2019年07月06日

ぬいぐるみ

これは知人女性から聞いた話。

人形には霊魂が入り込むという話をよく聞く。

日本人形や西洋人形に拘わらず、やはり人の形を成している物には、亡くなった

者の霊魂や思いが乗り移ってしまうのかもしれない。

しかし、これから書く話は人の形をした人形ではない。

可愛いという理由で、どの家にも1つや2つは在るであろう、ぬいぐるみに

関する話になる。

そのぬいぐるみが彼女の元にやって来たのは小学生の頃だったという。

拾ったり中古品をもらったりした訳ではなく、両親が彼女の誕生プレゼント

として新品を購入してプレゼントしてくれたものだという。

それは、可愛いクマのぬいぐるみであり、彼女がずっと前から欲しいと両親に

ねだっていたぬいぐるみらしい。

だから、彼女もそのぬいぐるみが大層気に入って、名前をつけて可愛がっていた。

寝るのも一緒、部屋で何かをする時にはいつもすぐ近くに置いて、たまに

話しかけたりしながら楽しく過ごした。

家族で旅行に行く時にも、いつも大きなバックの中にそのぬいぐるみを入れて

一緒に連れていった。

兄弟のいなかった彼女にとって、そのぬいぐるみは、親友であり、そして

兄弟でもあったのかもしれない。

そして、彼女が中学に入り、そして高校生になっても、その関係は変わらず、

悩み事があると、いつもそのぬいぐるみに語りかける様にしていたし、寝るときにも

いつもベッドの上に、そのぬいぐるみを置いて寝ていたのだという。

しかし、彼女が大学に合格し、実家から離れて生活を始める時、引っ越しの荷物の中には

そのぬいぐるみの姿は無かった。

1人暮らしのアパートはそれほど広くはなかったし、なにより親元を離れてしまう

自分の代わりに、そのぬいぐるみを実家に置いておきたかった。

そう彼女は言った。

しかし、実際のところ、その頃になると、彼女がぬいぐるみにそれほど愛着を

感じなくなってしまっていたのも事実だった。

彼女が言うには、高校生の時、家族で1週間程海外に旅行した事があったらしく、

旅行から帰ると、そのぬいぐるみの顔が変わったような気がしたのだという。

可愛いというよりも、いつも彼女を睨んでいるような視線にいつしか彼女も

気味が悪くなり、いつしか押し入れの中に仕舞いっ放しになったしまった。

だから、彼女としては、1人暮らしを始めるにあたり、そのぬいぐるみを

一緒に連れていくという選択肢は最初から無かったのかもしれない。

そして、彼女は引っ越し先での一人暮らしを始めた。

生まれて初めての1人暮らしはなかなか大変でホームシックにかかったりも

したらしいが、すぐに友達も出来て少しずつではあったが、充実した新生活

を送れるようになっていく。

そんなある日、実家から電話がかかって来た。

彼女の部屋に置いてあった、くまのぬいぐるみが消えたのだという。

そのぬいぐるみは、彼女が家を離れる際、机の上に座らせてきたままに

なっていた筈だったし、母親も、たまに彼女の部屋に行ってはそのぬいぐるみを

見ながら彼女の事を思い出すのを楽しみにしていたらしい。

そして、その部屋には母親以外に誰も入る筈も無かった。

それなのに、ぬいぐるみが突如、消えたのだと言われた。

その時、彼女は、

もっと良く探してみれば?

案外、机の後ろに落ちていたりするんじゃないの?

等と言ったらしいが、どうやら既に部屋中を探したが見つからないのだと

言われてしまう。

そして、その時、彼女は母親を慰めるつもりで、こう言ったのだという。

気にしなくていいよ・・・・。

もう、あのぬいぐるみは、そんなに大切な物ではないから・・・と。

そして、電話を切った彼女だったが、何か不安な気持ちになったという。

そのせいか、その夜、彼女は夢を見たのだという。

夢の中で、ぬいぐるみが彼女の元を目指して道を歩いてくる夢だった。

その顔には憎悪が満ち溢れ、そしてその手には小さなナイフが握られていた。

そして、彼女は悪夢にうなされた末に夢から目覚めた。

体中にべっとりと気持ちの悪い汗をかいていたという。

やはり、昼間にあんな電話をもらったからだ・・・・。

彼女はそう思った。

しかし、その夜から毎晩、彼女は同じ夢を見る様になった。

しかも、ぬいぐるみが歩いている道はその日によって周りの風景が変わっていた。

だから、その余りにもリアルすぎる夢に彼女は次第に恐怖の念を抱くように

なっていき、夜も寝られない日が続いたという。

そんなある日、大学から帰宅した彼女はアパートのドアの鍵穴に何かを突っ込まれた

様にガタガタに壊されている事に気付いた。

泥棒・・・・?

