2017年11月20日

最後の客

サインディスプレイ部 営業のKです。

皆様、お疲れ様です!

一昨日、昨日と休ませて頂きまして、

申し訳ありませんでした。

そして、祖母の死去に対して、本当に沢山の

お悔やみのお言葉を頂戴致しまして、心より

御礼申し上げます。

実は、昨晩、通夜の帰りは突然、みぞれ混じりの

雪が降り出しました。

念の為にと、スタッドレスを履いていて助かりました。

それと、帰り道に、私達親子3人がとてつもない

怪異に遭遇してしまいました。

今、こうしてブログを書けているのが

不思議なくらいの・・・・。

まあ、この話は、いずれまたの機会にお話し

出来れば、と思っております。

それでは、今夜も久しぶりの怖くないい話。

いってみましょう!

どうぞ~!


俺の友人にケーキ屋を営んでいる男がいる。

そんな彼は、初めて一緒に飲んだ日に、こんな話をしてくれた。

彼が経営するケーキ屋は、午後11時まで営業している。

理由は売れ行きが悪いから・・・だそうなのだが。

俺に言わせれば、そんな時間まで店を開いていてもお客さんは来ないだろ?

と思うのだが、会社帰りの人や、飲んだ帰りの人がお土産にと、

結構買っていってくれるそうだ。

しかし、ある日、1人の女性が来店する。

彼が閉店の準備をしている時だったから、たぶん午後11時過ぎ。

そして、ショートケーキではなく、ホールケーキを誕生日仕様にして

買っていった。

どこか暗い感じの女性であり、ボソボソと話す感じはあまり好感は

持てなかったが、それでも大切なお客様には変わりなく、彼は

指定された本数のロウソクと共に、そのケーキを丁寧に手渡した。

すると、その女性は無言のままお辞儀をすると、そのまま静かに

店から出て行った。

彼は、その女性の顔を以前見た記憶があったのだが、どうしても

思い出せなかったという。

ただ、元々楽天家の彼だったから、

まあ、そのうちに思い出すだろう・・・。

という程度で気にも留めなかった。

だが、その女性はその翌日にもケーキを買いに来た。

そして、前日と同じ誕生日用のホールケーキを買うと、また静かに

店を出て行った。

彼は、

昨日買ったケーキをもう食べてしまったのか?

と疑問に思ったが、それもすぐに忘れてしまう。

そして、それから毎晩、その女性は彼の店にケーキを買いに来るようになる。

決まって、午後11時過ぎに・・・。

勿論、彼にしてみれば、毎日高価なホールケーキを買ってくれるお得意様

なのだが、やはり気になってしまい、思わずその女性に話しかけた。

毎日、お買い上げ頂いてありがとうございます。

それにしても、ケーキがお好きなんですねぇ?と。

しかし、その女性は全く反応が無かった。

そこで、彼は、

変な事聞いて、すみませんが・・・・。

私は、以前、貴女と何処かでお会いした事ありませんでしたか?

すると、今度はその女性は、うっすらと笑って、そのまま店を出て行った。

彼は、心の中で、しまった!と思ったらしい。

余計な事を聞いてしまった。

もしも気分を害して明日からケーキを買いに来てくれないのではないか?

そう思ったらしい。

そして、彼の心配は的中し、翌日からは、その女性は全く店に顔を

出さなくなった。

そんなある日、1人の女性がお店にやってきた。

50代の女性だったが、その顔は、毎晩ケーキを買いに来てくれていた

女性とそっくりだったので、彼にはその女性がすぐに母親だと

判ったという。

そして、彼が喋るよりも先に、その女性が口を開いた。

いつも、娘がこちらにお邪魔しているようで・・・。

本当にありがとうございます。

そう言われて、彼は慌ててこう返した。

とんでもありません。

娘さんには毎晩ケーキをお買い上げ頂いて本当に感謝しています。

毎晩、買いに来られるので、余程ケーキがお好きなんだな、と。

でも、最近はお顔を拝見出来てないのですが、娘さんはお元気でしょうか?

すると、その女性は少しため息をついた後、こう言った。

やっぱりお気付きになっていらっしゃらなかったんですね?

実は、毎朝起きると、玄関に大きなホールケーキが置いてあるんです。

そこで、包装紙を見ると、こちらのケーキ屋さんのお名前が書いてありまして。

それで、今日、お邪魔させて頂いたんですが・・・・。

毎晩、こちらの店にケーキを買いに来ていたのは、私の亡くなった娘なんです。

ちょうど一年前に事故に遭って、そのまま・・・・。

きっと死ぬ間際に最後に見たのがこちらのケーキ屋さんだったのでしょう。

だから、ちょうど自分の無くなった歳の数だけロウソクも付けて貰ったりして。

そこまで聞いて、彼は全てを思い出した。

ちょうど一年前、彼が閉店準備をしていると、店のすぐ前で事故が発生した。

怖くて現場を見る事は出来なかったが、それでも翌日の新聞で、亡くなった被害者の

女性の顔写真が載せられていた。

それを見た彼は、

まだ若いのに可哀相に・・・。

と思い、その時の記憶がうっすらと残っていたらしい。

その事実を知って、彼は怖いというより居た堪れない気持ちで

一杯になった。

だから、しんみりとした顔をしていたらしいのだが、その女性は、笑いながら、

でも、あの娘が死ぬ間際に見たのがケーキ屋さんで本当に良かった。

あの娘、ケーキが大好物だったんですよ。

そう元気に話した後、急に震えるような声になり、

もしかしたら、またあの娘がこちらにケーキを買いにくるかもしれませんが、

出来る事なら、自然に接してあげてくれませんか?

あの娘はきっとまだ自分が死んだこともわかっていないのかもしれませんから。

そう言うと深々とお辞儀をして、お店から出て行ったという。

それから、彼は毎日、事故現場に花を手向ける事を欠かさなくなった。

そして、いつその娘さんがケーキを買いに来ても大丈夫なように、

閉店間際でも、必ずその娘さんが買っていたホールケーキだけは

売れ残るようにしているということだ。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 20:07Comments(24)