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2018年11月10日

その部屋から出てはいけない

これは知人が体験した話。



その日彼は急な出張が決まり、ネットで宿を探していた。



しかし、どこのビジネスホテルを見ても、満室。



ちょうど、行楽シーズンだった為、ビジネスホテルにも、一般客が



流れ込んでしまい、カプセルホテルすら空いていない状態。



これは、車中泊も覚悟しないといけないかな、と思っていると、



同僚が、こんな事を聞いてきたという。



それは、



夜、決して自分の部屋から出てはいけない・・・。



この約束が守れるか?



そんな内容だった。



その時、困り果てていた彼は、



もう、普通にベッドで寝られるのなら、どんな約束だって守るよ!



そう返したという。



すると、同僚は、それなら、という事で、何処かに電話をかけた。



そして、何やら話していたが、それでも暫くして電話を切ると、



うん・・・ホテル、予約出来たぞ!



そんな言葉が返って来た。



全く訳が分からなかった彼は、その同僚に尋ねた。



どこのホテルを見ても満室状態なのに、いったいどうやって宿を



予約出来たのか?と。



すると、どうやら、その同僚も、彼と同じ出張先で宿が取れずに



困っていた時、偶然、現地で聞いてみたところ、なんと宿が取れた、



という事だった。



そして、その時、言われたのが、



その部屋は通常は絶対にご案内しない部屋なのですが、とてもお困りの



様ですので今回は特別にその部屋をお使いください。



ただし、夜になったら、何があろうと絶対にご自分の泊っている部屋から



廊下には出ないでください。



それが、その部屋をお使い頂く上でのお約束になります。



そして、万が一、その約束を破られて、そこで何が起こっても全て



自己責任という事になりますので・・・・・。



そんな内容だったという。



そして、その同僚は、しっかりとその約束を守った。



最初は、いわくつきの部屋なのだろう、と思っていた同僚も、その快適な



部屋にとても満足してしまい、それから2度ほどその部屋を使わせて



貰っているのだという。



ただ、その同僚がその部屋に泊まった時には何も異変は起こらなかったらしく、



どうして、その部屋から出てはいけないのか?については、全く分からない。



そう言っていた。



それでも、ようやく宿泊先が決まり彼は安心して出張に出かける準備をした。



当日は車で現地に入り、客先を何軒か回ってから、教えられたホテルに



到着したのが、午後6時頃だった。



そして、ホテルのフロントで、紹介してくれた同僚の名前を出すと



すぐにルームキーを出してくれた。



そして、長々とフロントで同僚から聞かされていた約束事を聞かされる



のかと思っていたが、予想を反してすぐに部屋へと案内された。



そのホテルはビジネスホテルというには、かなり豪華であり、利用している



客層も、かなりリッチな客が多い様に見えたという。



そして、普通はビジネスホテルの場合、ルームキーを渡されてから



自分一人で部屋まで行くのが当たり前なのだが、何故かその時は



ホテルマンが一人、彼を部屋まで案内してくれたという。



最上階から一つ下の階でエレベータを降りると、そこから真っ赤な



絨毯が敷き詰めらたれ長い廊下を歩いて行った。



そのホテルはかなり広いらしく、どこまで行っても廊下の左右には



ドアが延々と続いていた。



そして、そのドアが途切れ、それから、かなり歩いた先にその部屋のドアが



あった。



明らかに他の部屋とは雰囲気が違っていた。



他の部屋よりも、大きく重そうなドアを開けると、そこにはかなり広い



スペースの部屋が広がっていた。



あっ・・・この部屋はきっとスペシャルな部屋なんだろうな・・・。



彼はそう思ったという。



そして、部屋に入ると、ホテルマンがこう話しだしたという。



こちらが、本日お泊り頂く部屋になります。



ところで、お客様、夕飯は既にお済みでしょうか?



