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2018年11月10日

生まれ来る命というもの

以前、こんな事があった。



俺の知人夫婦が、結婚してずっと出来なかった子供を授かった。



2人は毎日、その生まれてくる子供の事だけを考えて過ごしていた。



カレンダーにも出産予定日を大きく囲み、指折り数えてその子供が生まれて



来る日を待った。



性別が女の子だと分かった時には、二人で必死に勉強して良い名前を



用意した。



そして、予定日より少し早く帝王切開で取り出す事が決まった。



誰もが、その子供の誕生を疑わなかった。



しかし、運命というのは過酷なもので、その子供は出産中に亡くなってしまい、



生まれてきた時には、その子供は既に息をしていなかった。



何度も蘇生を試みる医師だったが、再び、その子供の心臓が動き出す事は



無かった。



夫も妻も、病院を責め、そしてお互いを責めた。



そうするしか、自分の気持ちを保ち続ける術が思いつかなかった。



夫は生活の為に、仕事には出掛けていたが、妻はとても働く気持ちになど



なれなかった。



それどころか、生活の為に、何とか自分を律して働いている夫を、冷たい



人間だと罵り軽蔑したという。



妻は毎日、家の中に籠り、生まれてくる筈だった子供の事ばかりを考えて



一日を過ごしていた。



そして、その頃からその家では不気味な現象が起こり始める。



家の中でラップ音が聞こえるようになった。



夜、寝ていると赤ん坊の泣き声が聞こえるようになった。



妻はまるで夢遊病者の様にその声が聞こえる方を探しまわったが、当然、何も



見つかる事は無かった。



そして、家の中をまるで赤ちゃんが這っている様な音が聞こえる事もあった。



その度に、家中を見て回ったが、そこには誰の姿も見つかる事は無かった。



そして、それからも家の中では、無言電話が鳴りだし、家の玄関のチャイムが



押された。



そして、その度に、



もしかしたら、私の赤ちゃんが戻って来てくれたのかもしれない・・・。



そう思い、電話にもすぐに出て、玄関のドアのすぐに開けるのだが、そのどれもが



悲しみを増加させるだけだった。



そして、ある日、家の中で、家事をしていた妻が階段から何者かに突き落とされた。



階段を落ちていく瞬間、妻ははっきりと赤ちゃんの姿を見た、と言い、かなりの



怪我を負いながらも、その出来事を喜んでみせた。



私の赤ちゃんが戻って来てくれた、と。



しかし、度重なる怪異に夫は、知り合いに紹介してもらった霊能者といわれる



人に、今、家の中で起きている事が一体何なのか、を診てもらったという。



すると、その霊能者が言うには、



この家を呪っている者がいます。



それは、この世に生れて来られなかった赤ん坊です。



このままでは大変な事になります。



大掛かりな除霊が必要ですが私が何とかしてみせます!



との事だった。



夫も妻も、その言葉を聞いた時、酷い衝撃を受けたという。



やはり、あの子は私達を恨んでいるのか、と。



しかし、その霊能者から提示された除霊費用が、数百万というものだった為、



即答は避けて、俺に相談してきたという事だった。



勿論、俺に何かできる筈も無く、いつものAさんに相談してみた。



すると、Aさんは、いつものように面倒くさそうに拒否を続けていたが、



俺の説明が進むにつれて、真顔で耳を傾け始める。



そして、全て聞き終えると、



本当に馬鹿な霊能者様がいるもんですね。



なんか、話を聞いてるだけでこっちが頭に来てしまいますね。



わかりました。



今すぐ行きましょうか。



そう言って、すぐに知人夫婦の家に同行してくれた。



そして、家に着くと、家の中を一通り見て回り、そして、彼らにこう言った。



本当に変な霊能者・・・いや、偽霊能者が多くて困りますよね。



でも、そいつの詐欺に引っ掛かる前に相談してきたのは正解でしたね。



いいですか?



