2017年08月31日

ヤセの断崖という所・・・・。

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆様、今日も1日お疲れ様でした!

まず、今日は動画を1つ!

これは別の部署の営業Mさんが、出版記念にと

作ってくれたものらしい・・・・です(笑)



結構笑えました(笑)

もしも観れなかったらごめんなさい。

営業Mさん、ありがとうございます。

おっと、今夜はサッカーW杯アジア最終予選、日本VSオーストラリア戦

を見ないと・・・・・。

ということで、怖くない話です。

どうぞ~!



これは俺が体験した話である。

能登方面に、ヤセの断崖という場所がある。

福井県の東尋坊と同じく、断崖絶壁が海へとせり出しており、こちらも

自殺の名所として有名だ。

元々は、松本清張が書いた小説が『ゼロの焦点』という映画になり、その内容が

ヤセノ断崖での自殺をテーマにしていた事から、自殺の聖地として認知されてしまい、

それからは頻繁に自殺が行われるようになったらしいのだが・・・。

確かに、海からまっすぐにせり上がった55メートルの断崖は、上から見ると

迫力満点である。

まるで、海に引き寄せられるような錯覚を感じる。

ただし、福井県の東尋坊と大きく違うのは、観光客が少ないという事かもしれない。

東尋坊と同じように自殺の名所になっているが、東尋坊は昼間の観光客も多く、

周りには宿泊施設を含めて、かなりの民家が立ち並んでいる。

しかし、ヤセの断崖の近くには、民家らしきものはなく、夜には命の電話の

公衆電話ボックスが暗闇の中にぽつんと浮かび上がり、完全に異世界へと

変貌してしまう。

実は、このヤセの断崖であるが、俺が子供の頃、ここで自殺体を発見した

という忌まわしい記憶がある。

崖の上から飛び降りて、そのまま海に着水できず、岩肌に叩きつけられて

亡くなったであろう自殺者の遺体を偶然見つけてしまったのである。

ただし、偶然といっても、もしかしたら、必然の出来事だったのかもしれない。

確かに、ヤセの断崖の周辺には、自殺を思い留まるようにと設置された看板や

自殺体を見つけた方は警察に連絡を!という看板もある。

そして、当然、子供にとっては、それは宝探しのようにある種のゲームになってしまい、

必死に自殺体を探していたのも事実である。

しかし、その時、俺は間違いなく、声を聞いたのだ。

俺の耳に、

お願い・・・・こっち・・・・・。

という声が聞こえ、その声のする方を見たら、自殺体が岩肌に引っ掛かっていた。

初めて見る自殺体は、子供心にはとても強烈だったが、結局、警察が来て第一

発見者として色々と事情を聞かれ、かなり疲れた記憶がある。

話を戻そう・・・・。

初めてヤセの断崖に行った時は、それなりに観光客もいたような気がする。

簡素だが、おみやげ屋も在った様な気がするとし、何より綺麗に整備されていた。

そして、遊歩道を歩いていくと、義経の舟隠し、と呼ばれている洞窟のような

岩場に出る事が出来るのだが、そこは、当然、自殺者の拠り所になっているのか、

壁一面に人間の顔が浮かび上がっており、その異様な寒さとともに、我慢の限界を

超えてしまい、俺はそそくさと逃げてきた記憶がある。

そして、こんな事もあった。

その日は夏の暑い日。

俺は友人とバイクでの能登ツーリングの帰りに巌門という場所に寄り、そこで遊覧船

などを楽しんでから、それほど距離が離れていないヤセの断崖にやってきた。

実は、巌門に寄った時、そこでまるで作り物のように綺麗な女性を見かけ、

友人達と盛り上がっていた。

その美しさも凄かったが、着ている服は、真紅のドレスのようであり、

どこか場違いな感じは否めなかった。

ただ、やはり、遊覧船に乗り、その舟が海の中の洞窟に入った時、

ありえないほどの耳鳴りと頭痛がしてしまい、逃げるようにその場から

逃げるようにして、ヤセの断崖にやって来たのだ。

時刻はもう午後7時近くになっており、夕暮れがとても綺麗だった。

観光客は既に完全に居なくなっており、自殺の名所ということもあって、

俺達は恐る恐る、ヤセの弾劾の遊歩道を歩いていた。

すると、前方から女性が1人でこちらに向かって歩いてくる。

それは、間違いなく、先程の巌門で見た、作り物のように綺麗な女性であり、

夕暮れの中で見る、その真紅のドレスはまるで血で染められたように、

どんよりと赤かった。

そして、風が強かったのだが、その女性のドレスは全く揺れていなかった。

普通に考えれば、先程の巌門からこんな短時間で移動出来る筈もないし、何より、

その強風の中で、服が全く揺れていないというだけで、十分、恐怖に値すると

思うのだが・・・。

ただ、その時は、そんな事はどうでも良かったので、ただ、その綺麗な

女性とすれ違う事にドキドキしていた。

そして、いよいよ、その女性とすれ違う。

この世の中に、こんなに整った顔が在るのか、と思える程の美人だ。

しかし、どこかに違和感を感じたのも事実だある。

そして、すれ違う時、気のせいかもしれないが、俺達を見て、一瞬笑ったように見えた。

だから俺達は、すれ違い様に、一気に振り返って、その女性の姿を目で追った。。

しかし、其処には、誰もいなかった。

隠れる場所などある筈も無い一面の岩場。

一気に恐怖心が込み上げて来た俺達は、逃げるように遊歩道を駆け上がり、

バイクでその場から退散した。

無事にバイクまでたどり着くと、すぐにバイクのエンジンをかけて、その場から

離れた。

俺達はなんとか逃げ切ったという安堵感でホッとしていた。

しかし、そこから、数百メートルくらい走ったところに、誰かが立ってこちらに

手を振っていた。

それは、紛れもなく、先程の真紅のドレスの女だった。

そして、物理的に考えてみると、その女性がそこに立っていられるわけはなく、

俺達は目を背けるようにしてその場を走りすぎる。

しかし、そこから、またしばらく走ると、再び、その女性が前方に立っていた。

そんな事が、ずっと続けられ、結局、志賀町という場所に出るまで、その女は

俺達の前に現れ続けた。

にこやかに笑い、手を振りながら・・・・・。

そして、その日の夜、その女について話していたとき、友人の1人がこんな事

を言った。

俺だったら、あれだけ綺麗な女性が相手なら、幽霊でも大歓迎だけどな、と。

そして、その数日後、その友人はバイクで事故を起こし大怪我を追った。

その女との因果関係は分からないが・・・・。

ただ、あの女の笑いながらにこやかに手を振る姿と整い過ぎた美しい顔が

あれからずっと頭から離れず、

今では、逆に、気持ちが悪くてしょうがない。


  


Posted by 細田塗料株式会社 at 20:32Comments(31)

2017年08月30日

その看護師さんは・・・・。

サインディスプレイ部  営業のKてず。

皆様、今日も1日、お疲れ様でした!

今日の金沢は、とても過ごしやすい1日でした。

あまりに過ごしやすかったので、昨晩は、うっかりと

パソコンの前で寝落ちしておりました(涙)

ところで、中国の読者の方もいらっしゃるようで・・・。

ニーハオ!シェィシェイ!チンジャオロース・・・・・。

このブログは中国当局の検閲には引っ掛からないのだろうか?

それと、県民賞でも観光誘致賞でも、貰えるものなら何でも

ウエルカム・・・です(笑)

そして、最近、中西様のお名前がどんどん長くなっているようですので、

とりあえず、放置させて頂きます(笑)

それと、最近は、読者の皆さんが、ご自分の体験談を

書き込んで頂いており、いつも楽しく読ませて

頂いております。

でも、怖い話は苦手なので、出来るだけ怖くない内容のもので

お願い致します(泣)

それでは、我が家のリビングでは今、9月の文化祭での

屋台?の食券をめぐって、妻と娘の激しい攻防戦が

続いておりますが、気にしないで、今夜もいってみましょう!

怖くない話・・・。

それでは、どうぞ~!



これは友人が体験した話である。

彼はある時、金沢市内の病院に入院した。

車を運転していての自損事故だった。

ただ、スピードが出ていた状態で、電柱にぶつかってしまった為、やはり怪我の

程度は酷く、右足の骨折と全身打撲により、救急車で運ばれてしまう。

結局、数日後に右足の手術を行い、そのまま1ヶ月ほどの入院となった。

手術後はしばらく寝たきりの状態になった。

そうなると、やはり頼みの綱は、看護師さんだったという。

いつも病院で診察を受ける時などは、よく世話になっていたが、実際に

入院し不便な生活を送ってみると、そのありがたさが痛感出来た。

とにかく、いつでも動き回っており、常に患者さん達の状態に目を

光らせている。

特に彼のように足を骨折し、入院した者にとっては、慣れないうちは、

その全ての行動が看護師さんの補助無しでは、出来ない。

そして、看護師さん達にもやはりローテーション?というものがあるらしく、

何人かの看護師さんが交代で彼の世話をしてくれた。

本当は1人の看護師さんに専属でというのが一番なのかもしれないが、当然

看護師さんが不眠不休で彼の世話に従事出来る訳もなく、夜勤とか早番とかの

ローテーションの中で、最大限に接してくれるのだから、そんな贅沢が

通らない事など当然理解していた。

だが、どうやら、そうとは限らなかったらしい。

彼が入院してから、最初に彼の前に現れた看護師さんは、とにかく話好きだった。

そして、痛みはどうですか?

手術は心配要りませんからね(笑)

などと明るく話しかけてくれたらしい。

ただ、確かに看護師の服は着ているが、特に医療行為は行わず、ただ彼に話しかけ、

話を聞き、頷き、笑うというだけであったが、それでも、心細い入院生活の中では

とても慰めになったという。

そして、その看護師さんは、それこそ毎日、同じ時間に来てくれた。

あまりにも、何も医療行為をしてくれないので、冗談で、

本当に看護師さんの免許持ってるの?(笑)

と聞いた事があるのだが、その時も、

あっ、私って注射とか、本当に下手なんで(笑)

と笑って誤魔化されたという。

ただ、一体いつ休んでいるのだろう?と不思議に思って、ある日、

別の看護師さんが来た時に尋ねてみた。

いつも来てくれる、あの看護師さんはいつ休まれてるんですか?と。

すると、その看護師さんは???と不思議そうな顔をして、○○さんの

担当は、今は私だけですけど?

と言って、さっさと病室を出て行った。

そして、入院が長くなると、それなりに知り合いの入院患者さんも増えたのだが、

彼らと話してみると、やはり、彼らのところにも、その看護師さんは

頻繁に来ているようだった。

そして、やはり医療行為は一切無く、話したりするだけらしいのだが、それでも

皆、その看護師さんの事が好きで、とても癒されているというのがよく分かった。

そして、皆、口を揃えて言っていたのが、

きっと、あの看護師さんは、この世の人ではないんだよ!

という事だった。

最初は、皆で彼をだまそうとしているのだと思った。

しかし、そう言われてみると、思い当たる事が多過ぎる。

病院で、この世の者ではない、と聞くと、どうしても患者をあの世に連れて行こうと

しているのでは?と思いがちだが、その看護師さんの行動には、そんな部分は

全く無かった。

それどころか、手術前、不安になっている患者さんのところで、励ましている

姿を見たり、手術室まで付き添っていく姿を見たり、はたまた、小さな子供と

楽しそうに笑っている姿を見ていると、別に生きていても死んでいても

どっちでも良いかな、と思える位に、いつも癒されてしまうのである。

そして、ある時、1人の患者さんと知り合いになった。

彼はガンの末期であり、既に余命を宣告された身だった。

自分から彼に話してくれたのだから、間違いないのだろう。

だが、その言動からは、弱弱しさとか、辛そうな様子が全く感じられない。

それどころか、生きる活力に満ちているようにさえ、見えた。

だから、彼は聞いてみた。

どうしたら、そんなに気丈にいられるんですか?と。

すると、その患者さんは、笑ってこう言った。

実は以前は、全てが嫌になり、自暴自棄になっていたんだ。

なんで、自分だけがこんな目に遭わなくてはいけないのだ、と。

そして、自殺すら考えるようになってしまったんだ・・・・。

すると、あの看護師さんが来て、僕を叱るんだよ。

きっと貴方が辛い以上に、周りの家族はもっと辛いんですよ、と。

そして、いつかは誰もが死ぬんです。

これは自然の摂理だから避けようが無い。

でも、世の中には、突然の交通事故で死んでしまう人もいるんですよ。

それに比べたら、もしかしたら貴方は幸せなのかもしれないって。

だって、愛する者達に、ちゃんとサヨナラも言えるし、思い出だって残せる。

余命を宣告されたのは、勿論辛い事だけど、その残された時間をどういう風に使うか

ということで、残りの人生の満足感、そしてあの世に行ってからの安心感が違って

くるんですよ。

どうせなら、良い思い出を残してあげてください。

残された家族が、それからも生きていけるように・・・・。

そう言われ、目が覚めたんだよ。

それに、あの看護師さんの話だと、あの世もまんざらでもないみたいだしね!

そう言って笑った。

そして、こう続けた。

此処にいる患者さん達も、きっとあの看護師さんが、この世の者ではない事は、

気付いていると思うけど・・・・。

でも、少なくとも自分にとっては、あの看護師さん以上の看護師はいないんだよ。

だって、あの看護師さんは、涙を流しながら、一生懸命に僕の事を叱り、そして

説得してくれたんだから・・・・。

それを聞いた彼は、やはりそうなのか、と納得した。

そして、彼の退院の日、見送りに出てきてくれた看護師さん達に混じって、あの

看護師さんもいたらしい。

そして、ずっと、嬉しそうに涙を流しながら、ずっと手を振り続けてくれたのだという。

そして、これは後日談なのだが、彼の子供が急な高熱を出したらしく、彼が

子供を病院へ連れて行った。

すると、まだその看護師さんは、その病院に居り、熱で苦しそうにしている

子供の側で、一生懸命に励ましてくれたのだという。

相変わらず、医療行為は行わないままで・・・・。

そして、どうやら、その看護師さんには、彼の姿はもう見えていなかったらしい。

きっと、何らかの病気や怪我で困っている人の姿だけが、あの看護師さん

の目に映るのかもしれない(笑)

彼は笑いながら、嬉しそうに、そう言っていた。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 20:07Comments(31)

2017年08月29日

一族にとり憑いた怨霊というもの。

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆さん、今日も1日、お疲れ様でした!

あっ、まだお仕事中の方は、どうか

頑張ってくださいませ!

まず、今日は昨日の訂正を・・・。

昨日のブログで、埼玉から来られた方にお土産を頂いた、という

話を書き、出来れば、今後は会社に来るのは止めて欲しい、という

内容を書いてしまいましたが、どうやら、私の勘違いも在ったようです。

その男性に対応してくれた当社の社長婦人から話を聞き、更に

コメント欄にお詫びまで頂いたのですが、どうやら、その男性はもともと

金沢のご出身であり、現在は仕事で埼玉に在住されており、

以前はよくうちの店にも買い物しに来て頂いていたようであり、

今回も、帰省の際、懐かしくなって、お店にお寄り頂き、更に

お店でお買い物までして頂いた様です。

社長夫人の話では、とても礼儀正しく真面目そうな方で、

嫌な感じはひとつも無かったとの事でした。

そして、それは、頂いたコメントからも十分伝わりましたので、

ここにお詫びして、訂正させて頂きます。

もしも、嫌な思いをさせてしまっているとしたら、本当に

申し訳ございません。

私の思慮不足が原因です。

これに懲りずに、またブログにコメント等頂けると

嬉しいです。

勿論、非掲載でも構いませんので・・・・。

ということで、今後とも宜しくお願い致します。

では、怖くない話、いってみましょう!

今日は幼少の頃のAさんのお話です。

どんな人間にも可愛い時期が在るのだと

再認識して頂けると思います(笑)

それでは、どうぞ~!






これはAさんから聞いた話である。

そして、現在のように性格が捻じ曲がっていない頃のAさんの体験談だ。

その頃、Aさんは、毎晩同じ夢を見ていた。

その夢とは、・・・・。

目が覚めると、洞窟の中にいる。

当然明かりなど在る筈もなく視界が確保出来ない。

だから、泣きながらその場にしゃがみこむ事しか出来なかった。

どうしてこんな場所に居るのか、全く理解出来ない。

そのうち、暗闇に目が慣れてくると、このまま此処にいてはいけない、と

思い始める。

そして、Aさんは、暗闇の中を歩き始める。

その洞窟の中は、地面に水が溜まっている場所もあるらしく、Aさんは

転んで泣きべそをかきながらも、必死に歩き続ける。

すると、突然、足元の感蝕が変わった。

それまでの、ぺチャッという音から、パキッという音へ。

Aさんは歩くのを止めた。

今、自分が歩く度に、何かが割れている。

そう感じたから・・・・。

そして、ゆっくりとしゃがみこむと、目を凝らしてよく見てみる。

すると、それは紛れもなく人骨だった。

今、自分は地面の上に無数に散乱している人骨の上を歩いている。

そう思うと、もう歩けなくなってしまった。

すると、突然、暗闇の奥から声が聞こえる。

おや、誰か居るのかい?・・・・・・。

大人の女の声だった。

Aさんは泣き出しそうになっていた感情を必死に堪えた。

自分が進んで行く前方に間違いなく、誰かいる・・・・。

そして、無数に散らばった人骨は、きっと、その声の主が食べた人間の骸なのか?

そう思うと、恐ろしくて仕方なかった。

Aさんは、手で必死に口を押さえ声が出るのを我慢した。

それは、自分が今此処にいる事が相手に判ってしまったら、自分もきっと

食べられてしまう・・・。

そう感じたからだ。

すると、またしても、声が聞こえる。

○○(Aさんの名前)かい?

そこに居るんだね~

もう限界だった。

Aさんは、音が立つのも忘れてその場から必死になって元来た暗闇の中を

早足で逃げた。

パキッ、パキッ・・・。

歩く度に、人骨が割れるような音が聞こえる。

Aさんは、心の中で、

ごめんなさい。ごめんなさい。

と人骨たちに謝りながら、必死に逃げた。

そして、頭の中は完全にパニックになっていた。

どうして、あの女は私の名前を知っているの?

どうして、この人達は、あの女に食べられなくてはいけなかったの?

考えれば考えるほど、得体の知れない恐怖が襲ってきた。

すると、早足で逃げるAさんの後ろから、再び声が聞こえた。

どうして逃げるんだい?

食べさせておくれよ~

その声は、間違いなく先ほどよりも近くから聞こえてきた。

やっぱりあの人骨は、あの女が食べた人間の骨なんだ・・・・。

そして、確実に私を追いかけてきている・・・・。

そう思うと、居てもたってもいられず、Aさんは暗闇の中を走り出した。

体が洞窟の壁にぶつかり、酷い痛みが走ったが、もうそんな事を考えている

余裕など無かった。

しかし、どんなに必死に走っても、追いかけてくる声は、どんどん近づいて来る。

そして、前方にうっすらと光が差しているのが見えた。

Aさんは、その光に向かって最後の力を振り絞って走った。

そして、光が差し込んでいる鉄の扉まで来ると、Aさんは、必死にその鉄の扉を

こじ開けようとした。

しかし、鍵がかかっているのか、びくともしない。

Aさんは、扉をドンドンと叩きながら、

誰か助けて~

と大声で叫んだ。

しかし、全く反応が無い。

それどころか、聞こえてくるのは、すぐ近くまで迫ってきている女の笑い声だった。

ゲッゲッゲッゲッ・・・・・。

その女は低く気味の悪い声で笑った。

Aさんは、鉄の扉を背にして、もうすぐやって来る、その女の方を睨みつける。

そして、差し込んだ薄明かりの中に浮かび上がったその女の姿は、人間とはとても

呼べるようなものではなく、まさに怨霊そのもの・・・。

幼いAさんがトラウマになるには十分過ぎる異様さだった。

Aさんは、それまで出した事のないような悲鳴をあげた・・・・。

そして、いつも、そこで目が覚めた。

全身が汗でびっしょりになっており、息も切れていた。

そして、何より、不思議だったのは、悪夢という夢を見ただけの筈なのに、

Aさんの体には、夢の中で暗闇を走り、体をぶつけた場所がリアルに傷ついており、

血も流れていた事だった。

Aさんは、その夢を見た後は、必ず家族にその悪夢の内容を話した。

すると、家族は、一笑に付すわけでもなく、ただ悲しそうな顔をするだけ・・・。

だから、Aさんは、いつしか夢の事は家族には話さなくなった。

それを聞くのは家族にとって、とても辛い事のような気がしたから・・・。

ただ、その時、不思議と田舎の祖母に会わなければ・・・・と急に思い立った

らしく、Aさんは、その悪夢を見るようになって数日後、田舎の祖母の家を

訪ねた。

祖母にその話をすると、しばらく目をつむって話を聞いていた祖母が急に

真剣な顔をして、こう言ったという。

その悪夢は夢であって夢ではないんだよ。

うちの家系では、1世代に1人、必ず、強い霊力を持った子が生まれてくる。

そして、お前の世代では、お前がそれに当たるんだよ。

自分では気付いていないだろうけどね。

そして、お前が夢の中で見たのは、我が一族にとり憑いている怨霊なんだ。

そして、夢の中でお前が見た人骨は、過去に遡って、その女に取り殺された

霊力が強いご先祖たちの骨なんだろうね。

お前の叔母さんが突然死したのも、私の姉が突然死したのも、全てその怨霊のせいなんだ。

一族の者は、それが判っていても何も出来なかった。

勿論、過去にはそれに抗おうとした者もいたらしいが、皆、一緒にとりとり殺されて

しまった。

そう、今まで、誰もその怨霊には敵わなかったんだ。

古からずっと一族にとり憑いている怨霊だから、1人取り殺す度にどんどん強力に

なってしまってるんだ。

そして、誰もその怨霊が何故、我が一族にとり憑いているのかすら、全く判らない。

ただ、一族の者が、全て経済的には成功し、裕福な暮らしをしているのと何か

関係があるのかもしれないけどね。

はっきり言うよ。

今まで、その怨霊に取り殺されなかった者は誰一人として居ない。

だけど、その怨霊は、実はその世代ごとに現れる能力者を恐れて

いるのかもしれない。

だから、能力者として成長する前に、とり殺しているとしか、考えられないんだよ。

そうでなければ、わざわざ能力者だけを取り殺したりはしないだろうからね。

普通は、各世代の能力者が取り殺されるのは、皆30歳前後なんだ。

でも、お前がその若さで、その怨霊に既に狙われてしまったということは、

もしかしたら、お前の力というのは、その怨霊すら恐れてしまうくらいの

凄まじいものなのかもしれない。

だから、はっきり言うよ。

ずっと続いてきた死の連鎖に、従う必要は無いんだ。

お前はもしかしたら、突出した力を持っているのかもしれないんだからさ。

だから、思いっきり抵抗してやればいい。

無抵抗で、とり殺される必要なんてないんだから・・・・。

そして出来ることなら、この忌まわしき死の連鎖を、お前が壊しておくれ!

そう言われた。

その時、Aさんは、とてつもない恐怖を感じるとともに、私がそんな

呪いみたいなものを断ち切ってやる、という強い決意をしたのだという。

それからのAさんは、独学でお経を覚え、粗塩や御札なども買い揃えて、

その時が来るのに備えた。

そんなものが通用するのかはわからなかったが、それでも、何か準備をしていないと

恐怖に押し潰されそうになってしまったから。

そして、何処に出歩くときも常に、それらを携帯するようになった。

そして、その日は突然やってきた。

学校が休みの日曜日、Aさんは、いつものように、近くのお寺まで新しい御札を

貰いに出かけた。

そのお寺の住職は、Aさんを見るなり、その秘めた能力を見抜きかなり驚いたらしい。

そして、Aさんから、何故御札が必要なのかという話を聞くと更に驚いた。

だから、Aさんに、すぐに仏門に入って、その力を更に磨き上げるように奨めた。

しかし、Aさんは、そんな時間の余裕は無いこと、そして、この住職は自分が

教えを請うべき人ではない、と感じたらしい。

確かに、霊能力は、しっかりしたものを持っているようだったが、それは護りの力

だったという。

そして、Aさんが欲していたのは攻撃出来る能力に他ならなかった。

本気で、一族にかけられた呪いを、自分ひとりで何とかしてやろう、と考えて

いたらしい。

だから、丁重に、お断りをした。

すると、それでも、良いから、とにかく、毎日新しい御札を毎日取りに来なさい、と

言われた。

こんな自分の力でも少しは君の力になれるかもしれないから・・・・と。

確かに、その住職の御札は、ある程度、自分の身を護ってくれそうな気がしたので、

Aさんは、毎日、そのお寺にせっせと通うようになる。

そして、その日もいつも通りそのお寺に向かった。

いつもの道を使い、いつもの時間に自宅を出た。

しかし、周りの様子がいつもとは完全に違っていた。

自宅を出てから、誰ともすれ違わない・・・・。

しかし、Aさんは、そのままお寺に向かって歩き続ける。

そして、ビルの間を抜けて、いつものように近道をしようとした時、突然、

雷が轟き、辺りが暗くなった。

そして、突然、激しい耳鳴りがAさんを襲った。

思わずその場にしゃがみこみ、耳を塞いだ。

そして、また急に耳鳴りが止んだ。

Aさんは恐る恐る目を開けた。

すると、そこに、いつも夢に出てくる洞窟の中であった。

それはまさにいつもの悪夢がスタートする場面に他ならなかった。

しかし、今回は夢の中などではない事はAさんが一番よく理解していた。

いつも、夢の中なら、恐れおののき、泣きそうになっていたAさんも、その時は

完全に違っていた。

ポケットをまさぐると、粗塩の袋もあり、御守りもあった。

そして、何よりも、この日の為に、Aさんは、自分なりに努力していた。

お経を覚え、精神集中の鍛錬をし、なにより、恐怖に負けないだけの精神力を

養ってきた。

だから、Aさんは、しっかりとした足取りで歩き出し、そして自分に言い聞かせる。

今日は私が追いかけられるんじゃない・・・・。

私が、あの怨霊を追いかけ回して退治してやるんだと・・・・。

そう思うと、恐怖は一瞬で消えた。

Aさんは、ポケットに忍ばせていた小型の懐中電灯をつけ、辺りを見回す。

すると、洞窟の壁一面が、血が飛び散った様に、真っ赤に染まっている。

更に、自分が夢の中で、水溜りの上を歩いていると思っていたのが、実は地面に

溜まった血だまりの中を歩いていたんだと分かった。

しかし、そんな事でも、その時のAさんの決心を鈍らせる事は出来なかった。

Aさんは、出来るだけ足音を立てない様に歩いた。

何とか、不意打ちを仕掛けて、あの怨霊を退治しようと思っていたから。

夢の通りならば、この方向に進めば、あの怨霊の住処に着く筈・・・。

そう考えて、Aさんは一心不乱に歩く。

そして、懐中電灯の明かりも消した。

不意打ちをかけるのに、明かりは邪魔だったし、何より、ライトの光はいざという時

の武器になると確信していたから・・・・。

そして、暗闇の中をゆっくりと歩いていくと、足元の感蝕が変わった。

これは、いつもの人骨のエリアだ・・・・。

そう思ったAさんは、その場で一旦立ち止まり、その人骨に向かって手を合わせた。

そして、

私があいつを退治しますから、安らかに眠ってください・・・・。

と心の中で呟いた。

すると、突然、大きな笑い声が聞こえた。

ゲッゲッゲッゲッ・・・・。

ハッとして身構えるAさんの前方には、いつも夢に出てくる怨霊が背中を向けて

立っていた。

Aさんは、粗塩の袋を取り出すと、その背中めがけて投げつけた。

すると、

おや、何かしたのかい?(笑)とその怨霊は笑った。

次に、御守りを手に持って、その怨霊に向かってかざす。

すると、

そんなのじゃ、退治されてやれないねぇ(笑)と笑う。

そして、Aさんは、次に、必死になって覚えたお経を一心不乱に唱えた。

すると、

あ~、心地良いねぇ~(笑)

昔、私に向かって同じ事をした奴もいたけど、もう骨になってるねぇ(笑)

と笑われてしまう。

そして、万策尽きたAさんが呆然と立ち尽くしていると、その怨霊が

おや、もうお終いかい・・・・。

と言いながら、Aさんの方を向いた。

Aさんは、最後の手とはがりに、懐中電灯の明かりで、その怨霊の顔を照らした。

その眩しさで怯むはずだった。

しかし、結果として、その怨霊の恐ろしい顔をはっきりと浮き上がらせてしまう

事になる。

その姿は夢で見たものとは、完全にレベルが違っていた。

まさに死霊という感じの凄まじい姿。

そして、その醜い顔は、おぞましく笑っていた。

Aさんは、今なら絶対に出さないであろう、悲鳴をあげて、その場から

逃げ出した。

前方をライトで照らしながら走り続けた。

そして、かなり走った後、背後を振り向きライトで照らした。

すると、其処には、先程の怨霊が、宙に浮きながら、手招きをしていた。

おや、もう逃げないのかい・・・・それなら、もうこっちにおいで・・・。

その時、Aさんは、もう逃げられないと悟ったという。

すると、不思議な事に、開き直ったのか、先程感じた恐怖が薄らいでいく。

Aさんは、言った。

あんたが、どれだけ強くても、私が此処で殺されても、きっと子孫の誰かが

きっとあんたを退治してくれるんだ!

