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2017年09月09日

力が消えてしまったAさん(前編)

サインディスプレイ部  営業のKです。

今日は朝から一生懸命書いております。

夜は、仕事関係の飲み会がありますので(笑)

とりあえず、Aさんが力を失くしたときの話を

書いていますが、とりあえず前編だけ載せますね。

後編は日曜日に、というのはもう止めて、

書きあがり次第、アップさせて貰います。

それと、とてつもなく長い話になりそうです。

前編だけでも・・・・(涙)

自分史上、最長の話になりそうです。

短編ではなくて、長編作家になろうかな(嘘です)

お楽しみいただけると嬉しいのですが。

あっ、オールキャスト、総出演?です。

それでは、かなり早い時間ですが、

怖くない話、いってみましょう!

どうぞ~!




先日、呪いが込められた石の話を書いたが、実のところ、呪いというものは

それほど生易しいものではないのだという。

呪いを発生している物自体を壊せば、それで解決する事例など、本当に

稀なのである。

そして、これから書くのは、簡単には処理など出来ない類の呪いの話だ。

それは本当に偶然の出会いだった。

俺はある時、ある場所で酒を飲んでいた。

そして、何故かそこのママさんと霊体験の話になってしまい、それを聞いて

いて、俺に話しかけてきたのが、彼だった。

彼は、石川県にある古い旅館の3代目なのだという。

そして、何故か意気投合してしまった俺達は、そのまま朝まで飲み明かす

事になった。

彼はとにかく常に低姿勢であり、人の話を良く聞き、決して自分の考えを

他人に押し付けない性格らしく、一緒に飲んでいるとそれがよくわかった。

そして、最後に連絡先の交換をし、

また、いつか一緒に飲みましょうね!

ということでその場はお開きになった。

実際、お酒を飲んでいる時の彼は、何かを忘れようと、無理して飲んでいるという

のがよく分かったから、少し気にはなっていたのだが、それでも、

きっともう一緒に飲む事はないんだろうな・・・。

というのが、その時の印象だった。

しかし、予想外にも、その数日後に彼から電話がかかってきた。

相変わらず低姿勢なのは変わらなかったが、どこか悩んでいる様な暗い声であり、

とにかく俺と会いたいと彼は言った。

それなら、また飲みましょうか?

と言う俺に、彼は、

いえ、出来れば少し真剣な話を聞いて欲しいので・・・・。

と酒を飲むのを断ってきた。

だから、俺は金沢市内の喫茶店を指定し、そこで話を聞く事にした。

俺が喫茶店に到着すると、彼は既に店の中で待っていた。

俺でも予定の時刻より10分くらいは早く着いたのに、いったい彼は何時に

到着していたんだ?と少し不思議に思った。

俺が店の中に入ると、彼は立ち上がり大きくお辞儀をして挨拶してくれた。

そして、

今日はすみません。お呼びだて、してしまって・・・。

と言うので、俺は

いえ、暇ですから全然大丈夫ですよ。

それより、真剣な話って何ですか?

と聞くと、彼の顔がみるみる曇っていく。

そして、

一緒に飲んでいた時に話されていた霊体験ですが、本当の事なんですよね?

