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2018年11月09日

その声に応えてはいけない。

その日、彼女は友達数人で、山菜取りに出掛けていた。



いつも来る場所だったので、何処に山菜が在るかも既に



頭の中に入っていた。



ただ、山菜取りというものは、その楽しさ故に、周りが



見えなくなってしまう事もあるらしい。



実は彼女もその時、いつも、その場所へ一緒に山菜取りに来る



友人達と色んな世間話や身内の話などをしながら、のんびりと



山菜を採っていた。



しかし、山菜が採れ始めると、友人たちとの会話も無くなり、



黙々と山菜を採り続けていた。



そして、気が付いた時には周りには友人たちの気配は無く、



呼びかけたりもしたらしいが、全く反応が無かった。



ただ、その場所はいつも来る場所だったので、彼女も特に



不安は感じず、それからも黙々と山菜を採り続ける。



そして、それから1時間ほど経った頃。



空がにわかに曇り、突然どしゃ降りの雨になる。



しかも、雷は轟音を轟かせ、辺りは一気に暗くなってしまう。



彼女は最初、大きな木を見つけ、そこに身を寄せて雨雲が



通り過ぎるのを待つつもりだった。



しかし、雷も雨もどんどん酷くなっていく。



雷が苦手な彼女はその時、必死になって辺りを見回し、何処か



避難出来る場所を探した。



すると、前方100メートル位の場所に、小さな小屋を見つけた。



こんな酷い雨だから、きっと友人たちも、あの小屋に避難している筈・・・。



そう思った彼女は一気に、その小屋めがけて走り出した。



雨は相変わらず強く降っており、彼女はずぶ濡れになったが、何とか



小屋の前まで来ると、勢い良く木の扉を開けた。



こんにちは~・・・・誰か居ますか~?



しかし、その小屋の中には友人たちはおろか、誰も居ない。



そして、そこがかつて炭焼き小屋として使われていた小屋である事が



わかった。



相変わらず、雨が窓を叩きつけ、雷が鳴っている。



そして、窓から彼女が外を見ていた時、一瞬の雷の光の中に人の姿が



浮かび上がった。



きっと、友人たちに違いない・・・。



彼女は、窓に張り付くようにして、外に向かって手を振った。



こっちだよ・・・はやく・・・はや・・・・・。



そして、その途中で彼女は固まった。



今、窓の外を、自分が居る小屋を目指して歩いてくるのは明らかに



友人たちではなかった。



それは、まるで雨の中だというのに、走ることもせず、ただ滑る



様にしてこちらへと近づいてくる。



更にその姿は、皆、真っ黒な着物を着て、髪の毛は無かったし、



何より着物から出た首の部分が皆、異様に長かった。



しかも、全部で7人が列をなしている。



人間ではない・・・・。



彼女の脳裏に浮かんだのはそんな言葉だった。



そして、恐怖で固まっていた自分を何とか、現実に戻すと、



急いで逃げ場所を探した。



しかし、小屋には出入り口は、一箇所しかなかった。



そこで、彼女は何処か隠れる場所を探す。



すると、炭焼き時に、仮眠用として利用していた様な



古い木製のベンチを見つけた。



彼女は、そこら辺に落ちていた毛布を拾うと急いでそのベンチの下



へと潜り込み、毛布を頭から被った。



それと同時に小屋のドアが開く音がした。



それからしばらく無音状態が続いたが、それから10秒ほどすると



バタン、とドアが閉まる音がした。



入ってきたモノの足音は聞こえなかったが、それはきっと滑るように



移動しているから。



そう考えると恐怖で震えが止まらなかった。



ドアが閉められてから、ずっと無音状態が続いていた。



しかし、彼女には分かっていた。



きっと自分を探しているのだということが。



だから、根競べだと思った。



もしも、見つかったら・・・・。



そう思うと気が気でなかったが、どうやらベンチの下に隠れている



彼女には何故か気付いていない様だった。



隠れる場所は此処しかないのはすぐに分かると思うのにどうして?



それとも、本当は私の事を探しているのではないのかもしれない・・・。



彼女はそっと毛布をすかして小屋の中を見た。



思わず息が止まった。



そこには、まるで長い首を探知機のようし使い何かを探している



モノ達が居た。



間近で見るとその異様さは凄まじかった。



顔の部分には大きな腫れ物があって目どころか口すら見えない。



それでいて、何かを必死に探している姿は、例えるものが無いほど



不気味だった。



その時、その中の1人の顔がベンチの下に居る彼女のすぐ側まで



伸びてきた。



彼女の顔との距離は、30センチも無かった。



ほんの少しでも音を立ててしまったら終わりだ・・・。



彼女はそう思って必死に息を止めて体を硬直させた。



すると、その顔はやがて遠ざかっていき、再び無音状態になった。



そいつらが耳を済ませて自分の居場所を探っている・・・。



そんな気がして生きた心地はいなかった。



と、その時、小屋の外から声が聞こえた。



○○~・・・ここに居るの?探しに来たよ~



その声は間違いなく友人たちの声だった。



そして、その声を聞いたモノ達がドアを開け、しばらくして再び



ドアが閉まった。



あいつらは出て行った・・・・。



助かったんだ・・・。



彼女はそう確信した。



そして、ベンチの下から飛び出すと、一気にドアのほうへと走る。



すると、ドアの向こうからは



やっばり此処にいたんだ・・・。



もう雨もあがってるよ・・・。



助けに来たから、ここを開けて・・・。



そういう友達の声に彼女は急いでドアを開けた。



心臓が止まるかと思ったという。



そこには、顔中が腫れ物で覆われた黒い着物の女達が、7人、



彼女の前に立っていた。



雨はまだ酷く降っており、彼女の顔には恐怖と絶望だけが



映し出されていた。



そして、それを見た7人が、一瞬、笑ったように見えた瞬間、



彼女はその場で意識を失った。



彼女は、その後、病院で目覚めた。



顔中に包帯が巻かれており、心配そうに見つめる家族や医師の顔から、



自分の状態が酷い事を悟った。



結局、彼女は近くの池に顔を突っ込むようにして倒れている所を



通りかかった農家の方に助けられたという。



そして、体中に、ベトベトした黒い液体が付いており、それを洗い流すと



その場所は酷く爛れていた。



そして、彼女の入院を知った友人たちが病院に駆けつけてくれたが、



その日、彼女と一緒に山菜取りに行った者は誰もいなかったという。



彼女はその後、3ヶ月ほどで退院したが、その後も顔の爛れは治らず、



更に、皮膚が炭化していくという状態の様であり、社会復帰は



成されていない。



一体、彼女は誰と山菜取りに行ってしまったのだろうか・・・・。


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:20│Comments(0)
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