、その穴から外に飛び出す覚悟をした。

もしも、その女が穴の外まで追って来たら、もうそれでジ・エンドであったが、

彼にはもうその選択支しか残されていなかった。

腕を伸ばし、彼の着物を捕まえようとする手をかわして、彼はその穴から

飛び出した。

すると、そこは、彼が寝ていた布団の上だった。

もう夜は白み始めていた。

布団に二つ並んだ枕が、妙に生々しく、あの女が幻ではなかったのだと、

再認識させられた。

そして、彼が着ていた白い服は、死装束だと気付き、慌ててそれを脱ぎ捨てた。

それ以来、彼の身には、何も起こっていないが、毎日、奥さんに手を合わせ、

仕事帰りには、墓参りを欠かさなくなったらしい。

それにしても、彼の奥さんの生き返り、として彼に近づいた女は一体何者で、

何が目的だったのか。

それを考えると、怖くなってくる。

そんな彼の家は、金沢市の東山に実在する。


  


Posted by 細田塗料株式会社 at 20:51Comments(2)

2016年12月10日

最恐の金縛りというもの。

サインディスプレイ部 営業Kです。

今夜も悲しい・・・・いや、楽しい忘年会です(笑)

ちなみに、昨夜も忘年会でした。

今夜も片町は人ごみで溢れかえってることでしょうね。

あっ、片町といえば、まだまだ怖い体験談があのますので、

無理せずアップさせて頂きますね。

ということで、今夜も怖くない話、いってみましょう!



これは俺の従兄弟が体験した話。

彼は俺と同い年で、仕事は陸上自衛隊である。

同い年ということもあり、色々と話もあうので、大人になってからも

機会があるごとに、2人に飲みに出掛けている。

一度、結婚はしたのだが、離婚してしまい、現在はかほく市にある

一軒屋に1人で住んでいる。

自衛隊という仕事柄、生活は不規則?であり、毎日、自宅に帰れる

という訳ではないようだ。

そんな彼だが、つい最近まで、心霊体験はおろか、不思議な体験すら

した事がなく、真面目な性格も手伝って、幽霊とかの類は完全に

否定していた。

ただ、ある事を境にして、事情が変わる。

演習というのか、行軍というかはよく分からないのだが、山の中で

そういう訓練をしていた時に、ふと、自分の目の前に奇妙な形で

積まれている石を見つけた。

ほふく前進状態だった彼は、特に気にも留めず、その石を崩してしまう。

しかし、その石を崩し、前方の視界を確保した時、彼は更に不思議な

物を発見する。

積まれていた石の一番下には、地面に埋めるようにして、古い木箱が

あり、その箱には古い紙に読めないような漢字が書かれたものが、四隅に

貼られていた。

そして、そして、彼が崩してしまった石の一番下の部分が、その箱を貫くように

して刺さっていたらしく、今はその箱の上部には、穴が露出していた。

そういう場所には、通常、一般人は立ち入る事が出来ない為、尚更の事、

彼は何か嫌な気分になったという。

それから、彼の生活は一変する。

寝ているときに金縛りに遭うようになったのだ。

しかも、駐屯地での宿泊の場合には一切起こらず、決まって彼が自宅の2階にある

寝室で寝ているときに限って、その金縛りは起こった。

しかも、毎晩。

ただし、そういう類の事を全く否定している彼にとっては、金縛りは

身体的に起こる体と脳の不一致でしかなかった。

つまり、疲れていて体は寝ているのに、脳だけが、しっかりと目を覚まして

しまう状態。

だから、彼はまず心身の疲れを取る事、リラックスして眠れるような

環境を作る事。

それに力を注いだ。

布団も高価な物に買い替え、自宅で寝る日には、毎日、寝る前に風呂に入り

これまた、高価なマッサージ機を購入し、心身のリラックスを図った。

だが、それも徒労に終わる。

全く金縛りが無くならない。

それどころか、日毎に金縛りに遭っている時間が長くなっていった。

そして、俺のところに電話をしてきた。

お前、以前、金縛りがどうこうと話していたけど、詳しいのか?

そんな内容だった。

まあ別に金縛りのプロ?ではないが、以前、自分も金縛りにあった

事もあるから、何なら相談乗るけど?

それで、今回話している内容の話を聞かされた。

なので、粗塩とかお札とかの話をしたのだが、どうもまだ半信半疑らしく、

どこか上の空で話を聞いていたのが気になってはいた。

で、結局、彼はその時、俺が言った対処法は一切行わなかった。

そんな事を信じてしまう自分が許せなかったのだという。

そして、ある日、彼は本当の恐怖を味わう。

その晩は、テレビを見ながら晩酌をしていて、寝床にはいったのは、

夜の12時頃だったという。

すぐに眠りについた彼だったが、それから1時間後の午前1時頃に

目が覚めた。

彼はいつもラジオをつけながら寝るのが習慣になっているらしいのだが、

その時、目が覚めるとラジオから音は聞こえていなかった。

正確に言うと、ジジジとかザザザとかいう雑音は小さく聞こえていたのだが、

ラジオの音声は全く聞こえていなかった。

それどころか、寝るときに点灯している部屋の常備灯も消えていて、完全な

暗闇になっていた。

霊の存在も信じず、屈強な自衛隊員の彼だが、その時はさすがに少し気味悪く

感じたという。

ただ不思議とそんな暗闇の中でも、部屋の中の視界は確保されていた。

しかし、その時の金縛りは、いつものように体が完全に動かせないのではなく、

首から上は自由に動かす事が出来た。

あれ?なんで今夜の金縛りは、首が動かせるんだろうか?

