2018年11月10日

廃ホテルの住人

これは以前、飲み屋で知り合った方から聞いた話。



その方は、建設関係の仕事をしており、色んな現場に赴くのだそうだ。



新築のビルから、ビル改装、と、どちらかといえば、大きな建物を



扱う場合が多いのだそうだ。



そして、以前、巨大な廃ホテルとして有名だった建物の改装の案件が



あり、色んな業者さん達と一緒に、その現場を見に行ったのだという。



俺などは、廃ホテルというだけで、恐ろしく感じるが、実際には



何処からか浮浪者さん達が建物に入り込んで住まいにしているケースも



少なくないのだという。



だから、無人になった廃ホテルは、埃がたまっているだけではなく、



ある意味、ゴミ屋敷と化している場合が多い。



そこで、廃墟を住まいとしている人達には、当然、強制的に退去



してもらうのだが、そこは、彼の性格なのか、なんとなく



浮浪者さんたちとも仲良くなってしまう事も多いのだという。



無理やり力ずくで、叩きだすのではなく、色々と話を聞いてやって



納得して、その建物から退去してもらう。



それは、とても無駄な事に感じてしまうが、後々、工事を進めて



いく上で、問題も発生し難くなるし、何より、貴重な情報も



提供してくれる場合もあるのだという。



そして、その貴重な情報というのは、その建物が廃墟と化してから



数年、あるいは、十数年の間に、その建物の中で何がどう変わり、



そして、現在、何が起こっているのか、という事。



つまり、怪異は発生していないか、という事である。



そして、もしも、怪異が発生しているとすれば、工事が始まる前に



その問題を解決しておかなければならない。



そうしなければ、工事はスムーズに進まないし、何より、改装が終わり



新装オープンとなった時に、そこで、変な噂や怪異が発生してしまっては、



営業の妨げにもなってしまう。



だから、そんな場合は、然るべき神社や霊能者に頼んで、完全にその場所を



清めるのだそうだ。



勿論、それだけで怪異が治まる様な相手なら問題無いのだろうが・・・。



そして、彼が巨大な廃ホテルを担当した際にそこの住人である浮浪者さん達



に聞いたのが、こんな話だという。



その廃ホテルは温泉街の中にあるという立地の為なのか、食べ残しの食料が



すぐに手に入るのだという。



そして、無人化した豪華な巨大ホテルがあるということになれば、別の場所



からも、たくさんの浮浪者達が押し寄せてきたのだという。



最初は、まるで、天国のように居心地が良かった。



何しろ、豪華な部屋とベッドが使い放題で、食料としても



食べ残しとはいえ、豪華な料理が手に入るのだから、それは



想像に難くない。



部屋数も、途方もなく多かったから、最初はどの浮浪者も、1人で



いくつかの部屋を自由に占有して使っていた。



それが、ある時を契機に様相が変わってしまう。



最初は沢山の浮浪者が居たから分からなかった部分もあるのたろうが、



明らかに、浮浪者仲間が居なくなっていく。



最初は、この場所に飽きて、何処か他の場所に移動したのか、とも思ったが



それも、どうやら違うようだった。



そのうち、仲間内では変な噂が流れ始める。



それは、夜になると、廊下を移動するモノが居る、という事。



それは、まるで中世の貴族の女性の様な服を着ており、ゆらゆらと



した動きで、廊下をゆっくりと移動していくのだという。



そんな馬鹿な!と笑い飛ばす者も大勢いたが、それを確認しに行った



仲間は、次の日には姿が消えてしまっていた。



そして、それは、人目でもその姿を見た者は、瞬時に、そのモノ達の



移動する列に加えられるのだそうだ。



そうして、一人また一人と、恐怖に耐えきれず、その廃ホテルを離れて



いったのだという。



そして、残った仲間たちは、昼間は自由に廃ホテルの内部を行き来



しているが、夜になると何人かで固まって一つの部屋で息を殺して



その行列が通り過ぎるのを待つという生活になっているのだという。



そして、最初の頃には、廊下を見たり、出て行ったりしなければ



安全だったのだが、そのうちに、その行列は、廊下を通り過ぎる時に、



まるで、誰かを探すかのように、ドアをノックしていく様になった。



だから、もしも、作業をするなら、絶対に昼間だけにしないといけない!



そうしないと、大変事になるから!



そう教えられたという。



ちなみに、彼はそれを聞いてからは、決して夜に誰もホテル内に



立ち入らないようにルール歩決めた。



そして、それを確認する為に、暗視カメラをセットしてみたらしいのだが、



そこには、廊下を通り過ぎる白い靄のようなものが映っているだけだった。



しかし、どうも、その靄の様なものが人の形を成している様であり、



心霊関係の専門家に見せたところ、



これは、容易に祓えるモノではない!



と言われたという。



そして、現在でも、それを祓う為に、高名な霊能者やお寺に何度も



除霊をお願いしているが、いまだに解決できておらず、



夜には誰も入れないという状態が続いているという事だ。



それを聞いて、俺は、



Aさんや、姫ならどうなるのかな?



と一瞬、考えたが、彼女達がそんな事に首を突っ込むはずはないのは



分かっていたから、あえて、その場で二人の事は話さなかった。



でも、あの二人なら、きっとあっさりと解決してしまうのだろう。、



間違いなく・・・・。


Posted by 細田塗料株式会社 at 09:52│Comments(0)
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