2018年11月09日

高層マンション

友人は東京の高層マンションに住んでいる。



彼は家族と共に、石川県から東京に移り住み、東京でそこそこの



成功を収めたらしく、それまでの4階建てマンションから移り住んだ。



ある時、用事で地元に戻ってきた彼と一緒に酒を飲む機会があり、



聞いたのが、これから書く話である。



彼が住んでいるのは東京湾に近い高層マンションの47階。



もっと、高い階に、やはり住みたいらしいが、そうなると、やはり



金額もとてつもなく跳ね上がるのだという。



しかし、彼が住んでいる階でも、東京が一望出来るし、虫も



寄って来ないのだという。



確かに、そこから見る景色だけでも、それだけの金額を出す価値は



在ると力説する。



それでは、何か高層階に住むうえでの不便な点は無いのかと聞くと、



やはり、風が強いこと、そして地震の際にはとても大きくそして長く



揺れるのだという。



それが安全の為だと分かってはいても、やはりその大きな横揺れには



慣れることはないという。



そして・・・・と少し口ごもって話してくれたのが以下の内容だ。



そのマンションの高層階に住む住民が全員体験しているのかは



分からないのだが・・・。



ある日曜日、妻と子供達が外出している時、彼はリビングでDVDを



見ていたのだという。



話題作であり、興行収入1位ということで期待してレンタルしてきた



作品を見ていた時、そのつまらなさに、彼は何気に視線を窓の方へと



移した。



えっ?



彼は思わず声を上げてしまったという。



そこには、彼の部屋を覗き込むようにして窓に張り付く子供の姿があった。



いや、正確には、小人のように小さい大人の男と女の姿を。



サッシの中桟にも身長が届かないそれらは、必死になってぴゅんぴょんと



飛び跳ねながら部屋の中の様子を窺っていた。



その姿は、恐怖というよりも、まるで新種の生物を見つけたかのように



新鮮さと好奇心をもって彼の心を掴んだ。



彼は、それらを捕まえようと部屋の中に何か適当なものは無いか、と



探した。



そして、おあつらえ向きな?ほうきとゴミ袋を見つけ、視線をサッシの方へ



戻すと、もうその姿は何処にも無かった。



それから、しばらくの間、彼がその姿を目撃することはなかったが、



ある日、仕事から帰宅すると、妻が子供達を叱り付けていた。



そして、話を聞いてみると、どうやら、息子の1人がベランダから



転落しそうになったのだという。



厳しく叱りつける妻が別の部屋に行った際に、彼は息子に聞いてみた。



どうして、そんな危ないことをしたんだ?と。



すると、息子は、



違うんだ。ベランダに小さな小人がいたから慌ててベランダに行こうと



大きなサッシ窓を開けたんだ。



そうしたら、気がついたらべんんだの柵の上に登ってて・・・。



そあ泣きながら話す息子からはとても嘘を言っている感じはしなかった。



そして、何より、その小人には、彼自身、見覚えがあった。



彼は息子に、もうそいつらが来てもサッシを開けちゃ駄目だぞ!



と優しく言い聞かせた。



そんな事があってから、しばらくの間、何も起こらず平和な日々が



流れていった。



そして、ちょうど日曜日。



彼が1人で留守番をしていると、何かがサッシをコンコンと叩く音がした。



彼は慌ててサッシに駆け寄ると、あの日見た小人たちがまたしてもサッシに



まとわりついていた。



そして、彼を見ると、まるで懇願でもするかのように手を合わせ何かを



言っていた。



その姿はとてもユーモラスであり、とても危害を加えるものには



見えなかった。



彼は、ゆっくりとサッシを開けようとした。



サッシを開けてやれば、こいつらともっと仲良くなれるのかもしれない。



そう思っていた。



しかし、サッシの鍵を開け、取っ手に手をかけた時、そいつらは



とても気味の悪い笑いを浮かべたのだという。



いやな予感がした彼は慌ててサッシの鍵を閉めなおした。



すると、それを見た小人達は、サッシから離れていき、ベランダの柵の



上に上手に登った。



そして、まるでバンジージャンプでもするかのように左から順番に



宙に向かって飛び降りていく。



その姿はとても気持ちが良さそうであり、まるで自分も空を飛べるのではないか、



とさえ錯覚させるものだった。



小人達が全員飛び終えると、彼は無意識に窓を開けようとしていた。



と、その時、ちょうど出掛けていた妻と子供達が帰ってきて、ハッと



彼は我に返ったという。



あいつらは、かわいい姿をして入るが、危険なやつらだ!



彼はそう言っていた。



そして、今では彼の部屋ではサッシを開けることはおろか、カーテンを開ける



事も無くなってしまったという。



窓を開けたり、カーテンを開けて、あいつらの姿を見てしまったら・・・。



きっと、ベランダから飛び降りてしまうような気がして怖いんだ!



そして、きっと、高層階の建物から自殺する人のうち、何人かは、きっと



そいつらにそそのかされて飛び降りたんじゃないのかな・・・。



そう言っていた。



しかし、俺はそれを聞いた時、不謹慎だが、こう思ってしまった。



窓もカーテンも開けられず、絶景も見られないのなら、あえて、そこに



住む理由は無いのではないか・・・と。、


Posted by 細田塗料株式会社 at 21:58│Comments(0)
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