2018年11月09日

解体

これは建設業界で起こった話である。



そのの会社は、ゼネコンの下請けとして現場に入ることが多い。



大きな現場になると、それこそたくさんの下請けの同業者と同じ現場に



入る事になる。



そして、彼らが一番恐れているのが、現場での事故と納期の遅れだという。



だから、例え、材料を運んできた業者であったも、きちんとヘルメットを



被らせ、規則を厳守させる。



それでも、やはり現場事故というのは起きてしまうらしいのだが。



それは不注意というものから発生する事故も確かにあるらしいが、



殆どはどれだけ注意していても起きてしまう様な偶然が重なった



事故だという。



そして、当然、その現場で事故により誰かが亡くなると、現場で働く



者達の間で、その事故の被害者の姿を見たという怪異が頻発するらしい。



まあ、この点に関しては、また別の話しですることにして・・・・。



今回、話すのは、工期の遅れに関する話である。



工期の遅れに関して言えば、要素はたくさんあるらしいが、それらは



努力次第で解決出来るものだという。



では、何が一番厄介なのか・・・。



それは、工事の現場から何かが出土してしまった場合である。



良く起こるのは、地面を掘り返したら、遺跡が発見されてしまう場合。



しかし、これに関しては、致し方ない事なので、余程の事が無ければ



ゼネコンに報告し、そしてゼネコンは役所に報告する。



確かに、工期は遅れてしまうが、これに関しては、どうしようもないと



諦めるしかないのだという。



それでは、他のものが見つかってしまった場合はどうなるのか・・・。



そして、ごく稀に地面を掘り返したり、建物を解体すると、人骨が



見つかることがあるのだという。



それは、明らかに古代のものだと判断されるような場合は遺跡の時と



同じように対応するらしいが、もしも、その人骨がそれほど古くない



と思われる場合には、ごく稀に、そのまま見なかった事にしてしまう



事もあるらしい。



確かに、現場で働く彼らにとっても、そしてゼネコンにとっても納期は



とても大切なものであり、もしも、納期を守らなければ厳しい



ペナルティがある。



そうなってくると、たとえ事件性があると思われる人骨が出土したとしても



そのまま素直に報告すれば、警察が来て現場での作業は完全に止まってしまう。



それならば、そのまま発見したという事実をそのまま闇に葬るという



判断も確かに理解できる部分もあるのだが・・・。



そして、ある日、古いビルを解体したところ、人骨が出土した。

しかも、その人骨は、まるで何かを封印するかのように頑丈な木箱に入れられ、



更にその箱を石棺に入れ、数え切れないほどの金属製の金具で



完全に閉じられていた。



更に、石棺の中には、木箱を取り囲むように、水晶らしき石が



散りばめられていた。



そして、現場の監督は、ほかの業者とも相談したうえで、



こんなもので工事が中断してはたまらない!