だから、怖くないよ。おばさん。

ただではやられないからね。

用心して、かかってきなさい!

と現在にも通じるような強気の上から目線の発言をしてしまう。

すると、その怨霊が

おや、そうかい。楽しみだねぇ・・・・。

こんなに弱いのにねぇ・・・・。

と言ってきた。

この言葉にAさんは切れたらしい。

その瞬間、どうにかして、この怨霊に一矢報いたいと強く願った。

すると、Aさんの体が、青白く光りだし、その怨霊の方へと流れ出す。

その時、怨霊はこう言った。

まだ、こんな力を隠していたのかい・・・・。

でも、今ならまだ私の方が上だからねぇ・・・・

そして、ゆっくりとAさんの方へと近づいて来る。

その時、Aさんは、心の中で呟いていた。

私はこんなのに勝てると思っていたのか・・・・。

こんなのに勝てるわけないよ・・・・。

そして、諦めかけた時、耳元で、

おいおい、諦めるの早すぎるだろ・・・・。

という声が聞こえた。

ハッとして顔を上げたAさんが見たものは、洞窟の中を、巨大な青い光がこちらに

向かって押し寄せてくる光景だった。

青い光だが、とても暖かい気を感じたという。

そして、その光に気付くと、その怨霊は、慌てふためいて逃げようとしたが、

すぐにその光に包まれて、燃え尽きるように消滅してしまった。

そして、その青い光が消えると、そこはもういつもの通いなれた道の上だった。

そして、Aさんは、お寺には行かず、そのまま自宅に帰った。

もう、あの怨霊は退治された事がAさんには分かっていたし、何より、すぐに

やらなければいけない事が見つかったのだから・・・。

それは、洞窟の中で聞こえた霊能者の声。

そして、自分はその人のもとで修行しなければ・・・という宿命を感じたという。

そして、それを話すと、両親も承諾してくれたので、その後、Aさんは単身、

東北に転校し、その霊能者のもとで修行させてもらうことになる。

そして、そこで、今のような凄まじい能力とともに、ひねくれた性格を身に付けて

帰ってくる事になる。


  


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2017年08月28日

続続・タクシーの運転手さんから聞いた話

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆様、今日も1日お疲れ様でございます!

突然ですが、土曜日にはるばる埼玉から

お越し頂き、ご丁寧にお土産まで頂きまして、

本当にありがとうございます。

サブレ、美味しく頂きました!

ただ、出来れば、仕事場である会社に

来られるのは可能であれば避けて頂いた

方が助かります。

本当に申し訳ありませんが。

ちなみに、うちの娘は、今日が夏休み最後の日らしく、

しょんぼりしながら、フローリングの上をゴロゴロ

しておりました。

9月の初旬に文化祭と演劇の発表があり、その直後に

試験が待っているというナイススケジュールみたいです(笑)

ということで、今夜もいってみましょう!

怖くない話。

本当に怖くないですけど・・・・・。

どうぞ~!



これは俺の知り合いのタクシーの運転手さんから聞いた話である。

年齢は60代くらいで、そもそものきっかけは、いつも遠方での飲み会

の際に頼んでいるタクシー会社があるのだが、いつも決まって同じ人だった。

だから、いつしかタクシーに乗っている間、ずっと話し込むようになってしまい、

その方が、とにかくカラオケが好きで、カラオケ同好会みたいなものにも

入っており、今度発表会があるんだけど、もしも良かったら、バイトで

カラオケの変わりに生バンドとして演奏して貰えないか?と頼まれたのが

事の始まり。

それ以来、毎年、バンドメンバーのバイトとして定着してしまっている。

そして、これからが本題。

その日、彼は送迎の依頼があった為、金沢市郊外の一軒屋に向かっていた。

時刻は、午後8時。

彼は予約された時間に遅れては大変と、少し早めの時間に会社を出発し、

指定された家を探していた。

しかし、どれだけ探しても、その家は見つからない。

彼は途方に暮れてしまい、会社に電話して、目的地の家を確認した。

すると、前方にぼんやりとした明かりが点いているのが見えた。

もしかして・・・・

そう思い車をその家の前まで走らせると、確かに予約してきた方の苗字が

書かれた表札が見えた。

あれ?さっきもこの道を通ったけど、こんな家あったか?

彼はそう思ったが、予約時間ギリギリだったこともあり、急いで車を降りて

その家の玄関へ行き、呼び鈴を鳴らした。

しかし、何度呼び鈴を押してもいっこうに返事が無い。

彼は仕方なく、玄関の引き戸を開けて、

すみませ~ん。○○タクシーですが・・・・。

と呼んでみた。

すると、ぼんやりとした灯かりの奥から、年老いた女性の声が聞こえてきた。

あっ、すみません。

ちょっと足が悪いものですから、家の中まで入ってきてもらえますか?

そう言われ、彼は、

それじゃ、お邪魔しま~す・・・

と言いながら、家の中へあがると、声が聞こえた廊下の奥へと進んだ。

廊下を進んでいくと、突き当りの右手にある部屋から明かりが漏れている。

彼は、出来るだけ怖がらせないようにゆっくりと歩き、

こんばんは~。○○タクシーです。

と優しく声をかけながら部屋を覗いた。

すると、そこには、年齢が90歳を超えていそうなお婆さんが布団から

体を起こした状態で、彼を待っていた。

そして、

あ~、すみませんね~。どうしても行かなければいけない所があって・・・

と申し訳なさそうに手を合わせる。

彼は、

いえいえ、全然気になさらないでくださいね!

すぐに車に乗れますか?

と聞くと、そのお婆さんは、こっくりとうなづいた。

彼は、そのままお婆さんを背負って、玄関を出た。

その際、家の鍵は?

と尋ねると、

こんな年寄りの家に泥棒なんて入るわけが無いから・・・。

と言って笑った。

だから、鍵はそのままにお婆さんをタクシーの後部座席に座らせると、そのまま

すぐに車を発進させた。

走り出してから、

どちらまで行かれますか?

と聞くと、

とあるお寺の名前を告げられた。

こんな時間にお寺に何の用事が?

と思ったが、彼は、そのまま車を走らせると、30分程で、そのお寺に到着した。

すると、そのお婆さんは、車から降りずに、後部座席に座ったままの状態で

お寺の方に向かって手を合わせる。

そして、30秒くらい手を合わせると、彼に、このまま家まで送って欲しいと

言ってきた。

それは構いませんが、もし宜しければ、私が手をお貸ししますから、ちゃんと

お寺の中へ入って手を合わせられた方が良いのではないですか?

と聞くと、

いえ、もう足が不自由ですし、これ以上、運転手さんにご迷惑をお掛けする

訳にもいきません。

それに、お寺の前から、お祈りできただけで十分満足ですから・・・。

そう言って、にっこりと笑った。

そう言われ、彼は、そのままUターンして、もと来た道を戻り、やはり30分くらいで

お婆さんの家に到着した。

そして、料金を払ってもらい、また、お婆さんを背負い、家の中へと入って

行くと、お婆さんがこう言った。

明日から、しばらくの間、毎日、今日みたいにあのお寺まで送迎して貰えませんか?と。

勿論、彼は、その場で快諾する。

そして、それから毎日、午後8時にお婆さんの家に迎えに行き、そのお寺へと

送迎した。

そして、そのおばあさんは色んな事を話しては、懐かしそうに笑う。

それを聞いている彼も、その話がまるで自分の事のように楽しく聞いていた。

それからは、どんどんと、そのお婆さんと親しくなっていき、彼が迎えに行くと、

そのお婆さんは、手料理を作って待っていてくれるようになった。

足が不自由なのに、どうやって作っているんだ?

とも思ったが、

その手料理は、とても美味しく、まるで、彼が幼少の頃に、祖母に作ってもらった

手料理と同じ味がして、とても懐かしく感じた。

ある時などは、あまりに美味しくて、勢い良く食べ過ぎた為、うっかり料理を

ワイシャツにこぼしてしまった事すらあった。

そして、そんな日が何日も続いたある日。

その夜も、ちょうど午後8時に、お婆さんの家まで迎えに行き、料理をご馳走に

なってから、車の中で色んな話をして、過ごしたのだが、お寺からの帰り道、

そのお婆さんが、寂しそうにこう言った。

お寺に送迎してもらうのも今日で最後なんです。

今まで、本当にありがとうございました。

その言葉に、彼も同じように寂しく感じたが、おばあさんから、今夜が最後、と

言われてしまっては、返す言葉は無かった。

だから、彼は、

こちらこそ、今まで本当に楽しい時間をありがとうございしました!

とお礼を言い、深々とお辞儀した。

そして、翌日には、彼はそのお婆さんの所へ行く必要がなくなったが、やはり

どこか寂しく、そして心配だったのだろう・・・。

彼は、ちょうど午後8時に、お婆さんの家にやって来てしまった。

すると、警察の車両が数台停まっていた。

もしかして、強盗にでも入られたのか?

そう思った彼は、急いで車を停めると、玄関前に居た警察官に、何があったのか?と

尋ねてみた。

すると、この家に1人暮らししていたお婆さんが、孤独死されていたんです、と

教えられた。

その時は、警察官が忙しそうに動き回っていたから、それ以上は聞けなかったが、

彼は実際、訳がわからなくなってしまっていた。

だから、それから2日後に、その家へと再び訪れた。

そして、その場で話し込んでいた2人の主婦を見つけて、詳細を尋ねてみた。

すると、彼は驚いてしまった。

どうやら、その家のお婆さんは、お金が無く、水道も電気も止められて、

かれこれ、3ヶ月前には亡くなっていたという事。

そして、遺体が見つかった時、既に一部ミイラ化していたが、その手には、

しっかりと残り数百円になった全財産である小銭を握り締めていたという事。

そして、そのお婆さんの生前の容姿を聞いてみると、間違いなく、彼が毎晩

タクシーでお寺まで送迎していたお婆さんと同一人物だった事が分かった。

どうして、3ヶ月も前に亡くなっていたお婆さんが、タクシーを呼び、そして

送迎される事が出来たのか?

彼は、最初、それを聞いたとき、何故なのか、と必死に考えてみたが、到底

答えなど見つかる筈も無かった。

それよりも、あのお婆さんが、水道も電気も止められ、どんなに辛い生活の

中で孤独死してしまったのかを考えると、いたたまれなくなった。

そして、そんなお婆さんだから、きっと自分の運転するタクシーでお寺までの

ドライブと会話を何より楽しみにしていたのだろうと思うと本当に悲しかったし、

きっと、手持ちのお金が尽きてしまい、自分に迷惑を掛けないようにと、

タクシーでの送迎を断ったのだろうと思うと、その心中を察してあげられなかった

自分が情けなくなってしまった。

そして、彼は最後にこう言っていた。

警察の司法解剖の結果がどうかは分からないけど、

間違いなく、あのお婆さんは、

存在していたのだと。

その証拠に、手料理をご馳走になった時に、

うっかりこぼしてしまったワイシャツの

汚れが、今も取れないまま、残っているんだから・・・・。

そう言っていた。

そのお婆さんは、きっと最後に幸せな時間を過ごすことが

出来たのだと信じたい!
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 19:49Comments(51)

2017年08月27日

1年に1度だけ現れる女・・・・。

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆さん、今日もお疲れ様でした!

昨日のライブはお陰様で盛り上がりました。

まあ、お笑いバンドとして・・・・ですが(笑)

今日もファミチキ食べました。

そういえば、ミニ子さんの洗脳なのか、最近

毎日のように食べてしまってます(笑)

本当は、つくね串が一番好きなんですが・・・。

それから、コメントで、何やら偽商談で、私を

おびきさせる密談がかわされているようですが・・・。

勿論、商談あるところ、どこへでも参りますよ!

というか、密談になっていないような気がしますが(笑)

更に、中西様が、マリリン中西?アシスタント?

もう恐れ多いことです。

悲しくて・・・いえ、嬉しくて涙が出そうです・・・・。

というか、どうせならアシスタントは可愛い女の子で

お願いします(涙)

あっ、それはそうと、先日、ご相談させて頂いた関西の

霊能者、神社仏閣に関しての情報に対して、依頼主?より、

お礼のコメントを頂いておりました。

あえて、コメントは載せていませんが、十分、参考に

させて頂きます、との事でした。

皆さん、本当にありがとうございました。

こういう拙いブログですが、皆さんの力で、誰かの

為に一緒に考えて協力して頂けるなんて、本当に

このブログを続けていて良かった、と再認識させて

頂きました。

それでは、今夜もいってみましょう!

怖くない話。

当然、書きたてホヤホヤです。

誤字脱字と一緒にご賞味くださいませ。

それでは、どうぞ~!


その場所は、ある意味ではとても有名な場所。

といっても、少数の心霊・廃墟マニアの間だけの話であるのだが。

その場所は石川県から富山県に抜ける道にある。

昔、バス停があった場所なのだが、今はもうバスは来ていない。

その場所に1年に一度だけ女性の幽霊

が現れるのである。

秋が近くなった頃のある決まった日。

その日だけに、その女は其処に現れた。

そのバス停は、雨風がしのげる様に木製の屋根と囲いがあり、小屋のような

建物になっている。

そして、何故有名なのかと言えば、その幽霊がとても美人である、という

理由からである。

実際、特定の心霊マニアの中には、その幽霊をアイドル並みに扱う輩もおり、

単なる寂れた田舎であるその場所は、一年に一度だけ、心霊マニアが

集まってはその幽霊を観察するという異常な光景が見られた。

だからといって、その女の霊が特別な事をする訳でもなく、ただ

ボーっと俯いたまま立っているだけなのだが・・・・。

ただし、一年に一度の、その日が雨になってしまうと、状況は一変する。

雨が降ってしまうと、その場所には誰も訪れないのである。

何故かと言えばとても危険だから。

その日が雨になってしまった場合、その霊はとても攻撃的になる。

実際、過去には何人ものマニア達が命に拘わる大怪我をしていた。

だから、心霊マニアといえど、普通の感覚を持った人間なら、雨の日なら

絶対にそのバス停に近づかない。

ただし、世の中には普通の感覚というものが完全に欠如している人間も存在する。

彼らは、人が来ない日の方がゆったりと見学出来るという理由で、雨の日は特に

勇んでそのバス停に出かけていた。

そして、その中には俺の知人男性もいた。

馬鹿な事は止めろ!いつか大変な目に遭うぞ!

と俺はいつも事あるごとに話すのだが、彼は全く聞く耳を持たなかった。

そんな事を続けていたある年。

その日はちょうど雨の一日になった。

彼は仲間数人と車3台に別れて現地のバス停に向かった。

時刻は午後9時過ぎ。

辺りは、一面、霧に覆われていた。

これにはさすがの彼らも息を呑んだ。

何故なら、以前、雨の夜に、その女の霊を観に集まり、命に拘わる大怪我をした

時も、その人同じく、霧に覆われていたのだから。

だから、雨だけでなく、霧も出ると、更に、その霊は凶暴になる。

それが通説になっていたのだ。

しかし、彼らは、引き返すことなく現地のバス停から100メートルくらい

離れた場所にやって来ると、車を停車させた。

そして、目視で、その女の姿を確認しようとする。

すると、確かに、バス停の中に、その女は居た。

彼らは一斉に歓声を上げる。

しかし、良く観ると、いつものように、バス停の中で、ただじっと俯いているのではなく、

バス停の中を忙しなく動き回り、車が通りかかると、その車の窓に張りつく

ようにして、車内を覗き込んでいた。

まるで、必死に何かを探している様に・・・・。

それだけでも、いつもとは様子が違うので、大人しく様子を見るのが普通だと

思うのだが、彼らはやはり違っていた。

誰かが言い出した。

もしも、車であのバス停の前を通ったら、凄く間近であの女の顔を見れるんじゃ

ないか?

そして、なんと、そのプランに全員が賛同した。

しかし、車3台で行ってしまっては、さすがにろ、あの女幽霊も用心してしまう

のではないか、という事で、1台づつ時間を空けて、バス停に近づく事にした。

そして、その1台目の車に、俺の友人も乗り込んでしまった。

その車には、運転手と彼の2人が乗っていたらしいのだが・・・・。

そのバス停の近くに来ると、その女幽霊が、そわそわしているのが見えた。

その姿を見て、運転手の男がこう言った。

どうせなら、バス停の前でしばらく停止してみようか?

当然、彼も相づちを打った。

そして、車は、バス停の前に停車した。

すると、すぐに、その女がスーッと近づいて来た。

そして、窓に張りつきながら、何かを言っているが、窓が閉まっているのと、女の

声が小さかったので、よく聞き取れない。

しかし、なんと運転手の男は、意味もわからず、うなづいてしまった。

その途端、女の顔が般若のように怒り狂った顔になる。

彼らは、うわぁ!という声をあげて、その場から車を発進させようとした。

しかし、突然、車のエンジンが停止してしまう。

パニックになった彼らは、仲間に携帯で助けを呼ぼうとしたが、携帯は繋がらない。

そして、その女の位置を確認しようと辺りを見るが、何処には姿はない。

何処に行ったんだ?・・・・・・。

すると、突然、後部座席から声が聞こえた。

アノコハドコ・・・・・・。

ハヤクカエシテ・・・・・。

しかし、何を言っているのか意味が分からなかった彼らは、慌てて車の外へと

逃げようとするが、ドアは何かで固定されたようにビクともしない。

すると、また、

アノコハドコ・・・・・・。

ハヤクカエシテ・・・・・。

と同じ言葉を繰り返してくる。

そして、

オマエタチダナ・・・・・・。

アノコヲコロシタノハ・・・・・。

そう言うと、フッと後部座席から女の姿は消えた。

そして、次の瞬間、車が大きくグラッと揺れた。

車の後ろを見ると、その女が背後に立っており、両手で車を大きく揺さぶっていた。

そして、車はどんどん揺れが大きくなり、ついには横転してしまう。

すると、窓に女が張りついて笑っている顔が見えた。

満足そうな嬉々とした顔だった。

すると、女の顔はガラスに張りついたままなのに、車はズルズルと何かの力で

引きずられ出す。

うわぁ!

助けてくれ!

彼らはそう叫んだが、誰も彼らを助ける者はいなかった。

そして、そのまま車は引きづられていき、ついには、バス停の近くを流れる大きな

用水へと突き落とされてしまう。

彼らは何とか車から脱出し、命を落とす事はなかったが、それでもかなりの

重傷を負ってしまう。

そして、彼らを助けようとした他の車2台も、同じように、用水の中へと

突き落とされてしまい、結局、その場に居た全員が大怪我を負ってしまった。

それから、彼らの口から、漏れ伝わって、その女の霊は、とんでもない悪霊であり、

危険極まりないという噂が広まった。

しかし、その話を彼から聞いたとき、俺は、

本当にそんなに悪い霊なのか?

と疑問を持った。

そして、それはAさんも同じだったようで、ある時、怒った様にこう言っていた。

本当に馬鹿が多くて困りますよね!

勝手に霊に近づいて、それで怪我をさせられたから、悪霊・・・・ですか?

ふざけるなって言いたいですよね!

だいたい、あそこにいる女の人の霊は、そんな悪いモノではないんです。

あのバス停のすぐ近くで幼稚園に通ってた子供さんが車に轢き殺されてしまって。

で、犯人はそのまま逃走。

そして、母親は、絶望の中で自殺してしまったんです。

犯人が捕まる前に・・・・。

そして、それからも、子供に対する未練が強すぎて成仏できないんです。

そして、子供を轢き殺した相手をずっと探してるんです。

一年に1度現れる日が、子供さんの命日であり、事故当日は雨が降っていた

そうです。

だから、雨の日には、必死になって、子供を殺したドライバーを探してただけ・・・。

本当は、成仏して、あの世に行ければ、死んだ子供とも会えるのにね。

それって、悪霊だと思いますか?

そう言われ、俺は首を横に振った。

そして、追い討ちをかけるように続ける。

そもそも、あんな場所にわざわざ出向く馬鹿がいけないんですよね。

同じ人間として恥ずかしくなりますよ。

ところで、そいつらって、まさか、Kさんの知り合いとかいうんじゃないですよね?

そう言われて、俺は

ブンブンと首を横に振るしかなかった。

しかし、その怖い噂のお陰か、ソレ以来、その女の幽霊を見学に行く者は

誰1人いなくなったそうだ。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 19:14Comments(37)

2017年08月26日

墓地の隣に住むということ。

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆様、今日も1日、お疲れ様でした。

私は今日は出勤日でした。

そして、今日はこれから、片町でライブです。

そして、ライブが終わってからは、1人飲みタイムです(笑)

全然、練習してないけど、まあ、なんとかなるさ(笑)

京都についてのコメントが多く寄せられましたが、

私も京都は大好きでよく行くのですが、やはり

長い歴史を持つ場所だけに、見たり聞いたり、

悪寒がしたり、頭痛がする場所が多いです。

貴船神社、首塚大明神、一条戻り橋が特に・・・・。

まあ、京都の国立博物館も・・・・。

特に、普通の日常にそういう気が漂ってるので、

大好きな場所ですが、疲れてしまいます(泣)

でも、日本では唯一無二の素晴らしい都市だと

思ってますよ!

ということで、今夜もいってみましょう!

誤字脱字を探そうのコーナー・・・ではなくて(涙)

怖くない話・・・・。

それでは、どうぞ~!



これは友人が体験した話である。

友人の住むアパートは金沢市内の南部にあった。

しかも、アパートの隣は、広い公園墓地があるという好環境。

実際、そんな立地条件の物件など、数えればキリが無いほどあるのだろう。

しかし、彼のアパートの凄いところは、窓からの眺めが全てお墓しか見えない、

という事だった。

そのせいか、造りが豪華なアパートにしてはかなり家賃が安かったという。

しかも、彼の住む部屋は、ちょうど角部屋にあたり、入居者がすぐに

出て行ってしまうという部屋だったのだが、元来、霊など信じていなかった

彼にすれば、それは豪華なアパートに安い家賃で住めるという夢のような

物件だったに違いない。

実際、彼はその部屋に入居してからというもの、夕方や夜間、暇になると

ぼんやり墓地を眺めて過ごすのが日課になっていた。

なんでも、1人でぼんやりと眺める墓地の景色は、それはそれでえもいわれぬ

風情があるのだと言っていた。

ただ、俺が彼のアパートに遊びに行った時なども、寒気がするわ、頭が痛くなるわ、と

散々な気分になって返ってきたのを覚えている。

その彼の口癖が、

全ては単なる気のせいだから(笑)

怖い怖いと思ってるから、柳の枝も幽霊に見えてしまうんだよ!

と力強く豪語していた。

そんな彼に怪異が起こりだしたのは、入居して1ヶ月が過ぎた頃だった。

彼が部屋でテレビを見ていると、急に壁がドンドンと叩かれた。

あっ、すみません・・・・。

と言ってはみたものの、よく考えれば、彼の部屋は角部屋であり、壁の向こうには

部屋など存在していなかった。

普通なら、怪奇現象として恐れおののくものだが、そんな時も彼は

気のせい・・・・単なる聞き間違い・・・。

と片付けてしまう。

更に、階段で男の人とすれ違った彼が、

あれ?あんな人入居してたっけ?

と思いすぐに後ろを振り返ったが、そこには誰もいない。

しかし、彼はそんな事も、

気のせい・・・・単なる見間違い・・・・。

と片付けてしまう。

更に、彼が仕事に出掛けるとき、見知らぬ女の人が廊下に立っていた。

そして、仕事から帰宅する時にも、その女の人はまだ廊下に立っていた。

そして、予想通り、彼はそれさえも、

気のせい・・・・あれは普通の人間に違いない・・・・・。

と片付けた。

全てをポジティブに捉えるというのは素晴らしい事だが、彼は少し度が

過ぎていた。

そして、ある日、彼が仕事から帰宅し、部屋で寛いでいると、突然、部屋の

ドアがノックされた。

はい?

彼は慌てて、ドアの方へと走り、ドアを開けた。

しかし、そこには誰も立っていない。

あれ?おかしいな・・・・。

と思い、リビングに戻ろうとすると、そこに女が立っており、ぼんやりと

彼の方を見つめていた。

さすがに、これには彼も驚いたそうだが、それでも、とっさに出た言葉が、

あの・・・・どちら様ですか?

それを聞いた女は、そのまま、ゆっくりと薄くなり消えていった。

そして、それからというもの、彼の部屋には、その女が現れるようになる。

いつものように、窓からぼんやりと外の墓地の景色を眺めていると、突然

耳元で、

ほら、・・・あれがわたしのおはか・・・・・

ハッとして彼が振り向くと、彼の顔にピッタリと寄り添うように、その女の顔が

あり、ニコッと笑うと、そのまま消えていった。

また、ある時は、部屋でヘッドフォンを耳に掛け、音楽を聴いていると、突然

方をポンポンと叩かれた。

ん?

と、彼が振り向くと、その女が、楽しそうにヘッドフォンから漏れ聴こえる音楽に

合わせて、楽しそうにリズムを取っていたという。

そんな事が続いて、彼は、幽霊の存在は信じるようになったのだが、あくまで

人畜無害な存在として認識していたようだった。

確かに、彼の前に現れるその女の幽霊は、いつも笑っていた。

しかも、明るい笑顔で・・・・。

だから、彼がそう思ってしまったのも仕方のない事なのかもしれないが。

だから、彼はいつも思っていた。

前にこの部屋に住んでいた人達は、何故、あんなに平和で無害な幽霊にまで

恐れをなして、この部屋をでていったのだろう、と。

しかし、ある日を境にして、その幽霊は、彼が寝ている時に現れるようになる。

しかも、笑顔は見せず、何故か悲しそうに泣いており、両手の指を立てて、

彼に数字を伝えようとした。

そして、何回目かの夜が来た時、その女の指は、1からゼロに変わり、それを

彼に示した後、その女は、何かを恐れるようにして、スッと消えてしまった。

そして、その翌日から、その女は昼夜を含め、一切姿を見せなくなった。

まるで何かから隠れるかのように・・・・。

そして、翌日の夜からは、本当の恐怖が彼を襲うようになった。

夜、寝ていると必ず金縛りに遭うようになった。

そして外から窓をコツコツと叩く音がする。

彼は、あの女のかと思い、金縛りを解くように説教してやろうと思ったが、

どうやら、窓の外に居るのは、その女の霊ではない事に気付く。

そして、次の瞬間、突然、天井から何かが彼の腹の上に落ちてきた。

うっ・・・・

となって、彼は体を硬直させる。

そして、自分の腹の上を見た時、彼は驚愕する。

そこには、焼け爛れたような顔と抜け落ちた長い髪を持つ女が、彼に抱きつく様に

馬乗りになっていた。

カッカッカッカッ・・・・

気味の悪い声で笑った。

それは、以前、彼の部屋に現れた女とは全く異質なものだった。

そして、次の瞬間、その女の髪がまるで生き物のように伸びてきて、彼の顔全体を

覆った。。

苦しくて息が出来なかった。

そして、彼が苦しそう歪めている顔を見て、またしてもカッカッカッと笑うと

今度は、髪でグルグル巻きになつた彼の顔を両手で塞ぐ。

そんな事が明け方近くまで続けられた。

朝になり、彼は疲れきった体をベッドから起こし、昨夜の事が夢であってくれと、

願うのだが、彼の顔には、その女が付けたであろう、生臭く腐った様な臭いが

強く残っていた。

そして、何よりも、その女のゴツゴツした細い指と、身の毛がよだつほどの

冷たさを彼の頭は記憶してしまっていた。

そして、彼の部屋には、それから毎晩、その女が現れるようになった。

どんどんやつれていく彼。

いつしか仕事も手につかなくなってしまい、ある日、俺に相談してきた。

話を聞いた俺は、いつものようにAさんに連絡した。

そして、電話で詳細を説明すると、即答でAさんは、

今回はパス!

と言ってくる。

なんで?

と俺が聞くと、

今回は面倒過ぎますって・・・・。

それに、その彼が、その部屋から出て行けばいいんじゃないですか?

と言ってくる。

だから、俺は言った。

なんで、今回はそんなに嫌なの?と。

すると、

お寺の境内にある墓地なら構わないんですけど、公園墓地は嫌です。

そんな場所で除霊しようとしたら、いったい何体の霊を清めなくちゃ

いけないか、分かってます?

