› 看板・サインスタッフブログ | 細田塗料株式会社 › 保険屋さんから聞いた話

2018年11月09日

保険屋さんから聞いた話

これは保険屋を営む知人から聞いた話である。



彼が取り扱う保険は大手損害保険会社の自動車保険がメインだ。



それまでに数多の事故に接してきた彼だが、その中にはとても



奇妙な案件も沢山あったという。



そして、これはその中のひとつだ。



ある日、彼の顧客である男性が事故を起こした。



かなり大きな事故であり、相手の車に乗っていた男性は即死だったらしい。



国道で赤信号で停止していた顧客男性の乗る大型のピックアップトラックの



背面にノーブレーキで突っ込んだという事故であり、トラックの背面に



突き刺さるようにして運転席がめり込んでしまっており、相手の車は



原型を留めていなかったという。



いわゆる、全身を強く打って死亡・・・というものであり、運転手の特定にも



それなりに時間を要する程だった。



それに対して顧客男性はムチ打ちになっただけで命に別状は無かった。



警察の調べでは、事故当時、死亡した男性はシートベルトもしておらず、



ノーブレーキでトラックの後部に突っ込んでいった事、そして、



多額の借金を抱えていた事などを考慮して、自殺と判断された。



当然、停止していた顧客男性に非は無く、それこそ10対0の過失割合で



話が進んでいた。



しかし、ある日、顧客男性から連絡があり、相手の過失を無くして



全て自分の責任という事にして欲しい、と伝えられた。



理由を聞いたが、はっきりしなかったらしいのだが、保険屋としても



過失が違えば当然、保障金額も違ってくる。



当然、系列の親会社も首を縦に振るはずもなかった。



だから、顧客男性の元を訪れて詳細を聞く事にした。



顧客男性はムチ打ちの為、未だ病院に入院していたが、何とか説得して



話だけでも聞かせてもらう事にした。



彼は、入院している顧客男性に会った時、その変わり様に驚いたという。



ムチ打ちで気分が優れないのは仕方ないとしても、やせ細り目に大きなクマが出来た



顧客男性の姿からはまるで生気が感じられなかった。



そして、何かに怯えるようにキョロキョロと辺りを気にしている男性は、



何度目かの問いかけに、意を決した様に口を開いてくれた。



ずっと死亡した男性に見つめられているんです・・・。



彼は、その言葉の意味が分からず、



は?



と返してしまったらしいが、次に聞いた言葉で、思わず息を呑んだ。



間違いなく死亡した男性です。



ついさっきまで、そのドアの前に立っていたんです。



事故当時の姿のままで・・・・。



そう言われて、彼は聞き返した。



それと、保険の過失割合の変更とはどういう関係があるんですか?と。



すると、顧客男性は言った。



あの事故はお前が悪いんだ・・・・。



そして、あれは自殺ではない・・・。



そうしないと・・・・。



そこまで言うと、顧客男性は、思わずその場で泣き崩れてしまった。



これ以上、聞くのは酷だと判断した彼は、病室を出て、死亡した



男性の家に向かうことにした。



たとえ、加害者だとしても志望した相手のところへ伺うというのは



出来れば避けたかったが、こうなった以上、仕方なかった。



死亡した男性の家に着くと、その家の異様さに驚いてしまう。



言葉は悪いが、こんな所に人が住んでいるのか?と思ってしまうほど



みすぼらしい建物だった。



彼は、事情を話し家にあげてもらうと、仏壇も無く、男性の写真だけが



置かれたテーブルに向かい手を合わせた。



そして、それから亡くなった男性の妻に話を聞き始める。



男性には妻と小学生の子供2人が居ることが分かった。



そして、妻は体が弱くて働けず、男性が必死になって家庭を護っていたが、



ある時、会社をリストラされてしまい、それからは日雇いの仕事で何とか



日々を過ごしていた事が分かった。



そして、一番最後に、妻から彼に対して質問が投げかけられた。



それは事故で、賠償金額は貰えるのか?



という事と、



生命保険はちゃんと貰えるのか?



という2点だった。



生命保険、という言葉を聞いて、彼はその男性がやはり自殺だったのだと確信した。



そして、彼は嘘偽り無く誠心誠意その質問に答えた。



事故の賠償金額に関しては、亡くなった男性が加害者であり、払う事はあっても、



相手から支払われる事は無いと説明し、そのうえで、賠償金額の支払いに関しても



支払い能力が無い場合は相手が諦めて泣き寝入りするしかない、という



説明をし、生命保険に関しては、他の生命保険会社の事だからはっきりと



断言出来ないが、自殺と判断された以上、支払われたとしてもかなり



削られてしまい満額がもらえる事は無いだろう、と説明した。



その時、何かが廊下の方から顔を出したのが分かった。



彼は完全に気が動転してしまった。



なんと、そこに居たのは間違いなく、死亡した男性の姿だったのだから。



着ている服まで全く同じであり、その男性が恐ろしい形相で彼を



睨みつけていた。



その時、男性の妻はその場に泣き崩れおり、その男性の姿を見る事は



無かったが、間違いなく死亡した男性に間違いなかったという。



彼は固まったままその男性から視線を外せずにいたが、しばらくすると、



その男性の姿がスッと消えた。



彼は逃げるようにしてその家から退散したのだという。



そして、後日、正式に病室に伺い、見舞いの品を渡すのと同時に、



顧客男性に対して、保険の過失割合の変更は認められない事を伝えた。



すると、男性は、失望したかのように、ただ黙って、



わかりました・・・。



と小さく答えた。



そして、突然の連絡が入ってきたのは、その翌日だった。



病室で、顧客男性が死亡したという知らせだった。



朝、看護師が病室を訪れると、顧客男性は、恐ろしい形相のまま



死んでいたという事だった。



その時、彼は改めて恐怖したという。



彼は間違いなく志望した男性の姿を見てしまっていた。



そして、顧客男性もその姿を見て、死亡した。



だとしたら、次に死ぬのは自分ではないのか・・・。



そして、それから、彼の予想通りの事が起きる。



仕事をしていても車を運転していても、そして自宅に居ても、彼の視界には



必ず、死亡した男性が現れるようになった。



しかも、事故当時のつぶれた顔のままで・・・・・。



彼は必死になって考えた。



どうすれば助かるのか・・・と。



そして、彼は必死になって親会社に働きかけた。



それは、通常では到底受け入れてもらえない内容だったが、彼の必死さに



根負けした親会社が重い腰を上げた。



そして、結果として、死亡した男性の側に賠償金が支払われ、生命保険からも



満額の死亡給付金が支払われた。



異例中の異例だった。



すると、彼の前にその男性が現れることは無くなったという。



そして、彼は悔やんでいた。



もっと早く自分が動いていれば、顧客男性を死なせずにすんだかもれしない、と。



しかし、保険の世界はもっと不可解でダークな案件が山ほどある。



彼はそう言って深いため息をついていた。




Posted by 細田塗料株式会社 at 22:39│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

count