2017年10月03日

冬山で出会った男

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆様、本日も大変お疲れ様でございました。

営業のKでございます。(優曇華様風に)

今日、帰宅すると、うちの大監督(娘)が、

あーだ、こうだと1人で大騒ぎしていたので、

どした?

と聞くと、

今月、修学旅行で東京方面に行くんだけど、

その時に、"ナンカントリュフ"が来たらどうしよう?

お父さん、助けに来てくれる?

というので、

ナンカントリュフって、何?

と聞くと、

"ナンカントリュフ"も知らないの?

大きな地震のことだよ!

と勝ち誇ったように言うので、

それって、もしかしたら、

"南海トラフ"の事でしょうか?

と聞くと、

顔を赤くしながら、

まあ、そうとも言うかな(笑)・・・。

と言いながら2階の自室へと消えて行きました(笑)

どうやら、言葉の一部しか覚えないのは血筋のようです(涙)

それはそうと・・・・。

サインについて・・・ですが、

私が腱鞘炎になるのをご心配頂いてる方も

いらっしゃいますが、まあ、たぶん、これが

最初で最後の出版になると思っておりますので、

本をお買い上げ頂き、サインを希望される方には

最大限お応えしたいと考えております。

コメントでも、ご提案頂いたように、レターパックに

返信用のレターパックを同封して頂くのが一番

良いのかな、と思いました。

その際、返信用には、送り先のご住所なども全て

書き込んでいただき、サインした本を送り返すだけ、という

形にして頂ければ助かります。

その辺は、とても良い方達ばかりですので、心配はして

おりませんが・・・。

弊社の優しくて綺麗でスタイル抜群の社長夫人も、

サインを受け付ける事に賛同してくれましたが、

やはり業務外の作業になりますので、もしかしたら、

送り返すまでに、それなりの日数を頂くかもしれません。

そして、こんな私のサインでも欲しくて我慢できない、という

方限定で、対応したいと思っておりますので、その辺は

ご理解のうえ、ご判断くださいませ!

そして、今再び、大監督が、私の部屋を覗いて、懲りもせず

さっきの、"ナンカイトリフ"だっけ?

と聞いてきましたので、

"ナンカイトラフ"と教えると、そのまま音もなく部屋のドアが

閉まりました(笑)

まあ、少しは近くなってきてますけどね(笑)

ということで、今夜も誤字脱字を探そう、の

コーナーがやってまいりました。

それでは、怖くない話。

どうぞ~!




