2018年11月09日

毒をもって毒を制す

姫は現在、大学1年生。


今年の3月で高校を卒業し、晴れて女子大生になった。



それなりの大学に進学出来た筈だが、どうもAさんの


側に居たいらしく、あえて県内の某大学に通っている。



おっとりした性格のためか、誰からも嫌われる事は無い。



軽音楽部に所属し、楽器の練習にも余念が無い。


本当に何処にでもいる女子大生、いや高校生にしか


見えない。



しかし、Aさんが、いつも言っている。



姫ちゃんは、そもそも私とは出発点が違いますから・・・。



私がどれだけ頑張っても、最終到達点は、比較にならないでしょうね。



あの娘と比較されると、馬鹿らしくて、笑えてきますよ。



だって、あの娘は、まだ、生まれたばかりみたいなものですから。



それでいて、あれだけの力を持ってるというのは、本当に奇跡の



存在なんです、!



だから、これから一体何処まで成長するのか、私も興味がありますよ、と。



今夜は、そんな姫に関する話をしてみたいと思う。



それは姫と知り合ってしばらくしてからの事だった。



Aさんから、とてつもないレベルの守護霊と悪霊が姫の中で同居?



しているという話を聞かされてはいたが、姫を見ているとそんな感じは



微塵も感じなかった。



いつも、ニコニコ笑っており、のどかな雰囲気さえ感じてしまうし、


喋り方もおっとりとしており、少し天然ボケも入っている。



何より、怖がりで平和主義、争いごとは決して好まない。



この辺はAさんとは真逆の存在ということになる。



だから、俺はいつもAさんに言っていた。



姫が潜在的に凄いのは分かるけど、でも、強い守護霊と強い悪霊が、混在



するなんて事が本当にありえるの?と。



そして、



才能があるんだったら、もっとちゃんと何処かで修行とか



させた方が良いんじゃないの?



今のままじゃ、強いのと遭遇したら、一巻の終わりなんじゃないの?と。



すると、Aさんは、いつもの呆れた顔でこう言った。



ああ・Kさんには見えていないんでしたよね?



あの子に憑いてるものが・・・・。



それに、あの娘に修行させるって、一体誰が師匠になるんですか?



少なくとも私は過去にあれほどの潜在能力を持った者には



出会っていません。



そして、勿論、私も、そうです。



だから、あの子はこのまま自然体が良いんですよ。



はっきり言えば、あの子は無意識に嫌いな霊を消滅させられるんです。



それに、今のままだって、あの子に敵う相手なんてそうそう居るもんじゃ



ありませんからね・・・。



まあ、凡人のKさんにも今に分かるとは思いますけどね・・・と。



そう言われて俺は何も言い返せず、そのまま



ふ~ん、そんなもんかな・・・。



と思った記憶がある。



そして、その姫の力の一部を垣間見る機会がすぐにやってきた。



その頃、とある廃病院に肝試しにて出掛けた若者たちが、大怪我を



したり、気が変になるという事故が多発していた。



勿論、自己責任で行ったのだから、本人の責任なのだろう。



しかし、自治体としては、そうもいかず、回りまわってAさんの所に



その廃病院の調査依頼が届いた。



そして、Aさんが俺を呼び出した。



例の廃病院の調査依頼が来ました。



まあ、調査以来といっても、要は、その場所を安全な場所にしろ、と



言う事なんですけど・・・。



ただ、あそこは今、とても危険な状態になってます。



悪霊の巣窟とでも言うんですかね・・・。



私でも、躊躇してしまうくらいに・・・・。



だけど、うってつけの人材が居たんですよね。



そう言って、Aさんは俺を見た。



え?もしかして、俺がうってつけなの?



そう返すと、Aさんは鼻で笑いながらこう言った。



Kさんにうってつけなのは、掃除とか力仕事とかの雑用全般でしょ?



そんな人に頼むわけないじゃないですか(笑)



姫ちゃんですよ。うってつけなのは!



毒を持って毒を制す・・・・というやつですかね(笑)



あの子の中にいる悪霊というのが、どれだけ凄いのか、Kさんにも



間違いなく分かる筈ですから・・。



そう言ってAさんは薄ら笑いを浮かべた。



当日は、日曜日。



市内から少し離れた場所あるその廃病院へ、俺はAさんと姫を乗せて



向かった。



その途中、車の中で、



なんか怖いですね~



でも、Aさんの活躍が見られるなら頑張らなきゃ・・・。



あ~、どうしよう・・・なんかワクワクしてきました!



