2018年11月09日

霊能者が恐れる場所

その場所は心霊スポットマニアや霊能力者の間では



それなりに有名な



場所だった。



間違いなく怪異に遭遇出来る場所であるのだが



あまりにもヤバ過ぎて誰も近づこうとしなかった。



その場所は石川県ではなく、関西とだけいっておくが・・・。



それは、一見すると、ただの竹やぶしか見えなかった。



しかし、夕方以降、其処に入った者で無事に出て来れた者は



1人もいなかった。



いや、言葉を変えれば、生きて出てきた者は誰一人としていなかった。



そして、そんな不吉な竹やぶに近くに住む小学生の女の子が入ったきり姿が



見えなくなった。



昼間、友達と遊んでいて、偶然、その竹やぶに入ってしまったという。



警察も色々と捜したが見つからず事件は迷宮化する。



警察も含め誰もがきっと同じことを思ったに違いない。



【神隠し】に遭ったのだと・・・・。



そして、その子供の両親は、子供の捜索を警察に頼むのを止め、いわゆる



霊能者達に頼んでみる。



それこそ、全国津々浦々までアンテナを張り、力のある霊能者を探し求めた。



しかし、どれだけ実績のある霊能者達も、皆口を揃えて同じ事を言った。



あそこだけは無理だ!



あの竹やぶには近づけない・・・と。



しかし、そう言われたからといって子供の親が諦めきれるはずも無く、



1人の霊能者がうっかり口を滑らせてしまったようだ。



Aさん・・・という霊能者なら・・もしかすると・・・・と。



そこで、両親の願いはAさんに向けられる事になった。



最初、その話を別の霊能者から聞いたとき、俺はそれとなくAさんに聞いてみた。



その竹やぶって、そんなに危ないところなの?と。



すると、Aさんは、



ええ、危ないですね。



というか、あそこは既に現世ではなくなってますから・・・。



いつしか悪霊達の住処となってしまって・・・今じゃ完全にあちらの世界ですね。



あそこに入ったらもうお終いでしょうね。



戻っては来れません・・・。



でも、大丈夫ですよ。



近づかなければ良いだけですから・・・。



そう言っていた。



そんなAさんが、その竹やぶに行き、子供を助ける事になった。



俺は、



あんなに危険だって言ってたのに、どうして?



と尋ねたが、Aさんははっきりとは答えない。



話を聞きつけた住職や姫も猛反対した。



特に、姫にいたっては、



どうしても行くんなら私もついていきますから・・・。



と泣いて頼んだが、Aさんから



姫ちゃんがやるべき事は他にあるでしょ?



私の事を心配している暇があったら、そっちを頑張らないと・・。



そう言われて無理やり納得させられてしまった。



そして、Aさんは学校の休みを利用して関西へと出かけていった。



その曰くつきの竹やぶに・・・



誰もが心の中ではこう思っていたのではないだろうか・・・。



Aさんなら、大丈夫に決まってる・・・。



そして、予想に反して、Aさんは、そのまま行方不明になってしまう。



そして、Aさんが消えてから3日ほど経った頃、真夜中に電話が鳴った。



発信者を見るとAさんだった。



俺はおわてて電話に出た。



もしもし、大丈夫なの?



今どこにいるの?



そう聞く俺に、Aさんは、



相変わらず、うるさい人ですね。



大丈夫な訳ないじゃないですか?



でも、心配しないでください。



もうじき、行方不明になった子供さんは無事に帰れるはずです。



まあ、私は少しヘマしちゃって・・・。



でも、さすがですね。



普通は通じるはずが無いのに、Kさんの守護霊のお陰でこうしてKさんと



電話で話せるなんて・・・・。



やっぱり守護霊って大事なんですね・・・。



あっ、それとこれは最後の電話らになると思いますから、これだけは皆に



伝えて欲しくって・・・。



絶対に私を助けに来ないでくれって言っといてください。



犠牲者が増えて、事態をややこしくするだけだからって・・・・。



それに今後は姫ちゃんがいれば、大丈夫ですから。



あの娘、本当に凄いですから・・・。



私なんかより、ずっと・・・。



そう言われた俺は、



ちょっ・・・ちょっと待ってよ!



何か、これでお別れみたいな言い方に聞こえるんだけど?



