2017年08月17日

24時間スーパーに現れる怨霊(後編)

サインディスプレイ部  営業のKです。

前編をアップしてから、のんびりとリビングで寛いでいると、

うちの娘が、

お父さん、どうしたの?珍しいね。怖い話は?

と聞いてくるので、

ああ、今日の話は2部構成にして、後編は明日だから、

今日は余裕なんだよ~

と言うと、

あのね。お父さん。

もしかしたら、今夜寝て明日の朝には死んでるかもしれないんだよ?

だから、もう書いてあるんなら、ちゃんと、すぐにアップしないと!

今日出来る事は今日のうちに済ませないとね!

それに、後編を待っている人がいるかもしれないでしょ?

まあ、私は絶対に読まないけど・・・・。

と言われてしまいました。

リゾートホテルに行ってもお土産の1つも買って来ないし、

私のアイスやカフェラテも勝手に飲んでは、ぬいぐるみの

せいにするし・・・。

相変わらず、芋虫のように、家の中で冷たい場所を移動

している娘ですが、知らない間に成長したな~、と感心しました。

その後、私に夏休みの読書感想文の宿題をやってくれ!と

頼みに来た時、それは妄想だったと気付きましたが(笑)

ということで、娘の指示ですので、後編もアップさせて

頂きます。

宜しければ、どうぞ!

滅茶苦茶、長いですが(笑)



(前編の続き)

そして、俺に電話をかけてきた。

俺が電話に出るなり、何か怒鳴るように喋っている彼に最初は、頭に来て

電話を切ろうかと思った。

しかし、よくよく話を聞くと、それが、とても切羽詰った状況である事が分かった。

だから、俺はすぐにいつものAさんに電話をかけた。

俺の友人が危険な目に遭ってるから助けてくれ、と。

電話に出たAさんは、相変わらず緊迫感の無い声で、

今、超絶的に忙しいんですけど・・・・。

と言ってくる。

それでも、俺は病院の名前を告げて、待ってるから!とだけ言って電話を切った。

そして、俺が病院に到着すると、もう既にAさんが病院に来ており、待合室で

ポッキーを食べ、看護師さんに注意されているところだった。

ふてくされるようにポッキーをカバンにしまうAさんを見ていると、非常事態だという

事を忘れてしまう。

俺は、

ほら、Kさんのせいで怒られちゃったじゃないですか~

とブツブツ言っているAさんをなだめるようにしながら、指定された

病室を目指す。

その間も、Aさんは、

本当に忙しいんですからね~

と文句を言っていたが、それでも病室の前まで来ると、Aさんの顔つきが変わった。

あっ、そういうことですか。

そう言いながら、俺より先に病室へ無断で入る。

そして、俺が遅れて病室へ入ると、彼女さんはかなり悲惨な状態だった。

そして、彼やAさんを自己紹介させようとした時、Aさんが突然、

黙って!

静かに!

と言ってきた。

そして、そのまま、窓の方まで近づくと、何やら、窓の外をジッと見ている。

それを見て、俺も窓に近づくと、とんでもないものが見えた。

いつも、不思議なのだが、やはりAさんと一緒に居ると、日頃は見えないものまで

はっきりと見えてしまう。

そして、その時、俺の目に映ったのは、窓のから3メートルくらい離れた場所で

宙に浮かび、こちらを睨みつけている女の姿だった。

いや、それは女というよりも、既に怨霊と化しているのか、一見しただけでも

背丈は2~3メートルくらいあり、着ている着物からは、緑色の肌が露出し、

長い手足と、長く鋭い爪、そして、何よりもその顔は、邪悪そのものであり、

俺にでも、それがとても厄介なモノだと容易に想像出来た。

Kさんにも、見えてますよね。(見る事しか出来ないですからね)

とにかくヤバイ奴です。(分からないとは思いますが・・・・)

ここは、私の護符だけでは護りきれません。

私が、アレを押さえ込んでいる間に、姫に電話してください。

そして、病院の名前と、住所を伝えてください!

それだけ伝えれば、あの娘なら、遠隔で強力な結界が張れますから・・・。

いいですか。この病院に結界を張ってくれ、とだけ頼んでくださいよ!

