2018年11月09日

彼の家を護るもの

これは知人から聞いた話。



彼は年齢は40代。



結婚し、妻と子供二人で金沢市内に住んでいる。



趣味はゴルフと音楽鑑賞という、まあどこにでもいる会社員だ。



中古で購入した家をリフォームして住んでいる。



家には彼と妻の車が2台停まっており、玄関の横には



犬小屋がある。



そう、犬を飼っているのだ。



実は俺は過去に2回ほど、犬に咬まれている。



そのどちらも、友人の家に行った時だった。



1度目は、小学校高学年の時。



友人の家に行き、玄関のチャイムを鳴らすと、背後から唸り声が。



振り返ると、そこには小さな成犬が牙を剥いて威嚇していた。



そして、思わず反射的にその場から逃げようとした俺は、



そのまま犬に咬まれてしまった。



その後、友人の親御さんが謝りに来てくれたが、その時、俺の



母親はしっかりと笑っていた。



そして、2回目は、中学生の時。



その時も新しい学年になり、新しく出来た友人の家に行った時のことだ。



玄関のドアを開け、そしてチャイムを鳴らした。



すると、友人よりも先に、犬がこちらに向かって走ってくる。



思わず、逃げた俺は玄関のドアを閉め忘れてしまい、そのまま



犬は外まで追いかけてきた。



俺は必死で逃げ、ブロック塀に登ろうとして、そのまま落下。



そして、落下した俺の足に犬が噛み付いてきた。



これも、小さな成犬だった。



そして、タイミング悪く友人の妹が帰宅してきたらしく、俺を



不思議そうな目で見ながら家の中に駆け込んで入った。



そして、家の中から大きな声で、



お兄ちゃん、家の外で○○○に咬まれてる人がいるんだけど?