そう言うと、Aさんは、



ああ・・・たまには頭も使えるんですね・・・。



とにかく察してください。



そして、伝えてくださいね。



絶対に助けに来ては駄目だって!



そう言って電話は切れた。



俺は電話から伝わるAさんの息苦しそうな声に、とてつもない不安を感じた。



そして、翌日、富山の住職の所に行くと、昨晩のAさんからの電話の事を



話した。



すると、



なんかAさんらしいというか・・・・それでどうする?



助けに行くつもりじゃないだろうな?



と言われたので、俺は、



Aさんでも太刀打ちできないほどの曰くつきの場所だしね。



まあ、本来なら助けに行くべきじゃないんだろうけど・・・。



俺に何かの力があるわけでもないしね。



でも、今まで色んな場面で助けてくれたのは間違いなくAさんだからね。



命を懸けてでも助けなきゃ、俺は生きる価値すら無くなってしまいそうだから。



すると、住職は、



まあ、それは俺も同じだからな。



でも、俺とお前が束になってもどうしようもないのは事実だから。



あの竹やぶだけは別次元なんだから。



闇雲に動いても無駄死にするだけ・・・・だな。



だから、よく考えてから行動しなくちゃな・・・。



そう言われて俺は、



勿論だね。



だから、俺はこれから俺が知っている限りの強い力を持った霊能者達に連絡を



取ってみるつもりだよ。



俺と同じようにAさんの事が好きで助けたいと思っている仲間は沢山する筈だから。



そう言うと、住職が、



そう言えば、姫ちゃんの最近の様子、知ってるか?



Aさんに連れて行ってもらえなかった時から、万が一の時に備えて1人で



必死になって修行してるみたいでさ。



あんな基礎的な能力が桁違いに高い娘が必死に修行したとしたら、



それはもう凄い事になってる筈かもな。



Aさんを凌ぐほどに・・・。



やはり、姫ちゃんの力を借りるしかないだろうな・・・・。



でも、時間が無い。



とりあえず、今日は解散して、2人で手分けして人を集める事にしよう。



決行は今度の土曜日。



詳しいことは、また連絡するから・・・。



そう言われて俺はその場を後にした。



そして、その翌日、俺に知らせが届いた。



それは、行方不明になった小学生が路上をフラフラと歩いているところを



発見されたというものだった。



やはり、Aさんの言った通りに・・・・。



そう思った俺だったが、どうやら無事ではなかったようだ。



その姿は小学生の女の子とはとても思えない程、やつれ果て、年老いて見えたという。



しかも、記憶というものが全て消えてしまっており、まるで廃人のようだ、と



いうことだった。



Aさんが身代わりになった結果が、これなのか?



そう思うと、更に怒りが込み上げてくる。



それと同時に、



Aさんほどの人なら、俺と同じようにAさんに助けられたり、力を貸して



貰った恩をしっかり覚えている霊能者もきっといる筈だ!



だから、俺は俺に出来る事。



力のある霊能者達を出来るだけ多く集めないと・・・。



そう強く決意した。



しかし、現実はそうも簡単にいかなかった。



やはり、件の竹やぶというのは、かなりの恐怖をもって霊能者達の心に



刻まれているようで、どの霊能者も、



私達が何人集まっても微塵も力にはなれないと思います。



だから、自宅からAさんが助かるように祈っておきますから!



