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2019年06月08日

Aさんには守護霊がいない・前

その時、俺は久しぶりにのんびりと家の周りの雑草を刈っていた。



その日仕事の妻は、その日休みだった俺に、その仕事を命じて会社へと



仕事に向かった。



最初は面倒臭く、ただの義務感としての草刈りだったが、やり始めてみると、



これがなかなか楽しいもので知らないうちに俺は草刈りに没頭していた。



ほんの30分くらいで、さっさと切り上げよう・・・。



そう思っていた草刈りが既にやり始めてから2時間以上経過していた。



その間、家の電話や携帯が何度か鳴る事があったが、俺は一切その電話には



出る事は無かった。



草刈りに集中したかったのだ。



そんな時、ふと、頭の中を弱い電気の様なものが走った。



そして、そのすぐ後に、また俺の携帯が鳴る。



自分でも不思議だったが、何故かその電話には出なくてはいけない気がした。



だから、俺は急いで草刈りの手を止めて、その電話に出た。



姫からの電話だった。



いつも、のんびりとした話し方で喋る姫だったから俺は電話口に出るなり、



おはよう・・・・今日も天気が良いね!



そう言った。



すると、姫は明らかにいつもとは違いとても焦っている口調で、



Kさん、今から、○○○○まで来てください!



Aさんが大変な事になって・・・・。



そう言われた。



俺は、何があったの?と聞こうかと思ったが、姫の様子から非常事態だと悟り、



すぐに草刈りを止めて、車のキーを取り、すぐに家から出発した。



姫が指定した場所までは、それ程時間はかからなかったが、その間、俺の頭の中では



いったい、何かあったのいうのか?



もしかして、事故にでも・・・・。



いや、事故ならば俺など呼ばずにすぐに救急車を呼ぶだろうし・・・。



等と色々と考えていた。



しかし、思い浮かぶのは、



あのAさんが、まさか?・・・・・・。



という思いだけ。



そうこうしているうちに、俺の車は姫が指定した場所の近くまでやって来た。



そこで、こちらから姫に電話を掛けた。



あっ・・・もしもし、近くに着いたんだけど、どの辺にいるの?



と声をかけると、



分かりました・・・すぐに出ていきます・・・・。



という返事が返ってきた。



出てくる?どこから?



そう思っていると前方の林の中から誰かが道路へと出てくる。



何かに脅えている様にキョロキョロと辺りを見回している。



そして、俺の車に向かって、小さく手を振った。



姫だった。



俺は急いで車を姫の元まで走らせると、慌てて車を降りた。



そして、切羽詰まっている様な姫に、



で、Aさんがどうしたって?



まあ、殺されても死なないとは思うけど・・・・。



と言うと、姫は静かに、



ついてきてください・・・・。



そう言った。



俺は姫の後を追って林の中に入る。



すると、そこには、ぐったりとして木にもたれ掛かっているAさんの姿があった。



どうやら体中が傷ついているらしく、意識も無い状態だった。



俺は、急いでAさんの体を持ち上げると、そのまま車へと運んだ。



そして、姫もすぐに俺の車の助手席へと座る。



俺は何も言わずに車を走らせた。



出来るだけ近くの病院に向かおうと思っていた。



すると、姫が口を開く。



病院じゃ駄目なんです。



富山の住職の所なら、何とかなるかもしれません・・・・。



そう呟いた。



え?でも、こんなに大怪我してるし・・・・。



それに意識も無いみたいだから病院の方が良いと思うけど?



すると、姫は、



病院に行くのなら、Kさんをわざわざ呼びつけたりしません!



お願いします!



Aさんが助かる道は、あのお寺しかありません!



いつものおっとりした口調とは違う姫の様子に、俺はそれ以上何も云えず、黙って



目的地を富山の住職の寺へと変更した。



すると、姫は、すぐにこう続けた。



あの…申し訳ないんですけど、私も自分の”気”を消す為に、このまま仮死状態に



なります。



ごめんなさい・・・理由は後でちゃんと説明しますから・・・。



そう言うと、姫は助手席のシートを倒してそのまま横になり、すぐに意識を



失った。



どうなってるの?



