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2018年11月09日

毎夜、やって来るモノ・後

そこには、ニコニコと笑う若い僧侶が立っていた。



大丈夫だから、安心して!



そう言われた時、何故か涙が溢れてきた。



初めて見た僧侶だったが、何故か初対面には思えなかったという。



そして、彼女を寝室に連れて行くと襖を閉めて、布団の上に座らせた。



そして、優しい声で、



寝ていなさい・・・。



きっと、見ない方が良いと思うから・・・。



そう言われ、彼女は布団の中に入った。



布団の中で彼女は、



このお坊さんは一体どこから入って来たのだろう?



等と考えていたが、そんな事はもうどうでも良かった。



何故か、その僧侶の側に居ると、恐怖が和らいだ。



そして、僧侶は何かお経の様なものを小声で唱えていたという。



そして、寝室の襖は、ずっとガタガタと震えていたが、何故か部屋の中には



入って来られない様だった。



そのうち、彼女はそのまま寝入ってしまった。



そして、気が付いた時は既に午前8時になっており、彼女は急いで家を出て



病院に向かった。



父親の病室に行くと、父親は特に変った様子もなく、横になっていた。



そして、看護師にも、昨夜、電話しましたか?



と聞いたが、誰も電話などかけてはいないと言われた。



その日は、そのまま、昼間は病室で父や母と一緒に仮眠をとった。



そして、夕方になる前に彼女は家に戻った。



家に戻った彼女は、必死に昨夜の僧侶の姿を探したが、何処にも



見当たらなかった。



そして、その日は何故かテレビを観る余裕があった彼女は久しぶりに



テレビを観ていた。



あと2日、我慢すれば・・・・。



それが彼女の心を支えていた。



そして、時刻が午前3時を回った頃、突然怪異が始まった。



観ていたテレビが突然、消えた。



リモコンなど操作はしていない。



そして、今度は玄関から父親の声が聞こえてきた。



おーい!ここを開けてくれ!



母さんが大変なんだ!



だから、急いでお前を迎えに来た!



確かにそう言った。



しかし、昨夜の事もあり、彼女はそのまま寝室に戻った。



すると、今度は、目張りした窓が、バンバンという大きな音で



叩かれだす。



彼女は必死に耳を閉じた。



それでも家が揺れる位の衝撃に彼女は恐怖した。



いつ、窓が破られるかもしれない・・・・。



いや、もしかすると、アレはもう家の中にいるのかもしれない・・・。



そう思うと、心細さで耐えられなくなった。



その時、また彼女は背中をポンポンと叩かれた。



もう驚かなかった。



急いで振り返ると、そこには昨夜の僧侶が立っていた。



そして、



本当にしつこくて嫌になるよね・・・・。



あいつらは昔からそうだから・・・・。



でも、あと2日だけ・・・・。



頑張ろうね・・・。



そう彼女に優しく語り掛けてくれた。



何故か今日に恐怖が消えていくのが分かった。



そして、その僧侶は窓に向かって正座すると、またお経の様なものを



ブツブツと唱え始めた。



そして、その途中、彼女に言った。



貴女は寝ていなさい・・・。



さっきの父親もあいつの仕業だから何も心配しなくていいよ・・・。



だから、怖いんだったら寝ちゃえばいいよ・・・。



あとは私に任せればいい・・・。



そう言われた彼女は、何故か緊張が解けて急に眠たくなった。



そして、またしても、そのまま寝てしまい、気が付くと朝になっていた。



そして、この時初めて彼女は俺に電話をかけてきた。



どうか力になって欲しい・・・と。



そして、彼女は俺に電話をかけてきた後、急いで病院に向かった。



僧侶の言ったとおり、母親に異常は無かった。



そして、病院にいる両親が全く怪異に遭っていないという事を聞かされ、



やはり狙われているのは私なんだ・・・・。



そう実感した。



両親は心配して、彼女に現況を聞いてきた。



そして、今夜が最後だから、病院を抜け出して一緒に戦ってやる、と



言ってくれたが、彼女は、



あれからは何も起こってはいない、と嘘をついた。



彼女を護るために両親がもう一度家に戻ってきたら、きっとあいつは



許さないだろう・・・。



そんな気がしたからだという。



そして、夕方になる前、彼女は自分から、



それじゃ、私は帰るね!