という具合に断られてしまう。



俺は行き詰ってしまい、富山の住職に相談した。



住職は、少し考え込んでいたが、



それなら俺たちだけでやるしかないな・・・・。



と口にはするのだがやはりその顔は大きく曇っている。



そして、そのまま何の妙案も無く当日を迎える事になった。



当日は住職の車に俺と姫が乗せてもらい関西を目指した。



車の中で姫はウォークマンで音楽を聴きながらじっと目を閉じていた。



聞こえてくる音楽も、今風のテンポの良い曲のようだ。



こんなところを見ていると、全く普通の高校生に見えてしまう。



関西の待ち合わせ場所に指定した駅に着いたのはちょうど正午だった。



もしかした・・・・と思い俺は車を降りて辺りを見渡した。



しかし、そこに霊能者の姿は1人もいなかった。



俺はかなりがっかりして車に戻ろうとした時、突然後ろから肩を叩かれた。



振り返るとスーツ姿の男性が立っていた。



仕事関係の知り合いかな?と思い、必死に思い出そうとしていると、



その男性はニヤッと笑いながら、



霊能力が無いだけじゃなく、記憶力も欠如してるみたいですな・・・。



そう言われて俺はその顔を思い出した。



面と向かって、こんなブラックな言い方をするのはAさんともう1人しか知らない。



そう、その男はAさんが修行した先の師匠だった。



この度はAがまたお手間をおかけしたみたいで・・・・。



そんな感じで話し込んでいると、車の中から住職と姫が降りてきた。



住職は丁寧に挨拶を交わしていたが、姫は珍しく不機嫌な顔になる。



そう姫は、この師匠と呼ばれる男が嫌いなのだ。



理由は簡単で、尊敬するAさんを、更に上から目線で叱るからなのだが。



しかし、その師匠は、姫を見るなり、



いや~凄いよね。この娘さん。



これじゃ、他の霊能者なんか必要ないね。



というよりも、実は私も今日はお手伝いに来たんですが、止めておきましょうかね。



この娘さんがどう対処するのか、見てみたいからね。



それにしても・・・凄過ぎるなぁ~



と呑気な事を言っている。



だから、俺は、



そんな事言わずにお手伝いお願いしますね!



と言うと、



いや、私なんかが手伝っても邪魔になるだけかもしれない。



もしかして、貴方にはあの娘の周りを護っているモノ達が見えてないんですか?



と言われたので、今度は俺が、



ええ、記憶力だけじゃなくて霊能力も欠如してますので!



と返すと、



いや、失敬(笑)



でもね。



こんなの普通じゃ考えられないんだけどね。



守護霊はなんか凄まじいのが付いてるし、私も過去に見た事も無いような



伝説的な怨霊や妖怪まで従えて・・・。



それに、キツネと犬とヘビの親玉みたいなものまで・・・。



あの娘は一体?



そう言われたので俺は、



Aさんの弟子ですかね・・・。



つまり、貴方の孫弟子・・・になるんですよ、と。



すると、Aさんの師匠は



そうなの?



以前会った時は今とは全然違っていたからねぇ。



でも、この娘さんは私の孫弟子ではないな・・・うん。



こんな気を持ってる娘なんて私に教えられるものなんて何も無いし。



根本的に私の気とも違う・・・。



それに、どうやら私はこの娘さんにかなり嫌われているみたいだからねぇ(笑)



そう言ってバツが悪そうにしていると、姫が横から口を挟む。



その通りです。



私はAさんの弟子ではありますけど、その方の弟子ではありません。



Aさんにだけ教えられて、私はここまで来たんですから・・・。



だから、今回も手助けなんて要りません。



私1人でAさんを助けだせるくらいに修行をしてきたつもりですから・・。



その言動はいつもののんびりした姫のものではなかった。



そうとう気合が入っているのが伝わってくる。



早速、全員が車に乗り込み、件の竹やぶを目指す。



カーナビに住所を入力すると、到着時刻は40分後。



しかし、その間、車の中にはどことなく険悪な空気が流れており、俺と



住職も言葉少なに目的地を目指してひた走る。



すると、突然、姫が、



すみません・・・私、少しだけ寝ても良いですか?



到着したら、起こして頂けますか?



そう言うと、すぐにスースー寝息を立てて熟睡してしまった。



それを見た、Aさんの師匠は、



やはり、このお嬢さんとAは、良く似てるのかもしれないね。



Aも、決して弱音も吐かないし、周りに気を遣わせないようにするんだけど、



それが、時として強気の発言になってしまう。



このお嬢さんは、昨夜も一睡もせずに身を清めて気を練っていたんだろうね。



疲れてボロボロの筈なのに、弱音1つ吐かない・・・。



Aの為に、本当にありがたいことだけどね・・・。



ところで、今回、何故Aが、あんなに危ない場所に命がけで行ったのか?



ご存知ですか?



もう知っているとは思いますが、Aには守護霊がいないんです。



それには深い事情があるんですが、その為にAは、辛い思いをしてきました。



だから、守護霊がいないという大変さを身をもって知ってるんです。



そして、今回、行方不明になった女の子。



あの子にも守護霊がいないんですよ。



だから、どうしても助けたかったんでしょうな・・・。



自分の命と引き換えにしてでも・・・。



そう聞かされて、俺は何故Aさんが単身で危険な場所に乗り込んでいったのか、



初めて分かった様な気がした。



そして、車は程なくして現地に到着した。



周りには民家も無く、昼だというのに異様に暗い。



別世界・・・。



そんな言葉がぴったりはまる。



そして、なんと、その場所で夜になるまで待つのだと言われた。



いや、夜になったらもう戻って来れないんじゃないの?