もし、まだのようでしたら、速やかに夕飯を御済ませください。



そして、ご入り用な物も、事前にご購入ください・・・。



午後9時を回ると、こちらの部屋ではルームサービスもご利用いただけません。



つまり、私どもホテルマンがこの部屋を訪れる事は絶対にありません。



そして、それ以後の部屋からの外出も絶対にお控えください。



それは、お客様の身を護るだけでなく、この部屋を提供させて頂いた



私どもへのマナーの意味もございますので・・・。



例え、自己責任といっても、この部屋でお客様の身に何かが起こるのは



私どもと致しましても、絶対に避けたいと思いますので・・。



ですので、絶対による9時を回られてからは、部屋のドアを開ける事も



ドアから廊下へ出る事も絶対にお止めください。



万が一のことがあり、お客様が助けを求められても、当ホテルの従業員は



一切対応致しかねますので・・・。



そう言われたという。



これが、同僚の言っていた約束というやつか・・・・。



彼はそう思ったという。



しかし、同僚の話では、数回泊まったが、何も起こらなかったという事を



聞いていた彼は、その言葉に、しっかりと頷いて応えたという。



そして、彼は、荷物を部屋に置くと、そのまま外出し、夕飯を済ませ



ビールとつまみを買ってきて部屋に戻った。



部屋に戻ると、時刻は午後8時を少し回ったくらいだった。



彼は、シャワーを浴びるとテレビをつけ、ベッドの上に横になって



買ってきた缶ビールを飲み始める。



350mlの缶ビールの3本目を飲み始めた頃には、昼間の仕事の疲れ



からか、かなり酔いが回ってしまった。



そして、彼は、そのまま知らないうちに眠ってしまった。



心地良い眠りに就いた彼は、先刻、ホテルマンから聞かされていた



話への警戒心など、すっかり消えてしまっていた。



そして、彼は、ドアをノックする音で眠りから目覚めた。



時計を見ると、時刻は既に午前0時を少しだけ回っていた。



部屋の明かりも、そしてテレビも点けっぱなしになっていたが、何故か



テレビの画面は砂嵐状態で、何の放送も映ってはいなかった。



そして、また、ドアをノックする音が聞こえた。



彼は、リモコンでテレビの電源を消して、ドアに神経を集中させた。



コンコン・・・・コンコン・・・・・。



確かに、誰かがドアをノックしている。



彼はおもむろにベッドから起き上がると、ドアの方へと近づいていく。



そして、



はい?誰ですか?こんな時間に・・・・。



とドアの外にいる者に向かって声をかけた。



しかし、返事は無く、またノックの音だけが聞こえた。



彼は少し気分を害し、



ちょっと、いい加減にしてよ!何時だと思ってるの!



そう声を荒げると、ドアのロックを解除して、ドアのノブに手をかけた。



そこで、彼は、あの時ホテルマンが言っていた事を思い出した。



ホテルマンがこの部屋を訪れる事は絶対に無いって言ってたよな?



だとしたら、ドアの向こうにいるのは誰なんだ?



そう考えると、彼は得体の知れない状況に、気味悪さを感じた。



だから、一度開けたドアのロックをそーっと、もう一度掛け直した。



その瞬間、突然、ドアの部がガチャガチャと音を立てて回った。



彼は驚いて思わず、後ずさりしてしまった。



そして、ドアの向こうから声が聞こえてきた。



この部屋は私の部屋!



早く部屋の中に入れなさい!



それは女の声だった。



ただ、明らかに幽霊ではなく、人間の声に聞こえたという。



どっかの部屋に泊ってる女が酔っ払って自分の部屋を間違えてるのか?



それとも、メンヘラ系の女なのか?



そう思った彼は、



この部屋は俺が予約した部屋ですから・・・・。



貴女こそ、部屋番号を間違えてるんじゃないですか?



そう冷たい口調で言ったという。



すると、その女は突然、口調が激変し、ゲラゲラと笑いだし、



そうか、今夜はこの部屋に泊ってるんだな?



そうか・・・・そうか・・・・。



と汚い口調で返してきた。



彼は完全に頭に血がのぼってしまい、



あんた、頭がおかしいのか!



他の部屋の客にも迷惑だ!



早くどっかに行けよ!



そう返した。



すると、ドアの向こうからは、何も聞こえなくなった。



なんで、あんな変な女が、ホテル内をうろついてるんだ!



