2018年11月10日

猫○目の交差点

石川県に猫の目ICという所がある。



正式には、のと里山海道(旧能登海浜道路)の柳田ICという名前



らしいが、俺が小さな頃から、そこは何故か猫の目と呼ばれている。



現在、のと里山海道という名称になったにも拘わらず、相変わらず、



柳田IC(猫の目)と案内板には書かれている。



実は、ここにある猫の目の交差点というのは、ずっと昔から事故多発地帯。



そして、それと同時に、そこには女の幽霊が現れるというのが、かなり



有名な話である。



だから、子供の頃、俺はそこを通るのが嫌だった。



父親が運転する車であり、厳格な父にはそんな我儘が通用する等とは



思ってはいなかったが、それでも、出来る限りの抵抗をした。



勿論、それは最初の頃は単に噂が恐ろしかっただけだったのだが、そのうち、



その交差点を通ると、必ず俺には、その女の幽霊と言われているものが



見えていたからなのだ。



その女は、いつも同じ場所にはいなかった。



あっ、今日はいない・・・。



そう思っても、交差点の別の道の脇に、その女は立っていた。



まるで何かを探しているかのように・・・・。



良く霊感が強くなっていくと、幽霊がまるで普通に生きている人間と



同じように見える、という話を聞く。



それは、俺の同意見だ。



別に透けている訳でもなく、普通にも街の中に景色に、当たり前の様に



存在している。



じっと動かないものをいれば、同じ場所を何度も行き来しているものも居る。



服装だって、きっと生きていた時と同じ普通の服装であり、俺の様な



中途半端な霊感では、その見分けすらつかない程である。



しかし、その交差点に出る霊は違っていた。



一目見ただけでそれが人間ではないと分かる違和感。



白装束を着て、細い体で、じっと立ち続けている。



その顔は、俗にいう幽霊画というものに出てくる様な不気味さ。



だから、霊観の在る人が、その姿を見てしまったら、思わず悲鳴を



あげてしまうかもしれない。



そして、車が信号で止まると、スーッと滑るように車に近づいて



車内を覗き込む。



その様子は、例え自分の車に近づいてきたのではなくても、とても不気味な



ものだ。



だから、俺は極力、その道を通らないように、父親に頼んだ。



しかし、頑固な父は決して俺の頼みをきいてはくれなかった。



確かに、その頃の道路事情は、かなり限定されていたから、その交差点を



通らないと、母親の田舎にいけなかったというのも、その理由では



あるのだが・・・。



しかし、慣れというものは、不思議なもので何度も、その女の幽霊を



見ているうちに、俺は気持ちに余裕が出てきたのかもしれない。



だから、いつしか、その交差点を通ると、



あっ、またあの女の人がいる・・・・。



とぼんやりと眺める事もあった。



そして、そうやって見たいると、その女の幽霊の特徴みたいなものが



少しだけ分かってきた。



・片足が悪いのか、移動するときには、足を引きずるようにしていた。



・髪に隠れて見えないだけだと思っていたその女の眼は、片目しか



無かった。



・白装束だと思っていたその女の服装は、実は薄い青色だった。



などなど、良く観察したな、と自分でも驚くほどである。



ただ、やはり信号で止まった車の方へ近づいてくる習性があるのか、



自分の乗った車が信号で止まった時には、じっと俯いたまま、車が



動き出すのをひたすら待った。



そして、一度だけ、車が動き出し、安心して顔をあげると、車の横に



張り付くようにして、その女の顔があった時には、思わず大きな声を



あげてしまった。



そして、これは俺が社会人になってからの話だ。



その時、母親の実家に届け物があり、俺は、うっかりとその交差点を



利用してしまった。



そして、最悪な事に、信号にも掴まってしまう。



俺は焦って、その女の姿を探した。



しかし、交差点の何処を見回しても、その女の姿はなかった。



長い年月の間に、風化していったのかな?



信号が青になる。



俺は、ホッとして車を発進させた。



怖い怖いと思ってるから、怖くなるんだ・・・・。



そう思った俺は何気にルームミラーを見た。



すると、そこには、紛れもなく、白装束を着た、あの女が後部座席に



座っていた。



後部座席に姿勢よく座り、まっすくに前を向いたまま、カッと目を見開いて



いる、その女の姿に



俺は、思わず、



ヒッ!



と小さな声が漏れてしまう。



そして、俺は、もう一度、ルームミラーを確認した。



すると、やはり、その女は先ほどと変わらず、まっすぐに前を向いている。



その姿を見た時、俺はある噂を思い出した。



それは、その女の幽霊を車に乗せてしまったら間違いなく事故を



起こしてしまうという事だった。



俺の頭は完全にパニックになっていた。



どうする?



どうすれば良い?



考えた結果、俺は、その交差点の近くにある、有名なお寺に車を



走らせることを思いついた。



何の根拠も無かった。



しかし、それ以外に何も妙案は浮かばなかった。



俺は事故を起こさないように、それでいて、少しでも早くその女を



車から降ろしたい一心で、慎重に、そしてそれなりの速度で車を



走らせた。



そして、そのお寺の門が見えてきたとき、俺が運転する車は俺の意志ではなく



ひとりでに速度を落とし、そのまま停車した。



恐る恐る、ルームミラーを見た俺の目に、もうその女の姿は無かった。



そして、横を見ると、先ほどまで、車の後部座席に乗っていたばすの



女が、お寺の境内に続く石の道をゆらゆらと歩いているのが見えた。



俺は、静かにゆっくりと車を方向転換させて、その場から車で



立ち去った。



そして、それから無事に母親の実家に届け物をして、帰路に着いた。



帰りは生憎の雨模様だった。



そして、金沢市に入った頃にはかなりの土砂降りになっていた。



俺は走り慣れた道をいつものように走っていた。



すると、突然、車が水たまりに乗ってしまったのか、そのままクルリと



スピンして、中央分離帯を乗り越え、反対車線に飛び出した。



それでも、それなりにスピードも出ていたのか、車はそのまま止まらなかった。



何故かワイパーを掛けているのに、前方の視界が全く見えなかった。



俺は、ただひたすらブレーキペダルを踏み続けていた。



そして、かなりの距離を走った後、車は停車してくれた。



恐怖でドキドキしていた俺は、すぐに車から出て、状況を確認した。



すると、中古車屋のショールームのガラスまであと50センチ位のところで



車はギリギリ停車していた。



あのまま、ガラスに突っ込んでいたら・・・。



もしかすると、あの女を乗せたからなのか?



そんな事を考えると、その夜は恐怖で全く眠れなかった。



その交差点では現在でも幽霊の目撃談が後を絶たない・・・・。


Posted by 細田塗料株式会社 at 09:08│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

count