そう聞く俺に、姫は、



ええ・・・危険極まりない場所になります。



でも、夜でないと黄泉への道が開かないんです。



Aさんは、きっと其処にいるはずだから・・。



だから、助け出すのなら夜しかありません・・・。



いつもとは違う厳しい顔でそう話す姫に俺は首を縦に振るしかなかった。



Aさんの師匠を見ると、うんうん、と頷いている。



そして、姫が続けた。



夜になったらもうこの場所は人のものではなくなります。



つまり、下手をするとそのまま現世には戻れなくなります。



だから、もしも、Kさんが嫌なら、今のうちに引き返すしかありませんよ?



そう言われ、俺は一瞬考えてしまったが、それでも必死に首を縦に振る。



そして、そんな俺を見ていたAさんの師匠は、おかしくてしょうがない、と



言った様子で笑いを必死にこらえていた。



それから、俺はぼんやりと車の中でシートを倒して横になっていた。



姫、そして住職、Aさんの師匠は完全に熟睡している。



住職にいたってはイビキまでかいている。



こんな状態で寝られるこいつらって、一体どういう神経をしてるのか?



俺にはまったく理解出来なかった。



それでも、俺は少しはウトウト出来たのかもしれない。



突然、回りの気配が完全に変わってしまった事に気付いた俺は



シートから体を起こした。



辺りは完全に漆黒の闇に包まれていた。



というか、昼間とは全く景色が変わっていた。



周りは完全に何も無い広大な場所であり、その中に例の竹やぶ



だけがぼんやりと浮かびあがっていた。



と、ふと、視線を感じ、そちらを向いた俺の視界に異様な物が映り込む。



それは、明らかに悪霊と分かる不気味な顔の女達。



それが、車の周りを取り囲むように車内を覗き込んでいた。



あわっ・・・・何これ?



俺は慌てて、寝ている3人を起こそうとした。



すると、3人はほぼ同時にむっくりと起き上がる。



そして、窓の外から覗いている者達にまったく動じていないように、



平然としている。



だから、俺は、こう叫んだ!



あの・・・車の周りに変なのがいっぱい・・・。



すると、姫は、何も聞こえなかったように車の外へ出ようとする。



ちよっ・・・危ないって・・・・。



俺がそう言おうとした時、姫は小さく、



邪魔です・・・。



とだけ言うと、車を取り囲んでいた異形のモノ達は一瞬で消えた。



それを見て、Aさんの師匠も思わず、



ほう・・・これは凄いね・・・。



と呟く、



すると、姫はこう言った。



ここからは私1人でやりますから!



危険ですから皆さんは車の中に・・・。



それだけの修行はしてきましたから大丈夫だと思います・・・。



そう言って、男3人を車に残したままドアを閉めた。



そして、暗闇の中を竹やぶへと歩いていく。



すると、Aさんの師匠がおもむろに車から出た。



あの・・・待っていた方が良いのかも・・・。



それに、さっきは何もしなくても大丈夫って言ってましたよね?



と聞くと、



うん・・・攻撃は桁違いだけどね。



でも、防御は、まだ駄目だな・・・。



だから、私は、ひっそりと影からあのお嬢さんを護る事にするよ・・・。



嫌われてるみたいだしね(笑)



それに、あの竹やぶに対して、1人では無理だ・・・。



あのお嬢さんがどれだけ凄くても・・・。



だから、早く連れ戻してみるよ・・・。



二人でなら、きっと大丈夫だから・・・。



そう言って、車のドアを閉めた。



俺は、それを見て、住職の方に視線を移した。



すると、住職は、



私には無理だって・・・。



邪魔になるだけだよ・・・。



そう言いながらも車内から必死に印を結んでいる。



Aさんの師匠は姫の後方30メートルくらいの場所をキープしていた。



そして、姫が竹やぶの前に立ち、大声で叫んだ。



Aさんを返しなさい!



