2018年11月09日

お城

これは俺が大学時代に体験した話である。



○路城という名城がある。



国宝であり、世界遺産であり、○庫県○路市の一大観光



スポットである。



現存する城の中では認知度では間違いなく日本一であろうし、



その美しさも群を抜いているのではないか、と思われる。



そして、現在、「平成の大修理」を終えて、沢山の観光客が訪れている



ようである。



そして、今回書く話は、「平成の大修理」が始めるずっと以前の話である。



日本の城というものには、必ずといって良いほど、伝説や怪異の噂が



ある。



そして、その中でも○路城は、特に伝説や怪異の宝庫といっても過言では



ないのかもしれない。



その時、、大学生だった俺は、友人のアパートに集まって、何かテレビを



見ていたと記憶している。



そして、テレビの放送時刻も終わりに近づいた時、誰かが言った。



まだ眠たくないから何処か行かないか?と。



その友人の部屋には、全部で5人集まっていた。



そのうちの1人は翌朝のバイトが早い時刻からあるから、ということで



断られたが、結局、残りの4人はまだ眠たくもなかったので、その



提案に賛同した。



そして、それでは何処に行こうか?となった時、誰かが言った。



俺、○路城に行った事が無いから、そこに行かないか?と。



実は、俺は○路城は苦手だった。



過去に2度行った事があるのだが、その城から伝わってくる妖気にも似た



圧迫感、そして、何者かが天守閣からこちらを見ているような感覚を



いつも感じてしまっていたから。



確かに、お菊の井戸、が在ったり、カラスが異常に多かったり、と様々な



伝説がある城ではあるが、やはり最も特徴的なのは、5層から成る天守閣。



そう、俺は○路城の天守閣、その最上層が恐ろしいのだ。



そして、俺は○路城に行った後、必ず見てしまう夢があった。



夢の中で俺は○路城の天守閣のなかの廊下に座っており、そして、俺の



目の前には、立派な十二単を来た戦国時代のような姫が俺を見下している。



俺は蛇に睨まれたカエルのように、全く動けなくなっている。



そんな夢だった。



それが、何を意味しているのかは分からなかったが、俺にとってはとても



恐ろしい夢であり、その姫様の、凄まじい形相と相まって、何度



びっしょりと汗をかいて起きたことか・・・。



それでも、友人たちの手前、断るわけにも行かず、そのまま参加することに。



友人のアパートは○戸市の西区にあったから、○路城に行くのにそれほど



時間は掛からなかったのだか・・・。



時刻は既に午前2時近かったと思う。



バイク4台で○路城に到着した俺たちは、○路城が一望出来る道路に



バイクを停めて缶コーヒーを飲みながら、がやがやと話していた。



その時、誰かが言った。



あそこ・・・明かり点いてないか?



いっせいに、指を指している方向を見る俺たち。



すると、確かに天守閣、それも最上層の窓からユラユラと頼りない明かりが



漏れていた。



こんな時刻に・・・・・?



俺たちの目は完全にその場所に釘付けになる。



すると、そこには誰かが居るらしく、影のようなものが明かりに照らされて



移動していた。



誰かが言った。



もしかすると、夜中の閉園時間を利用して、掃除でもしているのかも



しれないな、と。



俺は、その言葉に対して、



ああ、そうかもな・・・。



と答えた。



しかし、どう考えてもこんな真夜中に天守閣の最上層の間を掃除など



する筈もなかった。



そして、何よりも、その場所から発せられる妖気という言葉が



ピッタリくるような気配を俺は強く感じていた。



だから、俺は友人たちに言った。



それじゃ、そろそろ帰らないか?と。



しかし、彼らの反応は無かった。



不思議に思った俺が友人たちの方を見ると、まるで魅せられたかのように



何かを見ていた。



そして、俺は友人たちが視線を注ぐ方角を見た。



すると、そこには、信じられない光景があった。



城の天守閣の最上層の窓から何にやら光の帯のような白いものが



見えている。



そして、それはどうやら、俺たちがバイクを停めている道路まで



続いているように見えた。



そして、呆然とその白い帯を見ていた俺たちの視界に葉、得たいの知れない



モノが写り込んだ。



それは、誰かがその白い帯の上を移動してくるのだ。



最初は小さくてそれが何なのか、まったく分からなかった。



しかし、それはかなりの速さで帯の上をこちらへ向かい移動していた。



そう、まるで滑るように・・・。



そして、近づいてくるにしたがって、それが俺が夢で何度も見た



あの姫の姿だと確信出来た。



そして、俺たちはまるで夢の中の出来事のように、誰一人身動き



出来なくなっていた。



そして、その姫は、あっという間に、俺たちがバイクを停めている



道路まで降りてきた。



俺達から、距離にして20メートルくらい・・・。



その場所でその姫は俺たちの方を見て、凄まじい形相のまま、



気味の悪い笑みを浮かべる。



その時、俺の中で何かが弾けた。



そして、ふっと体が軽くなり俺は動けるようになっていた。



俺は、友人たちに、



おい!逃げるぞ!



と大声を出した。



しかし、彼らは何も聞こえないかのように、その姫の方を凝視していた。



そして、その姫は、俺たちの方へ向かってゆっくりと滑るように



近づいてくる。



もう、俺は限界だった。



急いでバイクに乗りエンジンを掛けた。



エンジンはすぐにかかった。



そして、ギアをローに落とし、もう一度大声を出した。



聞こえないのか?逃げないと!



しかし、やはり反応は無かった。



本当なら、そこで友人を守るのが正しかったのかもしれない。



しかし、俺はすぐにその場からバイクを発進させてしまう。



もう、後ろを見ている余裕など無かったから、ただ、ひたすらバイクに



しがみついて、スロットルを開けた。



もしかすると、後ろからあの姫が迫ってきているのではないか・・・。



そんな懸念もあったが、俺はそのまま自分のアパートへ帰ることが



出来た。



しかし、その晩は友人たちの事が心配で、一睡も出来なかった。


いや、あの姫が追って来ているのではないか、と怖くて眠れなかった


というのが本当のところかもしれない。



そして、翌日、大学で友人たちの姿を探した。



しかし、キャンパスに行ってもサークルの場所に行っても彼らの姿は



1人も見つけられなかった。



だから、俺は彼らのアパートや実家に電話をした。



いやな予感がずっとしていたから・・・・。



しかし、予想は外れ、彼らはそれぞれが、自分のアパートや実家に



おり、電話に出てくれた。



昨晩はごめんな・・・・。



そう謝る俺の言葉に、誰もが無反応だった。



よくよく話を聞いてみると、昨夜、俺と一緒に○路城に行ったという



記憶が、友人たちから欠落していた。



友人のアパートで遊んでいたのは覚えていた。



しかし、それからの記憶が全く無く、どうやって家に帰ったのかも



憶えていなかった。



だから、友人たちは、皆、逆に俺の事を心配してくれた。



大丈夫か?何を言っているんだ?と。



だから、おれ自身、本当は夢だったのではないか、と疑心暗鬼になつた。



しかし、友人のアパートから、1人だけ○路城には行かず、帰宅した



友人だけは、しっかりと証言してくれた。



お前らは間違いなく、○路城に行くといって、アパートからバイクで



出掛けて行ったよ、と。





Posted by 細田塗料株式会社 at 22:02│Comments(0)
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