そんな事を考えていると、突然、ラジオからお経の様な声が聞こえてきた。

そして、その声は、どんどん大きくなっていく。

その時、今度は階下の1階の方からバタンというドアを閉めるような

大きな音がした。

普通の状態の彼なら、きっと泥棒かなにか、と思っただろう。

ただし、その時は、何故か、そのドアを閉めた者の姿が頭に浮かんだ。

そして頭に浮かんだソレは明らかに人間ではなかった。

彼は生まれて初めて、霊的な恐怖を感じた。

そして、今度は、階段を一段一段ゆっくりと上るような音が聞こえる。

それも、わざと聞こえるようにはっきり、そして異常にゆっくりと

上って来る。

まるで、濡れた布を階段に叩きつけているような音であり、その後、

その濡れた布が引き摺られるような音までもがはっきり聞こえた。

そして、その音が階段を上りきると、そのまま、ズッズッと摺り足で

彼が寝ている寝室のドアの前まで来て、そして静かになった。

彼の耳に全神経が集中している。

どうしたんだ?

ドアの前に何かがいるのか?

そう思った時、そのドアは、突然バタンと開けられる。

見てはいけない、と思ったらしいが、彼は見てしまった。

そこには、薄汚れた白い着物を着た女が立っていた。

いや、女だと思ったのは髪が長いという理由だったのだが、実際、その顔は

男なのか女なのかも判別出来なかったという。

細く背の高いその姿からは、更に細い手足が見えていた。

そして、その首は、あり得ない位に長く、前に垂れていたという。

そして、ソレは、少しずつ、彼が寝ている方へと近づいて来る。

目を逸らそうとしても、無理だった。

屈強な自衛官である彼の口の中で、歯が震えてカチカチと鳴っていた。

そんな彼の姿を見て、ソレは笑ったのだという。

満足そうな嫌な笑い方で・・・。

そして、ソレは彼の横を通り過ぎ、彼が寝ている頭の上まで来て

止まった。

もう視界には入っていなかったが、そこにまだソレが居る事は確信できた。

息苦しそうなぜーぜーという掠れた呼吸音が聞こえたし、何より、例えようも無い

位の異臭が、鼻を突いていたから・・・。

そして、突然、彼の顔前に、ソレの顔が重なってくる。

当然、目を閉じようとしたが、それも叶わない。

そして、間近で見るソレの顔は、白いというよりも、青い顔をしており、

こけた頬と抜け落ちた歯、それに片目が潰れているのがはっきりと

見えたという。

そして、部屋の中は、お経の様な声と、いつから始まったのか、キーンという

高周波の耳鳴りで埋め尽くされる。

その時、突然、彼の金縛りは解けた。

何故だかわからなかったが、その時、彼は見てしまう。

ソレがまた笑ったのを・・・。

だから、彼の頭の中は???でいっぱいになる。

この金縛りを解いたのは、今目の前に居るソレなのか。

だとしたら、何故?

この状態で何か抵抗出来るなら、してみろ、とでもいうのか。

だとしたら、動くべきなのか、動くべきではないのか?

そして、彼の出した答えは、このままジッとソレが立ち去るのを待つ

という事だった。

すると、更にソレは、彼の顔を手で触り始める。

べチャっとした感触であり、異様に冷たい手だった。

またソレの顔が笑っていた。

すると、今度は、ソレの手が彼の両手首を掴んだ。

さすがに、彼もこれは振りほどこうとあがいたらしい。

ただ、その力は半端なく強いものであり、力が入らない彼の腕では、とても

ではないが、抵抗できるものではなかった。

それを確かめるまで待っていたのか、今度は、ソレの手が彼の首に掛けられる。

ギューッと閉めては緩め、またギューッと閉めては緩め、の繰り返し。

彼は何とかその手を振りほどこうともがいたのだが、それすら何の抵抗にも

ならなかった。

程なくして、彼は意識を失う。

そして、暫くして、彼は自分の顔の上に冷たい液体のようなものを

かけられ、ビクっとなって起きた。

彼は慌てて目を開ける。

彼は心臓が止まるかと思った。

もしかすると、それが目的だったのかもしれないが・・・・。

本当なら、もう悪夢は終わっていて欲しかっただろうし、先程の恐怖も

単なる夢だと思いたかったに違いない。

だが、彼が目を開けると、まだ目の前にソレの顔があり、うっすらと

開けられた口からは、唾液が彼の顔の上に滴っていた。

そして、それから、何度も首を絞められ、意識を失い、そしてまた

目が覚めて、首を絞められ・・・という繰り返しの末、明け方になった

頃、彼は突然解放された。

ソレは、ニヤーっと笑うと、立ち上がり、そのままドアに吸い込まれるように

消えたのだという。

明日も・・・・という言葉を残して。

それから、再び、彼から連絡があり、ただならぬ予感がしたので、一緒に

霊視が出来る知人の所まで行く事にする。

そして、そこで言われたのは、

彼が、昔悪さをして、封印された怨霊の箱を開けたしまった為、ソレが

彼に憑いてしまっていること。

そして、ソレは、日頃から霊的な物を否定している彼が怖がっているのが

面白いらしく、わざと怖がるように仕向けている事。

更に、まだ完全には憑いていないので、祓うなら、今しかない!という事だった。

そこで、また急なお願いをして、いつもお願いしている某お寺に彼を連れて行き

彼にもうソレが簡単に近づけないように結界のようなものを張ってもらった。

なんでも、彼が開けてしまった箱を元の場所に戻さない限り、何度御祓いで

祓っても、すぐにまた憑かれてしまうのだという。

そこで、彼の同僚にも手伝ってもらい、なんとか、その箱を元の場所に戻し、

更に、危険を避ける為に、しばらく彼には自宅で寝ないようにと指示をした。

そして、それから、しばらくは何も無かったのだが、3ヶ月くらいしてから、

彼が駐屯地の相部屋で寝ていると、久しぶりに金縛りに遭った。

彼はそれこそ、指一本すら動かせない状態だったらしいのだが、結界のせいなのか、

それは、彼に一切触れることは出来ず、1時間あまり、彼の顔を恨めしそうに

睨みつけた後、そのまま壁の中へと消えていった。

そして、実はその時、霊感のある隊員の何人かが、彼が金縛りにあったのと

ちょうど同じ時刻に突然目が覚め、目の前で起こっている彼とソレとの

にらみ合いを目撃することになった。

その後、暫くは、駐屯地も、その話題で持ちきりだったらしい。

そして、それ以来、彼の周りでは、再び金縛りや怪奇現象が発生する事は

なくなった。

その封印された木箱は、今も某山に存在する。


  


Posted by 細田塗料株式会社 at 17:34Comments(3)

2016年12月08日

白山市にある首吊りの木/後編

サインディスプレイ部 営業のKです。

今日の夜は予定が有る為、待ってる人はいないと思いますが、

昨夜の続きである、後編をアップ致します。

それでは、適当に楽しんで頂けると嬉しいです。

どうぞ!



