2019年06月08日

地下にある窓

これは知人が体験した話。



彼は大学を卒業してからずっと公務員として働いてきた。



長男だった彼は結婚してからも両親と同居し生活してきたのたが、両親が



立ち続けに亡くなると、その家に住み続ける理由も無くなり、新居を



探す事にした。



そして、知り合いの不動産会社から紹介されたのが、とても大きな豪邸



だった。



地上2階、地下1階、そして屋根裏部屋まで在り、作りも豪華で、とても



綺麗な家だった。



そして、その家は中古物件だったらしいのだが、どうやら以前はとある会社の



社長が建てた家であるらしく、その社長の会社が倒産した事で売りに出された



という、特にこれといって不安になる理由もない家だったという。



彼はすぐにその家の購入を決め、引っ越しを無事に済ますと、早速その家での



生活が始まった。



1階、2階共に明るい日差しが入り、とても雰囲気が良く、至る所に配慮が



行き届いた造りに彼ら家族は満足して生活していた。



良い物件を購入できた・・・・・。



その時まではそう思っていたそうだ。



しかし、不思議な部分も存在した。



それは、その家にはかなり広いスペースの地下が存在していたのだが、



住み始めて気付いたのは、何故か地下の部屋に窓が作られているという事。



勿論、地下といっても外界と繋がっているような造りではなく、明らかに



地下の周りは完全に地面の中であった。



それなのに、何故かその地下には、いくつもの固定された窓が設置されていた。



窓から見えるのは、土の壁だけであり、一体何の為にそんな窓を設置したのか、



全く理解出来なかったという。



しかし、生活にも慣れて来ると、そんな事も気にならなくなり、あれほど



不気味に感じた地下の窓がある部屋が、何故かとても落ち着く事に気付き、



いつしか、その部屋は彼の趣味の部屋として昼寝や仕事、そして趣味のギターを



弾く為の部屋として欠かせない部屋になった。



ただ、やはり夜は日差しが一切差し込んで来ないその部屋はどこかどんよりと



暗く感じてしまい、どうしても使う気にはなれなかった。



そんなある日の日曜日、その部屋で本を読んでいた彼は、仕事の疲れか、知らぬ間に



深い眠りに落ちてしまった。



ハッと気が付いた時、彼は完全な暗闇の中で目を覚ました。



時計の音だけがコツコツと大きく響いていた。



時刻は午後9時を回ったところだったという。



そして彼はすぐに体の異常に気付いた。



手はおろか指さえも動かず体は完全に硬直してしまっていた。



何が起こってるんだ?



彼は暗闇の中で自由が利かない状態に恐怖するしかなかった。



すると、彼の耳に、聞こえてきたのは、部屋の中を何かが這いずる様な音。



ズルズル・・・・・ズルズル・・・・・。



それは最初は何か1人の人間が部屋の中を這っているような音だった。



しかし、すぐにその音はどんどんと増えていき、部屋の中を沢山の何かが



這いずりまわっている音に変わった。



彼には目を閉じることしか手立ては無かった。



しかし、部屋の中を這いずりまわる何かは、何度も彼の体にぶつかる様に



移動を続け、その度に彼は、ヒッと情けない声をあげてしまう。



彼はその度に目を開けたのだが、自分でもどんどん暗闇に目が慣れていく



のが分かったという。



しかし、彼には部屋の中を這いずりまわる何かを確認する勇気は無かった。



もう永遠にその苦痛が続くと思われた。



だから、彼は一か八かの賭けに出る事にした。



大声を出せば、体の自由も利き、部屋の中を這いずるモノ達も何処かへ



逃げてくれるのではないか?



そう考えた。



だから、思いっきり息を吸ってから、彼は渾身の力で大声を出した。



誰だ!いい加減にしろ!



一瞬で部屋の中が静まり返った。



そして彼は体に力を入れてみる。



だが、彼の体は相変わらずピクリとも反応してはくれなかった。



そして、思わず目を開けた彼の眼に飛び込んできたのは、部屋の中を



まるでブリッジでもするかのように逆さまになったまま両手足で止まっている



女の姿だった。



そして、その女は逆さまになっているというのに顔だけは、しっかりと180度



回転し、普通の状態で彼を見ていたという。



彼はその時、生まれて初めて絶叫した。



そして、そんな彼に更なる追い打ちをかける様に、地下に在るその部屋の



全ての窓から中を覗き込むように見ている無数の顔があった。



結局、彼はその場で意識を失い、彼の叫び声を聞きつけて駆けつけてくれた



家族によって助け起こされたそうだが、その時には、先ほどまでが嘘の様に



いつもの静かな部屋に戻っていたという。



ただ、彼の衣服には、なんとも言えない程、ベッタリとした液体が付いており



それは洗っても決して落ちる事は無かった。



そんな出来事があったからは、その部屋の窓は完全に塞がれ、そしてその部屋は



しっかりと鍵がかけられて開かずの間となってしまった。



そして、家族の誰一人として地下にはいかないようになり、いつしか地下の部屋に



続く階段にはしっかりとした金属製の蓋が被せられ、完全に地上と遮断されてしまった。



しかし、今でも、その金属製の蓋が地下からガンガンと叩かれるような音が



聞こえてくるそうで、彼ら家族は現在、新しい家に引っ越す為の準備を



進めているという事だ。



Posted by 細田塗料株式会社 at 22:51│Comments(0)
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