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2018年11月09日

見ただけで人を殺せるモノ・後

俺は、持ってきた経本を開き、サングラスをしっかりとかけ直す。



その瞬間、部屋の襖がスーッと音も無く開いた。



そして、そこには見たことも無い程のおどろおどろしい姿をした



女が立っていた。



ボロボロの布切れを身にまとい、骨と皮だろけになったその顔で



目だけが妙にギラギラと輝いている。



髪はほとんど抜け落ち、アンバランスなほど長い手足がその異様さに



拍車をかけている。



そして、更に異様だったのは、口が耳元まで裂けていたこと・・・・。



まさに化け物・・・・。



そんな表現しか浮かばなかった。



そして、



これが彼女をここまで追い詰めた怨霊なのか・・・。



見ただけで人を殺してしまうほどの・・・。



俺は思わず身震いした。



が、俺はたった今、確かにその女の姿を自分の目で見てしまった。



しかし、俺はまだ生きていた。



これはどういうことなのか?



サングラスが効いたとでもいうのか?



そして、その事は、その怨霊自体も驚いたのか、少しずつ俺に近づいてくる。



そして、その顔を俺の顔へと近づけてくる。



確かに気持ちの悪い顔であり、気を失うことはあるかもしれない。



しかし、どうしても、その顔を見たからと言ってそれだけで死んでしまう



とは思えなかった。



だから、俺は思った。



もしかしたら、怨霊に俺の姿が見られたら死んでしまうのか?と。



しかし、それも、先ほどからずっとこの女に俺は睨みつけられている。



だとしたら・・・・。



しかし、ただ呆然としている俺の様子が気に入らなかったのか、その女は



大きな口を開け、俺を威嚇してきた。



もう経本を読む余裕など無かった。



彼女も必死になってお経を唱え続けるが、全く効果は無いようだ。



やはり、無理を言ってでもAさんに頼むべきだったのかも・・・。



そんな事をぼんやりと考えていた。



すると、廊下の方から、笑い声が近づいてくるのが分かった。



可笑しくて仕方ないといって感じの笑い声。



俺は新手の悪霊でも現れたのか、と更なる絶望に突き落とされた。



そして、次の瞬間、



勘違いしないでくださいよ。



その女を見ても何も起こらないのは、サングラスのお陰では



ありませんからね。



いつも、言ってるでしょ?



Kさんには「豚に真珠」状態の強力な守護霊が付いてるって・・・。



それは間違いなくAさんの声だった。



俺はハッとして廊下の方を見た。



すると、襖にもたれ掛かるようにして、面倒くさそうな顔のAさんが



現れた。



そして、その横には、しっかりと姫もおり、いつものように空気を読まない



礼儀正しさで深々とお辞儀していた。



どうして?Aさん、地主の依頼、断ったんじゃないの?



と聞く俺に、



別に地主の為にここに来た訳じゃないですから・・・。



そもそも、あんな奴ら、護ってやる気にもなりませんから・・・。



ただ、その彼女がこのままじゃ余りにも不憫すぎますから・・・。



そう返してきた。



だから、俺は、



だって、普通なら絶対に対峙せずに逃げるって言ってたじゃない?



と聞くと、



ええ・・・普通なら。



でも、残念ですけど、私も姫ちゃんも普通ではないので・・・。



だからドライブがてら、来てみただけですから・・・。



そう言うと、Aさんは、その怨霊の方へと体を向けた。



そして、スタスタと歩いて、その女の方へと歩いていく。



そして、その女の顔のすぐ近くまで行くと、



ほら・・・見ただけで殺せるんでしょ?



殺してみなさいよ!



その時、その女が少し後ずさりした様に見えた。



すると、



どう?殺せないでしょ?



私たち、普通じゃないからね。



見ただけで人を殺す、とか、どんだけ弱い人間を相手にしてるんだって!



そこの雑用係り1人も殺せないんじゃ、笑うしかないよね。



言っておくけど、私たち方が、あんたなんかより、ずっと格上だから。



それが二人も揃ってあんたの相手してあげようって言うんだから、



感謝しなさいよ。



私たち、雑魚が相手でも手は抜かないから・・・・。



呪い呪いって、酷い事されたのは分かるよ。



だから、呪うな、とは言わないよ。



でも、呪うなら、酷い事をした本人だけにしときなさい。



それが、末代までとかになるから、こんなにややこしくなるの。



わかる?



どうせ、酷い事をした、あの地主一族も無様に滅びていくでしょうね。



だから、黙ってそれを待ってれば良いんだよ。



わかる?



呪うなら、先ず、自分の弱さを呪いなさいな!



と言い放った。



そして、



でも、ここまでやってしまったらもう悔い改めても遅いけどね。



全力でかかってきなさい。



一瞬で消してあげるから・・・。



そう言うと、姫とAさんは、両手を広げて怨霊に向けてかざす。



白い光と青い光が部屋中に広がっていき、怨霊を包み込む。



そして、一瞬で決着が付いた。



怨霊はその光に飲み込まれていくように、薄くなり最後に奇妙な叫び声を



あげると、そのまま消えていった。



俺は呆気に取られてしまった。



彼女の能力も凄いと思っていたのだが、Aさんと姫のそれは明らかに



桁が違っていたのだから・・・。



もうそこには呪われた空間は存在してはいなかった。



ご苦労様です!



とニコニコしながら、俺にお辞儀している姫を横目で見ながら



Aさんは、布団の上で



驚いた顔をしている彼女に駆け寄った。



そして、こう言った。



呪いの元凶は全て消しましたからもう心配要りませんよ。



そして、もう、くだらないものを護る義務は無くなったから・・・。



だから、これからは自分の為だけに生きてくださいね。



そう言うと、愛おしそうに彼女を抱きしめた。



そして、それから彼女をしないの病院まで運んでいき、俺たちは



帰路に着いた。



その後、大地主の一族が改めて、Aさんの元を訪れて、



これから我が一族を護って欲しい!



と大金を積まれたそうだが、元々金持ちの家系であるAさんには



金への執着などあるはずもなく、



ふざけなさんな・・・。



金さえあれば何とでもなると思ってる。



あんた達って、私が一番嫌いな人種なのよね。



これからは自分たちの不幸ぐらい自分たちだけで何とかしなさい!



それに、他の人を犠牲にして成した金なんてびた一文貰いたくないから!



と二つ返事で断ったそうである。



そして、片耳と両目を失った彼女はその後、無事に優しい男性と結婚し、静かで



穏やかな生活を送っている。



これから、彼女が護るのは大切な家族に他ならない。


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:32│Comments(0)
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