~後編~
Aが急いで立ち上がった、その頭上に、ひとりの女性がいた。

いや、いた、というよりも、木の枝から首を吊った状態でぶら下がり、

そして、その視線は、明らかにAを凝視していた。

特に腐乱しているとか、そういうのではないが、長く伸びた首と、

ダラリと垂れ下がった足と手が異様だった。

それは、風のせいではなく、ゆっくりと揺れていた。

俺達は、はっとして、Aに叫んだ!

お前の上も!

そう言われ、上を見上げようとするAに更に叫んだ。

見るな!絶対に!

そう言われ、上を見上げようとする動作を急停止するA。

そして、俺達の方へと駆け寄ってきた。

それと同時に俺達も、一気にAの元へと駆け寄った。

3人が一箇所に集まる。

そして、それぞれが背中を合わせる様にして、辺りを見回した。

異様な光景だった。

首吊りの木からは女がぶら下がり、そして5メートルほどの空間を

隔てた回りの木の全てに、老若男女、さまざまな者達が木からぶら下がっていた。

逃げ場はなかった。

だが、その後に及んでまだ

これって現実なのか?と聞いてくるBの存在で何か、ほっとした。

そして、俺は

ほらな。見ちゃっただろ?

そう言う俺にAが返す。

もう駄目なのかな?

Aの声が震えていた。

多分、1人だったら、絶対にこんな強気ではいられなかったと思うが、

その時は何故か、強気な言葉が出せた。

何より1人ではなかったし、太陽の光も差し込んでいたから。

俺は、

もう眠くないか?眠くないなら大丈夫だよ!

生きてる人間の方が絶対に強いから!

何の根拠も無かったが、まあ、彼らにとっては気休めにはなったようだった。

ただ、そうやって、その者たちを見ていて気付いた事があった。

奴らは、少しずつ、下がってきていた。

そして、もう暫くすると、足が地面に着いてしまう。

一刻も早く逃げなくては・・・と思った。

そこで、俺は続けた。

というわけで、約束どおり、俺は1人で逃げるからな。

付いてきたかったら、ご勝手に!

そう言うと、前方の木からぶら下がっている者の間を抜けようと走り出した。

奴らが何もしてこないという保証は無かった。

だが、このまま、この場所に居たら、間違いなく連れて行かれる。

自殺遺体として、警察に発見される羽目になってしまうという妙な

確信があった。

俺は下を向いて走った。

そして、彼らも俺に付いてきた事は、背後からのバタバタという足音で

分った。

そして、俺達は、無事に、木の間を抜ける事が出来た。

が、その時、突然、森全体から、サイレンのようにブーンブーンという

音が聞こえだす。

怒らせてしまったのか?

それならば、尚更の事、走る足を止める訳にはいかなかった。

俺達は、必死で走った。

黄色いテープを逆に辿るようにしながら、全力で。

少しずつではあるが、サイレンのような音は小さくなっていく。

ただ、間違いなく来た道を戻っている筈なのに、一向に車の停めてある

道路には出ない。

何かおかしい。

そう感じた時、突然、耳元で鳴らされたかのような大きな音が聞こえた。

先程のブーンブーンという音。

しかも、木々にこだまするように聞こえてくる。

そして、先程まで太陽の光が差し込んできていた森の中が、どんどん

暗くなっていく。

何故、こんな事が出来る?

そう思った俺は、思わずいつも身に付けているお守りを握り締めた。

そして、他の2人に

南無阿弥陀仏でも何でもいいから、知ってるのを適当に大声で叫べ!

そうしていると、後方からおーんおーんという声と共に、先程の

モノ達が、ゆっくりと滑るように近づいてくるのが見えた。

どの方角へ逃げれば良い?

俺の頭はパニックになっていたが、他の2人に悟られる訳には

いかなかった。

そこで、

やっぱり、こっち!

