2019年06月08日

メール

気持ちが落ち込んでいたり、全てが嫌になっていたり、そして更に、こんな



人生なんてどうでも良い、等と考えてしまう時というのはある意味、誰に



でも在るものなのかもしれない。



そして、いくら、常日頃は、ネット詐欺や不審なものに厳しい目を持っている



人だとしても、そんな時にはやはり心に隙間というものが出来てしまうのかも



しれない。



そして、これは知人が体験した話である。



彼はコンピュータ関係の知識が豊富であり、それを生かして仕事も順調にこなしていた。



ネット詐欺のニュースを聞いても、



馬鹿だな、本当にそんなものに引っ掛かる奴がいるのかよ?



とあくまで他人ごとだった。



なにしろ、彼はインターネットの知識も豊富で、様々なトラブルに対処する



術も完璧に持ち合わせていたのだから。



そんな彼だったが、ある時、仕事で大きなミスをした。



本当は、上司の許可をもらってから行った仕事だったが、それが、会社に大きな



損失を出してしまい、更に上司も彼に責任をなすりつけて逃げてしまった。



そうなってしまうと、彼自身、ある意味人間不信に陥ってしまったのかもしれない。



彼女との関係も上手くいかなくなり、家族とも喧嘩が絶えず、そして、荒れていた



彼の状態に辟易して友達も次第に彼から離れていった。



やる事為す事、全てが上手くいかなくなった。



そして、彼は会社に休暇願を出した。



忙しい時期に申し訳ない気持ちもあったが彼としてはそのままの状態で



働き続ける事は不可能だと判断しての決断だった。



しかし、約1週間の休みを取ったものの、実際に休みになるとやる事が



見つからなかった。



いつもの彼なら旅行に出かけたり、彼女と会ったり、とアクティブに活動したのかも



知れないが、その時の彼にはそんな気持ちも起きなかった。



ぼんやりと家の自室でベッドに横になっていると、色々とネガティブな思考しか



浮かばない。



少なくとも、その時の彼はそうだった。



自分なんかこの世に存在していても仕方ないのかもしれないな・・・・。



人生なんて、つまらないものだ・・・・・。



もう、全てがどうでも良くなってきた・・・・。



いっそ、死んでしまった方が楽なのかもな・・・・。



そんな事を考えながら、パソコンでネットを閲覧していると、ふと、メールの



受信ボックスに見慣れないタイトルのメールが入っている事に気が付いた。



「つまらない人生の終わらせ方」



そんなタイトルのメールだったという。



いつもなら、そんなメールなど気にもしないでゴミ箱に削除する彼だったが、



その時はそのメールのタイトルに妙に心魅かれるものがあったのだという。



だから、彼はそのメールを開封してみた。



そこには、彼が最近、体験してきた辛い出来事を知っているかのような



内容が書かれており、悪いのは全て、周りの人間なのだ、と書かれていた。



そして、もしも、今の苦しみから解放されたいのであれば、このメールに



返信してください、と結ばれていた。



そこには、彼が今まで見た事もない程の綺麗な女性の画像が添付されていた。



本来なら、そんなメールに返信するなど考える筈もない彼だったが、その時は



すぐに返信しなければ!と思ってしまった。



そして、自分の辛さや悲しみを詳細に書いたうえで、その内容を送信した。



すると、そのメールに対してすぐに返信が帰ってきたという。



あなたの苦しみ、悲しみはよく分かりました、と。



そんなメールのやり取りを繰り返しているうち、彼にとってはそのメールの



やり取りだけが生きがいの様に感じる様になってしまった。



そんな矢先、会社の同僚からスマホにショートメールが入った。



彼に責任をなすりつけた上司が事故に遭って入院したというものだった。



彼はその時、



ふん!ざまあみろ!



そう思ったそうだ。



ただ、それは始まりに過ぎなかった。



彼の彼女が駅のホームから落ちて大怪我をしてしまう。



彼の父親が突然、心臓に痛みを訴えて緊急入院させられる。



そのどれもが、彼がほんの一瞬だが、それらの人達が不幸になれば良い、と



思った事が現実のものとなった瞬間だった。



さすがの彼も少し気味悪く感じたという。



しかし、メールのやり取りはそれからも頻繁に続けられた。



しかも、不幸な事故が起こるたびに、相手からのメールは明るく楽しそうなものに



変わっていった。



そして、ある日、こんなメールが来たという。



もう楽になっても良いんじゃないでしょうか?



