2018年11月10日

友達という力

最初にその女の子を見た時、その大人びた雰囲気に圧倒された。



その女の子とは、友人の看護師の依頼で会う事になった。



その女の子は、ちょうど大学生くらいだろうか・・・。



内臓疾患で入院していた彼女は、いつしか自分は死ぬのだと思い始めたらしい。



実際には命に別条があるほどの病気ではなかった様だが、長い入院と



リハビリ、そして何度かの手術が必要な事は間違いなかった。



いつしか、学校に通う事も無くなり、病院での生活が当たり前になった。



そして、そんな暮らしをしていると、塞ぎこんでしまうのは理解できた。



しかし、そんな彼女の思いが、どんどん病気を悪化させ、精神的にも



追い込まれてしまう。



病状は悪化の一途をたどり、命さえ危ぶまれた。



そして、精神的にも病んでいった彼女には死神のようなものが見える



様になっていく。



そして、自分で出した答えが、



自分はもうすぐ死んでこの世から無くなるんだ・・・・。



というものだった。



ただ、彼女には実際に死神が見えていた様であり、時折、悲鳴のように



叫ぶこともあり、周りは患者たちは彼女を避け、医師や看護師すら、



ある意味、彼女に対して一定の距離を置くようになっていった。



そんな彼女を見かねて、俺の友人の看護師が俺に助けを求めてきた。



本当に死神がいるのか?



いるとしたら、その死神というものから彼女を救う事は出来ないのか?と。



そこで、俺はいつものAさんに相談した。



その時、何故かAさんは、いつもとは違い、すぐに快く協力してくれる事に



なった。



そして、俺と一緒に病院に行き、彼女に面会した俺達だったが、その時、



Aさんは、



ああ・・・・これは難しいかもしれないですね・・・・。



とだけ言った。



俺達は場所を変えて、話す事にした。



俺はAさんに聞いた。



本当に彼女には死神が憑いているのか?と。



すると、Aさんは首を振りながらこう言った。



そりゃ、病院ですから死神もいますけどね・・・。



あいつらにとっては最高のテリトリーですから。



でも、彼女には死神はついていませんよ。



死神っていうのは、死んだ人、これから死んでいく人を導くものであって、



決して人を殺せる力はありませんしね・・・。



それに、いくら私でも死神とは対峙したくはありませんから。



アレは、霊とか、そういうもの値は違って、必然の存在であり、ある意味、



神ですから・・・。



浄化も出来ないし、消滅させることも出来ない。



だから、私でも勝ち目はありませんから・・・。



でもね・・・たまにいるんですよ。



いくら死神といっても感情があるみたいで・・・。



つまり、死んでしまう予定の人の寿命を延ばしてしまったり・・・。



そんな事をしたら、自分の身が危なくなるのに・・・ですよ。



だから、あいつらもそんなに嫌なだけの存在ではないんですよね。



人の生死を司ってる神ですから・・・。



だから、一生懸命生きようとしている者を助けたり、またその逆も



ありえますから・・。



要は生きたい、完治したい、と思わない者は、死亡者の候補リストに



載せられます。



そうなってしまうと、なかなか回復もしないし、病状は悪化の一途・・です。



つまり、今の彼女がそうなんですよね。



あの子も眼は行きたいという力が欠如しています。



もう諦めてしまってるというか、勝手に自分の死を悟ってるというか・・。



だから、このままでは本当に危険かも知れませんね・・・。



昔の私と同じ・・・です。



そう言った。



俺はすかさず、その言葉に聞き返した。



同じって、どういう事?と。



しかし、Aさんは、ぶっきら棒に



まあ、人にはそれぞれ色々な過去があるって事ですよ。



だから、という訳ではありませんけど、私は彼女を救いたいと思ってます。



Kさんはどうしますか?



と逆に聞き返された。



俺は、



勿論、俺も協力するに決まってるじゃない!



と言うと、Aさんはニッコリと笑って、



それじゃ、彼女に友達が出来るように力を貸してあげてください。



きっとあの子には友達といえる仲間がいないはずだから・・・。



それがどれだけ強い力なのかを先ず彼女に理解してもらわないと・・。



私は私にしか出来ない事をしますから・・・。



そう言われた。



俺は考えた末に病院内を回り、彼女と相性が良さそうな人を見つけては



声をかけた。



彼女と友達になってくれませんか?と。



毎日、仕事中、そして仕事が終わってから病院に行き、彼女の友達になって



くれる人を探し続けた。



本当の友達が一人でも見つかれば・・・。



そう思いながら。



そして、しばらく仕事が忙しくてなかなか病院に行けない日が続いたあと、



久しぶりに彼女の元を訪れた俺は思わず驚いてしまった。



彼女の病室が、友人達の溜まり場になってしまっていた。



同じ患者さんもいれば、私服の学生も、そして社会人らしき人もいた。



それを見て、看護師さん達も立場上、注意をしていたが、その顔は



どこか嬉しそうだった。



そして、彼女自身の顔も、それまでとは全く別人のように明るく自然に



笑顔がこぼれるようになっていた。



それを見て、安心した俺は、その場から立ち去ろうと廊下へ出た。



すると、廊下の向こうからAさんがこちらへと歩いてくる。



そして、その横にはにこにこと笑った姫の顔もあった。



本当に薄情な人ですね・・・。



全然、顔も出さないで・・・。



と冷たい目で見つめるAさん。



Kさん、お久しぶりです!



お元気そうで何よりです(笑)



と相変わらずの姫。



そして、Aさんは彼女の病室を見て、少しほほ笑むと俺をそのままその場から



連れ出して別の場所へと移動した。



そして、



もう大丈夫ですね!



あれだけ素敵な笑顔が出来ればもう大丈夫です!



彼女の事を大切だと思ってくれる人達のパワーが沢山彼女に注がれてますから。



どんな薬よりも、そういう力って凄いパワーを持つんです。



不可能を可能に帰る程の力を・・・。



とAさんが言う。



俺は得意げな顔で、



あのさ…今回は俺の大活躍って感じかな!



彼女に友達が沢山出来るように頑張ったんだからさ!



そう言うと、Aさんは、冷たい顔をして、



それはあくまできっかけだけですよ。



友達がたくさんできたのは、あくまで彼女の力なんですから・・・。



それに、彼女に纏わりついていた負のオーラを祓って、陽の気で満たしたのは



彼女自身の力。



まあ、私はなにもしてませんけどね!



と言い放つ。



すると、その後ろから姫が、



あの・・kさん。



Aさんも、かなり頑張ったんですよ~



病院中から負の要素を払拭したり・・・・。



それに、さっきは、死神に直談判してましたから。



あの子に何かしたら、私が黙ってないから・・・って。



例え、死神が相手でも、ただでは済まさないって。



まあ、死神さんも困った顔をしてましたけどね(笑)



それを聞いた、俺は、



やっぱり、あの子、死神に目を付けられていたの?



と聞くと、Aさんは、面倒くさそうに、



ああ・・・そういう予定は無いっ、て断言してましたから大丈夫です!



それに、彼女には大好きだった祖父母がずっと付いていてくれてますから、



もう安心ですね!



やっぱり負のオーラを取り払った私の功績という感じですかね・・・。



と自慢げに言っていた。



結局、その後、彼女は何度かの手術にも耐え、リハビリも頑張って予定よりも



早く退院し、今では普通の女性よりも元気な生活を送っているほどだ。





Posted by 細田塗料株式会社 at 09:12│Comments(0)
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