あの娘はまだ高校生なんだから・・・。

あとは、きっちり私がやりますから!

そう言われ、俺は慌てて病院の住所を調べて、姫に電話して、病院名と併せて

伝えた。

すると、姫は電話の向こうから

わかりました。すぐに結界を張ってみます。

お役に立てれば良いのですけど、とにかく、頑張ります!

Aさんには、くれぐれも注意してください、とお伝えください。

きっと分かっているとは思いますが、とても強く狡猾な相手ですので・・・。

もしも、手伝いが必要でしたら、いつでも飛んでいきますので・・・。

そう言って、丁寧に電話を切った。

そして、すぐに暖かい気が病院内に満ちてくるのが分かった。

それと同時に、その女も、抗う術も無く、どんどん病院から引き離されていく。

へぇー、相変わらず凄いもんだな~

と俺が感心していると、Aさんがホッと体から力を抜いた。

そして、彼の方へ向き直ると、

これで、もうアレはこの病院には近づけません。

だから、安心してくださいね。

それと、詳しい話を聞かせて頂けますか?

あっ、私はKさんの師匠をしているAという者です。

だから、Kさんは、私の弟子なんですけど、なんかいつも反抗的で・・・・。

それを聞いて、

おい。いつから俺は君の弟子になったんだ?

と言いたかったが、当然言える訳もなく、そのままスルーした。

そして、一通り話を聞き終わったAさんは、

わかりました。

完全な悪霊ですね。

しかも、かなり古くからこの世に彷徨っている厄介な怨霊になってますね。

貴方や彼女さんが命を取られなかったのは、奇跡かもしれません。

いいですか。

相手はとてもずる賢く強力で、厄介な悪霊です。

色々と事情はあるとは思いますけど、貴方もKさんから連絡があるまでは、決して

この病院から出てはいけません。

今、この病院はとても強い結界で護られてますが、そこから出てしまったら

元も子もありませんので・・・。

彼女を護るのが貴女の役目ですからね。

忘れないでくださいね。

そう言うと、Aさんは椅子から立ち上がり、

それじゃ、さっさと行きますよ!

と言ってくるので、俺が

行くって、何処へ行くの?

この病院から出たら危ないんじゃないの?

と聞くと、

病院から出なきゃ何も出来ないじゃないですか?

全ては、その24時間営業のスーパーから始まっているんですよね?

だったら、そこに行かないと何も解決しないじゃないですか?

相変わらずの大馬鹿っぷりですね。

それに、私に今回の件を頼んでおいて、自分だけ安全な場所にいるなんて、

他の誰が許しても私が許しませんから・・・。

そう言うと、俺に目で合図を送り、そのまま病室から出て行った。

不安そうにAさんの後ろを追いていく俺に、Aさんは、

心配いりませんって。

人一倍強力な守護霊持ってる癖に、何をびびってるんですか?(笑)

と笑ってくる。

Aさんに、そう言われると何故かそう思えるのが不思議だった。

病院を出て、駐車場に行くと、誰かが駐車場に立っている。

雨がポツポツと降り出す。

俺達は、とりあえず、俺の車で例のスーパーまで行く事になり、走って俺の車へと

向かう。

すると、前方に綺麗な女性が立っている。

あっ、凄く綺麗な女の人!

それを聞いて、Aさんは

本当に馬鹿丸出しっていうか、それじゃ、あの彼氏と同じですよ。

あれが、さっき見た悪霊の仮の姿ですよ。

人を騙す時のね・・・・。

そう言われ、俺はハッとしてその女を避けた。

その瞬間、とても嫌な笑い顔をしたのを見てしまった。

まるで、これからの闘いにも自信タップリというような・・・・。

俺達は車に乗り込んだ。

それにしても、あれだけ綺麗な女の姿をしていれば、騙されてもしょうがないかもね!

と俺が言うと、

また、そんな事言ってるんですか?

まあ、私よりは少し落ちますけど、綺麗かもしれませんけど・・・・。

というか、さっさと車発進してくれませんか?

そう呆れたように言われ、俺は車のキーを回す。

しかし、車のエンジンはかからない。

というか、セルモーターすら回る音がしなかった。

どうする?エンジンがかからないんだけど?

