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2018年11月09日

決して動いてはいけない!

いつも何かと文句を言いながらも俺を助けてくれるAさん。



しかし、いつも助けられる訳じゃないから・・・と教えてくれた



事がある。



怪異に、そして霊に近距離遭遇してしまった時、こうすれば良い、と。



先ずは、立ち向かう必要は無いが、怯まず平然としていろ!



そして、可能ならば、自分の方が強いのだという自己表現をするという事。



しかし、これは俺には無理としか言えない。



目の前に霊がいるのに、平然とし、更に堂々としている事など



絶対に不可能である。



そして、それが出来ないとしたら、次にするべきなのは、



動かないでいる事。



しかし、どうやったら、霊を目の前にしてじっと動かないで



いられるのだろうか?



体は固まっていても、きっと震えは止まらない。



まあ、きっとAさんなら苦もなくそう出来るのだろうが・・・。



そして、それが駄目なら・・・・ということで



最後の自己防衛として教えてくれたのが、



とにかく目をつぶれ、という事。



怖かろうが震えていようが、とにかく目を閉じてさえいれば



ほとんどの場合、それで難を逃れる事が出来るらしい。



どうやら、霊の習性として、人間が自分の姿を見ている時のみ、霊も



人間の姿を目視出来るのだという。



とにかく眼歩つぶって我慢していると、人間の感覚というものは視力を



補うためにより鋭敏になる。



だから、例え、霊の息遣いが耳元で聞こえていようが、手を握られようが



目を閉じ続けていると、フッと体が軽くなり周りの空気が変わるのが



わかるらしい。



そうなってから、ゆっくりと目を開ければ、もうそこに霊の姿は



居なくなっているらしい。



普通ならば・・・・。



そして、これは俺の友人が体験した話である。



その時、彼はとある無人駅に来ていた。



廃墟マニアであり、鉄道オタクでもある彼にとって無人駅はまさに



聖地だった。



しかし、彼は知らなかった。



その無人駅が知る人ぞ知る有名な心霊スポットだということを。



彼はあえて夕方の時刻を選んでその無人駅にやって来た。



アンティークな雰囲気が好きな彼は写真にもそういうイメージを



求めてしまうのだという。



古い改札、そして古い駅舎、そういうものを懐かしい雰囲気で撮るのなら



やはり夕暮れ時しかないと、彼は考えたのだ。



しかも、色々と好きな場所で三脚を使用して撮影が出来る。



誰にも邪魔されずに・・・。



そのうちに、彼はまさに、その無人駅が自分が所有しているものだという



錯覚さえ覚えてしまう。



それから、どれ位の時間、写真を撮り続けていただろうか。



彼は何かが足りないという妙な不安を感じた。



それは、列車が一度も通り過ぎないということだった。



確かに、その駅は無人駅となり、そして廃駅となった。



しかし、車で2分も走れば、同じ名前の新しい駅が建っている。



そもそも廃線した訳ではないから、列車が1本も通らないのは



不自然過ぎた。



何より、彼はその廃駅を通り過ぎる列車の姿もカメラに収めたい



と思っていたのだからその不自然さにはすぐに気が付いた。



一体どうなってるんだ?



だから、彼は線路のギリギリの場所に立って、列車がやって来ないものか、と



線路の先を見つめた。



しかし、列車が来る気配は無かった。



それでも諦め切れない彼は、ホームに在る古く朽ち果てたベンチに



座って列車がやって来るのを待つことにした。



風がとても気持ちよく彼はいつしかウトウトしてしまう。



寝ては駄目だ、と自分に言い聞かせるのだが睡魔はいっこうに収まらず



やがて彼はベンチに座ったまま寝てしまったという。



それから、どれ位の時間が経過したのだろうか。



彼はハッと目を覚ました。



すると、無人駅のはずなのに周囲はザワザワとしている。



しかも、列車がホームに停まっているかのように、まるで通勤の



ラッシュ時のような慌しさを感じる。



彼はゆっくりと顔を上げた。



すると、そこには真っ黒な電車が停まっており、その窓からは沢山の



視線が彼の方を見つめていた。



彼は、この辺りで走っている列車の形や色は全て把握していたが、



今、目の前に停車している古くて真っ黒な車体は見たことが無かった。



それに、どうやら列車からホームに降りている人は誰もいないようで



列視野の窓からこちらを覗く人達の様子もどこか古い時代の



人達に見えた。



その時、彼は視界の端っこに何かが立っているのを感じた。



だが、彼はすぐに顔をそちらに向けようとはしなかった。



自分の中の何かが、そっちを向いてはいけないと警鐘を鳴らしていたから。



だから、彼は、目だけを動かして、右隣の視界に入っている何かを



確認しようとした。



声が出そうになった。



そこには、駅のホームには完全に場違いなドレスを身にまとった女が



立っていた。



黒と真紅のドレスは、とても不気味に見えた。



そして、それよりもねその女の姿は彼に見えている部分だけでも



かなり異様だった。



服から出ている後や手は明らかに緑色をして腐乱している。



人間ではない・・・・・。



彼は一気に恐怖で固まってしまう。



その時、彼の耳に、声が聞こえた。



乗りますか?・・・・乗りませんか?



その声は明らかに女性の声ではあったが、力の無い震えた声であり、



それでいて、はっきりと耳に伝わってくるという異質の物だった。



その時、彼は、その質問には答えてはいけないのだと何故か思ったという。



どちらを答えても、きっと・・・・・。



だから、彼は必死に目をつぶり体に力を入れた。



自分自身を石だと思い込むようにして何とかその場を乗り切ろうとした。



すると、相変わらず、



乗りますか?・・・・・乗りませんか?



という声が聞こえ続けていた。



しかも、その声は次第に近づいてきて、ついには彼の耳元で聞こえる



様になってしまう。



鼻からは、何ともいえない異臭が入ってきたが、彼は必死に我慢した。



それからは、ずっと耳元で、



乗りますか?乗りませんか?



と聞こえていたが、彼が必死に固まったまま耐えていると、次第にその声は



遠ざかっていき、その後、その声はおろか、駅のホームの雑踏さえも聞こえなくなった。



駅は、それまでの沈黙を取り戻していた。



彼は、早くこの場から逃げようと、急いで目を開けた。



心臓が止まるかと思った。



そこには、彼の目の前に、緑色の顔をした女がおり、彼の顔を覗き込むように



笑っていた。



そして、駅のホームに停まっていた黒い列車も乗客たちもそのまま其処にいた。



彼は、一気に立ち上がり、そのまま走って駅を飛び出した。



途中、何度も転んだが、そんな事を気にしている余裕は無かった。



その後、彼は無事に帰宅できたのだが、その時見た女の顔は今も



絶対に忘れられないという。



そして、その話をAさんにしてやった。



目を閉じていれば大丈夫なんじゃないの?と。



すると、Aさんは、少し笑いながら、



何処の世界にもそういう変わり者は居ますから。



でも、人間と一緒で、そういうモノは、どうせ大した奴では



ありませんから、何も出来ませんよ。



まあ、驚かせて楽しむ愉快犯・・・・みたいなもんですから。



そう言っていた。


ただ、俺はいつも思っている。


きっと、Aさんが幽霊になったら相当、変わり者の幽霊に


なるのだろうと・・・・。


そう驚かせて楽しむ愉快犯的な・・・・・。





Posted by 細田塗料株式会社 at 22:14│Comments(0)
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