彼は、すぐにフロントに電話をかけたが、何故か繋がらない。



そして、思い出した。



”一切対応しない”というのは、こういう意味なのか、と。



彼はもう一度ドアの方に近づくと、ドアに耳を当てて、外の様子に



聞き耳をたてた。



しかし、相変わらず、何の音も聞こえてはこない。



彼は、そのまま寝るのも気持ち悪かったので、ドアのロックを静かに外した。



いつもの癖で、キーチェーンを繋いだままで・・・・。



すると、突然、ドアノブが回り、ドアが凄い勢いで開かれた。



キーチェーンで繋がれたままのドアは大きな音を立てて、少しだけ開いた



状態で止まった。



彼は、突然の出来事に、心臓が凄い勢いで脈打っていた。



そして、その少しだけ開いたドアの間から、女の顔が勢いよく現れた。



年齢が判断できない顔であり、帽子を被ったその顔は、皮膚が焼けただれ



所々が紫色に変色していたという。



そして、その顔が大きく開かれ、ゲラゲラと笑った。



その姿を見て、彼はそれが、人間ではないと確信したという。



うわぁ~!



思わず大声をあげて、尻もちをついてしまった彼の眼には、ドアの隙間から



伸びてきた手が、ドアのキーチェーンを外そうと、うごめいているのが



見えた。



在り得ない程、長く細い腕だった。



関節とか骨とかいうものを全く感じさせないような腕の動きだった。



彼はしばらくの間、その手の動きを茫然と見ていたが、やはり命の危険を



感じたのだろう。



一気に起き上がると、ドアの方へと突進し、ドアに体当たりする様にして



ドアを閉めた。



その女の腕がドアに挟まり、何か液体の様なものが滴り落ちた。



しかし、その女は痛みというものを感じないのか、自分の腕がドアに



挟まれたのが、嬉しくて仕方ないと言った感じに、更にゲラゲラと



笑ってくる。



そして、ドアに挟まれたその腕も、まるで動じないかのように、うねうねと



自由に動き回っている。



バケモノ・・・・。



そんな表現しか、頭に浮かばなかったという。



このままでは、いつかドアが開けられてしまう・・・。



そう思った彼は、無意識にドアを自分から開けて、その隙間から、その



女の体を思いっきり足で突き飛ばした。



その咄嗟の機転は功を奏し、その女の腕は、ドアの隙間から消えていった。



その瞬間、彼は、ドアを閉め、すかさずドアをロックした。



彼は、そのままベッドに潜り込んだ。



そして、蒲団をかぶって、必死にお経らしきものを唱え続けた。



その間、今度は、ドアをドンドンと叩く音が聞こえていたが、彼は



自分がいる部屋のドアが他の部屋とは違いとても頑丈なのを確認していた。



だから、よもや、そのドアが破られる事は無い、と願いつつ、必死に



お経を唱え続けた。



凄まじい恐怖だったのだろう。



彼は、そのまま体中の力が抜けるように、意識を失ってしまう。



そして、朝の日差しで彼は眼を覚ます。



何故か部屋中に、焦げ臭い匂いが充満しており、彼の寝ていベッドの



隣が緑色に変色しており、その部分だけが、まるで氷の様に冷たかった。



ハッと我に返った彼は、急いでベッドから起き上がると、一気にドアの



所まで走り寄った。



ドアの鍵が開いた状態になっていた。



あの女は、ドアの鍵を開けて、部屋に入って来た・・・・。



そして、ついさっきまで、俺の隣で寝ていたのか・・・・。



そう考えると、もうその部屋には居られなかった。



彼は、浴衣姿のまま、1階のフロントまで降りると、其処にいたホテルマンに



事情を説明し、部屋から荷物を持って来て貰った。



そして、そのまま、逃げるようにチェックアウトをし、そのホテルから



立ち去った。



そして、彼は今でもある異変を感じているのだという。



それは、自宅の部屋で寝ていても、朝起きると、焦げ臭いにおいが



充満している時があり、そして、彼のベッドの一部分が冷たくなっている



のだそうだ。



もしかしたら、あの女が着いてきてしまつたのかもしれない・・・。



そう言って、怯えていた。



しかし、それ以後も、彼の同僚は、そのホテルを何度も利用しているが、



怪異というものには、一切遭っていないということである。



だから、



彼だけがどうして?



そう思わずにはいられないのである。



彼が犯してしまい、同僚が犯していない禁忌とは、いったい何なのだろうか?





Posted by 細田塗料株式会社 at 08:56│Comments(0)
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