こう返してきた。

だから、俺は言った。

それじゃ、除霊はしなくても良いから、せめて彼だけでも救ってやって欲しい、と。

すると、渋々、Aさんが承諾した。

そして、今夜もまた、あの女がやってくる、と恐れおののいている彼の姿を

見て、俺は何とかすぐに来てくれる様に、とAさんに頼み込んだ。

そして、俺は彼と一緒にアパートに向かう。

アパートに到着すると、色々と見て回った。

アパート自体は、まだ建てられてから数年といった感じでとても綺麗でお洒落

な造りだった。

しかし、やはりかなりの場所に、霊がいる雰囲気を感じる。

それに、アパート全体がかなり暗い。

しかし、何故か危険な気というものは感じない。

俺は彼に案内されるままに、彼の部屋に入った。

本当に普通の部屋だった。

部屋にはきちんと日差しが差し込み、そのせいか、部屋の中も暖かい。

だから、俺は言った。

本当にこんな平和そうな部屋に出るの?と。

すると、彼は真顔で頷く。

勿論、彼が嘘デタラメを言う人間でない事はよく理解していたが、それにしても

部屋の中に、おかしな箇所はひとつも無かった。

ただ、窓から見える風景だけは、特別だった。

かなり広い公園墓地なのだろうが、見渡す限り、墓地しか見えない。

俺達は、Aさんがまだ到着していないので、仕方なく、そのまま部屋で

待つ事にした。

それにしてもAさんの到着が遅い。

時刻は既に午後10時を廻っていた。

それにしても遅い。

俺は、手持ち無沙汰に、窓から見える墓地をぼんやりと眺めていた。

すると、墓地の中で何か光るものが見えた。

懐中電灯を持った誰かが墓地にいるように見えた。

すると、突然、部屋の電気が消えた。

突然の暗闇に視界が全く確保できない。

俺は、

この部屋に懐中電灯とか在る?

と聞こうとした時、突然彼の叫び声聞こえた。

う・・・うわぁ。

俺は必死に彼の姿を探そうとするのだが、とても見える明るさではなかった。

すると、暗闇の中から、カッカッカッカッという気味の悪い笑い声が聞こえ、

次に、ぐげぇ・・・・という彼の苦しそうな嗚咽が聞こえてくる。

俺は、スマートフォンを取り出し、ライトをONにして、声がする方を

照らした。

その瞬間、俺はそのままの姿勢で金縛りになってしまう。

そこで、見えたのは、苦しそうに涙を流している彼の姿と、それを嬉しそうに

見ながら、彼の上に馬乗りになり、長い髪を生き物のように動かしている女の

姿だった。

その姿は、異様で、痩せ細った顔に、細い目。

そして、その顔には、鼻もなければ耳も無い。

俺は必死に叫ぼうとするのだが、全く声が出ない。

そして、その女は、俺などまるで眼中に無いかのように、彼の顔を愛おしそうに

撫でている。

そのうち、暗闇にも俺の目が慣れてきたが、そこで見たものは更に切迫した

状況だった。

彼はもう呼吸も侭ならない様子で、どんどんと呼吸音が小さくなっていく。

小刻みに、手足も痙攣している。

その時、感じた。

今、目の前にいる女は、間違いなく彼を殺そうとしている、と。

そして、

このままでは、彼が死んでしまう。

せっかく俺に頼ってきてくれたのに・・・・。

そう思い、全身に力を入れるのだが、体は全く動かせない。

たぶん、この女は彼が息絶えた後は、俺を殺そうとするのだろう・・・・。

そんな気がして、絶望に支配されそうになる。

すると、突然、部屋の玄関ドアがバンッと開かれ、強い光が部屋の中を

照らした。

俺は、また新手の悪霊か?

と思っていると、突然、声が聞こえた。

ちょっと、Kさん、何してるんですか?

少しは自分で何とか出来る様に、してくれないと・・・・。

それは紛れもなくAさんの声だった。

そして、Aさんは、懐中電灯の明かりをその女に向けた。

くるっと首だけを回し、Aさんを睨みつける女。

その姿は、悲鳴をあげたくなるほど強烈だった。

しかし、Aさんから出た言葉は・・・・。

はいはい。そんなに怖い顔しても、私は金縛りになんてかかれませんからね。

それと・・・・はい。

すると、突然、俺の金縛りが解けた。

その女は、もう彼から離れ、完全にAさんに対して攻撃態勢になる。

立ち上がったその女は、いように背が高く、細いせいもあって、異様さに

拍車がかかる。

すると、Aさんが、

あんたね。何がしたいのか、私には理解不能なんだけど?

静かに此処で暮らしてる人を、こんな目に遭わせて、どうするの?

まあ、昔から忌み嫌われてきたみたいだから、性根が腐ってるんだね。きっと。

と女を更に刺激するような言葉を連発する。

すると、その女がフッと、一瞬、消えそうになる。

が、すぐにまた、その姿を現す。

すると、Aさんが、

あのね。私も馬鹿じゃないから、逃げられないように、あんたの墓標は、封印

してあるから・・・・。だから、もう逃げ場は無いの・・・・。

おとなしく消されなさい!

そう言うと、手で印のようなものを結ぶと、目を閉じ、何かを呟いた。

白い光が、部屋中を包むと、その女は苦しみもがきながら、どんどん薄くなり、

消えていった。

すると、部屋の電気も点いた。

ただ、彼はグッタリとしているので慌てて揺り起こすと、何とか意識を取り戻した。

そして、しばらく待って彼の体調が戻ると、おもむろにAさんは、俺達を窓の

外に広がる墓地へと連れ出した。

そして、一番奥の端にある、大きな石の墓標の前まで来ると、こう言った。

えっとですね。これがあの女の正体です。

墓標に、封じて鎮める・・・って書いてあるんですよ。

やはり下調べしておいて良かったです。

話を聞いて、ただの霊ではないと思ったので・・・・。

それじゃ、さっき、墓地の中を懐中電灯の明かりが動き回ってたのって、Aさん?

と聞くと、

ええ、勿論です。

昔から、忌み嫌われて、石の下に封印されていた女の悪霊が、何かのきっかけで

外に出ちゃったんですよね。

そんな場合は、悪霊もヤバくなると、墓標の中に隠れてしまうので・・・。

そうなったら、何かと面倒なので、あの女が、墓標から出たのを確認して、

すぐに封印しました。

凄いでしょ?頭いいですよね。私って(笑)

と言って笑うので、

こっちは、もう少しで殺されそうだったんですけど?

と返すと、

まあ、死ななかったんですから、結果オーライということで(笑)

と誤魔化されてしまった。

そして、あの女の霊は、当然、完全に消滅させてらしいのだが、それ以前に彼の

部屋に現れていた女の霊は、そのまま何もしていないという。

だって、悪霊じゃないですから・・・・。

ただ、彼の部屋が気に入ってたまに生き抜きに行ってるだけみたいだし・・・。

それに、あの女の悪霊を恐れながら、彼に危険を教えに来てくれてたなんて、

表彰状でもあげたいくらいですよ!

そもそも、あのアパートが霊道になっているだけで、もともと墓地というのは、

そんなに怖い場所ではありませんから。

確かに霊は居るのかもしれませんが、元々はごく普通の人間だった平和な方達

ばかりの筈ですから・・・・。

そこは誤解しないでくださいね。

そう言われた。

そして、Aさんが言った通り、それから、また、あの妙に明るい女の幽霊は

彼の部屋に現れるようになったらしいが、彼はいまだに、その部屋に住み続けている。

そして、余談だが、その後、当然のように、大量のスイーツを奢らされたのだが、

後に彼が、全て返済してくれたのは、嬉しい誤算だった。

  


Posted by 細田塗料株式会社 at 18:57Comments(47)

2017年08月25日

内灘霊園での体験

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆さん、今日も1日、お疲れ様でした!

今日の金沢は酷いどしゃ降りでした。

道路が一瞬で川になり・・・・。

だから、ただでさえ狭い道路が大渋滞になってしまい(泣)

まあ、もっと大変な地域も沢山在りますから、

頑張らないと!

ところで、コメントで、金沢って怖い土地なんですね~

というのをよく頂きますが、たぶん、何処も似たり寄ったりかも

しれません(笑)

小学生の頃は、父親の転勤で名古屋の昔の昭和区山手通り

というところに住んでおりましたし、大学時代は、神戸の

西区や須磨、舞子、芦屋などにも住んでおりました。

でも、やはり、そういう場所でも、怪異を体験するのは

同じでしたね(笑)

唯一、他と違うと思ったのは、やはり京都でしょうか・・・。

京都は大好きな観光地ですが、やはり住むのは怖い・・・です。

それから、コメントでも新規の方が沢山いらっしゃって、

本当にありがたいことです。

お陰様で、今日の時点でも、ランキング1位でした(涙)

本当にありがとうございます。

はい、勿論、オフ会も本当に企画してみたいですね。

石川県の鳥越地区に、深夜2時集合。

勿論、現地集合現地解散ということで(笑)

まあ、私は怖いから行かないかもしれませんが(笑)

それから、昨日のコメントで、ナスそうめん?の話が

幾つも書き込みされてましたが、正直、私は食べた

事がないですね。

美味しそうなので食べてみたいですが・・・・。

ちなみに、うちの娘は、ゴキ◎リみたいだから

ナスは、嫌いなのですが、焼きナスは、ナスだと

気付いていないのか、大好物みたいです。

頑張れ!大監督(笑)

ということで、少し遅くなりましたが、今夜も

怖くない話、いってみましょう!

あっ、ちなみに今日、お客さんの所で、最近は

特に誤字脱字が多いね~、と笑われてしまいました(笑)

読み難いかもしれませんが、お許しください(涙)

それでは、どうぞ~!



これは俺の友人が体験した話である。

金沢市の隣に、内灘町という所がある。

大きな医大もあり、町並みもそれなりに新しい。

しかし、其処には、内灘町霊園という昔から有名な心霊スポットがある。

実はそこのすぐ横の公園や、海水浴場、そして、放水路でも、過去に恐怖体験

をしている俺にとって、内灘という町は、出来れば避けて通りたい場所である。

その内灘町霊園(通称:内灘霊園)は、入り口のすぐ近くにロータリーがあり、

そこを3回ぐるぐると回り、その後、クラクションを3回鳴らすと、女の霊が

現れるという噂がある。

しかし、その手の話は眉唾物であり、過去の俺の体験からすると、全てガセネタ

というのが正直な感想だった。

何故、3回回って、クラクションを3回鳴らすのか?

どうして、1回や2回では駄目なのか?

そもそも、誰かが1回~順番に試験でもしてみたのか?

という屁理屈をつい言いたくなってしまう。

そして、ある日、俺の所に友人から電話が入る。

あのさ、今夜、内灘霊園行ってみないか?

で、あのクラクションの話が本当なのか、検証しようぜ!

というものだった。

実は、俺は過去に内灘霊園に行った事があった。

夜中の12時頃だったと思うのだが、正直、クラクションの話は実験はしていないが、

とにかく、夜の霊園ということで、やはり体調が悪くなってしまい、早々に

退散した記憶があった。

まあ、内灘霊園にしても、野田山墓地にしても、やはり霊園という場所柄、

霊がいつどこで出没してもおかしくないとは思うのだが。

だから、その友人の誘いには、二つ返事で断った。

行きたいなら勝手に行ってくれ!と。

そして、結論から言うと、その判断は正しかったようだ。

俺に断られた彼は、別の友人1人を誘って、自分の車で内灘霊園に行ったという。

実は、その時、偶然、別の心霊マニアのグループもそこに来ていたらしく、現地で

意気投合した彼らは、一緒に協力して、怪異を検証してのだという。

ロータリーをグルグルと3周してからクラクションを3回鳴らした。

その後、車のヘッドライトを消したり、車のエンジンを切ったりしたらしいが、

結局何も起こらなかった。

それでも、彼らは意地になった様に、反対周りで3周したり、クラクションを

鳴らしてから、3周したりと色々と考えられるパターンを試したそうなのだが、

平和そのもの。

それならば、ということで、霊園の奥の方までも行ったらしいのだが、結局

何も起こらないまま、その企画は終了してしまう。

時刻は既に午前0時を廻っていた。

彼らは時間を持て余してしまい、とりあえずコンビニに寄って、腹ごしらえを

する事にした。

コンビニでおにぎりやらパンを買って、車の中で食べていると、コンビニの前に

1人の女性が立っていた。

とても可愛い女の子で、服装も今風だった。

彼らはすぐに目的をナンパに変更した。

まあ、彼らにすれば、ナンパなど成功した事も無かったから、ただの余興のつもり

だったのだろうが・・・・。

こんばんは!お1人なんですか?

と声を掛けると、明るい声で

はい!待ち合わせしてたんですけど、どうも連絡が取れなくって・・・。

だから、これからどうしようかと思ってたところなんです!

と返してくる。

これは、もしかして、と思った彼らは、

それなら、これから一緒にドライブに出かけませんか?

と誘ってみると、なんとふたつ返事でOKしてきた。

彼らが前の席に座り、その女性を後部座席に乗せて車を走らせる。

すみませんね。高級車じゃなくて(笑)

等と話しかけると、

いえいえ、全然気にしませんから(笑)

と返してくる。

本当に良い子だな~と思い、色々と話していると、どうやら、この近くに住んで

いること。

そして、待ち合わせしていたのは女の友達でどうやらその友達と、カラオケにでも

行こうという予定だったことがわかった。

それを聞いた彼らは、

うん。女の子とカラオケも楽しいかもしれないな~

と思い、それを伝えると、それなら、今からその友達の家に迎えに行こうという

事になった。

そして、彼女に携帯でメールをする、という彼女を見守っていると、どうやら

その友達もOKとのことで、家の近くまで出てるから、車で拾って欲しいとの

事になった。

彼らは、喜び勇んで、その女の子の誘導で車を走らせる。

実はその時、彼らは感じていたのだという。

どうして、連絡がつかないと、コンビニの前で待ちぼうけしていたのに、

メールではすぐに連絡がついたのか?という疑問を・・・。

だから、そこで止めておけばよかったのだが・・・・。

そして、後部座席に乗る女の子の誘導で、もう一人の女の子の家の近くまで

迎えに行く事になった彼らだが、その誘導に従って走ると、どうやら先程まで

彼らが探索という名の時間の無駄遣いをしていた内灘霊園の近くまで来ている

事が判った。

おい・・・こんな処に民家なんか在ったか?

そう思い、段々と不安に駆られていく彼らとは対照的に、後部座席の女の子は

相変わらず、明るく元気に、道案内をしている。

まさか、こんなに元気な幽霊もいないだろ?

と思い、気を取り直して車を走らせていると、前方に人の姿が見えた。

暗闇の中で1人で立っている。

それは、紛れもなく女の子の姿だった。

後部座席に乗っている女の子と同じように、お洒落な服装をしている。

そして、車を見つけて手を振っている。

それを見て、後部座席の女の子も窓から手を出して応える。

どうして、その車が友達が乗っている車だと確信したように手を振れたのか?

そして、この暗闇の中で1人で怖くなかったのか?

普通に考えれば、その時点で何かある、と思うのだろうが、その時の彼らには

そんな冷静さは完全に消え去っていた。

手を振り続ける女の子の横に車を停めると、そそくさと後部座席に乗り込んでくる。

そして、後部座席では、ふたりでなにやら盛り上がっている。

彼らは、こんなに元気な幽霊などいるはずもないと勝手に判断し、後部座席に声を

掛ける。

えーっと、どこのカラオケに行こうか?

しかし、先程、あれだけ元気に騒いでいた後部座席からは、シーンと静まり返り、

返答がなかった。

そこで、助手席に座っていた彼が、後部座席を振り返って、もう一度同じ質問を

しようとした。

そして、凍りついた。

そこには、先程までのお洒落な服装に身を包んだ今風の女の子の姿は無く、白っぽい

薄汚れたワンピースを着た髪の長い女と、白い着物を着た髪の長い女が背筋を

伸ばしたように後部座席に座っていた。

その顔に笑みはなく、まっすぐに前を見つめている。

その姿を見て、呆然としていた彼は、その2人の女の視線が、突然前方から

彼を睨むような目に変わった時、我に帰ったように大きな声を出した。

うわぁー!

その声を聞いて、運転していた友人もまた、ルームミラーで後部座席を見た。

しかし、そのミラーには誰も映っていなかった。

おい、女の子達、どこいった?

すると、助手席の彼が、後部座席から目を話せないままの状態で、

何言ってる?後ろにいるよ!知らない女がふたり・・・・・。

そう言われ、友人はルームミラーを見るが、やはり後部座席には誰も居ない。

やっぱり誰も居ないじゃないか!

友人が怒鳴ると、彼もやっと後ろから視線を外し、緊迫した目で友人を見ると

すぐに車を止めろ!

と怒鳴った。

しかし、車の速度はいっこうに落ちなかった。

だから、彼はもう一度、

おい!聞いてるのか?

と言うと、友人が、

ごめん。ブレーキが効かない・・・・。

それと、ハンドルも・・・・。

そう言った瞬間、彼らは固まった。

車のフロントガラスの上から長い髪が垂れていた。

誰かが車の屋根の上にいる・・・・・・。

そして、それは少しずつ、ズッズッと前にずり落ちるように髪がどんどん

視界を塞いでいく。

彼らは恐怖した。

それは、髪の次にフロントガラスに映りこむものが、予想できたから。

だから、彼らは必死に視線を逸らそうとしたが、それは叶わず、視線が

フロントガラスに釘付けになる。

そして、次の瞬間、フロントガラスには、長い髪を垂らした逆さまの女の顔が

映りこんでくる。

その顔は、満足そうな笑みを浮かべ彼らに笑いかけていた。

その顔は1度見たら忘れられないような気味の悪い顔であり、逆に逆さまに

なっているのが唯一の救いだったのかもしれない。

彼らは何とか意識を失うのを堪える事が出来た。

しかし、次の瞬間、フロントガラスの外側から手が伸びてきて、車のハンドルは

大きく動かされる。

そして、

ドーン!

という大きな音と共に、彼らの車は大きな木にぶつかっていった。

意識があったので、何とか受身が取れたのだろう。

彼らは、即死は免れ、大きく潰れた車に挟まれて大量の血を流した。

そして、彼らがもっとも恐ろしかったというのが、彼らが潰れた車体に挟まれ

身動き出来ない状態で血を流していた時、その2人の女は、まるで死んでいく

彼らの姿を楽しむかのように、じっと間近で彼らを見つめていた。

しかし、大きな音で誰かが呼んでくれたであろう、救急車が近づいて来ると、

残念そうな顔をして、そのまま滑るように後退し、暗闇に消えていった。

その後、彼らは大怪我に加えて、異常な高熱が出て、死の淵を彷徨う事に

なったが、奇跡的に回復し、何とか無事に退院する事が出来た。

今では、彼らは二度とその場所に近づく事はないそうである。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 21:16Comments(61)

2017年08月24日

停電した夜の記憶・・・・。

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆様、今日も1日、本当にお疲れ様です!

残暑が厳し過ぎる日が続きますが、ご自愛くださいませ。

ところで、コメントにも書いて頂いてましたが、発売1ヶ月

以上前にも拘わらず、今日の竹書房さんの文庫本、

amazonの売り上げランキングで、

な、な、な、な、な、な、な、なんと1位でした。

本当に感謝の言葉もございません。

本当にありがとうございます。

昨晩のブログで7~8位と書いたので、逆に皆様に

気を使わせてしまったのでは、と反省しております。

もう、本を出版出来ただけで十分幸せですから。

とりあえず、出版社さんに赤字になって損だけは

させたくないとは思っておりますが、本当にもう

十分ですので・・・・。

何度も言いますが、ありがとうございます!

人生で1位を取ったのは、小学校の駆けっこ以来

ですので嬉しくて信じられない気分です。

コメント欄も賑わっており、どれも楽しく読ませて

頂いております。

だから、もしも、怖い話が書けなくなっても、コメント欄

だけは、そのまま賑やかな状態であると良いな、と

いつも思ってます(笑)

ちなみに、うちの娘は石川県のコスプレリストに写真つきで

載っております。

良ければ、探してみてね!と娘が申しておりました。

ヒントは刀剣乱舞・・・・だそうです。

ということで、今夜も怖くない話、いってみましょう!

それでは、どうぞ~!


これは俺が体験した話である。

先日も関東で大規模な停電があり、ニュースになっていた。

確かに今は停電など殆ど無くなってしまったが、昔は、雷が鳴り、そのまま停電に

なってしまい、ロウソクの明かりだけで晩ご飯を食べたりしていたのを思い出す。

子供心には、それだけで何かワクワクしてしまうような時間だったのだか、

やはり、辺り一面から明かりが消えてしまうという状況は霊達にとっても

別の意味で待ちかねていた状況なのかもしれない。

停電だから、雷が鳴った途端に、突然、家中の電気が消える。

テレビも消え、照明も消え、家の中が真っ暗闇になってしまう。

しかし、昔はそういう事も、よくある出来事にしか過ぎなかったから、ちゃんと

ロウソクや懐中電灯を身近な場所に置いてあり、誰も慌てる事など無かった。

それどころか、いつもはテレビを見ながら食事をしているのだが、逆に

テレビが無くなる事で、家族が会話しながら食事をしたり出来る時間は

子供心にも新鮮であり、ある意味、ひとつのイベントのように感じて

いたのかもしれない。

そして、そのまま朝まで電気が回復せず、明かりひとつ無い中で眠るというのも

よくある事だった。

そして、それも怖いとか不安というよりも、まるで林間学校にでも泊まりに

来た様なワクワクが確かに存在していた。

しかし、その中でも、やはり怖い体験というのも何度かあった。

その頃、俺は家族4人で古い一軒屋に住んでいたのだが、停電になると、よく

見知らぬ人が居るのを目撃した。

それは、ろうそくの灯かりの中で食事をしていた時、ろうそくの灯かりの中で

トランプや花札をして家族で遊んでいた時、それらは間違いなく俺や家族のすぐ

側に居た。

年老いた男性の時もあれば、中年の女性の時もあった。

そして、それは確実に家族も気付いているようで、そんな時は、わざと

はしゃいだりしているのが分かった。

ただ、それはいつも寂しそうで、且つ優しそうな顔でじっと立っているだけであり、

危険なものとは感じなかったから、もしかすると、ご先祖様だったのかもしれないが。

しかし、そうでない時もあった。

夜、停電の暗闇の中で寝ている時、特に、母親や兄と一緒に寝ていて、知らないうちに

俺以外が寝てしまった時に、それは現れた。

そういう時は、妙に耳がよく聞こえた。

そして、外を吹く風の音に混じって、何かが外を走ってくる音が聞こえた。

そして、その足音は俺の家の前で立ち止まると、なにやら奇妙な音が聞こえる。

それは壁をよじ登っているのではなく、何か手のような物が家の壁を

這い上がってくるような音だった。

そして、それは、次の瞬間、窓をコンコンとノックするようになる。

姿を見た訳ではないが、それが逆にとても怖く、俺はその音が聞こえると

いつも布団に包まったまま、窓の下から長い手を伸ばして、コンコンとノック

している異形のモノの姿を想像しては、恐怖していた。

そして、いつも、そのまま知らないうちに眠ってしまい、そのまま朝になった。

それを俺は家族に話すのだが、どうやら母親だけは、何か気付いていたらしく、

まあ、色々あるのよ。世の中には・・・・。

という意味深な説明をしていたのを覚えている。

そして、もっとも怖かった体験も、やはり寝ていた時だった。

そういう時は必ず、夜中に目を覚ました。

相変わらず、停電が続いているらしく、窓の外にある外灯も消えたまま。

そんな暗闇の中で、突然、階段を上る音が聞こえたのだ。

それは、決して聞き間違いなどではなく、明らかに誰かがゆっくりと階段を

のぼってくる音に違いなかった。

その音は、明らかに普通の足音ではなく、一歩階段をあがる度に、何かが階段の縁に

ぶつかる様な音が聞こえるというものだった。

ギシッ・・・・・ゴン・・・・・ギシッ・・・・ゴン

そして、一歩あがる度に、次の一歩まではかなりの間隔が空いていた。

まるで、一歩のぼる度に大きくため息をついている様に感じた。

そして、そこまでして階段をのぼってくるソレの目的は何なのかと、いつも

恐怖していた。

そして、階段をあがってくるたびに、少しずつ、

ギシッ・・・・ドン・・・・・・ギシッ・・・・ドン

という音が大きくなってくるのがわかった。

そして、階段をのぼり切ると、今度は

ズルッズルッズルッと這う様な音が聞こえてくる。

俺は、きっと夢なのだろうと思い、思いっきり頬をつねるのだが、明らかに痛かった。

それは、廊下をゆっくりと這うようにして動くのだが、どうやら、その音は

俺の部屋に向かって近づいてくるのが分かった。

ハァハァハァハァ・・・・。

苦しそうな声も混じって聞こえてくる。

そして、それは俺の部屋の前まで来ると、俺の部屋の木製の襖をゴソゴソとまさぐる。

それは、手で取っ手を探しているに違いなかった。

そして、しばらくすると、静かに襖は開かれる。

スー・・・スー・・・スー・・・・スー・・・。

それは一気に開くのではなく、まるで少しずつ開きながら部屋の中の様子を

覗っているようだった。

そして、次の瞬間、それは部屋の中を這い回る。

とてもゆっくりとした動きだが、間違いなく俺の部屋の畳の上を這うような

音が聞こえる。

俺は、布団の中で固まったまま震えていた。

今すぐにでも大声で助けを呼びたかったが、そうすることで、他の家族まで

危険に晒す事が怖くて、それも出来なかった。

そして、ソレは、少しずつ、俺の足元に近づいていき、突然、俺の足が摑まれる。

ゴツゴツとした手だった。

そして、その力は強く、俺の足をグイグイと引っ張る。

俺は布団から引きずり出されないように、と必死に体に力を込める。

しかし、子供の力では到底、その力に及ばず、グイグイと俺の体は布団から

引きずり出される。

そして、ちょうど下半身が布団から露出したところで、ソレは俺の上に

圧し掛かってきた。

その体はとても冷たく、ベトベトしていた。

俺は、思わず、小さな悲鳴をあげた。

子供心にも、それは死というものを実感させられるには十分な恐怖だった。

俺はこのまま、こいつに連れて行かれるのかな・・・・。

そう思った時、突然、部屋の電気が点いた。

布団の中からも、外が明るくなるのが判った。

すると、下半身に乗っていたソレは、またズルズルと移動し、そして、すぐに

その音は聞こえなくなった。

俺は恐る恐る布団から顔を出すと、部屋の明かりだけてなく、窓の外の外灯も

明るく点いていた。

偶然なのか、は判らないが、停電が復旧した事で、俺は助かったのだろう。

それからは、停電になった時は、必ず親と一緒に寝るようになった。

しかし、あの時のソレは一体何者で、そして俺をどうしようとしていたのか、

そして、あの時、停電が復旧しなかったら、俺はどうなっていたのか?

それを考えると、今でも怖くなる思い出である。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 19:55Comments(40)

2017年08月23日

通夜で起こった怪異

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆さん、こんばんは。

今日も1日、お疲れ様です!

昨晩、私が吐いた弱音?に対して、皆さん、コメントで

色々と真剣にご心配頂きまして、本当にありがとうございます。

まあ、心配させる様なことを書いた私が悪いのですが・・・。

私としては、可能な限り、書けるなら書きたいと思っております。

以前は、身の回りや身体に、説明不能な出来事が起こり、

その為に、ブログを数ヶ月休んでしまう、という事も

ありましたが、最近は、お香の効果か、護符の力か、

いたって平和な状態です。

なので、疲れが溜まってるとか、ではなく、単に

筆が進まない・・・という奴ですので、ご心配なく!

元々、根性もなく、チキンな性格ですから、辛くなったら

すぐに泣き言をいうかもしれませんが、そんな時は、

少し休みを取る事もあるかもしれませんが・・・。

ただ、今は、自分が書いた物に対して、コメントを

頂いたり、読者様間でのコメントのやり取りを

見るのが何より楽しみですので、出来れば、

このペースで続けていければ、と思っております。

それに、この程度で休んでいるようでは、

文庫本が大ヒット→ノーベル文学賞→アイドル歌手デビュー

→ハリウッドデビュー→世界征服・・・という未来予想図に

陰りが出てきてしまいますので(嘘です)

それと、毎日、仕事が終わってから、大体30分位で

書き上げるんですが、その際、コメントでもお奨めされて

ましたが、高中正義とか、カシオペア、増尾好秋など、

トロピカルな曲を聴きながらエンジョイしてますので(笑)

まあ、そのせいで、誤字脱字が多いのかもしれませんが(泣)

あ、っそれと書き忘れてました。

昨日の時点で、出版先の竹書房さんの売り筋ランキングで

7位~8位という快挙でした!

これは、発売前としては凄い事らしいです。

これも、ひとえに皆様がご予約をしして頂いた結果だと

思い、心から感謝しております。

本当にありがとうございます!

ということで、今夜もいってみましょう!

