2019年07月22日

このブログについてのお知らせ!

営業のKです。

皆様、お疲れ様です!

大変、突然ではありますが、諸般の事情によりまして、こちらの

ブログに載せてある「怖くない話」は、全て削除させて頂く事にしました。

ですので、こちらで私の怖くない話が読めるのは今週いっぱい、

ということになります。

本当に申し訳ない気持ちでいっぱいですが、

ご理解頂けると助かります。

こちらに掲載されております「怖くない話」は基本的に殆どが

私の個人ブログ

「およそ石川県の怖くない話」というサイトに移設済みであり、また、

そちらの個人ブログでは、これからも更新を続けていく予定ですので、

良かったら、どうぞ!

http://isikawakenkaidan.blog.fc2.com/


それから、コメント欄に関してですが、今のところ、これまで通り交流に

お使い頂ければ結構だと思いますが、もしも問題があるようなら、

こちらからご報告させて頂きます。

以上、突然のご報告になりますが、

何卒宜しくお願い申し上げます!
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 21:25Comments(0)

2019年07月18日

8ミリビデオ

彼女は今でこそ普通の生活を送っているが幼い頃は祖父が社長をしていた

会社のお嬢様だったらしく、幼い頃の写真や映像が今も残されている。

召使いやお手伝いさんを使用していたというからきっとかなりのものだった

のだろう。

そんな彼女が大人になり結婚した頃、既にその会社は倒産していたそうなのだが、

実家から1本の8ミリのビデオテープが見つかったのだという。

既に世の中にはまともに動く8ミリビデオの映写機などなかなか見つからない

というのが実情だったから彼女はそのテープを譲り受けてからずっと中身を

観る事が出来なかった。

しかし、最近は便利なもので8ミリビデオのテープをDVDに焼き直してくれる

サービスというものがあるらしく、かなり高額ではあったが思い切って

その8ミリのテープのダビングを依頼する事にした。

その8ミリのテープが収められているケースには、しっかりと彼女の名前が

書いてあった。

だから、きっと幼い頃の自分と、もう他界してしまった母親が一緒に映っている

映像が見られるのではないか、という期待があったらしい。

しかし、ダビングが出来上がる日、彼女がワクワクしながらDVDを受け取りに

行くと、どうも店の人の様子がおかしかった。

怪訝そうん顔で、

こういうのは困りますから2度と持ち込まないでください!

そう言われたという。

彼女はかなり気分を害して帰宅したらしいが、そこまで言われるからには

いったい何が映っているのか、逆に気になってしまう。

そこで、彼女は帰宅した夫と一緒に早速そのDVDを再生した。

暫くのノイズ画面の後、ようやく幼い彼女が映る。

誰かと一緒に遊んでいる自分を見て、彼女は自分が全く楽しそうな顔ではなく、

何かに脅え泣きそうな顔をしている事に気付いた。

そこで、彼女はDVDの再生を止めた。

見るに堪えなかったという。

そして、もうひとつ気になる事があった。

それは、その映像の中で幼い彼女と一緒に遊んでいる女がいったい誰なのか、

全く思い出せなかった。

そこで、彼女は父親や兄弟、そして親戚にも、その映像を見せて、その女の顔に

見覚えがないか?と聞いてみた。

しかし、不思議な事に誰もその女の顔は知らない、と答えた。

それどころか、映像に出てくる場所というのは、当時の家でもなく、とても

暗い感じのする廃屋のような場所だった。

ますます、不安に駆られた彼女は思い切って、最後までその映像を

観てみる事にした。

そうすると、色んな事が分かってきた。

ボール遊びをしているように見えたのは、明らかに幼い彼女に何かをぶつけている

映像だった。

また、鬼ごっこのように追いかけっこをしている映像には、まるで恐ろしい何か

から必死の形相で逃げている幼い彼女が映っていた。

そして、それらの映像が全て何台かのカメラで、ズームを織り交ぜながら現代の

映画のように撮影されている事も・・・・。

当時のカメラにそれほどの性能は無かっただろうし、何より、そんな撮影を

しようとすれば、かなり大勢の人間とカメラが必要になるのは素人の彼女にも

容易に想像できた。

そして、それに気付いた時、彼女はその映像を観るのを止めるべきだった。

もしかしたら、彼女にはそのまま映像を見続ければもっと新しい事実が

発見できるかもしれない、と思っていたのだろう。

そして、そのまま映像を見続けた彼女は最後の部分で完全に固まってしまう。

見知らぬ女が彼女を抱きかかえたまま、1人で歩いている・・・・。

そして、目の前には大きな池が現れる。

すると、その女は抱きかかえていた幼い彼女を池の中へと静かに沈めた。

ゆっくりと沈んでいく彼女。

そして、全く動く事が無いまま、彼女は池の底へと沈んでいった。

とても透明度が高いのか、沈んでいく彼女の姿はずっとカメラの中に

収められていた。

そして、その池もかなりの深さがあるのか、どんどん沈んでいった彼女の姿は

やがて薄らと揺れたかと思うと、そのまま見えなくなる深さまで沈んでいった。

彼女はその映像を見た時、思わず大声で悲鳴を上げていた。

何故、幼い自分が池で水死する映像が映っているのか?

テープが入っていたケースには、間違いなく彼女の名前が書かれていた。

だとしたら、今、映像を見ていた自分はいったい何者なのか?

そして、幼い自分を池の中に沈めた女はいったい何者なのか?

そのどれ一つも彼女にはいまだに分からないらしいが、その映像は最後に満足そうな

満面の笑みを浮かべる女の顔のアップで終わっていた

そして、その女の顔は彼女がそれまで見てきたどんなホラー映画よりも気持ち悪く、

直視していると気が狂いそうになる程の不気味な顔だったという。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:55Comments(2)

2019年07月14日

浴室

今考えると、少し前からおかしな事があったのだ、と彼女は言った。

マンションで一人暮らしをしている彼女は昼間の仕事が終わってから

夜の店でバイトをしていた。

勿論、経済的な理由だったが、昼間の仕事だけではとても生活していけない

らしく、週に3日~4日は夜のバイトで働いていた。

元々、人と話すのが嫌いではなかったので、夜の仕事にもすぐに慣れる事が

出来たし、何より昼間の時給に比べて夜の仕事の方がかなり良い時給だった

から、彼女はずっと夜のバイトを続けていこうと思っていたという。

夜のバイトが終わるのは午前12時くらいだったが、そのまま寝るわけにも

いかず、帰宅すると最初にお風呂に入ってから寝るのが習慣になっていた。

確かに、最近では午前0時時過ぎに帰宅すると、それまで誰かが部屋の中に

居た様な気配を感じる事はあったが、楽天家の彼女は元々、心霊現象の類は

一切信じておらず、さほど気には留めなかったという。

更に、朝になると、つい先ほどまでお湯が張られていたかの様に浴槽が

濡れている事もあったが、それも自然現象だと気に留めなかった。

そんなある日、彼女が夜のバイトから戻り着替えをしていると、突然、浴室の

折りたたみドアがカチャッと音を立てて開く音が聞こえた。

窓を開けたままにしておいたのかもしれないと思った彼女は、その音にも

動じずそのまま着替えを続けていると、今度はパタンという浴室のドアが

閉まった様な音が聞こえた。

その時にも彼女はまた風のいたずらか?と思ったらしいのだが、さすがに

煩く感じてしまい、着替え途中のまま、浴室へ行き開いている窓を閉めて、

ついでにお風呂の湯も張ってしまおう、と思った。

鼻歌交じりに浴室へと歩いていき浴室の明かりを点けてドアを開けた。

え?