と聞いてくるので、俺は、大きく頷いた。

すると、彼はホッとしたような顔になり、ウエイトレスを呼んで、注文する。

俺達は、コーヒーを二つ注文した。

そして、それからしばらくは、先日に一緒に飲んだ話で盛り上がっていたが、

注文したコーヒーが運ばれてきて、ウエイトレスが離れていくと、急に

真剣な顔になり、俺の目をしっかりと見ながら話し出した。

実は、今日お呼びだてしたのは他でもないんですが・・・・。

私が旅館の3代目だという話はしたと思いますが、実は今とんでもない事になって

しまっているんです。

実は私はこんなに早く3代目として旅館を継ぐ予定ではなかったんです。

ただ、先代、先々代と突然、不思議な死に方をしまして・・・。

それで、私が急遽、その旅館を継ぐ形になったんですが、やはり旅館として

機能していないんです。

いや、もっと端的に言うと、私の旅館は既に呪われたバケモノ屋敷になって

しまってるんです・・・・。

元々は古い建物ですが活気もあり、常連客がリピーターとして足繁く通ってくれる

平和な旅館だったんです。

それが、ある時、お泊りになったお客様が、トラブルを起こしまして・・・。

それは結局、警察沙汰にまでなってしまい、その方はそれからしばらくして

自ら命を絶たれてしまいました。

私達の旅館への恨みと呪いの言葉が書かれた遺書を残して・・・・。

しかし、私共としましては、決して間違った対応をしたとは思っておりませんので、

その後も通常通り、旅館を営業していたんですが・・・。

すると、旅館に泊まったお客様から、知らない男の人が部屋に出てくるとか、

大浴場に男の人が現れて、そのまま消えていったとか、その他にも、旅館の

色んな所で幽霊のようなモノを見たという噂が立ち始めて・・・・。

そして、目撃者の話をよくよく聞いてみると、その幽霊の特徴は、うちの旅館を

恨んだまま自殺された例の男性と特徴がぴったりと合致しました。

そんな矢先、先々代の経営者だった祖父が、大浴場で沈んでいるのが発見されました。

それも、衣服を着たままの状態で・・・・。

その死に顔は、まるで何かを見た恐怖の表情のまま、固まっていました。

そんな事が続いたので、先代の私の父親が、人づてに徳の高そうなお坊さんに

相談しました。

すると、やはり、この旅館には、その男の恨みというものが蔓延しており、

それは到底祓う事が出来無い程の暗い闇となって、この旅館を覆っていると。

そこで父は、知り合いに紹介された霊能者に、高額な報酬を払って、その呪い

というものを何とか祓えないか、とお願いしたんです。

すると、その霊能者は、呪いを相手にはね返す呪い返し、という呪法を

行ったそうです。

すると、旅館に現れる怪異はいっそう酷くなってしまい、その霊能者自身も、

原因不明の急死を遂げてしまいました。

そして、それに続くように、私の父も、何者かに食べられたような状態で

見つかりました。

警察も不審死ということで現場検証においでましたが、結局、その遺体の状況が

クマに食べられたものと似ているとのことで、結局、獣害事件として処理

されてしまいました。

しかし、室内で、しかも、グリズリーじゃあるまいし、それほど無残な

食べ方を出来るクマなど、北海道のヒグマくらいしかいないでしょう?

たから、私は思っています。

そんなものがいるとは信じたくはありませんが、きっと父は、バケモノに

よって生きたまま食い殺されたのだと・・・。

なにしろ、父の遺体は、全て食べ尽くされていたにもかかわらず、何故かその顔

だけは無傷でその場に残されていたんですから・・・。

それって、最後まで苦しんでいる顔を見ながら嬉々として食べたか、もしくは、

警告や見せしめとして、その場に顔だけを残したとしか思えませんからね。

そして、

それからというもの、旅館に泊まる人も誰一人としていなくなってしまい、

旅館で働いていた従業員さんたちも、どんどんと不幸に見舞われてしまい、

今では、呪いを恐れて従業員は全て辞めてしまいました。

私達家族は、旅館の敷地の横にある家で細々と生活してますが、そこでも

怪異は現れてしまい、祖母や母、そして、妻も、何か得体の知れない恐怖に

精神が不安定になってしまい、現在、病院に入院して治療しております。

旅館が続けられなくても構わないんです。

ただ、昔のように家族が平和に暮らせるような状態に何とか戻したい。

それだけなんです。

貴方が、お酒の席で話されていたことが本当ならば、かなり凄い霊能者達と

知り合いなのだ、と思います。

そのお力をお貸し頂く事は出来ませんか?

