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2019年06月08日

ずっと傍にいた・・・・。

これは知人女性から聞いた話。



彼女は現在、病気を持つ子供たちを支援する施設で働いている。



その施設には本当に様々な障害を抱えた子供たちが入所しており、彼女は



昼夜問わず、そして休みの日も関係無くその仕事に没頭している。



その子供たちを見ていると、幼い頃の自分の姿が重なってしまうんです、と



彼女は言っていた。



彼女は幼い頃、体がとても弱く、日光の光にも当たる事が出来ない程



だった。



だから、彼女が知っている世界は病院と家の中だけ・・・。



そんな生活を送っていたそうだ。



彼女には兄弟はおらず、両親も共働きだったから、基本的に彼女の身の回りの世話



は、彼女の祖母がおこなっていた。



ただ、祖母はとても厳しい人であり、事あるごとに彼女を厳しく叱った。



彼女は思っていた。



きっと、祖母は自分の事が大嫌いなのだろう、と。



だから、彼女は自分の部屋から出来るだけ出ない様に日々を過ごしていた。



毎日、目が覚めると食事の時以外は全て自分の部屋で過ごした。



勿論、体調が悪化して床に臥している場合もあったが、たとえ元気な時で



あっても彼女は頑なに自分の部屋から出る事を拒んだ。



それは、厳しい祖母が怖かったから・・・・。



そんな理由もあるのだろうが、実は他にも理由があった。



それは、その部屋にはいつも友達がいた、という事だった。



いつからその友達が部屋にいたのかは思い出せないという。



気が付いた時にはもう其処にいた・・・・。



そんな感じだったという。



”私も一人ぼっちなんだ・・・・・。



寂しいから一緒に○○○○?”



その友達が最初に話しかけてきたのはそんな言葉だった。



その友達とはちょうど彼女と同じくらいの歳の女の子。



おかっぱ頭で顔も丸くいつも着物を着ている女の子だった。



それまで友達というものが一人もいなかった彼女は、初めて同じ年頃の女の子から



話しかけられて少し戸惑ったが、それでも二人はすぐに仲良くなった。



ただ、彼女はその女の子が笑った顔というのは一度も見た事が無いのだという。



ゲームをしたりテレビを観たりお絵かきをしたり・・・・・。



どんな時でも常にその女の子は彼女の傍にいた。



それなのに、家族は皆、その女の子の存在に気付かないような素振りをした。



彼女は、



きっと家族はもう私の事になど興味は無いのだろう、と思ったという。



二人で部屋の中に居ても、特にお喋りする事など殆ど無かった。



ただ、二人で同じ空間にいるだけ・・・・・。



だだ、それだけの事だった。



しかし、それでも彼女にとってみると生まれて初めて出来た友達であり、



たとえ喋りあったり笑いあったりする事が無くでも、その女の子と一緒に



居るだけで何故か余計な事は考えずに済んだし、何より自分には友達が



居るのだという事だけでも、彼女に生きる勇気をくれたそうだ。



ただ、一つだけ気になっていた事があるのだという。



それは、テレビを見ていてもお絵かきをしていても、ふと彼女がその女の子の



方を見ると、その女の子はテレビや画用紙を見ているのではなく、明らかに



彼女をじっと見ていた。



まるで、彼女の様子を窺う様な眼に、彼女は時折、不安なものを感じていた。



それでも、彼女は、その女の子に対して、



どうしたの?



とは決して聞かなかったそうだ。



それはせっかく出来た友達を無くしたくなかったから・・・・。



だから、夜になりその女の子が部屋から出て行っても、また朝、目を覚ますと



既に部屋の中に座っていたとしても彼女はそれを女の子に聞く事はなかった。



本当は、



何処に行くの?



何処に住んでるの?



と聞きたかったらしいが、彼女にはその勇気は無かった。



そして、女の子は彼女の体調が悪くなり床に伏せっている時には何処にも行かず



一晩中傍にいてくれた。



祖母や母親が食事や薬を運んで来てくれた時には、一瞬だけその女の子は姿を



消し、そして祖母や母親が部屋から出ていくと、また知らぬ間にその女の子は



彼女の枕元に座っていた。



そして、呟くように声を掛けてくれたという。



苦しかったら○○○○?



辛かったら○○○○?



楽になりたかったら○○○○?



