2018年11月09日

夜の動物園

これは県外で動物園勤務をしている知人男性から



聞いた話である。



動物園の仕事というのは、かなり大変なものらしい。



動物に餌をやったりしているだけかと思っていたが、動物が外に出ている



時には、寝床を掃除し、寝床に寝ている時には、檻の内側を全て



掃除する。



しかも、それが獰猛な肉食獣になると、まさに命がけの仕事だ。



更に、最近では動物を輸入するのではなく、動物園内で繁殖させる



という流れに変わってきているそうで、動物の繁殖の手伝い、そして



出産の際には、泊まり込みでの作業になるのだという。



更に、それだけではなく、動物の研究も同時に行わなければいけない



というのだから、本当に恐れ入ってしまう。



そして、夜のの動物園というのは、とても賑やからしい。



基本的に肉食獣は、夜行性のものが多く、夜を通して吼えたり



時には暴れたりもするらしい。



昼間では絶対に見られないような光景が見られる。



それは、ある意味、動物園の職員の特権なのかもしれないが、さすがに



夜の肉食獣はとても恐ろしく、暗闇の中で目だけがギラギラと



光っており、恐怖さえ感じる時もあるという。



そして、1年に数回の頻度で、夜の動物園が、とても静かになる日が



あるのだという。



そんな時には、必要以外は、職員も見回りをしないそうだ。



それは見てはいけないものを見てしまうから・・・・・。



彼もそんな夜に先輩と二人で動物園内を見回りした事があるのだという。



そして、その時の動物たちは、何故か不自然すぎるくらいに静かだった。



まるで、何かに怯えているかのように・・・・。



そして、見回っていると真っ暗闇の中で、誰かが檻の前に立っているのが



見えたらしい。



そして、彼らが近づいていっても、全く動こうとしないのを見て、彼は



その人影に声を掛けようとしたらしい。



すると、先輩から、厳しくたしなめられたのだという。



そして、そのまま動物園の中を見回っていると、先程の檻の前だけでなく、



他の檻の前にも、人影が見えた。



彼は先程、先輩から厳しく言われていたのであえて気付かないフリを



したいたらしいが、彼らが近づき、そしてすぐ近くを通り過ぎる時にも



その人影はまったく動じていないように、檻の中の動物を見続けていた。



その影は明らかに人間のものであり、男性や子供、カップルと



様々だったが、どれも微動だにせずに、じっと動物を見つめている姿が



とても異様だったという。



そして、通常なら、閉園後の夜間、見知らぬ人間を見たら、飛びかかりそうに



唸り声を上げる肉食獣達も、皆、明らかに怯え、その姿を隠していた。



そして、彼は事務所に戻ると、先輩に食って掛かったそうである。



どうして、不法侵入者を野放しにしておくのか、と。



すると、先輩は、やれやれといった感じでこんな話をしてくれたという。



動物園にも、年に数回、人ではないモノが動物を見に来る事があるのだという。



何の目的で動物たちを見に来るのかは分からないが・・・。



そして、そんな時には、きっと人間ではない別のモノだということが



判るのか、動物たちは皆、怯えたようになってしまう。



霊を信じようが信じまいが、檻の前にいるのが人間ではないというのは



事実なんだと。



だから、俺たちが出来ることは、その邪魔をせず、気付かないフリを



する事だけだ。



そして、過去に、檻の前の人影に声を掛けてしまった職員がいるらしいのだが、



結局、その職員は、朝になって気が狂った状態で発見されたのだという。



それを聞いて彼は、本当にそうなのか?と完全には信用出来なかったそうだ。



しかし、交代で仮眠をとった際、電気を消してから、ふと気になって



窓の外を見てしまったらしい。



すると、窓の外には、沢山の人間らしきものが、じっと立って、彼が居る



管理棟を見つめていたらしい。



それらは、とても薄着をしているか、もしくは裸の状態であり、



明かりの下で浮かび上がったその姿は、全く生気が感じられないものであり、



到底、生きている人間には見えなかったという。



そして、その時、先程、上司から聞いたことを思い出し、何も気付いていないように



静かに窓から離れ、ベッドで頭から布団を被って震えていたそうだが、



しばらくの間、窓の近くからザワザワした声が聞こえていたらしいが、



そのうちに、その声は徐々に遠ざかっていったという。



ただ、もしも、あの時、あいつらに気付いたのを悟られていたら、



どうなっていたのか、を考えると恐ろしくなるのだという。



そして、最後にこう言っていた。



よく、夏の時期に、親子向けの企画で、夜の動物園を観られるというのが



あると思うんですけど・・・。



出来れば行かない方が良いですよ。



もしかしたら、あいつらに出会ってしまうかもしれませんから・・・。



彼が真面目な顔でそう言ったのがとても印象に残っている。


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:28│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

count