そう言われた。

その顔は、とても真剣であり、何よりまっすぐに俺を見る目には、もう他には

頼る当てが無いという悲壮感が漂っていた。

そこで、その場は、検討させてくださいとだけ言って俺はその場を後にした。

そして、早速、いつものAさんに電話をかけた。

しかし、携帯の電源が切られているのか、全く繋がらない。

翌日にも電話した。

翌々日にも・・・・。

しかし、相変わらず電話は繋がらなかった。

仕方がないので、俺は姫に電話して、Aさんの事を聞いてみた。

すると、

私もよく分からないんですけど、実は心配してたんです。

しばらく戻れないと思うから、とだけ言ってました。

凄く疲れた声をされていて・・・・。

そして、私が居なくなっても大丈夫なようにしないとね、と言われて

九字の呪文と自己防御に効果があるというお経を覚えていたところです。今。

とても難しくて・・・・。

学校の勉強の方がよっぽど楽に思えます(笑)

でも、凄いですよね。Aさんって。

こんなのも全部覚えていらっしゃるんですから・・・・。

あっ、ごめんなさい。Aさんが何処に行ったかって事でしたよね。

すみません。私にも分からないんです・・・・。

そう言われて、俺は電話を切った。

まさか、本当に海外旅行でも行ってるのか?

と思ったが、こうなってしまっては俺にはもう連絡の取り様がなく、そのまま

毎日、Aさんに電話をかけるのだが、いっこうに電話は繋がなかった。

そんな日が続いて、さすがに、これ以上、彼を待たせる訳にもいかなくなり、

俺は富山の住職のところへ相談にいった。

すると、

お前って本当にいつもとんでもない話ばかり持ってくるよなぁ。

というか、それってお前の本業じゃないだろうが?

なんで、そんなに人助けばっかりしたがるの?

まあ、別にお前がそうしたいんなら勝手にすればいいんだけどな。

ただ、いくら強い守護霊を持っていたとしても、いつまでも無事でいられるという

保証は無いという事は忘れてはいかんと思うぞ!

特に、今回の話、危険過ぎるだろ?

呪いを呪いで返す?

それを行った奴は、本当にその危険性を理解してやったのか疑問だな。

そんな簡単に上手くいくような事じゃないぞ・・・。

それに、その無くなった霊能者は大きな間違いをしてる。

呪い返しとか、そういう呪法があるのは間違いないが、それが有効なのは、

呪いを掛けてきた相手が生きている人間の場に限られる。

もしも、死んだ者に対して、呪いを返すような真似をしたとすれば、それは

自殺行為以外の何物でもない!

その死んだ霊能者の事を悪く言うのは気が引けるが、死者に対して呪い返しを

してしまった事で、事態はとんでもない方向に向かってる。

もっと沢山の死人が出るかもしれん。

そう言ってきた。

俺はしばらく黙って考えていたが、思い切って聞いてみた。

あんたでも無理なのか?と。

すると、

こんな事態に対応出来るのは、ワシが知っている限りでは、Aさんか姫

しか、おらんだろうな・・・。

悪い事は言わんから、その依頼主に言ってやれ。

早くその場所から逃げろ、と。

出来るだけ遠くに逃げるのが一番だ。

まあ、たぶん、それでも呪いは追いかけてくるとは思うがな・・・。

まあ、早い話が、ワシでは焼け石に水、といった感じにしかならないと思う。

自分で言うのも恥ずかしい話だけどな・・・。

そ言われ、俺が更に黙っていると、住職が言った。

そうはいっても、今のAさんじゃ何の力にもならんからな~、と。

俺はその言葉を聞いて、すぐに顔を上げて住職を問い詰めた。

もしかして、Aさんが消えた理由も知ってるのか?と。

すると、住職は、気まずそうな顔でこう返してきた。

やっぱり知らなかったみたいだな。

というか、ワシが話した事は内緒にしておいてくれよ!

Aさんは、今、昔、修行した場所にいるんだよ。

実は、突然、力が全く使えなくなったみたいでな。

以前にも一度同じような事があったんだが、その時には、しっかりと力が

戻った、というよりも、以前よりも力が増していたな。間違いなく。

だからといって、今回も前回と同じようにAさんに力が戻るとは断言出来ない

んだが、とにかく彼女も今、必死に努力してるんだわ。

かつて修行させて貰った師匠の下で、今また必死に修行して、パワーを溜めている

筈なんだ。

だから、どれくらいの長い期間が必要なのかは誰にもわからんが、ワシらに

出来るのは、それを信じて待つ事だけだからな。

きっと、とんでもなくパワーアップして戻ってくるんじゃないか。

ワシはそう信じとるがな・・・・。

そう言われ、俺はしばらく放心状態になった。

あのAさんから霊能力が無くなった。

しかも、それを知ってしまうと、姫にさせている事の意味もより真実味を帯びてくる。

もしかして、Aさんは、自分にもう力が戻らない事をうすうす感じてるのではないのか?