この家は呪われてなんかいませんよ。



確かに、何かが怪異を起こしてるのは事実ですけど、それは死産した赤ちゃん



では断じてありませんから・・・。



きっと、失望のあまり生きる気力を失っていた奥さんに、悪い霊がつけこんだのだと



思います。



そういう負の空気をあいつらは好みますから・・・・。



そして、その悪霊から、この家を護っていたのが、亡くなられた赤ちゃんです。



大した力もないのに、お父さんとお母さんを守りたいという気持ちで・・・。



だから、私は、その赤ちゃんの手助けをしに来たんですよ。



その子の想いだけでは、護りきれそうにありませんからね。



そう言うと、バッグから水晶を取り出して、両手で上にかざした。



そして、



こういうのを私は絶対に許さないから!



と言うと、家の中が白い光に覆われていき、しばらくすると、その光は



静かに消えていった。



頭に来たので、浄化ではなく、消滅させました。



とAさんは、二人に告げると、その場に腰を降ろした。



そして、二人に説くように、ゆっくりと話し始めた。



この世に生れて来れなかった赤ちゃんが、自分達の事を恨んでるなんて間違っても



思わないでくださいね。



生まれてきてから誰かに殺された場合を除いて、そんな事はあり得ません。



だって、赤ちゃんだって分かってますから。



それが運命だって事を・・・・。



この俗世に生まれてくる前だからこそ、よりはっきりと運命を自覚しています。



それよりも、お母さんのお腹の中で幸せに過ごせた時間が、赤ちゃんにとっては



何より大切で貴重な宝なんです。



水子供養とか、そういうのも否定はしません。



ただ、生まれて来れなかった赤ちゃんに対して罪悪感を感じてずって悩み



苦しみ続けること。



それって、実は赤ちゃんも苦しめてしまうものなんです。



赤ちゃんも、早く転生の準備をしなくてはいけないのに、親がそんな感じだと



心配で上にのぼれません。



授かる筈だった我が子をずっと忘れずにいてあげる事はとても大切な事



なんですけど、必要以上に、その子の事ばかり考えていると、その子も



次のステップに進めません。



そして、そんな負の空気に満たされれば、今回の様に、悪いものに目を



付けられてしまう事にもなりますからね。



だから、冷たい言い方かもしれませんが、



今回は悲しい結果だったけど、次はちゃんと会おうね!



ごめんなさい。



それじゃ、また!



って、感じの方が良いのかもしれませんね。



そして、毎日一度は心の中で手を合わせて。その子の安らぎを祈ってあげる。



それで十分ですよ。



赤ちゃんも、お腹の中にいる時に、ご夫婦の愛情をたっぷり感じていますから、



普通なら次に生まれてくる子として、そのまま転生する場合も多いんです。



だから、お二人は次に授かった赤ちゃんにまた愛情を精一杯注いで



あげれば良いんですよ。



でも、普通は7日間で上にのぼらなければいけないんですけど、赤ちゃん、



特に生まれてくる前の赤ちゃんの場合には、もう少し長く母親の近くに



居る事が出来ます。



だから、その間に、元気な姿を見せてあげないと、赤ちゃんも上にのぼれず



困ってしまいますよ。



大丈夫です。



生まれて来れなかった赤ちゃんにも、ちゃんと次が用意されていますから。



そして、その子の魂が、そのまままた、同じ夫婦の元に来て欲しいと願うのなら、



少しでも、元気に明るく前を向いて進まないと・・・・。



そういう居心地の良い両親、特に母親の所になら、また、赤ちゃんも同じ



場所に生まれてきたいと思うでしょうからね。



それだけ言うと、Aさんは、その家を後にした。



そして、その帰り道、俺は聞いてみた。



本当に同じ両親の元に、その魂が生まれてくる事があるの?と。



すると、Aさんは、



勿論、ありまよよ。



それに見えませんでしたか?



あの母親に、ピッタリと赤ちゃんがくっ付いていたのを・・・・。


ちっちゃな手で必死にお母さんを護ろうとしていました。



だから、きっと、あの子はまたあのご夫婦の元に生まれてくることになるんだと



思いますよ。



そう言って少しだけ嬉しそうに笑った。


Posted by 細田塗料株式会社 at 09:37│Comments(0)
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