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2018年11月09日

エレベータに乗ってくる女

友人はある時、とある会社に打ち合わせに行き、エレベータに



乗った。



ちょうどその時間は誰もエレベータを使う者がいなかったらしく、



どこの階数ボタンも点かないままエレベータは昇って行った。



そこで、かなり急いでいた事もあり、彼はエレベータのドアの前に立ち、



資料が入った封筒を整理していたという。



すると、急にエレベータが止まる感覚があり、ドアが開いた。



しかし、彼はその時、そんな事も気づかないほど資料の整理に



集中していた。



すると、突然、



すみません・・・・。



という声が聞こえたので、彼は思わず顔をあげると、そこには



エレベータに乗り込もうとしている女性が立っていた。



そして、彼は気が付いた。



その女性は、自分がドアの前に立っている為に邪魔になってしまい、



中へ入れないのだと。



だから、彼は、



あっ、すみません!



と声を出して後ろに跳び退いた。



その女性は、くすっと笑うとそのままエレベータに乗り込んだ。



しかし、広報へ飛び退いた彼はしばらく呆然とその女性の後姿



に見惚れていた。



とにかく、綺麗な女性で、スーツを着ているその姿は後ろから見ていても



とてもスタイルが良かった。



この会社にはこんなに綺麗な女性がいるんだ・・・・。



覚えておこう・・・・。



その時は彼はそう思った。



しかし、それから数日後、彼は日曜日にデパートに出かけた際、偶然、



その女性と再会してしまう。



その女性の方が先に気付き、彼に挨拶してくれたのだという。



しかし、それが怪異の始まりだった。



それから、彼はどんな所に出掛けても、エレベータを使うと必ず



その女性の姿を目撃するようになる。



他の会社、友人のマンション、更に、飲み会時の深夜の雑居ビル。



そして、出張先のビジネスホテル。



そのどれも、エレベータに乗ると必ずその女性は後からエレベータに



乗り込んできて軽く会釈してきた。



しかも、最初に会った時といつも同じ服装だった。



それでも何故か、彼が住むマンションのエレベータにだけは



その女性が現れることは無かった。



しかし、彼の頭の中では既にこんな答えが出ていた。



その女性は人間ではない・・・・と。



だから、彼はそれからはなるべくエレベータは使用せず、階段を



利用するようになる。



ただ、5階以上の建物になるとさすがに階段という訳にもいかず、



その際は、必ずエレベータの前で誰かが来るのを待って、その人と



一緒にエレベータに乗り、そして、同じ階で降りるようにした。



そうすると、やはりその女性は彼が乗った次の階で必ずエレベータに



乗り込んでくるのだが、それでも他の客が居るせいか、彼に会釈を



するような事は無かったから・・・・。



そんな生活を続けていた彼だが、やはり自宅マンションのエレベータにだけは



その女性が現れないという事が唯一の救いになっていた。



しかし、ある日、彼が仕事で疲れて帰宅し、マンションのエレベータを



利用すると、あろうことか、その女性が乗り込んできた。



その時、彼は、自分の部屋が在る階で降りたら、もしかすると、その女性が



追いてくるのではないか、と思い、わざと最上階まで乗ることにした。



彼は恐怖で固まってしまったが、それでも平静を装ってエレベータから



降りる際、その女性がうつむいたまま、小さく呟いた。



私・・・・避けられてますか?



彼は無言のままエレベータから降りると、急いで廊下を走り、階段を



駆け下りて自分の部屋へと逃げ込んだ。



そして、俺に相談してきた。



女の霊に付きまとわれて困ってるから助けてくれ!と。



そして、俺はいつも通り、Aさんに連絡した。



そして、面倒くさそうに現れたAさんは、彼と彼のマンションを見るなり



こう言った。



別に、その女性が、貴方に憑りついているとか、マンションに憑りついている



様子はありませんけどね・・・。



それで、困ってるって、どんな風に困ってるんですか?



具体的に何かされたとか?



そう言うと、友人は首を横に振った。そして、



別に何かをされた訳ではないんですけどね。



ただ、どう考えてもその女性は人間ではないような気がして。



そう思うだけでやはり怖くて・・・・。



でも、やはり人間ではないんでしょ?



そうAさんに聞き返した。



すると、Aさんは、



まあ、そうですね。



人間・・・ではありませんけどね。



でも、どうやらその女性は貴方に好意を抱いている様ですけどね。



そして、貴方の乗るエレベータに乗ってくるのは、貴方の近くに



居たいというのは勿論ですが、それよりも貴方を護りたいという



思いが強いみたいですね。



そして、悲しい事に、その女性はある事情があってエレベータの中でしか、



存在し得ない、つまりエレベータからは外へ行けないんです。



それでも、怖いですか?



貴方の事を好きになってくれて、そして護りたいと思ってくれていても?



少なくとも私なら感謝しますけどね。



だって、生きている人間の方が余程、怖くて意味不明の人が多いですから。



だから、私は今回は何もする気はありませんよ。



そんなピュアな気持ちを持った霊を浄化するなんて、



考えられませんから・・・。



そう言って、さっさと帰っていった。



その時、しばらくの間、彼は難しい顔をしていたが、その後、どうやら



彼の気持ちにも変化が現れたようだ。



そして、現在では、彼は率先してエレベータを使っている。



そして、その女性が乗り込んでくると、元気に



おはようございます!とかこんにちは!と挨拶をしているそうだ。



すると、最近では、その女性も照れたように、挨拶を返してくれるという。



そして、俺が、



おいおい、どういう心境の変化だ?と聞くと、



だって、やっぱりよく見ると、彼女凄く綺麗でさ・・・。



それに、好意を持ってくれてるんだと思ったら急に怖くなくなったんだ。



だから、今は彼女と会えるのが、楽しみになってるよ!



と少し照れたように話してくれた。



そして、その話をAさんに伝えると、



まあ、良かったんじゃないですか?



と満足そうに少しだけ笑った。


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:27│Comments(0)
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