そう思って、俺は車を走らせていると、突然、前方に小学生らしき女の子が



現われる。



道路の端に立って何かを探しているかのようにキョロキョロと忙しなく



辺りを見回している。



そして、女の子の姿がどんどん近付いてくる。



その時、俺は体中に説明できない程の寒気を感じてしまった。



何処から見ても普通の少女だった。



しかし、その眼は異様にギラギラと輝いており、その体からは凄まじい殺気が



感じられる。



そして、その女の子と俺は目が合った。



生きた心地がしなかった。



どうやら、俺の守護霊もその女の子に恐怖しているのだろう・・・。



それ程の恐怖というものを俺はそれまでの人生で経験した事は無かった。



足が少しだけ地面から浮いていた。



やはり、人間ではない・・・・・。



そう思った時、俺は急いで車のスピードを上げてその場から逃げようと考えたが、



ずくに止めた。



とにかく今は無事にこの場を切り抜ける事が最優先事項だった。



そして、Aさんと姫を俺が護らなければ・・・・。



そう思った時、少しだけ恐怖は薄れ、使命感だけが俺の心を支えてくれていた。



その女の子の視線が俺の車に注がれる。



きっと、標的にされれば、一瞬で車ごと全てが無に消されてしまう。



そんな気がした。



俺は、あえて、速度を変えず、表情も穏やかなままで車を走られた。



そして、その間、ずっと女の子の視線は俺の車に注がれ続けた。



それでも、何とか女の子の前を車は通り過ぎ、そしてバックミラーにもその姿



が映らなくなった。



しかし、それでも、俺はそのままの速度で車を走らせ続けた。



そして、それから10分ほど経過したとき、俺は一気にアクセルを踏み込んで



一気に富山県へと向かった。



姫があの寺に行け、というのだから、間違いなくそれが最善策なのだろう。



それにしても、Aさんの状態が心配だった。



先ほど、車に乗せる際、持ち上げると、まるで抜け殻のように軽かったし、



何より呼吸をしている感覚が無かった。



俺はアクセルを踏み込む足に力を入れて、富山の住職の寺へと急いだ。



富山の住職の寺に着いたのは1時間後だった。



急いで寺の中に入り、住職を呼んで来ると、二人でAさんと姫の体を担ぎ、



寺の本堂へと運びこんだ。



本堂に二人を運び入れると、ぐったりしている俺を見た住職が珍しくよく冷えた



コーラを持って来てくれた。



おいおい、お寺なら普通はお茶じゃないの?



そう言うと、住職は、



まあ、体裁的にはお茶だけどな。でも、疲れてる時にはこんな飲み物の方が



スッキリするだろ?



そう言って、自らもコーラのペットボトルを開けて、一気に喉へと注ぐ。



そして、こう聞いてきた。



なんで、うちに連れてきたんだ?



Aさんもかなりの怪我をしているみたいなのに・・・・。



もしかして、また厄介事を持ち込みに来たんじゃないだろうな?



そう言って笑い、もう一口、コーラを飲んだ。



だから、俺はそれまでの経緯を住職に説明した。



最初はにこやかに話を聞いていた住職だったが、そま顔はどんどんと険しい顔



に変わっていった。



そして、



姫ちゃんが、此処に連れていくしか助かる方法は無いって言ったんだよな?



そう言うと、すぐに住職はその場から立ち上がり、何処かへ行ってしまった。



そして、しばらくして戻って来ると、



うん、これでとりあえずは大丈夫だと思う!



そう言うので、俺が、



何が大丈夫なんだよ?もしかして、一人だけで逃げようなんて考えてるんじゃ



ないよな?



と聞くと、住職は、



まあ、逃げだしたいのはやまやまだけどな・・・・。



でも、そうもいかんだろ・・・・。



今まで彼女たちには何度も助けられているからな・・・。



だから、俺達も覚悟を決めないとな!



そう言うので、俺は、



もしかして、何か心当たりでもあるのか?



と聞いてみた。



すると、住職は、



ああ、ここ最近、悪い霊たちが妙に騒いでるんだよ・・・。



勿論、その殆どは彼女達を普通なら恐れて身を隠している程度の奴らなんだけどな。



でも、その中にはとても強い悪霊も沢山いるんだよ・・・。



そして、そんな風に騒いでいた悪霊たちが突然、気配を消したんだ。



今までこんな事は見た事も聞いた事もない・・・・。



何か凄く悪い予感がしてたんだよ・・・・昨日から・・・・。



そう言われた。



だから、俺は、



それとAさんがボロボロになって倒れていたのとどういう関係があるんだよ?



と聞いた。すると、住職は、



それはワシにも分からんよ・・・。



だけど、悪霊たちにとって、彼女たち、特にAさんは、天敵というか凄い恨みを



買ってるのは間違いないからさ・・・・。



そう言われて俺もすぐに納得してしまった。



それにしても、どうするの?



俺達だけで何も出来ないだろうし・・・。



まあ、あんたには、それなりの力はあるんだろうけどさ・・・。



でも、Aさんがボロボロにされる相手と喧嘩出来るか?



俺が住職にそう聞いた時、突然、姫が息を吹き返したのが分かった。


Posted by 細田塗料株式会社 at 23:25│Comments(0)
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