言うとおりにしなければ・・・この竹やぶごと・・・・。



そこまで言った時、何かが一斉に竹やぶの中から飛び出して姫に襲い掛かる。



それは、亡者の群れだった。



しかし、それも一瞬で消えた。



やはり、Aさんの師匠の力も相当なものなのだろう・・・。



それでも、その数はどんどんと増えていき、姫の姿が見えなくなった。



その時、Aさんの師匠が、何かを叫んで両手を竹やぶの方へと向けた。



すると、電磁波のような光が竹やぶを包む。



俺は何が起こっているのか全くわからなかった。



すると、フラフラとAさんの師匠が車の方へと近づいてくる。



そして、車中へ入ると、



ふん!



と声を上げた。



そして、



出来るだけの事はやったから、後は任せるよ。



この車の周りにも結界を張ったから、しばらくは安全だから・・・。



そう言うと、再び、シートに横になった。



きっと、今の一連の動きで気力と体力を使い果たしてしまったんだろう・・・。



しかし、竹やぶに対して放った電磁波の様なものは、どういう意味が



あるのか?



そう考えていた時、その答えがすぐに分かった。



竹やぶの中から何かが歩いて出てきた。



それはボロボロの姿になってはいるが、紛れもなくAさんだった。



フラフラと歩いてくるAさんに、姫が駆け寄る。



良かった~・・・ご無事だったんですね~



私・・・もう・・・心配で・・・・・。



姫がそう言うと、Aさんは



まあ、立ってるのが精一杯だけどね・・・。



でも、駄目でしょ?あれだけ助けに来ちゃいけないって言ってたのに・・・。



そう言いながらAさんは俺を睨んだ。



でも、大丈夫です。



私1人でも何とかなりそうです。



だから、Aさんは、車に戻って休んでてください!



そう言われたAさんは、真面目な顔で姫を見ながら、



1人じゃ無理だよ。



師匠も私を助けるのに力を使い果たしちゃったみたいだし・・・。



あとは、住職と雑用係りだけしかいないんだから・・・。



だから、悔しいけど一旦逃げるよ!



私も力がもう出ないから・・・。



そう言ってAさんは姫を連れて車の方に戻ってきた。



そして、車にに乗り込む際、俺にこう聞いてきた。



あの子はちゃんと助けられたんですよね?



無事な姿で・・・。



だから、俺は正確に答えた。



その女の子は戻っては来たが、全ての記憶を無くし、やつれ果て廃人の



様になっていたということを・・・。



それを聞いたAさんの顔が変わった。



ふざけるな・・・。



と言った声も震えていた。



そして、姫に向かってこう言った。



ごめん。前言撤回。



もう、どうでもいいや・・。



今、ここであいつらをぶっ潰さないと気が治まらなくなった。



だから、手伝ってくれる?と。



すると、姫も、



勿論、私もそのつもりですから。



Aさんと一緒に死ねるのなら本望ですから(笑)



そう言って車から出て行こうとした。



俺は、



大丈夫?気をつけてね?



と温かい言葉をかけた。



すると、Aさんは、冷たい目で、



私がこんなに疲れて酷い状態だというのにKさんは、のうのうと



車の中で見物でもするつもりですか?



私達3人は運命共同体ですよ。



ほら・・・行きますよ!



そう言われ、俺は車の外へ引きずり出される。



俺は、



あの・・・凄く危険なんだよね?



そんなところで俺に何が出来るの?



あの・・・都合の良い時だけ、運命共同体って言われても困るんだけど?



と聞くと、



雑用係りには雑用の仕事があるに決まってるじゃないですか?



大丈夫です。



私達の前に立って、盾になってもらうだけですから・・・。



ただ、立っているだけで良いんですから簡単ですよ!



そう言われた。



だから、俺は、



それって、俺に1人で死ねって言ってるの?



と聞くと、



本当にお馬鹿ですよね。相変わらず。



いつも言ってるでしょ?



Kさんの守護霊は凄いんだって・・・。



それって、私達でも手出し出来ないほどの凄さなんですよ?



まあ、知らないでしょうけどね?



だから、盾になったとしても、Kさんには何も起こりません。



まあ、起こったとしてもちゃんとお墓は建ててあげますから



自信を持ってどーんと構えててくださいよ!



そう言われた。



いつもなら、猛烈に抗議するところだが、何故かその時は、



いつもの強気で生意気なAさんに戻っていたことがとても



心強く感じたから、俺はそのままAさんの指示に従った。



俺を先頭に、竹やぶに向かう。



そして、ハイ、止まって、というAさんの声が聞こえ、俺はその場に



停止した。



後ろを振り返ると、Aさんと姫は俺よりもかなり後方にいる。



ちょっと、離れすぎじゃないの?