と言って、別の方向へと他の2人を引っ張る。

だが、本当に朝なのか?と思ってしまうほどの暗さだった。

しかし、そんな暗さの中でも俺達は全力で走った。

ただ、全力で走り続けるのにも限界があった。

俺達の走る速度は、次第に遅くなっていき、大きなサイレン音の中、

背後から迫るおーんおーんという声に恐怖した。

もう無理か。

そう思った時、前方に一本だけ光が差し込んでいる場所があった。

俺達は、早く、その光に包まれたくて、再び全力で走る。

だが、その光はどんどんと離れていき、なかなか近づいてはこない。

しかし、もう迷っている暇はなかった。

その間、背後から迫る声は、すぐ近くまで来ており、俺の髪や服を

引っ張ってくる。

そして、他の2人からも、時折、うわっ、とかひゃー、とか声が

聞こえる。

彼らも、俺と同じように、髪や服を引っ張られているのは容易に想像

できた。

と、その時、突然、前方から光がシャワーのように降り注いだ。

すると、あの大きなサイレンの音も、亡者の声も消えうせた。

そして、その光を抜けると、前方に道路が見え、俺達の車も

停まっていた。

急いで、道路まで駆け上がり、3人は無事に車の中へと入った。

そして、急いでこの場所から離れようとしたが、車のエンジンがかからない。

そうこうしていると、車の回りにどんどん霧が出てくる。

そして、その霧はすっぽりと車を包んでしまう。

静まり返る車内。

その時、突然、車の窓がノックされた。

恐る恐る窓の方を見ると、一人の女性が立っていた。

そして、車に顔を近づけて

すみません。ちょっと人を探してるんですが・・・。

そう言った。

みるからに、普通の30歳位の女性。

普通なら、車のドアか窓を開けてしまったかもしれない。

だが、先程の恐怖から、誰一人として、その声に反応しようとしない。

それに、突然の霧や、突然、こんな場所に、たった一人で現れた女。

どう考えても普通じゃなかった。

俺達は、視線を落として、窓を見ないようにした。

すると、突然、窓の外から甲高くケラケラと笑う声が聞こえた。

その声にハッとして窓を見ると、先程、首吊りの木からぶら下がっていた

であろう女が、大きな口を開けて笑っていた。

髪は抜け落ち、顔も腐りきっており、着ている服だけが、先程の女だと

確信できる唯一の要素だった。

そして、そのまま女は霧の中に、後ろ方向へ滑るようにして消えていった。

それからも、何かがドンと車に当たってきたり、窓ガラスや屋根をバンっと

叩く音が聞こえたが、もう外を見る勇気がある者はいなかった。

そして、憔悴しきった俺達は、そのまま知らないうちに意識を失い、

そのまま寝入ってしまう。

そして、突然、窓をノックする音で目が覚めた。

時刻は既に正午をまわっていた。

霧はすっかり晴れ、秋晴れの空の下、2人の警官が外に立っていた。

何してるんですか?

そういう職務質問をうけたが、まともに受け答えする元気もなく、適当に

返答していると、

早く帰ったほうが良いですよ!

と言われ、俺達は、その場を離れた。

その後、霊障により、全員が数日間、高熱に苦しんだのは言うまでもない。

この首吊りの木は、今も白山市の某所に実在している。




  


Posted by 細田塗料株式会社 at 12:32Comments(3)

2016年12月07日

白山市にある首吊りの木/前編

サインディスプレイ部 営業のKです。

中西様、いつもコメントありがとうございます。

ちんぱん様、盛塩をされたとの事ですが、無事に金縛りが収まると

良いですね。

霊的な金縛りの場合は、間違いなく、耳鳴りも伴うらしいので、

もしも耳鳴りがしていないのなら、問題無いのかもしれません。

でも、耳鳴りもしているようでしたら、盛塩の量は、多めに山盛り!

そして、部屋の外で盛塩をする場合は、家の中の北東(鬼門の方角)と南西(裏鬼門の方角)

そして、そのラインと対角線上に位置する場所に置いて下さいね。

それでは、今夜も怖い話スタートです。

書こうか、どうしようか、迷ったんですが、まあ大丈夫でしょう。

あっ、勿論、読まれた皆様には害は有りませんので(笑)

それでは、長いので、とりあえず、前編です。

どうぞ!



あまり知られていないのかもしれないが、白山市には、自殺が日常的に

行われている場所が存在する。

スキー場の近く・・・とだけ言っておくが。

ただ、ニュースには何故かならない。

遺族の希望なのか、もしくは富士の樹海のように、自殺の名所になるのを

避けたいという警察の思いもあるのかもしれないが・・。

そして、そこは夏になるとカブトムシやクワガタ探しの親子でも

賑わう。

両者の共通点は、ひとつ。

どちらも、車で、その場所まで来て、道路脇に車を停めて、そこから

森の中へと入っていく。

だから、警察は早朝のパトロールで道路枠に停められている車を

チェックするらしい。

そして、昼頃になっても、まだ停車している車が有ると、そこから

周囲を探索するのだそうだ。

だから、ついつい昆虫採集に夢中になってしまうと、警察が捜しに来て

厳重に注意されてしまう。

だが、夢中になって長い時間、虫を探していると、更に嫌な思いをする。

そう、自殺した遺体を見つけてしまうのだという。

そうなると、たぶん一生消えないトラウマになってしまう確率が高いし、

更に、怖い思いをしてしまう場合もあるらしい。

今夜は、そういうお話である。

白山市のその場所では、ひと夏で、かなりの自殺者の遺体が発見される。

しかも、その殆どが、ある一本の木に集中している。

誰が言い始めたのかはわからないが、通称”首吊りの木”