そう考えると、急に全てに臆病になってくる。

如何に、今までAさんありきで知らないうちに物事を考えるようになっていたのかを

痛感してしまう。

そして、それだけいつもAさんに負担をかけていたということも・・・。

そして、俺は今、直面している現実に恐怖した。

Aさん無しで、そんな呪いに対抗など出来るものなのか・・・・。

確かに、姫の力はAさんを凌駕するものなのだろうが、やはり現段階では

Aさんのフォローをするのが精一杯という感じなのだから。

しかし、俺には、あの彼をこのまま呪いの渦の中に置き去りにする事など

とても考えなれなかった。

強い守護霊がついているというだけでは、何も解決しないという事を痛感する。

いつも、役に立たないとAさんに言われていた事が思い出される。

姫には頼れない。

だとしたら、自分で何とかしなくては・・・・。

そして、俺はそれから富山の住職に電話で頼み込んだ。

除霊のやり方を教えてくれ、と。

すると、最初、住職は大笑いしていたが、それでも俺が本気なのを知ると、

馬鹿な事は止めておけ!

と叱責された。

しかし、それでも食い下がる俺に、住職は、

考えてみるから、少し時間をくれ!

とだけ言うと、さっさと俺を追い返した。

そして、それから数日後、住職から電話が入る。

やはり、素人が防御の為ではなく、攻撃・除霊の為にお経の類を唱えるというのは

逆に危険であり、どうしても賛成出来ないとの事だった。

それを聞いて俺が黙っていると、住職は、

ああ、わかってるよ。だからワシなりに解決策も考えてみた。

今からいう場所に今日の午後2時に行ってくれ!

そこに霊能者を1人頼んだから。

ワシもあった事はないが、相当な力を持ってるということだ。

まあ、性格には少し問題があるみたいだけどな。

まあ、それくらい我慢しろ!

これでも知り合いの住職連中に頼み込んでやっと探し出したんだからさ。

そう言われた。

俺は住職にお礼を言うと、すぐに電話を切って出掛ける準備をした。

霊能者っていっても、どれ位の力の持ち主なんだろうか?

そして、性格に問題がある、というのはどういう事なのだろうか?

考えれば考えるほど、興味が沸いてくる。

そこで、俺は指定された午後2時より少し早く着くようにして、駅へと向かった。

そこに霊能者が待っている筈だから・・・。

駅の駐車場に車を停め、急いで指定された場所へと向かう。

すると、その場所にはかなり離れた場所から見ても、明らかに回りの風景に

全く溶け込んでいないお洒落感全開の若い男が立っていた。

恐る恐る近づいていくと、その男の方から声をかけてきた。

もしかして、君がKさん?

俺が、ええ、そうです。よろしくお願いします!と言うと、

いや、それにしても酷い田舎だね~

改札にもまだ駅員が立っている所もあるみたいだし・・・・。

こんな所に住んでいると退屈でしょうがないんじゃない?

と言ってくるので、俺は、

ええ、でも田舎なりに良い所もありますから(笑)

と返すと、

良い所ねぇ?もしかして、自然が豊かだとか言うんじゃないよね?

まあ、いいや。

だいたい忙しい僕がわざわざ○○から来たんだから、もう安心していいよ。

さっさと片付けてこんな田舎から早く帰りたいから、早速、その旅館とやらに

連れて行ってくれ!

と言われた。

俺は少しカチンときたが、住職からの紹介ということであり、万が一、機嫌を

損ねでもしたら、今回の依頼に支障が出てしまうと思い、グッと我慢した。

そして、駐車場までやってきたのだが、俺の車を見るなり、

おいおい、これに乗れっていうのかよ?