怖くない話。

書けなければ、明日は休むかもしれませんが(笑)

それでは、どうぞ~!






これは俺の知人から聞いた話である。

彼の出身は福井県。

しかも、かなりの山間の小さな村だという。

そんな彼が大学生の頃に体験した話が以下の話だ。

ある時、関西の大学に通う彼の元に、祖母が亡くなったという知らせが入る。

死因は老衰というから、かなりの年齢だったのだろう。

そして、実は彼はその亡くなった祖母とは、あまり仲が良くなかった。

そのせいか、大学に行ってからは、一度も福井にある実家へは帰らなかった。

しかも、彼の両親は既に福井県の山間の田舎から、福井市内に移り住んで

いたから、帰る必要も無かったのかもしれないが・・・。

しかし、亡くなったという知らせを受けた以上は、いくら大嫌いな祖母とはいえ、

葬儀に顔を出さないわけにはいかなかった。

そこで、彼は祖母の通夜の前日には久々に山間の実家に帰るつもりでいた。

しかし、どうしてもバイトのローテーションの関係で、帰るのが遅れてしまう。

結局、彼が実家に戻ったのは、通夜の当日の昼だった。

予定より遅れて、葬儀式場である村の公民館に現れた彼を見て、彼の両親が

文句を言うでもなく、こう言った。

よく戻ってきてくれたな!

早速だけど、すぐにおばあちゃんの死に顔を見てきなさい、と。

それを聞いた彼は、

え~、そんなもの見たくないよ。

大体、俺、ばあちゃんの事、大嫌いなのに・・・・。

だから、尚更、そんなもの見たくないよ!

そう言って、死に顔を見るのを拒否した。

すると、今度は親戚も加わり、死に顔を見るようにと迫ってくる。

だから、彼は仕方なく、死に顔を見るフリをした。

どうせなら、1人で見たいから、と言って両親や親戚を部屋から出し、しばらく

時間を潰してから部屋を出た。

部屋から出てきた彼に、親戚や両親は、

本当にちゃんと死に顔を見たんだろうな?

としつこく聞いてきたが、彼は、それも適当にあしらって、そそくさと

外へと逃げてしまった。

それから、従兄弟達と、外で、色々と話をして時間を潰したが、やはり、従兄弟達

も皆、祖母の死に顔をしっかりと見せられた様だった。

しかも、何故、そこまで執拗に死に顔を見ろと迫るのかと尋ねた従兄弟も

いた様だったが、それも曖昧な返事で誤魔化されてしまったらしい。

しかし、結局、従兄弟達と話した結果、祖母の死に顔を見ていないのは

彼1人だという事が分かった。

そして、ある従兄弟が言っていた言葉が気になった。

それは、この集落の葬儀では何故か理由は分からないが、死に顔を見ていない

者は葬儀には出られないということ。

いや、葬儀が終わるまでは、この集落に近づく事も許されないという事。

そして、それを破った者は命の危険に見舞われるという言い伝えがある、と

いう事だった。

それを聞いて、さすがの彼も少し気味が悪くなったが、どうせ大昔からの

単なる言い伝えだろうと高をくくった。

そして、夕方になり、通夜が行われる公民館に戻ると、何やらバタバタと

せわしなく人が動き回っていた。

彼は親戚の1人を呼び止めて話を聞くと、どうやら、祖母の遺体の手足を

縄で縛り、棺おけにも、しっかりと蓋が開かないようにと、頑丈な縄を

巻いているのだという。

それは、もしも、通夜に参列した誰かが、祖母の死に顔を見ていなかった場合

を想定しての事だと言った。

まあ、そんな事をしても無駄だろうが・・・・と。

彼は本当に不思議だった。

何故、これだけ大勢の大人達がたかが通夜の事で、これほどまでに神経質に

なっているのか、と。

そして、いよいよ通夜が始まった。

こんなに沢山の人がこんな集落に居たのか?と思えるほど、沢山の弔問客。

そして、それを手際よくこなしていく、受付。

本当に何処にでもあるような通夜の風景だった。

こんなに沢山の人が居るのに、いったい何が起きるっていうんだ?

彼はそう思いながらタバコをふかしていると、突然、1人の叔母に呼ばれた。

そして、

お前が、本当に死に顔を見たかどうかは、もう問うまい。

ただ、お母さんがあんたの事を嫌っていたのは周知の事実だからねぇ。

だから、騙されたと思って、これを持っていなさい。

万が一の時は、これがお前を助けてくれるかもしれないから・・・。

だから、葬儀が終わるまでは、絶対に肌身離さず持っているんだよ!

そう言って、一枚の人の形に切り取られた白い紙を渡された。

紙の中央には、大きく、彼の名前が書かれていた。

彼は以前からその叔母には世話に鳴なっていた事もあり、素直にその言葉に

従う事にした。

そして、通夜が始まった。

お坊さんがお経を読み、参列者が順番に焼香をする。

それも、ごく普通の通夜にしか見えなかった。

そして、何も起こらないまま、通夜は終わる。

通夜が終わると、交替で夜通しの番となる。

祖母の遺体の側で過ごす事になるが、これも、通夜では当たり前の事だと認識

していたから、彼は取り立てて、拒絶する事も無く、自分の見張り番を

問題なく完了した。

そして、次の当番に備えて仮眠を取っていた時、突然、彼はフッと目を覚ました。

時刻は、午前2時を少し回っていた。

どこからか、スー・・・パタンという音が聞こえてきた。

誰かがトイレにでも行ったのだろうと思い、彼はそのまま寝ようとした。

すると、また、スー・・・・・パタンという音が聞こえた。

それはどうやら廊下から聞こえてくるようであり、襖を開けては閉める

という行為を繰り返してているように感じた。

一体誰が?

そう考え出すと、もう眠るどころではなかった。

だから、彼はそっと廊下を覗いてみる事にした。

これだけ多くの親戚が、同じ屋根の下に居るのだから・・・・。

それも、彼の心の支えになっていた。

彼は、静かに襖を開けて、そーっと廊下を見た。

すると、斜め向かいの部屋の襖が開いていた。

彼は、先程からの音の主を見極めようと、声を殺して様子を覗った。

すると、誰かが部屋から廊下出てきて、襖をパタンと閉めていた。

彼は思わず叫んでしまいそうになった。

なんと、そこに居たのは紛れもなく、亡くなった祖母に他ならなかった。

祖母は、白い装束を着た姿で、摺り足で動き、襖を開け、部屋の中を見て回り、

その後、廊下に出て襖を閉めるという行為を続けていた。

それを見た彼は、恐怖で固まってしまった体を何とか動かし、部屋に戻ろうとした。

そして、その時、ちょうど隣の部屋に入ろうと襖を開けている祖母と目が合ってしまう。

その時、祖母は間違いなく薄気味悪い笑みを浮かべたという。

彼は、急いで部屋に戻り、布団の中に入った。

その部屋には、彼の他に従兄弟が3人寝ていた。

いざとなれば、大声をあげて助けを呼べばいい・・・・。

そう思い、布団の中へと潜り込んだ。

すると、ちょうど祖母が居るであろう、隣の部屋から、声が聞こえてきた。

おや、おかしいねぇ、ここにもいないのかい・・・・。

それを聞いて彼は鳥肌が立った。

その声は間違いなく、祖母の声だったのだから。

そして、彼は確信した。

祖母が探しているのは、きっと自分なのだろうということを・・・・。

しかし、俺を探して一体どうしようというのか?

それを考えると、更に恐怖が増していく。

彼は必死に恐怖に耐え、布団の中で寝たフリを続けた。

すると、スーッという音が聞こえた。

間違いなく、彼が今、寝ている部屋の襖を開ける音だった。

彼は息を止めてじっと動かなかった。

なんとか、やり過ごせれば・・・・。

カサカサ・・・・カサカサ・・・・・

部屋の中を忙しなく動き回る音が聞こえ、そして、彼の枕元でその音は止まった。

彼の心臓は、もう外にも聞こえるのではないかと思うくらいに大きく脈打っていた。

突然、ふわっと布団がめくられる。

え?

彼は思わず、上を見た。

すると、そこには、彼を見つけたことが嬉しくて仕方ないといった様な顔で、

ニターッとした笑みを浮かべた祖母が彼の顔を覗き込んでいた。

うわぁ・・・・

彼は、思わず声を出した。

いや、実際には恐怖で声にはならなかった。

すると、祖母は彼の手を掴み、グイッと布団から彼の体を引きずり出した。

凄まじい力は、とても年寄りのそれとは、到底思えなかった。

そして、そのまま暴れる彼の体を引きずりながら、腕一本を掴んだまま、

祖母は廊下へ出た。

ズルズル・・・・ズルズル・・・・。

彼の体はいとも簡単に廊下を引き摺られていく。

彼は必死で大声を出して、抵抗しようとした。

しかし、声は声にならず、彼は必死に体をジタバタさせるのみだった。

普通なら、声が聞こえなくても、バタバタと足で床を鳴らしていれば、誰かが

気付くものだと思うのだが、誰もその音に反応しない。

彼の腕を掴む祖母の手は、まるで氷のように冷たく、腕に食い込む指が、あり得ない程

痛かった。

そして、祖母は、自分の遺体が安置されている部屋の前までやってきた。

彼は、しめた!と思った。

その部屋ならば、間違いなく誰かがいる筈だったから。

しかし、その部屋に入ると、誰も居ない。

何故、だれも居ないんだ?

当番の奴らは?

必ず誰かが寝ずの番をしている筈なのに・・・・。

そう思い、彼は再び絶望の底へと突き落とされてしまう。

そして、部屋の中を見ると、祖母の遺体を入れてあった棺おけの蓋がはっきりと

開いているのが分かった。

その時、彼は確信した。

今、自分を引き摺っているのは、化け物でもなんでもない。

紛れもなく、なくなった祖母本人だということを。

俺は、それほどまでに祖母に恨まれていたのか・・・・・。

そして、両親や親戚にあれだけ言われたのに、頑として、死に顔を見るのを拒んだ

事を悔いた。

その時、思い出した。

叔母からもらった人型の紙の事を。

彼は、イチかバチか、その紙を祖母の手にくっ付けた。

すると、祖母は般若の様な顔で振り返り、何かを探し出す。

既に彼の腕は、祖母から解放されていた。

だから、すぐにわかった。

祖母が自分の体を探しているのだという事を・・・・。

しかし、どうしても見つけられないようで、祖母はそのまま彼が祖母の手に

くっ付けた人型の紙を持って、棺おけの中へと入って行った。

それを見ながら、彼はフッと意識を失ってしまった。

それから、彼が目覚めたのは、朝陽があがってからの事だった。

心配そうに彼を見つめる両親の顔は、彼が無事だと分かると、すぐに怒った顔

になった。

どうやら、彼が祖母の死に顔を見ていなかった事は既にバレているようだった。

そり後、彼は両親から説明された。

大昔、その集落で死人が出ると、必ず、通夜の夜に蘇り、誰かを連れて行く

のだということを。

そして、それは何故か、死に顔を見た者は、狙われないということが分かってからは、

必ず、葬儀に参列する者は、死に顔を見なければいけないというしきたりに

なったのだという。

そして、それは、今でも実際に続けられている事であり、現に数年に1人は、

通夜の夜に一緒に連れて行かれるのだという。

ちなみに、その時は、彼は危険だという事で、すぐに葬儀への参列を中止して、

福井市の家に帰らされたらしい。

その後、彼の身に怪異は発生していない。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 21:00Comments(33)

2017年08月22日

2階の宴会場には・・・・。

サインディスプレイ部  営業のKです。

今日も皆様、お疲れ様でございました。

先日の私のお願いに対して、沢山の関西方面の

情報をあげて頂きまして、本当にありがとうございます。

本当に感謝しております。

それと、今日はどうもスランプですね(笑)

書く話は沢山あるのに、全然、進みません。

ということで、怖くもない話をアップさせてください。

明日から、また頑張ります!

それでは、怖くない話(本当に!)

どうぞ~!




これは俺が体験した話である。

俺はよく金沢市内に在る居酒屋へ友達と飲みに行く。

その店はとにかく安くメニューも豊富であり、そして美味しい。

まあ、店の名前を出すのは、これ以上、お客が増えても困るので

伏せておくが・・・。

実際、カウンターが15席とテーブル席が3つと狭い店なのもあり、

いつでもお客で賑わっている。

だが、ある日、その店に飲みに行くと、珍しくお客が少なく、俺は

静かな店内で、これまた静かに1人飲みを楽しんでいた。

すると、天井の方から、賑やかな声が聞こえてきた。

まるで、宴会でもしているような騒がしさだった。

実は俺は、その店に2階の宴会場がある事を知らなかったので、

お店の看板娘さんに聞いてみた。

今日は2階で宴会なの?

それにしても2階に宴会場があるなんて、知らなかったよ、と。

すると、看板娘さんは、一瞬困惑した顔をして、小さな声でこう言った。

うん。2階には宴会場があるよ。

でもね、そこはもう使っていないの。

2階への配膳とか、色々と大変だから、今は完全に開かずの間になってる。

でもね。たまに、2階から声が聞こえるって言われる事があって・・・・。

誰もいない部屋から声が聞こえるって怖いでしょ。

だから、気にしない様にしてるの。

実際、ここで働いている私達家族には、何も聞こえないしね。

聞こえる人と聞こえない人がいるみたいなんだけど、Kさんって、

そういうの聞こえる人なの?

そう返された。

だから

まあ、聞こえる様な聞こえない様な・・・・・・。

と曖昧な答えをしておいた。

しかし、それからもその店に行く度に、2階の宴会場から賑やかな声が聞こえてきた。

そして、それは他の客には全く聞こえていないようであった。

そして、2階の宴会場から聞こえる声に対する俺の好奇心は、ある時、我慢の限界を

超えてしまった。

俺はトイレに行くといって、席を立ち、そのまま気付かれないように静かにゆっくりと

階段を上がっていく。

当然、階段にも2階の廊下にも明かりなど点いている筈もなく、俺は手探りで暗闇の

中を上がっていった。

そうしていると、やはり人間の目というものは、暗闇にも慣れてくるもので、

段々と目の前の視野が開けていくのがわかる。

2階から聞こえてくる声は、相変わらず賑やかであり、まさに宴会が盛り上がっている

かのようだ。

俺ははやる気持ちを抑えながら、静かに階段をのぼり、そして2階の廊下に

着いた。

襖の向こうの部屋からは、笑い声、叫び声、そして、畳の上で走り回っている

音など、様々な音が振動とともに聞こえてくる。

しかし、俺はなかなか襖を開ける気にはなれなかった。

何故なら、襖を開けたら、きっとそこには暗闇と静寂だけが広がっている

のだろうという確信があったから。

だから、俺は目をつぶって、襖の向こうで展開されている人外のモノ達の

宴を想像した。

そして、そんなに楽しそうな宴会を俺が襖を開ける事で終わらせるのは、

やはり気が引けた。

そして、どれくらい、そうしていただろうか。

突然、階段の下から悲鳴のような声が聞こえた。

俺は、ハッとして階段の下を見ると、どうやらトイレに来た人が俺を見つけて

声を出したらしい。

それにしても、悲鳴をあげなくても良いだろう?と思いながら、下の人に向かって

あっ、すみません。怪しい者じゃないですよ(笑)

というと、

違う!後ろ!あんたの後ろだ!

そう言われ、俺はとっさに背後を見た。

すると、俺のすぐ後ろに、着物を着た女が立っていた。

しかも、座っている状態で見上げると、異常に背が高い。

そして、俺を見下ろす目は、異常な怒りに満ちていた。

しかし、その時の俺は何故か落ち着いていた。

間違いなく襖を開ければ、後ろの女もすぐに消えてしまう・・・。

そんな根拠の無い思い込みがあった。

だから、俺は、一気に襖を開けた。

俺は呆気に取られてしまった。

そこには、暗闇の中、宴会の料理が正方形に並べられ、その前には、背後に立つ

女と同じような格好をした男女が、正座したまま、首だけをこちらに向けて

俺を睨んでいた。

それは間違いなく、人間ではないモノ達の宴に見えた。

そして、部屋に充満している線香の様な匂いも、その異様さを際立たせた。

ヤバイ!

それしか感じなかった。

俺は、そのまま転がるように階段を落ちていった。

下に着くと、体が痛かったが、たいした怪我はしていないようだった。

俺は、再び、階段の上を見ると、その女が、ゆっくりと体の向きを変え、

襖の向こうに消える所だった。

そして、しばらくすると、また2階からは宴会のような賑やかな声が

聞こえてきた。

俺は二度と、その店の2階を見てみようとは考えなくなった。

あちらにはあちらの世界の楽しみがきっとあるのだろうし、それを邪魔しては

いけないのだ。

ちなみに、今でもその店にはよく飲みに行くが、相変わらず、2階からは

賑やかな声が聞こえてくる。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 19:53Comments(41)

2017年08月21日

ドアをノックするのは・・・・・。

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆様、今日も1日お疲れ様です!

こちら、金沢はまた暑さがぶり返した感じです。

お陰で、仕事中に食べるアイスが美味しいこと!(笑)

それと、コメント欄でも皆さんご覧になったようである、

本当に怖い話、2017、夏。

お客さんの所で、第1話だけ強制的に見せられました。

マンションの話だったと思いますが、飛ばし飛ばしで

見ましたのでストーリーはよく分からないんですが、

やはり、音楽やカメラアングルなどの演出が怖すぎます(泣)

今夜はもう寝られないのが決定したも同然です(涙)

あんな再現ドラマをさらりと観てしまう勇者揃いの読者様には、

太刀打ち出来ませんね。ほんと。

実際、危ない話は一切載せていませんが、もしも載せたとしても、

そんな程度なの????となってしまうと思います。

そういう話ほど、展開的には、さほど怖くなかったりしますので。

まあ、絶対に書きませんので、ご安心ください(笑)

それでは、今夜も少し遅いですがいってみましょう!

本当にあった怖くない話、2017夏。

それでは、どうぞ~!






これは俺の体験談である。

その日、東京方面に出張に行き、日帰りの予定が一泊して翌日も引き続き、

仕事を続ける事になってしまった。

場所は銀座。

何処か空いてるかな~と思い、スマホで検索すると、なんとも格安なビジネスホテル

が見つかった。

勿論、銀座という場所で考えると安いというたけであり、金沢市のビジネスホテル

に比べれば、格段に高いのだが・・・・。

会社に連絡し許可を貰い、さっそくそのビジネスホテルを予約した。

行ってみると、なかなか立派なビジネスホテルであり、やはり銀座という

土地柄なのかな~と勝手に納得していた。

フロントでチェックインを済ませ、指定された部屋に行く。

4階の一番左端の部屋だった。

部屋に入ると、さっそくシャワーを浴び、クーラーの効いた部屋でのんびり過ごす。

無駄遣い出来るほどのお金は持っていなかったので、夕食は近くのコンビニで

弁当を買ってきて済ませた。

そして、弁当と一緒に買ってきた缶チューハイを飲んで、ボーっとテレビを

観ていると、さすがに仕事の疲れなのか、強い睡魔に襲われて、俺はそのまま

寝てしまった。

そして、目が覚めたのは午前1時の少し前だった。

本当は目が覚めず、そのまま朝まで寝られれば良かったのだが、目を覚ますと、

テレビも照明も点けっぱなしで寝ていた事に気付き慌てて起き上がると、

とりあえず、テレビを消した。

嫌な時刻に起きちゃったな~と思ったが、ホテルに泊まるときにはいつも行う

御札探しをしていないことに気付き、すぐに部屋の点検を始めた。

そして、幸運にも御札が見つからず、ホッとしていると、突然、ドアをノック

する音が聞こえた。

俺は、思わず、

はい?

と言ってしまったのだか、よく聞いてみると、どうやら隣の部屋のドアをノック

しているようだった。

それにしても、従業員か、来客なのかは分からないが、とにかくしつこく

ノックを続けている。

それだけノックしても返事が無いのなら、留守かな、と普通は思うのだろうが、

そのノックは4回続けて鳴り、しばらくして、また4回ノックするという事を

ずっと繰り返していた。

俺は特に短気ということもないのだが、どうもそのノックの音は静まり返った

ホテルの静寂を壊すかのように響き、まるで耳の側で直接ノックされている

感覚にさえ陥ってしまう。

しかも、時刻を考えれば、普通、それだけ長くノックを続ける事はしない。

俺は一言文句を言ってやろうと、部屋のドアを開けて、廊下に身を乗り出すように

しながら、隣の部屋のドアを見てみる。

ちょっと、今何時だと思ってるんですか?

という言葉を用意して覗いたのだが、すぐにその言葉を引っ込める事にした。

そこには、ベージュのトレンチコートを着込んだ背の高い女が、部屋の中を

覗き込む様にしながら、部屋をノックしていた。

長い髪が腰の辺りまで伸び、顔は見えなかったが、とても痩せているのが

分かる。

そして、その女は、ずぶ濡れの状態であり、コートからはポツポツと水滴が

廊下に落ち、その女の立っている部分にだけ小さな水溜りが出来ていた。

見なかった事にしよう・・・・・。

俺はとっさにそう判断し、静かに部屋のドアを閉めた。

そして、念の為に、窓から外を見てみたのだが、曇り空ではあるのだが、

雨など一滴も降ってはいなかった。

どうして、あの女はあんなにずぶ濡れになってるんだ?

寝起きの頭が少しずつ覚醒していく。

そして、俺はフロントに電話してみる事にした。

そうすれば、全てがはっきりするに違いなかったから・・・・。

俺は室内の電話からフロントの番号を回す。

しばらく呼び出し音が鳴った後、従業員らしき男性が電話に出た。

はい。フロントですが・・・。

ああ、すみません。413号室に泊まっている○○というものですが・・・。

実は、隣の部屋のドアをずっとノックし続けている女性がいるんですが・・・。

隣の部屋の宿泊客は、留守なんですか?

そう言うと、従業員は、

しばらくお待ちください。

と言って、一旦、電話を保留にした。

その間も、ノックの音は鳴り続けている。

そして、3分くらい待たされた後、再び、従業員が電話に出た。

すみません。お客様。

お隣の部屋には、今夜はどなたもご宿泊されておりません・・・・。

そして、女性が・・・と仰いましたが、今夜の宿泊客は全員が男性客でございます。

また、私共も、ずっとフロントにおりますが、女性が入って行った形跡は

ございません。

きっと、見間違いか、と思うのですが・・・・。

そう言われ、

それじゃ、今ずくにこちらに来て、自分の目で確認してくださいよ!

と語気を強めたが、

わかりました。今は少々取り込んでおりますので、手が空き次第、お客様の

部屋へ確認に生かせて頂きますので・・・・。

という予想通りの返事が帰ってきた。

まあ、こんなもんだろうな・・・・。

俺は1人で妙に納得し、そのまま寝てしまおうと思った。

勿論、電気を点けたままで・・・・。

それが最も安全な行為だと過去の体験から学んでいたから・・・。

出来るだけ気にしない様に寝ようとしたが、やはりノックの音が気になって

なかなか眠れない。

そこで、テレビをつけて音量を小さくしたままで寝ようとした。

これは良い作戦だったらしく、しばらくするとウトウトと眠たくなってきた。

が、次の瞬間、ある事に気付いて、俺はベッドから起き上がる。

ノックの音が違うのだ。

先程までは確かに隣のドアをノックしていたのだが、今は間違いなく、隣の壁を

ノックしている。

俺は恐る恐るテレビを消して音に集中してみる。

すると、そのノックの音は、俺が居る場所を探るかのように部屋の壁を少しずつ移動

している。

そして、何故か、苦しそうな息づかいまで聞こえたような気がして、俺は再び

テレビをつけた。

気にしない様にしようとすると、尚更気になってしまう。

俺は寝るのを諦めて、いつでも逃げ出せるように?仕事用のスーツに着替えた。

不思議なもので、服を着替えていつでも外に出られるようになっただけで、少しは

心にも余裕が出た。

しかし、次の瞬間、再び、俺は息を呑む。

ノックの音がまた移動していた。

それも、どうやら、外の壁をノックしているようだった。

俺はついつい、その女が、隣の部屋の窓から身を乗り出すようにして、手を伸ばし

壁をコンコンと叩いている姿を想像してしまい、パニックになってしまう。

もう我慢が出来なかった。

女が壁に張り付いているのなら、今のうちにこの部屋から出て行けばいい。

俺はそう決断し、荷物を持って、部屋のドアへと向かった。

そして、ドアのロックを解除しようとした瞬間、目の前のドアからコンコンと

いうノックの音が聞こえた。

俺は思わず、ドアから飛びのいた。

そして、後ずさりするようにしながら、ベッドにへたり込んだ。

どうすればいい?

必死に考えたが、何も浮かんでこない。

ドアの前に女がいる以上、この部屋からは出られない。

窓の外は、4階の高さなのだから・・・・。

俺は、ベッドの中に逃げ込み、布団に包まって、ノックの音が聞こえなくなるのを

待つしかなかった。

そして、しばらくすると、ノックの音が止んだような気がした。

助かったのか?

いや、待て・・・さっきは隣の部屋にあの女は難なく入っていたんだぞ?

だとしたら、この部屋にだって入れるんじゃないのか?

そう思った瞬間、突然、俺が逃げ込んでいるベッドの木のフレームをノックする

ような音が聞こえた。

全身に鳥肌が立つ。

全神経が耳に集中する。

すると、ノックの後に、間違いなく

ハァハァ、という苦しそうな息づかいが聞こえてくる。

しかも、それは、俺の耳元から聞こえてくる。

布団一枚隔てたところに、あの女の顔がある・・・・。

もう耐えられない・・・・。

どうする?

俺は一瞬思考が停止した後、すぐに結論を出す。

このまま、此処にいては危険だ・・・・。

という結論を。

俺はイチかバチか、ベッドから飛び起きるようにして立ち上がった。

俺はその瞬間、なかば絶望してしまった。

そこには、俺よりも身長が遥かに高い女が、ニンマリと笑って立っていた。

長い髪とトレンチコートからは相変わらず、ポタポタと水滴が落ちている。

そして、あり得ないほどに丸く大きな目と、大きくへの字に曲がった口が、

それが人間ではない、ということを物語っていた。

もう逃げ場は無かった。

明らかに、俺の決断は失敗だった。

俺は、もう既にグッタリと力が抜けてしまい、ただ、呆然とその女が動き出すのを

見つめていた。

その時、突然、携帯が震え出した。

マナーモードにしておいた携帯に電話が掛かってきたのだ。

そして、その瞬間、口惜しそうな顔をして、その女はドアの方へと滑るように

消えていった。

もう、相手が誰かは分かっていたが、俺は電話に出た。

すると、

本当に、東京まで行って何やってるんですか?

Kさんのせいで、私の貴重な睡眠時間が削られちゃいましたよ。

ということで、今回も偶然じゃなくて、貸し・・・ですから(笑)

おみやげ、甘いもの、お願いしますね(笑)

それじゃ、私はもう寝ますので・・・・。

あっ、それと・・・・私が電話を切らないうちに、さっさとその部屋を出て、

ロビーまで行ってくださいね。

電話切ったら、また現れますよ。さっきの女(笑)

そう言われ、俺は逃げるように部屋から出て、ロビーへ降りるエレベータに

乗った。

そして、1階に到着し、エレベータのドアが開くと、電話の向こうから、

はい。もう安全ですよ~。

頑張ってロビーで寝てくださいね~

と言う言葉とともに、電話が切れた。

その後、疲れきってしまい、ロビーで勝手に寝てしまった俺なのだが、結局

従業員からは朝まで起こされる事はなかった。

やはり、あの隣の部屋には何かがあるのだろう。

その後、東京駅で大量のスイーツ系みやげを買って帰ったのは言うまでもない。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 20:31Comments(43)

2017年08月20日

通せんぼ

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆様、今日もお疲れ様です!

昨晩はコメントで、ほん怖、なる番組をかなり

多くの方が観ていらっしゃったようで・・・。

尊敬します・・・というか凄いです。

私は絶対に心霊系の番組や怖い話というのは

観ないし読みません。

何故かと言えば、間違いなく夜眠れなくなるから(泣)

やはり、怖くないとはいえ、このブログを読んで頂いている

皆さんは、恐怖に対する耐性が高いんでしょうね。

ちなみに、再現ドラマ系の心霊番組がもっとも苦手です(笑)

それと、コメントは載せないで欲しいとの要望がありましたので、

載せてないのですが、ある方から、ある日洗面所の鏡に

「死」という文字が浮かび上がり、誰に聞いてもそんなものは

書いていないと言われ、不審に思い何度か携帯の動画で

その洗面所を撮影すると、オーブらしきものが映りこんだのだが、

それは何かの前触れでしょうか?オーブは埃でしょうか、それとも

やはり霊的なものでしょうか?という質問がありました。

オーブに関しては撮影した状況が分からないのでなんとも言えませんが、

本当に誰も書いていないのに、鏡に、死、という文字が

浮かんだとしたら、もしかしたら、本物かもしれませんし、何かの

前触れなのかもしれませんね。

ただ、本当に霊が鏡に、死という文字を書いたのであれば、きっと

何かを伝えたいのだと思いますし、その場合、1度消しても何度か

鏡に文字が浮かび上がるだろうな、と思います。

ここの読者様は、私など足元にも及ばないような博識の方が

沢山いらっしゃいますので、皆さんの意見もコメントに書き込んで

頂けるとありがたいです。

それと、これも、お願いなのですが、関西方面で、強い力を持った

霊能者や、除霊を生業としている神社仏閣をご存知の方は

これまた、コメント欄に書き込んで頂けると助かります。

事情は訳あって説明出来ないのですが、関西地区で

困っている方がいるものですから。

どうか、宜しくお願い致します。

それでは、今日もいってみましょう!