という事で、その件を元請のゼネコンにも報告しないまま



重機で潰し、埋めなおしたという。



更に、その場に居た者の中には、石棺の中に納められていた水晶を



持ち帰った者までいたのだという。



かくして、それから現場では不幸な事故が頻発することになったが、



それでも、何とか工期に間に合わせる形で、マンションが



建設されてしまう。



その人骨が埋まったままの土地の上に・・。



最初に異変が起こったのはマンションが完成してから3ヶ月後



の事だった。



そのマンションの建設に関わった者のうち、数人が行方不明になった。



そのどれもが、



あの人が待ってる・・・行かなきゃ・・・・。



とだけ言い残して外へ飛び出していった。



そして、その数人とは紛れも無く当時、現場から石棺の中に置かれていた



水晶を持ち帰った者達であった。



その噂は瞬く間に工事関係者の間で広まった。



それからは、そのマンションでは、恐ろしい女の姿を見たという目撃者



で溢れかえる。



皆、口にするのは、



・白い布を身にまとった髪の長い女。



・やせ細った体は骨と皮膚しかない感じでその背丈はゆうに2メートル以上あった。



・髪は所々が完全に抜け落ちており、その顔は狐と人間が1つになった



ような顔であり、その瞳には黒目しか無く、薄ら笑いを浮かべ、追いかけてくる。



そんな特徴だった。



マンションの自治会では、風評被害でマンションの価値が下落するのを恐れて



毎夜、数人でマンション内を巡回することにしたのだが、



その女はいつ、どこに現れれるのかも分からなかったが、それでも



自治会が見回りをしている時には必ず彼らの前に現れ、彼らを



追い掛け回した。



そんな事が続くうちに、新たな事も分かってきた。



それは、その女はどうやら地下駐車場の辺りから現れ、そして



マンションの廊下を隅々まで回りながら屋上へと向かう。



そして、そこから忽然と姿を消し、すぐにまた地下駐車場に



現れ、屋上を目指すのだという事。



そして、明らかにその女は、地に足を着けてはおらず、地面から



2センチほど浮かんだ状態で、待ち伏せし、追いかけてくる



のだという事。



しかし、そうなってしまうと、それは誰かのいたずらという可能性は



完全に消えてしまう。



だから、屈強なボディガードに頼んだり、お寺にも頼んだらしいが、



その誰もが翌朝、放心状態で座り込んでいるのを発見され、



病院に行くと、精神にありえないほどの障害を受けていると



診断されてしまう。



そして、ほぼ満室になっていたそのマンションは完成から1年と経たず



完全にゴーストマンションと化してしまった。



確かに、10世帯以上は、まだそのマンションに残っていたが、経済的に



そのマンションを出ることは難しく、仕方なく残っている。



そんな人達ばかりだった。



確かに高額なマンションを買い、それがゴーストマンションになってしまう。



運がないといえば、それまでだが・・・・。



しかし、恐怖はそれだけでは終わらなかった。



そのマンションに居残った住人家族に次々と怪異が襲う。



朝、出勤時に玄関のドアを開けると、そこには、その女が笑って浮かんでいた。



また、エレベータに乗った人が、各階でその女が立っているのを目撃し、



降りられないということもあった。



また、寝ていると、部屋の中をその女が徘徊しているのを、住人の誰もが



目撃した。



更に、ある者は突然廊下で何者かに後ろから抱きつかれ、そのまま地面に



叩きつけられた。



一命はとりとめたのだが、かなりの重症を負って長期の入院となった。



そして、実際に住人に実害がでたということで、もうそのマンションに残る



家族は1人もいなくなってしまう。



しかし、残された人達にも、少しは運が残っていたようだ。



そのマンションの住人家族の1人に姫の友達がいたのだ。



姫は、その友達から事情を聞いて俺に相談してきた。



どうすれば良いでしょうか?



私にはそんな力はとてもありませんし・・・・。



やはりAさんにお願いするしかないと思うんですけど、私の頼みなど



聞いてくれるかどうか・・・。



それで、今日はKさんにお願いにまいりました・・・。



そう言われ、俺は



あのね・・・姫ちゃんが無理ならAさんでも無理だと思うよ。



確かに、Aさんと姫ちゃんがタッグを組めば最強なんだろうけどね。



それと、Aさんは、俺の頼みなんか聞いてくれないからね。



いつも、嫌々モード全開だから・・・。



だから、姫ちゃんから頼んでみたら?



きっと、快く引き受けてくれるんじゃないかな・・・・。



それを聞いた姫は、



いえ、Aさんは、いつもなんだかんだと仰りながらも、結局は



Kさんの頼みを聞き入れてますから・・・・。



あのAさんがですよ。それって、凄い事ですから!



そう言われ、悪い気もしなかった俺は、姫を車に乗せてAさんの



マンションへ向かった。



マンションに着き、ドアのインターホンを押すと、面倒くさそうな声で



はい。ただいま留守にしております!



と返ってくる。



あのね。Kだけど。ちょっと開けてくれる?



そう言うと、



また、どうせ頼みごとですよね?



ホント・・・急がしいんですけど?



と返ってきたので、



あっ、姫ちゃんも一緒なんだけど?



と言うと、中からバタバタという音がしてAさんが玄関へと走ってくる



音が聞こえる。



そして、玄関のドアが開くと、



あっ、姫ちゃん、どうしたの?



あんまり、変なおじさんと行動を共にしないほうが良いよ?