こんな事なら愛車の○○○○○で来れば良かったよ・・・・。

せっかく来てやってるのに、こんな待遇じゃヤル気も失せるよね。

これじゃ謝礼もきちんと払えるのか、不安になってくるよ・・・・。

とブツブツとつぶやく。

俺は、我慢の限界も近かったが、

住職が言っていた性格に問題があるっていうのは、こういう事か・・・。

と思うと、少し気が楽になった。

だから、

すみませんね。何しろ時間が無かったものですから・・・・。

と受け流して、さっさと車を走らせる。

そして、そこから旅館に着くまでの間、ずっと自慢話ばかりを聞かされてしまう。

少々呆れてしまったが、それでも、それほど自信があるという事なのだろうと

思い、そのまま話に相づちを打ちながら急いで旅館へと向かった。

旅館に着くと、彼が嬉しそうな顔で出迎えてくれた。

しかし、以前会った時よりも、かなりやつれている様に見えた。

その霊能者は、旅館を見るなり、古いだの、玄関の位置が良くないだのと

言っていたが、構わず、そのまま旅館の中へと進む。

初めて訪れるその旅館は、俺にはとても異様に感じられた。

旅館の敷地全体、特に建物が何か霧の様なもので覆われている気がした。

更に、建物に入るなり、とても空気が冷たく、そして重くなった。

俺は、

もしかしたら、この旅館に入ったら二度と出られないのではないか?

と不安がよぎる。

しかし、その霊能者は、それが感じられないのか、それとも自信があって、

そんな事など気にならないのか、は分からないのだが、ズンズンと土足のまま、

旅館の中を進んでいく。

ああ、ここにもいる・・・・あそこにもいるねぇ・・・・

そんな言葉を呟きながら・・・・。

それにしても、俺は思った。

いつもなら、Aさんなら、こんな場合、危ないからというのを、役に立たないから

という言葉に置き換えて、自分ひとりだけで入っていくはずだった。

しかし、この霊能者は、依頼者がついてくるのは当然だと言いたげな態度であり、

挙句の果てには、依頼者の彼と謝礼の交渉まで始める始末。

俺は、住職が紹介してくれたのだから、きっと力だけは凄いのだろうと、

自分に言い聞かせだが、やはり、住職自身も会った事が無い、と言っていた

のが、少し気になりだした。

それに、謝礼の話に積極的な霊能者というのは、俺の経験上、役に立った者は

1人もいなかった。

しかし、その時は、その霊能者の力を信じるしか術がなかったのだ。

旅館の中を進んでいくと、外から差し込む光がどんどんと弱くなっていくのを

感じた。

それは、日当たりが悪いというだけではなく、外の天気が明らかに悪くなっており、

どんどんと曇ってきて、もしかすると、雨さえ降っているのかもしれないと

思えるほどだった。

すると、突然、目の前の天井に取り付けられている大きな照明器具が突然目の前に

落下した。

それは、明らかに、これ以上は入ってくるな、という意思表示だと思った。

しかし、その霊能者は呑気に、

危ないじゃないか・・・・もっとちゃんと散りつけておいてくれないと・・・・。

これじゃ、悪霊と対峙する前に、大怪我しちゃうでしょ?

とブツブツと文句を言っている。

すると、今度は、目の前にある大きな開き戸がバターンという大きな音を立てて

開いた。

その開き戸の先には、光さえ届かないような暗闇のような廊下が続いている。

それまで黙っていた俺もさすがに、

これは、さすがにやばいですよね。

ここに入ったら、もう戻って来れない気がします・・・。

と言ったのだが、その霊能者は、

素人が口を挟まないでくれるかな?

いよいよボスキャラと対戦出来るっていうのに、これを逃したら、ここに

来た意味が無いでしょ?

と呆れたような顔で俺を見る。

そして、臨戦態勢をとるかのように、ポケットから数珠と粗塩らしきものを

取り出すと、それを両手で前方に掲げるようにしてその開き戸に入っていく。

俺達はさすがに躊躇したが、その霊能者の、早くついてきて!という

言葉に促されるように、その開き戸の先へと入っていく。

俺は、彼に聞いた。

ここから先にはなにがあるんですか?と。

すると、以前から使われていない離れに続く廊下だという。

すると、突然、背後から、バターンという大きな音がして開き戸が閉まった。

俺達は、急いでその開き戸を開けようとしたのだが、大人の男2人掛かりでも

びくともしない。

俺は、

ほらね。戻れなくなっちゃいましたよ?