その時はさすがの彼女も唖然としてしまう。

浴室の窓はしっかりと閉められ鍵も掛けられていた。

それじゃ、なんで?

どうしてドアが勝手に開いたり閉まったりするの?

そう考えて少しゾッとしたらしいが、もしかしたら隣の部屋から聞こえてきた音

だったのかもしれない、と自分に言い聞かせ、そのまま浴槽の蛇口からお湯を出して

リビングへと戻った。

珍しく心臓がドキドキしていたが、それでもテレビの深夜番組を見ていると

すぐに恐怖感も和らいでいく。

普通ならば、そんな夜は風呂に入るのは止めておくか、朝方に入るのが

当たり前なのだと思う。

しかし、彼女はお風呂に入ってからでないと寝つきが悪いらしく、結局

部屋中の電気とテレビを点けたままお風呂に入る事にした。

浴室に行くと熱いお湯が浴槽を満たしていた。

そこから立ち上がる湯気を見ていると不安もすぐに消し飛んだ。

湯船に浸かり、浴槽から上がって体と髪を洗い、また湯船に浸かる。

部屋中の電気を点けてきたせいか、もう恐怖は感じなかったという。

寝船の中で鼻歌を口ずさみながら手足のマッサージをした。

疲れがすっきりと解消されていくのが分かった。

そして、彼女は固まった。

先ほどから歌っている鼻歌が、どうしても自分だけの声には聞こえない事に気付く。

まるで、誰かが一緒に歌っているように・・・。

だから、彼女は突然、鼻歌を止めた。

すると、声など聞こえない。

やっぱり気のせいだよね・・・・。

そう思い、ホッとしている彼女だったが、突然、クスクスという誰かの笑い声が

聞こえてきた。

やはり、それも隣の部屋から聞こえてくる笑い声なのだと思いたかったが、その笑い声は

しわがれた女の声であり、隣の部屋には女など住んではいなかったし、そんな真夜中に

高らかな声で笑う事など在る筈も無かった。

彼女はまた固まった。

浴槽の中で裸、という無防備な状態でいる事が彼女の恐怖心を一層掻き立てた。

彼女は浴槽の中でお湯から顔だけを出すような恰好で全神経を耳に集中した。

笑い声はすぐに聞こえなくなった。

彼女は急いで湯船から上がり、明るくテレビが点いているリビングに行こうと

浴槽から体を上げた。

その瞬間だった。

彼女の目の前で信じられない光景が起こる。

浴室のドアからうっすらと見えている部屋の中の明かりが次々に消えていく。

リビングの明かりが消え、廊下の明かりも消え、浴室の外が真っ暗になっているのが

分かった。

彼女はその時、泥棒か変質者が部屋の中に侵入したのた、と思ったという。

それならば、先ほどからの不可解な現象も全て説明がついた。

確かに恐怖しか感じなかった。

だが、相手が人間であり、先ほど聞いた声の主なのだとしたら、その侵入者は

女性という事になる。

そして、女性であれば自分でもなんとか出来ると思ったのかもしれない。

彼女は浴槽から出ると、大きな声で、

誰かいるんでしょ?

警察にもう電話したから!

もうすぐ此処に駆けつけてくるからね!

逃げるんなら今のうちだよ!

と叫んだ。

真夜中に大声を出す事など迷惑以外の何物でもないのは分かっていたが、それでも

その声が誰かに聞こえ、そして助けてくれるかもしとれない・・・。

そう思ったらしい。

しかし、全く反応は無かった。

だから、彼女は耳を澄ませて次に自分はどうすれば良いのか?を見極めていた。

と、次の瞬間、カタンという音が聞こえ浴室のドアが開いた。

生きた心地がしなかったが、それでも彼女は必死に拳を握りしめて恐怖に耐えた。

浴室の折りたたみ式のドアが50センチほど開いていた。

そして、そこからは真っ暗な廊下が見えるだけで誰かがいる気配は一切

感じなかった。

それどころか、先ほど点けてきたはずのリビングのテレビの音も全く聞こえない。

彼女は真っ暗な廊下に向かって、

誰かいるんでしょ?

顔を見せなさいよ!

と再び叫んだ。

しかし、次の瞬間、開いていた浴室のドアがカチャッという音を立てて

独りでに閉まった。

其処に誰もいないのは間違いが無かった。

誰かがいたとすれば、ドアのすりガラスを通して確認出来た筈だった。

彼女は得体の知れない悪寒を感じ、慌てて再び浴槽の中に入った。

沈黙が恐怖でしかなかった・・・。

だから、彼女は浴槽の蛇口を捻ってお湯を出そうとした。

その時だった。

浴室の明かりが消えて、真っ暗になった。

突然の出来事に何も見えず浴室の白い壁だけがボーっと浮かび上がっていた。

もう彼女は動けなくなっていた。

本当は浴室から出てすぐにでも明かりを点けたかったし、浴槽の蛇口からお湯も

出したかった。

しかし、一瞬でもそのドアから視線を外せば、何か恐ろしい事が起きるのでは

ないか、と思い、恐怖で完全に固まっていた。

真っ暗な中での怪異に人間の神経は耐えられるものではない。

彼女は大声で悲鳴を上げて浴室から逃げ足そうと決意した。

その時、ポチャンと天井から水滴が浴槽のお湯の上に落ちるような音が聞こえた。

ヒッと思わず声を出して体をこわばられる彼女。

その時、突然、彼女の両肩に何かが乗せられたのが分かった。

とても冷たくゴツゴツしていたが、彼女にはそれが誰かの手にしか思えなかった。

そして、

今夜は一緒だねぇ・・・・。

という声が聞こえた。

彼女は遠ざかる意識の中で必死に浴槽の水栓につながったチェーンを探し、それを

引っ張った。

そうしなければいけない、と自分の中の何かが教えてくれたという。

彼女はしわがれた女の笑い声を聞きながら、そのまま意識を失った。

そして、朝になり目が覚めた時、彼女はまるで何かに背中から押さえつけられた

かのように、うずくまった状態だったという。

きっと、あの時、とっさに湯船の栓を抜かなければ、私は死んでいたんだと

思います。

彼女はそう震えながら話してくれた。

そして、それから彼女はすぐにそのマンションから引っ越しを決めた。

ちなみに、引っ越し先では彼女の周りで怪異は一切発生していないそうだが、

噂では、彼女がそれまで住んでいたマンションの部屋は、誰も入居者が

現われず開かずの間になっているという事だ。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 21:26Comments(0)