勿論、自殺者の殆どが、服毒自殺ではなく、首吊りを選ぶから、そう

名づけられた。

その木は、特に大きいわけでもなく、綺麗なわけでもない。

ただ、周りの木とは、明らかに違っていた。

その木の表面は、全て皮が剥けていて、地上から2メートルくらい高さまで、

うす汚れた木の肌が露出している。

しかも、何故か、その木の周りには、他の木が立っておらず、木の周囲5メートル

くらいは何故か開けた空間になっている。

そんな風に目立つ木だから、自殺者の目に止まりやすいという意見もあるが、

あの体験以来、

間違いなく、自殺者の霊が自殺者を呼んでいるのだ、

と確信している。

その日、俺はいつもの友人達とその森へと入った。

仮にAとBとしておく。

ちなみに、AもBも霊感は無いのだと思う。

だからこそ、それまでも心霊スポットなる場所へと出向き、無事に生還してきた。

だが、今回の場所は、いつもの場所とは明らかに違う。

勿論、俺にとっては絶対に行きたくない場所のひとつだった。

だから、なかば強引に連れて行かれるのが決まった時、俺は彼らに言った。

霊感が無くても、見えてしまう場所が存在する。

だから、もしも何かが見え、そして襲われたとしても俺は、お前達を

置いて、ひとりで逃げるからな、と。

そして、当日、朝というにはまだ早すぎる午前4時に集合。

カブトムシ探しの親子連れを避ける為、季節は秋を選んだ。

そこから、Aの車1台に乗り込み、出発した。

そして、白山市のその場所に近い道路には、5時くらいに到着した。

途中、道路脇に2台の車が停車しているのを発見し、一応、確認する。

1台は、明らかにカップルの車であり、完全なラブラブモード。

それは、少し離れた場所でも確認できたのだが、一応確認しなければ、

と言って、AとBは暗闇に紛れて確認作業をしていた。

その後、確認作業から帰ってきたAとBの顔はとても満足気だったのは

言うまでもないし、いっそのこと、このまま満足気分のまま帰ろうか?と

提案するも、却下されてしまった。

それにしても、こんな場所でラブラブ出来るカップルというのも凄い

度胸というか・・・。

まあ、たぶん、そこが、どういう場所なのかは知らないのだろうが・・・。

そして、もう1台の車。

これは、明らかに異常だった。

まず、車がレンタカーだったこと。

そして、車内も、何の形跡も残らないように、何一つ、残されていなかった。

もしかしたら・・・と思うと、余計に引き返したくなる。

気持ち悪いというのもひとつだが、以前自殺者の遺体の第一発見者になった

事があるのだが、その時は警察が来てから開放されるまで、約半日ほど

拘束された記憶があったから。

だから、他の2人にも、そういう面倒な話もしたのだが、彼らの怖いモノ見たさ、

という昂ぶりを抑えるのは無理だった。

そして、いよいよ車を停め、懐中電灯片手に、森の中へと入っていく。

そんな時でも妙なハイテンションで盛り上がっている彼らはある意味、

最強かもしれない(笑)

その首吊りの木までは、道路から直線距離にして100メートルくらいだろうか。

実は以前、何も知らずに、この森に入り、偶然、その木まで辿りついた事が

あった。

その時は、何も起こらなかった。

いや、実際には、その木が確認できる距離まで近づいた時、妙な胸騒ぎを

感じて、そそくさと逃げてきたというだけ。

しかも、完全な真昼間。

だが、その時も、首吊りの木というものの存在自体を知らず、そして、それを知った

時も広い森の中でどうして、その木にたどり着いたのか、は不思議だった。

それにしても、富士の樹海といい、この森といい、案外、見つかりやすい

場所を、あえて自殺を遂げる場所に選ぶ気持ちが俺には理解出来なかった。

実際には、誰も来ないような奥深くを選ぶ者もいるのだろうが、なかには、

死んでから、早く誰かに見つけて欲しいと思いながら死んでいく者も

少なからず居るのだろう。

俺達は、各自が大きな懐中電灯を持ち、もう一方の手には、何か有れば

闘うつもりだったのか、途中で拾った棒をしっかりと握り締めていた。

夏とは違い、秋の朝5時はまだ夜と同じ暗さ。

俺達は、足元を懐中電灯で照らしながら、一歩一歩、歩を進める。

聞こえるのは虫の声だけ。

そして、時折、木がパキッ鳴ったりする音にビックリして立ち止まる。

そして、懐中電灯で辺りを照らし、安堵する。

だが、この時点で、俺と他の2人では完全に目的が違っていた。

何も見ないで何事も無く帰れますように、と願う俺と、何かが現れる、

もしくは、自殺者の遺体を発見する事に情熱を燃やす彼らとでは、

テンションもモチベーションも雲泥の差があった。

だが、その首吊りの木には、特に問題もなく、あっさりと辿り付けた。

誰かが、黄色のビニールテープを木に巻きつけてあり、それを辿っていくと、

苦労せず、その木が見える場所までやってくる事が出来た。

しかし、さすがの彼らも、実際にその木を目の当たりにすると、なかなか

近づこうとはしなかった。

真っ暗闇の中、ボーっと白い木の肌が浮かび上がり、まるで人間の形のように

見えていたから。

そこで、俺達は、事前に買ってきた缶コーヒーを飲みながら、明るくなる

のを待つ事にした。

そうして時間をつぶし、午前6時を廻った頃になると、少しずつではあるが、

夜が白み始めた。

そして懐中電灯無しでも、なんとか視界が確保できるくらいの明るさに

なった。

俺達は重い腰を上げ、その木へとゆっくりと近づいた。

木の周りまでくると、視界は一気に開けた。

確かに、その木の周りには、他の木は存在せず、木を中心にして丸い

半径5メートルほどの空間を形作っていた。

異様な空間だった。

まるで、時が止まったかのように、一切の音が聞こえない。

そして、ひどい睡魔に襲われた。

確かに、自殺志願者がこんな所に来たら、この場所を最後の場所として

選ぶのも、なんとなく分るような気がした。

俺達は、一応、木の周りをぐるりと見て廻り、そして元の場所に戻ると

Aが、木の根元に腰掛けた。

なんか眠くなってきた・・・。

そういうAに

俺達は

おいおい!そこの木で沢山の人が首を吊って死んでるんだぞ!

そういうと、

そんな事どうでもいいよ。あ~、なんか俺も死にたくなってきた!

と返してきたので、

おいおい、それは、こういう場所で絶対に言っちゃダメだって!

と俺達は語気を強めた。

だが、不思議な事に、そう言ってAを叱責している俺達自身も、何か

得体の知れない睡魔に襲われていた。

だから、ほんの少しだけ・・・。

そんな気持ちで俺達も目を閉じた。

そして、ボーっとした頭で、

そうかもな。このまま死ぬっていうのも良いのかもしれない・・・。

そんな事を思ってしまった。

自殺したいと考えた事も無ければ、自殺する勇気など、自分に在るとは

全く考えた事も無かった筈なのに・・・。

その時、前方で木の根元に腰を下ろしている筈のAの声でハッと我に帰る。

後ろ!後ろ!

そう言われ、ハッとして、その場から離れようとした俺達の身体はAの方を

見て固まってしまう。

~後編に続く~

  


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:13Comments(1)

2016年12月05日

高速バスに現れる女!

サインディスプレイ部 営業のKです。

先日、ブログにてご紹介させて頂いた、

ミマキの中古プリンタが、今日、甲府市の方へ

嫁入りしました。

無事に活躍してくれると嬉しいです。

それでは、今夜も怖くない話、いきましょう!