と言うと、その霊能者は、

別にそんなのどうでもいいよ。

どうせ、僕が浄化しちゃうんだから・・・・。

そうすれば、簡単に開くでしょ?

と言ってくるのだが、その声は明らかに最初に会った時のトーンではなく、何かに

怯えている様にか細い声に変わっていた。

俺達は、もう前に進むしか道はなくなった。

その廊下には全く光が差し込まず、真っ暗な状態だったが、それでも次第に

目が慣れてくる。

先程までとは違い、恐る恐るといった感じの進み方だったが、それでも少しずつ

前へと進む。

すると、前方から、なにやらギシギシという音が聞こえてくる。

目を凝らして、その音の出所を探ろうとすると、前方に何かが揺れている。

何かが天井からぶら下がっており、それが左右に大きく揺れる度に、ギシギシと

大きな音を立てていた。

俺達は、それが何かを確かめる為に少し距離を詰めた。

すると、そこにぶら下がっていたのは紛れもなく人間の首吊り死体だった。

既にかなり腐敗が進んでおり、その首が長く垂れており、まるでサンドバック

のように見えた。

俺はさすがに驚いて少し後ろに離れた。

そして、その霊能者の方を見ると、あろうことか、その場で、オエッオエッという

声を上げながら吐いていた。

俺はその時点でかなりその霊能者に呆れ果てていた。

いや、もしかすると、それまでに見てきたAさんや姫が凄過ぎるのであって、

目の前で死体を見て吐いている霊能者というものが、普通なのかもしれない

のだが・・・・。

すると、今度は壁をつたって何かが這って来るような音が聞こえる。

もうその時には、その霊能者も完全に逃げ腰になってしまっており、ただ

悲鳴をあげるのみ。

俺はそれを横目で見ながら身構える。

いつも、Aさん達と、とんでもない危険に遭遇しているせいか、不思議と

冷静でいられる。

しかし、迫ってくるソレは、まるで生き物のように体に纏わりつき、身動きが

取れなくなる。

そして、そうしていると、足元がどんどんと柔らかくなっていくのがわかり、

まるで、底なし沼に吸い込まれていくかのように、俺達は、廊下の中に

吸い込まれていった。

(後編につづく)


Posted by 細田塗料株式会社 at 15:08│Comments(11)
この記事へのコメント
Kさん
皆さん
お疲れさまでございます(^ ^)

バックトゥザフューチャーしてまいりました(笑)

早々に『怖くない話』更新の通知がきて
小躍りしました♪
やったぁƪ(˘⌣˘)ʃ
Kさん
今日は飲み会なんですね!

前編ではAさんが不在の中
Kさん達が厳しい状況になってしまい
ドキドキしています(汗)
てか、
その三代目J Soul Brothersは
いったい何故そんな目に遭うのか…
そこが引っかかっております(汗)
早く飲み会切り上げて
後編をアップしてください!(^^;;
(嘘です)
休日前のひと時
楽しんできてください〜∀o(^^*)♪
Posted by とも at 2017年09月09日 15:41
K様こんにちは!
いつもより早い時間の更新だったのでお昼に読めて嬉しかったです(*^^*)

あのAさんから霊能力が消えたなんて驚きでした!霊能力は持ってる人はずっとそのままだと思っていたので消えちゃうこともあるんだとビックリです。
とても気になるところで後編に続くなので次回の更新楽しみに待ってます♪

お話を読んでいてつくづく思ったのですがK様はかなりの巻き込まれ体質ですね(´・ω・`)
K様が怪異を呼んでいるのか怪異がK様を呼んでいるのか・・・きっとお互いに惹かれあっているのでしょうね(笑)
Posted by フーコ at 2017年09月09日 15:54
Kさんこんにちは!

