2018年11月10日

大蛇

これは友人が体験した話である。



友人は元々は石川県の出身ではない。



四国にある、とある村が彼の生まれ故郷である。



所謂、過疎地という土地に生まれた彼だったが、それなりに



幼い頃は楽しい記憶しかないらしい。



確かに裕福とはとてもいえる様な暮らしではなかったらしいが、



その地域には、親もそして親戚たちも、固まるようにして生活



しており、従姉妹や友達も沢山いたから、遊ぶ事には不自由は



しなかった。



そんな彼の遊び場は、やはり自然の中になる。



山に出掛けたり、森で遊んだり、そして、川で遊んだり・・・・。



そんな大自然の中でしか、遊ぶ場所が無かった彼にとっても、



やはり近づいてはいけない場所というのが在った。



それは、山の上にある、古びた神社と、小さな池だった。



親たちは、近づいてはいけない理由を教えてはくれなかったが、



それでも、真剣な顔で、注意を促す親の顔を見ると、やはり



首を縦に振るしかなかったという。



しかし、それはあくまで親の前だけの事であり、友達と一緒に



遊んでいて、退屈になってしまうと、やはり、そういった禁忌の場所



が、とても魅力的に感じてしまうらしい。



だから、彼は友達と何度か、その場所を訪れた事があるのだという。



そして、今回書くのは、そこで彼が体験した話になる。



その頃、その地域では、長い雨に悩まされていた。



しかし、そんな事は子供である彼らには関係なかった。



常に、楽しい事を探して、色々な遊びをしていた。



そんなある日、友達の一人で、こう言った。



山の上にある、神社に行ってみないか?と。



当然、親から、絶対に近づいてはいけない、と厳しく言われていたから、



さすがの彼も、やめておこう、と言ったらしい。



しかし、友達数人から、弱虫だの、意気地なしだのと罵られ、結局、



山の上の神社に行く事になった。



その神社に行ったのは、彼を含めて全部で6人だった。



いつも、遊んでいた山の岩場から、少し奥へと進んだ所に、その神社は



あった。



細い木々の隙間の道を進んでいくと、急に開けた場所に出た。



すると、そこには、それなりに大きな神社が建っていた。



確かに、古く苔むした感じはあったが、建物自体は立派なものであり、



彼は、どうして、親達が、此処に行ってはいけない、と言っていたのかと



不思議に思ったという。



それからは、探検よろしく、その神社の周りを色々と探索した。



木製の階段をのぼって、社の中を覗き込むと、なにやら、大きな蛇



の様な木像が置かれていた。



しかも、社の中は、とても綺麗な状態で保たれており、まるで、今でも



この神社に誰かが出入りしている様に感じた。



そして、誰かが言い出した。



ここでかくれんぼをしないか!と。



もはや、反対する者などいるはずも無く、彼らはその場で、ジャンケンで



鬼を決めて、かくれんぼほ始めてしまう。



しかし、いざ、隠れる場所を探そうとすると、なかなか見つからなかった。



だから、彼は、神社の社ではなく、周りの森の中に隠れたという。



そして、他の友達も同じ事を考えたらしい。



結局、神社の中には誰も隠れるものはおらず、鬼役の友達だけが、



その場に残される形になった。



そして、森の中で隠れていた彼らは、急に酷いめまいに襲われてしまう。



そこで隠れていた全員が・・・。



そのめまいは、立っている事も侭ならない程の酷いものだった。



だから、彼らはその場でうずくまりながら、じっと眩暈が



治まるのを待った。



すると、何か、音が聞こえてきた。



ズルッズルッズルッ・・・。



そんな大きな音が、ずっと聞こえていた。



何か巨大なものが、地面を這うような音。



彼は、眩暈に耐えながら、一瞬、その音がする方を見た。



その時の衝撃は今でも忘れないという。



そこには、巨大な・・・巨大すぎる大蛇が地面を這っていた。



蛇特有の気持ち悪い動きで・・・・。



その大きさは、恐怖しか感じないものだった。



よく、南米で、巨大なアナコンダの話を聞いたり、画像や動画を



見たりするが、今考えても、そんな大きさではなかったという。



胴回りが、直径で1メートル以上あり、その長さは、優に電車



1輌分以上あった。



そして、顔の部分は、ワンボックスカーくらいあり、そこに付いている



目は、白くギラギラと光っていた。



彼が見たのはそこまでだった。



彼は、そのまま意識を失った。



そして、それは、森の中に隠れていた友達も同じだったようだ。



次に目が覚めたとき、彼は友達に揺り起こされていた。



そして、森の中に居た友達全員が目を覚ますと、そこで彼らは



先ほど見た巨大すぎる大蛇の話で持ちきりになった。



どうやら、先ほどの大蛇を見たのは彼だけではなかったようだった。



そして、誰かが、



あっ・・・あいつは?



