2018年11月09日

ライフセーバー

彼女はライフセーバーをしている。



誰もが知っているとおり、ライフセーバーとは海やプールでの事故を防ぎ、



そして、何が一、事故が発生した時に迅速且つ的確に対処し救助にあたる



資格を有する者をいう。



心臓マッサージや人工呼吸なども出来なくてはいけないらしく、体力や技術



だけでなく、ある程度の医学的知識も必要とされるようだ。



そんな彼女は、常日頃から体調管理、体力維持を心がけ、更に技術の



精進も怠らない。



本当に節度を守った生活をしている彼女に対し、何が楽しみで生きているのか?



と疑問に思った事もあるが、やはり人の命を助けるという貴重で神聖な



仕事をしているということ。



そして、助けた人が元気になった姿で挨拶に来た時などは何物にも変え難い



幸せを感じるのだという。



そんな彼女だが、やはりライフセーバーという仕事をしている以上、



人間の死というものに直面することもあるのだという。



勿論、それは彼女の責任ではない。



しかし、やはり人の死に直面すると、自分の非力さを思い知らされ、



かなり落ち込むのだという。



そして、救急車が来るまでに蘇生出来なかった人に対しては、常に



ごめんなさい、という申し訳なさでいっぱいになるのだという。



何故なら、救急車が来るまでに心臓マッサージでも人工呼吸でも、そして、



AEDを用いたとしても、蘇生出来なかった場合は、時間的な問題もあり、



その殆どがそのまま亡くなってしまうからだという。



それでも、彼女はライフバーという仕事から逃げることはしなかった。



例え、助けられなかった遺族から罵られることがあったとしても・・・。



それは、一つだけでも救える命が増えるなら・・・。



そんな気持ちだったという。



そして、きっとそんな彼女の姿をどこかで見ていたモノ達がいたのかもしれない。



ライフセーバーという仕事を始めてから3年ほど経った頃、彼女の



身の回りで不思議なことが起こり始める。



ある日、車を運転していると、突然、止まって!という大きな声が聞こえ



思わずブレーキを踏むと彼女の車の直前を信号無視をした大型トラックが



交差点を横切って行った。



またある時は、歩道を歩いていると、突然、走りなさい!という大きな声が



聞こえ、彼女は意味もわからずダッシュしたらしいのだか、その直後、



大きな看板が彼女の背後に落下した。



また、こんなこともあった。



彼女はその時、海で溺れている人を見つけ、急いで現場に駆け付けた。



その時、要救助者は、かなりパニックになっていたらしく、彼女の



"落ち着いて!"という言葉も聞かず、彼女に必死で抱きついてきた。



ただ、そんなことは救助の際には良くあることらしいのだが、運悪く



その時、彼女の足がつってしまう。



自分一人だけでも浮かぶのが困難な状況の中、要救助者にも抱きつかれた



彼女は、為す術もなく、海の中へ沈んでいった。



要救助者だけでもなんとか助けようとしたらしいのだが、それは叶わず



二人はゆっくりと海の中へ沈んでいった。



もう、死ぬんだ・・・・。



そう思ったそうだ。



すると、突然、何かに押し上げられるように体が浮いて海上に出た。



彼女自身、そんな経験は初めてのことであり、何が起こっているのか



全く分からなかった。



しかも、そこは離岸流であり、沖へ沖へと流されるはずなのだが、



何故か彼女と要救助者の体はぐんぐん岸に近づいていく。



そして、異変を察知したサーファーに助けられた。



彼女はその時、いったい何が起きているのか、理解出来なかったが、



海の中から、何か沢山の手が彼女の体を支えていた事を感じていた。



彼女は言っていた。



私は霊とか、そういうものは一切信じていないんですけど、世の中には



科学では説明できない事って本当に実在するんですね・・・と。



そして、これは彼女が休みを利用してスキーに行った時の話。



彼女は常にどんな場所でも救助が出来るようにと、あらゆるスポーツは



軽くこなす。



その中でもスキーは彼女の得意分野だった。



そして、とある場所で友人たちとスキーをしていた時、彼女達は、雪崩に



巻き込まれた。



その時、上級者コースを滑っており、平日ということでほかのスキー客は



誰も居なかったが、彼女と一番仲の良い女性が逃げ遅れたらしい。



そこで、彼女は、友達を岩陰に隠し姿勢を低くして、雪崩をやり過ごす



様に言った。



しかし、その岩陰には一人しか身を隠すことは出来ず、彼女は別の避難場所



を求めて滑り出した。



しかし、もう雪崩はすぐ近くまで来ており、彼女は雪崩に巻き込まれてしまう。



その雪崩の規模から考えれば、誰もが彼女は助からないだろう、と



覚悟したという。



しかし、彼女は無事に生還する。



傷一つ負わずに・・・・。



そして、誰も信じてくれないんであまり言いたくないんですけど、と前置きして



こう話してくれた。



雪崩に巻き込まれた瞬間、何かが壁のように立ち塞がって彼女に雪崩が



ぶつからないように守ってくれたのだという。



そして、その間、



ちゃんと、自分の身も守らなきゃ・・・・とか



こんなところで死なれちゃ困るから・・・。



という沢山の声が聞こえてきたという。



雪崩の雪の壁で、よく姿は見えなかったらしいが、そこには確かに



人の形をしたシルエットが映っていたという。



やっぱり信じられないでしょ?



という彼女に対して、俺は



いや、勿論、信じるよ。きっと、貴女が今まで助けてきた人達だと思うよ。



と返した。



すると、彼女は、



今まで、救うよりも助けられなかった数の方が多いのに、どうして・・・。



でも、それが本当なら感謝しなきゃ・・・。



でも、人命救助をしている私が、実は護られているなんて、おかしな話



かもしれないですよね・・・。



彼女はそう言って、嬉しそうな涙をこぼしていた。



きっと、これからも彼女がライフセーバーを続ける限り、それらは全力で



彼女を護っていくのだろう。


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:10│Comments(0)
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