ちょっと…ちょっと待って下さい。
心臓あぶりました。映画ですよねこれ?
霊能力者のキャラ(笑)
先が見える絵に書いたようなクズキャラ
( ゜Д゜)
ずっとウソでしょ?顔だけ残された遺体!?
えっ!?(゜゜;)(。。;)!?
追いつかない
ザワザワがとまらないです。

Kさん…更新<(_ _*)>アリガトウございます。
_| ̄|○llll ゼェゼェ…
Posted by tomoaaa24 at 2017年09月09日 16:07
営業のKさん

本当にありがとうございます。
前編と言えど、これだけの力作を意図も簡単に読ませて頂く事、また個人の好き勝手にコメント欄を使わせて頂く事に、心から感謝しております。

中には「記事」に対して、木を見て森を見ず的な意見も希に見受けられますが、それも含めて全てを受け入れて居られるKさんと、そのKさんを信頼してブログを開放して居られる細田塗料株式会社の懐の深さに、ただただ感銘を受けるばかりです。

今回も様々な人間模様が交錯する展開に、胸の高揚を実感する酔っ払い親父、後編が楽しみでなりません。

それでは失礼します。
Posted by 中西 at 2017年09月09日 16:46
東北の震災以降しばらく幽霊見ませんでした、どこに行ったのだか?自分の力が消えたかと思いましたがそうでもなかったらしく。
そのチャラ男、なんかスネ夫くんみたいなやつだな。

まだかなー(゚∀゚*)(*゚∀゚)そわそわ♪
Posted by はるた夏雲 at 2017年09月09日 17:03
!!(゜ロ゜ノ)ノ
こ、これはオフ会会場(旅館)が決定?
(冗談です)

取り急ぎのコメントでした。
後編も楽しみにしています(*´∇`*)
Posted by クレア at 2017年09月09日 17:08
早く続きが読みたいっ!!

やっぱりオールスターだと吸い込まれるように読んでしまいます(๑>◡<๑)
Posted by はな at 2017年09月09日 17:13
欧州は午後の紅茶の時間で一休み中です。
営業のK様の引き出しの、、もとい霊体験の多さには驚嘆します。
文の流れがスリリングでドンドン引き込まれます。
これはドラマ化は必至ですね。
後編は夜のお楽しみに。ワクワク

クレア様初めまして。
イタリアで靴の購入叶うと良いですねエ。
添乗員してる旧友がイタリアのホテルは出るよ。って
朝食でお客さんが浮かない顔を、聞くと一晩中部屋の壁から人が出入りして眠れなかったとか。怖
イタリアでは複数回あったそうです。
まあヨーロッパの建物は数百年はザラですので事故物件だらけですね。
Posted by 通りすがっちゃった at 2017年09月09日 21:53
K様、読者様、こんばんは!

飲み過ぎて、お風呂で寝落ちしてヒヤリとしました。では、後半へいってまいりまふ。
Posted by チドリーヌON11 at 2017年09月10日 00:09
霊力って消える事あるんですね…
普通ならそれが一般的多数であり、普通の日常に戻れる訳なんですが、
やはりAさんはご自身の使命を感じていらっしゃるのか、修行に戻る…

もうね、前も言いましたが、NARUTOの世界ですよね。
パワーアップする為に仙人モードを習得する為に修行に入る。
にしても、色々感心してます。

素人が防御にはいいが、攻撃となれば危険だとか、呪い返しのルールとか。そんな教典とかあるんですかねぇ。
医学書みたいですよねぇ。

しかも喰われてるって。悪霊が生きた人間を喰うんですか?!
もう何なの?痛みは?この話も信じられなさすぎるカテゴリーに入りました(笑)
続き読んできます
(*`・ω・)ゞビシッ!!
Posted by メチャ✩ at 2017年09月10日 12:58
こんばんは。たまたまフリーの音声読み上げソフトのテストがしたくて、怪談にしよーっと思って、こちらのテキストをお借りしたら、マジやばいんですけど。。。
なんか途中で。。いきなり音声ピッチが変わって恐ろしさ100倍でございます。続きも期待します。
Posted by 通りすがりの主婦 at 2017年09月23日 01:31
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