これは知人が体験した話である。

彼は趣味で山登りをしていた。

普段はかなりお堅い仕事をしている彼は、山に登っているときだけは、

本当の意味で自由になれるのだという。

しかも、冬の中央アルプスにのぼったり、氷壁をザイルを使いのぼったりと

俺にはとても想像も出来ないような危険な登山ばかりをしていた。

もっとも、彼に言わせると、しっかりと計画し、しっかりと準備し、装備を

整えれば、決して危険なだけの山ではない、といつも言っていた。

そして、危険だけからこその魅力もあるのだと、彼は言っていたが、確かに

彼はこれまで幾多の危険な場面に遭遇しているらしく、骨折も一度や二度では

ないらしい。

そして、そんな様々な体験の中でも、特に不思議な体験だといって、話してくれた

のが、これから書く話である。

その時、彼は冬のとある山に単独で登っていたのだという。

天気予報もしっかりとチェックし、かなり以前からしっかりとした準備をして、

当日の登山に臨んだ。

早朝は、とても快晴で、まさに登山日和だった。

当然、雪の中を踏破してゆくことになるのだが、そんな事は想定内であり、

順調に1日目を終える。

山小屋は当然のごとく雪に埋没しており、彼は予定通り、大きな岩の陰に

テントを張って夜に備えた。

少しずつ山の天気が曇り、風が強くなってきているのは心配だったが、

とりあえず、晩飯を食べ、ウイスキーを飲むと、一気に睡魔に襲われ、彼は

冬用の寝袋に包まって寝てしまう。

そして、翌朝、強烈な風の音で目が覚めた。

テントから顔を出すと、辺りは完全にホワイトアウトの状態であり、視界が

全く利かなかった。

こんな状態゛では下手に動くと命に拘わるな・・・。

当然、彼は登山の際、身動き出来なくなる事も想定して、かなり多めに食料を

持ってきていたので、取り敢えずは、その日は吹雪が収まるのを待ちながら、

テントの中で過ごす事にした。

しかし、その吹雪は、その日はおろか、翌日になってもいっこうに収まりそうもなかった。

勿論、そんな天候の中を移動する事は、死に直結する事は分かっていたので、彼は

そのままテントの中でひたすら体力を温存しながら過ごした。

テントの中とはいえ、気温は氷点下であり、彼は必死に体を動かす事も忘れず、

天候の回復を待った。

しかし、3日目も、天候は全く回復する事はなかった。

さすがに持参した食料も、底を突き始め、彼は食べる量と回数を調整

しながら、テント内での待機を続けていたのだが、さすがに、4日目に

なると、完全に食料が無くなってしまう。

それでも、やはり天候は回復せず、彼は少しずつ、死というものを意識し始める。

食べるものが無いから、体力もなくなり、そして体温の維持も困難になってしまう。

そんな時、何処からか男性が叫ぶ声が聞こえてきた。

お~い!お~い!

最初は、意識が朦朧としている事による幻聴かとも思ったが、確かにその声は

彼に近づいて来ているのが分かった。

しかも、吹雪の中でも、不思議とその声ははっきりと彼の耳に届いていた。

もしかすると、誰かが助けに来てくれたのか?

最初、そう思った彼だったが、長年登山をしている彼にとって、今自分が

置かれている天候が、救助が可能な天候ではないということは、嫌というほど

分かっていた。

だから、救助など来る筈も無いということは分かっていたが、それでも彼は

最後の望みを託すように、近づいて来るその声に集中した。

すると、その声は彼のテントのすぐ近くまで来ているようで、彼はぼんやりとした

意識の中で、その声の主が姿を現すのを待った。

すると、突然、テントの入り口が開けられ、そこから大きな顔が現れた。

意識がぼんやりとしていた彼も、さすがにハッと身構えた。

何故なら、テントの中に入ってきた男は、服装こそ、登山者のそれだったが、

その背丈は異様に大きく、その顔は、嵐の中でもギラギラと目が光っており、

その手には、大きなナイフが光っていた。

そして、その大男は、テントの中に入るなり、彼を異常な目で睨みつけ、

どうせ死ぬんだから俺に食べさせてくれ!そうすれば俺は助かる!

そう言って、ニターっと笑った。

彼は、無意識に飛び起きると、その大男を突き飛ばし、テントの外へ出た。

テントの外は、相変わらずのホワイトアウトだったが、そんな事を気にしている

余裕は無かった。

何しろ、自分を食わせろ!と先ほどの大男は言っていたのだから・・・。

しかも、とても冗談を言っている目ではなかった。

彼は視界の利かない吹雪の中を手探り状態で必死に逃げた。

すると、後方から、

おーい。待て!どうせ死にかかってるんだから、食わせろ!