2019年07月12日

助けてください・・・・。

これは知人男性から聞いた話。

彼は会計士として小さいながらも会計事務所を経営していた。

年度末という事もあり、仕事がかなり忙しく数日間は家に帰れない日が

続いていた。

そして、その夜も残業に従事していたが、どうやら一段落つく事が出来たようで

家に帰ってぐっすり眠ろうと思い立った。

そうと決まれば彼の行動は早く、一緒に残業していた社員達を帰宅する様に促し

彼自身も車に乗ってさっさと帰路に就いたという。

時刻は既に午前1時を回っていた。

自宅までは車で30分ほどの距離だったので、彼はコンビニに寄り眠気覚ましの

缶コーヒーとおにぎりを買い、それを運転しながら食べつつ家路を急いでいた。

すると、突然、お腹が痛くなった。

とても家まで我慢できる状態ではなかったという。

彼は仕方なく公園に車を停めると、急いで敷地内に在るトイレへと駆け込んだ。

誰もいない公園はそれなりに不気味ではあったが、まだ新しい公園のせいか、

随所に照明も設置されており、トイレ内も明るく綺麗だったから、彼は

そのままトイレで用を足す事が出来たという。

お腹もすっきりした彼は車に戻ろうとトイレの個室から出た。

そして、手洗い場に行こうとすると彼は思わずぎょっとしてしまった。

手洗い場に女が1人、無言で手を洗っていた。

どうして男性用のトイレで手なんか洗うんだよ・・・・。

そう思って彼はしばらくその様子を見守っていた。

しかし、その女はいっこうに動く気配が無かった。

彼は仕方なくそのまま車に戻ろうと女の後ろを通り過ぎようとした。

その時、彼の耳には、

助けてください・・・・・。

と聞こえた。

え?

と思い、思わず立ち止まった彼は鏡越しにその女を見た。

笑っていた。

ニタリとした気味の悪い顔で鏡越しに彼を見ながらその女は手を洗い続けている。

時刻は既に午前1時半を回っていた。

そんな時刻に、手を洗いながら笑う女。

それだけで、彼にとっては十分過ぎる恐怖だった。

彼は固まり動けなくなっていた。

すると、その女が、また

助けてください・・・・。

そう言った。

確かに不気味なシチュエーションではあったが、もしかしたら本当に何か

困りごとがあるのかもしれない、と思った彼は勇気を出して、

何かお困りなんですか・・・・・・?

と呟いた。

その女の目が大きく開き、何もしていないのに水道の水が止まった。

彼はその一部始終を目撃した。

そして、その女の口がより大きく開き、更に気持ちの悪い笑みを浮かべる。

これは人間じゃない・・・・。

その時、彼はそう確信した。

そして、それと同時にそれまで固まって動けなかったのが嘘のように、反射的に

その場から駈け出していた。

生きた心地がしなかった。

後ろを振り返る余裕も無かった。

それでも何とか車まで戻った彼は、一気に車に飛び乗ると、キーを回して

エンジンをかけた。

そこで、彼は初めて先ほどのトイレの方を確認する。

しかし、もう其処にはその女の姿は無かった。

もしかして、車の側に隠れているのかとも思い何度も確認したが、やはり

何処にもその女の姿は無い。

彼はホッと胸をなでおろしてその場から車を発進させた。

その時、彼はとにかく家に帰りたかったという。

家に帰り、家族の寝顔を見れば、安心できる・・・・。

そう考えて。

だからなのかもしれない。

彼は車が他に1台も走っていない事で気が急いていたのかもしれない。

いつもよりもスピードを出して走っていた彼の車は真っ直ぐな道で突然

ハンドルを取られてそのまま電柱に激突した。

自分の意志とは違う方向に突然車が向きを変え、ブレーキを踏む間もなく、

ノーブレーキで電柱に突っ込んだ。

フロントのボンネットが電柱を飲み込んでいくように壊れていき、その直後、

彼の体を激痛が襲った。

骨の折れる嫌な音もはっきり聞こえた。

そして、車は運転席をえぐるように大破し、歩道に乗り上げて停止した。

助けを呼ばなくては・・・・。

そう思いながら、どんどん意識が遠くなっていく彼の眼に、何かが映った。

それは、紛れも無く先ほどトイレで見た女だった。

割れたフロントガラスから身を乗り出す様にして彼を見るその眼は、とても

満足そうに笑っていた。

彼は痛みと恐怖の中で意識を失ってしまう。

そして、彼が次に目を覚ましたのは病院の集中治療室だった。

彼が意識を取り戻した事に周りの看護師や医師が驚いたかのように、どんどんと

集まって来た。

それほど酷い状態だったのだと初めて分かったという。

それから彼は1年以上の入院生活を送り、退院した現在でもリハビリを繰り返す

日々を送っている。

それでも、どうしても彼は自分がもう歩く事は不可能なのだと感じているらしい。

そして、彼が事故を起こした現場には花がたむけられている。

それは、彼に対するものではなく、そこで以前事故で亡くなった女性への

花束なのだと聞いた。

そして、その場所では酷い事故が多発しており、どうやら最初の女性の死亡事故

があってから、既に3人が同じ場所で事故死しているのだと。

其処は、死亡事故が多発する場所であり、事故で亡くなった女性の霊が

頻繁に目撃されている曰くつきの場所なのだ、と。

だから、俺は死ななかっただけでも儲けものなのかもしれない・・・・。

そして、きっとあの女は、真夜中の通りを彷徨いながら、自分と同じように

死んでくれる仲間を探しているんだろうな・・・。

ただ、あの時、その女が言っていた、”助けて”という言葉の意味はいまだに

見当もつかないんだ・・・。

そう彼は震えながら語ってくれた。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:47Comments(0)

