2017年12月11日

空想が一人歩きを始める。

サインディスプレイ部  営業のKです。

皆様、お疲れ様です。

今夜はお客さんの忘年会の為、出かける前に

1話アップさせて頂きます。

それでは、今夜も怖くない話、

いってみましょう!

それでは、どうぞ~!




これは俺の友人の話である。

彼は漫画を書くのを趣味としている。

趣味といっても、実は昔から漫画家になるのが夢であり、仕事をしながら

漫画を描き続け、いつかプロの漫画家になるのが最終目標である。

そんな彼だから、仕事も熱中できず、出世など出来る筈も無く、

収入も少ない為、いまだに独身のままだ。

彼がいつも書いているのは、恋愛やSF系の漫画だった。

しかし、それを何度出版社に送っても、懸賞に応募しても、全く

評価されることは無かった。

自分には才能がある筈・・・・というのが彼の口癖だったが、さすがに

誰からも評価されない年月が長くなると、その自信も薄れてくる。

そこで、彼は最後の挑戦とのことで、それまでとは違うジャンルの漫画を

描き上げた。

それはホラー系の漫画であり、そこには彼がそれまで生きてきて、もしも

本当にそんなモノがいたら恐ろしいに違いない、と思っていたモノを

描ききった。

勿論、彼には心霊体験などある筈も無く、完全なる空想の世界の話である。

しかし、それを描きあげた後、意見が聞きたいとのことで、俺も読ませて

もらったのだが、正直、最後まで読む事は出来なかった。

それは面白くない、という理由からではなく、何か得体の知れない気持ち悪さを

感じたからだった。

正直、漫画に出てくる幽霊的なモノは、他の漫画にも出てくる様なモノであり、

確かに恐ろしい姿をした女だったが、それはホラー漫画では平均的なレベルの

ものだった。

しかし、読み続けていると、まるで何処かすぐ近くから、その女に見つめられている

ような圧迫感を感じてしまうのだ。

途中で読むのを止めた俺に、彼は、

どうした?

そんなに面白くないのか?

と聞いてきたが、

いや、そうじゃないんだけど・・・・。

ただ、もしかしたらこの本は危険なモノなのかもしれない・・・。

出来れば、このまま何処かのお寺にでも持ち込んで処分してもらった方が

良いのかもしれない・・・残念だけど・・・。

と答えるしか出来なかった。

それを聞いた彼は、俺の真意が伝わらなかった様で、それから彼とは疎遠になってしまう。

そして、その時もっとしっかりと彼を止めていれば・・・と俺自身、

後悔するような怪異が頻発する。

ことの始まりは、彼がその漫画を出版社に郵送で送った数日後だった。

出版社で、見知らぬ女の姿が目撃されるようになる。

トイレや給湯室はもとより、廊下やロビー、会議室、そして編集室と

いたるところで、その女が目撃された。

その手のホラー系の漫画を扱う出版社ではよくあることらしいが、どうやら

それは常識的レベルを超えていたらしく、そこに現れる女は、まさに彼が

漫画の中に描いた女の姿とそっくりだった。

更に、その出版社では、社員が次々に怪我や事故に遭ってしまい、結局

彼の漫画はすぐに彼の元に送り返されてきた。

そこには、

故意か偶然かはわかりませんが、二度と当出版社との関わりをお断りします。

そして、すぐにこの原稿を処分される事を希望します。

という内容の書面が同封されていた。

それを聞いたとき、俺は、やはり・・・・という気持ちになった。

何故なら、その漫画を読んでからというもの、常に誰かに監視されている

気配があり、そして、数日間に及び、毎夜、夢の中にあの女が出てきて、

じっと俺を睨んでいる、という状況が続いていたから・・・。

しかし、そんな現実も彼には通じなかったらしい。

彼はそれからも別の出版社に漫画の原稿を送っては、同じように、辛辣な書面と

共に原稿を送り返された。

そうなると、さすがに彼も気持ち悪くなったらしいが、苦労して描いた原稿を

捨てる勇気もなく、その原稿は彼の部屋で埃をかぶる事になる。

すると、それからは彼の友人や知人、そして近所の住人の間でも、見知らぬ気持ち悪い

女の姿を見たという噂が流れ始める。

ある者は昼間の公園で子供に声をかけているのを見た。

また、ある者は夜の駅で、ふらふらと何かを探している姿を見た。

そして、それは朝昼夜、関係なく至るところに現れるのだが、その姿はどう考えても

普通の人間には見えないもので、背丈が2メートルを超え、骨と皮だけのような

風貌で、白く汚れたコートを着ているという共通した目撃情報があった。

だから、彼はどうしてもその女の姿を自分の目で見てみたくなり、仕事を休んで

その女の姿を探し始める。

本当に見つかるのか?と思っていたが、それはいとも簡単に遭遇する事が出来た。

彼がその女に遭遇した時、その女は、公園のジャングルジムの上で、どこかの

猫を一心不乱に貪っていた。

女の口から滴る血が、その姿を一層不気味なものにしていたが、それは

彼には一目見て、彼が漫画の中に描いた女である事が直感的に分かったという。

そして、彼に気付いた女は、ニッコリと彼に笑いかけたかと思うと、まるで

蜃気楼のように消えてしまったという事だ。

現在、その漫画の原稿は、とあるお寺に厳重に保管されている。

結局、その後、彼の身の回りに怪異と実害が及ぶ事態になり、彼は俺に

相談してきた。

どうすれば良い?

と聞く彼に、俺はとあるお寺で封印することを勧めた。

そして、今、その漫画はそのお寺に封印されており、怪異は完全に収まっている。

今回の件で、俺はある話を思い出した。

それは、かの有名な四谷怪談である。

実在したお岩という女性は、夫婦円満で商売もうまくいき、幸せな人生を

送ったらしい。

それを鶴屋南北なる作者が、あくまで空想の話として、お岩さんという

女性を主人公にして四谷怪談というおどろおどろしい怪談を書き上げた。

そして、それはこの現代においても、呪われた逸話を残している。

歌舞伎役者や映画俳優が四谷怪談を演じる時、必ず於岩稲荷(神社)を

お参りするのが決まりになっている。

それは過去にそれを怠った役者や監督、関係者が不慮の死を遂げているから。

しかし、もともと江戸時代から続く、於岩稲荷(神社)というのは、夫婦円満と

商売繁盛をお願いする為の神社なのである。

だから、四谷怪談という話も、鶴屋南北という作者の空想が勝手に一人歩きを

始めた事による怪異や呪いだと思うからである。

実は、世の中にはまだまだ、この手の話が沢山存在する。

彼の漫画に拘わる怪異が永遠に封印される事を願って止まない。

  


Posted by 細田塗料株式会社 at 18:21Comments(14)