これはコスプレが趣味という知り合いの女性が体験した話である。

彼女は、とにかくコスプレが好きで、月に1~2回は必ず東京へ

出掛けている。

なんでも、コミケとかオフ会とか撮影会があると、どうしても

我慢できずに、週末を利用して東京へと出掛けるのだそうだ。

ただ、やはり交通費なり、宿泊代なりと、それなりに高額になって

しまう為に、もっぱら高速バスを利用している。

料金も安い上に、寝ていけるし、それなりに設備も整っていて快適

なのだそうだ。

そんな彼女だが、ある日、いつも利用しているよりもかなり格安な

高速バスを見つけた。

当然、喜び勇んで、週末の予約を入れたという。

それほど格安なのに、あまり広告も出していないのか、簡単に予約

する事が出来たのだという。

そして、ワクワクしながら週末までの仕事をこなし、いよいよ

当日となった。

バスは金沢駅から出発して、東京の某所が終点になっていた。

お金に困っていた彼女は、当然帰りのバスも、予約したのは

言うまでもない。

当日、金沢駅に行くと、予約したバスがなかなか見つからなかった。

乗り遅れる訳にはいかないので、彼女は必死になってバスを探した。

すると、他のバス会社のバスとは、かなり離れた場所に停まっている

お目当てのバスを見つけた。

外観は、かなり古そうなバスであり、正直、大丈夫かな?と思った。

だが、安さには代えられるわけも無く、彼女は、そのバスに乗り込んだ。

乗り込んでみると、確かに最近の凝った造りの最新バスという訳には

いかないが、それなりに綺麗であり、真ん中の通路の左右に2席づつ

備えられているという昔ながらのバスだった。

ただ、やはり格安のせいか、音楽を聴いたり映画を見たりする設備などは

有る筈もなく、東京までの長い道のりを、持参した文庫本とスマホで

乗り切るしかない、と覚悟した。

彼女が乗り込んでから、10分程で、バスは出発した。

やはり彼女と同じように週末を東京で過ごそうと車内は若い男女で

それなりに混雑していた。

だが、不思議と彼女の横の席は、空いたままだった。

確かに1人でバスを予約した人は、それほど多くはないのだろうが、横に

見知らぬ人が居ないという開放感を彼女は素直に喜んだ。

彼女は、窓にベッタリと顔を付けるようにして外の景色を楽しんだ。

そうしていると、仕事の疲れもあったのか、彼女は知らないうちに

寝てしまう。

そして、どれくらいの時間が経過しただろうか。

彼女が目を覚ますと、窓の外は完全な闇であり、車内も薄暗い明かりが

点いているだけだった。

そして、何よりも彼女を驚かせたのが、先程まで空席になっていた横に

ひとりの女性が座っていた事。

彼女は、思わず、あっ、すみません、と言ったらしい。

だが、横に座る女性は、全く反応せず、ただ小声でなにか独り言のような

言葉をブツブツと呟いている。

とても低い声だったので、彼女は何か不気味さを感じた。

だが、明日のコスプレイベントの為にも、もう少し寝ておかないと!

彼女は、そう思うと、静かに目を閉じた。

だが、全く眠気が襲ってこない。

というよりも、明らかに体が寝るのを拒んでいた。

そして、彼女は、その原因が隣に座る女に依るものだと確信する。

何故なら、彼女の身体は小さく震えていたから。

何故かは分らなかった。

ただ、眠ってはいけない、と第六感のようなものが彼女に知らせていた。

それからは、寝たふりをしながら、常に横に座る女に注意を払った。

だが、横に座る女は、相変わらず、前席のシートを見つめるようにしながら

ブツブツと呟いているだけだった。

今、このバスの車内で起きている人は何人いるのだろうか?

運転者さんは、ともかくとして、今の車内の静けさからすると、もしかしたら

自分以外に、乗客で寝ていないのは隣に座る女だけなのではないか?