2019年07月11日

その日も彼女は仕事が終わりバスで最寄りのバス停まで移動し、そこから

徒歩で家路を急いでいた。

子供が大きくなり、再び仕事に就いた彼女だったが、やはり仕事と家事の

両立は大変だった。

だから、最初は出来るだけ人気の多い大通りを通って帰る様にしていたが、

慣れてくると時間が勿体なく感じるようになり、いつしか出来るだけ

直線距離で自宅へと向かえる道を探して歩く様になっていた。

実際、バス停から自宅まではそこそこ距離があったので、道をショートカット

することでかなりの時間を短縮出来たという。

とても道とは呼べないような場所を周りの目を気にしながら歩く。

最初はそれが苦痛ではあったが、慣れてしまえば全く気にならなくなり、

いつものようにいつもの道を歩くだけ・・・。

そんな感覚だったという。

ただ、1カ所だけ、どうしても慣れる事が出来ない場所があった。

それは家と家の間を通り抜けるような道であり、両側に古く壊れかけた

家が建っており、そこだけはどうしても落ち着かなかった。

誰かの目が気になる・・・というのではなかった。

その場所を通ること自体が気味が悪かったのだという。

しかし、時間短縮という大義名分の前では、そんな不安感など気にして

いられる余裕は無かった。

そして、その日、彼女はいつものようにその場所までやって来た。

いったん立ち止まった後、彼女は大きく深呼吸してから再び歩き出す。

向って右の家は良くある古い木造の日本家屋。

そして、左の家は、まるで倉庫の様な形をした洋館という形容がピッタリ

くるような造りだった。

彼女は少し早歩きになってその家の間の隙間を進んでいく。

どうせ、どちらの家にも人など住んでいる筈が無かったから、そういう意味では

気が楽だった。

そして、ちょうと真ん中辺りまで進んだ時、彼女は思わず、ヒッという声を

出してその場に立ち止まった。

左の洋館の少し窪んだ場所に在る扉が少しだけ開いていた。

そして、そこから誰かがこちらを見ている。

睨みつけるような怖い顔の男がその隙間から顔半分を覗かせていた。

彼女は一瞬固まっていたが、ハッと我に帰ると、小さな声で、すみません!

と呟き、その場から逃げるように走り去った。

今まで誰も住んでいないと思っていた古い家に誰かが住んでいた。

そして、その道を通る彼女を怖い眼で睨んでいた。

その事実が恐ろしかった。

しかし、家に帰るといつものようにバタバタとした家事に追われることになり、

彼女はすぐにその時の恐怖を忘れてしまった。

そして、その夜、二人いる子どもの1人が階段から転げ落ちた。

打撲と捻挫程度で済んだらしいが、それでもおかしな事を言っていた。

階段を降りようとした時、誰かに階段の上から押された・・・と。

しかし、怪我も大した事が無かったので、きっと気のせいに違いない、と

いうことで、そのまま有耶無耶になってしまった。

そして、その翌日、彼女は不思議な行動をとる。

前日、あれほど怖い思いをしたというのに、またあの道を使い、そして

古い家の間を通り抜けようとした。

自分でも何をしているのか、分からなかった。

まるで、何かに操られる様にして、その道を通ってしまった・・・と。

そして、彼女は再び、左側の家で、前日と同じ男を見てしまう。

扉は前日よりも少しだけ大きく開き、そしてそこから覗く男の顔が全てはっきりと

見えたという。

その瞬間、彼女は前日と同じように、その場から逃げる様にして走り去った。

そして、その夜、また彼女の家ではもう一人子供が足に火傷を負った。

今度は酷い火傷だったので、すぐに病院へと連れていった。

そして、その時も、突然誰れかに突き飛ばされた、と子供は証言した。

そんな感じで、彼女は毎日、気が付くとその場所を通り、そして、睨んだ顔の

男の顔を見た。

そして、その男が覗く大きな扉が少しずつ開いていくのがはっきりと分かった。

それでも彼女はその道を通るのをどうしても止められなかった。

自分の意志ではどうしようもない、操られているような感覚。

そして、その度に、家に帰ると家族の誰かが怪我をする事になっていた。

そして、何日目だっただろうか・・・。

彼女がいつものようにその場所を通ると、扉が殆ど開いており、そこには

満面の笑みを浮かべる男が立っていた。

そして、その夜、彼女自身が大怪我を負った。

2階のベランダで洗濯物を干していた時、何故かバランスを崩してそのまま

地面まで落下した。

死んでもおかしくない程の大怪我だった。

彼女はそのまま長期入院を余儀なくされた。

そして、その時、彼女は初めて家族にその場所を通ると現れる男の話をした。

そして、その場所を通るたびに、家族が怪我をしたのだ、という事も

しっかりと話したという。

そして、何とか彼女が退院し、普通の生活を送れる様になった時、夫が

こう言ったという。

何かその場所に魅入られてしまっている様だから、一度一緒にその場所を

見に行かないか?と。

その場所に固執し恐れ、それでも頭から離れないのは彼女自身が一番

分かっていた。

だから、夫からの提案を彼女もすぐに了解した。

そして、彼ら夫婦はすぐにその場所に向かった。

夫もその場所に何があるのか、しっかりと自分の眼で確認したかったらしい。

そして、その場所に到着した彼女は思わず絶句してしまう。

少しだけ開いていた扉がどんどん大きく開いていく様になった扉。

その場所には扉など無く、あるのは錆びて朽ち果てどうやっても開きそうもない

大きなシャッターだけだった。

自分はいったいその場所で何を見ていたのか?

そして、その場所に立っていた男はいったい何なのか?

どうしてその男を見た後、必ず家族の誰かが怪我をする事になったのか?

それらはいまだに全く分からないのだという。


  


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:13Comments(0)

2019年07月10日

潜在能力

その日、俺はAさんと一緒に曰くつきの祠へと出向いた。

目的はひとつ。

その祠に近づいた為に、何日も高熱にうなされている友人を助ける為。

勿論、自らそんな曰くつきの祠に近づいたのだから、高熱にうなされるのも

反省には良いのかもしれなかったが、その高熱というのが在りえないほどに

体温でありこのままでは死に至ると判断した為に、やむ負えずAさんに

ご足労願った。

ホント…馬鹿ばっかりですね・・・。

一回死なないと分からないんですよ・・・・。

まあ、Kさんの友達になるくらいだから、馬鹿なのはしょうがないかも・・・・。

と相変わらず酷い言われ様だったが、それでも件の祠に到着したAさんは、

祠の前に立ち、珍しくしゃがみ込んでお辞儀をし、そして何やらブツブツと

呟いていた。

そして、しばらくすると、

駄目ですね・・・・。

許す気は無い・・・って言ってます。

まあ、悪いのはこっちの方ですからね・・・・。

と困った顔をする。

それでも、俺が両手を合わせてお願いすると、

ホント!いつもそうやって頼めば何とかなるって思ってませんか?

まあ、Kさんの友達をこのまま死なせるわけにもいかないんでしょうけど・・・。

分かりました。

気は進みませんが・・・・。

そう言って、立ち上がると両手を祠に向かってかざす。

すると、俺の目の前で祠がガタガタと震えだし苦しそうな声が聞こえた後、

静かになった。

はい・・・終わりましたよ!