そんなメールだった。



そして、そこには、自殺する為の方法が、彼が知らなかった方法も含めて沢山



羅列されていた。



彼はもうその時にはある意味、何かにとり憑かれていたのかもしれない。



彼は羅列されていた自殺の方法の中から、首吊りという方法を選択した。



ドアノブを利用しての首吊り・・・だった。



この方法なら、今すぐにでも死ねる・・・・。



彼はそう思って、すぐに準備に取り掛かった。



自殺に使用できるものは家の中から簡単に見つける事が出来た。



彼は躊躇せず、すぐにそれを実行に移した。



最初はかなり苦しかったという。



しかし、意識が遠くなっていくうちに、苦しさは薄れていき、何だか気持ちよさ



さえ感じたという。



ああ…これで楽になれる・・・・。



そう思った時、突然、彼の頭の中に大きな声が響いた。



そして、何かに体が持ち上げられる様な感覚があった。



彼は思わず、その場から起き上がった。



こら!何しとる!



馬鹿な事をするんじゃない!



ちゃんと目を開けてもう一度しっかりと考えてみろ!



それは確かに数年前に亡くなった祖父の声だったという。



いつもは優しいが、間違った事をした時には、とても厳しく叱る祖父だった。



彼はゆっくりと起き上がり、しばらくぼんやりとした頭で考えていた。



いや、まだ終わっちゃいけない!



そう思えたという。



そして、パソコンに向かった彼はそれまでのメールを全て削除しようとした。



そして、その時、気が付いた。



彼が受け取っていたメールは、確かに彼のメールアドレス宛てに送られて来ていたが



そこには相手のメールアドレスは一切非表示になっていた。



そして、パソコンが得意な彼は、何とかして相手のメールアドレスを解明しようと



したらしいが、どんな方法を使っても彼のメールアドレスは一切、表示されなかった



という。



そして、最初の頃に送られてきたメールに添付されていた美しい女性の画像は、



まるで、顔が捻じれた様な不気味な顔に変っていたという。



彼は、その後、すぐにそのメール全て消そうとしたらしいが、どうやっても



消す事が出来なかったため、結局、パソコンを初期化して何とか、消す事が



出来たという。



その後、彼はしっかりと立ち直り、仕事もプライベートも全てがうまく



いく様になった。



そして、こう言っていた。



あの時、祖父の声が聞こえなかったら、きっとあのまま死んでいたと思う、と。



そして、あの言葉のお蔭で、大切な事に気付く事が出来たよ、と。



それは、この世の中には理不尽な事も沢山あるが、それも全て含めての



現実世界。



それに対して不平不満だけを言って責任を誰かになすりつけていても、結局、



自分の人生を楽しむ事なんて出来ない、という事。



だから、これからは、全てを受け止めて決して長くはない人生を楽しんでやる



んだ!と、彼は力強く返してくれた。



そして、俺はAさんに尋ねてみた。



やっぱり、彼を助けてくれたのは亡くなられた祖父なのか?と。



すると、Aさんは、面倒くさそうに、



そうでしょうね・・・・きっと。



悪いのもいるけど、良いのもいる・・・・。



だから、人間と一緒だっていつも言ってるじゃないですか・・・。



そもそも、そういう負の気で満たされてるから、そんな悪い霊につけ込まれる



んですよ。



でも、良かったじゃないですか・・・。



大切な事に気付く事が出来て!



この世はこの世なんですから、不平不満を言っても仕方ないんですよね。



全てを受け入れて自分の中で浄化する。



これって、大切な事ですよ!


それが出来ない奴が悪霊として、この世に残ったりしますから・・・。



まあ、Kさんには難しいかもしれませんけど・・・・・。


でも、大丈夫ですよ!


悪霊になっても、すぐに消し去ってあげますから(笑)



そう言っていた。



いつも、不平不満ばかり言っているAさんに言われてもあまり説得力が



無いように感じるのは俺だけだろうか・・・・。





Posted by 細田塗料株式会社 at 23:19│Comments(0)
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