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2019年06月08日

Aさんには守護霊がいない・中

姫はゆっくりと上体を起こすと、眠たそうに眼をこすりながら辺りを見回して、



Kさん、ありがとうございます。無事にお寺に到着出来たんですね・・・。



それと、ご住職も、ありがとうございます。



こちらにAさんを連れてきた意味を理解して頂いたみたいで・・・・。



話が早くて本当に助かります!



そう言われて住職は真剣な顔で、



ああ、まあね。此処はそういう場所だから・・・・。



と返した。



そんな会話を不思議そうに聞いていた俺の顔を見て、住職は、



まあ、なんだな・・・洞察力の違いなのかな?



ほら、お前も知ってるだろ?



この寺には曰くつきの物を沢山預かって供養してるって・・・。



しかも、すこぶるつきの曰く品の・・・。



それを外界とシャットアウトしてるって事は、此処にいれば外部からも強い気



とかいうものが分からなくなるって事だな!



つまり、此処に連れてくれば、Aさんの居場所が特定される事は無いって事。



そう言われて、俺はようやく姫が此処に連れてきた理由が分かった。



俺が納得したのが分かると、住職は姫の方へと向き直り、真剣な顔で



とりあえず、詳しい話を聞かせて貰えるかな?



と、姫に言った。



すると、姫は少し戸惑った顔を見せた後で、



あの・・・私にもよく分からないんです・・・・。



家にいたら突然、Aさんの声が聞こえて・・・。



それで急いでタクシーを拾って、Aさんの気を辿りました。



そして、そこで見たのは地面に倒れて起き上がれなくなっているAさんと、



その前に立っている女の子・・・でした。



その女の子を見るなり、私は凄い悪寒に襲われてしまって・・・・。



あの女の子、本当にヤバいです!



私は体が硬直してしまってただ立っているがやっとで・・・・。



凄い負のパワーを感じました。



そして、あんなに真っ黒な気というのも見たのは初めてです!



でも、私もAさんを護ろうとしたんですが、どうやら、その子は私は眼中にない、



というか、敵とはみなしていないみたいで・・・。



そして、私の守護霊達も、その時は完全に沈黙してしまって・・・。



どちらも対峙したくない相手、というのが伝わって来ました。



駄目ですよね。私なんか・・・・。



守護霊さん達の力が無いと何も出来ないんですから。



でも、その時、私のお友達のキツネさん達がその子の前に立ちふさがってくれて。



そして、その時頭の中で、



逃げて・・・・。



という声が聞こえたんです。



だから、私は、必死でAさんを背負って出来るだけ遠くまで逃げようとして。



でも、車もありませんから、そんなに遠くまで逃げられる筈もなくて。



それで、Kさんに連絡を取らせて頂きました。



それから、Aさんは自分の気を消すかのようにピクリとも動かなくなって。



それで、私はKさんが来るまで震えていたんです・・・。



怖くて、どうしたら良いのか、分からなくて・・・・。



でも、良かったです。Kさんが無事にAさんを此処まで連れてきてくれて。



これで、安心して、あの子と対峙出来ます・・・。



私がAさんを護らないと・・・・。



そう話してくれた。



だから、俺は、



いや、姫だけじゃ危ないって!



もっと他に方法がある筈だから・・・・。



それにAさんも、このまま意識が戻らないかもしれないし・・・。



そこまで俺が話した時、突然、背後から、



何か私がこのまま意識が戻らない方が嬉しいみたいに聞こえるんですけどね?



と声が聞こえた。



Aさんの声だった。



その場にいた全員の視線が一斉にAさんに注がれる。



なんですか?



私の事を死人を見るような眼で見ないで貰えますか?



ちゃんと、美しい美脚もありますし。透き通ってもいませんから・・・。



相変わらずの憎まれ口だったが、その言葉にはいつもの生意気さは感じられず、



弱々しくすら感じてしまう。



いたた・・・・大丈夫ですよ。ちょっと油断しただけですから。



それに、姫ちゃんじゃ、あの子の相手は無理だからね。



自分でも良く分かってるでしょ?



あれだけの悪霊たちの集合体が相手じゃ、姫ちゃんの守護霊達も力を発揮しないと



思うよ。



姫ちゃんの守護霊は陰と陽、善と悪の集合体なんだからね。



それに、私を護る為に、姫ちゃんがお友達って呼んでるあいつらも



どうなった?



あれって全て、神と言われるレベルの神獣だよ。



それが、今は何も感じられなくなってるんじゃない?