と俺が焦っていると、

どうするって、こうするんですよ!

と言い、Aさんは、車のダッシュボードを手で触りながら、何やら呟く。

すると、嘘のようにエンジンがかかった。

凄いね。というか、ビックリ人間コンテストでも出てみれば?(笑)

と言ったと同時に、Aさんのパンチが炸裂した。

サッさと、車出してくださいって言いませんでしたか?

俺は慌ててアクセルを踏み込む。

すると、Aさんがこう言ってきた。

どうやら、アレは私達に、スーパーに来られるのが嫌みたいですね。

ということは、色んな手を使って邪魔してくると思いますから、そのつもりで。

あっ、スピードは絶対に出さないでくださいね!

そして、駐車場から出ようとする俺達の車の前に、突然、その女が現れる。

とっさに急ブレーキを踏む俺に、Aさんは呆れたように言った。

あのね。ブレーキ踏んでどうするんですか?

気にしないで、そのまま轢いちゃいましょう!

と言われたが、俺がさすがに轢くのは抵抗があるんだけど?

と返すと、

そんな事していたら、一生、この駐車場からも出られませんよ!

と語気を強めるAさん。

そして、急停車した俺の車の前に立ち、笑っている恩の顔は、既に異形のものに

なっている。

すると、Aさんが、

はいはい。車をバックさせて・・・・。

はい。この辺でいいですよ。

それでは、ギアをDレンジに入れて、アクセルを床まで踏み込んでくださいね!

と明るい声で言ってくる。

正直、外に居る悪霊と、助手席に座っているAさんのどちらが怖いのかも判断が

つかなくなっていた俺は、言われるままに、車を猛ダッシュさせた。

そして、車がその女にぶつかる瞬間、その女の顔、再び綺麗な顔に戻っており、

チッと悔しそうな顔になったのをてしまった。

そして、車は何の衝撃も無く、そのまま、その女を通り抜けた。

すると、Aさんが

だから言ったでしょうが?

ずる賢い悪霊なんですよ。

とはき捨てる様に言った。

しかし、それからが大変だった。

車を運転していると、いたるところでハンドルが取られてしまう。

まるで、事故でも起こさせようとしているように・・・。

低速で走って居るから何とか回避出来るが、これでは例のスーパーに到着する

頃には一体何時になってしまうことやら・・・。

すると、Aさんが、こう言った。

しょうがないですね。

私は出来るだけ力を温存しておきたいので・・・・。

いいてすか。

今から、Kさんに持っている守護霊の力がどれだけ凄いのか、見せてあげますね。

ということで、深呼吸してください。

そして、車を停めてください。

それから、目を閉じて、心の底から、助けてくださいって祈ってみてください!

えーと。もう良いかな。

それじゃ、車出しても良いですよ。

そう言われ、車を発進させる。

すると、先程とは違い、全く普通に運転が出来る。

すると、Aさんが嬉しそうな顔で、こう言ってくる。

だから、いつも言ってるでしょ?

Kさんには凄い守護霊がついているんだって・・・・。

しかも、アレが全く手を出せないなんて、私が思っていたよりも遥かに強いみたいですね。

うん。笑っちゃうくらいに凄いかも・・・・。

お姉さんに感謝しないといけませんね(笑)

そう言われると、悪い気はしなかったが、何故か俺には守護霊の姿は一切見えないので、

それが少し悔しかった。

そして、車は順調に走り、例のスーパーに到着した。

空がどんどんと曇ってくる。

Aさんの顔も、どこかいつもより緊張しているように見えた。

そして、スーパーの外で待機する。

どうやら、先程から見た、あの女は実体ではなく、実体に会うならば、やはり彼が

言っていた午前0時過ぎが最も良いらしかった。

車の中で待っていると、Aさんは知らない間に寝てしまったのか、スースーと

寝息を立てている。

それにしても、寝ているときは、これほど印象が違うものか、と言いたくなる位に

素直で性格が良さそうに見えるから不思議だ。

それにしても、自分で言うように、とんでもなく綺麗なのだが、どうして

未だに彼氏がいないのかは、理解に苦しむ。

まあ、間違いなくあの性格が災いしているのは言うまでもないのだが・・・。

そうしていると、まるで目覚ましでもセットしておいたように、11時40分

にAさんは目を覚ます。

私が綺麗で可愛くてスタイル抜群゛たからって、寝ている間に何もしなかった

でしょうね?