怖くない話。

どうぞ~!





これは俺の友人が体験した話。

そして、Aさんとはバンド繋がりで共通の友人である。

まあ、友人というよりも、Aさんが弟のように可愛がっている間柄だ。

その彼から聞いた話がこれから書く話だ。

彼は仕事で測量をしている。

通常、2人~3人で現場に向かい、その場所で色んな角度から測量をする。

しかし、その時は現場の下見ということもあって、彼1人で現地を訪れた。

通常は下見など行わないそうなのだが、彼がその時、現地を下見させられた

のには理由があった。

それはその場所がいわくつきの場所だったからである。

勿論、会社としては、そんないわくなど信じている訳ではなかったが、やはり

そんな噂があがる以上は、何か原因となるものがある筈であり、それが測量の

妨げにならないか、という事を下見して確認して来い、との指示だった。

車で現地に着くと、そこには廃屋が数軒残っており、その中心部には、小さな

池があった。

彼は車から降りて、その集落の中を見て回る。

釣りが好きな彼は、一番最初に、中央にある池を見に行った。

仕事そっちのけで、魚いるかな~、という感じで池の中を眺めていると

その池は、通常では考えられないほど、濁り、澱んでいた。

これは、魚が生きられる環境じゃないな~

等と呑気な事を考えていると、どんどん天気が悪くなっていき、辺りが一気に

暗くなった。

まあ、それでも過去に心霊体験など無かった彼は、その後も呑気に集落の中を

歩き回る。

廃屋の側まで行っては、ここにはいつ頃まで人が住んでいたんだろう?と1人で

感慨に耽っていた。

すると、何処からか視線を感じる。

彼は、辺りをキョロキョロと見回すが、誰も居ない。

そして、ふと、視線を上げると、今まさに彼が目の前に立っている廃屋の2階の窓から

男性がこちらを見ている。

彼は、

廃屋じゃなかったんだ・・・・。

と思い、2階の窓に向かって、

こんにちは!

と明るく挨拶した。

しかし、2階の窓から彼を見つめる男は、無言のまま。

彼は、

感じ悪いな~

と思いながらも、

ぺこりと頭を下げて、その場から退散した。

廃屋だと思ってたけど、誰か住んでるのか?

それにしても、あんなボロボロの家に住めるものなのか?

等と考えながら歩いていると、ある事に気付いた。

ちょっと待てよ・・・・。

この場所には○○○が建つ予定なんだ。

だから、測量の依頼も来た。

だとしたら、間違いなく此処に建っている民家は全て空家の筈だろ?

なのに、何故、あんなところに人が居るんだよ?

彼は急いで車に戻り、廃屋に人がいた事を会社に報告しようとした。

しかし、携帯は圏外。

あれ?なんで?

と思ったが、彼は先程見た男が不法侵入者だったら、と思い、怖くなって、

早くその場から立ち去ろうとした。

車のエンジンをかけ、発進する。

彼は車で、元来た道を戻ると、そこには道の真ん中に人が立っていた。

そして、手を横に振って、この道は通れない、というような動きをする。

それも、どうみても工事関係の人間には見えないような、古めかしい着物を着た

女性が立っているのだ。

彼は窓を開けて、どうにか通れないか、と頼んでみようと思ったが、止めた。

それは、その女が気味の悪い笑い顔を浮かべていたから。

彼は仕方なく、その道を通るのを諦めて、別の道を探す事にした。

下調べした時には、その集落に行くには、3本の道があった。

だから、彼は、他の2本の道を探した。

すると、ポツポツと雨が降ってきた。

まだ時刻は昼を過ぎた頃だというのに、まるで夕暮れのような暗さになる。

彼は、ヘッドライトを点けて、別のルートを探した。

すると、またしても前方に誰かが立っている。

ここは、無人の廃墟になってしまった集落じゃないのか?

彼は思ったが、現に彼の目の前には、通せんぼをするように、1人の女が立っていた。

そして、ヘッドライトでその女を照らした時、彼は戦慄した。

その女は紛れも無く、先程、別の道で通せんぼをしていた女に相違なかった。

どうして?

車より速く移動出来るわけ無いのに・・・・。

彼は頭が混乱してしまったが、それでも、見間違いだと自分に言い聞かせ、

またしても、別のルートを探す事にした。

今度は、かなりスピードを出して走った。

そして、最初に行った道へと戻ってみる事にした。

人間ならば、絶対に戻っている筈はなかった。

しかし、またしても車のライトに浮かび上がったのは、先程と同じ女だった。

しかも、ワイパーを忙しく動かさなくてはいけない様な雨なのに、その女は

傘も差していないのに、全く濡れている様子が無かった。

彼は確信した。

今、目の前に立っている女は、人間ではないということを。

彼は、恐怖で固まっていた。

初めて体験する霊体験に、完全に飲み込まれてしまっていた。

冷静な判断も出来ないほどに・・・・。

彼が車の中でハンドルを握り締めながら恐怖に耐えていると、目の前の女が

動き出した。

どうやら、後ろを追いて来いと言っている様だった。

そして、彼はその女の後ろをまんまと追いていった。

その女が道から離れたのなら、さっさとその道を通れば良いモノを・・・・。

そして、そこからしばらく女の後を追いて行くと突然、女が道の端に寄って、その道の

前方を指差した。

やっぱり助けてくれようとしたんだ。

良い霊というのも、やっぱりいるんだ・・・・。

そう思い、半ば、感謝すらしてしまった彼は、前方の道をめがけて車を発進させようと

した。

その時、突然、携帯に電話がかかってきた。

あれ?さっきは圏外だったのに?

そう思いながら電話に出ると、聞きなれた声が聞こえる。

Aさんだった。

そして、

本当に馬鹿だよね~

何してるんだか(笑)

まあ、人が良過ぎるんだよね。

あのね。その道走って行ったら、崖下に真っ逆さまだから・・・・。

道路が途中で崩れてるからね。

その女、あんたを助けようとしたんじゃなくて、殺そうとしたんだからね。

分かってないと思うけど・・・。

そう言われて、彼は車を急停止させた。

そして、Aさんに、そう言われてしまうと、急に言いようの無い恐怖が襲ってきた。

目の前に入るのは、決して良い霊などではない。

自分を殺そうとした程の悪霊なのだ。

そう思うと、耐えられない位のストレスを感じてしまう。

だから、彼は言った。

やっぱり自分の足で走って逃げるしかないんですかね?

すると、Aさんは大笑いしてから、こう言った。

あのね。あんたが思ってるほど、簡単なものじゃないよ。

車から出たら、もう終わりだって思った方がいいよ。

そう言われて、彼は更にパニックになり、

じゃあ、どうすればいいんですか?

すると、Aさんは、冷静な声で諭すように言った。

何もしなくて大丈夫!

私、もうその場所に車で向かってるからさ。

だから、そのまま車のドアをロックして、お経でも唱えてて!

あっ、怖さ紛らす為に、大音量でカーステレオなんか聴いちゃ駄目だよ。

あいつらは、利用出るものは全て利用するんだから・・・。

聞こえてくるのが、音楽じゃなくて、あいつらの声になっちゃうかもしれないしね。

あっ、もうそろそろ着きそうかな。

良かったねぇ。

私が偶然近くに居て(笑)

そう言って電話が切れた。

勿論、その時はAさんがとんでもない霊能者だということを彼が知っている筈もなく、

彼は

大丈夫なのかなぁ?Aさん・・・・。

と心配していたそうだが、その後の一部始終を見て、彼もAさんのイメージが

変わったという。

車で到着したAさんは、さっさと車から降りて、その女に近づいていった。

先程、電話で、車の外に出たら、終わり・・・だと聞かされていた彼は気が気でなかった。

しかし、すぐにそれが取り越し苦労だと分かった。

それは、まるで、イタズラした小学生を叱る先生のようだったという。

腕組をしながら、時折、叱りつけるように指差す。

そして、どんどんその女の霊が、まるで蛇に睨まれた蛙の様に、小さく微動だに

しなくなっていく様は、彼の恐怖心を払拭するには十分過ぎるものがあった。

その後、Aさんは、何やら手で不思議な動きをしたようで、それに

合わせるように、その女はうっすらとなり消えていった。

そして、彼の車に近寄り、こう言ったという。

此処にはまだ悪さをする霊が居るみたいだから、掃除しとくからね。

あんたの仕事が出来なくなっちゃうもんね。

だから、あんたは、すぐに帰りなさい。

じゃないと、また通せんぼされちゃうかもしれないぞ(笑)

そう言われ、彼はそそくさと会社に帰っていったという。

そして、その後行われた測量は何事も無く無事に終わった。

実は、その話を聞いた時、彼にこう聞いてみた。

その後、Aさんから甘いもの奢らされなかったか?と。

すると、全くそんな事は無いという。

だから、俺はその点をAさんに指摘した。

すると、

大丈夫ですよ。

ちゃんと、Kさんから奢ってもらいますから(笑)・・・・。

と言いきっていた。

納得いかないと感じるのは俺だけなのだろうか?
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 17:44Comments(38)

2017年08月19日

その地下鉄に乗ってはいけない!

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆様、今日も1日お疲れ様でございます。

あっ、9月29日に竹書房様から発売となります

文庫本のタイトルが

結局、『闇塗怪談』で確定致しましたので、

ご報告させて頂きます。

これは昨晩の編集者様とのやり取りなんですが、

○○○に関する怖い話ってありますか?

と聞かれ、

ああ、ありますよ!

と言って、書き上げて、OKをもらい、そのまま

本に載るそうです。

自分でも思いました。

どれだけ沢山の怖い話をストックしてるんだ!と。

残念ですが、まだまだ終わりそうもありません(笑)

やはり、ライフワークにするしかないですね(笑)

それと、最近、コメントでよく映像化の話をお聞きするんですが、

まあ、それは無理としても、漫画にでもなれば、面白いな、と

思い出しました。

まあ、売れないでしょうけど、ただ自分が読んでみたい

だけなんですけどね(笑)

まあ、そろそろ運を全て使い果たしそうなので、早死に

しそうですが・・・。

もしも、死んであの世に行ったら、きっと今まで散々

書いてきた悪霊達・・・・いえ、悪霊様達に苛められそうですね(涙)

そんな親の気持ちも知らないうちの娘は、今日は宿題そっちのけで、

私が買ってきた、板チョコモナカアイスを勝手に冷凍庫から出して

真剣な顔で何かやっていました。

何やってるの?

と聞くと、

板チョコモナカのチョコだけを先に食べられないかな~と

思って、と言いながら、板チョコモナカを分解してました(笑)

それって、板チョコモナカを否定する行為だろ?

と言うと、

全ては否定するところから始まるんだよ!

そこから人類は進歩してきたんだから・・・。

と、もっともらしい事を言いながら、結局は無断で

私の板チョコモナカアイスを完食する事に成功していました。

ほんと、宿題はいつするんだろ?

ということで、今夜も怖くない話、いってみましょう!

それでは、どうぞ~!



これは東京に住んでいる友人の体験談である。

彼は東京のとある設計事務所で働いている。

東京に出てから結婚し、子供も2人いる。

ただ、やはり東京の住宅事情は厳しいらしく、車での通勤など不可能であり、

かなりの時間を要して、地下鉄などを利用しての通勤になるらしい。

ちなみに、これは余談だが、金沢市に住む俺の通勤時間は、車で10分。

こういう面は田舎に住んでいて良かったと思える数少ないメリットである。

話を戻そう。

ちなみに、彼には霊感は無いに等しい。

しかし、波長があってしまえば、こんな事にも遭遇してしまうというのが、

今回の話なのだが。

その日、彼は、抱えている仕事をこなす為に会社に1人残って残業していた。

いつもは、基本的には残業は出来るだけしない主義らしいが、さすがに

繁忙期ともなれば、そうも言っていられない。

そして、時計を見ると、時刻は11時を回っていた。

彼は地下鉄(東京メトロ)の最終電車に間に合うようにと、すぐに帰り支度

を始め、そそくさと会社を出た。

そして、いつものように、電車に乗りつぎ、何とか地下鉄の最終電車に間に合った。

先程も書いたが、彼は出来るだけ残業をしない主義なので、実はこの時が、

地下鉄の最終電車に乗るのは、初めてだった。

だから、最終ということになると、きっと朝の出勤時のような混雑になるのだろうと

予測していた。

しかし、駅のホームに降りると、彼の他には、誰もいない。

それどころか、駅員の姿さえも見えなかった。

おいおい、もしかして、最終便に間に合わなかったのか?

彼は不安になり、腕時計を見た。

すると、最終の地下鉄が来るまでは、まだ5分ほど余裕があった。

さすがに、予定時間よりも早く地下鉄が出てしまう事はないだろう、と思い、

ホッとした。

そして、たぶん、皆、あと5分あるから、来ていないだけで、もう少しすれば、

地下鉄を待つ乗客で一杯になるのだろう、と解釈した。

しかし、それから、時間が経てど、誰もやって来ない。

そして、何故かとても静かに滑るようにして、最終便の地下鉄が入ってきた。

その地下鉄の車両は、彼がいつも見慣れている物とは違い、真っ黒に塗装されていた。

それにしても、黒っていうのもセンス悪いよな~と彼は思った。

そして、ドアが開く。

彼は不思議な気分で、その地下鉄に乗り込んだ。

何故なら、1人だけで乗り込むなどということは、それまでに経験が無かったから。

そして、彼が乗り込むのを待っていたかのように、ドアは閉まり、静かに

地下鉄は走り出す。

彼は車内を見渡した。

それは、彼がそれまでに見たことのある車内とは様子が違い、どこか古めかしい。

レトロといってしまえば、それまでだが、何処か違和感を感じる。

そして、更に違和感を感じたのが、乗客が異常に少なかった事。

最終電車とは、そういうものなのかもしれないとは思ったが、それにしても

異様に少な過ぎる。

彼が乗り込んだ車両には、彼の他には、年配の男性二人と、若い女性が

ひとりだけ、そして、その全員が寝入っている、という状態だった。

これじゃ、地下鉄の会社も採算が採れないだろう・・・。

彼はそんな下らない事を考えながら、自分が何処に座ろうか、と辺りを見渡す。

しかし、彼はその時、何故か、その地下鉄車両に変な興味が沸いた。

いつもは、人で混雑しており、車両を見て回る事など出来る筈もないのだが、

これだけ少ない状態なら、車両の中を歩いていって、先頭車両まで行く事

だって出来そうだ。

そして、車両の中に、一体どれだけの乗客が乗っているのかを確かめたくなった。

これは、彼の悪い癖なのだが、1度、好奇心が沸いてしまうと、止まらなくなる。

彼は、今居る車両から、隣の車両に移り、更に隣の車両へとどんどん進んでいった。

しかし、進むに連れて彼は言いようの無い不安に駆られてしまう。

乗客が誰一人居ないのだ。

最初は、最終電車というのは、こんなに乗客が少ないものなのか、と驚いただけだった。

しかし、これだけ車両を進んいっても誰一人乗客が居ないというのは、明らかに

異常過ぎる。

それに、おかしな事は他にもあった。

この地下鉄はいつも彼が通勤で利用しているものであり、どれくらいの間隔で

駅に到着するのか、ということがある程度分かっている。

しかし、彼が乗ってから、この地下鉄は一度も停車していなかった。

彼は不安に襲われながらも、どんどんと車両を進んでいった。

車両をどんどんと前に向かって進んでいけば必ず先頭車両に行き着く筈だった。

そして、先頭車両には、必ず運転手がいる筈だった。

これは、いつも彼が利用している普通の地下鉄車両なのだということを自分自身に

納得させたかった。

だから、彼はひたすら脇目も振らず、どんどんと前の車両へと進んでいった。

しかし、どれだけ進んでも、先頭車両には着けない。

まさか、これほど長い車両など存在する筈が無かった。

彼は立ち止まり、その場で考え込んだ。

俺は何かとんでもない間違いを犯してしまったのか?

だとすれば、一体何がまずかったのか?

彼は途方に暮れてしまう。

そして、すぐ側の座席に座ると大きく天を仰いだ。

すると、ある事を思い出した。

そうだ!この地下鉄は携帯が使えるんじゃないか!

彼は、背広のポケットからスマホを取り出して、自宅に電話してみた。

数回の呼び出し音のあと、通話状態になった。

あっ、もしもし、俺だけど・・・・。

しかし、電話の向こうからは返事がなかった。

彼は再び、

もしもし?もしもし?

と問いかける。

声が段々と荒々しくなってしまう。

すると、電話の向こうから、突然

もうすぐだ・・・・。

という低い男の声が聞こえた。

彼は驚いて、

おい。お前誰だ?そこで何してるんだ?

妻や子供達はどうした?

と怒鳴りつけたが、電話はすぐに切れてしまう。

彼には電話の声に聞き覚えなど無かった。

それに、どうして、妻が電話に出ないんだ?

もしかして・・・強盗?

彼の頭は完全にパニックになってしまい、すぐに自宅に電話をかけ直そうとした。

しかし、発信履歴を見ると、そこに表示されていたのは、彼の自宅ではなく、見たことも

ない番号だった。

彼は、急いで、電話帳から自宅に電話をかけようとするが、今度は電話が圏外に

なってしまう。

いったいどうなってるんだ?

彼はスマホから視線を外し、前方を見た。

思わず、息が止まりそうになった。

そこには、彼が座る反対側の座席のガラスに映る数え切れないほどの男女が見えた。

それは大人の男女だけでなく、子供や老人なども居り、その誰もが、苦しそうな

表情で窓の外から彼を覗き込んでいた。

彼は、ウワァという声を上げて座席から飛び起きた。

そして、一目散に、今度は彼が元々乗車した車両をめがけて走り出した。

どれだけ前に進んでも誰にも会わなければ、先頭の車両にも行けない状況では、

彼にはそれ以外の方法が思いつかなかった。

そして、走り始めてわかった事。

それは、彼を窓の外から覗き込んでいたのは、反対側の窓だけではなく、彼が座って

いた席のすぐ後ろの窓にも、窓を埋め尽くすようにして、苦しそうな顔が並んでいた。

そして、それは次の車両、そして、また次の車両に行っても同じ状況であり、彼が

必死に走っているのを苦しそうな顔で睨みつけていた。

おいおい、走ってる地下鉄なんだぞ?

どうして、窓の外に立てるんだよ?

そう思ったが、それはすぐに愚問だと気付いた。

それは、これまでの彼が体験した事は全て常識では考えられない事ばかりだったから。

彼は必死に走り続ける。

今度は逆に、車両の中で誰かに出会ったら?と思うと、とても恐ろしかったが、

それでも、何とか気力を振り絞り、走り続ける。

かなりの時間、走った。

もう既に彼が乗車した車両に到着していても、おかしくなかったが、目印である

3人の乗客の姿が何処にも見当たらなかった。

すると、気のせいか、地下鉄が減速をした様な気がした。

いや、間違いなく、ブレーキをかけているような、感覚が伝わってくる。

彼は焦った。

何故なら、停車してしまい、ドアが開けば、外に居るモノ達がいっせいに車両内へと

なだれ込んでくる確信があったから・・・・。

彼は走る速度を速めた。

彼の気持ちの中には、どうせ窓の外に居るモノ達に襲われるのだとしても、他の

乗客が居た方が少しはマシという変な思いがあった。

しかし、どれだけ必死に走っても、あの3人の姿が見つけられなかった。

それところか、地下鉄は確実に減速を続け、明らかに停車しようとしているのが

確実になる。

キーキーという嫌な音を立てて、更にブレーキがかかる。

もう、人が早足で歩く位の速度しか出ていなかった。

そして、彼が一体どんな駅に停まるのか?と窓の外を見るが、相変わらず窓の

外は、完全なる暗闇の世界だった。

この地下鉄は、こんな何もない暗闇に停まってどうしようというのか?

そう思ったが、彼は考えるのを止めた。

その答えは、とても恐ろしいものだと感じたから・・・。

そして、いよいよ、地下鉄は完全に暗闇の中で停車してしまう。

それでも彼は必死に走り続けたが、ふと窓の方を見ると、漆黒の闇の中に張りつく

数え切れないほどの姿が、とても異様に感じ、彼は、なかば諦めて、走るのを

止めようとした時、前方に何かが見えた。

そこには、1人の男の子が座っていた。

そして、彼に向かって手招きをしているのが判った。

普通なら、その状況で見知らぬ男の子に手招きされれば、絶対に近づかないと

思うのだが、その時、何故か、その男の子からは、怖いとか怪しいという印象は

全く感じられず、それどころか、不思議と暖かい気を感じたという。

だから、彼は急いで、その男の子の隣の席に座った。

すると、その男の子は、

絶対に目を開けちゃ駄目だよ。

とポツリと呟いた。

彼は、その男の子のいう事に従って、静かに目を閉じた。

目を閉じていると、不思議と穏やかな気持ちになってくるのが分かった。

すると、地下鉄のドアが開く音が聞こえ、足音はしないのだが、彼の周りには

沢山のモノ達で埋め尽くされているのが、目を開けなくとも良く分かった。

しかし、その男の子の隣に座り、目を閉じていると、不思議と怖くなかった。

きっと、目を開ければ・・・・・。

という気持ちもあったが、その恐怖に支配される事も無かった。

そして、そのまま彼は意識を失ったのか、寝てしまったのか、は分からないが、

次に目を覚ますと、終点に着き、駅員さんに揺り起こされている自分が居た。

夢かとも思ったが、彼の手の上には、まるで先程の男の子が痕跡を残すかのように

置いていった紙切れが置かれていた。

そこには、

もう、こっちに来ちゃ駄目だよ。

と書かれていた。

それを見て、駅員さんの前なのも忘れて、彼は号泣してしまった。

それは、助かったという涙と、その男の子がいなくなった事から来る不思議な気持ち

が混ざった涙だった。

それから、地下鉄の終点から、タクシーに乗り、彼は無事に帰宅できた。

しかし、それ以後は絶対に、終電は利用しない様にしているという。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 18:43Comments(28)

2017年08月18日

追いつけない女



コメントで、順番が入れ替わってるとか、

今日は更新無いんですね?

という書き込みがありましたので、アップしなおします。

たぶん、数字前に書き上げて、下書きとして保存してたのが

原因かと思われます。

申し訳ありませんでした。

それでは、気をと取り直して・・・・・。

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆様、今日も1日お疲れ様です!

何故かAさんのイメージというのが色々と

コメントされていて面白いです(笑)

浅野温子さん、菜々緒さん、アニメの灰原あいちゃん、

など読ませて頂くととても面白いです(笑)

イメージを壊さないように敢えて、誰に似てるというのは

書きませんので、皆さんのイメージで楽しんでくださいませ!

それでは、今夜もいってみましょう!

怖くない話。

もうすぐ連続30日間になります(笑)

うん。我ながら凄いぞ!

それでは、どうぞ~!




これは俺の友人が体験した話である。

彼はその日、大阪方面に出張に出掛けた。

車ではなく、移動中にも仕事がこなせる電車での移動を選んだ。

そして、関西圏での仕事が終わると、もう既にかなり遅い時刻になっていた。

しかし、明日は朝から予定がある為、どうしてもその日のうちに金沢へ

帰らなければならなかったので、何とか時刻表を調べ、乗継があるが、なんとか

その日のうちに金沢へ帰れる電車を確保した。

電車に乗ると、さすがにその時刻になると車内販売もある筈もなく、更に

乗っている乗客もまばらだった。

彼は、疲れもあってか、そのまま寝入ってしまい、気がついたときには、

電車はもう小松あたりを走っていた。

いかん、いかん、と思い、彼は、大阪駅で買った缶コーヒーを飲み干す。

苦味が眠気を消していくのが分かった。

そして、それからすぐに金沢駅に到着した。

彼は荷物用の棚からビジネスバックとおみやげの袋を降ろし、それを両手に

持ち、電車を降りた。

その時刻の金沢駅のホームも、人がほとんどおらず、とても寂しく感じた。

それでも、他の乗客達の流れに乗るようにして、階段を降りて改札口を目指す。

その途中、階段を下りているとき、彼は、ある人に目が止まった。

それは女性であり、夏だというのに、何故か冬用のコートを着ている。

そして、その女性は、今まさに彼が乗ってきた最終電車が停まったばかりの駅のホーム

へ向かって階段をのぼっていく。

誰かを迎えに来たのかな?

と思ったらしいが、もしそうだとすれば、今まさに階段を降りている人の中から

探すのが普通であった。

だとしたら、あの女は、一体何を?

そう思って、その女を見ていると、急にこちらを向いた女と目があってしまった。

そして、その女は、ニターっと笑ったという。

彼は何か気持ちの悪いものを感じ、足早に階段を降りていった。

そして、そのまま、改札を出ると、駅の出口を目指した。

人気の無い駅の構内を足早に走り抜けて、タクシー乗り場へと急ぐ。

自分が何故そんなに焦っているのか、自分でも分からなかったが、何故か

急がなければいけない気がしてならなかった。

しかし、いつもはずらりと並んで客待ちをしているタクシーが1台もいない。

彼はしばらくの間、呆然として立ち尽くしてしまう。

バスはもう動いていない。では、どうやって帰れば良いのか?

彼は途方に暮れてしまったが、それでも、何故か彼の中の何かが彼を

急かし続けていた。

早くこの場所から離れろ!と。

彼は時計を見た。

時刻は12時を少し回っていた。

そして、自宅までの道のりを頭に描く。

やはり、家に居る妻に迎えに来てもらうのも気が引ける。

そう思いながら、携帯を見ると、何故か圏外になっている。

どうして、こんな場所が圏外なんだ?

そう思ったが、今はそれどころではなかった。

そして、

歩いて帰るか!

と心の中で呟き、彼は歩き出した。

歩き始めて、彼はすぐに辺りの異常さに気付いた。

車はおろか、人さえも誰もいないのだ。

それは、まるでSF映画に出てくるゴーストタウンのようであり、まるで

異世界にでも迷いこんだかのような気持ちになる。

彼は仕事で深夜に駅の近くを車で通ることが何度もあったが、こんなに誰も居ない

駅周辺というのは、一度も体験したことがなかった。

何かおかしい・・・・・。

彼はそう感じたが、歩くのを止める訳にはいかなかった。

何故なら、金沢駅から彼の自宅までは、早足で歩いても、ゆうに40分以上

かかる計算だったから。

彼は、歩く足に力を入れる。

家に帰り、シャワーを浴びて寝る、という時間も考えれば、可能な限り早く帰宅

して、さっさと寝てしまいたかった。

そして、ふと、前方を見ると、女性がひとり彼の前を歩いているのが見えた。

その女性は、彼と同じように出張帰りのOLという格好で、彼の前方50メートル

くらいを歩いている。

彼は、やっと人に出会えた事に妙に安心した。

そして、とりあえず、前方を歩く女性を追い越す事を目標にした。

追い越すときには、出来るだけスマートに追い越さないと、相手を怖がらせて

しまうからな、と考えながら、足早に歩くのだが、何故かその女性はいっこうに

近づいて来ない。

彼の方が明らかに身長も高いし、わざと足早に歩いている。

それなのに、どうして追いつかない?

彼は何か秘密でもあるのではないか、と前方を歩く女性を凝視するが、歩く姿は

いたって普通であり、どこにも違和感は無い。

彼は訳が分からなくなってくる。

そして、もう1つの異常に気付く。

彼の自宅は、自慢ではないが、普通の住宅街からは、かなりかけ離れた場所に

ある。

そして、そこに向かう為に、彼は先程から何度も、町を逸れるようにして

曲がっている。

それなのに、その女はまるで、彼の自宅へと向かっているように、同じ脇道へと

曲がっては歩き、今も彼の前方を歩いている。

後ろから、追けているのなら理解できるが、その女は、彼よりも50メートルも

前方を歩き、そして、一度も振り返ってはいない。

そして、もっと不気味なのは、先程からかれこれ10分以上歩き続けているが、

駅から此処に来るまで、相変わらず、車や人の姿を見ていなかった。

いや、確かに前方を歩いているのが人間の女性なのだとしたら、ずっと前から

人を見ている事になるが、その時の彼にはどうしても、その女が、普通の

人間の女性だとは思えなかった。

それどころか、先程から、駅の階段で見た女の笑い顔が頭にチラついてしまい、

心臓の鼓動がどんどん激しくなっている。

彼は、考えた。

このまま家まで歩き続けるべきか、それとも、駅へと引き返すべきか、と。

そして、ふと、子供じみた事を思いついた。

1度、止まってみればいいんだ!

