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2018年11月10日

名前を告げてはいけない

名前というのは、それだけで縛りになるのだという。



呪いの儀式で、相手の名前も書くのも、そういう事であるし、



悪魔祓いの際にも、先ず、エクソシストがやらなくてはいけない事は



とり憑いている悪魔の名前を言わせること。



人間界でもそうであるように、霊界や、キリスト教の世界でも、固有の



名前というものが、とても重要であり、必要とされるらしい。



そして、これから書くのは看護師をしている、俺の知人が体験した話である。



彼女はその時、自分の車で用事のためとある場所に向かっていた。



朝早い時間だったので、車の通行も少なく快適に車を



走らせていたのだという。



そして、突然、後方から凄い速度で1台の車が近づいたかと思うと、



そのまま彼女の車を一気に追い越して行った。



危ないな~・・・いったい何キロ出してるの?



彼女はそ思っていると、そのまま追い越した車はあっさりと見えなくなった。



彼女は気を取り直して、そのまま車を走らせた。



そして、それから5分ほど走ったところで、彼女は異様な風景を目にした。



車が橋の欄干にめり込んで煙をあげていた。



車の原型は既にとどめてはいなかったが、その車は間違いなく先ほど



彼女の車を猛スピードで追い抜いていった車だった。



かなり早朝ということもあり、後方からも対向車線からも車は



1台も走っては来ない。



彼女は急いで車を路肩に停止させると、慌てて車から降りた。



普通なら、その場で救急車を呼ぶだけなのだろう。



しかし、看護師の彼女は、車を降りると、そのまま事故車両に近づいていく。



車の中には当然、運転者らしき男性が1人乗っていた。



エアバックが作動して運転席を埋め尽くしていたが、それでも、その時、



彼女は、



ああ・・・これじゃ、もう助からないな・・・。



そう思ったという。



そして、急いで、携帯で救急車を呼んだ。



そして、その間、彼女は、何度もその男性に呼びかけたという。



大丈夫ですか?



もうすぐ救急車が来ますから!



そうやって、一応声掛けはしていたが、看護師の彼女には、その酷い



状態から、もう二度と意識は戻らないだろうな、と思っていた。



と、その時、突然、男性の目が開いた。



そして、彼女に向って、



あの…名前は?・・・・。



と聞いてきたという。



突然のことに驚いた彼女は、思わず、



鈴木ですけど?



と自分の名字を答えてしまう。



すると、その男は、



いえ・・・下のお名前は?



と聞いてくる。



その時、彼女はまるで催眠術にでもかかったかのように自分の名前を



○○です。



と答えてしまった。



すると、その男性はそのまま安心したように再び目を閉じたという。



そして、それからはぴくりとも動かなくなった。



程なくして救急車が到着した。



そして、警察も到着。



救急隊員の話を聞いていると、どうやら、その男性はぶつかった



瞬間に、既に即死だったと聞かされた。



目を開けて喋ったんだから、即死じゃないでしょ?



と心の中で思ったらしいが、そのあと、彼女は更に驚く事実を



警察から聞かされることになった。



それは、ブレーキ痕が無い事、そして車の中に遺書があったことから、



その事故は、死亡した男性による自殺と断定されたというものだった。



彼女は茫然としてしまう。



あの男の人は事故ではなく自殺だったの?



だとしたら、何故私の名前なんか聞いてきたの?



それに私はうっかりと自分の名前を告げてしまった・・・。



何も起こらなければ良いんだけど・・・・。



そんな思いで頭の中がいっぱいになった。



しかし、彼女の不安は、それからしばらくして現実のものとなる。



最初は夢を見たという。



あの事故現場の男が、崩れた顔のまま夢の中に出てきて、



次は○○の番だよ・・・・。



ちゃんと迎えに行くから・・・・。



と少し笑みを浮かべながら、言った。



そこで、いつも彼女は夢から醒めるのだが、起きた時にはいつも背中に



びっしょりと冷たい汗をかいていた。



しかし、彼女は気にしないように努めた。



きっと自分はあの事故の事がいまだに忘れられないんだ・・・。



だから、早く忘れなきゃ・・・・。



そう思って、毎日の病院勤めに励んだ。



そして、病院で働いていると、その忙しさから、その悪夢の事はすっかり



忘れる事が出来た。



そんなある日、彼女が家に帰ると母親から、こう言われた。



今日、昼間に電話があってね・・・。



あんたの知り合いだって名乗るんだけど名前は言わないのよ・・・。



そして、伝言だって言われたんだけど何か気持ち悪くてね・・・。



そう言われた。



電話の相手は何処か遠くから掛けてきているのか、声は途切れたり、



とても小さく聞こえたという。



そして、その男からの伝言だと言われて母親から渡されたメモを見て



彼女は固まってしまう。



そこには、



次は○○の番だよ・・・・。



ちゃんと迎えに行くから・・・・。



と書かれていた。



彼女は恐怖のあまり自分の部屋に駆け込んだ。



そして、



夢じゃなかったの?



