2018年11月09日

曰くつきのベッド

これは以前、看護師をしていた母親から聞いた話。



母が勤務していたのは、かなり大きな総合病院だった。



病床数はかなり多かったらしいが、それでも毎日のように新たな



入院患者がやってきては入院する。



だから、ベッドか空いても、すぐにまた埋まってしまう・・・。



それは病気もあれば、怪我もあるのだろうが・・・。



そして、病院のベッドが埋まるのとは反対に、空く場合も当然



存在する。



それは、退院という場合もあるのだが、やはり病院である以上は



患者さんが亡くなってベッドが空く場合も相当数存在するらしい。



そんな中には、曰くつきといわれるベッドも存在するのだという。



では、どういう曰くなのかといえば、



亡くなった筈の空いた病室から、ナースコールが鳴る・・・。



そのベッドで寝ていると、夜中に誰かがすぐ側に立って見つめている、



など、よく聞く話が多いらしい。



そんな中でも最も恐れられ問題になっているのが、



そのベッドで入院した患者さんが



間違いなく亡くなってしまうベッドなののだという。



それは個室という訳でもなく、6人部屋の中の窓際のベッドだった。



何処にでもある普通のベッドである。



そして、霊が現れたりナースコールが鳴る事も無い。



ただ、そのベッドを割り当てられた患者さんは、例外なく皆、



死んでいった。



勿論、最初は、誰もそんな事は気にも留めていなかった。



忙しさに忙殺されてしまい、細かい思考が停止するほどの忙しさ。



だから、石も看護師も皆、思っていた。



ただの偶然だと・・・。



だから、その患者さんの希望や病状に合った病室やベッドを、何も気にせず



割り当てていた。



しかし、そうしてそのベッドを使用していると、不可解な事が連続した。



そのベッドに入院した患者さんが無事手術を終えて、数日後には



退院という段取りだったらしいが、ある朝、看護師が見回ったときには



既に亡くなっていたのだという。



また、こんなこともあった。



若い男性が部活動で足を骨折してしまい、そのまま入院した。



しかし、その男性は手術を受ける間もなく、入院日の翌日の朝、



死亡が確認されたという。



そのどれもかが死の危険など全く無い様な軽い状態の患者だったが、



原因が分からないまま死亡していた。



当然、死因は心不全とされるらしいが、肉親にとっては堪ったものでは



ないだろう。



そして、そのベッドが死の原因なのではないか?という噂は



医師や看護師よりも、患者さん達から広まっていった。



そして、その噂が耳に入った医師たちは、



そんな事はただの偶然に過ぎないから・・・。



と言って、聞く耳を持たなかったという。



それはそうだろう。



医学という最先端の技術に裏づけされて存在していた医師たちに



とって、そんな事を自ら信じることは、愚かとしか言えない。



だから、ある時、軽い病気になった医師の家族をそのベッドに



入院させた。



それは、変な噂を鎮めたいという願いもあったのだろう・・・。



しかし、それから間もなく、医師の家族は、夜普通に寝たまま、



朝には亡くなっていた。



やはり病名は心不全とされた。



そんなことがあってから、そのベッドには基本的には



誰も割り当てられなくなった



どうやら病院も重い腰をようやく上げたという感じだった。



しかし、病院としても経営も大切であるらしく、切に早期の入院を



希望されると、仕方なくそのベッドを使用させた事もあったらしい。



しかし、結果としてそのベッドを利用した患者は次々に死んでいった。



相変わらず、病院の怪異として語られる様な心霊現象も、その病室や



ベッドでは全く



起こってはいなかった。



そして、さすがに患者の心不全での死亡が立て続けに続いた為、



病院としても



一度、そのベッドを倉庫に片付けたことがあるらしい。



しかし、その間、偶然かもしれないが、同じ病室の



他のベッドでの患者の死亡が



多発するようになった。



しかも、到底、死に至る様な病状ではない患者ばかりが・・・・。



そして、結局、そのベッドは再び、病室に戻された。



そして、ベッドが戻された病室というのは、どうやら以前とは



別の病室だったらしい。



しかし、やはりそのベッドでの患者の死亡は止まらなかった。



そこで、その曰くというものが、病室ではなく、そのベッドに起因



しているものだと判断されたらしい。



そして、病院側も、超自然的な現象と捉え、過去にそのベッドで



忌まわしい過去が存在しているかも調べたらしいが、特に不自然な



ものは見つからなかったという。



ただ、その話が院長の耳に入った時、院長が、何かに怯えるような



顔で、



私は何も知らんよ・・・と言った後、必死に首を横に振っていたらしい。



結局、そのまま原因が特定されないまま、そのベッドは利用され続け、



暗黙の了解として、高齢の患者さんや末期の患者さんが割り当てられる



事になった。



死ぬはずの無い患者が死ぬくらいなら・・・。



悲しいことだが、それが病院側に出来る最善策だった。



そして、それから数年後、母がその病院を退職するまで、その



ベッドは利用され続けていたという。



沢山の命を飲み込みながら・・・・。



そして、母は最後にこう言っていた。



それから、いくつかの病院で働いたけど、どの病院にも大なり小なり



そのベッドと似たような物が存在しているのを知ったんだけど、



例えば、そのベッドに死神か悪魔が住み着いてるとしても、



今にして思えば、そういう曰くつきのベッドを公表も告知もせず、



そのまま



患者さんたちに割り当てていた病院、そして人間が一番恐ろしい



のかもしれないね・・・・と。


Posted by 細田塗料株式会社 at 23:25│Comments(0)
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