と呑気な事を言っている姫。



いよいよ、廃病院の前に到着し、車から降りると、その異様な佇まいに



思わず怯んでしまった。



人が近づくのを拒むかのように、それは昼間の日差しの中でも、



まるで陽が差さない程の暗さで辺りを圧倒していた。



姫も、Aさんの影に隠れるように怯えていた。



すると、Aさんから地獄の命令が・・・。



姫ちゃん、これから1人で病院の中、見てきてくれる?



私達はここで待ってるから、何かあっても大丈夫!



だから、安心して行ってきて!



それを聞いた姫はいっきに泣きそうな顔になった。



それじゃ、Kさんと一緒に行っちゃ駄目ですか?(涙)



すると、Aさんは、こう続けた。



Kさんなんか連れてったって何の役にも立たないって(笑)



それどころか、邪魔になるだけだから(笑)



それに、これも修行の一環だよ?



姫ちゃんは、私みたいになりたいんでしょ?



それじゃ、頑張らなきゃ!



大丈夫!



何もいないから・・・・。



ただ、下見をしてきてもらうだけだから・・・。



そう言われ、姫は少しだけ俺の方を睨んだ。



どうしてKさんは、何もしなくて良いの?



そんな顔をしていた。



すると、Aさんが更に追い討ちを掛ける。



ほらほら・・・早く行かないと暗くなってもっと怖くなっちゃうよ?



それとも、挫折かな?



すると、姫は少し口元に力を入れて、



大丈夫です!



行って来ます!



でも、本当に何もいないんですよね?



そう言って病院の入り口に向かった。



しかし、さすがに不安だったのだろう・・・。



病院の入り口に着くまでの間、何度もAさんの方を振り返り、



本当に何かあったら助けてくださいね・・・。



と泣き出しそうな顔をこちらに向けた。



そして、病院の中にいよいよ入っていく姫。



すぐに、



うわぁ!とかキャーという叫び声が聞こえてくる。



そして、何かいますけど~?



という泣き言が聞こえてくる。



だから、俺はAさんに言った。



やっぱり追いていった方が良いんじゃないの?



なんか、無理っぽいけど?



すると、Aさんは、



何言ってるんですか?



Kさんも、いつも姫に憑いている悪霊の本当の力が見たいって



いつも言ってたじゃないですか?



それに全然危険じゃありませんよ。



此処には、かなり強い悪霊が居るのは事実だけど、あくまで、それは



普通の霊能者にとっての話です。



あの子は別格だから・・・。



あの子に対峙出来るほどの悪霊なんて、滅多にいません。



中には勘違いして襲い掛かる奴もいるかもしれませんけど、



まあ、すぐに消されちゃいますから・・・。



それ程、高い序列の悪霊が姫ちゃんの中には居ますから・・・。



勿論、あの子はまだ、それに気付いていませんけどね(笑)



そう言って笑った。



そして、それからは、俺とAさんは、じっと黙って病院を外から



眺めていた。



相変わらず、うわぁ!とかキャーとかの悲鳴は聞こえていたが、



その声とは裏腹に、その廃病院から、次々に、黒い靄の様な



ものが、外へ逃げるように出で行くのが俺にも分かった。



そして、姫が悲鳴をあげながら病院を見回り、外に出てきた頃には



病院からは、悪い気は払拭され、何故かとても明るい気が満ちて



いるのが分かった。



そして、半べそをかいて外に出てきた姫に向かって、Aさんは、



はい。ご苦労様。



今回の用事はこれで済んだから、帰りましょ!



そう言って、俺の車へと戻った。



そして、車の中で、姫は、その廃病院の中で見たモノを、必死に



Aさんに訴えていた。



怖かったんですよ・・・。



死ぬかと思いました・・・と。



しかし、それを聞いたAさんは、



でも死ななかったでしょ?



だって、殆どの悪霊は、姫ちゃんの中のモノを見ただけで間違いなく



逃げ出しちゃうと思うしね・・・。



そう言われて、姫も、



そう言えば、皆さん、私を見たら、何故か近づいてこないですぐに



何処かへ行ってしまいましたけど・・・。



そう言っていた。



それから、姫を送り届け、Aさんと二人で車に乗っている時、俺は



こう質問した。



実際、Aさんと姫だと、どちらが強いの?と。



すると、



強いとか強くないという概念が分かりませんけど・・・。



でも、私が一番闘いたくないのは、恐れているは、悪霊とかではなく、



間違いなく姫ちゃんでしょうね・・・。



本気のあの子には、勝てる気がしませんから・・・。



そう言っていたのが、とても印象に残っている。


Posted by 細田塗料株式会社 at 23:44│Comments(0)
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