2018年11月09日

テレビ

これは俺の友人が体験した話である。



単身赴任で千葉県に住んでいる彼は、いつも仕事帰りにコンビニ



に寄って弁当とビールを買って帰宅する。



そして、着替えるついでに風呂に入り、湯上りのビールを楽しむ。



最初は一人で飲むビールに味気なさを感じていたらしいが最近では



慣れてきたらしく毎日の楽しみになっている。



とりあえず弁当を食べてから、ビールのするらしいのだが、彼の



飲む量はかなりのもので、いつも深酒をしてしまう。



そして、その日も、彼は弁当の後すぐに生ビールの缶を開けた。



テレビで民法放送を見ながらビールを飲んでいると缶ビール1本



で止めておくつもりが、いつも2本、3本とどんどん飲んでしまう。



仕事で疲れて帰宅して風呂に入りお腹を満たしてからビールを飲む。



そんな状態では、必ずと言って良いほど睡魔が襲ってくる。



しかし、彼はあえて睡魔に抵抗したりはしない。



何故なら、そのウトウトしている時間こそが彼にとっての



至福の時間なのだから。



そして、いつものように彼はそのままソファーで眠ってしまう。



それでも、いつもなら、1時間ほどで目が覚めてベッドに向かう



のだが、その夜は、余程疲れていたのか、彼はずっと眠り続けた。



そして、ふと目が覚めた時、時計の針は午前3時を回っていた。



テレビがついたままの状態で、何も映らない画面が目に入った。



あちゃーっ、またやっちゃったよ…明日も仕事なのに・・・。



そう思ったが、なかなかソファーから起きられない。



だから、しばらくの間、彼は何も映っていない画面をぼんやりと



見つめていた。



すると、突然、画面が変化した。



ただの砂嵐上代だった画面に少しずつ何かが映り込んでいく。



彼は思った。



もしかすると、深夜、電波が混雑していない状態で、他県の番組とか



有料放送の画面が映るのではないか、と。



そして、彼にそう思わせるには十分な変化が画面に現れる。



何やら人らしきものが画面に映り、そしてそれが少しずつ



鮮明になっていく。



凄いな・・・これ。こんな事もあるのか?



そう思いながら彼はぼんやりと画面を見続けていた。



すると、しばらくして画面には一人の女性が映り込んだ。



目を゛ギロリと開いた女性がじっとこちらを見ていた。



何なの?これ?一体何の番組なんだ?



彼はそう思った。



すると、次の瞬間、画面に映っている女性の顔がどんどん腐っていく。



そして、朽ち果てるという表現がピッタリくるように、やがて



その女性は、干乾びたミイラの様になった。



その時、彼は思った。



もしかすると、これは見てはいけない類のものなのかもしれない、と。



彼は慌ててソファーから起き上がると、テレビのリモコンを



押した。



テレビを消す為に・・・・・。



しかし、何故かテレビの電源は落ちなかった。



それどころか、先ほど見た映像が何度も繰り返して流れていた。



何なんだ・・・これ?



彼はそう思うと同時にある殊に気づいた。



それは、部屋の電気が消えているということ。



彼は部屋の電気を点けたまま寝てしまったはずだった。



しかも、その家には彼以外、誰も住んではいない。



それでは一体誰が部屋の電気を消したのか・・・。



すると、テレビの中から、何やら音が聞こえてくる。



それは、まるで鎖を引きずるような音だった。



ジャラ…ジャラ・・・ジャラ・・・ジャラ・・・。



そして、その音は少しずつ大きくなってくる。



彼は、ソファーから立ちあがり恐怖で固まった体で、テレビに



駆け寄り、コンセントを抜いた。



テレビは何とか消えてくれた。



だが、次の瞬間、彼の体は、また固まった。



玄関のインターフォンが鳴ったのだ。



時刻は午前3時を回っており、そんな時間に訪問してくる様な



非常識な友人など、彼には思い当たらなかった。



しかし、間違いなく、ずっとインターフォンは鳴らし続けられていた。



彼はもう頭がおかしくなりそうだった。



そして、酔いは完全に醒めてしまっていた。



彼は、今度は急いで部屋の明かりのスイッチがある場所まで駆け寄ると



すぐに電気のスイッチを入れた。



部屋の明かりが点いてくれた。



すると、玄関のインターフォンもそれと同時に聞こえなくなった。



彼はそれから恐怖で一睡も出来ないまま、朝を迎えた。



いつも通りの明るい朝だった。



だから、彼は、昨夜のことはもしかしたら夢だったのかもしれない、と



自分に言い聞かせた。



そして、睡眠不足のまま、着替えをして会社に向かった。



それからは、昨夜の出来事が嘘のように何も起こらなかった。



しかし、仕事を終えて帰宅すると、またしてもテレビが点いていた。



まるで、つい今しがたまで、その部屋に誰かが居たかのように・・・。



しかし、俺から送ってもらった護符を部屋の四隅に貼ると



それ以来、怪異は全て収まったという。



その時、彼の部屋で起こった事が一体何だったのか、は



今では誰にも分からない。


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:19│Comments(0)
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