2019年06月08日

オークション

俺はよくオークションを利用している。



その殆どはギターを売るか、買うかのどちらかなのだが、やはり



オークションの性質上、写真でしか判断出来ない訳であるから、



自分が出品する時は、出来るだけ詳細な画像を貼る様にしているし、



入札する場合も、やはり、より詳細で判り易い画像が貼られている



物にしか入札はしない。



これは、トラブルを避ける為にもとても有効な事だと思う。



しかし、最近のオークシャンの参加者は異常に増えてしまい、



その中には常識が通用しない方も確実に増えている。



そして、そんな中には、不用品だからとか、もう使わないから、という



理由ではなくもっと他の理由で出品する者も数多くいるのかもしれない。



そして、これは知人女性の体験した話である。



彼女はその時どうしても欲しいブランド品のバッグがあった。



しかし、店を回ってもネットショップで探してもどうしても見つからなかった。



そして、諦めかけていた彼女に知人がオークションを勧めてくれた。



実際、彼女にすぐにオークションで、そのバッグを探したのだが、



あれだけ探しても見つからなかったバッグが3点も見つかった。



彼女は早速、オークションに会員登録して、そのバッグに入札した。



同じバッグが3点あったが、彼女は一番安い値段のバッグに入札した。



そのバッグの説明欄の写真にはそのどれもに持ち主らしき女性の顔が



写っていた。



生気のまるで無い、無表情な顔がじっとカメラを見つめている。



だから、彼女は、



顔出しなんかしちゃって大丈夫なのかな?


どうせ顔だしするのなら、もう少し笑えばいいのに・・・・・。



と思ったが、さほど気にはしなかったという。



そして、オークションの性質上、値段はどんどんと上がっていくだろうと



思い覚悟はしていた彼女だったが、その予想に反して、そのバッグには



彼女以外の入札は無かった。



他の2点の同じバッグにはかなりの入札があったというのに・・・・。



しかも、どう見ても写真で見る限り、彼女が入札しているバッグが



一番綺麗な品物に見えた。



では、どうして、そのバッグには誰も入札しないんだろうか?



彼女は疑問に思ったが、そこは楽天家の彼女・・・。



良い品物が安価で手に入るならそれに越した事はない、と思い



そのまま入札の行方を見守った。



そして、そのバッグは他の誰も入札される事無く、オークションは終了した。



彼女は結果として信じられない程の安価で、夢にまで見たバッグを



手に入れる事が出来た。



そして、取引ナビに従って支払いを済ませると、そのバッグは



呆れるほどに早く彼女の元に届いた。



ただ、バッグ1つだというのにその梱包は異常に厳重にされており、



彼女は少し不思議に感じたという。



これじゃ、まるで何かを封印しているみたいじゃない・・・・。



それが率直な感想だった。



しかし、梱包を開けて中身のバッグを取り出すと、まさに新品と言って



良いほどの真新しく綺麗な状態のバッグが姿を現した。



それを見て、彼女の不安も一瞬で払拭されたという。



本当に良い買い物をした!



そんな喜びで彼女は舞い上がってしまう。



それからは、いつ、どこに出かけるにもそのバッグを持ち歩いた。



そのバッグは確かにレアで人気の物だったらしく、何処に行っても



周りから羨望の眼差しで見つめられ、とても気分が良かったという。



そんな時、あるレストランに食事に行った際、彼女は見知らぬ男性から



呼び止められた。



同じようにレストランに食事に来たお客さんだったらしいが、彼女の



バッグを見つめながら、



これは良くないものです。



すぐに、然るべき場所に持って行って処置したうえで処分しないと



大変な事になりますよ!



そう言われた。



しかし、突然、そんな事を言われた彼女は、気分を害して、



ちょっと…失礼じゃないですか!



あなた・・・いったい何様のつもりなんですか!?



と、語気を強めた。



すると、その男性は真面目な顔で、



今は何を言っても無駄みたいですね・・・・。



でも、これだけは絶対に忘れないでください。



貴女が持っている、そのバッグは間違いなく死をもたらすものです。



ですから、それに気付いた時は出来るだけ早く・・・



そう言って、その男性は名刺を1枚取り出すと彼にそっと手渡したという。



そして、立ち去っていく男性の後姿を見ながら、彼女はその名刺を



見ると、そこには、地元民なら誰でも知っている様な会社の名前が



書かれており、更に、代表取締役社長、という肩書が書かれていた。



新手のナンパか何か?



それにしても、失礼しちゃう!



そう憤慨した彼女だったが、その時、その名刺を捨てず、無意識に



バッグの中にしまったのが、彼女にとっては幸運だったのかもしれない。



その後も、しばらくの間は何事も無く過ぎた。



しかし、ある時、友人に不思議な事を言われた。



彼女はその時、1人でコーヒーショップで読書をしていたのだが、偶然



その店に入って来た友人が、声をかけられなかったというのだ。



そして、その理由とは、彼女の背後に張り付くように1人の女が



彼女の顔をずっと覗き込んでいたのだと言われた。



その女の姿はまるで、ホラー映画に出てくる女の様に、頬はこけ、



顔中が血まみれだっというのだ。



勿論、彼女はその時一人だったし、そんな女が張り付いている感覚など



まるで無かったから、



せっかく友達だと思っていたのに、この子まで、そんな作り話をして



私を妬んでるの?