と言っているのが聞こえ、その後、駆けつけてくれた友人は



犬に咬まれたままの俺を見て、大爆笑していたのを憶えている。



何を言いたいのか、といえば、俺は犬が好きだが、実は怖いという事。



2回咬まれたどちらも、咬まれた傷口からは血が流れていたし、



その痛さはかなりのものだった。



だから、その恐怖というのがきっとトラウマになつているのだろう。



だから、友人の家に招かれると必ず確認する。



犬は飼ってるの?と。



それくらい、犬というものにたいして敏感になってしまっている。



ただ、誤解して欲しくないのだが、俺は犬という生き物は嫌いではない。



いや、むしろ、好きな動物の筆頭が犬なのは間違いない。



小さな時に犬をしばらく飼っていたし、その時の充実した日々は



簡単に忘れられるものではない。



だから、表現が難しいのだが、犬は好きなのだが、怖いという



矛盾した考えなのだ。



しかし、彼の家の犬は、とても好ましい。



俺が初めて伺った時も、全く吼えず、ただ、寝そべって寝ているだけ。



かなり大きな犬なのだが、彼の家に行く時には俺は緊張しなくてもすむのだ。



彼に言わせると、



番犬として飼っているのに、誰が来ても全く吼えないんだ・・・。



本当に役立たずな犬なんだ・・・・・。



という事になるらしいが、俺敵には、何処の名犬よりも、



大好きな犬である。



そして、彼が役立たずと言った犬が、実はとても大切な役目を



担っているのを後で知る事になる。



それは、彼が、仕事で県外のビジネスホテルに泊まった時の事。



部屋に入った時から、部屋の空気が冷たく、そして重く感じた。



彼には霊感というものは無く、そんな感覚になったのは初めての事だった。



そこで、彼はフロントに部屋を変えてもらうように頼んだ。



しかし、生憎、その日は満室だったらしく、冷たく断られたという。



かといって、彼には新たに空いているホテルを探す気力も無く、



その晩はそのまま、その部屋で過ごす事にした。



彼はコンビニでお弁当と一緒に、大量のビールを買い込んでくる。



そして、シャワーも浴びたかったが、やはり何処か気持ち悪いので、



朝に浴びる事にして、その晩は弁当と大量の酒を胃袋に収め、テレビを



観ていた。



部屋の電気も点けたままにして、その晩は一晩中明かりを点けたまま



ベッドの上で過ごす事に決めた。



しかし、やはり仕事で疲れていたのだろう・・・。



突然、睡魔に襲われた彼は、そのまま知らないうちに寝入ってしまった。



彼は夜中に目を覚ました。



時刻は午前3時を回っていたという。



彼は一瞬、自分が何処にいるのか、全く把握できなかった。



真っ暗闇の中で、彼は呆然と上半身を起こした。



そして、思い出した。



自分は、部屋の明かりとテレビを点けたまま、寝入ってしまったのだ



という事を・・・。



しかし、何故かテレビはおろか部屋の明かりまで消えていた。



一体何故消えているんだ?



