2019年05月15日

呪われた結婚式

これは知人女性から聞いた話である。

彼女にはとても仲の良い友達がいた。

会社に同期として入社して以来、その女性とはいつも休みの日になると

一緒に何処かへ出かけていたそうだ。

だが、何年か経つうちに、彼女の方から誘ってもなかなか会ってくれなくなる。

そんな感じで疎遠になった頃、その友達から結婚の招待状が届いた。

慌ててその女性へ電話をかけお祝いの言葉をかけると、照れ臭そうに

ありがとう!と言ってくれた。

彼女にとってもこれ以上無いほどに嬉しい知らせであり驚きだったという。

それから、結婚相手である彼氏を紹介もされたし、これからもずっと

親友で居てね!とも言われた。

二人はまさにお似合いのカップルであり、彼女にはまだ彼氏もいなかったが

そんな事はどうでも良かった。

後は、二人の幸せな結婚式を待つばかり・・・・。

彼女はそう思っていた。

しかし、ある日、彼女の元に訃報が届いた。

それは妻となるその女性が運転中の事故でそのまま即死したというものだった。

信じられなかった。

結婚式まで、あと2週間あまりだった。

彼女は酷く落ち込んでしまったが、夫になる男性の悲しみを思えと

胸が苦しくなった。

彼女の葬儀は、しめやかに執り行われ、彼女も当然、参列した。

結局、棺のふたが開けられる事はなく、最後の対面も叶わなかったが、

葬儀に参列した者達は、その事故が相当無残な死に方だったのでは?と

噂していた。

そして、そんな中、気丈に振る舞う彼氏の姿が可哀想で見るに堪えなかったという。

そして、葬儀から1週間あまり経った頃、彼女の元に意外な物が届いた。

それは、二人の結婚式を予定通り行うとの知らせであり、当然ご祝儀は必要ないが、

是非、亡くなった新婦の為にも出席して欲しい、との旨が書かれていたという。

彼女自身、とても驚いたが、それでも新婦になる筈だった娘の無念さを少しでも

慰めてあげたいという親の気持ちと、彼氏の気持ちを考えると、どうしても

欠席するわけにはいかなくなったのだという。

そして、執り行うのは披露宴だけであり、結婚式自体は行わないのだと聞いて

彼女は亡き友達の為にも出席を決めたのだという。

当日は、朝から生暖かい雨が降り続いていた。

予定通り、元々着ていくはずだったスーツに身を包んだ彼女は急いでタクシーに乗り

式場であるホテルへと急いだ。

ホテルに到着すると、本当に華やかに彩られた装飾に彼女は目を見張った。

そこには、まさに本物の結婚式と同じような豪華さがあった。

受付をする際に渡された挨拶文には、

今日は精一杯楽しんでいってください・・・・・。

そして、涙はお控えください・・・・。

そう書かれており、彼女はその文面を見て少しホッとした気分になったという。

彼女は指定された座席表野テーブルに着席した。

丸テーブルが幾つも並び、一段高い所に新郎・新婦の席が設けられていた。

空いている席は無く、きっとその誰もが、自分と同じ気持ちでその披露宴に

出席しているのだと少し感傷的になったという。

そして、いよいよ披露宴がスタートすると、その進行といい、運ばれてくる

料理といい、まさに本物の披露宴そのものの豪華さだった。

挨拶文の通り、涙する者は一人もおらず、披露宴は終始和やかな雰囲気で

進行していった。

しかし、突然、1人の出席者から悲鳴があがる。

新婦の姿を見た!

そう言って恐れおののく姿は、とても演技には見えなかった。

そして、1人また一人と気分を悪くして披露宴会場から退席していく。

更に、途中から照明が明滅したり、マイクの音が聞こえなくなったりしてしまい、

その度に会場は大きな悲鳴に包まれていった。

そして、いよいよ新郎の挨拶の段になり、決定的な瞬間が訪れてしまう。

スポットライトの中、マイクを持った新郎が出席者達への挨拶を話しだそうとした瞬間、

突然、ライトが消えた。

そして、数秒後に再びライトが点いた時、新郎の横には無残な姿をしたまま

純白のウエディングドレスを着た新婦が立っているのがはっきりと見えた。

とても、余興として行われているジョークだとは誰も思わなかった。

その姿は、血にまみれ崩れた顔でにっこりと笑う新婦の顔が不気味という言葉

以外には表現出来ない程、おぞましい姿として、其処に存在した。

固まって動けなくなる者・・・・。

その場て悲鳴を上げる者・・・・・。

泣き崩れる者・・・・・。

反応はそれぞれだったが、次の瞬間、けたたましいばかりのマイクのハウリング音

が会場に響き、その瞬間、新婦の姿はその場から煙の様に消えてしまった。

友達である新婦の変わり果てた姿に彼女はその場て嗚咽したという。

そんな事があって、披露宴はすぐに中止され、お開きとなった。

彼女もすぐに自宅へと戻ったが、しばらくは新婦の姿が目に焼き付いてしまい

夜も寝られなかったという。

そして、その披露宴以来、ずっと何か不吉な物を感じていたのだという。

そして、それから数日後、彼女の耳に知りたくない事実が届いた。

披露宴の後、新郎の姿が忽然と消えてしまったのだという。

披露宴の後、ガタガタと震えていたという新郎は、披露宴会場から帰宅する際、

そのまま何処かへ消えてしまった。

何処をどう捜索しても新郎の姿を発見する事は出来なかった。

だから、披露宴に出席した者は、

きっと、新婦が新郎を連れて新婚旅行に行ってしまったのだはないか?

と噂していたという。

そして、新郎が消えてからちょうど7日後、新郎が山の中で発見された。

無残な遺体となって・・・・。

その遺体は披露宴で来ていたタキシード姿のままであり、全身はまるで

車に乗ったまま大事故に巻き込まれたかのようにグチャグチャに潰されていた。

まさに、あの披露宴で見た新婦と釣り合いが取れるかのように・・・・・。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:41Comments(33)