そう思ったという。



しかし、それからというもの、彼女の周りでは怪異が頻発するようになる。



携帯に無言の着信が掛って来る事があった。



頭にきて、掛かって来た番号に電話をかけなおすと、その番号は使われていない、



というアナウンスが流れた。



常に誰かから見られている、と感じるようになった。



彼女が持っている他のブランド品が、ズタズタに切り裂かれた状態で



見つかった。



そのバッグだけは全くの無傷なのに・・・。



更に彼女の家、そして職場で幽霊らしきものを見たという目撃談が多くなった。



そして、そのどれもが、彼女のすぐ傍に立っていたというものだった。



そして、彼女はどんどんと痩せ始めた。



最初は、それを喜んでいたが、さすがに常軌を逸した痩せ方だったので、



病院で検査を受けたが異常は見つからない。



そして、彼女は、ある晩、枕元に誰かが座っている感覚で目が覚めた。



それは、とてもお洒落な服装に身を包んだ女性だった。



そして、それには似つかわしくない程、その女性はやせ細り、



恐ろしい顔をしていた。



悲鳴を上げようとしたが、声は出なかった。



そして、その女性は、愛おしそうに、そのバッグを抱きかかえながら、彼女に



手を伸ばしてきた。



そして、



彼女の手にそのバッグを握らせようとしてきた。



彼女は必死で抵抗した。



すると、その女は、



好きなんでしょ・・・・このバッグ・・・・。



そう言って、スーッと消えていったという。



それから、彼女は、翌日、そのバッグを捨てに行こうと決意した。



山の中の奥深くまで車で行き、その池の中に、石を沢山積めたバッグを



投げ入れた。



そして、そのまま一気に自宅まで帰って来た。



これで全てが終わると思った。



しかし、自宅に帰ると、何故か、そのバッグはいつもの様に彼女の



部屋に置かれていたという。



彼女は、一気に全身から力が抜けてしまった。



もう逃げられない・・・・。



そんな思いでパニックになりそうだった。



しかし、それから、彼女は仕事で出張に行く際、駅のホームから



飛び降りた。



ホームにいた他の男性客によって間一髪助けられた。



しかし、彼女はその時、自らホームに身を投げたのではなかった。



明らかに、誰かに突き飛ばされていた。



そして、それを見たいた者も、そのホームには居た。



そして、それから、駅の事務所で厳重に注意されている時、駅員が



こう言った。



もう、家族の方もお迎えに来られてるようだから・・・。



でも、もう二度とこんな事をしちゃいけないよ!



そう言われた。



彼女は家族になど連絡をしていなかった。



それでは、いったい、誰が彼女を迎えにきたというのか?



彼女は恐ろしくなってしまい、その場で泣き崩れた。



そして、手帳に挟んであった、あの時の男性から貰った名刺を取り出して、



駅人に、こう頼んだ。



お願いします!



今すぐ、この人を呼んでください!



そして、誰が来ても、決して私を引き渡さないで!



そう泣きながら懇願したという。



その男性に電話をすると、忙しいであろうにも拘わらず、すぐに駅の事務所



まで来てくれたという。



そして、彼女の顔を見て、



よく覚えていてくれましたね!



でも、まだ生きていて良かった。



これから、時間はありますか?



いえ、時間があろうが無かろうが、一緒に来て貰わないと・・・。



間に合ってくれれば良いのだけど・・・・・。



そう言って、心配そうに彼女の顔を覗き込んだ。



そして、そのまま、駅の駐車場に停めてある男性の車に乗せられて



山間のお寺に向かったという。



そして、お寺に着くと、住職から、これから丸2日間、お堂に籠って



除霊に当たらなければいけない、と告げられた。



そして、どうやら、その男性も会社に電話して、しばらく仕事は



全てキャンセルするように、と電話しているのを聞いて、彼女は



覚悟を決めた。



そして、それから丸二日間、そのお堂に籠って、彼女は除霊を



受けた。



その間、何も食べられず、水分も取る事は許されなかったが、それでも



除霊が終わった際には、少し顔や体がふっくらと元に戻っている様に



見えたという。



そして、どうやら、その男性も全ての仕事をキャンセルして、丸2日間、



お堂の外で待っていてくれたらしく、彼女は心から感謝の意を伝えた。



そして、住職から、このバッグは処分してもよいか?と聞かれたが、



彼女は即答で、勿論です、と答えたという。



彼女は帰りの道中で、その男性に、



私はどうやってお礼をすれば良いのでしょうか?



なんでも、仰ってください!



と言ったらしいが、男性は、軽く笑って、



何も要らないですよ!



ただ、貴女がもう二度と、こんな馬鹿げた呪いに掛からないように



気を付けてくれれば、それだけで十分です!



そう言われたらしい。



彼女は、その男性の車から降りる際、心からのお礼を伝えた。



結局、そのバッグは、そのお寺で、毎日、お祈りを捧げて、呪いが



弱まった時点で、処分するという事になった。



そして、それから、気になった彼女は、そのオークションでバッグを



出品していた相手のプロフィールを確認してみた。



すると、相手は女性だとばかり思っていたが、実際には男性からの出品だった。



それでは、あの写真に写り込んだ顔は?



嫌な予感が下彼女は急いで、相手に連絡を取ろうとしたらしいが、すぐに



アカウントが削除されてしまい、それも叶わなかったという事だ。


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:44│Comments(0)
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