そう考えた時、突然、気味悪さで固まった。



しかし、そのままでは、埒が明かない。



彼はベッドから立ち上がると、手探りで部屋の明かりのスイッチを探した。



そして、そのスイッチはすぐに見つかった。



しかし、何度スイッチを押しても部屋の明かりは点かなかった。



部屋のドアの隙間からは、廊下の明かりが漏れていた。



彼は一刻も早く、藁にもすがる思いで、真っ暗闇の中から抜け出し



たかったのだろう。



彼は急いで入り口のドアのロックを外し、ドアノブを回した。



しかし、何故かドアは開かなかった。



どれだけ押しても引いても、まるで何かで固められているように



びくともしなかった。



そして、その時、彼の耳は聞いた。



シャワーを浴びているような音が急に聞こえてきた。



その音は明らかに彼が泊まっている部屋から聞こえてくる音だった。



そして、次の瞬間、ユニットバスのドアが開く音が聞こえ、シャワー



の音が一層大きく聞こえ出した。



その部屋には当然、彼1人しか泊まってはいない。



だとしたら、一体誰が・・・・。



そう思うと、彼は恐怖で固まり、その場にうずくまって両手で



耳を塞いだ。



しかし、何かがズルッズルッと床を這って来る様な音が聞こえてくる。



そして、その音はどれだけしっかりと耳を塞いでも関係ないように、



はっきりと聞こえてきた。



彼は、その場にうずくまって身動きが取れなくなっていた。



もう一度電気を点けてみようか、ドアノブを回してみようかとも



思ったが、もしもその時に、今聞こえている音の主を見てしまったら・・・。



そう考えると、恐怖で体がガタガタと震えていた。



そして、部屋の中を這いずる音はどんどんと近づいてきた。



もう、彼のすぐ背後まで来ている事は容易に想像出来た。



もう駄目だ・・・・。



そう思った。



しかし、その瞬間、隣の部屋から、ドンドンと部屋の壁を叩く音が



聞こえてきた。



彼は思った。



こんな夜中にシャワーを浴びていればきっとうるさく思って



壁を叩く者もいるだろうな、と。



そして、その音が聞こえたとき、這いずる音は停止し、そして今度は



どんどん離れていった。



それは、その音の主が、彼から隣の部屋の宿泊客にターゲットを



変更したのだと、彼は確信した。



そして、その考えは的中する。



彼が恐る恐る振り返ると、何かが部屋の中を這ったまま、隣の部屋の



壁に向かって消えていくところだった。



彼は急いでドアノブを回した。



すると、今度はいとも簡単にドアが開いた。



彼はそのままフロントに行き、今、体験した事を告げると、強引に



フロント横の長椅子に寝転がって、そのまま目をつぶった。



寝ることは出来なかったが、横になっただけでも少しは疲労が



軽くなっていくのを感じていた。



そして、朝になり、部屋に戻ると、部屋の中が酷く荒らされていた。



彼は急いで荷物を持つと、そのまま部屋から出て、早々に



チェックアウトをした。



そんな事があった出張から彼が帰宅したのは、2日後。



ところが、彼が車を駐車場に停めて家の玄関に近づくと、いつもは



だらしなく寝ているだけの愛犬が、激しく吼えてくる。



それも、牙をむき出しにして本気で威嚇してくる。



そんな状態の愛犬を見るのは初めてだったから、彼はもしかすると、



その犬の頭が変になってしまったのかと思ったという。



そして、無理やり頭を撫でて家に入ろうとしたが、やはり今にも



飛び掛からんといった具合に吼えまくる。



そして、その声を聞いた家族が家の中から出てくると、今度は



家族の前に立ち塞がるようにして、彼を威嚇した。



しかも、愛犬は家族が頭を撫でてなだめても一向に変わらない。



その時、彼はあることに気がついたという。



それは犬の視線が彼ではなく、彼の左横辺りを睨んで吼えている



という事だった。



その時、彼は、先日泊まったビジネスホテルでの怪異を



思い出した。



そして、あの時以来、背中が重く感じており、左肩が痛むことを・・・。



だから、彼は家族に言って、愛犬を繋いでいる首輪を外させた。



すると、犬は一気に彼の右横辺りに飛び掛かると、そのまま



牙を剥いて吼えながら、そのまま彼の横を通り過ぎて走っていった。



まるで何かを追いかけるかのように・・・・。



そして、しばらくすると、愛犬はすぐに戻ってきて、再び首輪に



繋がれると、いつもの様に玄関前に寝転がってしまった。



彼はようやく家の中に入る事が出来た。



その後、彼は風呂に入り食事をして寝たらしいが、その間も、



時折、愛犬が家の外で激しく吼えて威嚇している様な声を聞いた。



そこで、彼は俺に電話をかけてきた。



こんな事があったんだけど、大丈夫だろうか?と。



そこで、俺はAさんに相談し、それまでの経緯を話した。



すると、Aさんは、何故か彼よりも、その犬に興味を示した。



だから、俺とAさんは、翌日、時間を合わせて、彼の自宅に



訪問する事にした。



玄関に行くと、いつもの様に、その犬は寝ていた。



しかし、Aさんが近づいた時、突然、むくっと起き上がると、



まじまじとAさんの方を見つめてから、まるで進路を開ける



様に後ずさりした。



俺は、いつもの様にその犬に近づいて、頭を撫でてやると、



いつも通りに穏やかに反応し、頭をこすり付けてくる。



俺は、



やっぱり、Aさんが怖い人だって、分かるんだな?



と犬に向かって言うと、Aさんは馬鹿にしたように、



本当に単細胞ですよね・・・・。



この犬は私が霊的な力があると分かって道を開けてくれたんです。



そして、この犬自体も、そうとうな力を持っていますね。



犬っていうのは。元々霊的な力が強くて、呪いなどにも使われたり



するんですけど、この犬は、そんな事に利用される犬と同程度の



力を持ちながら、その力をこの家の家族を護る事だけに



使っています。



本当に、この家の家族が大好きなんですよ。



いつも寝てばかりいるっていうのも、一種のカモフラージュ



なんでしょうね。



だから、大丈夫です。



私が何もしなくても・・・。



この犬が護ってくれてますから、この家の家族には、悪いモノは



一切近づけません。



さっきからこの家を遠巻きに見ている女がいるんですけど、きっと



それが、ビジネスホテルから連れて来てしまったモノですね。



でも、この犬のお陰でかなり弱っていて、もうすぐ消滅してしまいますから。



本当、Kさんも、この犬くらい役に立てば良いんですけどね!



そう言っていた。



その犬は相変わらず俺が家に伺っても、誰かが来てもいっこうに



吼えようとはいないが、きっと相手を見ているのだろう・・・。



この件で俺もまた犬が飼いたくなってしまった。


Posted by 細田塗料株式会社 at 23:54│Comments(0)
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