そんな事を考えると、更に恐怖が増したという。

そして、寝たふりを続ける時間は、とても長く感じられた。

すると、ある事に気が付いた。

先程まで聞こえていた、隣の女が呟く、ブツブツという声が聞こえなく

なっていた。

彼女は恐る恐る薄目を開けながら、少しだけ顔を横に向け、隣の女の方を

見た。

すると、目の前には、彼女の顔を覗きこむ様にしながらねニタニタと

笑っている女の顔があった。

彼女は、悲鳴をあげそうになった。

だが、声が全く出なかった。

恐怖のせいなのかは、分らないが、とにかく声をだそうとしても、全く

声にはならない。

初めての体験だった。

すると、次の瞬間、横に座っていた女が立ち上がった。

それは、まるで、バスの天井に頭が当たるくらいの大きな女だった。

そして、その女が、中央にある通路を前へと歩いていく。

ゆらゆらと揺れながら歩く姿は異様であり、とても人間には見えなかった。

それに、その女が着ている服も、もう寒い時期だというのに、薄手の白い

ワンピースであり、それも異様さに拍車をかけた。

そして、最前部までゆらゆらと歩いていくと、体を回転し、今度は

後ろに向かって、ゆらゆらと歩き出した。

そして、一人ひとりの顔を確かめるようにしながら、

違う~違う~とうめいているのが聞こえた。

こんな大きな女が通路を歩き回っているのに誰も気付いた様子はなく、

それどころか、バスの運転手さえも、まるで気付いていない様子なのが

より一層彼女の恐怖と孤独感を助長した。

だが、そんなに怖い筈なのに、何故か、彼女は目が閉じられなかった。

それどころか、その女の姿を追うように目は釘付けになっていた。

そして、いよいよ、その女が彼女の席まで来ると、ニュ~っと長い首を

垂れ下がるようにしながら、彼女の顔をアップで覗きこんだ。

それでも、彼女は目も閉じれず、声も出せず、ただ大筋の涙がとめどなく

溢れてきた。

そして、しばらく彼女の顔を覗きこむと、女は違う~と言いながら更に

後ろの席の方へと歩いていった。

それから、どれくらいの時間が流れたのか・・・。

どうやら、その女は、またしても体の向きを変え、今度はまた前の方へと

ゆらゆらと歩いてくる。

一体、いつまで続くのか?と彼女の精神の糸が切れかかった時、突然、彼女の

横から、長い手が伸びてきた。

女の手だった。

そして、女は、

お前でいい。お前に決めた~と言いながら、彼女の手を強く引っ張った。

だが、彼女にはもう抵抗する気力は残されておらず、体が強引に持っていかれる。

もう駄目なんだろうな・・・・。

彼女は、たぶん死というものを覚悟したのだろう。

心の中で、家族や友達に対する感謝の言葉を呟いた。

その時、突然、バスの後部座席から

キャーという大きな悲鳴が上がった。

そして、その悲鳴をきっかけにして、車内は悲鳴やら怒声でパニックのなる。

そして、その声に運転手も慌ててバスを路肩に停車した。

すると、彼女の手を掴んでいた女の手が緩み、彼女は解放された。

そして、その女はそのまま、ゆらゆらと揺れながら、バスの最後部までいくと、

そのまま、ゆっくりと消えていった。

彼女は解放された安堵感から、自分に対して、今見た事は夢に違いないと

言い聞かせたかった。

だが、バスの車内で今も続いている泣き声や叫び声が、それは車内にいる

全員が体験した心霊現象だと明確に物語っていた。

それから、しばらくの休憩を挟み、再びバスは走り出した。

そして何事も無かったかのように、東京の某所に無事到着した。

しかし、彼女が、帰りの予約をキャンセルし、新幹線で金沢へ

帰ったのは、いうまでもない。

この格安高速バスは実在する。



  


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:04Comments(3)

2016年12月04日

逢魔時というものを知っていますか?

サインディスプレイ部 営業のKです。

今日もクリスマスライブの練習、頑張りました!

もうクタクタですね。

ちなみに、本番で使うギターは、こちらになります。







ということで、今夜も怖くない話、いってみます。


逢魔時というのを知っていますか?

読み方は、おうまがとき。

一日が終わり、夕暮れから闇夜に移る時間帯をそう呼ぶそうです。

そして、その時間帯は、何か心細くなるのと同時に、一日の中で

最も妖怪変化の類に出会う危険があるという事です。

そういえば、確かに霊感の強い友人が言っていました。

幽霊とかそういう類のものを一番見易いのは、夜明け前だけど、

やはり一番怖いのは、夕暮れ時だと。

霊とかなら、大体対応出来るらしいが、妖怪変化の類は、それこそ

密法の九字でも習得していないと、対応は無理だから、という理由

だそうです。

でも、ゲゲゲの鬼太郎で馴染みのある妖怪などというものが、今でも

この日本に存在しているのだろうか?と疑心暗鬼になってしまう。

が、そういう見える方に言わせると、間違いなく居るのだそうである。

それも、アニメや映画に出てくる様な擬人化したものではなく、

それこそ、野生のままの、人の感性や常識が全く通用しない様な

危険な魑魅魍魎が今でも存在しているのだそうである。

今回の話はそういうはなしである。

知り合いにAさんという非常に霊感が強い女性がいる。

以前書かせて頂いた話にも登場している女性なのですが、とにかく霊感が

強くて、これまでも幾度と無く助けられたのは紛れもない事実だった。

そんなAさんが、為すがまま翻弄され、命の危険にさらされたという。

その日、Aさんは仕事を定時で切り上げ、ある場所に向かっていた。

友人のBさんという女性と映画を見に行く約束があったから。

ちょうど夕闇が迫る頃の時間帯だったという。

Aさんは、約束の時間に遅れそうだったので、かなり慌てていた。

香林坊の辺りで働いているAさんは、車ではなくバス通勤。

だから、あらかじめ下調べしておいたバスの時間に間に合うように

バス停へと早足で歩いていた。

その時、そこからバスで30分くらい掛かる映画館の前で待ち合わせ

していた筈のBさんが前方から手を振って走ってきた。

なんで?

とは思ったが、それでも思いがけない友人の出現にAさんは喜んだ。

そして、息を切らせて駆け寄ってきたBさんに

どうしたの?待ち合わせは映画館の前だったよね?

と聞いた。

するとBさんは、予定の仕事が思っていたよりも速く片付いたから、

Aを迎えに行こうと思ってさ。

と返した。

そして更にせっかくだからお茶か夕食でも2人で楽しんでから、映画館

に向かえば良いんじゃない?

と言われ、Aさんは頷いた。

そして、それからAさんはBさんに手を引かれるようにして見知らぬ路地に

連れて行かれ、そして、見たことも無い様な古い喫茶店へと連れて行かれた。

こんな所にこんな路地なんてあったかな?

そして今時、こんなレトロな喫茶店がいまだに残ってるなんて・・・。

そう思いながら、喫茶店の席へ座ると、Bさんに言った。

こんな路地とか、こんな喫茶店を知っているなんて凄いね!

この辺に詳しいんだ?