まあ、あいつらの無事を祈るしかないけどさ・・・。



でも、今回の相手はそれだけヤバいって事だからさ。



姫ちゃん、1人じゃただ犠牲者が増えるだけだよ・・・・。



Aさんがそう言うと、姫は小さく頷くしかなかった。



とにかく・・・・ここは少しだけ時間稼ぎしないとね・・・。



とりあえず、今の私じゃ到底太刀打ちできないのはよく分かったからさ。



Aさんが、そう言い終えると同時に、寺全体が大きく揺れた。



大きな地震が発生したのか様な衝撃だった。



揺れ続ける寺の本堂・・・。



そして、外からは、



感じるぞ~・・・・此処にいたか~・・・・・



という低い声が聞こえてくる。



その場にいた全員の顔が一瞬引きつるのが分かった。



それにしても、今のこの状態で、どうすれば良いのか?



俺には全く考えが浮かばなかった。



さすがのAさんも少し青ざめた顔をしている。



すると、姫が、



やっぱり私が行きます・・・。



その間に、みなさんは此処から逃げてください!



そう言って立ち上がろうとした時、突然、俺の携帯が鳴った。



こんな時に誰だ?



そう思って携帯に出ると、それはAさんの師匠からの電話だった。



何故か電波状態が悪く声が途切れ途切れに聞こえてくる。



え?なんでおれの携帯番号を知ってるんですか?



というか、何でAさんじゃなくて俺に電話掛けてくるんです?



と聞くと、電話の向こうからは、



まあ、以前にも一度掛けた事があると思うんだけど、忘れてたよね?



それに、今の状態で一番役に立ちそうにない人に電話するのが良いか、と思って・・。



と弟子と同じく、相変わらず口が悪い。



あの・・・・今大変な状態なんですけど・・・・何か?



と聞くと、



あのさ…別に貴方と世間話したくて電話した訳じゃないからね。



大体の状態は把握してるから・・・・。



だから、今から此処からそちらに気を送るから・・・。



でも、相手が相手だから、きっと10分も持たないと思う・・・。



その間に出来るだけ遠くまで逃げなさい・・・・。



あっ、それと、あの子に伝えて欲しいんだが・・・・。



もう、アレに頼っても良いんじゃないか?って伝えて欲しい!



そう言って電話は切れた。



そして、すぐに大地震の様な激しい揺れは完全に消えてしまう。



俺は自分の気持ちを落ち着かせる為に、飲みかけのコーラを一気に飲み干し、



大きく深呼吸してから、



あのさ・・・Aさんの師匠からの電話で・・・。



今すぐ逃げろって!



その間、時間稼ぎしてやるからって・・・。



10分くらいしか持たないからその間に出来るだけ遠くまで逃げろって・・・。



どうする?



と、周りに伝える。



すると、姫が、



Kさんって、こんな時でもマイペースなんですね・・・・。



と言い、Aさんからは、



TPOって言葉を知らないんですよね?きっと!



もっと早く伝えてくれますか!



で、さっさと逃げるに決まってるじゃないですか!



そう冷たく言われてしまう。



全員でお寺の本堂から出ようとすると、住職だけがその場に残ると俺達に告げる。



このお寺に在る、いわくつきの物には沢山の悪霊も眠ってるから・・・。



そいつらまで的に回られたら堪らんからさ・・・・。



それに、ワシには、この寺を護る義務があるから・・・。



でも、大丈夫だ。あいつらの狙いはこの寺ではなくてあくまでAさんだと思うから。



そう言われた。



俺達は、是非もなく、その場から住職を置いて来るまで逃げようと本堂の外に出る。



その際、住職から、



まあ、お前の守護霊なら対峙する事は出来なくても護る力だけはすこぶる強力だから。



ワシよりは遥かに役に立つと思うぞ!



ワシがついていけば、それだけで足手まといになるから・・・。



そう言われた。



外に出た俺達が見たものは、その場で固まったまま動けなくなっているあの女の子の



姿だった。



動けなくなっている体からは、凄まじく冷たい冷気とそして押しつぶされそうな



重圧感が感じられて息苦しくなる。


そして、寺の壁に何本もの亀裂が走っているのが分かった。



あれは、女の子の姿をしているが、中身は全くのバケモノ・・・・。



それが俺にもはっきりと分かった。



そして、俺達は貴重な10分間を無駄にしないように急いで車を発進させた。







Posted by 細田塗料株式会社 at 23:27│Comments(0)
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