もう勘弁してくださいね・・・。

祠の中には危険なものも沢山ありますけど、それを建てられたのにも色々と

理由があるんですから・・・・。

今回もかなりヤバかったです・・・。

そして、とても疲れました・・・・。

そう言って俺を見る目は明らかに何かを要求している眼に他ならなかった。

俺はその帰り道にいつもの喫茶店に寄って、Aさんに大量の料理とスイーツを

御馳走させられる羽目になった。

喫茶店のマスターも、またいつもの事か、と笑って見ているのが恥ずかしかった。

他人の視線など全く気にしないAさんは、テーブルマナーなど関係無しに

どんどんと料理を口に運ぶ。

これ以上はもう口の中に入りきらないほどの料理を頬張っては、それをすぐに

胃へと送り込み、すかさず次の料理を頬張る。

この細い体の何処にそれだけの食べ物が貯蔵されていくのか?

Aさんと出会った頃はその食べっぷりを見ているのも楽しかったが、最近では

見慣れてしまい退屈な時間でしかなくなっている。

だから、俺はこんな話を切りだした。

あのさ・・・凄いよね・・・・Aさんも姫ちゃんも・・・・。

どんな悪霊でも怨霊でも簡単に処理しちゃうしさ・・・。

何か特別な人間って感じだよね?

選ばれた能力者っていうか、とにかくある意味、化け物じみてるし・・・・。

やっぱり優越感とかっていうのは感じたりするの?と。

すると、Aさんは不思議そうな顔で俺を一瞬見た後、またすぐに食事に集中する。

だから、俺はまたこう続けた。

確か、Aさんの家系って霊能者の血筋だったじゃない?

だから、きっと小さな頃から自分は違うんだって思ってたんじゃないの?

でも、姫ちゃんは、普通の家系の女の子みたいだし・・・・。

それって、どういう事なのかな?

先天性の才能と後天性の才能って事なのかな?

だとしたら、俺にも後天性の才能が開花する日がいつかは来るのかもしれないよね?

そして、開花した才能がAさんや姫ちゃんを凌駕してたりしたら凄いよね?

あっ、でも俺にも強い守護霊がいるみたいだから、もしかしたら既にその才能が

開花してるってことになるのかもしれないよね?と。

すると、さっさと料理を食べ終わったAさんが、マスターに食後のデザートを

お願いします!という合図を送ってからこう言った。

本当によく喋りますよね・・・・。

まあ、人の食事の邪魔をする才能は認めてあげますけどね・・・。

でも、聞いていて思わず吹き出してしまいそうになりましたよ・・・。

こいつは寝てもいないのに、何を寝言を言ってるんだ・・・って。

いいですか?

姫ちゃんはともかくとして私は少しも凄くなんかありませんよ?

確かに小さな頃からそういう能力があるのは自分でも分かっていましたし、そういう

家系の中で育ったから、それが普通なんだろうって思ってました。

でも、全然普通なんかじゃなかった。

だから、小さな頃はイジメられたりはしませんでしたけど、でも心から親しくしてくれる

友達も少なかったんですよね・・・。

やはり周りはそういう能力を怖がって避けようとしますから・・・。

だから、いつも自分の事が嫌で嫌で仕方なかった。

こんな能力なんか無くなってしまえばいいのに・・・って。

でも、ある時気付いたんです。

私が持っている能力って、間違いなく誰もが持ち合わせている能力にすぎないって。

人間が本来持ち合わせている能力の何パーセントかしか使えていないって話を

聞いた事がありませんか?

だから、私が持っている能力は基本的に誰もが本来持っている潜在能力の1つ

にすぎないんです。

それに気付いてから私はそれなりの修行を積んで今の様になったんです。

あの師匠の下で・・・・。

それこそ、死と隣り合わせの修行を毎日毎日繰り返して・・・。

だから、今私が使っている力は元々あった小さな力を努力で大きくしていっただけ。

でも、世の中には本当に凄い人も沢山いるはずなんです。

身近にも居るじゃないですか?

私はいつも姫ちゃんは別格だと言ってますけど、つまりそういう事です。

あの娘は生まれ持って強い能力を持って生まれてきています。

それも最初から能力が開花した状態で・・・。

あの娘の守護霊とか使役している神獣は関係無く・・・・。

あんな守護霊や神獣を従えているからあの娘は凄いんじゃなくて、あの娘が

凄いから、あんな守護霊やら神獣が後から憑いてきただけですからね。

だから、あの娘が本気で修行なんかしたらそれこそ凄まじい事になるのだけは

間違いないです。

絶対に的に回してはいけない存在ってやつです。

敵に回したらそれこそ手に負えませんから・・・。

でも、あの娘の性格は優しさと癒しの塊ですから、きっとそんな使命を持って

生まれてきたんでしょうから、そんな心配は要らないと思いますけどね!

とにかく、人間っていうのは誰もが凄い潜在能力を隠し持っているんです。

要はそれを使えていないだけ・・・・。

そして、その力はいつ目を覚ますかは誰にも分からないんです。

修行をするのも1つですし、霊能力を持っている人の側にいるだけでも

能力に目覚める場合もありますし・・・。

だから、必要以上に霊というものを怖がる必要は無いんですよね。

アレらは、霊になった事で生きている人間よりはそんな能力が使えるだけ。

本来は生きている人間の方がより強い力を持っていますから。

まあ、だからといって用も無いのに、こちらから危険に飛び込むのも

馬鹿としか言えませんけどね・・・・。

そう言って、Aさんは運ばれてきたケーキを頬張りながらこう続ける。

ちなみに、Kさんの場合、望みは薄いですかね・・・。

こんなに沢山の時間、私や姫ちゃんと一緒にいるのに、何も目覚めない。

まあ、危機感が欠如しているとも言えますけどね。

とにかく、Kさんが、私や姫ちゃんを超えるなんていうのは夢の中だけに

しておいてくださいね。

笑えてお腹が痛くなりますから・・・・。

そう冷たい眼で言われてしまった。

しかし、それでもめげない俺は、

でも、俺の守護霊って凄いんでしょ?

と聞くと、

守護霊と本人の能力は別物だってさっき言いませんでしたっけ?