と俺が言うと、



本当に文句の多い人ですね。



大丈夫だって言ったんだから信じてくださいね。



私はたまにしか嘘はつきませんから・・・。



そう言われて逆に不安になった。



すると、Aさんが前方の竹やぶに向かって大声を出した。



あの子は無事に返す約束だったのに・・・。



あんた達みたいな腐った悪霊には、守護霊の居ない辛さが判らないんだ。



霊的に孤独で生きていかなければいけない辛さが!



でも、もうわかったよ。



頼みごとも説明も意味が無いって分かったから・・・。



あの子は私が救ってみせる。



両親のためにも、そして私自身の為にも・・・。



あんた達、全てをぶっ潰してあの子を取り戻すことに決めたから・・。



何処からでもかかってきなさい・・。



完膚なきまでに消してあげる!



そう叫んだ。



Aさんの心の叫びはとても理解できるのだが、何処からでもかかって来い、



というのは、その攻撃が全て俺に集中するということではないのか?



そして、竹やぶの中から、ようやくボスキャラと呼べるような悪霊達



が這い出してくる。



その姿は悪霊とか怨霊というよりも、悪魔というものにとても



姿が似ている様に見えた。



それにしても、凄まじい数だった。



こんな中にAさんは囚われ力を吸い取られていたのか、と思うと、



さすがにゾッとしてしまった。



はい。Kさん、来ますよ。



備えてくださいね!



そう言われたが、いつ、何が、どんな風に襲ってくるのかを教えて



くれなければ備えようが無い。



しかし、それは俺の無用の心配だった。



その時のAさんは、いつもとは全く違っていた。



いつもは、両手に付けているリストバンドを外すと、Aさんの体は



とてつもなく大きな白い光に包まれる。



それは、既に戦闘モードに入り、力を全開にしていた姫の青い光を



完全に凌駕していた。



こうなったら、もう後戻りできないから・・・。



全開中の全開だよ!



そう言うと、Aさんと姫は両手を竹やぶの方へと向けた。



俺は危険を感じ、咄嗟に地面に伏せた。



そして、俺の背中を凄まじい風が通り過ぎたと思った瞬間、目の前にあった



竹やぶが一瞬で消滅した。



そして、その光は何かを包み込んだまま、天空へと昇っていき、



やがて見えなくなった。



お見事・・・・さすが姫ちゃんだね・・・。



そう言うと、姫は、



やっぱりAさんって凄すぎます!



私ももっと頑張らないと!



と、そんな会話をしている二人に俺が口を挟む。



あの・・・・あんなに凄い光りって初めて見たんだけど・・・・。



あのさ・・・もしも、俺が咄嗟に伏せていなかったら、俺ってもしかして、



あの光に悪霊達と一緒に連れて行かれてたんじゃないの?



と不審そうに尋ねると、Aさんは、



まあ、絶対に伏せて避けてくれるって思ってましたから・・・。



でも、無事だったんだから、良いじゃないですか・・・。



と言うと、姫が



Kさん、反射神経が良いんですね~



私、尊敬しちゃいます・・・。



と呑気に言われて、体から力が抜けてしまった。



辺りはもう普通の夜に戻っていた。



妖しい気配はもう感じなかった。



はい。お終いです・・・。



そう言い終ると、Aさんは、その場に崩れ落ちた。



後はお任せしますね・・・。



そう言い残して・・・。



俺は、Aさんが死んだのではないか、と心配したが、そのまま病院に



入院したAさんは、食事が不味いという理由で翌日には勝手に



退院してきた。



そして、呼び出された俺は当然のごとく、いわれの無い食事を奢らされ



大金を失うことになった。



ちなみに、竹やぶから助け出され、廃人のようになっていた女の子も



突然、以前のように元気な姿に戻り、今では以前にも増して



元気に暮らしているという事だ。



今回の事で、俺は守護霊という物にに着いて、いろいろと考えさせられた。



そして、どうしてAさんには守護霊がいないのか・・・。



そして、守護霊がいないという事は、具体的にどういうことなのか、と



いうことを。



いずれ、この場所で書くことが出来れば、と思っている。


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:59│Comments(0)
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