と失礼な事を言う。



そして、俺に顔を向け、いもつのように、



あのですね。私はKさんの便利屋さんじゃないんだって、何回言ったら・・



そこまで言いかけたとき、姫が、



いえ、今日は私がお願いがありまして・・・・。



と言った途端、



そうなの?早く言ってくれれば良いのに(笑)



とニッコリと笑う。



そして、姫はそのマンションについて、それまでの経緯をAさんに



丁寧に説明した。



すると、Aさんは、少し困ったような顔をして、



少し時間を頂戴ね。調べてみたいことがあるから・・・。



悪い予感が当たっていなければ良いんだけど・・・・。



そう言っていた。



それから、数日後、Aさんから連絡が入り、俺と姫は指定された



喫茶店へと向かった。



喫茶店に入ると、あろうことか、Aさんが何も注文せずに待っていた。



そして、俺が近づいて、



何にする?



と聞くと、



え?ああ、とりあえずコーヒーで・・・。



と返してきた。



いつもなら、ここぞとばかりに食べまくるAさんとはまるで別人の様だった。



そして、姫が、どうでした?何か分かりましたか?



と聞くと、



うん。悪い予感があたっちゃったかな・・・・。



結論から言うと、あの場所には手を付けるべきではなかった。



ううん。絶対に手を出してはいけない古代からの禁忌の場所なんだよ。



そう言って顔を曇らせる。



そんなに危険な場所だったんですか・・・。



でも、浄化は可能なんですか?



そう姫が聞くと、Aさんは、首を横に振って、



無理だろうね。どうやら、あの場所に封印されていたのは、古代、狐に



人身御供として捧げられた女の人。



それが、どうやら狐と魂が混在してしまったらしく、そのまま恐ろしい



怨霊になってしまってるの・・・。



姫ちゃんも狐の力は分かってると思うけど、とても強大なの。



それが、女の恨みと共に増幅してしまって・・・。



きっと、古代には数え切れないほどの人間を呪い殺してきたと思う。



古代にもきっと除霊が出来る人がいたと思うけど、そういうのを受ける



度にどんどん抵抗力もあがってしまって。



だけど、きっと、いつの時代かは分からないけど、とても強大な霊力を



持つ人が居たんだろうね・・・。



たぶん、自分の命と引き換えにしたんだと思うけど、何とかその怨霊を



あの土地の地面の中に封印出来たんだよね。



だけど、今、その封印は破られてしまった。



そして、封印されていた事への恨みで、その怨霊は更に強大に



なってしまってるの。



もう、そうなったら、私と姫ちゃんが力を合わせても太刀打ち出来るかどうか・・。



そう言って唇をかみ締めた。



そう言われた姫が、



私が仲良しの狐さんに頼んでも無理ですかね?



と聞くが、Aさんは、



きっと、レベルが違うと思うよ。



と手を横に振る。



そうですか・・・・わかりました・・・。



姫は残念そうに言葉を搾り出す。



こんな時もあるよ。今回し相手がやば過ぎる・・。



そんな言葉も姫には届いていなかったようだ。



それから数日後、姫から俺に連絡が入る。



私、やっぱり友達を助けたくて・・・。



だから、明日、あのマンションに行こうと思います。



Aさんが、あれだけ恐れるなんて初めてだから、きっと敵わないのは



分かってるんですが・・・。



ただ、私があの場所へ行った事で、kさんやAさんに迷惑が掛かるのかな、って



思ってしまって・・・・。



きっと、Aさんなら大丈夫だとは思いますけどね。



だから、これは私1人で対峙してみます。



Aさんには怒られるだろうけど・・・。



だから、Aさんには内緒にしといてくださいね。



そんな電話だった。



しかし、俺はその事をAさんに話しべきかずっと迷っていた。



そして、迷った挙句、俺は、翌日、Aさんに電話をかけた。



そして、事情を話すと、Aさんは、突然、



それで、姫がそのマンションに行くと言ってたのはいつなんです?



そう言われ、俺は、



いや、今日のはずだけど・・・。



と言うと、すぐに電話が切られた。



そして、しばらくして、再びAさんから電話が入る。



やはり姫と連絡がつきませんね。



やはり、あそこに行ってしまったのかもしれないですね。



とということで、これからすぐにあそこに向かいますから・・・。



Kさんも急いでくださいね。



そう言われた俺は、



Aさんも姫も敵わない相手のところへ折れも連れて行くつもり?