と言って病室を出た。



あと1日我慢すれば・・・・。



それが彼女の精神を支えていた。



そして、今日もあのお坊さんは助けてくれるかな・・・。



そんな事を考えながら家に戻ると、玄関を開けた所に、その僧侶は



もう立っていた。



そして、初めて見せる様な厳しい顔つきでこう言った。



今夜、耐え抜けばそれで終わる・・・・。



ただ、今夜はあいつも本気で貴女を連れて行こうとする筈だから・・・。



私も全力で貴女を護るけど、貴女も決して諦めないで欲しい・・・。



そう言われた。



そして、夜がまた来た。



彼女はテレビを観ている傍らで、僧侶はじっと目をつぶって正座していた。



そして、突然のゴングのようにテレビが消えた。



そして、家の明かりも・・・。



一瞬、真っ暗になった空間で彼女は必死に



お坊さん・・・いますか?



と呼びかけていたが返事が無かった。



そして、次に明かりが点いた時、彼女の目の前には得体の知れないバケモノが



立っていた。



青白い皮膚と鋭い爪。



口は大きく裂け、長い髪の毛の間から大きな目が1つだけ見えた。



そして、頭は明らかに角らしきものがあった。



まさに・・・・鬼。



それは彼女が昔話で知っていたものとはかなりかけ離れてはいたが、



それでも、それが何故か鬼というものなのだと確信した。



そして、その鬼らしきモノの向こうで、僧侶はうずくまり頭から血を



流していた。



彼女は大きな悲鳴をあげた。



すると、倒れていた僧侶が這うように近づいてくる。



そして、鬼らしきモノの足を掴むと、必死に何かを唱え始めた。



鬼の唸る様な声が聞こえた。



そして、それから全ての動きが止まった。



彼女は恐怖で全く動けなかったが、どうやら、その鬼らしきモノも



動きを封じられている様だった。



それは僧侶が必死に鬼の足を掴みながらお経を唱えていてくれているから



だと分かると、何故か涙がこぼれてきた。



どうして、ここまでして私を助けてくれるのだろう・・・・。



では、私には何が出来る・・・。



それは、お坊さんが言った様に、決して諦めないこと・・・。



そう思ったとき、彼女は何かが吹っ切れた様な気がしたという。



彼女は顔を鬼の方に向けると、必死で鬼を睨み続けた。



鬼なんかに絶対に負けない!



負けてたまるか・・・。



そう思い、鬼の顔を睨みつけた。



そして、そのまま時間が経過していった。



朝が来た事を確認した僧侶は彼女に向かって優しくこう言った。



もう大丈夫だよ。



よく頑張ったね・・・。



これで貴女はもうあいつの呪から解き放たれた。



だから、私の役目ももうお終いだね。



それに、外には私なんかより凄い味方が来てくれたみたいだしね・・・・。



あの人なら、古い呪の縁も断ち切ってくれるかもしれない・・・。



私もようやくゆっくり出来るのかな・・・・。



そう言うと、その僧侶はゆっくりと消えていった。



そして、そこには祖父が持ってきた木彫りの仏像が落ちていた。



顔には大きな新しい傷が増えていたという。



そして、僧侶のお陰で鬼も力を使い果たしていたのかもしれない。



彼女には目もくれず、その場から立ち去っていった。



と、その時、玄関から聞きなれない声が聞こえ、その後には



俺の声が聞こえたという。



それは彼女から電話を貰った俺が、まさにAさんを連れて彼女の家に



来た時と重なった。



俺は見たこともない化け物の姿に言葉を失っていたが、Aさんは、



相変わらずであり、



そんなに凄んだって無理だって・・・・。



もう体力が無いのはバレバレだから・・・。



消えなさい・・・。



そう言うと、そのバケモノは俺達の前から霧のように消えた。



あまりに一瞬の出来事だったから、得れはAさんに



もしかして、逃げちゃった?



と聞くと、



私がそんな奴を逃がすと思いますか?



消しました・・・。



永遠に・・・。



そう言われた。



彼女は、それ以後、怪異に遭遇することは無くなった。



そして、父方の実家でも、それまでは数年に一度起こっていた神隠しも



全く起こらなくなったという事だ。



今では彼女は両親と仲良く一緒に暮らしているが、さすがに田植えには



もう行けなくなってしまったということだ。



Posted by 細田塗料株式会社 at 23:09│Comments(0)
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