2018年11月10日

増築を続ける家

ウインチェスター・ハウスというものをご存じだろうか?



まあ、こちらのブログを読みに来られる方なら、説明の必要も



無いと思うのだが・・・。



ウインチェスターといえば、有名な銃のメーカー。



西部開拓時代や南北戦争で、その名を馳せた、名銃と言って良いのかもしれない。



名を馳せたというからには、その銃で撃たれて命を落とした者も、凄まじい



数にのぼるのだろう。



だからといって、その銃を製造した者を恨んで死んでいった者が



本当に居たのかは分からないが、結局、会社の創業者をはじめ、



かなりの一族が、命を落としていった。



そして、残された未亡人は、霊媒師の助言に従って、死ぬまで38年間、



ずっと屋敷を増築し続けたという。



その助言というのは、銃で殺された者達の呪いによって、この家には



数多の悪霊が集まって来ている。



その悪霊から逃れるために、ずっと家を増築し続けなければいけない。



そういうものだった。



そのせいか、屋敷は、ただ増設を続けるのではなく、まるで忍者屋敷



もしくは、からくりの家の様に、その家を訪れた者が、わざと迷って



しまう様に、増築されていく。



行き止まりの階段、ドアを開けると、すぐに外になっている2階のドア、



そして、入り組んだ通路など、普通の感性ではとても作れないような



奇妙な家であり、現在は、アメリカの観光地の一つとして人気を



博しているという。



しかし、こんな奇妙な考えを持つ者は、アメリカだけではなく、



この日本にも実在するのだ。



その家は、北陸地方の片田舎にある。



勿論、アメリカのウインチェスター・ハウスなどと比べると、その規模は



比較にならない程小さなものだが、やっている事は同じ・・・。



悪霊や呪いからの防御に他ならない。



勿論、現在その家に住まわれている家族には関係のない事なのかもしれない。



しかし、ずっと昔の彼らの先祖が、大地主として、その地に君臨し、



農民たちを苦しめ、時には命さえも奪った事が、その呪いの始まり



なのだと教えられた。



その家では、現在、家主も普通の会社員であり、誰にも迷惑をかける



様な生活は一切していない。



しかし、現実として、その家は、今も毎日の様に増改築を繰り返している。



それは、廊下の突き当たりに隠し扉を作ったり、ダミーの窓やドアを



増設したり、玄関に見える場所が実は、家の中に入れない構造だったりと



本場アメリカに比べれば、簡素な増改築なのだが・・・。



中でも、家の中に地下へ続く階段を造り、その先が井戸の底へと続いて



いるという造りには驚かされた。



実は、その家の次男が、俺の知人の友人ということもあり、俺はこの事実



を知った訳だが、それなりに近所では有名な家らしく、その異様な



造りも相まってその家に近づく者はいない。



実際、その一族でも、全員がその呪いというものを信じている訳では



無いらしく、中には、そんな馬鹿げた事は止めてしまおう、と進言



する者もいるそうだ。



そして、実際に、その言葉に促されるように、一度、その家族はその家から



別の家に移り住んだ事があるそうだ。



だが、そうしたところ、やはり怪異が続き、原因不明の死を遂げる



者が出たそうだ。



それからというもの、その家族は、その家に戻り、増改築を続けている。



決して、裕福な生計ではないが、命を護るためには仕方のない事だと



諦めている。



そこで、俺は、いつものAさんにお出まし願った。



最初は、面倒くさそうに応じていたが、どうやらAさんもウインチェスター・



ハウスには興味があるらしく、詳細を話すと二つ返事でOKしてくれた。



そして、現地である、その家に伺ったのだが、知人の友人である次男は、



快く出迎えてくれたが、その他の家族の眼は冷たかった。



今更、何をするつもりだ・・・・。



余計な事は止めてくれ・・・。



そんな顔だった。



特に、その家の祖父母は、まるで敵でも見るような眼で俺達を



睨んできた。



俺は、何か、違和感を感じてしまったが、当のAさんはといえば、まるで



気にする様子も無く、まるで観光地にでも来たかのように、目をキラキラ



させて楽しんでいる。



そして、一通り、見終わった所で、俺と、その次男は、Aさんに聞いた。



本当に、こんな事で悪霊や呪いから逃れられるのか、と。



すると、Aさんは、笑ってこう言った。



そんな事少し考えてみればすぐに分かると思いますけどね。



この家には、呪いなんか存在していません。



それに、確かに悪霊は何体か存在しているみたいですけど、正直



外に出たがっている。



この家の構造自体が、悪霊を家の中から出られなくしてしまってるんです。



それに、地下に続く階段が井戸の底に繋がってるなんて、わざわざ



霊を呼び寄せているとしか考えられませんからね。



元々、誰に進言されて、こんな事を始めたのか、は知りませんけど、



もしも、呪縛というものが、この家に存在しているとしたら、それは



その誰かの進言を信じ込み、勝手に作りだした呪いというものに



縛られている事ですね。



だから、この家の霊を浄化する事はそんなに難しい事じゃありませんけど、



この家の住人達が、その呪縛から抜け出せない限り、何も変わらないし



空想の呪いは続いていくしかないんですよね。



人間って、気持ち次第でどうとでもなれるんです。



つまり、霊に常に狙われている。



だから、それから逃げなきゃ、と思っていたら、実際にそんな状態に



なってしまう。



でも、霊なんか、呪いなんか、受け止めて闘ってやる。



そんな気持ちを持てば、霊も呪いも、その殆どは近寄りません。



だって、悪霊だって、わざわざそんな厄介な相手を選びません。



そんな心の強い相手よりも、もっと簡単な相手を選びますから。



人間と同じですよ。悪霊だって・・・。



常に自分の目で見て、それだけを信じて、揺るぎない考えをしっかりと



持つ。



これは全ての事に言えるのかもしれませんけど、そうする事が出来れば、



迷いも恐れも無くなって、正しい道を進める。



誰かの言葉に動かされているようじゃ駄目でしょ?



だから、今の私には、この家に対して出来る事はありませんね。



そう言ってその場からさっさと立ち去っていった。



物事から逃げ続けると、更にややこしくなる。



誰かの言葉を鵜呑みにしない。



それは誰にとっても確かに大切なことなのかもしれない。



勿論、この世の中で生きていくうえでも・・・・。



俺はその時、そう感じていた。


Posted by 細田塗料株式会社 at 09:44│Comments(0)
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