そう思った彼女はすぐに警察を呼んで事情を話したという。

しかし、警察はその場で変わった遺留物を見つけてしまう。

それは、合成繊維で出来た短い茶色の毛・・・・・だった。

警察もそれが何か分からなかったようで、毎日、何回か、アパートの周りを

パトロールしますから・・・と言い残して帰っていったという。

アパートの中に1人残された彼女は、不安で一杯だった。

そして、考えているうちに、ある事を思い出した。

そういえば、あのぬいぐるみの毛も短い茶色だったはず・・・・。

それを思い出すと、彼女は恐怖で押しつぶされそうになった。

とても1人で居られる心境ではなかった。

だから、その日の夜は友達のマンションに泊めてもらう事にしたという。

友達のマンションで食事をしてテレビを見て色々と話していると、すっかり

恐怖も消えていったという。

そして、友達と一緒にその日は遅くまで話し込んでしまい、寝たのは午前0時を

回っていた。

安心して熟睡したはずの彼女だったが、何かの物音で目が覚めたという。

彼女が上半身を起こすと、友達もその音で目が覚めたのか、ゆっくりと

起き上がったという。

カリカリ・・・カリカリ・・・・カリカリ・・・・。

それはまるで、窓を何か固いもので引っ掻くような音だった。

ただ、彼女一人だけなら恐怖で固まるしかなかったが、その時は友達が

隣にいた。

だから、彼女は勇気を振り絞ってそま音がする方へと近づいていった。

姿勢を低くして、窓の方へと近づく。

そして、窓まで来ると、そのままカーテンの蔭から外を見た。

息が止まるかと思った。

そこには、紛れも無く、くまの形をした何かが窓に張り付くようにしながら

ごそごそと蠢いていた。

その姿、そして大きさは間違いなく彼女が実家に残してきた、ぬいぐるみにしか

見えなかったという。

追い掛けてきたんだ・・・・・私を・・・・・・。

殺す為に・・・・・・・。

そう思うと、恐怖でその場にへたり込んだ彼女は、その場で嗚咽する様に

泣き続けるしかなかったという。

そして、何とかそのまま朝になり、カリカリという音も聞こえなくなったが、

彼女は友達に、そのぬいぐるみの事を話す事が出来なかった。

友達が外に出て窓の辺りを見てみると、やはり茶色の短い毛が、まるで存在を

主張するかのように大量に落ちていたという。

もう彼女には自分のアパートの部屋に戻る勇気は無かったという。

急いで支度をして電車に乗り実家を目指した。

まだ、きっと、ぬいぐるみはアパートの近くにいるはず・・・・。

だから、今のうちに実家に戻って何か対策を講じなければ・・・・。

そう思ったという。

駅に着いた彼女は時間が勿体なかったので、タクシーに乗り実家へと急いだ。

そして、家族が待つ実家へとたどり着いた彼女は、急いで玄関へと入った。

驚いた顔で出迎えてくれた母親。

そして、母親から予想していなかった言葉を掛けられた。

あのね・・・・不思議な事もあるもんだけど・・・・・。

以前、消えたって言ってたあのぬいぐるみ・・・・。

さっき、確認したらちゃんとあったのよ・・・・。

あんたの部屋に・・・・・。

その言葉を聞いて彼女はパニックになった様にその場で号泣したという。

逃げ場はない・・・・。

そう悟ったという。

そして、此処からの話は安全の為に割愛させていただく事にする。

勿論、読まれる皆さんの安全の為に・・・。

ただ、その後、彼女は瀕死の大怪我を負う事になり、片目を失った。

そして、現在、そのぬいぐるみは富山の住職の寺にしっかりと安置されている。

Aさんと姫がありったけの霊力を注いだ護符を張り巡らせた鉄の箱に

入れられて・・・・。

供養の為の読経もしてはいない。

まだ、危険すぎるから・・・・。

Aさんと姫が二人かがりで対処しなければいけない程の、ぬいぐるみとは

いったい何なのか?と俺には分からないが、きっとそうしなければ彼女は

間違いなく瀕死の重傷と固めの喪失だけではなく、間違いなく命を落として

しまっていたという事なのだろう。

そして、そのぬいぐるみに入り込んだモノは、どうやら彼女だけが標的なのではなく、

人間全てを標的にしているのだと聞かされた。

そして、その時、Aさんが、こう言っていた。

ぬいぐるみを可愛がるのはいいんですけど、名前をつけたり話しかけたりするのは

絶対に駄目です!

ぬいぐるみに魂が宿ってしまいますから・・・。

勿論、その人が死ぬまで大切にして変わらぬ関係を保てるのなら何も言いませんが、

そんな事はなかなか出来るものじゃありませんしね・・・・。

可愛がれば可愛がるほど、その人の態度が冷たくなった時、ぬいぐるみが

感じるのは淋しさだけではありません。

恨みや怒り、そして殺意ですから・・・・。

そして運悪く今回の様に強くて悪いモノが入り込んでしまった場合には、

対処する術がありませんからね・・・・と。

あなたの家に在るぬいぐるみは大丈夫ですか?


  


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:42Comments(0)