2018年11月10日

降霊術というもの

以前、俺の周りではこんなチャレンジが流行った事がある。



それは、、簡単な降霊術。



時刻は深夜1時~3時までの間ならいつでも良い。



ある物を机の上に置いて、部屋の明かりを消し、更に目をつぶってから、



独り言を喋るというだけ。



とても簡単であり、誰にでもすぐにトライする事が出来るというのが



ポイントだった。



ただし、必ず1人で行わなければいけないものであり、途中で止める事は



許されず、最後にはある物を、降りてきた霊の元に差し出し、お礼を言って



お帰り頂くという終わり方まで決められていた。



ある意味、こっくりさんに近いのかもしれない。



ただし、こっくりさんの様に間接的にコインなどを使って文字盤の上を



動かすというものではなく、霊と本当にコンタクトが取れるとかなり



噂になった。



しかし、その降霊術は、しばらくすると、すぐに誰もやらなくなって



しまった。



その理由は、はっきり言えば、その降霊術が本物であり、そして



危険極まりないものであったからである。



そもそも、その降霊術の話の元を辿ろうとしても、最初に言い出した者は



誰もいなかった。



その誰もが、



噂で聞いた。



という返答に終始した。



そして、結論として、それは、やってはいけない危険な行為として周知される



ようになったのだ。



そして、その降霊術が流行り出した頃、誰よりも早くそれを実践した者が



俺の友人の中にいた。



彼は、生粋の心霊マニアといえるほどの存在だった。



それまでに流行った、こっくりさん、を始め、深夜の合わせ鏡、ひとりかくれんぼ、



なども実際に実行したらしいが、結局、不思議な事が起きた程度で、実際の



例の姿を見る事は叶わなかった。



だから、自宅で深夜に暗闇で眼をつぶるだけ、という降霊術自体を、否定的な眼で



見ていたのだろう。



いわくつきの心霊スポットにいっても、なかなかお目にかかれない霊体と、そんなに



簡単に会える筈がないだろう・・・・と。



実はその降霊術で必要不可欠なものとされているのが、此処では品名は出さないが、



それなりに高価な物。



実際、安い物も存在しているが、使用する際には出来るだけ純度の高い



本物を使用しなければいけなかったのだが、彼はその点を疎かにした様だ。



彼は自室のアパートで、その日の深夜の決行に備えて昼寝をたっぶりとして、



夕方の6時に目覚めた。



そして、いつも心霊スポットに行く際に使用しているカメラやマイクを



部屋の中にセットした。



本来なら、映像や音声として記録する事は禁忌とされていたのに・・・・。



風呂に入り、夕飯を食べ、テレビを見ていたが、ふと思いついたように



Bという友人に電話をした。



それは、あくまで、自分がその日の深夜に件の降霊術を実行するぞ、と



いう宣言だったらしいのだが、どうやらBは本気で心配し止めたらしい。



それが、彼には滑稽だったらしく、つい悪戯心で、



もしも、明日の朝に俺から連絡が無かったら助けに来てくれないか?



その時にはもう手遅れかもしれないが・・・・。



と思わせぶりな事を言ったらしい。



かくして、時刻は午前1時を少しだけ回り、彼はいよいよ件の降霊術を



開始した。



カメラの録画をスタートさせ、彼は2人掛けのテーブルに座り、用意した



ある物をテーブルの上の自分の近くに置いた。



彼が用意したある物というのは、決して高価な物ではなかったが、それでも



この降霊術自体を全く信用していない彼にすれば、それなりに勿体ない



代物だったのかもしれない。



もしも、本当に何か現れたとしても絶対にこれだけは渡さないからな!



そんな事を思いながら、彼は部屋の明かりを消した。



一気に真っ暗になった室内は、それだけでも何かが現れそうな雰囲気だったが、



彼にしてみれば、



部屋を暗くして、あまけに眼までつぶって、そして眼を開ければ恐怖心から、



在りもしないものが見えるんじゃないのか?