いつも、心配そうな声を掛けてくれたという。



いつしか、その女の子は彼女にとって祖母や母親よりも大切な存在になっていた。



いつまでも一緒に居たい・・・・。



そう思うほどに。



そして、彼女は思っていたそうだ。



自分の病気はきっと助からないのだ、と。



そして、このまま死んでいくのだ、と。



だとしたら、自分が死ぬ時には、友達であるその女の子に傍にいて欲しい・・・。



そう思う様になったという。



実際、彼女の病状は好ましいものではなく、特に部屋の中に籠るように



なってからは、病状が悪化する事が多くなり、彼女はどんどんやせ細っていった。



女の子はそんな彼女の姿を見ていても、



大丈夫だよ・・・・・。



と呟くだけだったから、彼女も、きっとそんなものなのだろう、と思い込んでいた。



そんなある日、彼女の病状が酷く悪化した。



呼吸が苦しくなり、体を動かす事すら侭ならなくなった。



それでも、その姿を見た女の子に、



大丈夫だよ・・・・・・。



そう言われると妙に気持ちが落ち着いた。



彼女を診察に来た医者も、彼女の状態を見て、表情をこわばらせた。



彼女はその時、思ったという。



自分はもうそろそろ逝くんだ・・・・・と。



実際、その時は家族の誰もが彼女の死を現実のものとして覚悟していたそうだ。



ただ1人、厳しい祖母を除いては・・・・。



そんな状態がしばらく続いたある日、突然、彼女の部屋に入って来た祖母の



顔色が変わった。



彼女は苦しい息の中で、



友達である女の子が見つかったらどうしよう?



そればかり考えていた。



祖母は、



大丈夫かい?



しっかりしないと駄目だよ!



と厳しい声を掛けてくれた。



ずっと祖母には嫌われているのだろう・・・。



確かにこんな病弱な体になってしまったのだから、祖母にとっては厄病神でしかない



のかもしれない。



それも、もっともなことだ。



だから、最後にきちんと謝っておかなければ・・・・。



ぼんやりする頭で彼女は、そう考えた。



だから、彼女は祖母に対して、



おばあちゃん、私、もう駄目だと思う・・・。



今までいろいろとありがとう・・・・。



おばあちゃんは、長生きしてね・・・・・。



そう呟いたという。



すると、祖母はすぐに立ち上がって、部屋から出ていくとまたすぐに戻って来た。



そして、大声で、



しっかりしなさい!



長生きしなくちゃいけないのはお前なんだよ?



お父さんやお母さんの為にも長生きするの!



そうすれば、友達だって沢山出来るんだよ!



お前のこれからの人生には楽しい事が沢山あるんだから!



だから、気持で負けちゃ駄目!



気持ちだけはしっかりと持ちなさい!



そう叫ぶと、彼女の体を蒲団から持ち上げて、部屋から出ていく。



そして、日当たりの良い、祖父母の部屋に連れて行って、そのまま寝かせたという。



家族は何事が起ったのか?と集まって来たが、祖母は全く気に留めず、



此処ならご先祖様がお前を護ってくださる筈だから・・・。



あんなモノに負けるんじゃないよ!



そう言って笑ったという。



そして、それから祖母は家族に対して、



これから明日の朝まで、絶対に誰もこの部屋には近付かないで!



あの子は私の宝物なんだから・・・・。



死なせてたまるもんですか!



だから、私があの子を護ってみせる!



そう言って、祖母は彼女がずっと籠っていた部屋の中へと入っていき、部屋の襖を



閉じると、そのまま静かになったという。



それから彼女はそれまでの病状が嘘のように奇跡的な回復をみせた。



そして、朝になる頃には後んから自分で起き上がり、食事もとる事が出来る



までに回復した。



家族は喜び、医師は奇跡だと言った。



そして、それを報告しようと祖母が夜を明かした部屋に入った時、家族は愕然とした。



其処には既に息絶えた祖母の遺体が横たわっていたという。



悲しみにくれる家族に、祖父はこう言ったという。



あいつは、昨日、あの子の部屋で悪いモノを見た、と言ったんだよ。



あの子の命を奪いに来ているのは、きっとそれなのだ、と。



大切な孫をあんな奴に絶対に渡さない・・・。



だから、これから何が起こったとしても絶対に悲しまないで・・・。



私はあの子を護れるのならば本望なんですから・・・。



笑って見送ってください・・・。



そう言って部屋から出ていったんだよ。



一度言い出したら聞かない奴だったからな・・・。



でも、最後まであいつはあの子の事を愛して、そして護りきって逝ったんだ。



だから、悲しまないでやってほしい・・・・。



そう話したという。



それから、彼女は順調に回復し、今では結婚もして元気に働いている。



そして、その当時、どうしても聞き取れなかった言葉。



あの女の子が言った呟いた数少ない言葉の最後の4文字。



それは今考えると、「死のうか」という言葉だった気がするのだという。



彼女は自分の経験を生かして、自分の幼少期と同じように、気持で病気に



負けないように厳しくそして、温かく接しているそうだ。



祖母が自分に対して、そうしてくれたように・・・・。



そして、今でも年に数回、祖母のお墓参りは絶対に欠かす事が無いそうだ。


Posted by 細田塗料株式会社 at 23:34│Comments(0)
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