私が何したって言うのよ・・・。



と途方に暮れてしまう。



そして、その日から、更なる怪異が起こり始める。



常に誰かに見られている気がするのだ。



最初は、気のせいかとも思ったが、そのうち、彼女はある事に気付く。



それは、常に誰かが自分の後ろに立っているという事。



そして、それは決して思い過ごし等ではなかった。



街中を歩いていても、たまに彼女の背後をやたらジロジロと見ながら



通り過ぎる人が多くなった。



勤務先の病院でも、患者さん達の中には、



後ろの人、どうしたの?



と彼女に耳打ちをしてくる人が何人もいた。



更に、彼女の家族も、家の中で見知らぬ男の姿を何度も目撃する様に



なり、やがて、家族の中には、階段から滑り落ちたり、ガラスが割れて



顔を切ったりと怪我をする者まで出てきた。



その怪我はどれも命にかかわるものではなかったが、彼女を追い詰める



には十分だったのかもしれない。



そのうちに、彼女の心は、



私のせいで家族が怪我をしてしまう・・・。



このままでは、命も危険になるかもしれない・・・。



でも、もしかしたら、私があの男の望み通り、自殺すれば誰も傷つかなくて



済むのかもしれない・・・。



そんな考えで固まっていった。



そんな風に思い始めると、彼女には、その男の声が聞こえ始める。



それは、駅のホームで電車を待っている時・・・。



車を運転している時・・・。



病院の窓から外を眺めている時・・・。



きまって、その男の声が聞こえてきた。



まだかい?



まだ死ねないのかい?と。



その度に、彼女はその場から走って逃げるしかなかった。



やはり、彼女にとって自殺は怖いものでしかなかったのだから。



そして、ちょうどその頃、友人を通して、彼女の事が俺の耳に入った。



俺はすかさず、Aさんに相談した。



Aさんは、彼女が置かれている現状を話すと、いつもの様に、



まあ、そうですね。



内容はわかりましたけど、それと私がどういう関係があるんですかね?



と面倒くさそうに言っていたが、俺が、



それが、その原因になった事っていうのが、彼女が自殺した者に、



自分の名前を教えちゃったから・・・らしいんだ。



と言うと、



名前を教えちゃったんですか?



やっぱりKさんの知り合いにも馬鹿が多いんですね。



類は友を呼ぶって、やつですか・・・。



と憎まれ口を叩いていたが、それでも、



そういうことなら、猶予はあまり無いかも知れません。



そう言って、今から行く、と言ってくれた。



俺達は彼女の勤務先である病院で落ち合った。



そして、彼女に連絡を取り、今から出てこれないか?と打診した。



すると、彼女は、看護師の制服のまま、走ってやって来た。



そして、俺が、



えーっと、こちらがAさん。



霊能者じゃないけど、かなりの力を持ってるから・・・。



そして、Aさんに向かって、



えーっと、こちらが・・・・。



と紹介しようとしたところ、Aさんが、こう言った。



貴女が、自殺者に名前を教えちゃったお馬鹿さんですか?



本当に馬鹿と関わるのは、Kさんだけにしときたいんですけどねぇ。



とからかう様に言っていたが、その後、すぐに真顔になって、



とにかく、時間がもう残されていないかもしれない。



その男は、もう貴女の背中で、かなり大きくなってしまってるから。



という事で、私も時間が無いし、少し荒療治で行くけど、我慢



してくださいね!



そう前置きして、彼女の背中に近づいていく。



そして、何を思ったのか、Aさんは、彼女の背中を思いっきり蹴った。



彼女は苦痛の表情を浮かべながら、



いきなり、何するんですか!



と声を荒げたが、Aさんは、すかさず、



荒療治するって、言ったでしょ!



それに、このまま死ぬのと、痛いのとどっちがいいの?



そう言って、今度は背中をバンバンと両手で叩きだす。



そして、



こうしないと、もう離せない位に大きくなってるんだから仕方ないでしょ!



だいたい、自殺者とか死んでいく者に、自分の名前を教えるなんて論外!



それって、呪ってくれって言ってるのと同じだからね。



名前というのは、この世の中で唯一の貴女自身を特定するもの。



名前を知られるっていうのは、相手に縛られるのと同じなの。



だから、もう二度と、死んでいく者に名前なんか教えないでよ!



そう言うと、既にかりな体力を使ったのか、Aさんは肩で息をしていた。



それでも、



よし!



これで何とかなるかな・・・。



そう言ったAさんは、彼女の背中に向けて両手をかざした。



すると、断末魔の叫びの様な声が一瞬聞こえ、それはすぐに消えてしまった。



そして、Aさんは、



よし・・・これで、もう大丈夫!



貴女が痛いのと同じように私の手も痛いんだからね。



叩かれる者よりも叩く者の方が辛い時だってあるんだから・・・。



そう言って、俺とAさんは、その場を離れた。



そして、その帰り道、俺は心に思っていた事を尋ねた。



叩かれる者よりも、叩く者の方が辛い時もあるんだ?



でも、さっきのは、半分はAさんのストレス解消が目的



だったんじゃないの?



特に、背中を蹴ったのは?と。



すると、Aさんは、



まあ、その辺はご想像にお任せしますけど。



でも、やっぱり人を叩くと自分の手も痛いもんですね・・・。



そう言って笑った。



ちなみに、その後、彼女には怪異は一切発生していない。


Posted by 細田塗料株式会社 at 09:53│Comments(0)
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