まあ、こんなだらしない依り代だからこそ、あんな強い守護霊が憑いていて

くれてるのかもしれませんけど・・・・。

そう言われて、さすがのおれももう何も言い返せなかった。
  


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2019年07月07日

安らかな死

彼女と知り合ったのはボランティア活動をしている知人の紹介だった。

その時の年齢は26歳。

俺が書いているブログのファンであり、どうしても一度会ってみたいという

話を聞いた俺は、すぐに即答でOKした。

元々、ブログを書いているだけで人より何かが優れている訳でもなく、そんな奴が

ファンだという方に会ってがっかりさせることはしたくない。

だから、いつもなら、丁重にお断りをしているのだが・・・・。

ただ、その時は事情が違った。

実は彼女は重い病気を患っており、生まれてからずっと家と病院しか知らないのだと

聞いた。

しかも、病気のせいで成長も遅くなり、ここ数年は喋る事すら侭ならない。

家にいる時も医療器具に囲まれ、体中に喉の痰や排泄物を取りだす為の穴も

開いている。

1日のうち、ほとんどを人工呼吸器の助けを借りて過ごす。

出来るだけ部屋の中だけでも動くようにしていたそうだが、最近ではそれも

出来なくなり寝たきりの時間が多くなっていた。

そんな彼女が俺に会いたいのだという。

もしも、それが俺に出来る唯一の事ならば、どんなに忙しくても、最優先で

彼女に会いに行かなければ、と思った。

その時、彼女は病院にいた。

知人と一緒に病室に入り、俺を紹介された時の彼女の嬉しそうな顔が今でも

脳裏に焼き付いている。

はじめまして!

と挨拶をする俺に彼女は心からの笑顔で応えてくれた。

そして、俺は驚かされた。

俺が喋り、そして彼女が筆談で返してくれる。

正直なところ、とても26歳には見えなかった。

もっと幼くそして、とても細い腕が痛々しくさえ感じられた。

しかし、その屈託の無い笑顔や元気なしぐさは、俺なんかよりもはるかに

生き生きとして見えた。

あまり、長居するのも彼女の体に障るのでは、と思い30分ほどで病室を

後にした。

そして、帰る際、

御迷惑でなければ、また来てくださいませんか?

今度は、Aさんも連れて来てくれると嬉しいです!

と書いたノートを俺に見せた彼女のキラキラとした瞳が忘れられない。

しかし、俺には彼女の元にAさんを連れていく事など出来る筈も無かった。

きっとAさんならば、彼女の事を話せば、会ってくれるのは間違いない。

しかし、そうなると、俺がAさんの事をブログに書き、そしてそれを

出版までしている事が完全にバレテしまう。

思い病気で苦しんでいる彼女に対して、ブログには一切触れず、Aさんを

ただの見舞客の一人として振る舞って欲しいなどと頼める筈も無かったから。

だから、俺はそれからなんとなく彼女のお見舞いに行くのを心のどこかで

避けていたのかもしれない。

そんな時、知人から知らせが来た。

彼女が延命治療を拒否したという事を・・・・。

やはり、彼女の命を維持する為にはかなり高額な医療費がかかり、そしてそこから

回復する見込みはゼロだった。

きっと彼女の事だから、自分の為に親がお金を苦労して捻出し続けている事が

申し訳なくなってしまい、その苦労から家族を解放してあげたいと思ったのは

容易に想像できた。

そして、やはり生命を維持しているとはいえ、彼女の生活には俺などには

想像も出来ない程の苦痛が伴っていたのだろう・・・。

そこから自分を解放し楽になりたいと思ったとしてもそれは誰にも

責められるものではなかった。

それを知った俺は知人と連れ添って彼女の病院へとお見舞いに行った。

すると、彼女は自宅に戻ったと教えられた。

自宅で家族が見守る中で旅立っていきたい・・・・。

それが彼女の最後の希望だったのだと教えてもらった。

だから、俺達は急いで彼女の家へと向かった。

初めて訪れる彼女の家は、お世辞にも綺麗だとは言えないような古い家だったが、

それだけに、全てのお金を彼女の生命維持の為に費やしてきたのがよく分かった。

ご両親に挨拶すると、笑顔で彼女の部屋へと案内してくれた。

しかし、その時から俺には何か普通ではない空気が感じられたのも事実だった。

部屋に入ると、其処には病院と比べても遜色がない程の医療機器に囲まれた

様子に驚かされた。

そして、其処に置かれたベッドに横たわる彼女にも・・・・。

それは、以前、お見舞いに行った時に見た彼女とは別人に見えた。

痛みで苦しみながら、時折、顔を持ち上げて回りに暴言をまき散らす。

そして、またベッドの上でのたうち回る。

その顔は、まるで老婆の様に年老いて見えた。

これほどまでに短期間で人の顔が変わってしまうなんて・・・・。

唖然としている俺に、背後からご両親がこう話してくれた。

本来なら痛み止めの薬も以前より強くなっていますから、痛みは軽くなっている

筈なんですけど・・・・。

もしかしたら、命を終わらせるという決断をして精神が高ぶっているのかも

しれません・・・・。

出来る事なら私達が代わってあげたいくらいですから、あの子にどんな酷い

言葉を投げかけられても、それは全て私達の大切な宝物になります・・・と。

俺には彼女が、俺が一体誰なのかも判断出来てないのだと感じた。

だから、これ以上、彼女に負担をかけない為にも、すぐにこの部屋から

出なければ・・・。

そう思った。

そして、俺が立ちあがったとき、彼女の顔が一瞬だけ以前の顔に戻ったような

気がした。

そして、ノートに走り書きをした彼女は、俺にそれを見せて、更にそのボールペンを

俺に手渡してきた。

ノートにはこう書かれていた。

助けて、こんな終わり方はいや、Aさんにわたして。

俺は最初、意味が分からなかったが、彼女が又すぐに先ほどまでのように

暴れ出したのを見て、これは俺なんかには対処できないものなのだと

その時初めて確信した。

俺は彼女の家を出ると、急いでAさんに電話をかけた。

相変わらず面倒くさそうな声で電話に出たAさんだったが、俺の様子がいつもとは

違う事に気付き、

すぐに行きますから・・・・。

と言って電話が切れた。

待ち合わせの喫茶店に入り、席に座ると、間髪を入れずにAさんも店に

入って来た。

俺はコーヒー、Aさんはケーキセットを二つ頼んで本題に入った。

俺は彼女と知り合った成り行きは話さなかったが、それ以外の事は全て

話した。

ふーん・・・・と言いながら聞いていたAさんだったが、俺が彼女から渡された

ボールペンをAさんへと手渡すと一気にAさんの顔が変わった。

Kさんは何も感じませんでしたか?

彼女の家で・・・・。

そう言われて俺は、

確かに家の中、特に彼女の部屋の中は異様なくらいの寒さや空気の重たさ

を感じたけどね・・・。

と返すと、Aさんは急に怒りだした。

どうして、そう感じた時点ですぐに電話して来ないんですか?

その女性は短い人生を必死に生きてきて、そして自分の最後も決めたんです。

人生は決して長さが大切ではありませんけど、その女性には最後の時間は

家族と一緒に穏やかに過ごして、しっかりとお別れを言ってから旅立つ

権利があるんです!

その女性がどうして私にそのボールペンを渡して欲しいと思ったのかは

分かりませんが、これは明らかに彼女からのSOSなんですよ!

ボールペンからは、明らかに悪霊の気が感じられます。

つまり、彼女は今、悪い霊にとり憑かれてしまっています!