先程の可愛い寝顔からは想像もつかないくらいの口の悪さだった。

そして、行きますよ!

というAさんの言葉に、俺は

え?俺も行くの?

と返す。

すると、

さっきの運転の時に、Kさんの守護霊がいる限り、Kさんには何も出来ないって

いう事は、はっきりしてるんですけどね?

本当は、Kさんひとりで行ってきて欲しいくらいなんですけど?

と言われてしまう。

俺は渋々、車を降りて、Aさんの後ろをついて行く。

スーパーに入ると、やはり客はもう少なく、一気に緊張感が増してくる。

そして、その緊張感を削ぐかのように、スイーツコーナーに引き寄せられるAさん。

このときばかりは、俺が

はい。しっかりして!ちゃんと、メリハリをつけないとね!

とAさんをスイーツコーナーから引き離す。

そして、彼が言っていたように、その女は、ヨーグルトなどか陳列されている

側に立っており、既に臨戦態勢で俺たちを睨んでいた。

そして、スイーツコーナーから引き離されたAさんも、どうやら、その怒りを、女に

ぶつけているようだった。

しばらく、お互いが止まったままになる。

そして、Aさんが口を開いた。

一応、あの女にも話を聞こうとしたんですけどね。

そして、このまま浄化されてくれないか、と。

でも、無駄でした。

自分の力に相当自信を持っているみたいですね。

まあ、確かに凄いかもしれませんけど・・・・。

そう言われて俺が

そんな凄い奴相手に勝てるの?

と聞くと、Aさんは、黙ってカバンから、得体の知れない箱を取り出す。

そして、その箱から水晶のような石を取り出した。

いつもはこれは使わないんですけどね。

でも、今回は使わないとヤバそうなので・・・。

そう言って、水晶を持って、その女に近づいていく。

一気に、その女の顔が何かを恐れているような顔に変わる。

それは先程までの勝ち誇ったような、自信満々の様子からは想像も出来ないほど

うろたえた姿だった。

しかも、逃げようとしているようだが、動けないようにも見えた。

Aさんは、その女のすぐ近くまで行くと、その水晶のようなものをその女の顔

に向けてかざした。

きっと、周りの誰一人、その女の姿は見えないのだろう。

全く何の騒ぎも起こっていない。

そして、Aさんが水晶を見つめながら、何かを呟くと、その女の姿が白い

光に包まれていく。

無理だよ。もう遅い!

というAさんの声が聞こえた。

そして、その光が次第に弱まっていき、完全に消えると、もう其処にはその女の姿は

完全に消えてなくなっていた。

Aさんが、こちらを振り向いて、

終わりましたよ・・・。

彼氏さんに連絡してあげてください・・・。

そう話すAさんは、いつもよりもかなり疲れている様に見えた。

どうやら、後で聞いた話によると、その水晶がAさんの最後の手段だという事だった。

昔は、強力な悪霊は全てその水晶を使って、消滅させていたらしいが、それはかなりの

疲れを伴うものらしく、出来ることなら使いたくないのだという。

ちなみに、水晶の中に取り込んだ悪霊は、7日経てば、完全に消滅してしまうので、

蘇る事は不可能だという。

そして、疲れきったAさんは、おもむろに買い物かごを手にすると、気に入ったスイーツ

を手当たり次第、入れていった。

さすがにたまったものではなかったので、その中のいくつかは、半額になっている

物と代えてもらった。

そして、Aさんは、こうも言っていた。

24時間営業っていうのも便利なんですけど、もともと、昔は深夜から朝が明ける

までの時間は、人間ではないモノ達が支配していた時間なのだという。

だから、そういう場所には、当然、その手のモノが集まりやすいんですよ、と

話してくれた。

ちなみに、その後、彼女は無事に回復し、彼にも怪異は一切発生していない。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 21:36Comments(33)

2017年08月17日

24時間スーパーに現れる怨霊(前編)