と言いながら、自分も両目を閉じた。



ただでさえ暗い部屋の中で目を閉じた彼に見えているのは完全なる闇だけ。



そして、おもむろに彼は1人で喋り始める。



普通なら、ここでは日常の出来事などを話す事になっていた。



しかし、彼が話し始めたのは、霊というものに対して彼が常日頃から思っている



不満だった。



霊が頻繁に現れないのは人間を恐れているから・・・・。



霊の中で、人の前に現れるのは、レベルの低い低級霊だけ・・・・。



と好きな事を喋り続けた挙句、



そもそも、こんな降霊術で、霊など召喚出来るはずがない・・・。



という事まで1人で喋っていたという。



その時、彼の耳が酷い耳鳴りに襲われ、周りの音が全く聞こえなくなった。



そして、彼の経験上、そういう耳鳴りが発生するのは、リアルな心霊スポット



だけだと知っていた。



まさか・・・・・・。



そう思いながら彼はゆっくりと目を開けた。



そこで、彼の目に飛び込んできたのは、二人掛けのテーブルの向い側に座る



細い女の姿だった。



髪の毛は長く垂れ、そこから痩せこけた頬が覗いていた。



背筋を伸ばした座高は彼よりもかなり高く、その眼はギラギラとした嫌な



輝きを放っていた。



彼は、目の錯覚だと思い何度も目をぱちぱちとしたが、やはり、その女性は



間違いなく彼の向かい側に座り、彼の顔をじっと見ていた。



彼はさすがに恐怖を感じだが実は彼が霊というものを見たのは、その時が



初めてではなかった。



だから、彼は、こう思ったという。



これはチャンスかもしれない、と。



彼は、その女性に対して、



貴女は幽霊というものですか?



それとも、人間ですか?



どうやって、この部屋に入りましたか?



等と質問を続けたが、その女性は何も反応せず、ただ、彼の顔をじっと



見つめているだけだった。



勿論、彼にはその女性が生きている人間ではない事など既に理解していた。



何しろ、呼吸音どころか、呼吸している様な微かな動きも無く、ただ、蝋人形の



様にじっと動かなかったのだから。



そして、彼は次にこんな質問をしてしまった。



まだ死ぬには若い年齢に見えますが、どうやってお亡くなりになったんですか?と。



すると、その女性は初めて反応し、自分の手首を切る様な動きをしたという。



自殺か・・・・・・。



彼はヤバいと思ったという。



そして、その女性が自分の手首からもう一方の手を離したとき、ざっくりと割れた



様に切れた手首が彼の視界に入って来た。



ザクロの様に割れた手首からは血こそ流れてはいなかったが、そこにははっきりと



手首の骨が白く露出していた。



やはり、こいつ、手首を切ったんだ・・・・。



しかも、こんなに深く・・・・。



それはとても正視出来る傷口ではなかった。



こいつは、本当に自殺霊だ・・・。



そう思った彼は、すぐに、用意していたある物をテーブルの上で動かし、その女が



座るテーブルの向こう側に押しやった。



そして、



今夜はどうもありがとうございました・・・。



それでは、お帰りください!



とうつむき加減に言った。



そして、しばらく時間を置いてから再びテーブルの向こうへと視線を向けた。



これで、消えているはずだった・・・・。



ある物を差し出して、お礼も言った。



そして、帰ってくれるように頼んだ・・・・。



しかし、その女は間違いなく、まだそのテーブルに座っていた。



しかも、先ほどとは違い、顔が溶けたように腐乱していた。



彼は悲鳴を上げようとした。



しかし、その瞬間、その女の手は彼の手を掴んだという。



細く、ゴツゴツとした冷たい手。



その手が彼の手首を掴んで離さなかった。



逃げなければ・・・・・。



彼はそう思ったが、立ち上がろうとした瞬間、意識が遠のき、その後の記憶が



無いのだという。



結局、彼は、その翌朝、心配して彼のアパートまで見に来てくれた友人Bによって



発見され、救急車で病院に搬送された。



そして、Bが彼を発見した時、彼は風呂場の浴槽に手をダラリと垂らし、深くまで



切られた手首からは血が流れ続けていた。



手首には温かいシャワーがかかり続けていたという。



そして、病院で奇跡的に一命を取り留めた彼だったが、その後、警察からは自殺として



処理されたという。



ただ、彼の手首に付けられていた包丁による傷口は、骨まで達しており、医師からは



ここまで深い傷は見た事が無いと言われたそうだ。



結局、彼に関する話はここまでなのだが、その後もその降霊術を試した者達が



次々に自殺未遂として発見されることになり、そのうち、さすがに誰一人として



その降霊術に手を出す者はいなくなった。



文中に書いた『ある物』がなければ、この降霊術は絶対に実行不可能な為、


ここに書いてみた。



安易に降霊術をするべきではないという警鐘を鳴らす意味で。



だから、絶対にある物を調べたりして、実行する事が無いように願いたい。


その女に会いたくなければ・・・・・。


Posted by 細田塗料株式会社 at 09:41│Comments(0)
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