という声が聞こえてくる。

彼は視界が利かず、方角も分からなかったので、とりあえず、後方からの声が

ちょぅど真後ろの方角になるようにして必死に雪を掻き分けながら逃げ続けた。

そうすれば、少なくとも、出会いがしらにあの殺人鬼と出会うリスクだけは

回避出来たから・・・。

そして、幸か不幸か、後方から追って来る大男は、まるで自分の位置を知らせる

かのように、常に声を出していた。

そして、やはり彼にも意地があった。

どうして、この山の中で、殺人鬼に殺され食われなければならないのか・・・。

それならば、まだ滑落して死んだ方がよっぽどマシだと本気で思っていた。

しかし、数日間、吹雪が続いた雪の中を逃げるのは至難の業であり、彼はなかなか

前には進めなかった。

すると、後方からの声がどんどん近づいて来るのが分かった。

彼はもう無我夢中で雪を掻き分けて前へ前へと進んだ。

先ほどまでテントの中で意識が朦朧としていた自分が嘘のようだった。

しかし、それでも、後方からの声は確実に近づいて来る。

あの大男が、あの大きなナイフを振り回しながら追いかけてくるのを想像した

だけで、足に力が入り、生きる為の底力が沸きあがってきた。

すぐ背後からは、ザッザッと雪を掻き分けるような音が聞こえてくる。

しかし、不思議な事に、それは一定の距離以上は彼に近づこうとはしなかった。

まるで、故意的にそうしているとしか考えられなかったのだが・・・。

と、その時、突然の轟音が響き渡った。

そして、ずざーゴーッという音とともに、大きく何かが移動しているのが判った。

雪崩だった。

そして、その雪崩は、先ほどまで彼がテントを張っていた場所も、跡形も無く

飲み込んで山の斜面を落ちていった。

あのまま、テントの中にいたら、間違いなく死んでいた・・・・。

彼は、その様子を呆然と眺めていた。

が、ハッと我に帰り、背後を確認すると、吹雪の中に去っていく男性の後姿が見えた。

それは、先ほどの大男の後ろ姿ではなく、ごく普通の登山者の姿をした男性だった。

そして、その男性は、彼に背中を向けたまま、大きく手を振っていた。

そして、そのまま吹雪の中に消えていった。

彼は、その状況が理解出来なかった。

しかし、彼が雪崩に巻き込まれず、九死に一生を得たのは紛れもない事実だった。

ただ、テントが雪崩に流されてしまった今となっては、彼の命も風前の灯だった。

その時、彼の足の先に、何か硬いものが当たっているのがわかった。

そして、それを確認すると、それは雪で埋もれていた山小屋の入り口だった。

雪に埋もれていた筈の、その山小屋は何故か、入り口までの雪が全て除雪されており、

彼は、急いで、その山小屋の中へと避難した。

山小屋の中には、食料に加え、暖をとる為の薪、布団なども揃えられており、彼は

安心感から一気にその場にへたり込んでしまった。

そして、薪ストーブに火を点けると、彼は山小屋に備蓄されていた食糧を

食べながら考えていた。

それにしても、どうしてあの大男は自分を捕まえようとはしなかったのだろうか?

本当に食べるつもりなら簡単に捕まえられただろうに・・・・。

そして、吹雪の中で背中を向けて去っていった男性は一体誰なのか?

そして、その答えとして考えられる事は1つしかなかった。

もしかしたら、いや、間違いなく、先ほどの大男の殺人鬼は、彼を怖がらせ、窮地に

追いやる事で、テントを張っていた場所から逃がす為に、後姿の男性がわざとした

事ではないのか、と考えていた。

背後の大男は、決して彼に追いつく事はしなかった。

そして、常に彼が、この山小屋に辿りつけるように巧みに方向を制御しつつ、

追いかけて来なければ、こんなに正確に山小屋に辿りつける筈はなかった。

そして、雪に埋もれて見えなくなっていた筈の山小屋の入り口が綺麗に

除雪されていたが、一体誰がそんな事をしたというのか?

それは、先ほどの男性が彼を助ける為にやったと考えれば全て説明がついた。

そう考えると、彼は無意識に大粒の涙をこぼしていた。

それは、その男性がきっと幽霊だったという恐怖の涙ではなく、きっと、その

男性もこの山を登山中に亡くなった男性であり、それでも、彼を助ける為に、

あんな事までしてくれた。

もしも、そうでなければ、自分はあの雪崩に確実に巻き込まれていた。

それが、とても嬉しく申し訳なくて、涙が止まらなかった。

そして、それから2日後、天候は快晴になり、彼は自力で下山した。

当然、彼はその後も登山を続けているのだが、その件以来、彼の登山は大きく

変わった。

それまでの彼は、とにかく、山の山頂を目指す事しか考えていなかったのだが、

それ以降は、最優先で誰かを助ける為に動く事を心掛けているのだという。

今年ももうすぐ彼の好きな冬山のシーズンがやってくる。


  


Posted by 細田塗料株式会社 at 20:06Comments(29)