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆様、お疲れ様でございます。

今日から仕事だったんですが、やはり久しぶりの仕事は

かなlり辛かったですね。

コメント欄に、いくつかご質問を頂いておりました。

基本、より安全を期すために、コメントへの直接の

ご返事は控えさせて頂いております。

霊能力の修行についてですが、これは人それぞれだと

思われますので、どれが一番というのは無いのかもしれません。

要は、自分が心から信じられる霊能者やお寺、神社などで

修行されるのが良いのかもしれませんね。

ちなみに、Aさんは、東北の方で、かなりの期間、修行した

そうです。

それと、車に簡単に入ってこられる霊と入れない霊の違い

ですが、これは以前、私も疑問に思ってAさんに質問した事が

あるのですが、Aさんも、分からない、と言っておりました。

回答になっておりませんが・・・・・。

それでは、今回の話は、昨日から書き続けて、ついさっき

書きあがりました。

長いので、前編と後編の2部構成にしてあります。

(これで、明日の分は確保!)

楽しんで頂けると嬉しいのですが・・・。

それでは、怖くない話、いってみましょう!

どうぞ~!




これは俺の友人が体験した話である。

最近は24時間営業のスーパーが沢山あり、とても便利だ。

俺も、仕事で遅くなった時やライブの練習の帰りなどには、よく利用させて

貰っている。

24時間、何でも買えるというのは本当に便利であり、正直、24時間営業の

スーパーが無い生活など考えられない位だ。

そして、その友人も、こよなく24時間営業のスーパーを愛していた一人である。

とにかく、彼は独身で、且つ、仕事が終わるのがいつも遅く、帰りはいつも12時

近くになってしまう。

そんなだから、普通のスーパーで買い物など出来る筈も無く、昔はコンビニで

全て済ませていたそうだが、最近になって24時間営業のスーパーの存在を

知ってからは、そこへ行くのが仕事帰りの日課になってしまった。

とにかく、安価であり、並んでいる商品の種類も豊富。

それでいて、お弁当や食料品などは、もしも残っていれば、通常の半額以下で

買えるのだから、彼が日課にしてしまうのも無理はなかった。

そんな彼が、いつも、そのスーパーへ行くのは、午前0時を少し回った頃。

その頃にはさすがにお客さんだけでなく、従業員の数もやはり少ない。

それは、人ごみを嫌う彼にはうってつけの時間帯であり、誰にも邪魔されずに

ゆっくりとその日の夜の食事を選び、そして、列に並ぶことなくレジを済ませる。

まさに、それ以前の状況と比べると夢のようだった。

そして、ある日、彼はいつものように食品売り場を中心に、色々と商品を見て回って

いると、ある事に気付いた。

まるで、モデルのように、細く背の高い女性が、ちょうどヨーグルトなどが置かれている

スペースの前に立っているのだ。

しかし、その女性は、並べられている商品に背を向けるようにして立っていた。

彼は、

変な人だなぁ・・・・。

と思ったが、それよりも、その綺麗さやスタイルの良さについつい見とれてしまう。

そして、それから彼が午前0時過ぎに行くと、必ずその女性が立っていた。

商品に背を向けるようにして・・・・。

彼は何度か、その女性を目にするうちに、その女性にとても興味が沸いてしまった。

何故、商品に背を向けて立っているのか?

何故、いつも彼と同じような遅い時間に、その女性は其処にいるのだろうか?

もしかすると、誰かと待ち合わせでもしているのか?

だとしたら、それは彼氏なのか?