そして、あの女がそのまま歩き続けているようなら、これは俺の単なる気のせい、

であり、もしも、同時にとまったとしたら・・・・・。

それは、ありえない事だった。

そして、彼は、突然、前触れも無く立ち止まる。

前方の女に目をやる。

止まっていた・・・・・・・。

まるで、彼と呼吸を合わせる様に、その女も立ち止まり、その場で固まっている。

もう迷う余地は無かった。

彼は、一気に後ろを振り返り、駅から歩いてきた道を戻り出した。

相変わらず、車も人もおらず、彼の歩く足音だけが、コツコツと聞こえている。

彼は、考えた。

あのまま、彼が自宅へと歩き続けたとしたら、どうなっていたのか?と。

きっと、あの女も、彼よりも先に彼の自宅へとたどり着いてしまっていただろう。

そして、家の中に入り・・・・・。

そこからは想像したくなかった。

と、その時、彼の脳裏に大きな不安が襲う。

彼が、駅から自宅へと歩いているとき、前を歩く女は、彼が次にどこを

曲がるのかを知っているかのように同じ場所を曲がっていた。

そして、立ち止まった時も、同じように立ち止まった。

だとしたら、180度方向転換して、駅へと歩き出した俺に対しては、一体

どういう行動をとるのか?

それは、考えなくても簡単に導き出せる答えだった。

すると、突然、後方から、足音が聞こえてきた。

まさに彼の足音と重なるように聞こえてくるが、間違いなく彼以外の足音が

聞こえてきていた。

彼は、思わず歩きながら、後ろを確認した。

すると、後方から、女が歩いてくる。

それは、先程、彼の前を歩いていた女の姿ではなく、間違いなく、駅の階段で

彼に笑いかけた女の姿だった。

しかも、先程、前を歩いていた女が、きっちりと50メートルという間隔を

保っていたのに対して、その女は、既に彼の後方20メートル位に

近づいていた。

彼は、思わず悲鳴をあげて、歩く速度を速めた。

その時、実は走って逃げようかとも思ったが、そんな事をすれば、後ろの

女も走って追いかけた来そうな気がして、どうしても走る勇気が出なかった。

更に、もしかすると、彼が立ち止まれば、後ろの女も止まってくれるのではないか、とも


思ったが、やはり、それも怖すぎて実行出来なかった。

すると、後方から、かすれた声が聞こえ、同時に線香の様な強い匂いも漂ってきた。

待て~待て~

まるで、地の底から響いてくるような声に、思わず彼は後ろを見た。

すると、そこには、5メートルくらいの後方を、かみを振り乱しながら鬼女

の様な形相で、こちらに手を伸ばしながら追いかけてくる、あの女の姿が見えた。

駅の階段で見た時よりも、かなり背が高くなっており、その細い体と相まって、

異常な位に背が高く見えた。

その身長は明らかに2メートルは超えており、完全に彼を凌駕していた。

駅まではまだかなりの距離がある。

このままでは、追いつかれて摑まってしまう・・・・。

彼は焦ってしまい、生きた心地がしない。

恐怖で足がガクガクしてしまい、まともに歩けない。
これでは、捕まるのは時間の問題だ!

彼は、そう思い、絶望感が満ちてくるのが分かった。

そして、それと同時に、何故こんな理不尽な目に遭わなければいけないのか?

という怒りが込み上げてくる。

そして、その時は何故か、

どうせ捕まるんなら・・・・。

という開き直った気持ちになったという。

彼は、一気に後ろを振り返ると、その女を睨みつけた。

すると、その女も、その場で立ち止まり、彼を見てニタニタと笑っている。

その笑いを見ていると、恐怖感を通り越して、メラメラと怒りが増幅されて

いくのが分かった。

そして、突然、彼はその女に向かって走り出した。

ビジネスバッグをブンブンと振り回しながら・・・・。

それでも、怖かったので、目は薄目を開けるのが精一杯だった。

そして、

舐めんな!  何か用かよ?

と言いながら、その女めがけてぶつかっていった。

何かに当たった感蝕は確かにあったという。

しかし、次の瞬間、彼が目を開けると、その女の姿は消えており、辺りには

車や人の往来が戻っていた。

現世に戻って来れた・・・・・・。

彼はそう思うと、一気に疲れが出て、その場にへたり込んでしまう。

疲れてから、夢でも見てたのか?

そう思ったが、その場には、あの女のものと思われる長い髪の毛が束になって

落ちており、線香のような匂いも残されていた。

やっぱり本当に居たんだ!あの女・・・・・。

そう思うと、再び恐怖で体が震え出した。

そして、その後、彼は通りかかったタクシーに乗り、無事に自宅へと帰った。

その後、彼の身に、怪異は発生していない。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:54Comments(19)

2017年08月17日

24時間スーパーに現れる怨霊(後編)

サインディスプレイ部  営業のKです。

前編をアップしてから、のんびりとリビングで寛いでいると、

うちの娘が、

お父さん、どうしたの?珍しいね。怖い話は?

と聞いてくるので、

ああ、今日の話は2部構成にして、後編は明日だから、

今日は余裕なんだよ~

と言うと、

あのね。お父さん。

もしかしたら、今夜寝て明日の朝には死んでるかもしれないんだよ?

だから、もう書いてあるんなら、ちゃんと、すぐにアップしないと!

今日出来る事は今日のうちに済ませないとね!

それに、後編を待っている人がいるかもしれないでしょ?

まあ、私は絶対に読まないけど・・・・。

と言われてしまいました。

リゾートホテルに行ってもお土産の1つも買って来ないし、

私のアイスやカフェラテも勝手に飲んでは、ぬいぐるみの

せいにするし・・・。

相変わらず、芋虫のように、家の中で冷たい場所を移動

している娘ですが、知らない間に成長したな~、と感心しました。

その後、私に夏休みの読書感想文の宿題をやってくれ!と

頼みに来た時、それは妄想だったと気付きましたが(笑)

ということで、娘の指示ですので、後編もアップさせて

頂きます。

宜しければ、どうぞ!

滅茶苦茶、長いですが(笑)



(前編の続き)

そして、俺に電話をかけてきた。

俺が電話に出るなり、何か怒鳴るように喋っている彼に最初は、頭に来て

電話を切ろうかと思った。

しかし、よくよく話を聞くと、それが、とても切羽詰った状況である事が分かった。

だから、俺はすぐにいつものAさんに電話をかけた。

俺の友人が危険な目に遭ってるから助けてくれ、と。

電話に出たAさんは、相変わらず緊迫感の無い声で、

今、超絶的に忙しいんですけど・・・・。

と言ってくる。

それでも、俺は病院の名前を告げて、待ってるから!とだけ言って電話を切った。

そして、俺が病院に到着すると、もう既にAさんが病院に来ており、待合室で

ポッキーを食べ、看護師さんに注意されているところだった。

ふてくされるようにポッキーをカバンにしまうAさんを見ていると、非常事態だという

事を忘れてしまう。

俺は、

ほら、Kさんのせいで怒られちゃったじゃないですか~

とブツブツ言っているAさんをなだめるようにしながら、指定された

病室を目指す。

その間も、Aさんは、

本当に忙しいんですからね~

と文句を言っていたが、それでも病室の前まで来ると、Aさんの顔つきが変わった。

あっ、そういうことですか。

そう言いながら、俺より先に病室へ無断で入る。

そして、俺が遅れて病室へ入ると、彼女さんはかなり悲惨な状態だった。

そして、彼やAさんを自己紹介させようとした時、Aさんが突然、

黙って!

静かに!

と言ってきた。

そして、そのまま、窓の方まで近づくと、何やら、窓の外をジッと見ている。

それを見て、俺も窓に近づくと、とんでもないものが見えた。

いつも、不思議なのだが、やはりAさんと一緒に居ると、日頃は見えないものまで

はっきりと見えてしまう。

そして、その時、俺の目に映ったのは、窓のから3メートルくらい離れた場所で

宙に浮かび、こちらを睨みつけている女の姿だった。

いや、それは女というよりも、既に怨霊と化しているのか、一見しただけでも

背丈は2~3メートルくらいあり、着ている着物からは、緑色の肌が露出し、

長い手足と、長く鋭い爪、そして、何よりもその顔は、邪悪そのものであり、

俺にでも、それがとても厄介なモノだと容易に想像出来た。

Kさんにも、見えてますよね。(見る事しか出来ないですからね)

とにかくヤバイ奴です。(分からないとは思いますが・・・・)

ここは、私の護符だけでは護りきれません。

私が、アレを押さえ込んでいる間に、姫に電話してください。

そして、病院の名前と、住所を伝えてください!

それだけ伝えれば、あの娘なら、遠隔で強力な結界が張れますから・・・。

いいですか。この病院に結界を張ってくれ、とだけ頼んでくださいよ!

あの娘はまだ高校生なんだから・・・。

あとは、きっちり私がやりますから!

そう言われ、俺は慌てて病院の住所を調べて、姫に電話して、病院名と併せて

伝えた。

すると、姫は電話の向こうから

わかりました。すぐに結界を張ってみます。

お役に立てれば良いのですけど、とにかく、頑張ります!

Aさんには、くれぐれも注意してください、とお伝えください。

きっと分かっているとは思いますが、とても強く狡猾な相手ですので・・・。

もしも、手伝いが必要でしたら、いつでも飛んでいきますので・・・。

そう言って、丁寧に電話を切った。

そして、すぐに暖かい気が病院内に満ちてくるのが分かった。

それと同時に、その女も、抗う術も無く、どんどん病院から引き離されていく。

へぇー、相変わらず凄いもんだな~

と俺が感心していると、Aさんがホッと体から力を抜いた。

そして、彼の方へ向き直ると、

これで、もうアレはこの病院には近づけません。

だから、安心してくださいね。

それと、詳しい話を聞かせて頂けますか?

あっ、私はKさんの師匠をしているAという者です。

だから、Kさんは、私の弟子なんですけど、なんかいつも反抗的で・・・・。

それを聞いて、

おい。いつから俺は君の弟子になったんだ?

と言いたかったが、当然言える訳もなく、そのままスルーした。

そして、一通り話を聞き終わったAさんは、

わかりました。

完全な悪霊ですね。

しかも、かなり古くからこの世に彷徨っている厄介な怨霊になってますね。

貴方や彼女さんが命を取られなかったのは、奇跡かもしれません。

いいですか。

相手はとてもずる賢く強力で、厄介な悪霊です。

色々と事情はあるとは思いますけど、貴方もKさんから連絡があるまでは、決して

この病院から出てはいけません。

今、この病院はとても強い結界で護られてますが、そこから出てしまったら

元も子もありませんので・・・。

彼女を護るのが貴女の役目ですからね。

忘れないでくださいね。

そう言うと、Aさんは椅子から立ち上がり、

それじゃ、さっさと行きますよ!

と言ってくるので、俺が

行くって、何処へ行くの?

この病院から出たら危ないんじゃないの?

と聞くと、

病院から出なきゃ何も出来ないじゃないですか?

全ては、その24時間営業のスーパーから始まっているんですよね?

だったら、そこに行かないと何も解決しないじゃないですか?

相変わらずの大馬鹿っぷりですね。

それに、私に今回の件を頼んでおいて、自分だけ安全な場所にいるなんて、

他の誰が許しても私が許しませんから・・・。

そう言うと、俺に目で合図を送り、そのまま病室から出て行った。

不安そうにAさんの後ろを追いていく俺に、Aさんは、

心配いりませんって。

人一倍強力な守護霊持ってる癖に、何をびびってるんですか?(笑)

と笑ってくる。

Aさんに、そう言われると何故かそう思えるのが不思議だった。

病院を出て、駐車場に行くと、誰かが駐車場に立っている。

雨がポツポツと降り出す。

俺達は、とりあえず、俺の車で例のスーパーまで行く事になり、走って俺の車へと

向かう。

すると、前方に綺麗な女性が立っている。

あっ、凄く綺麗な女の人!

それを聞いて、Aさんは

本当に馬鹿丸出しっていうか、それじゃ、あの彼氏と同じですよ。

あれが、さっき見た悪霊の仮の姿ですよ。

人を騙す時のね・・・・。

そう言われ、俺はハッとしてその女を避けた。

その瞬間、とても嫌な笑い顔をしたのを見てしまった。

まるで、これからの闘いにも自信タップリというような・・・・。

俺達は車に乗り込んだ。

それにしても、あれだけ綺麗な女の姿をしていれば、騙されてもしょうがないかもね!

と俺が言うと、

また、そんな事言ってるんですか?

まあ、私よりは少し落ちますけど、綺麗かもしれませんけど・・・・。

というか、さっさと車発進してくれませんか?

そう呆れたように言われ、俺は車のキーを回す。

しかし、車のエンジンはかからない。

というか、セルモーターすら回る音がしなかった。

どうする?エンジンがかからないんだけど?

と俺が焦っていると、

どうするって、こうするんですよ!

と言い、Aさんは、車のダッシュボードを手で触りながら、何やら呟く。

すると、嘘のようにエンジンがかかった。

凄いね。というか、ビックリ人間コンテストでも出てみれば?(笑)

と言ったと同時に、Aさんのパンチが炸裂した。

サッさと、車出してくださいって言いませんでしたか?

俺は慌ててアクセルを踏み込む。

すると、Aさんがこう言ってきた。

どうやら、アレは私達に、スーパーに来られるのが嫌みたいですね。

ということは、色んな手を使って邪魔してくると思いますから、そのつもりで。

あっ、スピードは絶対に出さないでくださいね!

そして、駐車場から出ようとする俺達の車の前に、突然、その女が現れる。

とっさに急ブレーキを踏む俺に、Aさんは呆れたように言った。

あのね。ブレーキ踏んでどうするんですか?

気にしないで、そのまま轢いちゃいましょう!

と言われたが、俺がさすがに轢くのは抵抗があるんだけど?

と返すと、

そんな事していたら、一生、この駐車場からも出られませんよ!

と語気を強めるAさん。

そして、急停車した俺の車の前に立ち、笑っている恩の顔は、既に異形のものに

なっている。

すると、Aさんが、

はいはい。車をバックさせて・・・・。

はい。この辺でいいですよ。

それでは、ギアをDレンジに入れて、アクセルを床まで踏み込んでくださいね!

と明るい声で言ってくる。

正直、外に居る悪霊と、助手席に座っているAさんのどちらが怖いのかも判断が

つかなくなっていた俺は、言われるままに、車を猛ダッシュさせた。

そして、車がその女にぶつかる瞬間、その女の顔、再び綺麗な顔に戻っており、

チッと悔しそうな顔になったのをてしまった。

そして、車は何の衝撃も無く、そのまま、その女を通り抜けた。

すると、Aさんが

だから言ったでしょうが?

ずる賢い悪霊なんですよ。

とはき捨てる様に言った。

しかし、それからが大変だった。

車を運転していると、いたるところでハンドルが取られてしまう。

まるで、事故でも起こさせようとしているように・・・。

低速で走って居るから何とか回避出来るが、これでは例のスーパーに到着する

頃には一体何時になってしまうことやら・・・。

すると、Aさんが、こう言った。

しょうがないですね。

私は出来るだけ力を温存しておきたいので・・・・。

いいてすか。

今から、Kさんに持っている守護霊の力がどれだけ凄いのか、見せてあげますね。

ということで、深呼吸してください。

そして、車を停めてください。

それから、目を閉じて、心の底から、助けてくださいって祈ってみてください!

えーと。もう良いかな。

それじゃ、車出しても良いですよ。

そう言われ、車を発進させる。

すると、先程とは違い、全く普通に運転が出来る。

すると、Aさんが嬉しそうな顔で、こう言ってくる。

だから、いつも言ってるでしょ?

Kさんには凄い守護霊がついているんだって・・・・。

しかも、アレが全く手を出せないなんて、私が思っていたよりも遥かに強いみたいですね。

うん。笑っちゃうくらいに凄いかも・・・・。

お姉さんに感謝しないといけませんね(笑)

そう言われると、悪い気はしなかったが、何故か俺には守護霊の姿は一切見えないので、

それが少し悔しかった。

そして、車は順調に走り、例のスーパーに到着した。

空がどんどんと曇ってくる。

Aさんの顔も、どこかいつもより緊張しているように見えた。

そして、スーパーの外で待機する。

どうやら、先程から見た、あの女は実体ではなく、実体に会うならば、やはり彼が

言っていた午前0時過ぎが最も良いらしかった。

車の中で待っていると、Aさんは知らない間に寝てしまったのか、スースーと

寝息を立てている。

それにしても、寝ているときは、これほど印象が違うものか、と言いたくなる位に

素直で性格が良さそうに見えるから不思議だ。

それにしても、自分で言うように、とんでもなく綺麗なのだが、どうして

未だに彼氏がいないのかは、理解に苦しむ。

まあ、間違いなくあの性格が災いしているのは言うまでもないのだが・・・。

そうしていると、まるで目覚ましでもセットしておいたように、11時40分

にAさんは目を覚ます。

私が綺麗で可愛くてスタイル抜群゛たからって、寝ている間に何もしなかった

でしょうね?

先程の可愛い寝顔からは想像もつかないくらいの口の悪さだった。

そして、行きますよ!

というAさんの言葉に、俺は

え?俺も行くの?

と返す。

すると、

さっきの運転の時に、Kさんの守護霊がいる限り、Kさんには何も出来ないって

いう事は、はっきりしてるんですけどね?

本当は、Kさんひとりで行ってきて欲しいくらいなんですけど?

と言われてしまう。

俺は渋々、車を降りて、Aさんの後ろをついて行く。

スーパーに入ると、やはり客はもう少なく、一気に緊張感が増してくる。

そして、その緊張感を削ぐかのように、スイーツコーナーに引き寄せられるAさん。

このときばかりは、俺が

はい。しっかりして!ちゃんと、メリハリをつけないとね!

とAさんをスイーツコーナーから引き離す。

そして、彼が言っていたように、その女は、ヨーグルトなどか陳列されている

側に立っており、既に臨戦態勢で俺たちを睨んでいた。

そして、スイーツコーナーから引き離されたAさんも、どうやら、その怒りを、女に

ぶつけているようだった。

しばらく、お互いが止まったままになる。

そして、Aさんが口を開いた。

一応、あの女にも話を聞こうとしたんですけどね。

そして、このまま浄化されてくれないか、と。

でも、無駄でした。

自分の力に相当自信を持っているみたいですね。

まあ、確かに凄いかもしれませんけど・・・・。

そう言われて俺が

そんな凄い奴相手に勝てるの?

と聞くと、Aさんは、黙ってカバンから、得体の知れない箱を取り出す。

そして、その箱から水晶のような石を取り出した。

いつもはこれは使わないんですけどね。

でも、今回は使わないとヤバそうなので・・・。

そう言って、水晶を持って、その女に近づいていく。

一気に、その女の顔が何かを恐れているような顔に変わる。

それは先程までの勝ち誇ったような、自信満々の様子からは想像も出来ないほど

うろたえた姿だった。

しかも、逃げようとしているようだが、動けないようにも見えた。

Aさんは、その女のすぐ近くまで行くと、その水晶のようなものをその女の顔

に向けてかざした。

きっと、周りの誰一人、その女の姿は見えないのだろう。

全く何の騒ぎも起こっていない。

そして、Aさんが水晶を見つめながら、何かを呟くと、その女の姿が白い

光に包まれていく。

無理だよ。もう遅い!

というAさんの声が聞こえた。

そして、その光が次第に弱まっていき、完全に消えると、もう其処にはその女の姿は

完全に消えてなくなっていた。

Aさんが、こちらを振り向いて、

終わりましたよ・・・。

彼氏さんに連絡してあげてください・・・。

そう話すAさんは、いつもよりもかなり疲れている様に見えた。

どうやら、後で聞いた話によると、その水晶がAさんの最後の手段だという事だった。

昔は、強力な悪霊は全てその水晶を使って、消滅させていたらしいが、それはかなりの

疲れを伴うものらしく、出来ることなら使いたくないのだという。

ちなみに、水晶の中に取り込んだ悪霊は、7日経てば、完全に消滅してしまうので、

蘇る事は不可能だという。

そして、疲れきったAさんは、おもむろに買い物かごを手にすると、気に入ったスイーツ

を手当たり次第、入れていった。

さすがにたまったものではなかったので、その中のいくつかは、半額になっている

物と代えてもらった。

そして、Aさんは、こうも言っていた。

24時間営業っていうのも便利なんですけど、もともと、昔は深夜から朝が明ける

までの時間は、人間ではないモノ達が支配していた時間なのだという。

だから、そういう場所には、当然、その手のモノが集まりやすいんですよ、と

話してくれた。

ちなみに、その後、彼女は無事に回復し、彼にも怪異は一切発生していない。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 21:36Comments(33)

2017年08月17日

24時間スーパーに現れる怨霊(前編)

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆様、お疲れ様でございます。

今日から仕事だったんですが、やはり久しぶりの仕事は

かなlり辛かったですね。

コメント欄に、いくつかご質問を頂いておりました。

基本、より安全を期すために、コメントへの直接の

ご返事は控えさせて頂いております。

霊能力の修行についてですが、これは人それぞれだと

思われますので、どれが一番というのは無いのかもしれません。

要は、自分が心から信じられる霊能者やお寺、神社などで

修行されるのが良いのかもしれませんね。

ちなみに、Aさんは、東北の方で、かなりの期間、修行した

そうです。

それと、車に簡単に入ってこられる霊と入れない霊の違い

ですが、これは以前、私も疑問に思ってAさんに質問した事が

あるのですが、Aさんも、分からない、と言っておりました。

回答になっておりませんが・・・・・。

それでは、今回の話は、昨日から書き続けて、ついさっき

書きあがりました。

長いので、前編と後編の2部構成にしてあります。

(これで、明日の分は確保!)

楽しんで頂けると嬉しいのですが・・・。

それでは、怖くない話、いってみましょう!

どうぞ~!




これは俺の友人が体験した話である。

最近は24時間営業のスーパーが沢山あり、とても便利だ。

俺も、仕事で遅くなった時やライブの練習の帰りなどには、よく利用させて

貰っている。

24時間、何でも買えるというのは本当に便利であり、正直、24時間営業の

スーパーが無い生活など考えられない位だ。

そして、その友人も、こよなく24時間営業のスーパーを愛していた一人である。

とにかく、彼は独身で、且つ、仕事が終わるのがいつも遅く、帰りはいつも12時

近くになってしまう。

そんなだから、普通のスーパーで買い物など出来る筈も無く、昔はコンビニで

全て済ませていたそうだが、最近になって24時間営業のスーパーの存在を

知ってからは、そこへ行くのが仕事帰りの日課になってしまった。

とにかく、安価であり、並んでいる商品の種類も豊富。

それでいて、お弁当や食料品などは、もしも残っていれば、通常の半額以下で

買えるのだから、彼が日課にしてしまうのも無理はなかった。

そんな彼が、いつも、そのスーパーへ行くのは、午前0時を少し回った頃。

その頃にはさすがにお客さんだけでなく、従業員の数もやはり少ない。

それは、人ごみを嫌う彼にはうってつけの時間帯であり、誰にも邪魔されずに

ゆっくりとその日の夜の食事を選び、そして、列に並ぶことなくレジを済ませる。

まさに、それ以前の状況と比べると夢のようだった。

そして、ある日、彼はいつものように食品売り場を中心に、色々と商品を見て回って

いると、ある事に気付いた。

まるで、モデルのように、細く背の高い女性が、ちょうどヨーグルトなどが置かれている

スペースの前に立っているのだ。

しかし、その女性は、並べられている商品に背を向けるようにして立っていた。

彼は、

変な人だなぁ・・・・。

と思ったが、それよりも、その綺麗さやスタイルの良さについつい見とれてしまう。

そして、それから彼が午前0時過ぎに行くと、必ずその女性が立っていた。

商品に背を向けるようにして・・・・。

彼は何度か、その女性を目にするうちに、その女性にとても興味が沸いてしまった。

何故、商品に背を向けて立っているのか?

何故、いつも彼と同じような遅い時間に、その女性は其処にいるのだろうか?

もしかすると、誰かと待ち合わせでもしているのか?

だとしたら、それは彼氏なのか?

そんな感じで彼の頭の中で、どんどんと妄想にも似た思いが膨らんでいく。

もしかしたら、その時の彼は、自分でも気付かないうちに、その女性に

好意を抱いてしまったのかもしれない。

彼は何とかその女性と喋ってみたくて、いつも買った事も無いヨーグルトコーナー

へと近づいた。

そして、声をかけようとするのだが、いつも、他の客が来たりして、なかなか

しゃべりかける事が出来なかった。

それでも、諦めることなく、彼は毎回、ヨーグルトのコーナーへと近づいた。

そして、ある日、思い切って声をかける事が出来た。

あっ、すみません。そこのヨーグルトを取りたいので・・・・。

そんな言葉だった。

すると、その女性は、何故か一瞬ビックリした顔をしてから、優しく笑い、

彼がヨーグルトを取りやすい様に、少し左に移動してくれた。

彼は、そんな事がとても嬉しくて、その日はそそくさと家に帰り、お酒を

飲みながら、1人で舞い上がっていた。

綺麗な人だったよな~

それに、声も綺麗だったし・・・・。

もっと、仲良くなれると嬉しいんだけどな~

と、こんな感じに。

そして、彼は次の日も当然のように、そのスーパーへ行った。

すると、やはり、その女性もいつもの場所に立っている。

そして、毎度のごとくヨーグルトコーナーへ近づいていき、また、声をかけようと

すると、その日は、その女性から声をかけてきた。

いつも、いらっしゃってますね・・・・。

お仕事帰りですか?

それを聞いた彼は、完全に固まってしまい、

は、はい!

という変に元気な返事をしてしまう。

それを見て、その女性はまたクスッと笑ってくれた。

そんな感じで、彼はその女性と、そのスーパーだけでの会話を毎日のように交わす

ようになる。

その際、いつも、他の客が、まるで彼を、不思議そうな顔で見ていくのが気になった。

そんなある日、彼に一本の電話がかかってくる。

それは、以前から付き合っている彼女からの電話だった。

そう、彼にはれっきとした彼女がいたのだ。

電話の向こうの彼女の声は、とても弱弱しく感じ、相談がある、との事だった。

だから、彼は翌日、仕事を早めに上がり、彼女のアパートに向かった。

アパートに着くと、彼女はまるで何かに怯えているようだった。

そして、彼女が口を開く。

あの・・・最近、誰か他に好きな人が出来た?

彼は一瞬、ドキッとしたが、その質問に対して首を横に振ると、彼女はこう続けた。

あのね。ここ数日前から、変な夢を見るようになって・・・・。

夢の中に綺麗な女の人が出てきて、貴方から手を引けって・・・・。

貴方は私のものだから・・・・って。

そして、嫌だッて答えると、その女は、

それじゃ、死んでちょうだい!

と言って、私の首を絞めてくるの・・・。

でもね。それは夢だけど夢じゃないらしくて・・・・。

朝起きると、首にしっかりと絞められた痕が残ってるの・・・。

そう言うと、彼女は首を露出させて、その痕を見せてくれた。

首には両手で絞められたであろう指の痕が、はっきりと紫色になって残されていた。

それは、うっすらとした痕ではなく、本当に殺そうとして首を絞めたとしか

思えないような、酷い鬱血状態になっていた。

彼女は続ける。

そしてね。最近では昼間、働いている時でも、電車やバスに乗っている時でも、

ふと、気付くと、その女が視界の中に居て、私を睨んでいるの。

そして、それは何をしても駄目みたいで、どんなに走って逃げても、車を運転して

逃げても、必ず、その女の姿を見てしまうの。

ある時には、車で走っていると、突然、後部座席にその女が座っているのが

見えたりして・・・・。

そして、その女の姿は、最初は綺麗な女の人だったのだけど、見る度にその姿は

どんどん醜くなっていって・・・・。

ううん。醜くというよりも、段々、人では無くなってる気がする。

今じゃ、その姿を見ただけで、悲鳴をあげたくなるくらいに。

私の言ってる事を信じてくれなくても良いから、ただ聞いて欲しくて・・・。

それとも、私、頭がおかしくなっちゃったのかな?