そう言うと、Bさんは、ニコっと笑って無言でメニューを差し出す。

メニューには、古き良き時代の喫茶店を思い出させるような

レトロな物ばかりが並んでいた。

それに、店内には無口そうな白髪のおじいさんがひとりでのんびりと

座っているという、まさに時が止まったかのような雰囲気を醸し出している。

そして、そこで、ふたりは食事とお茶を済ませた。

ただ、そこでBさんは意外なほど無口だったのだという。

それでも、時計を見ると、もう2人が出会ってから2時間以上経過していた。

慌ててお勘定を済ませ、店を出る二人。

すると、BさんがAさんの手を掴んでぐんぐんと早足で進む。

こっちに秘密の近道があるから・・・。

そして、言われるがまま、Bさんに手を引かれ、Aさんもかなりの早足で

歩き出した。

どこをどう通ったのか、分らなくなるくらい右へ左へとぐんぐんと進む。

すると、かなり前方にバスが停車し、乗降口が開いているのが見えた。

すると、Bさんは

走るよ。乗り遅れたら大変だから。

その言葉にAさんも一緒に走り出した。

そして・・・・。

Aさんは、突然大きな音でハッと我に帰る。

車のクラクションと急ブレーキの音。

気がつくと、Aさんは、交差点のど真ん中に1人で立っていた。

勿論、Bさんの姿はどこにも無かった。

脱力感から、その場にへたり込んだAさんを何人かの男性が歩道まで

運んでくれたという。

その時、Aさんは、

低い腹に響くほどの笑い声を聞いたのだという。

そして、時計を見ると、Aさんが会社を出てから、まだ10分くらいしか

経過していなかった。

慌てて、本当のBさんに電話をすると、

いつも通り、元気過ぎるくらいの明るい声のBさんが出た。

ただ、もうAさんには、その後、映画館へ向かう気力は失せてしまい、

Bさんに丁重に謝り、映画をキャンセルした。

逢魔時というのは、本当に危険なんです。

Aさんが言っていた言葉がずっと頭に残っている。




  


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:12Comments(2)

2016年12月02日

玄関のモニターに映った親子の怪

サインディスプレイ部 営業のKです。

明日は、会社で朝一でタイヤ交換です。

そして、日曜日は、我が家の奥様の愛車のタイヤ交換(涙)

まあ、頑張るしかないでしょう!(笑)

それでは、怖くない話、行ってみましょうかね!


これは、俺が体験した話である。

原因不明な怪奇現象が続いた為、しばらく怖い話を書くのを

止めていた頃の話である。

その日は、暑い夏の日の昼間だったと記憶している。

その当時、我が家には、お札や盛塩が至る所に置いてあり、

まるで、何処かの心霊スポットのようであった。

細かくは書けないが、実際、色んな怪奇現象が頻発していた。

だから、そんな俺を看かねて、知り合いの住職が気合を入れて

護符のお札を作ってくれたのだ。

そして、それを家中、所狭しと貼ったり、配置したり・・。

そんな頃の話である。

その日、俺は自宅に居た。

たぶん、気を紛らす為に、趣味のギターを弾いていたんだと思う。

そして、突然インターホンが鳴った。

最初は無視していたのだが、あまりにしつこくインターホンを

鳴らされるので、さすがに段々と頭にきた。

なので廊下に出て、インターホンの親機で子機のカメラ映像を見た。

すると、そこには40歳位の女性と、その娘さんと思われる女性が

立っているのが映っていた。

正直、最近よく見かける親子連れの宗教の勧誘かと思った。

なので、居留守を使う事にした。

だが、その後もインターホンを押す音は消えるどころか、段々と

その間隔が短くなっていき、ついには5秒くらいの間隔を開けて、ずっと

インターホンを鳴らし続けているという状態になる。

俺はさすがに、かなり怒りが込み上げてきて、インターホンの親機から

どちら様ですか?宗教なら必要ないので!

と語気を荒げて言った。

すると、何の返答も無く、インターホンは沈黙した。

が、それもつかの間、またしてもインターホンが鳴らされた。

今度は、ずっと押しっぱなしにしているかのように、途切れなく連続して

インターホンの呼び出し音が家中に鳴り響いた。

もう頭がおかしくなりそうだった。

俺は玄関が見渡せる娘の部屋に移動し、玄関の方を見下ろした。

だが、そこには誰もいなかった。

ただ、呼び出し音は、相変わらず鳴り響いている。

一体、どうなっているんだ?

もう頭の中はパニックになっている。

俺は再びインターホンの親機から、その親子の姿を確認した。

すると、そこには先程映し出された親子が、まだそこにじっとしていた。

ただ、その時、不可解な事に気付く。

勿論、インターホンの画面には映るのに、目視では確認できないという時点で

不可解なのだが、それ以上に不可解だったのは、その親子には顔が無かった事。

モニター越しの映像なので、不明瞭な部分は有るとは思うが、間違いなく

その親子は、直立してインターホンに向かって立ち、その顔には目や鼻や口

というものが欠落していた。

それどころか、国道沿いに立ち、昼間は車の往来が激しくうるさい筈の

我が家には、インターホンの音以外、何も聞こえてこなかった。

それまでも、色々と怪奇現象に悩まされていた事もあり、その時は

自分でも何故かは分からないが、俺は階段を降り玄関へと向かっていた。

玄関のドアを開けて、その正体を確かめないと気が変になりそうだった。

で、階段を降り、玄関に急いで向かっている時、突然、電話がなった。

いつもなら、電話には出ないのだか、その時は何故か、電話に出なくては

いけない、と感じた。

それで、電話を取り、もしもし、というと

あっ、間に合った。良かった。良かった。

あのね。今、玄関を開けちゃ駄目だからね。

とてつもない悪霊が家の中に入ろうとしてる!

それを感じたから、電話したんだけど、間に合って本当に良かった!

とお札をくれた住職の声だった。

でも、どうすれば良いですか?ずっとインターホンを鳴らされてて・・・。

そういう俺に、住職は、

玄関に貼ってあるお札に、君の念を集中させれば大丈夫!

それでも、駄目なら、教えてあげた、九字を唱えると良いよ!

そう言った。

俺は、静かに目歩閉じて、玄関に貼ったお札を思いながら、

早く立ち去ってくれ!と思いを込めた。

すると、しばらくすると、インターホンの呼び出し音は消えた。

それから、その日は、怖くて外には出られなかったのは言うまでもない。

ちなみに、後日、その住職に会った時、何気に聞いてみた。

もしも、あの時、俺が玄関を開けていたら、どうなってたのかな?と。

すると、住職は、さらっと言った。

うーん。たぶん、死んでるか、気が狂ってるか、のどちらかだと思うよ。

それに、ご家族もね。

それだけ強い悪霊だったって事。

良かったね。開けなくて!

それを聞いて、更に血の気が引いたのは、言うまでもない。




  


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:45Comments(3)