そんな感じで彼の頭の中で、どんどんと妄想にも似た思いが膨らんでいく。

もしかしたら、その時の彼は、自分でも気付かないうちに、その女性に

好意を抱いてしまったのかもしれない。

彼は何とかその女性と喋ってみたくて、いつも買った事も無いヨーグルトコーナー

へと近づいた。

そして、声をかけようとするのだが、いつも、他の客が来たりして、なかなか

しゃべりかける事が出来なかった。

それでも、諦めることなく、彼は毎回、ヨーグルトのコーナーへと近づいた。

そして、ある日、思い切って声をかける事が出来た。

あっ、すみません。そこのヨーグルトを取りたいので・・・・。

そんな言葉だった。

すると、その女性は、何故か一瞬ビックリした顔をしてから、優しく笑い、

彼がヨーグルトを取りやすい様に、少し左に移動してくれた。

彼は、そんな事がとても嬉しくて、その日はそそくさと家に帰り、お酒を

飲みながら、1人で舞い上がっていた。

綺麗な人だったよな~

それに、声も綺麗だったし・・・・。

もっと、仲良くなれると嬉しいんだけどな~

と、こんな感じに。

そして、彼は次の日も当然のように、そのスーパーへ行った。

すると、やはり、その女性もいつもの場所に立っている。

そして、毎度のごとくヨーグルトコーナーへ近づいていき、また、声をかけようと

すると、その日は、その女性から声をかけてきた。

いつも、いらっしゃってますね・・・・。

お仕事帰りですか?

それを聞いた彼は、完全に固まってしまい、

は、はい!

という変に元気な返事をしてしまう。

それを見て、その女性はまたクスッと笑ってくれた。

そんな感じで、彼はその女性と、そのスーパーだけでの会話を毎日のように交わす

ようになる。

その際、いつも、他の客が、まるで彼を、不思議そうな顔で見ていくのが気になった。

そんなある日、彼に一本の電話がかかってくる。

それは、以前から付き合っている彼女からの電話だった。

そう、彼にはれっきとした彼女がいたのだ。

電話の向こうの彼女の声は、とても弱弱しく感じ、相談がある、との事だった。

だから、彼は翌日、仕事を早めに上がり、彼女のアパートに向かった。

アパートに着くと、彼女はまるで何かに怯えているようだった。

そして、彼女が口を開く。

あの・・・最近、誰か他に好きな人が出来た?

彼は一瞬、ドキッとしたが、その質問に対して首を横に振ると、彼女はこう続けた。

あのね。ここ数日前から、変な夢を見るようになって・・・・。

夢の中に綺麗な女の人が出てきて、貴方から手を引けって・・・・。

貴方は私のものだから・・・・って。

そして、嫌だッて答えると、その女は、

それじゃ、死んでちょうだい!

と言って、私の首を絞めてくるの・・・。

でもね。それは夢だけど夢じゃないらしくて・・・・。

朝起きると、首にしっかりと絞められた痕が残ってるの・・・。

そう言うと、彼女は首を露出させて、その痕を見せてくれた。

首には両手で絞められたであろう指の痕が、はっきりと紫色になって残されていた。

それは、うっすらとした痕ではなく、本当に殺そうとして首を絞めたとしか

思えないような、酷い鬱血状態になっていた。

彼女は続ける。

そしてね。最近では昼間、働いている時でも、電車やバスに乗っている時でも、

ふと、気付くと、その女が視界の中に居て、私を睨んでいるの。

そして、それは何をしても駄目みたいで、どんなに走って逃げても、車を運転して

逃げても、必ず、その女の姿を見てしまうの。

ある時には、車で走っていると、突然、後部座席にその女が座っているのが

見えたりして・・・・。

そして、その女の姿は、最初は綺麗な女の人だったのだけど、見る度にその姿は

どんどん醜くなっていって・・・・。

ううん。醜くというよりも、段々、人では無くなってる気がする。

今じゃ、その姿を見ただけで、悲鳴をあげたくなるくらいに。

私の言ってる事を信じてくれなくても良いから、ただ聞いて欲しくて・・・。

それとも、私、頭がおかしくなっちゃったのかな?

そう言って、泣きながら嗚咽を漏らす。

彼には、彼女の事は一番よく分かっているつもりだった。

何より、絶対に嘘は言わないし、駆け引きもしない。

そして、何よりも、彼女の首につけられた、紫色の指の痕が彼女の話が嘘ではない

事を裏付けていた。

その時、彼は目が覚めた。

自分にとって誰が一番大切な女性なのかという事が、再確認出来た。

彼は彼女に、

もう大丈夫だから・・・。

俺がちゃんと護るから・・・。

そう言って彼女の小刻みに震える肩をしっかりと抱きしめた。

それから、彼は、その足で、いつものスーパーに向かった。

説明など出来る訳も無かったが、とにかく、そのスーパーで会う女しか、

彼には心当たりなど無かったから。

スーパーに着くと、いつもの場所にその女は立っていた。

そして、彼の姿を見ると、嬉しそうに笑った。

しかし、その時の彼には、その女に対する怒りしか存在していなかった。

足早に、その女に近づくと、矢継ぎ早にこう言った。

あんた、何がしたいんだ?