そう言った。



勿論、あいつというのは、かくれんぼの鬼役だった友達の事だった。



彼らは恐る恐る森の中から出て行くと、全員で、その友達を探した。



しかし、どれだけ探しても、その友達の姿は見つからなかった。



もしかしたら、さっきの蛇を見て、さっさと逃げ帰ったのかも・・・。



そう思って、彼らは帰路に就いた。



しかし、村に戻っても、その友達はまだ帰って来てはいなかった。



彼らは、急いで親に、友達が行方不明になった事を伝えた。



しかし、禁じなれていた神社で遊んでいたという事は、絶対に



言わなかったという。



それから、村中の大人達が、その子供を捜したが、結局、その子供は



見つからなかった。



そして、それから何日かが経った日の夜。



何かが家の周りをズルッズルッと動き回る音がしたという。



それは、とても大きな音だったが、大人達は、誰もそれを確認しようとはせず、



ただ、じっと家の中で声を殺してその音が消えるのを待っていたという。



まるで、その音の主を分かっているかのように・・・・。



その音は明け方まで続いたらしいが、結局、朝になって、彼らは、親達に



こっぴどく叱られる事になる。



山の中の神社に行ったのが完全にバレてしまっていた。



彼らは、泣いて謝ったが、事はそれほど単純なものではなかった。



親たちは、家の周りに、目張りをして、家も補強した。



そして、何処からか沢山のお坊さんを呼んで、一日中、何かをしていた。



そして、翌日の夜、それは現れた。



ごめんください・・・・・。



それは女の声だった。



目張りした玄関のガラス戸の隙間から、その女が白い服を着た



巫女の様に見えたという。



ごめんください・・・・。



ごめんください・・・。



その声は、朝になるまで続いたという。



そして、それからは、昼間でも外出出来ない日が続いた。



村は完全に、無人の村のように静まり返っていた。



そして、翌日の夜にも、その女はやってきた。



その時は、村中の家が全ての明かりを消して、そして息を殺して



絶えるしかなかったという。



結局、そんな日が7日間続いた後、その女は現れなくなった。



そして、村にも平穏が戻ってきた。



その頃になると、その神社に行った子供達は、全員が頭を刈られ、



反省をする毎日を送らされた。



彼らとしても、最初は、神社に行っただなのに・・・と思っていたらしいが、



大人達が、行方不明になった子供は、二度と帰ってこないだろう、と



話しているのを聞いて、彼らも本気で後悔の日々を過ごした。



それからは、彼らは、決して山には近づかなくなった。



山、そしてあの大蛇の事を考えると、怖くて近づけなくなっていた。



そして、親達が、行ってはいけないという場所には決して



近づかなくなった。



そんなある日、彼らが近くの川で遊んでいたときの事だった。



川の中で遊んでいた彼らの前方で、急に何かが川面から起き上がってきた。



それは、忘れようとしても決して忘れられないものだった。



あの巨大すぎる蛇・・・。



それが、川面から頭を上げて、彼らの方にゆっくりと近づいてきた。



誰も逃げなかった。



いや、恐怖で完全に体が固まってしまい、逃げられなかった。



間近で見ると、化け物としか見えない、その巨大な大蛇は、彼ら一人ひとり



のすぐ側を泳いだ後、彼らの周りをぐるぐると泳ぎ続けた。



彼も、泣き叫びそうになっていたが、それでも必死に我慢した。



泣き叫べば、そのまま飲み込まれてしまう・・・。



そんな確信があった。



そして、その大蛇は、何周かグルグルと回った後、ゆっくりと川の中に



消えていったという。



それから、彼らは急いで川から上がると、全員が家に逃げ帰った。



しかし、それからは、二度と、その大蛇の姿を見る事は無かったという。



彼は言っていた。



きっと、あの大蛇は、まだ、あの土地に生きている筈だ、と。



そして、行方不明になった子供は、今でも見つかっていないそうだ。


Posted by 細田塗料株式会社 at 00:04│Comments(0)
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