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2019年06月08日

サイレンが聞こえる・・・・。

これは東京に住む知人から聞いた話。



彼は元々東京の生まれだそうだ。



東京で生まれ東京で育ち、東京の大学を出て東京に住んでいる。



俺とは仕事関係で知り合った仲になるのだが、出張などで東京に行くと



必ず一緒に飲み歩いてくれる愉快な男である。



彼は現在、結婚し子供も生まれ家族3人でマンションに住んでいる。



まあ取り立てて高級マンションという訳ではないが、それでもかなりの高層階に



住んでいるらしく、いつもその部屋から見える景色ばかりを自慢されてしまう。



そんな彼と一緒に酒を呑んだとき、突然、深刻な顔で話してくれたのが、



これから書く話である。



彼はいつも寝る時には部屋に1人で寝る様にしている。



それは、彼のマンションの部屋数に余裕があるという理由もあるが、それよりも



彼は誰かと一緒だと深い眠りにつけず結果として疲れが翌日に残ってしまうから



なのだという。



そして、その夜も彼は自分の部屋に1人で寝ていた。



ベッドではなく、フローリングの上に布団を敷いて寝る。



それが、彼のいつものスタイルだそうだ。



いつものように寝る前にウイスキーを少し飲んでから寝た。



それも、彼のいつものスタイル。



そうすれば、より深く眠る事が出来て朝まで決して目を覚ます事が無いそうだ。



しかし、その夜はいつもとは違った。



いつも通り、午後11時頃に寝た彼は、真夜中にハッとして目が覚めた。



酷い寝汗をかいていた。



時計を見ると、ちょうど午前2時半を回った頃だった。



なんで目が覚めたんだろう?



そんな事を考えていた時、彼は突然、蒲団から飛び起きる事になった。



ウー・・・・ウー・・・・ウー・・・・ウー・・・・・。



それはけたたましく響くサイレンの音だった。



それは消防車とか救急車の音ではなく、まるで記録映画で聞いた事のある



空襲警報のサイレンの音そのものだった。



彼は、まだボーっとしている頭で必死に考えた。



何故、空襲警報が聞こえるんだ?



戦争でも始まったとでもいうのか?



そんな事をぼんやりと考えていると、窓の外からカーテン越しに真っ赤な光が



部屋の中に差し込んでくる。



本当に戦争でも始まったのか・・・・・。



そう思って彼が起き上がろうとすると、突然体が重くなりその場から



身動きひとつ出来なくなったという。



金縛りの経験などあるはずもない彼は一体何か起こったのか、と頭の中は



完全にパニックになった。



外からはまるで大きな炎のような赤い光が揺れながら部屋の中まで明るく



照らしていた。



もうこれは何か大変な事が起こっているに違いない・・・。



そう思った彼は大声を出して家族を起こそうとしたらしいが、何故かその時は



かすれ声の様な小さな声しか出せなかったという。



そうしていると、今度は何かの音が近づいてくるのが分かった。



身動き出来ず声も出せない彼は、その音に全神経を集中させるしかなかった。



すると、その音は、最初はかなり小さく聞こえたいたのだが、次第に大きく



はっきりと聞こえる様になった。



それは紛れもなく、外を歩く靴の音だった。



ハイヒールなどではなく、固い靴底の皮靴・・・。



彼の頭にはそんな靴で外を歩いているようにしか聞こえなかった。



しかも、その音は一人や二人のものではなかった。



大勢の行列が、ザッザッザッザッと外を行進しているように聞こえた。



そして、その音はどんどんと大きくなっていき、まさに窓のすぐ外を



行進している様に聞こえだす。



そして、しばらくすると、その足音はどんどん遠ざかっていき、次第に



聞こえなくなっていった。



すると、彼の体は゛自由が利くようになった。



慌てて起き上がり、窓に駆け寄ると急いでカーテンを開けた。



しかし、そこには、いつものように東京の夜景が広がっているだけだったという。



赤い光も、サイレンの音も既に消えていた。



彼は狐にでもつままれたかのようにしばらくその場で立ち尽くしていたが、



翌日の仕事もあったから、その夜はまた布団にくるまって寝てしまった。



そして、朝になって家族に昨晩の事を話すと、



誰もそんな音や光には気付かなかった・・・と言われたそうだ。



だから、彼もきっと寝ぼけていたんだろう、と自分を納得させたそうだ。



しかし、彼はそれからも何度も同じ体験をしてしまう。



真夜中に目が覚めて、サイレンが聞こえ真っ赤な光を見て大勢の靴音を聞いた。



そして、そのうちに彼は夜寝られなくなってしまい、神経科の病院に通う



様になってしまう。



食欲も無くなり、酷く痩せていったという。



もっとも、それでも家族の生活の為に仕事を休むわけにはいかなかった



から、何とか毎日、仕事には出掛けていたという。



そんなある日、彼は仕事で遅くなってしまった。



既に終電は終わっており、タクシーに乗るお金も持っていなかった彼は



家まで1時間以上の距離を歩いて帰る事にした。



最初は辛かったが、しばらく歩いていると慣れてきたのか、体がとても軽く



感じ汗をかいている事がとても気持ち良く感じた。



そして、喉が渇いた彼は途中、自動販売機で冷たい缶コーヒーを買う事にした。



ボタンでコーヒーを選び、しゃがんで商品を取り出そうとした時、彼の背後から



また、あのサイレンが聞こえてきた。



いつも寝室で聞いているよりもかなり煩く耳がどうにかなりそうだった。



缶コーヒーを手に取った彼は慌てて振り返る。



すると、そこには、真っ赤に燃えた東京の光景が広がっていたという。



それも、現代の東京ではなく、彼が昔、記録映画で視たようなかなり古い



東京の街並みがそこには広がっていた。



そして、その街並みがいたるところで燃えていた。



彼はその場に茫然と立ち尽くすしかなかった。



すると、今度は遠くの方からザッザッザッザッという足音が聞こえ、それが



どんどん近づいて来るのが分かった。



彼は、初めて自分の目で見るその光景に呆気に取られながらも、視線は



足音が近づいてくる方へ釘づけになっていた。



すると、大勢の軍服を着た男たちの列が、こちらに近づいてくるのが見えた。



彼はその場から逃げ出したかったが、どうにも体が動こうとはしなかった。



そして、その行列が近づいてきた時、彼は恐怖で固まった。



軍服を着た大勢の男達は、整然と列をなしてこちらに近づいて来ていた。



だが、その男達の姿は、片足が無かったり、腕がもげていたり、そして顔が



欠損していたり、とその整然とした列とは対照的に、まるで死者の列の様に



見えたという。



そして、その列が彼の前を通り過ぎる時、首だけが彼の方を向いて、じっと彼を



見つめているのが分かったという。



彼は、その場で無意識に手を合わせた。



恐怖とか助かりたいから、という理由ではなく自然に彼は手を合わせていたという。



そして、その行列は遠ざかっていくのだが、それらの顔だけはしっかりと彼の



方へと向けられ、じっと彼を見ていたという。



そして、彼はその行列が通り過ぎた後も、しばらくの間、目をつぶって手を合わせ



続けたという。



そして、しばらくして眼を開けると、そこはいつもの東京の街に戻っており、



サイレンも赤い光も全てが消えていたという。



そうして、彼は再び歩き出して無事に家まで帰る事が出来た。



そして、その事があってから、彼が真夜中に目が覚める事は一切無くなった



ということである。





Posted by 細田塗料株式会社 at 23:38│Comments(0)
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