そう言って、泣きながら嗚咽を漏らす。

彼には、彼女の事は一番よく分かっているつもりだった。

何より、絶対に嘘は言わないし、駆け引きもしない。

そして、何よりも、彼女の首につけられた、紫色の指の痕が彼女の話が嘘ではない

事を裏付けていた。

その時、彼は目が覚めた。

自分にとって誰が一番大切な女性なのかという事が、再確認出来た。

彼は彼女に、

もう大丈夫だから・・・。

俺がちゃんと護るから・・・。

そう言って彼女の小刻みに震える肩をしっかりと抱きしめた。

それから、彼は、その足で、いつものスーパーに向かった。

説明など出来る訳も無かったが、とにかく、そのスーパーで会う女しか、

彼には心当たりなど無かったから。

スーパーに着くと、いつもの場所にその女は立っていた。

そして、彼の姿を見ると、嬉しそうに笑った。

しかし、その時の彼には、その女に対する怒りしか存在していなかった。

足早に、その女に近づくと、矢継ぎ早にこう言った。

あんた、何がしたいんだ?

というか、どうして、俺の彼女の住所を知ってるんだ?

俺の一番大切な彼女に一体何をしてくれるんだよ!

頭がおかしいのか?

二度と彼女の前に姿を現したら、ただじゃ済まないからな!

そう怒鳴るように言ってから、彼は少し、後悔した。

何しろ、その女が、何かしたという証拠も無ければ、逆にそんな事を

出来るとしたら、それはもう人間では・・・・。

そう思い、ハッとしてその女の顔を見ると、

ニターッと笑って、こう言った。

だって、貴方には私が見えるんでしょ?

なら、もうパートナーでしょ?

一生離れないから・・・・。

それに、一番大切なものも、無くなれば、私が一番じゃない?

そう言って、気味の悪い笑顔を浮かべる。

その時、気付いた。

間近で、まじまじと見るその女の顔は、確かに綺麗だが、どこか作り物のように

無機質なものだった。

そう、まるで、マネキンのような・・・・。

彼は背筋が寒くなるのを感じ、

わかったな!二度と近づくなよ!

と、はき捨てる様に言うと、さっさとそのスーパーを後にした。

それから、彼は二度とそのスーパーには行かなくなった。

それからしばらくは、彼女がその女の姿を見る事は無くなった。

そして、それが彼には何より嬉しかった。

しかし、それ以後、彼が行く先々で、その女の姿を目撃するようになる。

それは、コンビニで買い物をしている時、他のスーパーで買い物をしている時、車を

運転している時、仕事でお客さんの会社に出向いた時。

そして、スーパーで弁当に手を伸ばそうとした時。

どんな場合でも、その女は彼の前に現れては、ニャッと笑い、すぐに消えた。

そして、彼女が言っていたように、その姿はどんどん醜いものに変わっていき、

既に人間とはまったく異なるものになっていた。

死霊とか怨霊という言葉がピッタリ当てはまるような、とても気味の悪い顔と

ギラギラした目。

それともう直視出来るものではなくなっていた。

彼女が言っていた通りなら、俺もいずれ、夢で首を絞められるのかな?

そう思ったという。

しかし、昔から変に責任感だけは人一倍強かった彼だから、それでも良いと思って

いたのだという。

全ては自分が招いてしまった凶事なのだから、自分が苦しめば良い、と。

そう、彼女にその女が近づきさえしなければ、と。

そうしているうちに、きっと時間が解決してくれるだろう、と。

だが、ある日、警察から電話が入る。

仕事中に車を運転していた彼女が事故を起こして入院した、という連絡だった。

突然、猛スピードのまま、鉄製の壁に自らぶつかっていったとの事であり、

意識はあるが、予断を許さない状況なので、すぐに病院まで来て欲しいという

内容だった。

更に自殺の可能性もある為、その辺の事情も聞きたいと。

そもそも彼女は車の運転でスピードなど出すはずも無く、自殺など考えるはずも

無かった。

もしかして・・・・あの女が・・・・・・。

急いで病院に駆けつけた時、彼女はICUにこそ、入っていなかったが、それでも

かなり危険な状態だったという。

かなりの数の生命維持装置が、彼女を取り囲むように配置されており、そんな中で

意識だけは在る彼女が、とても可哀相で見ていられなかった。

そして、何かを話そうとする彼女に、彼は耳を近づけた。

彼女は、苦しそうな声でこう言った。

今も窓の外にあの女がいる・・・。

私を殺そうと狙ってるみたい・・・。

私が事故を起こしたのは、あの女のせい・・・。

突然、操作が出来なくなって・・・・。

だから、貴方だけでも、早く此処から逃げて・・・。

此処に居たら、貴方まで殺されてしまうから・・・・・。

それを聞いた彼は、もう限界を悟った。

1人ではとても太刀打ちできない、と。

そして俺に電話をかけてきた。

(後編に続く)
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 20:18Comments(11)

2017年08月16日

13段の石段がある神社

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆様、お疲れ様です。

お盆休み最終日の方も、既に仕事をしていらっしゃる方も、

お盆休み無しで、働いていらっしゃる方も、宿題に

追われている方も、皆様、お疲れ様です。

ところで、怖くない話が、見えたり見えなかったり?など

あったようですが、コメントで、検索用のタグが、”怖い話”

ではなく、”怖し話”になってますよ!という指摘を頂きまして、

その部分を訂正して、再度アップしたのが、その原因かと

思います。

タグまで誤字をしてしまうという、大失敗をおかしてしまいました。

本当にごめんなさい。

決して、怪奇現象ではありませんので、ご安心を(笑)

それから、魔除けに風鈴を、との事ですが、もう既に

設置?してありますね。

まあ、娘が授業で作った風鈴なんですが(笑)

それと、テレビやネットでは怖い顔や白い顔の

心霊映像なのに、どうして、私はそうではないのか?

というご質問ですが、たぶん、白い顔や怖い顔の画像や

映像は、単に其処に過去にいた人間の残留思念というもの

ではないか、と思います。(たぶん・・・・・)

なので、私が見てるものとは違いますし、テレビでは本当に

危ないものは流さないようですので・・・。

ごめんなさい。回答になってませんね(涙)

それと、私はよく飲みにいきますが、酒豪ではありませんね。

単に飲んでいる雰囲気を楽しみたいだけですので、

そんなに沢山は飲みませんよ(笑)

うちの妻と娘のリゾートホテルが羨ましいとのコメントも

頂きましたが、まあ、私も羨ましいです。

その代わりに、私は昨日からろくな物食べてませんが(涙)

それから、私が芸能人では誰に似てるか、というご質問も

頂きましたが、そうですねぇ。

速水もこみちさんと、ドラえもんを足してから、円周率で割って頂き、

それを高さ50メートル位から地面に叩きつけた所に、偶然走ってきた

アフリカ象の大群に轢かれた様な顔だとよく言われます(嘘です)

まあ、生まれてこの方、モテた記憶はありませんので(涙)

ちなみに、うちの妻は、娘に、どうしてお父さんと結婚したの?と

聞かれ、『平凡な人生が過ごせそうだったから』と答えてました(泣)

それから、霊感が在るとか無いとかの簡単な判別法ですが、過去ブログ

にも書いてます。

霊感を診断する方法
http://sign.hosodapaint.com/e87115.html

結構、当たるんですよね。

ところで、昨夜は、片町から早めに午前1時過ぎには帰宅したのですが、

帰宅した理由は、無人の自宅から電話がスマホに掛かってきまして。

出ると、切れちゃうんですけどね。

だから、一応、用心の為に速く帰宅したんですが、やはり家族が居らず、

1人だけの夜には、いつもは大人しくしてる霊達も騒ぎ出すみたいです。

トイレに入ればノックされるし、2階からは頻繁にドンドンという音が

聞こえるし、更に無言電話は掛かってくるし、玄関のチャイムは鳴らされるし。

一番困ったのは、テレビ見ていると、明らかに誰かが私の顔を

背後から覗き込んでるのが見える事。

もう慣れてるので気にしない様にしてるんですが、そうしていると、

自己主張するように、突然テレビの電源が切られてしまって。

その時は、消えたテレビの画面に、私の横に顔を並べる

ようにして、テレビの画面を見ている女の姿が見えました。

まあ、Aさんの護符があるので悪い霊は近寄れないのは

分かっていても、あまり気持ちの良いものではないですから。

それでは、今日の怖くない話は、この辺で。

さようなら~









という訳にもいかないと思いますので、今日もアップさせて

頂きます。

今日で連続何日になるのか?

それにしても、まだ文庫本の話は、まだまだ足りないのに

大丈夫なのだろうか?(涙)

本が大ベストセラーになったら、次は歌手デビューだから、

そろそろ歌のレッスンもしなくてはいけ・・・(嘘です)

ということで、怖くない話、いってみましょう!

どうぞ~!


これは俺が若い頃に体験した話である。

白山市に統合される前の、とある山村に、面白い階段があるという

話を聞いた。

階段の段数が13段なのだ。

昔から、何故か13という数字は、忌み嫌われてきた。

それも、西洋ではなく、この日本でも。

4とか9という数字が、死や苦を連想させるので、使用を避ける、

というのは理解出来るが、何故か、この日本でも確かに13という

数字は嫌われており、昔の処刑場の段数くらいにしか13段の階段

というものは使用されていないと思う。

しかし、実は例外も存在する。

神社というものは、善なる神と、邪神を祀っているかの2タイプが

存在している。

善なる神というのは、太古より日本に存在しているとされている八百万の神を

祀っている神社。

天照大神などが有名だ。

邪神というのは、いわゆる魔物だったり、悪霊だったりと、人間に

害をなした恐怖の対象物であり、それを神としてあがめる事により、

封印し、押さえ込んでいるのだという。

ちなみに、学問の神様として有名な菅原道真も、かつては悪霊や怨霊として恐れられ、

祀られたというのも不思議な話だ。

そして、それを見極める方法として、本堂へ続く階段が13段の

神社には、そういう邪神の中でも、本当の魔物が祀られているという話だった。

それが真実なのかは確認のしようがないのだが、その邪神を祀った神社という

響きが、俺達の食指を刺激した。

神社で祀らなければ抑えられないほどの魔物とは、一体どれほどのものなのか?

考えれば考えるほど、興味が沸いてしまった。

そして、兼ねてから、発見していた、その神社に出向いた。

メンバーはその頃いつもそういう類の場所ばかり一緒に探検していた2人の友人だ。

その神社に到着したのが、午後8時頃だったと思う。

神社自体は、民家からかなり離れた山の中腹にあったので、誰かに通報される

危険も無かった。

そして、現地で、石段の数を数えてみると、紛れもなく13段あった。

その時は、ワクワクした気持ちしか感じなかったのを覚えている。

だから、俺達は、その不吉な石段をまるで楽しむかのようにのぼって行った。

石段をのぼると、そこからまっすぐ前方30メートル位の所に本殿があった。

どうやら社務所も無ければ、宮司が住む家も無いようだ。

俺達は、本殿まで進み、外から中の様子を伺った。

しかし、中には賽銭箱も無ければ、祭壇すら存在しておらず、ただ黒く

大きな木の箱がポツンと置かれているだけ。

そして、その周りを取り囲むようにして、結界のようなものが張られている。

広い本殿の中は、真っ暗であり、月明かりが差し込んだ雰囲気はとても異様だった。

正直、今の俺なら間違いなく、その時点でそこから引き上げていただろう。

しかし、その頃は、とにかく怖いモノというのに飢えていたのかもしれない。

背中に感じる嫌な汗を、逆にワクワクした高揚感に置き換えてしまい、そのまま

そこの探索を続けることにする。

本殿の周りをぐるりと回るようにして調べる。

すると、本殿の真後ろに、祠のようなものがあった。

懐中電灯で照らすが、奥は深いようで、入り口近辺しか照らし出せない。

どうする?入るのか?

俺たちは迷っていた。

神社に忍び込むのでさえ、罰当たりな行為なのは十分分かっていたが、さすがに

祠ともなると、さすがに何か起こりそうで気が引けた。

そうやって、祠の前で、グダグタしていると、俺達の耳に、

コーン、コーン、と木に何かを打ちつけている様な音が聞こえてきた。

まさか、呪いの藁人形でも、打ち付けてるのか?

そう思ったが、さすがに時刻はまだ午後9時前だった。

藁人形を木に打ちつけて呪いの儀式をするのであれば、時刻は丑三つ時でなければ

いけない事くらいは知っていた。

だとしたら、あの音は何なのか?

俺達はその音が聞こえてくる方角を確かめる為に耳を澄ます。

すると、やはり神社の横にある森の中から聞こえてくるのが分かった。

どうする?まだ時間が早いですよって教えてあげるか?(笑)

と、友人が言うので、

馬鹿!呪いの儀式をやってる奴は皆、真剣で命かけてるんだぞ!

もしも、見られたと分かったら、間違いなく、俺達にも向かってくる。

口外されないように、殺す為に・・・・。

そう言うと、そこに居る皆が黙り込んだ。

すると、いつのまにか、コーン、コーン、という音が聞こえなくなっている。

もしかして、もう儀式を終えたのかも・・・・。

だとすると、こっちに来るんじゃないか?

それを聞いて、俺達は顔を見合わせて、そそくさと隠れる事にした。

そして、本殿の影に隠れてジッとしていると、森の方から1人の女が歩いてくる。

その女は、呪いというイメージからは、かなりかけ離れた、とてもポップな

洋服に身を包み、その顔も何故かニコニコと笑っていた。

そして、まるでスキップするかのような軽快な歩き方で、こちらにやって来ると

キョロキョロと辺りを見回してから、先程の祠の中に入っていった。

その一部始終を見ていた俺たちは、まさに呆気に取られてしまう。

何故なら、その様子からは、呪いという陰湿な物は全く感じられず、それこそ、

このままナンパでもすれば、追いてきそうな軽い感じだったし、何より、

綺麗で可愛かったのだから。

あれが呪いの儀式やってた本人なのか?

だとしたら、明る過ぎるし、可愛過ぎる。

もしかして、何か森の中で別の事やってただけとか、実はこの神社の宮司の

娘さんで、あの祠も、気軽に入れるような、ただの横穴なんじゃないの?

と誰かが言うと、それに異論を唱える者は、ひとりもいなかった。

とにかく、それくらい、何処にでも居る様な普通の女の子に見えた。

俺達は、本殿の影から出た。

それは祠に入ってみる為に他ならなかった。

全員が懐中電灯で照らしながら祠に入る。

中はやはり真っ暗で懐中電灯が無ければ何も見えない状態。

こんな暗闇の中をさっきの女の子は入って行ったのか?

そう疑いたくなるほど、その中は暗く、足元はゴツゴツしている。

更に祠の中の壁は、水分でベトベトしているようで、それが服に付かないかと

気が気でなかった。

それでも、2人ならキツイが、1人で歩くには十分な広さが確保されていたので、

俺達は、そのまま先へ先へと進んだ。

それにしても、先程から1分くらいは歩き続けているが、いっこうに、あの女の子

の姿は見えない。

そして、祠の中の気温はどんどん下がっていくようでとても寒かった。

いや、今思えば、その寒さは尋常ではなく、たとえ、祠の中とはいえ、あり得ない

寒さであり、その時点で危険に気付くべきだった。

しかし、呑気な俺達は、そのまま歩き続ける。

そして、何かが聞こえてきた。

どうやら、それは女性の笑い声のようであり、かなり遥か前方から聞こえて

来ているようだった。

おいおい。何なんだよ、あの声。

それにしても、どれだけ深いんだよ。この祠って・・・・。

そう話していると、誰かが叫んだ。

おい!逃げるぞ!

その声に、他の2人も思わず、同調してしまう。

そして、

おい、どうして逃げなくちゃいけないんだよ?

と聞くと、

だって、ほら。あの声、凄い速さで近づいてきてるんだ。

さっきは、本当に微かに聞こえる感じだったけど、今は・・・・。

そう言われてみると、確かに、その女の笑い声は、既にはっきり聞こえるように

なっており、ゲラゲラと下品に笑う声は、とても、先程の女の子の声とは

到底、思えなかった。

俺達は、我先にと、祠の出口を目指して全力で走った。

背後から追いかけてくるものが、もうすぐそこまで来ている、と感じていた。

しかし、俺達は、歩いて2分くらいの場所から、走って戻っているのに、その

出口は、なかなか現れない。

すると、背後から、笑い声に混じって、

みいつけた~

という気味の悪い声が聞こえた。

俺達の走る足にも一層力が込められた。

正直、生きた心地はしなかった。

それでも、走り続ければ出口は必ず辿りつけるもので、目の前に祠の入り口

が見えてきた。

俺達は、最後の力を振り絞って、出口を目指し走った。

背後からは、

とまれ~、とまれ~

という声がもうすぐそこから聞こえていた。

しかし、止まれと言われて、止まる馬鹿はいない。

俺達は、祠から弾かれるように外へと飛び出す。

すると、先頭の友人が、

こっち、こっち

と俺たちを先導した。

そして、そのまま本殿に向かい、木製の扉を開けて、中へと飛び込んだ。

そして、中から、しっかりと入り口の扉を塞いだ。

ゲラゲラという笑い声が聞こえてくる。

どうやら、声の主も祠から出てきたようだった。

俺達は、声を殺して、全神経を耳に集中させた。

そして、できる事なら、このまま俺たちに気付かずに、森の中か祠の中に

戻っていってくれ、と願った。

しかし、次の瞬間、本殿の入り口の扉が大きく揺さぶられる。

ゲラゲラゲラゲラ・・・みいつけた~

それは、紛れもなく、祠の中で聞こえた声だった。

俺達は一箇所に固まり、本殿の入り口を見つめた。

そこには、本殿の扉に手を掛け、バンバンと揺さぶっている女の姿が見えた。

その姿は、とても異様で、白髪を振り乱し、そこから見える顔には、真横に

長く伸びた目。

口は、大きく耳元まで裂けており、白装束を着た姿は、腕だけが異様に長く見え、

とてもアンバランスだった。

そして、木の扉の格子から、顔を覗き込む様にして、

もうにげられんぞ~

早くでてこんか~

と優しく囁いてくる。

そして、それを見て、俺達が恐怖するのを見ては、またゲラゲラと笑う。

だが、それからすぐにその女は俺達の視界から消えた。

本殿の中に静寂が訪れる。

助かったのか?

誰かがそう言って、本殿の窓に近づき、様子を見ようとした。

おい、注意しろよ!あんなり近づきすぎると・・・

そう言い終える前に、突然、その女は友人が近づいた窓から顔を出し、友人を

掴まえようとするかのように、その長い腕を伸ばした。

友人は、もう少しでその女に捕まるところだったが、ギリギリのところで、何とか

その手は届かなかった。

それから、俺達3人は、本殿の中心部に体を寄せ合うようにして固まった。

それからも、その女は、姿を消しては、また現れて、

今すぐに、そこに入っていくからな~

だから、早くでてこんか~

と囁いては、ゲラゲラと笑った。

その時、俺は思った。

もしかすると、いや、間違いなく、あの女はなにか理由が有って、この本殿の中には

入って来れないのだ、と。

そうでなければ、とっくに中へ入られて、俺達は逃げ場なく、捉まっている筈だった。

それを友人達にも話すと、皆、納得した様だった。

しかし、そうと分かっていても、さすがにその女が消えては現れ、ゲラゲラと

笑う姿は、俺達に、それ以上はない恐怖を感じさせるには十分だった。

だから、俺達は、耳と目を閉ざしたまま、うつむき、必死にお経らしきものを

唱え続けた。

それは、とても長い時間に感じたが、それでも夜は明けるもので、朝陽が

本殿の中まで差し込むようになる。

すると、その女は、悔しそうにギリギリと歯を鳴らすと、そのまま何処かへ

消えていった。

俺達は、助かったという事実に、どっと疲れてしまい、その場にへたり込んだ。

しかし、もしかすると、あの女が本殿に入って来られなかったのは、中に

安置されている黒い大きな木箱のせいではないのか?

だとすると、この箱の中には、もっと恐ろしいモノが入っているのではないのか?

そう考えると、居ても立っても居られず、急いで、その本殿から出て、車に乗り、

帰宅した。

ちなみに、その後、俺達の身に、霊障は起こっていない。

ただ、もしも、好奇心でその神社を探し出して、探索しようなどと考えている

者がいるとしたら、絶対に止めておいた方が良い。

俺たちが助かったのは、単に運が良かっただけ。

それだけなのだから。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 15:16Comments(29)

2017年08月15日

結婚しない友人の話

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆様、今日もお疲れ様です!

今日は、うちの妻と娘がリゾートホテルへ一泊二日の予定で

出掛けます。

さすがに、一人ぼっちの家で怖くない話を書く度胸も根性も

ありませんので、今日は早めの時間帯に用意した話を

アップさせて頂きます。

さあ、今日は片町で朝まで飲み明かすぞ~(笑)

それでは、怖くない話、どうぞ~!



これは俺の友人の話。

久しぶりに一緒に飲んでいる時に、話してくれたものだ。

友人は既に40歳を超えているのだが、いまだに結婚はしていない。

男から見ても、長身で、イケメンだし、性格もすこぶる良い。

だから、よく女性に言い寄られる。

更に、彼は一戸建ての家に1人で住み、それなりに裕福な生活をしている。

ギャンブルも一切せず、贅沢もしない。

次男だから家を継ぐ必要も無い。

趣味は、音楽と釣り。

ある意味、結婚したいと思わせる要素が溢れているように思えるのだが、全く

結婚願望が無いのである。

それどころか、親や親戚が持ってくる縁談や、友人からの紹介なども、全て

丁重に辞退している。

そんな彼に、以前、尋ねた事があった。

どうして、結婚したくないのか?と。

すると、こんな返事が返ってきた。

だって、もう同棲してるから・・・。

というか、気持ちの上ではもうしっかりと結婚してるんだよ。

日頃は、いちいち説明するのが面倒くさいから、言ってないんだけど、

お前は、どうやら、そういうのが見えたりするタイプらしいから、話すんだけどな。

こんな感じだった。

それを聞いた俺が、

え?そうなの?

全然知らなかった!

でも、そんな女性、前から居たっけ?

でも、もしそうなら、相手の女性もそろそろ結婚したがってるんじゃないの?

と言うと、彼は少し笑って、こう話してくれた。

彼には、中学生の頃に、彼から告白して付き合い出した彼女がいたそうだ。

そして、彼氏彼女という関係は、高校、大学に入っても続いた。

そして、お互いが社会人になり、ちょうど3年が過ぎようとしていた時、彼の

方から結婚を申し込んだ。

勿論、彼女も嬉しそうに頷いてくれた。

ずっと望んでいた夢が叶ったといって、嬉し涙を流してくれた。

そして、無事に結納も終わり、いよいよ結婚も間近という時に、彼女は突然、

交通事故で亡くなってしまった。

彼は、彼女が死んでしまったことが信じられず、ずっと悲しみ続けた。

そして、事故を起こした相手のドライバーを心の底から恨んだ。

相手のドライバーを殺して、自分も死のうとさえ、思ったという。

仕事も手につかなくなり、自暴自棄になり、酒を飲んでは、暴れていた。

そんな時、彼の夢の中に彼女が出てきてくれた。

夢の中とはいえ、再び彼女に会えた事が彼はとても嬉しかった。

しかし、夢の中の彼女は、どこか元気が無かった。

やはり、事故で死んだ事で苦しんでいるのか?と聞くと、首を横に振った。

そして、夢の中の彼女は、こう言ったという。

事故で死んだ事は運命なのだろうから、悲しいけれど受け入れている。

ただ、私が死んでからの貴方を見ていると、心配で居ても立っても居られない位に

悲しくなる。

だから、私が受け入れた様に、貴方も私の死を運命だと受け入れて欲しい。

そして、事故を起こしたドライバーをこれ以上、恨まないで欲しい。

きっと、そのトライバーは、貴方が思っている以上に、社会的な制裁を受け、

そして、罪の重さに苦しんでいると思うから。

そんな風に、誰かを恨み、自暴自棄になって、以前の素敵だった貴方の

性格が歪んでいく事の方が私には悲しい。

貴方は、きっと自分が思っている以上に素敵な男性なのだから。

だから、私の事は、すっきりと忘れて、早く新しい彼女を見つけて欲しい。

そして、もしも、1つだけワガママを言わせてくれるのなら、私はあの世に

のぼらず、ずっと貴方の側で貴方が幸せに年老いていく姿を見ていたい。

勿論、貴方が誰かと付き合い、結婚したとしても、私には、それも、ひとつの

幸せだと感じられる自信がある。

貴方の幸せな姿を見ている事が、私の一生の願いだったし、夢だったのだから。

だから、このまま、貴方の側で、貴方が年老いていくのを見てても良いですか?

こんな感じだった。

それから、彼はしばらく会社も休んで、一日中、考える日々を送った。

彼の幸せに年老いていく姿を見ていく事が彼女の幸せなのだとしたら、俺の

望む幸せというのは、どういうものなのか、と。

彼女が居なくなった今、自分が彼女にしてあげられる事は、何があるのか?と。

その答えは、1つしかなかったという。

それは、彼女が、ずっと彼の側に居てくれるのだとしたら、彼もまた、ずっと

彼女の側に居てあげたいという事だった。

そして、彼は、誰とも付き合わず、誰とも結婚しない人生を選択した。

いや、彼女と結婚する前の、付き合っていた頃から少し進んだ、同棲するという

関係を築き、それを続けていく事を・・・・。

そして、彼がそう決断してから、彼女は毎晩のように、彼の夢の中に現れて、

ずっと悲しそうな顔をしながら、彼を見つめていた。

貴方には、もっと、ちゃんとした幸せな人生を送って欲しい・・・・と。

しかし、彼は夢の中で、毎晩の様に、その言葉に、こう返していた。

どんな人生を俺が望んでいるのか、分かってくれないの?

俺には、これが、最良の選択なんだから・・・・。

そして、それからは、徐々に、彼女は夢の中で、悲しそうな顔はしなくなっていった。

というか、そのうち、夢にも現れなくなった。

彼は夢に現れてくれなくなった事で、一瞬、寂しさを感じた。

だが、すぐに、そんな気持ちは消え去ってしまう。

家の至るところに、彼女の痕跡が見て取れるようになったからだ。

そして、それは次第に、具現化していき、そのうち、彼には彼女の姿が見える

ようになっていった。

出勤する時、帰宅した時、食事をしている時、風呂に入っている時、いつも

彼女は彼の側でニコニコと笑っていてくれる。

そして、今、住んでいる新築の家も、彼女が好きな場所を選び、彼女とよく

話し合って、間取りを決めた。

そして、最近では、彼が仕事から帰ると、部屋が掃除され、整理整頓されている

ようになり、朝は、彼女の、おはよう!の声で目覚めるようになった。

だから、今は、これ以上はない位に幸せなのだそうだ。

その話を聞いて、俺は、別の友人が送っている、亡くなった奥さんとの生活の話を

思い出した。

そして、俺が、

それじゃ、一生結婚しないんだ?

と聞くと、

だから、言ってるだろ。

もう結婚してるのも同然だって・・・・。

最近では、仕事で女性と打ち合わせをすると、すぐにヤキモチを妬かれてしまい、

ただでさえ、大変なんだからさ・・・・。

そう言って、笑う彼の顔は、確かにとても幸せそうだった。

そして、

遅くなると、怒られるからそろそろ帰るわ、

と言い席を立ち、店から出て行く彼の横には、とても幸せそうな顔の小柄な女性が

ニコニコと笑いながら、俺に向かって丁寧にお辞儀をしているのが見えた。

2人の関係がずっと続いていく事を切に願っている。

  


Posted by 細田塗料株式会社 at 11:58Comments(40)

2017年08月14日

迷い家(まよいが)というもの

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆様、今日も1日、お疲れ様でございます。

今日の金沢は、大変過ごしやすく、自宅警備員の

仕事もはかどりました(笑)

ちなみに私はウイスキーしか飲みません。

全然マニアックでも格好良くもない銘柄ですが、

JIM BEAMの黒ラベルが一番好きですね(笑)

色々とコメントで質問など頂いているようですが、

ます、千葉県ON11様、

金沢、いや石川県を満喫して頂いているようで、

とても嬉しく思います。

来年こそは、一緒に飲みたいものですが、

カエルの被り物をしていると、私は間違いなく避けて

通りますので(笑)

帰りの道中も、お気をつけてくださいませ!

それと、ミニ子様、

ファミチキとナゲット、ありがとうございました。

ただ、出来れば、まだ暑いので、

珈琲シュークリームだけは、冷蔵庫に置いていって

頂けると助かります(笑)

それと、自殺霊は成仏出来ないのか?というご質問を

頂きましたが、私にはよく分かりませんが、Aさんを含め、

知り合いの霊能者さん達も、口を揃えて、成仏できない!

と言っております。

だから、自殺は絶対にするべきではないのかな、と私は

思っております。

ただ、自殺霊でも、楽しそうに満足そうに過ごしている霊も

確かに存在しますので、要は気持ちの問題。

まあ、人間と一緒ですよね。

ドラマ化や映画化されるから、Aさんにばれますけど

大丈夫?との質問ですが、そんな予定は、これっぽっちも

ありませんので(涙)

それから、浄化と消滅の光?の違いについての質問

ですが、正直、私にも分かりません。ごめんなさい。

ただ、Aさんも姫も、その時の精神状態や状況によって、

光の色も、白かったり、青かったり、赤かったり、黒っぽかったり

しますね。

でも、夢の中で、そのような体験をされたのだとしたら、かなりの

確率で霊能力がとても強いのかもしれませんね。

よく、Aさんも言ってますので。

夢と現実は表裏一体のもので、同じですよ、と。

修行されるか、そのままにするかは、ご自身で

お考え頂ければ、と思いますが(笑)

というか、今日は質問に答えていたら、前書きが~(泣)

ということで、さっさといってみましょう!