病院で憑いてきたのか、は分かりませんが、彼女の選んだ死という決意を

嘲笑い罵るかのように、苦しみと傷みを与え、弄んでいます。

今、この時も!

そんな事を見過ごせるはずがありません!

私が一番嫌いな事を、その悪霊は行っています!

それなら、私は私に出来る事をして彼女を護るだけですね!

そう言うとAさんは、まだ運ばれてきたばかりのケーキセットには手もつけず、

席を立って、そのまま店を出ていく。

俺は慌てて、会計を済ませて、店の外に出ると、そこには自分の車に乗った

Aさんが待機している。

あの…私、その女性の家・・・・知らないんですけど?

勿論、Kさんが案内してくれるんですよね?

そう言われ、俺は大きく頷いた。

そして、Aさんの運転で彼女の家へと向かった。

彼女の家の近くに車を停めて、俺達は歩いて家へと向かった。

そして、家の前まで来ると、Aさんが真剣な顔で、

悪霊が1体だけかと思ったら・・・3体も・・・・。

寄ってたかって弱い者を苦しめやがって・・・。

あいつら、絶対に許さない!

あっ、Kさん。

少しずつ静かに離れていってください・・・。

一瞬で終わらせますから・・・。

そう言うと、Aさんは大きな水晶を取りだすと、それを両手で包みこみ、

次の瞬間、それを持ち上げて彼女の家の方へとかざす。

眩しい光が辺りを包みこんだが、どうやら他の人には見えていないようだ。

そして、家の中から逃げ出す黒いものが中へと飛び出す。

しかし、次の瞬間、まるで燃え尽きる様にして一瞬で消えた。

茫然としている俺に、Aさんが言った。

何してるんですか?

もう終わりました・・・。

それじゃ、その女性に会いに行くとしますかね・・・・・と。

彼女の部屋へ入ると、以前の明るい表情の彼女が笑っていた。

もう痛みに歪んだ顔は何処にも無かった。

そして、Aさんを見ると、それがすぐに本人だと分かったのか、あり得ない程の

満面の笑みがこぼれた。

それから、彼女はAさんが喋り、彼女が筆談するという二人だけの会話の時間が

流れたが、彼女はブログの事もAさんの能力の事も一切知らないフリを続けて

くれた。

そして、1時間ほどが過ぎた頃、俺達が帰ろうとすると彼女が俺達に握手を

求め手を伸ばしてきた。

俺もAさんも、彼女の手をしっかりと握り返したが、その小さな手は誰よりも

暖かく感じた。

そして、帰り際、Aさんがこう話してくれた。

少しでも彼女が楽になるように私の気を分け与えてきました。

そして、ついでに強力な結界も・・・・。

これで、彼女はきっと安らかなお別れが出来ると思います。

そう言ったAさんの顔はとても悲しそうに見えた。

そして、それから1週間後、彼女が安らかに旅立ったと教えられた。

その死に顔はとても幸せそうに笑っていたそうだ。

彼女の選んだ死という決断は決して自殺ではないそうだ。

だから、無事にあの世に行って転生出来るだろう、とAさんが教えてくれた。

もしかしたら、彼女が選んだ選択に異論を唱える人もいるのかもしれない。

しかし、俺と個人的に、

彼女が生きた短い人生を讃えると共に敬意をもって彼女の決断を尊重したい。

彼女は精一杯生きたのたから・・・・。
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 19:51Comments(0)

2019年07月06日

ぬいぐるみ

これは知人女性から聞いた話。

人形には霊魂が入り込むという話をよく聞く。

日本人形や西洋人形に拘わらず、やはり人の形を成している物には、亡くなった

者の霊魂や思いが乗り移ってしまうのかもしれない。

しかし、これから書く話は人の形をした人形ではない。

可愛いという理由で、どの家にも1つや2つは在るであろう、ぬいぐるみに

関する話になる。

そのぬいぐるみが彼女の元にやって来たのは小学生の頃だったという。

拾ったり中古品をもらったりした訳ではなく、両親が彼女の誕生プレゼント

として新品を購入してプレゼントしてくれたものだという。

それは、可愛いクマのぬいぐるみであり、彼女がずっと前から欲しいと両親に

ねだっていたぬいぐるみらしい。

だから、彼女もそのぬいぐるみが大層気に入って、名前をつけて可愛がっていた。

寝るのも一緒、部屋で何かをする時にはいつもすぐ近くに置いて、たまに

話しかけたりしながら楽しく過ごした。

家族で旅行に行く時にも、いつも大きなバックの中にそのぬいぐるみを入れて

一緒に連れていった。

兄弟のいなかった彼女にとって、そのぬいぐるみは、親友であり、そして

兄弟でもあったのかもしれない。

そして、彼女が中学に入り、そして高校生になっても、その関係は変わらず、

悩み事があると、いつもそのぬいぐるみに語りかける様にしていたし、寝るときにも

いつもベッドの上に、そのぬいぐるみを置いて寝ていたのだという。

しかし、彼女が大学に合格し、実家から離れて生活を始める時、引っ越しの荷物の中には

そのぬいぐるみの姿は無かった。

1人暮らしのアパートはそれほど広くはなかったし、なにより親元を離れてしまう

自分の代わりに、そのぬいぐるみを実家に置いておきたかった。

そう彼女は言った。

しかし、実際のところ、その頃になると、彼女がぬいぐるみにそれほど愛着を

感じなくなってしまっていたのも事実だった。

彼女が言うには、高校生の時、家族で1週間程海外に旅行した事があったらしく、

旅行から帰ると、そのぬいぐるみの顔が変わったような気がしたのだという。

可愛いというよりも、いつも彼女を睨んでいるような視線にいつしか彼女も

気味が悪くなり、いつしか押し入れの中に仕舞いっ放しになったしまった。

だから、彼女としては、1人暮らしを始めるにあたり、そのぬいぐるみを

一緒に連れていくという選択肢は最初から無かったのかもしれない。

そして、彼女は引っ越し先での一人暮らしを始めた。

生まれて初めての1人暮らしはなかなか大変でホームシックにかかったりも

したらしいが、すぐに友達も出来て少しずつではあったが、充実した新生活

を送れるようになっていく。

そんなある日、実家から電話がかかって来た。

彼女の部屋に置いてあった、くまのぬいぐるみが消えたのだという。

そのぬいぐるみは、彼女が家を離れる際、机の上に座らせてきたままに

なっていた筈だったし、母親も、たまに彼女の部屋に行ってはそのぬいぐるみを

見ながら彼女の事を思い出すのを楽しみにしていたらしい。

そして、その部屋には母親以外に誰も入る筈も無かった。

それなのに、ぬいぐるみが突如、消えたのだと言われた。

その時、彼女は、

もっと良く探してみれば?

