2018年11月10日

新築の家

彼女は俺の古い友人。



彼女も昔、バイクに乗っていた時期があり、その頃から細く長く



付き合いが続いている。



彼女の夫も、バイクに乗っていた時期があるようで、そのおとなしく



控え目な性格もあってか、俺との相性はすこぶる良い。



そんな彼ら夫婦は、結婚した際、親がそれまで住んでいた家をそのまま



譲り受け、そこでの生活をスタートさせた。



その家自体は古いものだったが、それなりに立地もよく生活の便も



良かったから、かなり気に入っていたようだ。



しかし、古い家なりに、色々と不便なところもあり、雨漏りや



壁の劣化などもあり、思い切って家を建て替える事にした。



色々な住宅メーカーをまわり検討した結果、デザインと機能性が



決め手となり、ある住宅メーカーに決めた。



35年ローンでの新居購入だったので、かなり悩んだらしいが、



それでも、新らしい生活のスタートに胸を弾ませていたようだ。



家を建て替えている間は、夫の家に間借りした。



慣れない嫁姑の関係に戸惑いもしたが、それでも新居は4か月



程で無事に完成し、彼らは、すぐに引っ越しをし、新居での



生活が始まった。



対面式のキッチンや、床暖房、そしてオール電化と、かなり凝った



造りの家であり、彼らは、友人達を招いては、彼らの新居をお披露目



していた。



まさに幸せの絶頂だったのかもしれない。



それから、彼らの家では怪異が頻発するようになる。



最初は、ほんの思い過ごしかと思ったという。



誰もいない廊下から人が歩くような音が聞こえてきたのだ。



しかし、それはどんどんとエスカレートしていく。



階段をのぼる音が聞こえる。



誰もいない筈の2階から物音が聞こえる。



1人で部屋にいると、ドアをノックされる。



それは気のせいといえるレベルの事なのかもしれないが、彼らにとっては



非常事態だった。



それまで、同じ場所に建っていた古い家ではそんな事は一度も起こらなかった。



そして、今住んでいる新居も、以前の家の場所に立て替えをしただけ。



だから、土地がらみの怪異という事は考えられなかった。



しかも、35年ローンで建てた新居。



簡単に逃げ出すわけにはいかなかった。



だから、必死に対抗策を講じた。



家の隅々に、霊験あらたかな粗塩を置いて家中の気を清めた。



それは、相談した神社から勧められた方法だった。



そして、確かに、ほんのしばらくの間は怪異は治まっていた。



しかし、すぐにまた怪異は起こり始める。



更に恐ろしく顕著な形で・・・。



突然、2階のガラスが割れて飛び散った。



それはよく見ると、間違いなく外からではなく内側から割られた



形跡があった。



突然、2階の部屋に置いてあるコンポが大音量で鳴り始めた。



急いで止めに行くと、セットした覚えの無いCDがセットされており、



音量はフルボリュームになっていた。



2階の部屋で、彼女が掃除していると、突然、ドアが凄まじい力で



ドン!ドン!と叩かれた。



恐る恐るドアを開けると、そこには、廊下が水でびっしょりと濡れていた。



そして、その頃になると、個室に一人きりで居る事自体が恐ろしくて



堪らなくなっていた彼女は、トイレに入った際、ドアを閉めず少しだけ



開けていたそうなのだが、誰かの視線を感じ、ふと顔をあげると、



其処には、ドアの隙間から彼女を覗き込んでいる女が立っていたという。



彼女は声にならないような悲鳴をあげて、そのまま失神した。



そんな事が続き、彼らは疲弊しきっていたのだろう。



俺が彼らの家に遊びに行った際、どこか暗い顔の二人に違和感を感じた



俺は、



なにかあったの?



と聞いてみた。



すると、そこで初めてその家で起こっている事を打ち明けてくれた。



俺は、急いでAさんに電話をかけた。



そして、Aさんに助けを求めた。



しかし、Aさんは、かなり忙しいらしくなかなか、首を縦に振ってくれない。



だから、俺は、



35年ローンがかかってるんだから、もっと親身になってよ!



と語気を強めた。



すると、Aさんは、少し黙ったままでいたが、すぐにこう言ってきた。



実は、さっきからずっとKさんの電話の後ろで女の笑い声が聞こえてるんですよ。



うふふ・・・うふふふ・・・・って。



そう言われ、俺はスマホを耳から離して聞き耳をたてたが、俺には



何も聞こえない。



そして、Aさんは、こう続けた。



良いですか。



今から言う通りにしてくださいね。



たぶん、それで解決するはずですから・・・。



2階の寝室に出窓が付いてると思うんですけど、その出窓のちょうど



真下の壁。



そこをぶち破ってみてください。



本当は私がぶち破りたい所なんですけど、今回はKさんに譲りますから。



そう言われ、俺は、



別に俺はAさんと違って破壊でストレス発散出来るタイプじゃないんだけど?



それに嫌だよ!



新居の壁をぶち破るなんて・・・・。



そう言うと、Aさんは、



でも、その壁を壊さないと永遠に解決しませんよ。



だから、さっさと壁をぶち壊して、その中に在る物を取っ払ってしまって



ください!



そう言って一方的に電話が切られてしまった。



俺は、さすがに言いずらかったが、彼らに、その電話の内容を



伝えた。



すると、彼らは、気にせず、すぐにぶち壊してくれ!



そう言ってきた。



そこで、俺は、彼女の夫にも手伝ってもらって、なんとか壁を壊すことが



出来た。



そして、そこで俺達が見たものとは・・・・。



壁の内側にある柱に、あるものが打ちつけられていた。



それは、長い髪を巻きつけた太い五寸釘と、『呪』と書かれたお札だった。



俺は、実は触るのも嫌だったのだが、彼らの不安そうな顔を見ていると、



放っておくわけにもいかず、それをなんとか撤去した。



そして、それを撤去する際、一瞬、地震かと思ってしまうほど、



家が揺れた。



そして、それを取り払ってからは彼らの家で怪異は一切起こってはいない。



しかし、やはり疑問が残る。



一体誰が何の目的でそれを家の柱に打ち付けたのかという事。



しかも、家が建ってからでは、到底、そんなものを打ち付ける事は



出来ない。



だとしたら、家を建てている最中に、それは柱に打ち付けられた事に



なるのだが・・・・。





Posted by 細田塗料株式会社 at 08:58│Comments(0)
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