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2018年11月10日

汚い飲み屋で出会った・・・・。

金沢市の片町。



その外れに新天地という古い造りの店が立ち並んでいる一角が在る。



そして、そこよりも、更に場末に行くと、味食街という場所がある。



ここは、もう古いを通り越して、申し訳ないが汚いという表現が



ぴったりの店が立ち並んでいる。



まあ、店というよりも、その狭さからいうと、「動かない屋台」という



方がしっくりとくるかもしれない。



実は、俺が片町を訪れるようになった頃、最初にお客さんに連れてきて



もらったのが、この味食街だった。



お店の名前は出さないが、おかみさん1人でやっているお店だった。



狭く汚く、古く、そして、若い客など、誰もいなかった。



当時、俺はまだ社会人3年生くらいであり、まだまだ若い女性が



居るお店で飲みたい年頃だったのかもしれない。



しかし、それからも、俺は1人で足繁く、その味食街に通うようになった。



それは、とにかく何を食べても安いのだ。



金曜・土曜でも夕方から飲み始めて、閉店の午前1時頃まで入り浸って



いても、会計の際に提示される金額は、2000円でお釣りがくるほど



だった。



そして、もう1つ、俺を驚かせた事があった。



それは、こんな出来事だった。



ある時、俺が1人で夕方から飲んでいると、二人の年配の男性が



入ってきた。



あら・・・お久しぶり!



というおかみさんの言葉に、



いや~、最近忙しくって・・・。でも、やっぱり良いね。この店は・・・。



と気軽に答えている。



当然、俺は、古くからの常連客だと思い、話に入らないようにしていると、



あっ、こちらさんは、最近の常連さんかな・・・。



どうも、はじめまして・・・宜しくお願い致します。



と、どう見ても、どこかの若造としか見えなかったはずの俺に対して妙に



低姿勢で接してくる。



そんな感じだったから、俺は少しいい気になってしまい、かなり生意気な



事も恥ずかしげもなく話したりしていた。



だから年寄りは駄目なんですよ・・・とか



これからの日本の会社は、こんな感じにならないと・・・。



などと、今思い出すと穴があったら入りたい気持ちになる。



それでも、そんな俺の戯言にも、その年配の男性は、



確かにそうかもしれないですねよね・・・とか



勉強になります!



とあくまで低姿勢を貫き通すものだから、俺も更に好き勝手な事を



言う様になっていった。



自分は将来、絶対に社長になれるはず・・・・とか



俺が社長になったら、こんな会社にするんだ・・・とか。



厚顔無恥という恥ずかしい態度だったかもしれない。



しかも、そんな年配の常連客は1人ではなく、その他にも沢山いた。



そして、その誰もが、皆、俺に対して低姿勢で穏やかに接してくれた。



そんな感じだったから、いつしか俺はその店に行くのが週末の楽しみ



になってしまう。



そんな週末がどれだけ続いただろうか・・・。



ある時、その店の常連客が、久しぶりに顔を出した。



年齢は40代くらいで、それなりに大きな会社の部長さんだった。



俺は、以前、その男性にその店で知り合い、色々と仕事の相談もさせて



貰ったことがあった。



だから、久しぶりに見た顔に、



あっ、お久しぶりです。



と立ち上がって挨拶した。



すると、その男性は俺に手を上げて挨拶すると、おかみさんに、こう言った。



最近、社長さん達が、また来てるって話を聞いたんだけど?



.すると、おかみさんは俺の方を見て、



Kちゃんのお弟子さんだもんね~(笑)



と言った。



俺の弟子?誰だそいつ・・・。



俺がそんな風に思っていると、お店の引き戸が開いて、いつもの年配の



男性が連なって入ってくる。



そして、それを見た、常連の男性は、



あっ、ご無沙汰しております!



と言って、席を立ち挨拶する。



馬鹿な俺は、それでも気付かず、それからの店の中は、



年配男性たちに、媚びへつらうその常連部長と、年配男性達に、生意気な



口調で話す俺、というとても不思議な空間になってしまった。



そして、それから何時間か経過した頃、俺以外のお客が一斉に帰って行った。



それじゃね~・・・おやすみ~



と挨拶する俺に、おかみさんが言った。



これは絶対に言うなって言われてたんだけどね。



ここに座ってたのが○○の社長さん、そしてその隣が○○○の社長さん、



そして、更に隣が○○○○○の会長さんで・・・・と。



そこで出てきた会社名は、俺レベルの田舎者にでも分かる程の



大きな会社であり、仕事で訪問したとしても、門前払いされる様な



一部上場会社ばかりだった。



そして、おかみさんが続ける。



なんか、Kちゃんと飲むのが楽しいみたいでね。



身分を知って態度が変わったら、それは悲しいことだから、絶対に



Kちゃんには言うなって言われてたんだけどね・・・。



それにね・・・・。



というので、俺は、



それじゃ、残り二人の人も、社長さんなの?



と聞くと、



ああ・・やっばりKちゃんには見えてたんだね(笑)



そうよ。あの二人も元社長さんだよ。



そう言われ、俺が、元って?と聞くと



だって、死んじゃってるからね・・・・。



もう随分前に・・・・。



と少し寂しそうに言われてしまった。



そして、



生きている人と死んでしまった人が一緒に飲んでるって不思議でしょ?



でも、そういう事もあるから、人生って不思議で楽しいのかもよ。



この飲み屋街では、そんな事が昔から起こるのよ・・・。



だから、Kちゃんも、あの人達が死んでしまっている事も、そして



社長さんたって事も知らないフリでお願いね!



そう言われた。



その時のショックはかなりのものだった。



あの人達が既に死んでしまった人達だ、という悲しさと驚き。



そして、どうして自分なんかに優しく接してくれたのか?という



不思議さ。



でも、何故か、とても温かい気持ちになれたのは言うまでも無い。



それから、しばらくして俺は片町に出る事が無くなってしまった。



それは、その飲み屋街が、雑誌などに取り上げられて観光客で



賑わう様になつてしまったからなのだが・・・。、



ただ、それからかなりの年月が経った今、もう一度あの社長さん達と、



一緒に飲んでみたいと思っている。



あの店はもう無くなってしまったが、それでも、あの辺の店を回ってみたら



もしかして、あの社長さん達とバッタリ出会いそうな気がしてならないから。



もっとも、あの方たちが、死んでしまっているとはいえ、皆が大社長



さん達だと知ってしまった今では、あんな態度で自然に接する



自信は無いのだが・・・・。



亡くなられた方は、もしかすると、ほんのすぐ傍で、今も元気に



生前のお気に入りスポットに顔をだしているのかもしれない。



気付かないだけで・・・・。


Posted by 細田塗料株式会社 at 00:33│Comments(0)
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