ちなみに、怖いタイプとそうでないタイプを

織り交ぜてお送りしております(笑)

今日は怖いタイプかもしれません(笑)

怖くない話。

それでは、どうぞ~!


これは俺の友人が体験した話である。

彼は山登りを趣味としている。

もっとも、冬は危険だから決して登らない、自称、なんちゃって登山、らしいが。

それでも、夏を中心にしてかなり多くの山に登るのだが、それはトレッキング感覚

で登れる山だったり、重装備のうえで、難所を幾つも越えていくような本格的な

登山まで幅広く登っており、冬場以外は彼と会う事も出来ないくらいだ。

そんな彼が体験した不思議というよりも、恐ろしい話を書きたいと思う。

その時の彼は、1人で北アルプスへ登山に行ったという。

季節は夏。

2泊3日の予定で、入山届けも提出し、登り始めた。

北アルプスは、過去に何度も登ったらしいが、やはり素晴らしい山が連なっており、

俺には詳しい事はわからないが、何度登っても飽きるどころか、更に登りたく

なってしまうのだという。

それに、実際、夏の北アルプスは、天候が悪い時以外は、かなり大勢の登山者達で

賑わっており、既に顔見知りになった、他の登山者から声を掛けられたりして、

決して孤独ではないのだという。

ただ、やはりあまり沢山の人と一緒だと興ざめしてしまうそうで、彼はその時は

いつもとは違うルートで登っていた。

1日目が無事に終わり、2日目に入る。

2日目も順調にこなしていたが、夕方になると、突然、強風と豪雨、そして雷が

襲ってきた。

まだ、予定していた山小屋まではかなりの距離があった為、彼は、ビバークしようと

したのだが、風、雨、ともに強烈で、雷も、かなり近い。

彼は姿勢を低くしたまま、滑落しないように身長に避難出来る場所を探した。

すると、前方に、うっすらと明かりが見えた。

それも、明らかに、小屋の窓から洩れているような明かりだった。

彼は、

こんな処に、小屋なんか、在ったかな?

と思ったが、非常事態だったので、躊躇せず、その明かりを目指した。

そして、その明かりに近づくにつれ、明かりの詳細が分かった。

それは、山小屋などではなく、屋敷といっても良いくらいの大きなペンション

のような建物だった。

そこの2階の部屋の窓から明かりが洩れているのだ。

彼は、余程疲れていたのだろう。

慎重派の彼にしては珍しく、躊躇せずに、そのペンションのドアを開けた。

木製の白いドアは、少しだけ、ギーという音を立てて開いた。

中は、テーブルと椅子が置かれており、休憩所のようだったが、誰も

おらず、真っ暗だった。

建物の中は、とても山にある施設とは思えない程、とてもお洒落な造りになって

おり、まるで、ドラマや映画に出てくるような洋館を思われる。

ただ、先程、2階の部屋に明かりが点いていたのに、館内は、まるで

ずっと無人だったかのように静まり返っている。

目の前に伸びている廊下も、完全な暗闇へと続いており、まるで、その暗闇に

何かが潜んで、こちらを見ているかのような恐怖を感じる。

だから、彼は大声で叫んでみた。

こんにちは~!誰かいらっしゃいませんか~!

彼は、それを5回ほど繰り返した。

しかし、彼の声は暗闇に消えていくのみで、全く何の反応も無かった。

彼は、どうしようかと迷ったが、さすがに、その建物から出て、再び、雨と風の

中に戻れば、命の危険もある、と考え、

すみませ~ん!お邪魔します!入らせて頂きますね~!

と大声で2階の部屋に居るであろう、誰かに叫んだ。

そして、その休憩場所のような所で、荷物を床に置き、椅子に座って外の天気

が回復するのを待つ事にした。

しかし、そこで待っていると、部屋の中がとても寒いことに気付く。

夏だというのに、まるで、真冬の山にいるようだった。

彼のその時の装備は、夏用だったので、その寒さはとても耐えられるものではなかった。

しかし、この家には誰かがいるのだろうが、全く反応が無い以上、勝手に家の中を

歩き回れば、トラブルになってしまうと思い、躊躇していたのだが、やはり限界が

来てしまう。

彼はリュックから懐中電灯を取り出すと、それを片手に、目の前に伸びた廊下を

歩いていった。

すみませ~ん・・・・誰かいませんか~

そういいながら。

そして、廊下の左右にあるドアを素通りして、2階へと続く階段までたどり着くと

そのまま階段をのぼり、2階にある、先程明かりが点いていたと思われる部屋に

行こうと思った。

階段をのぼって行くと、ギシギシと音を立てた。

だから、2階に居る人に怪しまれないように、敢えて大きな声で、

すみませ~ん!誰か居ませんか~!

と呼びかけるが、相変わらず返事は無かった。

そして、2階に到着。

2階も廊下があり、懐中電灯で照らすと、部屋のドアらしく物が、合わせて

3枚ある事が見て取れた。

そして、先程、外から見た時には、ちょうど真ん中の部屋から明かりが洩れていた

ので、彼は躊躇せずに、真ん中のドアノブに手を掛けた。

すみません。お呼びしても返事が無かったので・・・。

そう言おうとして、彼は止めた。

部屋の中は、既に真っ暗で、誰も居そうな気配が感じられなかったから。

そして、そのままゆっくりとドアを開けると、懐中電灯で部屋の明かりの

スイッチを探し、押してみる。

しかし、カチッという音はするが、全く明かりは点かなかった。

さっきは間違いなく、この部屋から明かりが洩れていた筈なのに・・・・。

彼はそう思い、懐中電灯で部屋の中を照らしてみた。

そして、彼は愕然としてしまう。

その部屋の照明器具は電球が全て取り外されており、明かりが点くはずはなかった。

それでは、先程、自分が見た明かりは何だったのか?

しかし、その家が無人と分かれば、ある意味、気持ちは楽になった。

彼は部屋の中で、何か暖を取れそうな物が無いかと物色する。

すると、机の上に、乱雑に置かれている新聞を見つける。

新聞を燃やせば、体を温められる・・・・。

そう思い、新聞を手に取ると、その新聞はやけに古めかしい。

だから、彼は新聞の発行された年月日を確認した。

すると、そこには、昭和20年8月15日(水)と書かれている。

何故、そんな古い新聞がこんな処に無造作に置かれているんだ?

彼は、訳の分からない薄気味悪さを感じた。

それは、その部屋の中に置かれているラジオや家具などが、まるで終戦当時の頃

に使われていたような古いものばかりだったからだ。

そして、

この家に居てはいけない・・・・。

一刻も早く、この家から逃げなければ・・・・。

と強く感じた。

彼は、後ろを振り向き、ドアへ向かおうとした。

すると、突然、ドアがコンコンとノックされる。

彼はビクッとして、硬直した。

もしかして、誰か居たのか?

そう思ったが、先程確認した時には、家の中は完全に真っ暗だった。

そんな家に人が居る筈かない。

もしも、居るとしたら・・・・。

そう考えると、恐怖が体に広がっていく。

彼は、聞き間違いかもしれないと、耳を澄ませた。

すると、今度は

ドン!ドン!ドン!

とドアが叩かれる音がした。

彼は、何処か隠れる場所が無いかと部屋の中を見渡した。

懐中電灯の明かりでは、よく見えなかったが、机の横にあるタンスの陰になら、

どうやら隠れることが出来そうだった。

彼は足音を立てない様に、静かにタンスへと近づき、その影に身を隠した。

懐中電灯の明かりも消した。

そして、彼は祈った。

部屋の中に入って来ないでくれ・・・・と。

しかし、その願いは叶わず、彼がタンスの横に隠れるのを待っていたかのように、

部屋のドアは、ギーッと音をたてながらゆっくりと開けられるのが分かった。

彼は、恐怖で目を開けている事が出来なかった。

だから、タンスの影に隠れたまま、目を閉じ、耳に全神経を集中させた。

硬い靴底のようなものを履いた音が聞こえた。

そして、それは、どうやら彼が隠れているタンスの横にある机の前に立ち、

ジッとしているようだった。

彼は息を殺してジッと耐え続けた。

とても長い時間に感じたが、しばらくすると、ソレは、ゴツゴツという足音をさせながら

部屋から出て行ったのが分かった。

そして、またギーッという音がしてドアが閉められる。

彼は、今のうちに窓から逃げられないか、と思い、懐中電灯の明かりを再び点けて、

足音を立てない様に、タンスの陰から静かに出た。

心臓が止まるかと思った。

そこには、まるで黒っぽい服を着ているような男が、すぐ目の前に立っていた。

そして、それはよく見ると間違いなく軍服であり、ドラマや映画で見たことのある

戦争当時のものだった。

彼は、まるで蛇に睨まれた蛙のように、固まっていた。

そして、その男も、生気のない顔で彼をじっと見つめていた。

どうすればいい?

彼は必死で考えた。

しかし、答えはひとつしか考えられなかった。

彼は、ウォーッという大声を出しながら、前方に立つ男に突進していき、何とか

ドアまで辿りついた。

そして、躊躇せず、彼はドアを開け、廊下へと飛び出した。

廊下に、あいつの仲間がいたら・・・・。

そう考えたが、廊下は、先程彼が通った時のままで、真っ暗で何の気配も感じない。

彼は、一気に階段まで走ると、一気に1階まで駆け下りる。

1階まで降りると、最初に彼が居た、休憩所のような場所へと走った。

荷物を持って、さっさと外へ逃げなければ・・・・。

彼は、そう思っていた。

しかし、休憩所までくると、彼の荷物が消えていた。

その荷物の中には、彼がこれまでに買い揃えてきた登山グッズや食料、そして

携帯やカメラまで入っていた。

くそっ!

彼は、そう履き捨てると、そのまま入り口のドアに走り寄り、ドアノブに手を

かけた。

荷物が入ったリュックを諦めるのは辛かったが、命の方が大切なのは

明白だった。

彼はドアノブを回し、ドアを前方へ押した。

しかし、ドアはびくともしなかった。

あれ?もししかして、引くんだったかな?

そう思い、ドアを引いてみるが、やはりドアは全く開こうとしなかった。

おいおい、冗談じゃないぞ!

彼は、何度もドアを押したり引いたりするが、やはりドアは何かで固定されているか

のように、全く動かなかった。

なんで開かないんだ?

さっきは、ちゃんと開いただろ?

そんな事を考えていると、突然、2階から、音が聞こえた。

ギーッ・・・バタン。ギーッ・・・バタン。

そんな音が、全部で6回聞こえた。

それは、彼が2階の部屋から出た時に聞こえた音と同じ音だった。

あいつ、いや、あいつらが来る?

6回聞こえたという事は、少なくとも6人が部屋から出てきたということか?

彼の頭は、一気に恐怖に支配されてしまう。

すると、突然、2階から、まるで2階の廊下を行進して歩くかのような綺麗に

揃った靴音が聞こえてくる。

そして、それは、廊下を階段まで歩くと、今度は、階段を下りてくる音が

聞こえてきた。

彼は、登山服に装備していたピッケルを手に持った。

勿論、こんな時に使うために持っている訳ではなかったが、それでも、ピッケル

という、武器になり得る物を手にしているというだけで、少し心に余裕が出る。

そして、彼は考えた。

ここは一体どこで、あいつらは、ここで何をしているのか?と。

そして、あいつらから逃げる、いや、助かる為には何をすれば良いのか?

新聞には、ちょうど終戦の日の日付になっていた。

ということは、その時のまま、時間が止まっている?

そして、あいつらは軍服を着ていた。

そこから、導き出せる答えは・・・・・。

彼は必死に考え続けた。

すると、あいつらが階段を降りきって、廊下に整列しているのが見えた。

懐中電灯で照らそうかとも思ったが、逆に刺激してしまいそうなので止めた。

ただ、暗闇に慣れた目で確認しただけでも、あいつらの数は、6人どころではなく、

軽く10人以上は居るようだった。

そして、階段を降りた所で整列したまま、じっとこちらを見つめている。

彼はピッケルを持つ手に力を込めた。

すると、誰が合図したわけでもなく、あいつらは、突然、軍刀を抜いて、それを

上に構えた格好で、彼に向かって行進し始める。

ザッザッザッザッという揃った靴音に、一瞬、彼は聞き惚れてしまったが、

今はそれどころではなかった。

しかし、軍刀を抜かれた時点で、ピッケルではどうしようもない事は明らかだった。

彼は、なかば観念した気持ちで、目を閉じて、じっと足音が近づいて来るのを

聞いていた。

が、その時、何故かは分からないが、ある言葉を思いつき、彼は思いついたまま、

それを言葉にした。

天皇陛下万歳!

大日本帝国万歳!

自分でも、こんなに大きな声が出せるものだ、と驚いた。

そして、その瞬間、足音が聞こえなくなっていた。

彼は、ゆっくりと目を開けた。

すると、そこは、いつもの山の景色が広がっており、嵐もすっかりと収まっていた。

彼は、何が起こったのか、理解出来なかったが、其処にいると、またあの建物が

目の前に現れそうな気がして、そそくさと、そこから退散した。

そして、そのまま無事に山を下りることが出来たという。

勿論、その後、彼の身に怪異は起こっていないが、ある時、登山仲間と話していたとき、

それは、迷い家、というものではないか、と言われた。

それについては、誰も詳しい事は分からないそうだが、突然、不特定の場所に

現れては消える、というものらしく、山だけではなく、色んな場所に

現れるのだという。

そして、家にはいった者は、そのままその家と共に、消えてしまうという

話だった。

彼は、何とか助かって良かった、と胸をなでおろしたが、それにしても、

あの家に居た、軍服の男達は、いったい何者なのか?そして、どうして、

自分が助かったのか、が全く分からないと話していた。

迷い家。

出来れば出会いたくないものだ。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 19:30Comments(20)

2017年08月13日

浄化を願った霊

サインディスプレイ部  営業のKです。

帰省中の方も、自宅警備の方も、お疲れ様です。

昨晩は、片町で、ひとり、のんびり飲んでました。

千葉県ON11様も、片町で飲んでいると思うと、

ついつい嬉しくなってしまい、結局、午前2時まで

1人飲みしておりました。

うちの娘は、踊りよりも、夜店目当てでの

参加だったらしく、踊っている時間よりも、

夜店の列に並んでいる時間の方が

圧倒的に長かったそうです(笑)

あっ、千葉県ON11様が、石川県を満喫して

頂けたとしたら、嬉しい限りです。

千葉県ON11様は、今度は、また戻りの長距離運転が

待っていると思いますので、くれぐれも安全運転を

お願い致します。

勿論、他の帰省された方々も、同様に安全運転で

無事にお帰りくださいませ!

ということで、今夜も、怖くない話スタート致します。

というか、最近の話は、本当に怖くなさ過ぎの様な

気がしておりますが、まあ、細かい事は気にしないで

いってみましょう!

それでは、どうぞ~!


これは俺が体験した話である。

ある所に、おばけ屋敷と言われている廃工場があった。

そこは、以前は機械工場として稼動していた場所だったのだが、随分前に

倒産してしまい、その際、そこの社長が負債を抱えて自殺。

その自殺も、自分の保険金で、せめて僅かでも債務者の方達に、返済したいと

いう遺書を残してのものだった。

そういう社長さんだったから、債務者を含め、周りの誰もが、その社長の事を

悪く言う人は1人もいなかった。

そして、それからその潰れた工場は、噂に尾ひれがついてしまい、恰好の

心霊スポットと化してしまう。

確かに、その社長の霊は、自殺したのだから成仏出来る訳も無く、そこに

自縛霊として棲みつくようになったのは事実だが、そこに探索に来る

心霊スポットマニアや廃墟マニアに対しても、何もする訳でもなく、逆に

建物が傷んでいて危険な場所などを間接的に音を立てたりして、教えて

くれるという、ある意味、平和な心霊スポットになっていた。

しかし、それでも、話には尾ひれが付き、どんどん大きくなっていくもので、

その工場に行くと、必ず幽霊の声が聞けたり、姿が見えたりする、という

噂が広まってしまい、そこを訪れる若者達は、どんどんと増えていった。

しかし、それでも、その自殺した社長の霊は、きっと人と会えるのが嬉しかったのか、

そこに来る若者達が安全に楽しめるように、いつも暖かく見守っていた。

実は、その頃に、俺はAさんと、その工場に行った事がある。

そして、その時、その社長の霊と出会い、色々と話す事が出来た。

少し照れ屋な性格だが、実は話し好きで、よく笑う。

とても暖かい性格が伝わってきて、思わず、癒されてしまった。

Aさんも、

苦労したんですね。

でも自殺なんかしちゃ駄目じゃないですか~(笑)

頭頂部が、だいぶ来てますけど、死んじゃったから、もうそれ以上は髪が薄く

ならないから安心ですね~(笑)

等と、初対面にして、暴言を連発していた。

でも、そこからの帰り道、Aさんの機嫌がとても良かったので、間違いなく、

その社長さんの霊が気に入ったみたいだった。

しかし、その廃工場が平和な心霊スポットだったのも、それから数ヶ月だった。

その工場に行った若者が、実害を受ける事が頻発してしまう。

階段から突き落とされたり、飛んできた鉄の杭が足に突き刺さったり、気が狂い

病院に入れられたり、帰り道に車で事故を起こしたりと、かなりの悲惨な

状況であったが、どの場合も命だけは助かっていた。

しかし、ある日、その廃工場で、3人が遺書も無く、自殺してしまう。

車の中で、というのではなく、3人が同時に首にロープをかけて2階から

飛び降りた。

そして、翌日に発見された自殺体にもかかわらず、その3人の遺体の首は

まるで誰かに強い力で下から引っ張られたように伸びきっており、その足は

工場の床まで着いていた。

検死の結果、間違いなく死後1日しか経過していないその遺体は、きっと

発見し通報した目撃者以前に、誰かに発見され、面白半分に足を引っ張られた

のではないか、という結論に達したのだが・・・・・。

その話が俺の耳に入って、すぐに俺はAさんに、その話をした。

Aさんは、すぐに顔色を変えて、

まさか・・・・ありえないですよ・・・・。

と絶句していた。

そして、

あの社長さんが、そんな事するわけか無いですって。

あそこに来る若者に対してですら、その目的がどうであれ、まるで親のように

いつも安全ばかり気を配って、誰も怪我しないで帰って欲しいって言ってた

あの社長さんですよ?

やっぱり、ありえませんって!

そう断言した。

確かに俺も同感だったが、その廃工場で起きている惨事も事実だった。

だから、

もしかして、何か嫌なことされて・・・気が変わったとか?

と返すと、

だって、私がハゲとか服がダサいとか、自殺するなんで馬鹿のする事だとか、

もっと酷いことも沢山言ったのに、あの社長はずっと笑ってたんですよ。

あの社長は本当に善人過ぎるくらいの人だから、もしも自殺なんかしてなかったら、

かなり位の高い霊になってた人です。

やっぱり、ありえないです。

そう言われ、俺はそれ以上、突っ込むのをやめた。

しかし、人の繋がりというのは不思議なもので、Aさんの親戚の会社経営者が、

知人から頼まれたらしく、Aさんに内密に頼んできた。

そこにもしも幽霊が居るとしたら、退治してくれ!

というものだった。

当然、Aさんは断ったそうだが、昔から色々とお世話になっていた叔父でもあり、

しょうがなく、その依頼を受けることになってしまう。

そして、下見に行くというAさんに、俺も同行した。

その廃工場に着くと、明らかに、以前とは様子が違った。

魔が巣食っているというか、空気がとても冷たい。

Aさんは、少し顔を曇らせたまま、工場内を見て回り、あの社長を探した。

しかし、社長の姿はどこにも見えなかった。

すると、突然、工場の天井の辺りから、大きな鉄の柱が落ちてきた。

Aさんは、咄嗟に俺の手を掴み、その鉄の柱をよけた。

そして、

相変わらず、ボーっとしてますよね。

普通なら、男性が女子である私を他助けなきゃいけないのに・・・。

ほんと、そんなので、よく結婚出来ましたよね?

奥さん、かわいそう。きっと、苦労させられてますよね。

と好き放題言ってくる。

そして、

ところで、今、天井に、女が居たのを見ましたか?

きっと、あの女が、最近、多発している事件の元凶です。

だから、きっと、あの社長も・・・。

と言ってくる。

え?あの社長が、どうしたって?

と聞く俺に、

まあ、あれ、見てください。

Aさんが指差す方を見ると、あの社長が、申し訳なさそうに深々と頭を下げている。

そして、

本当に申し訳ない。

私の力では、到底、あの女の悪事を止められないんだ。

というよりも、恥ずかしながら、私もあの女に協力させられてる。

だけど、こんな事はもう嫌なんだ。

貴方達の力で、私を浄化してくれないか?

お願いだ!

そう言って、もう一度、頭を下げる。

Aさんは、それを聞いて、

まあ、ちょっと考えてみますから・・・・。

そう言うと、早足で、そこから歩き出した。

と、その時、再び、どこからともなく、鉄の杭が飛んでくる。

何とか、かわす事が出来たのだが、その時、その社長が、1人の女に向かって

止めに入るのを目撃した。

しかし、明らかに力が違いすぎるようで、まるで相手になっていない。

一旦、外に出ます!

そう言って、Aさんは、工場から走り出た。

そして、車まで戻ると、誰かに電話をかけている。

かなり、長い時間電話で話しているAさんは、珍しく、俺以外の人にも、

大きく声を荒げて話している。

そして、電話を終えて、車から出てきたAさんは、疲れた顔で、

今、叔父に電話をしました。

私には無理だって・・・。

そうしたら、

お前に出来ないわけが無いだろうって・・・。

で、今から此処に来るそうです。

仕事上の大切な社長さんから頼まれた案件だから、何が何でも全て退治して、

悪いものは全て消し去れ、との事でした。

それを聞いて、俺は、

やりたくない事でもするの?

叔父さんって、そんなに怖い人なの?

でも、それって、いつものAさんらしくないかもね。

と言うと、

ええ、そうですよね。

分かってます。

だから、申し訳ないと思ったけど、姫を呼びました。

タクシーで今すぐ来てくれって・・・・。

そして、俺が、

姫って・・・・姫を呼ばなきゃいけないほどの悪霊なの?

と聞くと、

まあ、強い悪霊なんですけどね。

でも、私でも何とかなるレベルです。

ただ、問題なのは、その女の悪霊というのが、とてもずる賢いという事。

今のまま、浄化なんかしてしまったら、あの社長も一緒に消すことになります。

それを避ける為には、あの女を完全に、社長から引き離さないと・・・。

でも、私にはそんな事出来る訳も無い。

だから、姫に来て貰う事にしました。

他に何か質問あります?

こう言われた。

それから、しばらくすると、タクシーで姫が到着する。

姫は、俺に、いつものように、こんにちは~、と言いながら、丁寧にお辞儀

をすると、小走りにAさんに駆け寄る。

そして、2人で、難しそうな顔をしながら、話し込んでいると、数台の車が

やってきた。

どれも、かなりの高級車ばかりで、それがAさんの叔父関連の人達だというのが、

すぐに分かった。

車から降りてきて、話し込んでいる男達の話を聞いていると、どうやら、Aさんの

叔父という人が、除霊を頼んできた、仕事関係の社長まで連れてきており、その

部下も含めると、10人くらいになっている。

そして、Aさんに偉そうに話しかける男が1人。

それが、Aさんの叔父だということは、すぐに分かったが、俺が苦手とする

傲慢なタイプであり、どうやら、Aさんも、同じく嫌いらしく、それが顔に

出ている。

そして、すぐにAさんと叔父での言い争いが始まった。

つべこべ言わずに、さっさと全て消してしまえばいいんだよ!全て!

すると、

嫌です。さっき、電話でも言ったと思いますけど?

それに、叔父さんも、あそこに立って申し訳なさそうな顔でお辞儀をしている

男の人くらい、見えますよね?少しは霊感があるんだから・・・。

すると、

ああ、見えるが、それがどうした?

自殺なんかする経営者なんて、屑なんだよ。

だから、あんな悪霊にも取り込まれる。

所詮、駄目な奴は生きていても死んでからも駄目なんだよ!

だから、

お前は、ワシの言うとおりにすればいいんだ!

そうすれば、こちらの社長さんが、この場所で、新しい事業を開始出来るんだから。

そう言われて、Aさんがカチンときたのがわかった。

いつものクールな顔が、更に冷たい表情になっていく。

そして、

私、沢山の悪霊というものを見てきましたけど、今の叔父さんよりも酷いのって、

見たことないです。

叔父さんこそ、悪霊に取り込まれてちゃってるよ。

仕事の付き合いがあるから、良い霊も悪い例も全て、浄化しろって?

馬っ鹿じゃないの?

世の中の全てがあんたの為だけに回ってると思ってんじゃないの?

出来る奴もそうじゃない奴も、いるから、この世は楽しいんだよ。

それに、出来ると奴とか、出来ない奴とか、あんたが決める事じゃない!

デカイ会社の社長かもしれないけど、そんな事も分からずに、偉そうに

命令するなんて。

まさに厚顔無恥の極みだわ(笑)

そういうことだから、

やりたきゃ、自分で勝手にやればいいでしょ?

昔から霊能力があるって自慢してたもんね?

だから、やってみれば?

勿論、私は全力で、阻止するけどね。

・・・・・・・・・・。

それとね・・・・・。

今までは、それなりにお世話になったかもしれないけど、私はたった今、

あんたと親戚の縁を切らせてもらう!

文句があるなら、親戚で会議でも開いて、私の事を追放でも何でもすればいい!

あんたと、薄くても血の繋がりが有ると思っただけで、虫唾が走る。

だけど、除霊はきっちりやらせてもらうから、心配しないで!

勿論、あんたの為なんかじゃなく、これ以上、被害が出ないようにね!

あっ、言っとくけど悪霊だけの・・・・・除霊。

だから、そこどいて、邪魔だから!

Aさんのここまで切れた姿は見た事が無かった。

叔父という男の顔が怒りでみるみる赤くなっていくのがわかった。

すると、姫が、

すみませ~ん。邪魔なんで、どこか遠くに消えて頂けますか?

と、Aさんに感化されたらしく、丁寧な暴言を吐く。

そして、

いきますね!

という姫の言葉で、除霊が始まった。

姫の力はやはり凄まじいらしく、その女の悪霊は、あっさりと、社長の霊から

引き剥がされた。

その叔父という奴も、霊感があるらしく、姫の力に唖然として見ていた。

それから、姫が、

Aさん、お願いします!

と言うと、

Aさんは、1人で、その女の悪霊を完全に消滅させてしまった。

白い光が、その女の姿をじわじわと消していく。

その力も、やはり凄まじいもので、思わず見とれてしまった。

そして、それが終わると、Aさんは、叔父の方に振り向き、こう言った。

ごめんなさい。

除霊は失敗しました(笑)

私達のレベルでは到底、敵わない悪霊でした(笑)

だけど、この廃工場の周りには、とても強力な結界を張ったから大丈夫!

中には、あんたが言う、悪霊がまだ沢山集まってるから、それが外に出られない

ように、特に強力な結界を張ったから・・・・。

だけど、この結界がある以上、ここには何も建てられないね。

残念だけど(笑)

そして、これは、私ひとりではなく、ここにいる霊能者の力も借りたから、この後、

少なくても100年以上は、何も建てられないので・・・。

もしも何か建てれば、必ず災いが起こるので・・・。

あっ、それから

もしも、この結界を敗れる霊能者がいるんでしたら、どうぞ、ご自由に。

まあ、無理だと思いますけど・・・・・。

すると、姫がこう続けた。

はい。

私も持てる力を全て使った最高傑作の結界ですので、絶対、無理だと思いますよ(笑)

と笑った。

それから、俺達は俺の車で、その場を後にした。

車の中では、Aさんと姫が、叔父の悔しそうな顔を思い出しては、笑い転げるAさんと、

うまくいきましたね(笑)

とあくまで上品に笑う姫がとても対照的だった(笑)

その後、その廃工場は、相変わらず、心霊スポットして賑わっているが、

今ではすっかり安全な心霊スポットに戻っている。

勿論、あの社長の霊が、そこで見守っているのだから・・・・。

(まあ、悪霊が巣食っているという事になっているのだが・・・・)

ちなみに、やはりその後、Aさんが叔父に対して行った非礼に対して、親戚間で

問題を提起されたらしいが、Aさんには、特にお咎めも無く、逆に、その叔父が、

親戚一同から縁を切られてしまったらしい。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 19:59Comments(36)