案外、机の後ろに落ちていたりするんじゃないの?

等と言ったらしいが、どうやら既に部屋中を探したが見つからないのだと

言われてしまう。

そして、その時、彼女は母親を慰めるつもりで、こう言ったのだという。

気にしなくていいよ・・・・。

もう、あのぬいぐるみは、そんなに大切な物ではないから・・・と。

そして、電話を切った彼女だったが、何か不安な気持ちになったという。

そのせいか、その夜、彼女は夢を見たのだという。

夢の中で、ぬいぐるみが彼女の元を目指して道を歩いてくる夢だった。

その顔には憎悪が満ち溢れ、そしてその手には小さなナイフが握られていた。

そして、彼女は悪夢にうなされた末に夢から目覚めた。

体中にべっとりと気持ちの悪い汗をかいていたという。

やはり、昼間にあんな電話をもらったからだ・・・・。

彼女はそう思った。

しかし、その夜から毎晩、彼女は同じ夢を見る様になった。

しかも、ぬいぐるみが歩いている道はその日によって周りの風景が変わっていた。

だから、その余りにもリアルすぎる夢に彼女は次第に恐怖の念を抱くように

なっていき、夜も寝られない日が続いたという。

そんなある日、大学から帰宅した彼女はアパートのドアの鍵穴に何かを突っ込まれた

様にガタガタに壊されている事に気付いた。

泥棒・・・・?

そう思った彼女はすぐに警察を呼んで事情を話したという。

しかし、警察はその場で変わった遺留物を見つけてしまう。

それは、合成繊維で出来た短い茶色の毛・・・・・だった。

警察もそれが何か分からなかったようで、毎日、何回か、アパートの周りを

パトロールしますから・・・と言い残して帰っていったという。

アパートの中に1人残された彼女は、不安で一杯だった。

そして、考えているうちに、ある事を思い出した。

そういえば、あのぬいぐるみの毛も短い茶色だったはず・・・・。

それを思い出すと、彼女は恐怖で押しつぶされそうになった。

とても1人で居られる心境ではなかった。

だから、その日の夜は友達のマンションに泊めてもらう事にしたという。

友達のマンションで食事をしてテレビを見て色々と話していると、すっかり

恐怖も消えていったという。

そして、友達と一緒にその日は遅くまで話し込んでしまい、寝たのは午前0時を

回っていた。

安心して熟睡したはずの彼女だったが、何かの物音で目が覚めたという。

彼女が上半身を起こすと、友達もその音で目が覚めたのか、ゆっくりと

起き上がったという。

カリカリ・・・カリカリ・・・・カリカリ・・・・。

それはまるで、窓を何か固いもので引っ掻くような音だった。

ただ、彼女一人だけなら恐怖で固まるしかなかったが、その時は友達が

隣にいた。

だから、彼女は勇気を振り絞ってそま音がする方へと近づいていった。

姿勢を低くして、窓の方へと近づく。

そして、窓まで来ると、そのままカーテンの蔭から外を見た。

息が止まるかと思った。

そこには、紛れも無く、くまの形をした何かが窓に張り付くようにしながら

ごそごそと蠢いていた。

その姿、そして大きさは間違いなく彼女が実家に残してきた、ぬいぐるみにしか

見えなかったという。

追い掛けてきたんだ・・・・・私を・・・・・・。

殺す為に・・・・・・・。

そう思うと、恐怖でその場にへたり込んだ彼女は、その場で嗚咽する様に

泣き続けるしかなかったという。

そして、何とかそのまま朝になり、カリカリという音も聞こえなくなったが、

彼女は友達に、そのぬいぐるみの事を話す事が出来なかった。

友達が外に出て窓の辺りを見てみると、やはり茶色の短い毛が、まるで存在を

主張するかのように大量に落ちていたという。

もう彼女には自分のアパートの部屋に戻る勇気は無かったという。

急いで支度をして電車に乗り実家を目指した。

まだ、きっと、ぬいぐるみはアパートの近くにいるはず・・・・。

だから、今のうちに実家に戻って何か対策を講じなければ・・・・。

そう思ったという。

駅に着いた彼女は時間が勿体なかったので、タクシーに乗り実家へと急いだ。

そして、家族が待つ実家へとたどり着いた彼女は、急いで玄関へと入った。

驚いた顔で出迎えてくれた母親。

そして、母親から予想していなかった言葉を掛けられた。

あのね・・・・不思議な事もあるもんだけど・・・・・。

以前、消えたって言ってたあのぬいぐるみ・・・・。

さっき、確認したらちゃんとあったのよ・・・・。

あんたの部屋に・・・・・。

その言葉を聞いて彼女はパニックになった様にその場で号泣したという。

逃げ場はない・・・・。

そう悟ったという。

そして、此処からの話は安全の為に割愛させていただく事にする。

勿論、読まれる皆さんの安全の為に・・・。

ただ、その後、彼女は瀕死の大怪我を負う事になり、片目を失った。

そして、現在、そのぬいぐるみは富山の住職の寺にしっかりと安置されている。

Aさんと姫がありったけの霊力を注いだ護符を張り巡らせた鉄の箱に

入れられて・・・・。

供養の為の読経もしてはいない。

まだ、危険すぎるから・・・・。

Aさんと姫が二人かがりで対処しなければいけない程の、ぬいぐるみとは

いったい何なのか?と俺には分からないが、きっとそうしなければ彼女は

間違いなく瀕死の重傷と固めの喪失だけではなく、間違いなく命を落として

しまっていたという事なのだろう。

そして、そのぬいぐるみに入り込んだモノは、どうやら彼女だけが標的なのではなく、

人間全てを標的にしているのだと聞かされた。

そして、その時、Aさんが、こう言っていた。

ぬいぐるみを可愛がるのはいいんですけど、名前をつけたり話しかけたりするのは

絶対に駄目です!

ぬいぐるみに魂が宿ってしまいますから・・・。

勿論、その人が死ぬまで大切にして変わらぬ関係を保てるのなら何も言いませんが、

そんな事はなかなか出来るものじゃありませんしね・・・・。

可愛がれば可愛がるほど、その人の態度が冷たくなった時、ぬいぐるみが

感じるのは淋しさだけではありません。

恨みや怒り、そして殺意ですから・・・・。

そして運悪く今回の様に強くて悪いモノが入り込んでしまった場合には、

対処する術がありませんからね・・・・と。

あなたの家に在るぬいぐるみは大丈夫ですか?


  


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:42Comments(0)

2019年07月05日

令和元年7月場所

営業のKです。

皆様、お久しぶりでございます。

コメント欄も一杯になっているのも気付かず・・・・。

本当に申し訳ありません。

新しい場所を作っておきますので、

どうぞご自由にお使いください!
  


Posted by 細田塗料株式会社 at 18:00Comments(45)