2018年11月09日

スマートフォン

彼女はその日、会社に着いてから自分のスマホを自宅に



忘れてきた事に気付いた。



最初は、まあいいか、とも思ったが、やはりスマホが手元に



無いととても落ち着かない。



しかし、自宅に置いてきたという確信も無かったので、すぐに



自宅に電話をしてみた。



彼女の家は、彼女の他に、両親と弟の4人家族だった。



そして、父と弟は働いていたが、彼女の母親は専業主婦として



自宅にいる。



そして、電話をかけると、案の定、母親がすぐ電話に出た。



そして、彼女は母親に、



スマホを家に忘れてきたみたいだから、



自分の部屋を見てきて欲しい



と頼んだ。



通話状態のまま、母親が彼女の部屋を見てくるまで、待っていると



息を切らした母親が電話に出た。



本当に忘れたの?



スマホなんて、どこにも無かったけど?



そう言われ、彼女は一度電話を切った。



そして、もしかすると、バッグの中にでも入っているのかもしれない、と



色々と調べてみたが、やはり何処にも見つからなかった。



もしかしたら、何処かで落としたのかも・・・・。



そう思った彼女は急に怖くなってしまい、朝起きてからの自分の



行動を思い出していったが、どうもスマホを落とす様な事は



一切していない事に気付く。



だから、もう一度自宅にいる



母親に電話をかけた。



そして、今度は母親に、



こちらから私のスマホの番号に電話をかけてみるから、着信音が



聞こえるかどうか、耳を済ませて聞いていて・・・・。



と頼む。



そして、会社の別の電話から自分のスマホに電話をかけた。



電話からはスマホを呼び出している音が聞こえてきた。



彼女はいつも電話をマナーモードにはしていなかった。



その事で、たまに父親から怒られる事もあったが、こういう時には



やはりマナーモードにしてなくて良かった、と感じた。



ちょっと、待ってて!という母親の声が聞こえ、母親が何処かへ



バタバタと走っていく音が聞こえてきた。



もしかしたら、見つかったのかも・・・。



彼女は内心ホッとしていた。



しかし、戻ってきて電話に出た母親は、



やっぱり何も聞こえなかったわよ・・・。



あんたのスマホ・・・本当に家に忘れたの?



もう一度しっかり思い出してごらんなさい!



そう言って電話を切られた。



彼女は、もう気が気でなかった。



もし落としたとして、誰かタチの悪い人にでも拾われてしまったら・・・。



そう考えると目の前が真っ暗になった。



しかし、家にもバックの中にも無いとなると、やはり何処かで



落としたとしか考えられなかった。



彼女はすぐに携帯ショップに電話をして、自分のスマホを使用停止に



して欲しいと頼んだが、来店の上、本人確認が出来なければ、



対応しかねる、と冷たく言われてしまう。



しかし、それでも、仕事の帰りに寄りますから、とショップの女性に



告げ、彼女は電話を切った。



それから、彼女は仕事に集中しようとしたが、どうも集中できない。



かといって、もしも、もう一度電話をかけて、知らない人が



出てしまったら・・・。



そう考えるととても怖くて電話が出来なかった。



そして、昼休みの時間、彼女がスマホの話をすると、同僚の男性が、



それなら、俺がもう一度電話をかけてやるよ!



そう言ってくれた。



そして、彼女は自分の番号をその男性社員に教え、彼はその番号に



電話をかけた。



その時は、同僚達も暇なのか、貴重な昼休みだというのに、男女合わせて



5~6人が彼女の元に集まっていた。



そして、皆の見つめる中、彼が電話をかけるとしばらくして、



彼女に受話器を渡された。



え?どうして?



彼女がそう言うと、



電話に誰か出たから・・・・良い人みたいで良かったじゃん・・・・・。



そう言われた。



彼女は恐る恐る゛受話器を耳に当てた。



あの・・・すみません・・・・スマホ拾われたんですか?



と聞くと、



はい。私が拾いました。



これから、貴女のところへお持ちしたいんですが、住所を教えて



頂けますか?



そう言われた。



年配の男性の声で口調は丁寧だが、何故か加工した声の様に聞こえたという。



そう言われた彼女は、



いえ、それでは申し訳ないですから、私が引き取りに伺いますから、



ご住所を教えて頂けますか?



と聞くと、



その男性は、ゆっくりとした口調で住所を告げると、そのまま電話が



切れてしまった。



彼女は相手の名前も聞けなかった事で落胆していたが、同僚からは



住所が分かってるんなら、問題なくたどり着けるだろ?



と言われ、彼女はメモした住所をパソコンに入力した。



そして、その住所でヒットしたのは、市内にある斎場だった。



それを見た彼女が青ざめた顔をしていると、同僚男性が、



うん・・・冗談にしては悪趣味すぎるよな・・・と言って



もう一度、彼女のスマホに電話をかけたが、何度電話しても



誰も電話に出る事はなかった。



彼女は先ほどの電話の声がずっと頭から離れなかった。



そして、斎場の住所を教えた相手がとても気持ち悪く感じていた。



そして、いつもより早い時間に退社した彼女はそのままま



携帯ショップに直行し、その日のうちに機種変更を済ませた。



そして、これでもう一安心だと思い自宅に帰ると、彼女の部屋に



無くなった筈のスマホが置いてあったという。



母親に何度も聞いたが、確かに昼間確認した時には、彼女の部屋には



スマホは絶対に無かったと逆キレされてしまった。



彼女は気味が悪くなり、翌日には、それまで使っていたスマホを



処分してしまおうと決めた。



しかし、その夜、突然彼女の古いスマホが着信音を鳴らしだした。



機種変更で、もう使えない筈のスマホが・・・。



それはとても恐ろしい現象だったが、そのまま電話に出なければ、



もっと怖くなるかもしれない。



それに、もしかしたら、携帯ショップの方から確認の為に



このスマホにかけてきたのかもしれないし・・・・。



そんなありえない事を考えてしまった彼女は、思い切って



その電話に出た。



もしもし・・・・・。



沈黙が続いていたが、何故か電話は繋がっているように感じた。



すると、突然、電話の向こうから、



ずっと、待ってるんだけど・・・・・・。



来れないなら、こちらから行きましょうか?



それは、昼間に聞いた、あの男性の声だったという。



彼女は、その声を聞いた瞬間、反射的に電話を切った。



急いで、マナーモードにした彼女は、そのままスマホの電源を



落とした。



心臓が大きく、そして速く脈打っていた。



そして、その晩、彼女は、恐怖に震えながらベッドに潜り込んだ。



部屋の明かりをつけたままで・・・。



しかし、結局、朝になるまでずっと、電源を落とした筈の、



繋がらないスマホが着信のバイブ音を鳴らし続けており、



恐怖で一睡も出来なかったという。



窓の外に、先ほどの電話の男が立っている・・・。



そんな気がして生きた心地がしなかった。



翌日、携帯ショップにそのスマホを持ち込み、事情を話してから



そのスマホの処分をお願いしたそうだが、どうやら、そんな怪異には



慣れているようで、



よくある事ですからあまり気にしないほうが良いですよ!



と明るく笑顔で対応されたということだ。



ちなみに、それ以降、彼女に怪異は発生していない。


Posted by 細田塗料株式会社 at 23:42│Comments(0)
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