2019年06月08日

空いたままの土地

この世の中には努力やアイデアではどうしようもない事も存在する。



しかも、圧倒的な負の力で・・・・・。



その様なものに直面した場合、我々は一体どうしたら良いのか?



これから書くのはそんな話である。



ある所に古い木造の建物が建っていた。



以前は、といってもはるか昔には、その建物は工場として沢山の従業員が



働いていた。



それが、廃屋になってから、どれだけの年数が経過したのだろうか?



ある夜、その建物から出火して、消火作業の甲斐も無く、瞬く間に全焼



してしまった。



その火事の原因というのは結局、不明のまま不審火として片付けられた。



しかし、建物が全焼したとしても怪我人や死人が出た訳でもなく、近隣住民は



ホッとしていた。



ただ、それは被害が建物だけに限定されたからではなかった。



その建物にはかなり以前から、変な噂が後を絶たなかった。



夜になると、その建物の中から何かの唸り声が聞こえてくる・・・・。



ぼんやりとした明りがその建物の中を動いているのを見た・・・・。



建物の木製の窓から、誰かがこちらを見ていた・・・・。



など枚挙に暇が無いほどであった。



そんな不気味な建物が火事で焼失したのだから、近隣住民にとっては願っても無い



火事だったのかもしれない。



ただ、其処にある曰くというものは建物だけに限られる訳ではない。



実際、その建物が建っていた土地というのは、大きな道路に面したとても立地条件の



良い場所だった。



だから、その場所に、新たな建物を建てようとするのは当然の事なのかもしれない。



会社の社屋、マンション、住宅、そしてアパート・・・・。



土地のオーナーが変わるごとに、そこには何かを建てる計画が持ちあがった。



しかし、その全てがその土地を整地する段階で頓挫してしまった。



理由は簡単だった。



その作業に従事した者が、全て大怪我や不幸に見舞われた。



そして、土地のオーナーが変わる毎に、オーナーにも不幸が連鎖した。



中には命を落とす者まで・・・・・。



そのうちに、その土地に手を出す者は誰もいなくなり、数年の時間が流れた。



しかし、やはり、それほどの土地をそのまま放っておく筈も無く、今度は



市がその土地に公園を造る計画を立てた。



しかし、やはり結果は同じだった。



ただ、公園という事もあり、役所の意地もあったのかもしれない。



最低限の遊具はベンチのみを設置して、その場所は市が管轄する公園として



再生された。



近くに大きな公園が無かった事もあり、最初はそれなりに賑わいを見せた。



しかし、すぐに、その公園には人が寄り付かなくなり、草木は枯れ果てて



見るも無残な状態になった。



すぐ横の国道には沢山の車が走っているにも拘わらず、その公園にはいつでも



人というものが誰もいない。



それはまさに異様な光景だった。



そして、そうなったのには理由があった。



子供たちが、そしてその親が公園で遊んでいると、明らかに周囲とは雰囲気の違う



何かが公園の隅に立っていた。



それは、女性だったり、老人だったり、子供だったりと様々だったが、そのどれもが



明らかに生きている人間とは違っていた。



そして、更にその公園で遊んでいてそのまま行方不明になる子供が続出した。



そうなってしまっては、もう其処に寄りつく者が居なくなるのも仕方の無い事だ。



そして、ある時、俺はAさんと、その公園の横に在る信号で停車した事がある。



その時、以前からその土地の怪異を耳にしていた俺は、その公園の駐車場に



車を停めて、公園へと入ろうとした。



すると、Aさんは、面倒くさそうに、しかし、真顔で俺に言った。



まあ、公園の中に入るのはKさんの勝手ですけど、何処かに連れていかれても



私にはどうしようも出来ないですからね・・・・。



ここは、そういう土地なので・・・・。



と言われて、俺は急いで車の中へと戻った記憶がある。



そして、俺が、



それって、どういう意味?



助けないぞ!っていう意味なの?



と聞くと、



いえ、助けたくても助けられないっていう意味ですよ・・・。



此処だけは、私でも、そして姫ちゃんでもどうしようもありませんね・・・。



元々、この土地には古からの呪いが染みついてるんです。



そして、地中深くには、忌み嫌われた存在が今でも当時のまま、埋められています。



それを人間の都合で、かなりの能力のあるお坊様にでも頼んで、その呪いを



封印してもらった。



きっと、相当な修行をされた立派なお坊さんだったんでしょうね。



だから、元々在った建物が火事になる前までは、まだ良かったんです。



封印されて、呪いが外に出られない状態でしたからね。



でも、火事によって、その封印も一緒に消えてしまってます。



だから、元々建っていた建物が火事で焼失した事を喜んでいるのは人間



だけじゃなくて、其処に封印されていた奴らですね。



長い年月の間、封印されていたことで、その力は凄まじいものになってますし、



何より自分達を封印した人間というものを恨んでいます。



そんな凄まじい呪いの力が地面の中から染み出してきています。



きっと、Kさんには見えていないとは思いますけどね。



でも、それらは既に、形をなしてこの土地を上を彷徨っています。



おぞましい姿で・・・・・。



だから、こんな所に他の建物を建てようとか、公園にしようとか、論外なんです。



そして、この土地に入ること自体が、自殺行為です。



だから、この土地は、誰も近づかないまま、このまま自然に帰すのが一番なんです。



そうすれば、もしかしたら数百年、いえ、数千年後には、この土地の呪いも



浄化されるかもしれない・・・・。



人間の力とか、霊能力とかで、なんとか出来るものばかりじゃないんですよ。



だから、私は頼まれたって、この土地にだけは絶対に入りたくはありませんね。



でも、この世には負の力だけではなく、陽の力も確実に存在しています。



その力に依って、自然に浄化されるのを待つしかないんですよ。



そう真顔で説明するAさんの真剣な顔を見ていると、俺も怖くなってしまい、



そそくさと、その場から立ち去った。



もしかしたら、空き地になったままの土地があるとしたら、そこにはそれなりの



理由というものが存在しているのかもしれない・・・・。


いや、もしかしたら、今住んでいる家も本当は家など決して建ててはいけない


禁忌の土地に建てられたのかもしれない。


そして、土地深くには・・・・・・。



そう思わされた体験だった。


Posted by 細田塗料株式会社 at 22:56│Comments(0)
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