と返したが、



姫をしっかり止めなかったのはKさんの責任ですから。



それに、Kさんの守護霊は、きっとその怨霊でも破ることは出来ない



位に強力ですから・・・。



まあ、本人は気づいていないとは思いますけどね。



そう言われ、俺は急いで現地へと向かった。



現地に着くと、既にAさんが到着していた。



やはり、姫は此処に来てますね。



でも、反応が弱い。



急がないと・・・。



そう言って、半ば強引に俺を連れてマンションの中へと入る。



ゴーーストマンションと貸したその場所は、既に異様な場所になっていた。



まだ昼間だというのに、まるで何が日差しを遮っているかのように



中は真っ暗だった。



エレベータに乗り込もうとした俺をAさんが



何してるんですか?こんな時にエレベータを使う馬鹿はいませんよ。



殺してくれって言ってるようなものですよ・・・。



と叱りつける。



そして、俺に落ち着けと言いながらも、姫を探すAさんは完全に



早歩きから、既に走りに変わっていた。



そして、ちょうど階段で3階に上がった時、突然Aさんが動きを止めた。



此処です!



そう言われ、体が硬直する。



そして、Aさんは3階の廊下へとゆっくりと歩く。



俺は恐る恐るAさんの後をついていく。



廊下は完全な暗闇になっていたがその内に目が慣れてくると



ありえない光景が目に入ってきた。



明らかに怨霊だと分かるほどの不気味な姿の女。



そして、その足の下には、横たわる姫の姿があった。



遅かった・・・もっとしっかりと言って聞かせるべきだった!



Aさんは自分を責めるように言った。



ウヒッウヒッウヒッウヒッ・・・・・。



気持ちの悪い笑い声に俺は思わず後ずさりする。



ごめんね・・・かわいそうに・・・・。



Aさんが、姫に駆け寄ろうとする。



その時、更に大きな声で、



ウヒッウヒッウヒッウヒッ・・という気持ち悪い笑い声が聞こえる。



その時、Aさんが顔を上げ、大声で叫んだ。



何してる?



足どけろよ・・・・ババア



あんた、誰の上に足を乗せてるか、分かってんのか?



その子は、私たちの未来であり光なんだ!



その光に何をしてくれるんだ!



私はこんなに怒りを覚えたのは初めてだよ。



だから、もう制御はしないからね・・・。



もう、勝つとか負けるとか、くだらない事を考えるのも止めた!



古代から生き延びてきた大怨霊か何か知らないけどさ・・・。



あんたなんかを怖がってた自分が馬鹿みたいだよ!



所詮、悪霊はどうなろうと、悪霊なんだ。



姑息で汚くて自分より弱い物にしか出を出さない・・・。



だから、嫌われるんだ!



さあて、あんたをさっさと消してその子を早く連れて帰る!



言っとくけど、今日の私はあんたなんかよりずっと格上だからね。



そう叫ぶAさんの体から、眩しい光が広がっていく。



それは、いつものレベルではなく明らかに俺も初めて見る光だった。



とても暖かく七色の光がマンションの廊下だけでなく、全体に



広がっていくのがわかった。



そして、その光に包まれたAさんは、どんどんねその怨霊に近づいていく。



そして、心なしか、その怨霊は後ずさりしているように見えた。



Aさんはそのまままっすぐ歩き続け、怨霊の目の前に立つ。



古代からずっと生きてきたんならもっと人の役に立つように成長しなさい。



はい・・・終わり!



そう言うと、Aさんの前に立つ怨霊の姿がどんどんと小さくなっていき、



そして、ついには見えなくなった。



そして、俺の前で倒れこむAさん。



急いで駆け寄り助け起こすと、



まだ、終わってませんから・・・。



これ・・・・。



そう言って、Aさんは不気味に光る小さな勾玉を俺に見せた。



これがさっきの怨霊です。



でも、もう封印はしません。



だから・・・。



そう言うと、Aさんは、それを地面に置き、履いていたハイヒールで



その勾玉を踏む。



一気に砕け散る勾玉。



そして、それを見たAさんは、一瞬、安心した顔を見せ、



それじゃ、姫と私を病院までよろしく・・・。



そういい残して意識を失った。



俺は慌てて二人を車まで運ぶと、急いで総合病院へと走った。



結局、Aさんも姫も、それから入院することになったが、姫は3日、



Aさんにいたっては翌日には退院することが出来た。



そして、その後、安全になったそのマンションにも住人が



戻り始めた。



そして、俺は考えた。



確かに姫の力は強大だ。



しかし、もしかしたら、Aさんの力もまだ俺の知らない領域が



あるのかもしれない・・・。



そう思わせる出来事だった。



Posted by 細田塗料株式会社 at 22:01│Comments(0)
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