というか、どうして、俺の彼女の住所を知ってるんだ?

俺の一番大切な彼女に一体何をしてくれるんだよ!

頭がおかしいのか?

二度と彼女の前に姿を現したら、ただじゃ済まないからな!

そう怒鳴るように言ってから、彼は少し、後悔した。

何しろ、その女が、何かしたという証拠も無ければ、逆にそんな事を

出来るとしたら、それはもう人間では・・・・。

そう思い、ハッとしてその女の顔を見ると、

ニターッと笑って、こう言った。

だって、貴方には私が見えるんでしょ?

なら、もうパートナーでしょ?

一生離れないから・・・・。

それに、一番大切なものも、無くなれば、私が一番じゃない?

そう言って、気味の悪い笑顔を浮かべる。

その時、気付いた。

間近で、まじまじと見るその女の顔は、確かに綺麗だが、どこか作り物のように

無機質なものだった。

そう、まるで、マネキンのような・・・・。

彼は背筋が寒くなるのを感じ、

わかったな!二度と近づくなよ!

と、はき捨てる様に言うと、さっさとそのスーパーを後にした。

それから、彼は二度とそのスーパーには行かなくなった。

それからしばらくは、彼女がその女の姿を見る事は無くなった。

そして、それが彼には何より嬉しかった。

しかし、それ以後、彼が行く先々で、その女の姿を目撃するようになる。

それは、コンビニで買い物をしている時、他のスーパーで買い物をしている時、車を

運転している時、仕事でお客さんの会社に出向いた時。

そして、スーパーで弁当に手を伸ばそうとした時。

どんな場合でも、その女は彼の前に現れては、ニャッと笑い、すぐに消えた。

そして、彼女が言っていたように、その姿はどんどん醜いものに変わっていき、

既に人間とはまったく異なるものになっていた。

死霊とか怨霊という言葉がピッタリ当てはまるような、とても気味の悪い顔と

ギラギラした目。

それともう直視出来るものではなくなっていた。

彼女が言っていた通りなら、俺もいずれ、夢で首を絞められるのかな?

そう思ったという。

しかし、昔から変に責任感だけは人一倍強かった彼だから、それでも良いと思って

いたのだという。

全ては自分が招いてしまった凶事なのだから、自分が苦しめば良い、と。

そう、彼女にその女が近づきさえしなければ、と。

そうしているうちに、きっと時間が解決してくれるだろう、と。

だが、ある日、警察から電話が入る。

仕事中に車を運転していた彼女が事故を起こして入院した、という連絡だった。

突然、猛スピードのまま、鉄製の壁に自らぶつかっていったとの事であり、

意識はあるが、予断を許さない状況なので、すぐに病院まで来て欲しいという

内容だった。

更に自殺の可能性もある為、その辺の事情も聞きたいと。

そもそも彼女は車の運転でスピードなど出すはずも無く、自殺など考えるはずも

無かった。

もしかして・・・・あの女が・・・・・・。

急いで病院に駆けつけた時、彼女はICUにこそ、入っていなかったが、それでも

かなり危険な状態だったという。

かなりの数の生命維持装置が、彼女を取り囲むように配置されており、そんな中で

意識だけは在る彼女が、とても可哀相で見ていられなかった。

そして、何かを話そうとする彼女に、彼は耳を近づけた。

彼女は、苦しそうな声でこう言った。

今も窓の外にあの女がいる・・・。

私を殺そうと狙ってるみたい・・・。

私が事故を起こしたのは、あの女のせい・・・。

突然、操作が出来なくなって・・・・。

だから、貴方だけでも、早く此処から逃げて・・・。

此処に居たら、貴方まで殺されてしまうから・・・・・。

それを聞いた彼は、もう限界を悟った。

1人ではとても太刀打ちできない、と。

そして俺に電話をかけてきた。

(後編に続く)
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 20:18Comments(11)