2018年11月10日

本当に危険な話

これは俺の体験談。



俺には絶対に誰にも話せない話というものを幾つか知っている。



その話に登場してくる人物、そして俺にこの話を聞かせてくれた人、そして



俺と一緒にこの話を聞いた者、全てに怪異が起こり霊障に悩まされ、



中には命を落とした者も一人や二人ではない。



そして、命を落とさないまでも、大怪我をしたり事故に遭った者まで含めると



それはほぼ100%になってしまう。



だから、俺はこれらの幾つかの話を絶対に伝えるつもりは無い。



語りもしたくないし、文章を読んで欲しくも無い。



ただ、それでも、不思議なもので、こういった禁忌の話をいつか忘れてしまう



事を心配している自分も確かに存在しているのだ。



だから、俺は何度かそういった話を出来るだけ正確に、そして詳細に



文章として残しておこうと思った。



決して人に見せない、それでいて、貴重な話として・・・・。



そして、これはそんな話を書いていた時に経験した話だ。



俺が知っている本当に危険極まりない話というのは全部で9話存在する。



そして、そんな話の中にも、その危険度は同一ではなく、人が多数亡くなった話も



あれば、人が死なないまでも、怪我人が続出した話もある。



その日は朝からとても天気がよく窓から差し込んでくる陽の光も眩しい



くらいに穏やかな秋の日だった。



そんな明るい雰囲気が俺の気持ちを魔が差したかのような衝動に突き動かした



のかもしれない。



俺はそのいくつかの話の中でも最も危険だと認識している話を書き記して



みようと思ってしまった。



他の家族も、既に出掛けており家には誰もいない。



万が一、何かが起こったとしても、自分だけが被害を被れば良い・・・。



そう思っていた。



話を書くのはいつもワープロソフトを使っている。



俺は、既に起ちあがっているたパソコンを一度再起動させる。



怖い話を書く時にはいつもこうするのが、自衛手段。



やはり、特定の話では、保存できなかったり途中でパソコンが固まったりという



トラブルを避ける為に自然に身についたルールだ。



ノートに書き留めてあった話を記憶を交えて文章に変えていく。



いつもと同じ作業なのに、必要以上に緊張している自分を感じながらも



キーボードを打ち続ける。



そもそも、そんな誰の目に触れる事など絶対に無い話を書き留めようとしている



しているという矛盾。



勿論、それらの禁忌の話は全て、墓場まで持っていくつもりなのに・・・。



それこそが、もしかしたら、俺に何かが作用していたのかもしれない。



前半の経緯の部分を書いているうちに、少しずつ天候が変わっていく。



あれわど晴れていた空が、明らかに曇っていた。



しかし、何故か俺にはその話を書くのが止められなかった。



いつもより、快調に筆が進み、どんどんと話の佳境に入っていく。



まるで、自分が書いているのではなく、誰かに書かされているかのような



錯覚に陥ってしまう。



その時、突然、階下からドンドンという音が聞こえた。



まあ、そんな事は怪談を書いている時には良くある事。



俺は特に気にも留めないでそのまま書き続ける。



窓を全開にして書いているせいか、部屋の中が異常に寒く感じた。



俺はまだ秋だというのに、部屋の暖房を点けた。



しかし、何故かエアコンから流れてくる風は、異常に冷たい。



俺はエアコンのリモコンを確認するが、しっかりと暖房と表示されている。



そのうち、暖かくなるのだろうと思い、俺はそのまま書き続けた。



すると、突然、1階の玄関のドアが開いたような音が聞こえる。



妻と娘が帰宅したのかと思って自室の窓から確認するが、妻の車は



駐車場には停まっていなかった。



確かに聞こえたんだけどなぁ・・・・。



そう思ったが、俺は再びパソコンに向かい話の続きを書き始める。



すると、今度は階段から、ミシッという音が聞こえ、その後、トンッという



音が聞こえた。



さすがに俺は部屋から出て確かめたかったが、それは叶わなかった。



部屋の外から、誰かの囁くような話し声が聞こえてきていた。



ひそひそ・・・・ひそひそ・・・・・。



その声は小さな声ではあったが、何故かとても不気味な声に聞こえる。



そして、俺の部屋は2階。



窓の外には人が立てる場所など存在してはいない。



だから、俺は椅子から立ち上がれなかった。



何かがすぐ傍にいる・・・・。



そんな確信があった。



その時、俺が思っていたのは、何故か早くこの話を書き上げなければ!



それだけだった。



そうすれば、先ほどからの不可思議な音や気配から解放される。



そう思っていた。



だから、俺は必死でパソコンの画面を睨み、話を書き続けた。



そうしていると、窓の外から聞こえてくる囁き声が、部屋の中から



聞こえてくるようになる。



そして、それと同時に、何かが階段をあがって来る音もはっきりと聞こえだした。



トンッ・・・・・・・・・トンッ・・・・・・・。



それはゆっくりだが、確実に階段を上がって来ていた。



1段・・・2段・・・・・3段・・・・・・4段・・・・。



どんどんと俺の部屋に近づいてきている。



俺は、さすがに耐えられなくなってしまい、椅子から立ち上がろうとした時、



俺は背後から強い気配を感じた。



誰が俺の背後にいる。



俺の肩越しに何かがパソコンの画面を見ている。



部屋の中には線香を焚いたような匂いが満ちていた。



俺は動けなかった。



そして、先ほどから聞こえていた囁き声が俺の耳元で聞こえ始める。



その時、俺は初めてその囁き声が何を喋っているのか、が分かった。



はやく・・・・・はやく・・・・・はやくかこうよ・・・・。



そう聞こえた。



そして、その時、階段を上がって来ていた足音がついに2階へと到達した。



そして、何かが俺の部屋のドアをノックする。



コンコンコンコン・・・・・コンコンコンコン・・・・・。



俺は固まってしまう。



何をすれば良いのかを必死に考えた。



先ほどまで晴れていた空は完全に暗くなり、部屋の中も、まるで異世界の



様相を呈していた。



そして、ドアがゆっくりと開き始める。



背後からはケラケラとした笑い声が聞こえてくる。



その時、俺はAさんから以前教えて貰った言葉を思い出した。



呪いの言葉でも、呪文でも、最後に『○禁』という文字を付け加える事でそれを



無効化出来るという事を。



俺は、出来るだけ悟られないように、そろそろ終わりを迎えようとしている



その話の次の行に、大きく『○禁』と付け加えた。



すると、次の瞬間、背後の気配は消え、ドアをノックする音も消えてしまった。



俺は、そのまま一気に書いていた文章全てを選択し、そのまま削除した。



部屋はいつもの状態に戻り、外の天候も、晴れ間が見え始めた。



そして、俺は禁忌の話を文章として残す事は辞める事にした。



そして、これからも、それらの話を書く事はないだろう・・・。



なにしろ、あの『○禁』という文字が効力を持つのは一度きりらしいから。



今度やって来たら防ぎようがない・・・・。



それほど危険な気配を感じた。



やはり、それらの話は禁忌として、記憶の中だけに留めておくのが良さそうだ。



きっと、それらの話のすぐ傍らには、あいつらがいつも潜んでいるに



違いないのだから。



しかし、俺はドアが開いた時、少しだけ隙間から見えた顔を見てしまった。



笑った般若の様な顔を・・・・。



これで、またしばらくの間、熟睡は出来ないだろう。



そして、Aさんにも家中に貼る護符を新たに作りなおして貰わなければ・・・。



一度家の中に入って来たモノは必ずまた入って来るのはそれまでの経験で



知っているから・・・・。


Posted by 細田塗料株式会社 at 09:22│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

count